特許第6444906号(P6444906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444906
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20181217BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H02M3/155 W
   H02J7/34 B
   H02M3/155 C
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-20723(P2016-20723)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2017-139922(P2017-139922A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 成晶
(72)【発明者】
【氏名】戸村 修二
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】高松 直義
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−50961(JP,A)
【文献】 特開2017−50962(JP,A)
【文献】 特開2012−157117(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/018299(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源と、
前記複数の電源に各々設けられ、前記電源と負荷との間の電力変換を行う複数の電力変換器と、
前記複数の電力変換器の間を導通及び遮断するスイッチング素子である連結素子と、
を備え、
前記複数の電源の1つから前記負荷へ電力を供給する際、前記連結素子を導通状態とすることによって当該1つの電源に設けられた電力変換器と当該1つの電源以外の電源に設けられた電力変換器とを導通させて制御を行うことによって、前記連結素子又は当該1つの電源以外の電源に設けられた電力変換器に損失を負担させることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源システムであって、
前記複数の電源の各々は、前記複数の電力変換器の1つの上アームと下アームを繋ぐノードに接続されており、前記連結素子は前記ノード間に設けられていることを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源システムであって、
前記連結素子は、両耐圧特性を有するスイッチング素子であることを特徴とする電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を用いた電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの直流電源にそれぞれ個別の昇圧チョッパを設けた電源システムが開示されている(特許文献1)。昇圧チョッパを並列に配置し、それぞれを独立に制御することによって、2つの直流電源から負荷へ電力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−46446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源システムにおいて電源から供給できる最大電力を制限する要因の1つはスイッチング素子の発熱である。従来の電源システムでは、2つの電源からそれぞれ個別に電力を供給する構成とされているので、一方の電源のみから電力を供給する場合には他方の昇圧チョッパは休止状態となる。したがって、使用中の昇圧チョッパのみで発熱が生じ、休止状態の昇圧チョッパでは発熱が生じない。したがって、使用中の昇圧チョッパのみに発熱の負荷が掛かり、電源システムから供給できる最大電力は一方の昇圧チョッパの発熱許容量に依存することになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、複数の電源と、前記複数の電源に各々設けられ、前記電源と負荷との間の電力変換を行う複数の電力変換器と、前記複数の電力変換器の間を導通及び遮断するスイッチング素子である連結素子と、を備え、前記複数の電源の1つから前記負荷へ電力を供給する際、前記連結素子を導通状態とすることによって当該1つの電源に設けられた電力変換器と当該1つの電源以外の電源に設けられた電力変換器とを導通させて制御を行うことによって、前記連結素子又は当該1つの電源以外の電源に設けられた電力変換器に損失を負担させることを特徴とする電源システムである。
【0006】
ここで、前記複数の電源の各々は、前記複数の電力変換器の1つの上アームと下アームを繋ぐノードに接続されており、前記連結素子は前記ノード間に設けられていることが好適である。
【0007】
また、前記連結素子は、両耐圧特性を有するスイッチング素子であることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電源にそれぞれ電力変換器を備えた電源システムにおいて、それぞれのスイッチング素子の発熱の負担を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における電源システムの構成を示す図である。
図2】非動作側の電力変換器にて損失負担させる場合の力行制御時のリアクトル電流の時間変化を示す図である。
図3】非動作側の電力変換器にて損失負担させる場合の力行制御時の電源システムの状態を示す図である。
図4】非動作側の電力変換器にて損失負担させる場合の回生制御時のリアクトル電流の時間変化を示す図である。
図5】非動作側の電力変換器にて損失負担させる場合の回生制御時の電源システムの状態を示す図である。
図6】連結素子にて損失負担させる場合の力行制御時のリアクトル電流の時間変化を示す図である。
図7】連結素子にて損失負担させる場合の力行制御時の電源システムの状態を示す図である。
図8】連結素子にて損失負担させる場合の回生制御時のリアクトル電流の時間変化を示す図である。
図9】連結素子にて損失負担させる場合の回生制御時の電源システムの状態を示す図である。
図10】従来の電源システム制御における各素子の温度変化を示す図である。
図11】本発明の実施の形態の電源システム制御における各素子の温度変化を示す図である。
図12】本発明の実施の形態における電源システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態における電源システム100は、図1に示すように、直流電源10(10a,10b)、第1電力変換器12、第2電力変換器14及び連結素子16を含んで構成される。電源システム100には、負荷102が接続される。負荷102は、例えば、回転電機(モータ・ジェネレータ)等とすることができる。
【0011】
第1電力変換器12及び第2電力変換器14の少なくとも1つを介して直流電源10a及び直流電源10bの少なくとも1つから負荷102へと電力が供給される(力行)。また、第1電力変換器12及び第2電力変換器14の少なくとも1つを介して負荷102から直流電源10a及び直流電源10bの少なくとも1つへ電力が回収される(回生)。
【0012】
なお、第1電力変換器12及び第2電力変換器14と負荷102との間に直流−交流変換を行うためのインバータ等を設けた構成としてもよい。
【0013】
直流電源10(10a,10b)は、充放電が可能な蓄電手段を含んで構成される。直流電源10は、例えば、二次電池や電気二重層キャパシタ等とすることができる。
【0014】
第1電力変換器12は、直流電源10aの電力変換を行う回路を含んで構成される。すなわち、直流電源10aの出力電圧を昇圧して負荷102へ供給すると共に、負荷102からの電力の電圧を降圧して直流電源10aへ回生する。第1電力変換器12は、上アーム12a、下アーム12b及びリアクトル12cを含んで構成される。上アーム12aは、上アーム側スイッチング素子12dと帰還ダイオード12eとが並列に接続されている。下アーム12bは、下アーム側スイッチング素子12fと帰還ダイオード12gとが並列に接続されている。上アーム12aと下アーム12bとは直列に接続され、その両端に負荷102が接続される。また、上アーム12aと下アーム12bとの接続点C1にリアクトル12cを介して直流電源10aに接続される。
【0015】
第2電力変換器14は、直流電源10bの電力変換を行う回路を含んで構成される。すなわち、直流電源10bの出力電圧を昇圧して負荷102へ供給すると共に、負荷102からの電力の電圧を降圧して直流電源10bへ回生する。第2電力変換器14は、上アーム14a、下アーム14b及びリアクトル14cを含んで構成される。上アーム14aは、上アーム側スイッチング素子14dと帰還ダイオード14eとが並列に接続されている。下アーム14bは、下アーム側スイッチング素子14fと帰還ダイオード14gとが並列に接続されている。上アーム14aと下アーム14bとは直列に接続され、その両端に負荷102が接続される。また、上アーム14aと下アーム14bとの接続点C2にリアクトル14cを介して直流電源10bに接続される。
【0016】
連結素子16は、接続点C1と接続点C2との間に接続されるスイッチング素子である。連結素子16は、双方向スイッチング素子、すなわちオン時において接続点C1から接続点C2への電流及び接続点C2から接続点C1への電流に対していずれも低い抵抗値となり、オフ時において接続点C1と接続点C2との両側に対して耐圧性を有する素子とすることが好適である。
【0017】
本実施の形態における電源システム100では、連結素子16を備えることによって、第1電力変換器12のみならず、第2電力変換器14を介して、直流電源10aの出力電圧を昇圧して負荷102へ供給すると共に、負荷102からの電力の電圧を降圧して直流電源10aへ回生することができる。また、第2電力変換器14のみならず、第1電力変換器12を介して、直流電源10bの出力電圧を昇圧して負荷102へ供給すると共に、負荷102からの電力の電圧を降圧して直流電源10bへ回生することができる。
【0018】
電源システム100は、外部の制御部(図示しない)によって制御される。制御部は、第1電力変換器12、第2電力変換器14及び連結素子16に含まれるスイッチング素子の開閉制御を行う。制御部は、マイクロコンピュータ等を含んで構成される。制御部による制御については後述する。
【0019】
[非動作側の電力変換器による損失負担(力行時)]
以下、図2及び図3を参照しつつ、直流電源10aから負荷102へ電力を供給する力行時における電源システム100の制御について説明する。図2は、動作側である直流電源10aに繋がるリアクトル12cを流れるリアクトル電流及び非動作側である直流電源10bに繋がるリアクトル14cを流れるリアクトル電流の時間変化を示す。図3は、各タイミングにおける電源システム100に含まれる各スイッチング素子の開閉状況及び電流の状態を示す図である。
【0020】
時刻t1では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態(導通状態)とされ、上アーム側スイッチング素子12d、上アーム側スイッチング素子14d、下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16はオフ状態(非導通状態)とされる。これにより、第1電力変換器12のリアクトル12cを流れるリアクトル電流が徐々に増加する。
【0021】
時刻t2では、下アーム側スイッチング素子12fをオフ状態とする前に、連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0022】
時刻t3では、下アーム側スイッチング素子12fがオフ状態とされる。これにより、直流電源10aからの電流は下アーム側スイッチング素子14fを迂回して流れることになる。この迂回経路によって、下アーム側スイッチング素子12fの端子間電圧は0であり、下アーム側スイッチング素子12fのオフ動作では無損失である。
【0023】
時刻t4では、下アーム側スイッチング素子14fをオフ状態とし、上アーム側スイッチング素子14dをオン状態とする。これにより、下アーム側スイッチング素子14fを流れる電流が断たれ、直流電源10bから帰還ダイオード14eを介して負荷102へ電流が流れる。これにより、下アーム側スイッチング素子14fにターンオフ損失が発生する。一方、直流電源10aからは帰還ダイオード12eを介して負荷102へ電流が流れる。
【0024】
時刻t5では、上アーム側スイッチング素子12dがオン状態とされる。直流電源10aから上アーム側スイッチング素子12d及び帰還ダイオード12eを介して負荷102へ電流が流れる。ただし、直流電源10bからの電流は帰還ダイオード14eを介して既に流れているので、この制御は省略してもよい。
【0025】
時刻t6では、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオフ状態とされる。これにより、直流電源10bからの電流が停止される。
【0026】
時刻t7では、上アーム側スイッチング素子12dをオフ状態とする前に、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0027】
時刻t8では、上アーム側スイッチング素子12dがオフ状態とされる。ただし、直流電源10aからの電流は帰還ダイオード12eを流れ続けるので、電流の状態は変化しない。
【0028】
時刻t9では、上アーム側スイッチング素子14dをオフ状態とし、下アーム側スイッチング素子14fをオン状態とする。これにより、下アーム側スイッチング素子14fに電流が流れ始め、下アーム側スイッチング素子14fに僅かなターンオン損失が発生する。
【0029】
時刻t10では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態とされる。あらかじめ連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fがオン状態とされているので下アーム側スイッチング素子12fの端子間電圧は0であり、下アーム側スイッチング素子12fのオン動作では無損失である。
【0030】
時刻t11では、連結素子16及び下アーム側スイッチング素子14fがオフ状態とされる。
【0031】
上記時刻t1〜t11の制御を繰り返すことにより直流電源10aから負荷102へ電力を供給する力行制御を実現することができる。このとき、第2電力変換器14及び連結素子16を含めて制御することによって、状態変化に伴う電力損失を動作側の第1電力変換器12のみならず、非動作側の第2電力変換器14にも負担させることができる。これにより、動作側の第1電力変換器12のみならず、非動作側の第2電力変換器14にも発熱の負担を分担することができ、電源システム100から負荷102へ供給できる最大電力を高めることができる。
【0032】
[非動作側の電力変換器による損失負担(回生時)]
以下、図4及び図5を参照しつつ、負荷102から直流電源10aへ電力を回収する回生時における電源システム100の制御について説明する。図4は、動作側である直流電源10aに繋がるリアクトル12cを流れるリアクトル電流及び非動作側である直流電源10bに繋がるリアクトル14cを流れるリアクトル電流の時間変化を示す。図5は、各タイミングにおける電源システム100に含まれる各スイッチング素子の開閉状況及び電流の状態を示す図である。
【0033】
時刻t1では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態(導通状態)とされ、上アーム側スイッチング素子12d、上アーム側スイッチング素子14d、下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16はオフ状態(非導通状態)とされる。これにより、第1電力変換器12のリアクトル12cを流れるリアクトル電流が徐々に増加する。
【0034】
時刻t2では、下アーム側スイッチング素子12fをオフ状態とする前に、連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0035】
時刻t3では、下アーム側スイッチング素子12fがオフ状態とされる。このとき、下アーム側スイッチング素子12fの端子間電圧は0であり、下アーム側スイッチング素子12fのオフ動作では無損失である。
【0036】
時刻t4では、下アーム側スイッチング素子14fをオフ状態とし、上アーム側スイッチング素子14dをオン状態とする。これにより、下アーム側スイッチング素子14fを流れる電流が断たれ、直流電源10bから上アーム側スイッチング素子14dを介して負荷102へ電流が流れると共に、負荷102から直流電源10aに回生電流が流れる。これにより、上アーム側スイッチング素子14dにターンオン損失が発生する。
【0037】
時刻t5では、上アーム側スイッチング素子12dがオン状態とされる。負荷102から上アーム側スイッチング素子12dを介して直流電源10aへ回生電流が流れる。ただし、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dがオン状態に維持されているので、上アーム側スイッチング素子12dの端子間電圧は0であり、上アーム側スイッチング素子12dでのターンオン損失は発生しない。
【0038】
時刻t6では、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオフ状態とされる。これにより、直流電源10bからの電流が停止される。
【0039】
時刻t7では、上アーム側スイッチング素子12dをオフ状態とする前に、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0040】
時刻t8では、上アーム側スイッチング素子12dがオフ状態とされる。これにより、上アーム側スイッチング素子12dを流れる電流が断たれ、負荷102から上アーム側スイッチング素子14dを介して直流電源10aへ回生電流が流れるようになる。ただし、上アーム側スイッチング素子12dの端子間電圧は0であり、上アーム側スイッチング素子12dのターンオフ損失は発生しない。
【0041】
時刻t9では、上アーム側スイッチング素子14dをオフ状態とし、下アーム側スイッチング素子14fをオン状態とする。このとき、上アーム側スイッチング素子14dにターンオフ損失が発生する。
【0042】
時刻t10では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態とされる。電流は、帰還ダイオード12gを流れるので、下アーム側スイッチング素子12fのターンオン損失は発生しない。ただし、この制御は省略してもよい。
【0043】
時刻t11では、連結素子16及び下アーム側スイッチング素子14fがオフ状態とされる。
【0044】
上記時刻t1〜t11の制御を繰り返すことにより負荷102からへ電力を回収する回生制御を実現することができる。このとき、第2電力変換器14及び連結素子16を含めて制御することによって、状態変化に伴う電力損失を動作側の第1電力変換器12のみならず、非動作側の第2電力変換器14にも負担させることができる。これにより、動作側の第1電力変換器12のみならず、非動作側の第2電力変換器14にも発熱の負担を分担することができ、負荷102から電源システム100へ回収できる最大電力を高めることができる。
【0045】
[連結素子による損失負担(力行時)]
以下、図6及び図7を参照しつつ、直流電源10aから負荷102へ電力を供給する力行時における電源システム100の制御について説明する。図6は、動作側である直流電源10aに繋がるリアクトル12cを流れるリアクトル電流及び非動作側である直流電源10bに繋がるリアクトル14cを流れるリアクトル電流の時間変化を示す。図7は、各タイミングにおける電源システム100に含まれる各スイッチング素子の開閉状況及び電流の状態を示す図である。
【0046】
時刻t1では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態(導通状態)とされ、上アーム側スイッチング素子12d、上アーム側スイッチング素子14d、下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16はオフ状態(非導通状態)とされる。これにより、第1電力変換器12のリアクトル12cを流れるリアクトル電流が徐々に増加する。
【0047】
時刻t2では、下アーム側スイッチング素子12fをオフ状態とする前に、連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0048】
時刻t3では、下アーム側スイッチング素子12fがオフ状態とされる。これにより、直流電源10aからの電流は下アーム側スイッチング素子14fを迂回して流れることになる。この迂回経路によって、下アーム側スイッチング素子12fの端子間電圧は0であり、下アーム側スイッチング素子12fのオフ動作では無損失である。
【0049】
時刻t4では、連結素子16をオフ状態とする。このとき、連結素子16にターンオフ損失が発生する。また、直流電源10aからは帰還ダイオード12eを介して負荷102へ電流が流れる。
【0050】
時刻t5では、下アーム側スイッチング素子14fをオフ状態とし、上アーム側スイッチング素子14dをオン状態とする。これにより、下アーム側スイッチング素子14fを流れる電流が断たれ、直流電源10bから上アーム側スイッチング素子14dを介して負荷102へ電流が流れる。これにより、下アーム側スイッチング素子14fに僅かなターンオフ損失が発生する。
【0051】
時刻t6では、連結素子16がオン状態とされる。続いて、時刻t7では、上アーム側スイッチング素子12dがオン状態とされる。直流電源10aから上アーム側スイッチング素子12d及び帰還ダイオード12eを介して負荷102へ電流が流れる。ただし、直流電源10bからの電流は帰還ダイオード14eを介して既に流れているので、時刻t5〜時刻t7の制御は省略してもよい。
【0052】
時刻t8では、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオフ状態とされる。これにより、直流電源10bからの電流が停止される。
【0053】
時刻t9では、上アーム側スイッチング素子12dをオフ状態とする前に、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0054】
時刻t10では、上アーム側スイッチング素子12dがオフ状態とされる。ただし、直流電源10aからの電流は帰還ダイオード12eを流れ続けるので、電流の状態は変化しない。
【0055】
時刻t11では、連結素子16をオフ状態とする。時刻t12では、上アーム側スイッチング素子14dをオフ状態とし、下アーム側スイッチング素子14fをオン状態とする。このとき、リアクトル14cを流れるリアクトル電流が遮断されるので上アーム側スイッチング素子14dにおいて僅かなターンオフ損失が発生する。
【0056】
時刻t13では、連結素子16をオン状態とする。直流電源10aからの電流は下アーム側スイッチング素子14fを迂回して流れることになる。このとき、連結素子16においてターンオン損失が発生する。
【0057】
時刻t14では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態とされる。あらかじめ連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fがオン状態とされているので下アーム側スイッチング素子12fの端子間電圧は0であり、下アーム側スイッチング素子12fのオン動作では無損失である。
【0058】
時刻t15では、連結素子16及び下アーム側スイッチング素子14fがオフ状態とされる。
【0059】
上記時刻t1〜t15の制御を繰り返すことにより直流電源10aから負荷102へ電力を供給する力行制御を実現することができる。このとき、第2電力変換器14及び連結素子16を含めて制御することによって、状態変化に伴う電力損失を動作側の第1電力変換器12のみならず、連結素子16にも負担させることができる。これにより、動作側の第1電力変換器12のみならず、連結素子16にも発熱の負担を分担することができ、電源システム100から負荷102へ供給できる最大電力を高めることができる。
【0060】
[連結素子による損失負担(回生時)]
以下、図8及び図9を参照しつつ、負荷102から直流電源10aへ電力を回収する回生時における電源システム100の制御について説明する。図8は、動作側である直流電源10aに繋がるリアクトル12cを流れるリアクトル電流及び非動作側である直流電源10bに繋がるリアクトル14cを流れるリアクトル電流の時間変化を示す。図9は、各タイミングにおける電源システム100に含まれる各スイッチング素子の開閉状況及び電流の状態を示す図である。
【0061】
時刻t1では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態(導通状態)とされ、上アーム側スイッチング素子12d、上アーム側スイッチング素子14d、下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16はオフ状態(非導通状態)とされる。これにより、第1電力変換器12のリアクトル12cを流れるリアクトル電流が徐々に増加する。
【0062】
時刻t2では、下アーム側スイッチング素子12fをオフ状態とする前に、連結素子16と下アーム側スイッチング素子14fとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0063】
時刻t3では、下アーム側スイッチング素子12fがオフ状態とされる。このとき、リアクトル12cを流れる電流は帰還ダイオード12gを介して流れているため、下アーム側スイッチング素子12fのオフ動作ではターンオフ損失は発生しない。
【0064】
時刻t4では、連結素子16をオフ状態とする。ただし、この制御は省略してもよい。
【0065】
時刻t5では、下アーム側スイッチング素子14fをオフ状態とし、上アーム側スイッチング素子14dをオン状態とする。これにより、下アーム側スイッチング素子14fを流れる電流が断たれ、直流電源10bから上アーム側スイッチング素子14dを介して負荷102へ電流が流れる。これにより、下アーム側スイッチング素子14fに僅かなターンオフ損失が発生する。
【0066】
時刻t6では、連結素子16がオン状態とされる。このとき、連結素子16においてターンオン損失が発生する。
【0067】
時刻t7では、上アーム側スイッチング素子12dがオン状態とされる。負荷102から上アーム側スイッチング素子12dを介して直流電源10aへ電流が流れる。ただし、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dからなる迂回経路がオン状態とされているので、上アーム側スイッチング素子12dの端子間電圧は0であり、上アーム側スイッチング素子12dにおいてターンオン損失は発生しない。
【0068】
時刻t8では、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオフ状態とされる。これにより、直流電源10bからの電流が停止される。
【0069】
時刻t9では、上アーム側スイッチング素子14dをオフ状態とする前に、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dとがオン状態とされる。これにより、第2電力変換器14のリアクトル14cに副作用的に僅かなリアクトル電流が流れ始める。
【0070】
時刻t10では、上アーム側スイッチング素子12dがオフ状態とされる。ただし、連結素子16と上アーム側スイッチング素子14dからなる迂回経路がオン状態とされているので、上アーム側スイッチング素子12dの端子間電圧は0であり、上アーム側スイッチング素子12dにおいてターンオフ損失は発生しない。
【0071】
時刻t11では、連結素子16をオフ状態とする。このとき、連結素子16においてターンオフ損失が発生する。
【0072】
時刻t12では、上アーム側スイッチング素子14dをオフ状態とし、下アーム側スイッチング素子14fをオン状態とする。このとき、リアクトル14cを流れるリアクトル電流が遮断されるので、上アーム側スイッチング素子14dにおいて僅かなターンオフ損失が発生する。
【0073】
時刻t13では、連結素子16をオン状態とする。続いて、時刻t14では、下アーム側スイッチング素子12fがオン状態とされる。ただし、リアクトル12cを流れるリアクトル電流は帰還ダイオード12gを介して流れているため、下アーム側スイッチング素子12fのオン動作によるターンオン損失は発生しない。なお、時刻t12〜t14の制御は省略してもよい。
【0074】
時刻t15では、連結素子16及び下アーム側スイッチング素子14fがオフ状態とされる。
【0075】
上記時刻t1〜t15の制御を繰り返すことにより負荷102から直流電源10aへ電力を回収する回生制御を実現することができる。このとき、第2電力変換器14及び連結素子16を含めて制御することによって、状態変化に伴う電力損失を動作側の第1電力変換器12のみならず、連結素子16にも負担させることができる。これにより、動作側の第1電力変換器12のみならず、連結素子16にも発熱の負担を分担することができ、負荷102から電源システム100へ回収できる最大電力を高めることができる。
【0076】
[スイッチング損失による素子の温度上昇制御]
図10は、力行時における従来のスイッチング制御による第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12f、第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14f、及び連結素子16の素子温度の時間変化を示す。
【0077】
図10に示されるように、従来のスイッチング制御では動作側の第1電力変換器12のみを用いて力行制御が行われるので、下アーム側スイッチング素子12fの温度のみが時間経過と共に上昇し、下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16の温度は上昇しない。したがって、加熱負荷が下アーム側スイッチング素子12fのみに掛かり、電源システム100から供給できる最大電力は動作側の第1電力変換器12の発熱許容量に依存することになっていた。
【0078】
図11は、本実施の形態におけるスイッチング制御を適用したときの第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12f、第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14f、及び連結素子16の素子温度の時間変化を示す。
【0079】
ここでは、動作側の第1電力変換器12、非動作側の第2電力変換器14及び連結素子16における温度上昇が分散されるように、従来の第2電力変換器14及び連結素子16を使用しない力行制御(期間T1)と、非動作側の第2電力変換器14にて損失を負担する力行制御(期間T2)と、連結素子16にて損失を負担する力行制御(期間T3)と、を時間的に切り替える制御を繰り返す。繰り返しの周期(T1+T2+T3)は、例えば、数100ms程度にすればよい。
【0080】
これによって、図11に示されるように、従来の第2電力変換器14及び連結素子16を使用しない力行制御(期間T1)では、動作側の第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12fの温度が上昇し、非動作側の第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14f及び連結素子16の温度は低下する。また、非動作側の第2電力変換器14にて損失を負担する力行制御(期間T2)では、非動作側の第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14fの温度が上昇し、動作側の第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12f及び連結素子16の温度は低下する。また、連結素子16にて損失を負担する力行制御(期間T3)では、連結素子16の温度が上昇し、動作側の第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12f及び非動作側の第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14fの温度は低下する。このようにして、第1電力変換器12の下アーム側スイッチング素子12f、第2電力変換器14の下アーム側スイッチング素子14f、及び連結素子16の素子温度が均等化される。
【0081】
以上のように、電源システム100において、第1電力変換器12、第2電力変換器14及び連結素子16のスイッチング素子の発熱の負担を制御し、力行時における最大供給電力を向上させることができる。また、回生時においても、従来の第2電力変換器14及び連結素子16を使用しない回生制御(期間T1)と、非動作側の第2電力変換器14にて損失を負担する回生制御(期間T2)と、連結素子16にて損失を負担する回生制御(期間T3)と、を時間的に切り替える制御を繰り返せばよい。
【0082】
なお、本実施の形態では、第1電力変換器12、第2電力変換器14及び連結素子16のスイッチング素子の発熱の負担を均等化する例を示したが、各スイッチング素子の許容熱容量が異なる場合、許容熱容量が大きい素子に許容熱容量が小さい素子より熱負荷が大きく掛かるように制御してもよい。例えば、力行制御又は回生制御において上記期間T1〜T2のデューティ比を不均等にして、許容熱容量が大きい素子の温度の上昇期間を長くし、許容熱容量が小さい素子の温度の上昇期間を短くすればよい。
【0083】
また、本実施の形態では、第1電力変換器12、第2電力変換器14及び連結素子16のスイッチング素子のそれぞれにおいて発熱の負担を分担したが、いずれか2つに含まれるスイッチング素子に発熱を分担させるようにしてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、下アーム側スイッチング素子14fに並列に直流電源10bを接続した構成としたが、図12に示すように、上アーム側スイッチング素子14dに並列に直流電源10bを接続した電源システム104としてもよい。この場合、副作用的に流れる非動作側のリアクトル電流の向きが反転すること以外は制御方法及び作用・効果は上記実施の形態と同様である。また、下アーム側スイッチング素子12fに並列に直流電源10aを接続した構成としたが、上アーム側スイッチング素子12dに並列に直流電源10aを接続した構成としてもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、直流電源10a及び直流電源10bにそれぞれ第1電力変換器12及び第2電力変換器14を接続した構成を示したが、3つ以上の電源及び電力変換器を有する構成としてもよい。この場合も、各電力変換器を連結素子で接続し、力行制御時又は回生制御時において連結素子をオン状態(導通状態)とすることによって電力損失を複数の電力変換器又は連結素子に負担させることができる。
【符号の説明】
【0086】
10(10a,10b) 直流電源、12 第1電力変換器、12a 上アーム、12b 下アーム、12c リアクトル、12d 上アーム側スイッチング素子、12e 帰還ダイオード、12f 下アーム側スイッチング素子、12g 帰還ダイオード、14 第2電力変換器、14a 上アーム、14b 下アーム、14c リアクトル、14d 上アーム側スイッチング素子、14e 帰還ダイオード、14f 下アーム側スイッチング素子、14g 帰還ダイオード、16 連結素子、100,104 電源システム、102 負荷。
図1
図2
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図10
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図12