【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造1は、
繰返し荷重が作用する第1部材21と、
第1部材21に接合部で接合されて第1部材21を支持する第2部材10とを有し、
(b)第2部材10の厚さ方向(
図9の左右方向)の両側に設けられる一対の補強部材26と、
押付け装置30と、
固定部材17、17a、19、19aとを準備し、
(b1)各補強部材26は、
第1部材21の第2部材10に臨む面27に配置される当接支持部28と、
当接支持部28に連なり、前記面27から第2部材10に沿って遠ざかる方向(
図9の下方向)に、第2部材10の途中(
図9の上下方向の途中)まで延び、前記面27から異なる距離に(
図9の上下に)形成される第1挿通孔39b、および第2挿通孔39a、39cを有する取付け部29とを有し、
第2挿通孔39a、39cには、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能であり、
(b2)押付け装置30は、
一対の細長い第1および第2連結部41、46と、
第2部材10の厚さ方向の一方側(
図7〜9の左方)で、第1連結部41の一端部と第2連結部46の一端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部41の一端部と第2連結部46の一端部とを相互に離間方向(
図7〜9の上下方向)に変位駆動する第1ねじ棒44aと、
第2部材10の厚さ方向の他方側(
図7〜9の右方)で、第1連結部41の他端部と第2連結部46の他端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部41の他端部と第2連結部46の他端部とを相互に離間方向(
図7〜9の上下方向)に変位駆動する第2ねじ棒44bとを有し、
第1連結部41は、第1挿通孔39bに挿通可能であり、
(c)第2部材10に、
第1挿通孔39bに対応する位置で、第1連結部41が挿通可能な第3挿通孔37bを形成し、
第2挿通孔39a、39cに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第4挿通孔37a、37cを形成するとともに、
前記面27から第2部材10に沿って取付け部29よりも遠ざかった(すなわち、
図9の下方の)位置で、第2連結部46が挿通可能な第5挿通孔35を形成し、
前記面27に補強部材26の当接支持部28が当接している状態では、補強部材26の第1挿通孔39bを規定する内周面の、第1部材21の第2部材10に臨む前記面27に最も近い部分(
図9の最上部)39b1は、第2部材10の第3挿通孔37bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分(
図9の最上部)よりも、第1部材21の第2部材10に臨む前記面27から遠ざかって(すなわち、
図9の下方に)突出するように取り付けられ、
(d)押付け装置30の第1連結部41を、第1挿通孔37bおよび第3挿通孔39bに挿通し、
第2連結部46を、第5挿通孔35に挿通し、
第1および第2ねじ棒42a、42bを前記回転駆動して、第1および第2連結部41、46を相互に離間方向(
図9の上下方向)に変位駆動することによって、第2連結部46を、第2部材10の第5挿通孔35を規定する内周面の前記面27から最も遠い部分(
図9の最下部)に支持して、第1連結部41によって、取付け部29の第1挿通孔39bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分(
図9の最上部)39b1を、前記面27に向けて押して(
図9では、押上げて)、第1部材21の前記面27に補強部材26の当接支持部28を押付けて当接させた状態とし、
(e)前記面27に当接支持部28を押付けて当接させた状態で、第2挿通孔39a、39cと第4挿通孔37a、37cとに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、第2部材10に取付け部29を固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法である。
【0009】
本発明は、
第1部材21は、主桁上フランジ21であり、
第2部材10は、主桁上フランジ21と、主桁ウェブ23と、主桁下フランジ22とに取付けられる垂直補剛材10であることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の補強・補修方法である。
【0010】
本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造は、
主桁上フランジ21、主桁ウェブ23、および横桁上フランジ31にウェブギャップ板9が溶接によって接合されて構成され、
(b)ウェブギャップ板9の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材26a、タッピングボルト54、および固定部材17、17a、18、18aを準備し、
(b1)各補強部材26aは、
主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27に沿って配置され、タッピングボルト54が挿通する遊通孔51が形成される当接支持部28a、および
当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って配置され、固定部材17、17a、18、18aが挿通可能な第1挿通孔39a、39bが形成される取付け部29aを備え、
当接支持部28aおよび取付け部29aが屈曲してL字状に形成され、
(b2)タッピングボルト54は、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
(c)ウェブギャップ板9に、第1挿通孔39a、39bに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第2挿通孔37a、37bを形成し、
(d)主桁上フランジ21に、当接支持部28aの遊通孔51に対応する位置で、タッピングボルト54をねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴50を形成し、
(e)タッピングボルト54のボルト軸部を、遊通孔51を挿通して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合され、これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む面27に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一(
図12、
図13)であり、
(f)第1挿通孔39a、39b、および第2挿通孔37a、37bに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、ウェブギャップ板9に取付け部29aを固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法である。
【0011】
また本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造は、
主桁上フランジ21、主桁ウェブ23、および横桁上フランジ31にウェブギャップ板9が溶接によって接合されて構成され、
(b)ウェブギャップ板の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材26aを有し、
(b1)各補強部材26aは、
主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27に沿って配置され、タッピングボルト54が挿通する遊通孔51が形成される当接支持部28a、および
当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って配置され、固定部材17、17a、18、18aが挿通可能な第1挿通孔39a、39bが形成される取付け部29aを備え、
当接支持部28aおよび取付け部29aが屈曲してL字状に形成され、
(b2)タッピングボルト54は、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
(c)ウェブギャップ板9に、第1挿通孔39a、39bに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第2挿通孔37a、37bが形成され、
(d)主桁上フランジ21に、当接支持部28aの遊通孔51に対応する位置で、タッピングボルト54をねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴51が形成され、
タッピングボルト54のボルト軸部を、遊通孔51に挿入して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合され、これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む面27に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一(
図12、
図13)であり、
(e)第1挿通孔39a、39b、および第2挿通孔37a、37bに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、ウェブギャップ板9に取付け部29aを固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修構造である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の鋼構造物の補強・補修方法によれば、
一対の補強部材26は、た
とえば主桁上フランジ21である第1部材の
、たとえば垂直補剛材10である第2部材に臨む面27に配置される当接支持部28と、当接支持部28に連なり、第2部材に沿って延びる取付け部29とを有する。この補強部材は、固定部材
17、17a、19、19aによって、当接支持部が第1部材の第2部材に臨む面27に押付けられて当接し、この状態で、取付け部29が第2部材に固定され、第1部材と第2部材との接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部を補強部材が負荷するように構成されるので、補強部材を第1部材および第2部材に固定部材を用いて容易に取付け、接合部の亀裂の進展を防ぎ、亀裂発生箇所を補強および補修することができる。
【0020】
このような補強部材の取付け作業は、
押付け装置30によって、補強部材の当接支持部を第1部材の前記面27に押付けて当接させた状態とし、取付け部を固定部材によって第2部材に固定すればよいので、第1部材および第2部材に対して補強部材を取付ける側から行なうことができ、前記従来技術のように、第1部材を
主桁上フランジとし、第2部材を垂直補剛材やウェブギャップ板としたとき、コンクリート床版などの床組や舗装を撤去する必要がなく、床組の下方の空間で補強部材の取付け作業を行なうことができる。したがって、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、車両や歩行者の通行を制限または停止せずに、実施することができる。
【0021】
また本発明によれば、補強部材26aは、当接支持部28aと取付け部29aとが屈曲して
L字状に連なった構成であり、当接支持部28aには遊通孔51が穿設され、
主桁上フランジ21である第1部材には下穴50が形成されるので、遊通孔51が下穴50上に配置されるように、補強部材26aを
主桁上フランジ21である第1部材に位置決めした状態で、タッピングボルト54のボルト軸部を遊通孔51に挿入して、
下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、タッピングボルト54を締付けることによって、
主桁上フランジ21である第1部材に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合される。これによって、補強部材26aの当接支持部28aを
主桁上フランジ21である第1部材の、
ウエブギャップ板9である第2部材に臨む面27に押付けて当接させた状態とすることができ、
図12、図13に明らかに示されるとおり、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一であり、補強部材26aの
主桁上フランジ21である第1部材への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。