特許第6445045号(P6445045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6445045ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445045
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 13/26 20060101AFI20181217BHJP
   C08G 73/14 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   D21H13/26
   C08G73/14
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-564363(P2016-564363)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2017-508081(P2017-508081A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2014075473
(87)【国際公開番号】WO2015106498
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】201410025194.0
(32)【優先日】2014年1月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515086975
【氏名又は名称】江▲蘇▼巨▲賢▼合成材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU JUXIAN SYNTHETIC MATERIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】李文彬
(72)【発明者】
【氏名】毛志平
(72)【発明者】
【氏名】易▲沢▼雄
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−096528(JP,A)
【文献】 特開昭63−051431(JP,A)
【文献】 特開昭63−017933(JP,A)
【文献】 特開昭58−136653(JP,A)
【文献】 特開昭61−157532(JP,A)
【文献】 特開昭57−183499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00−73/26
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法において、具体的なステップとして、
ジアミンモノマーと無水トリメリット酸クロリドとを非プロトン極性溶媒中で触媒の作用により反応させてポリアミド酸ポリマーを得た後に、加熱を伴わない化学的環化脱水によりポリアミドイミドポリマー溶液を得る第一ステップと、
前記ポリアミドイミドポリマー溶液を希釈し、希釈後の前記ポリアミドイミドポリマー溶液と沈殿液とを沈殿機に加え、攪拌してポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る第二ステップと、
前記ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を洗浄し、ろ過、乾燥して、ポリアミドイミドファイブリッドを得る第三ステップと、
を含み、
得られる前記ポリアミドイミドファイブリッドの平均長さは、0.2〜10.0mmであることを特徴とする、ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項2】
前記化学的環化脱水の具体的なステップとして、無水酢酸を加えて攪拌し、前記ポリアミドイミドポリマー溶液を得ることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項3】
前記第一ステップにおいて、非プロトン極性溶媒、ジアミンモノマー、無水トリメリット酸クロリド、触媒、無水酢酸の重量比が150:15〜40:15〜40:5〜10:5〜15であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項4】
前記ジアミンモノマーはHN−R−NHの構造を有し、Rは芳香族基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項5】
前記ジアミンモノマーは、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチルベンジジン、2,2'−ジメチルベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、2,2'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノジフェニル、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4'−ジチオジフェニルアミン、4,4'−メチレンジフェニルアミン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、および4,4'−ジアミノ−4''−ヒドロキシトリフェニルメタンのうちの一種または二種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項6】
前記第一ステップで得られたポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は8〜40%であり、固有粘度は1〜15dL/gであり、第二ステップにおける希釈後のポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は2〜30%であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項7】
前記第二ステップにおける沈殿液は、2〜3重量部の水、5〜8重量部のNMP、および1〜2重量部の塩化カルシウムからなることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項8】
前記第二ステップにおける攪拌速度は1000〜7000rpmであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項9】
前記第二ステップにおけるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液の質量濃度は0.1〜15%であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。
【請求項10】
得られたポリアミドイミドファイブリッドの比表面積は10〜70m/gであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミドイミドファイブリッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高機能紙は、高強度、高弾性、軽量性、耐熱性、絶縁性、難燃性、耐化学腐食性、耐放射線性、耐疲労性、および良好な寸法安定性などの優れた性能を有する材料であり、耐高温絶縁材料、電子材料、構造材料に広く用いられ、電力、電子、運輸などの分野において益々広く用いられるようになっている。高機能紙は、重要な戦略的物資およびハイテク材料として、米国、日本、ロシアなどの先進国が常に競争を繰り広げている研究の焦点である。高機能紙は、主に芳香族アミドポリマー(芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド)により製造されてなり、このようなポリマーにより製造された紙ベースの複合材料は、強い機械的性能、優れた誘電特性および柔軟なデザイン性を有する。現在、市場における高機能紙は、主に芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)をベース材料として製造され、メタ系またはパラ系の芳香族合成紙に分けられる。例えば、米国のデュポン社のメタ系アラミド紙(商品名NOMEX)とパラ系アラミド紙(商品名KEVLAR)がある。
【0003】
国外の迅速な発展に比べ、中国国内では高機能紙の研究が非常に遅れており、現在、高価な輸入材料の輸入に完全に依存して需要を満たしている。遅れの主な原因は、一つにはパルプなどの重要な原材料の生産技術が遅れているためであり、他の原因としては、当該技術は製紙、材料、表面化学、電磁気学などの多くの専門分野にわたるものであるが、中国国内では関連の研究がまだ行われていないためである。パルプは高機能紙の最も基本的な原料として、紙の構造において間隙充填および接着作用を有し、最終的な紙の性能を決定付けるものであり、開発の主要技術はその形態の制御と軟質特性にある。パルプの製造方法は主に二種類に分類され、一つはポリマーの溶液にせん断力を作用させて直接製造するものであって、得られるものはファイブリッド(fibrid)と称し、例えばメタ系アラミドである。もう一つはポリマーを紡糸して切断し、短繊維を研磨することにより製造されるものであって、得られるものは、例えばパラ系アラミドである。二種類のパルプの製造を比較すると、第一の方法は比較的簡便で、生成物の構造を制御しやすく、連続的な生産に適合するのに対して、第二の方法は設備に対する要求が高いと共に、設備の損耗が大きい。一般には第一の方法を採用して高分子のパルプを製造するが、一部のポリマーは通常の溶媒に溶解できないため、第二の方法を採用してそのパルプを製造するしかない。例えば、パラ系アラミドは濃硫酸のみに溶解可能であり、そのパルプは短繊維を研磨することにより製造される。
【0004】
ポリイミドとポリアミドイミドにはイミド基が存在するため、芳香族ポリアミド類ポリマーに比べて、より良好な化学的安定性と機械的強度を有し、それを用いて製造された高機能な紙ベースの材料にはより広い発展の余地がある。しかしながら、溶解性の問題により、ポリイミドとポリアミドイミドの二種類のポリマーは、いずれも叩解方法によってはそれぞれのファイブリッドを製造することができず、また当該繊維は生産が困難で、短繊維を研磨して得られるパルプは性能が劣り、高機能紙分野への適用には制限がある。メタ系アラミド紙が発明され使用され始めて50年以上経過したが、現在の市場における高機能紙は依然として芳香族ポリアミド類の紙が中心となっている。パルプ製造条件の制限により、ポリイミドおよびポリアミドイミドベースの高機能紙の性能は本来有している長所が具現化されていない。どのようにして、比較的簡便な方法により当該パルプを製造するかは、高機能繊維紙の発展に大きな影響を及ぼす。
【0005】
特許文献1にはポリイミド紙の製造方法が開示されており、その主な製造過程は、まず、ポリアミド酸溶液を湿式法で紡糸してポリアミド酸ファイブリッドを製造し、次いで湿式抄紙技術によりポリアミド酸の湿紙を得て、最後に化学的環化または熱的環化処理によりポリイミド紙を製造するというものである。当該方法ではポリアミド酸ファイブリッドが製造され、ポリイミドファイブリッドを直接製造することはできない。抄紙後にポリアミド酸を環化する必要があるため、この過程は大量の水の生成が伴い、絶縁紙の物理的、化学的性能を低下させると共に、生産工程が複雑になる。
【0006】
特許文献2には耐熱絶縁紙の製造方法が公開されており、すなわち、ポリイミド繊維を3〜12mmの短繊維に切断し、パルパーの作用下でそれを水中に均一に分散させ、パルプを製造した後、湿式抄紙技術を採用してポリイミド湿紙を製造している。しかしながら、ポリイミド繊維は強度と剛性が共に大きいため特殊な切断装置が必要となり、それを短繊維に切断およびフィブリル化する過程において、必然的に設備およびエネルギーが大きく消耗する。また、フィブリル化の叩解過程において繊維の表面が損傷し、パルプの性能に影響を及ぼすこととなる。
【0007】
2001年、日本の古川幹夫らが新規なポリイミド浸漬紙を発明した。かかるポリイミド浸漬紙の製造方法は、ポリアミド短繊維からなるシート状体をポリイミド前駆体の水溶液に浸漬させた後、加熱してポリイミドに転化させることにより、ポリイミド浸漬紙を得るというものである。しかしながら、当該方法においてはポリイミド前躯体が必ず水溶性であることが求められ、溶解度は3wt%を超えなければならないが、これは水に沈殿しやすいポリアミド酸については非常に困難なことであると共に、製紙後に依然として加熱環化する必要があり、紙の性能を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6294049号明細書
【特許文献2】特開第2003−96698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在のポリアミドイミドパルプの製造状況に対し、本発明は、高性能の繊維紙の製造に用いうるポリアミドイミドファイブリッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明はポリアミドイミドファイブリッドの製造方法を提供し、かかる製造方法は、具体的なステップとして、
ジアミンモノマーと無水トリメリット酸クロリドとを非プロトン極性溶媒中で触媒の作用により反応させてポリアミド酸ポリマーを得た後に、化学的環化脱水によりポリアミドイミドポリマー溶液を得る第一ステップと、
ポリアミドイミドポリマー溶液を希釈し、希釈後のポリアミドイミドポリマー溶液と沈殿液とを沈殿機に加え、攪拌してポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る第二ステップと、
ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を洗浄し、ろ過、乾燥して、ポリアミドイミドファイブリッドを得る第三ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記化学的環化脱水の具体的なステップは、無水酢酸を加えて攪拌し、ポリアミドイミドポリマー溶液を得るステップである。
【0012】
さらに好ましくは、前記第一ステップにおいて、非プロトン極性溶媒、ジアミンモノマー、無水トリメリット酸クロリド、触媒、無水酢酸の重量比が150:15〜40:15〜40:5〜10:5〜15である。
【0013】
好ましくは、前記ジアミンモノマーはHN−R−NHの構造を有し、Rは芳香族基である。
【0014】
さらに好ましくは、前記ジアミンモノマーは、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチルベンジジン、2,2'−ジメチルベンジジン、3,3'−ジクロロベンジジン、2,2'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、3,3'−ジメトキシベンジジン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノジフェニル、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4'−ジチオジフェニルアミン、4,4'−メチレンジフェニルアミン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、および4,4'−ジアミノ−4''−ヒドロキシトリフェニルメタンのうちの一種、または二種以上の混合物である。
【0015】
好ましくは、前記第一ステップで得られたポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は8〜40%であり、固有粘度は1〜15dL/gであり、第二ステップにおける希釈後のポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は2〜30%である。
【0016】
さらに好ましくは、前記第一ステップで得られたポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は8〜15%であり、固有粘度は4.2dL/gであり、第二ステップにおける希釈後のポリアミドイミドポリマー溶液の質量濃度は10%である。
【0017】
好ましくは、前記第二ステップにおける沈殿液は、2〜3重量部の水、5〜8重量部のNMP、および1〜2重量部の塩化カルシウムからなる。
【0018】
さらに好ましくは、前記第二ステップにおける沈殿液は、2重量部の水、7重量部のNMP、および1重量部の塩化カルシウムからなる。
【0019】
さらに好ましくは、前記第二ステップにおける希釈されたポリアミドイミドポリマー溶液と沈殿液との重量比が1:5〜20である。
【0020】
好ましくは、前記第二ステップにおける攪拌速度は1000〜7000rpmである。
【0021】
さらに好ましくは、前記第二ステップにおける攪拌速度は4000rpmである。
【0022】
好ましくは、前記第二ステップにおけるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液の質量濃度は0.1〜15%である。
【0023】
さらに好ましくは、前記第二ステップにおけるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液の質量濃度は0.8%である。
【0024】
本発明で得られたポリアミドイミドファイブリッドの平均長さは0.1〜10.0mmであり、比表面積は10〜70m/gである。
【0025】
好ましくは、本発明で得られたポリアミドイミドファイブリッドの平均長さは0.8mmであり、比表面積は55m/gである。
【0026】
本発明は、重合モノマー、触媒、重合条件を選択することにより、N−メチルピロリドンに溶解可能なポリアミドイミドポリマーを製造し、当該ポリマーが沈殿液中で強いせん断力の作用を受けて、高機能紙の製造に直接用いることができるポリアミドイミドファイブリッドが得られる。
【発明の効果】
【0027】
従来技術と比較して、本発明には以下の有益な効果がある:
本発明は、可溶性のポリアミドイミドスラリーを用いてファイブリッドを製造し、プロセスが簡単で、ファイブリッドのサイズと、形態の制御が容易であり、高機能紙に直接用いることができる。本発明は、ポリアミド酸またはポリアミド酸ファイブリッドを用いた製紙技術と比較して、熱環化過程が存在しないため、熱環化により生じた水蒸気が製品性能の低下を招くことを回避して、紡糸、切断、叩解などの工程を用いてポリイミドパルプを製造する製紙方法に比べて、製造過程において設備に対する要求が低く、エネルギー消耗が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の具体的な実施例を示して、本発明についてさらに説明する。これらの具体的な実施例は本発明をさらに説明するためのものにすぎず、本発明出願の「特許請求の範囲」の保護範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0029】
[実施例1]
ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法において、具体的なステップとして以下を含む。反応フラスコに150gのN−メチルピロリドン(NMP)、10gのp−フェニレンジアミン、10gの3,4'−ジアミノジフェニルエーテルを順に加え、攪拌して0℃まで降温させ、35gの無水トリメリット酸クロリドおよび触媒として10gのピリジンを加え、窒素ガスの保護下で24h反応させてポリアミド酸ポリマーを得て、10gの無水酢酸を加え、25℃下で20h攪拌して化学的環化脱水を行った後、質量濃度が15%であり、固有粘度が4.0dL/gであるポリアミドイミドポリマー溶液を得る。ポリアミドイミドポリマー溶液を質量濃度が6%になるまで希釈し、希釈後の10gのポリアミドイミドポリマー溶液と150gの沈殿液を同時に沈殿機に加える。前記沈殿液は、2重量部の水、6重量部のNMP、2重量部の塩化カルシウムからなる。攪拌速度を4500rpmに設定して2min攪拌し、質量濃度が1.5%であるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る。ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を水で洗浄し、ろ過、乾燥して、表面の毛羽が豊かなポリアミドイミドファイブリッドを得る。平均長さは1.4mmであり、比表面積は43m/gである。
【0030】
[実施例2]
ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法において、具体的なステップとして以下を含む。反応フラスコに150gのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、10gのm−フェニレンジアミン、5gの3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、5gの2,4−ジアミノトルエンを加え、攪拌して0℃まで降温させ、28gの無水トリメリット酸クロリドおよび触媒として7gのピリジンを加え、窒素ガスの保護下で24h反応させてポリアミド酸ポリマーを得て、5gの無水酢酸を加え、25℃下で20h攪拌して化学的環化脱水を行った後、質量濃度が20%であり、固有粘度が3.3dL/gであるポリアミドイミドポリマー溶液を得る。ポリアミドイミドポリマー溶液を質量濃度が10%になるまで希釈し、希釈後の10gのポリアミドイミドポリマー溶液と80gの沈殿液を同時に沈殿機に加える。前記沈殿液は、3重量部の水、5重量部のNMP、2重量部の塩化カルシウムからなる。攪拌速度を4000rpmに設定して0.5min攪拌し、質量濃度が1.0%であるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る。ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を水で洗浄し、ろ過、乾燥して、表面の毛羽が豊かなポリアミドイミドファイブリッドを得る。平均長さは1.0mmであり、比表面積は54m/gである。
【0031】
[実施例3]
ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法において、具体的なステップとして以下を含む。反応フラスコに150gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、8gのp−フェニレンジアミン、12gの3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、5gの4,4'−ジアミノジフェニルメタンを加え、攪拌して0℃まで降温させ、20gの無水トリメリット酸クロリドおよび触媒として6gのピリジンを加え、窒素ガスの保護下で24h反応させてポリアミド酸ポリマーを得て、11gの無水酢酸を加え、25℃下で20h攪拌して化学的環化脱水を行った後、質量濃度が10%であり、固有粘度が4.2dL/gであるポリアミドイミドポリマー溶液を得る。ポリアミドイミドポリマー溶液を質量濃度が4%になるまで希釈し、希釈後の10gのポリアミドイミドポリマー溶液と200gの沈殿液を同時に沈殿機に加える。前記沈殿液は、2重量部の水、7重量部のNMP、1重量部の塩化カルシウムからなる。攪拌速度を2500rpmに設定して3min攪拌し、質量濃度が0.8%であるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る。ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を水で洗浄し、ろ過、乾燥して、表面の毛羽が豊かなポリアミドイミドファイブリッドを得る。平均長さは1.1mmであり、比表面積は51m/gである。
【0032】
[実施例4]
ポリアミドイミドファイブリッドの製造方法において、具体的なステップとして以下を含む。反応フラスコに150gのN−メチルピロリドン(NMP)、8gのm−フェニレンジアミン、8gの3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、10gの4,4'−ジアミノジフェニルメタンを加え、攪拌して0℃まで降温させ、27gの無水トリメリット酸クロリドおよび触媒として8gのピリジンを加え、窒素ガスの保護下で24h反応させてポリアミド酸ポリマーを得て、15gの無水酢酸を加え、25℃下で20h攪拌して化学的環化脱水を行った後、質量濃度が14%であり、固有粘度が3.6dL/gであるポリアミドイミドポリマー溶液を得る。ポリアミドイミドポリマー溶液を質量濃度が7%になるまで希釈し、希釈後の10gのポリアミドイミドポリマー溶液と120gの沈殿液を同時に沈殿機に加える。前記沈殿液は、2重量部の水、5重量部のNMP、3重量部の塩化カルシウムからなる。攪拌速度を6000rpmに設定して2.5min攪拌し、質量濃度が2.5%であるポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を得る。ポリアミドイミドファイブリッド懸濁液を水で洗浄し、ろ過、乾燥して、表面の毛羽が豊かなポリアミドイミドファイブリッドを得る。平均長さは0.2mmであり、比表面積は58m/gである。
【0033】
[実施例5]
実施例1〜4で得られたポリアミドイミドファイブリッドを水中で均一に分散させた後、抄紙機で原紙を製造し、最後に高温カレンダーにより300℃下で熱圧成形して、ポリアミドイミド紙を得る。