(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0012】
(実施形態1)
<販売管理装置の構成>
以下、
図1〜
図3に基づき、この発明の実施形態1に係る販売管理装置1の概略構成を説明する。
図1は、この発明の販売管理装置1の外観を概略的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す販売管理装置1の端末部2を上面から見た説明図である。
図3は、この発明の販売管理装置1の端末部2の概略構成を示すブロック図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、この発明の販売管理装置1は、端末部2および収納部3を備える。端末部2は、入力部21、表示部22およびプリンタ部23および音源部24を備える。また、収納部3は、商品の精算時に金銭を収納するためのドロワ31を備える。
また、
図3に示すように、この発明の端末部2は、制御部20、入力部21、表示部22、プリンタ部23、音源部24、ROM25、RAM26およびバックアップ電源27を備える。また、RAM26は、万券枚数カウンタ261を備える。
【0014】
<販売管理装置の構成>
以下、
図1〜
図3に示す販売管理装置1の各構成要素を説明する。
【0015】
制御部20は、販売管理装置1の各構成要素の動作を制御する部分である。主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。制御部20は、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、後述するようなこの発明の販売管理機能などを実行する。なお、周辺回路として、特定の用途のために設計、製造される集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の演算機能を有する回路を含んでいてもよい。
【0016】
入力部21は、販売管理装置1の登録および設定等の操作を行うためのインターフェイスである。入力者は入力部21を操作することによって、販売管理装置1に対する指示を実行する。入力部21は、例えば、
図1および
図2に示すように、複数個のキーの配列からなる。なお、キートップの文字列は一例であり、
図2の配列に限定されるものではない。また、タッチパネルを用いる場合は、表示部22を介して操作を行うものであってもよい。
【0017】
表示部22は、販売管理装置1の入力者に対して各種情報の表示を行う部分である。表示部22には、レジで精算された商品の明細等が表示される。表示部22は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
【0018】
プリンタ部23は、売上レシートおよび売上レポートの印字を行う部分である。商品の精算終了時にレシート231が印字されて出力される。なお、
図1および
図2に示すプリンタ部23の位置は一例であり、外付けであってもよい。
音源部24は、キーキャッチ音またはBEEPなどの警告音などを発生する部分である。
図1に音源部24の位置の一例を示す。音源(ブザー)は、基板上に実装される。
【0019】
ROM25は、プログラム、固定テキストなど、販売管理装置1の各種機能を実現するために必要な情報を格納する部分である。ROM25として、例えば、半導体素子やフラッシュメモリ等の記憶媒体が用いられる。
RAM26は、各種データや取引結果を一時的に記憶する部分である。RAM26は、プログラムのワークエリア等としても使用する。RAM26として、例えば、半導体素子やハードディスク等の記憶媒体が用いられる。
万券枚数カウンタ261は、1万円札の枚数を記憶するためのカウンタである。RAM26のメモリ領域の一部が使用される。
バックアップ電源27は、販売管理装置1の電源OFF時にRAM26内の情報を保持する部分である。
【0020】
なお、この発明の一般預かり額入力部は、入力部21の置数キー(例えば、
図2の「数値」キーを参照)に相当する。また、この発明の特定預かり額入力部は、入力部21の置数キーおよび万券キー(例えば、
図2の「万円」キーを参照)を組み合わせたものに相当する。また、この発明の預かり総額記憶部は、RAM26に相当する。
【0021】
<販売管理装置の商品精算処理の具体例>
次に、
図4に基づき、販売管理装置1の商品精算手順の具体例について説明する。
図4は、
図1に示す販売管理装置1の商品精算手順を示すフローチャートである。
【0022】
図4のステップS1において、制御部20は、万券候補枚数CNを0枚に設定し、現金預かり額CMを0円にリセットする(ステップS1)。
【0023】
次に、ステップS2において、制御部20は、商品登録が終了したか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、商品登録とは、販売管理装置1に接続されたバーコードリーダー(図示せず)による商品情報の読み取りや値引き処理など、商品の一般的な登録処理のことである。
商品登録が終了した場合(ステップS2の判定がYesの場合)、制御部20は、ステップS3において預かり処理を行う(ステップS3)。
一方、商品登録が終了していない場合(ステップS2の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS4において商品登録処理を行う(ステップS4)。
【0024】
次に、ステップS3において制御部20は、預かり処理を行う。
ここで、預かり処理とは、商品の購入者から預かった預かり金とその金種(現金、クレジットカードまたは商品券等の種類)を入力する処理である。
【0025】
次に、ステップS5において、制御部20は、ステップS3の預かり処理における預かり金が、現金預かりか否かを判定する(ステップS5)。
現金預かりの場合(ステップS5の判定がYesの場合)、制御部20は、ドロワ31を開放させて、ステップS6の処理を行う(ステップS6)。
一方、現金預かりでない場合(ステップS5の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS9の処理を行う(ステップS9)。
このように、現金預かりでない場合、制御部20は万券登録のチェックを行わない。
ここで、現金預かりでない場合とは、クレジットカードや商品券等による支払いの場合である。この場合、制御部20は、ドロワ31を開放せずに精算処理を行う。
【0026】
次に、ステップS6において、制御部20は、現金預かり額CMに新たに預かった額を加えた額を、現金預かり額CMとする(ステップS6)。
【0027】
次に、ステップS7において、制御部20は、万券キーの入力があったか否かを確認する(ステップS7)。
万券キーの入力があった場合(ステップS7の判定がYesの場合)、制御部20は、ステップS9の処理を行う(ステップS9)。
このように、現金預かり処理において、入力者が万券キーを忘れずに押した場合も、制御部20は、ステップS8の万券登録のチェックを行わない。
【0028】
一方、万券キーの入力がなかった場合(ステップS7の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS8において万券キー入力チェックを行う(ステップS8)。なお、万券キー入力チェックの詳細については、
図7のフローチャートにおいて後述する。
【0029】
次に、ステップS9において、制御部20は、預かり額が十分であるか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、商品登録において登録した商品の総額と購入者からの預かり額を比較して、預かり額が商品の総額以上であるか否かを判定する。
預かり額が十分な場合(ステップS9の判定がYesの場合)、制御部20は、ステップS10の処理を行う。
一方、預かり額が十分でない場合(ステップS9の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS3以後の処理を繰り返す(ステップS3)。
【0030】
最後に、ステップS10において、制御部20は、預かり後処理を行う(ステップS10)。預かり後処理とは、例えば、商品の精算内容をレシート231に印字するなどの処理である。
【0031】
<販売管理装置の商品の精算手順の具体例>
次に、
図5に基づき、万券キーを用いない場合の、この発明の販売管理装置1の商品の精算手順の具体例を説明する。
図5は、
図1に示す販売管理装置1の入力部21からのキー入力と表示部22に表示された画面表示およびレシート231に印字された内容の一例を示す説明図である。
ここで、
図5の左欄は、入力部21からのキー入力の一例を示す。また、
図5の中央欄は、表示部22に表示された内容の一例を示す。さらに、
図5の右欄は、プリンタ部23によって印字された内容の一例を示す。
なお、
図5の中央欄の表示内容は、左欄のキー入力に対応し、
図5の右欄の印字内容は、
図5(A)〜(C)のキー入力の内容を反映した結果である。
【0032】
ここでは、販売部門1に属する販売管理装置1の入力者が、総額24,000円の商品の購入者から1万円札2枚を含む25,000円分の現金を預かった状況を想定する。
図5(A)に示すように、入力者は、入力部21の「部門1」キー(
図2参照)を押して預かり処理を実行する。その結果、バーコードリーダーから読み取った商品の個数およびその総額「24,000」が表示部22に表示される。
【0033】
次に、
図5(B)に示すように、購入者から25,000円の現金を預かったとき、入力者は、置数キー(
図2の「数値」キーに相当)を押して、順次「2」「5」「0」「0」「0」と数値を入力する。このとき、表示部22に預かり額「25000」が表示される。
最後に、
図5(C)に示すように、入力者が「現金」キー(
図2参照)を押すと、ドロワ31が開くので、入力者は、預かり額から商品の総額を差し引いた1,000円分の釣銭を購入者に返却して預かり処理を終了させる。その結果、釣銭額1,000円および預かり処理が終了した時刻「12:34PM」などが表示部22に表示される。
【0034】
預かり処理の終了後、
図5の右欄に示されるように、販売管理装置1のプリンタ部23から商品の精算内容を印字したレシート231が発行される。
【0035】
次に、
図6に基づき、万券キーを押した場合の、この発明の販売管理装置1の設定手順の具体例を説明する。
図6は、
図1に示す販売管理装置1の入力部21からのキー入力と表示部22に表示された画面表示およびレシート231に印字された内容の一例を示す説明図である。
【0036】
図5の場合と同様に、販売部門1に属する販売管理装置1の入力者が、総額24,000円の商品の購入者から1万円札2枚を含む25,000円分の現金を預かった状況を想定する。
なお、
図6の左欄、中央欄および右欄の意味は、
図5と同様である。
また、
図6(A),(E)およびレシート231の発行処理については、
図5において説明したのと同様であるため説明を省略する。
【0037】
図6(B)に示すように、購入者から25,000円の現金を預かったとき、入力者が置数キーにより「2」を入力すると、表示部22に「2」が表示される。
続いて、
図6(C)に示すように、入力者が「万数」キーを押すと、表示部22に「20000」の数字が表示される。
【0038】
続いて、
図6(D)に示すように、入力者が置数キーにより数値「5000」を入力すると、表示部22に預かり額「25000」が表示される。
【0039】
このように、
図5および
図6のいずれの場合も、預かった金額は、2万5千円であり、表示部22に表示される画面表示やレシートの印字内容に違いが生じることはない。
それゆえ、万券キー入力機能を備えた従来のECR等の装置を使用するとき、入力者が忘れないように意識的に万券キーを押さなければ、1万円札の枚数管理を適切に行うことができないという問題がある。
【0040】
また、入力者が1万円札を預かったのにもかかわらず、万券キーを押し忘れてしまった場合、預かり処理後に万券両替機能を使用することによって1万円札の枚数を訂正できる装置も従来から知られている。しかしながら、このような万券両替機能を備えた装置を用いた場合でも、入力者が1万円札を預かった時点で万券キーの押し忘れに気付かなかった場合、万券両替機能が有効に働かないといった問題がある。
【0041】
<販売管理装置の万券キー入力チェックの具体例>
次に、
図7および
図8に基づき、販売管理装置1の万券キー入力チェックの具体例について説明する。
図7は、
図1に示す販売管理装置1の万券キー入力チェックの手順を示すフローチャートである。
図8は、
図1に示す販売管理装置1の万券キー入力チェックの表示画面の一例を示す説明図である。
【0042】
図7のステップS20において、制御部20は、万券候補枚数CNの設定を行う。
万券候補枚数CNの具体的な設定方法としては、現金預かり額CMを10,000円で割って得られた整数値(商)を万券候補枚数CNとする。このように、現金預かり額CMに基づき、1万円で支払われる最大の枚数を算出することによって、万券候補枚数CNを設定する。
このように万券候補枚数CNの上限を設定することで、入力者による数値選択を容易にし、迅速な訂正を可能にする。
【0043】
次にステップS21において、制御部20は、万券候補枚数CNが0よりも大きいか否かを判定する(ステップ21)。
万券候補枚数CNが0よりも大きい場合(ステップS21の判定がYesの場合)、制御部20は、表示部22に万券キー入力警告画面を表示させる(ステップS22)。
一方、万券候補枚数CNが0よりも大きくない場合(ステップS21の判定がNoの場合)、制御部20は、万券キー入力チェックを終了させる。
【0044】
例えば、購入者から25,000円の現金を預かった状況において、入力者が万券キーを押さず、かつ、現金預かり額を「2」「5」「0」「0」「0」と置数キーで入力した場合、万券候補枚数CNは2であり、最大2万円分の1万円札が含まれている可能性があるため、万券キー入力警告画面が表示される。
一方、例えば、5,000円の現金を預かった場合、万券候補枚数CNが0であり、1万円札が含まれる可能性はないため、万券キー入力警告画面は表示されない。
このように、預かり金が1万円以上の現金であって、かつ、万券キーの押し忘れがあった場合にのみ制御部20は警告表示を行う。
【0045】
次に、
図7のステップS23において、制御部20は、訂正操作が選択されたか否かを判定する(ステップS23)。
訂正操作が選択された場合(ステップS23の判定がYesの場合)、制御部20は、ステップS24において万券枚数訂正画面を表示させる(ステップS24)。
一方、訂正操作が選択されなかった場合(ステップS23の判定がNoの場合)、制御部20は、万券キー入力チェックを終了させる。
【0046】
図8(A)に万券キー入力警告画面の一例を示す。
図8(A)に示すように、RAM26が記憶した現金預かり額「25000円」が表示部22に表示され、その下に予め定められたメッセージ「万券キーが入力されていません。1万円札があれば訂正してください」が表示される。
表示部22がタッチパネル入力に対応している場合、入力者は、「訂正」ボタンまたは「クリア」ボタンをタッチすることによって訂正を行うか否かを決定する。
【0047】
このとき、「訂正」ボタンを押すと、
図8(B)の万券枚数訂正画面へ進む。一方、「クリア」ボタンを押すと、万券枚数の訂正を行わずに終了する。
キーボードによる入力の場合は、「確定」キー(
図2を参照)が「訂正」ボタンに対応し、また、「(X)」キー(
図2を参照)が「クリア」ボタンに対応する。
【0048】
次に、
図7のステップS25において、制御部20は、万券枚数の訂正があったか否かを判定する(ステップS25)。
万券枚数の訂正があった場合(ステップS25の判定がYesの場合)、制御部20は、ステップS26の処理を行う(ステップS26)。
一方、万券枚数の訂正がなかった場合(ステップS25の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS27の処理を行う(ステップS27)。
【0049】
次に、ステップS26において、制御部20は、万券枚数を訂正する(ステップS26)。ここで、万券枚数の訂正の範囲は、1枚から万券候補枚数CNとする。
【0050】
次に、ステップS27において、制御部20は、訂正操作がキャンセルされたか否かを判定する(ステップS27)。
訂正操作がキャンセルされた場合(ステップS27の判定がYesの場合)、制御部20はステップS22の処理を行う(ステップS22)。
一方、訂正操作がキャンセルされなかった場合(ステップS27の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS28の処理を行う(ステップS28)。
【0051】
続くステップS28において、制御部20は、訂正操作が確定したか否かを判定する(ステップS28)。
訂正操作が確定した場合(ステップS28の判定がYesの場合)、制御部20は、万券キー入力チェックを終了させる。
一方、訂正操作が確定していない場合(ステップS28の判定がNoの場合)、制御部20は、ステップS24の処理を行う(ステップS24)。
【0052】
図8(B)に万券枚数訂正画面の一例を示す。
図8(B)に示すように、万券枚数訂正画面において、入力者は上下ボタン(
図8(B)の上下方向の矢印)を操作することによって、万券枚数の訂正を行うことができる。ここで、万券枚数は、最小値1から、現金預かり額24000円から算出された万券候補枚数2までの数値で変更可能に設定される。
【0053】
入力者は、適切な万券枚数を選択した後、「OK」ボタンを押すことによって、当該万券枚数を確定する。
一方、入力者が操作をキャンセルする場合は、「キャンセル」ボタンを押すことによって、万券枚数訂正を行うことなく万券枚数訂正画面を終了し、万券キー入力警告画面表示前の操作に戻ることができる。
【0054】
キーボードによる入力の場合は、置数キーを押すことによって「万券枚数」を入力し、「確定」キー(
図2を参照)を押すことによって入力された数値が確定する。ただし、入力された万券枚数が最大枚数を超えている場合、制御部20は、エラーを表示して、「確定」キーを押す前の表示に戻す。また、「(X)」キー(
図2を参照)を押すことによって「キャンセル」操作が可能となる。
【0055】
なお、
図8(C)については、その他の実施形態の項目において後述する。
【0056】
(実施形態2)
次に、
図9に基づき、販売管理装置1の万券キー入力チェックの別の実施形態について説明する。
図9は、実施形態2に係る発明の販売管理装置1の万券キー入力チェックの処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
図9では、販売管理装置1の画面表示機能が簡素な場合において、警告画面を表示せず、警告音のみを発する場合について説明する。
図9のステップS31において、制御部20は、万券候補枚数CNが0よりも大きいか否かを判定する(ステップS31)。
万券候補枚数CNが0よりも大きい場合(ステップS31の判定がYesの場合)、制御部20は、音源部24に警告音を発生させる(ステップS32)。
一方、万券候補枚数CNが0よりも大きくない場合(ステップS31の判定がNoの場合)、制御部20は、万券キー入力チェックを終了させる。
【0058】
このように、万券キーの入力なしで1万円以上の預かり額を入力した際に、警告音を発することにより、入力者に万券キーの押し忘れに気付かせると同時に、万券入力警告画面を表示することにより、購入者を待たせることがなくなり、迅速な精算処理が可能となる。
【0059】
(その他の実施形態)
1.実施形態1において、
図4のステップS9の判定において、預かり額が十分でなく、購入者から複数回にわたって購入代金を預かった場合は、現金預かり額を合算して警告するほか、それぞれの現金預かり額ごとに警告を行うようにしてもよい。(実施形態3)
このように、現金を預かる度に警告を行うことによって、入力者の記憶違いによる万券枚数の食い違いの発生を有効に防止することができる。
【0060】
2.実施形態1において、入力者により警告が無視またはキャンセルされた場合、一定期間経過後に再度警告を発するようにしてもよい。(実施形態4)
このように、一定期間経過後に再警告を行うことによって、警告直後にレジの対応を急遽迫られて警告をキャンセルした場合でも、万券キーの押し忘れを防止することができる。
【0061】
3.実施形態1において、
図8(B)に示す万券枚数の入力方法のほかに、
図8(C)に示すように、数値ボタンを入力するようにしてもよい。(実施形態5)
このようにすれば、入力者は、1万円札の枚数に相当する数値を選択するだけで万券枚数の訂正できるため、迅速な操作が可能となる。特に、置数キーの入力に慣れた熟練者であれば、商品の精算処理と同様の操作で万券枚数の訂正が可能となる。
【0062】
4.実施形態2において、表示部に表示された視覚的な情報を通じた警告や、音源部から発せられた聴覚的な情報を通じた警告に限られず、これら視覚的および聴覚的な情報を組み合わせた警告であってもよい。(実施形態6)
このようにすれば、より効果的に入力者に警告を行うことができる。
【0063】
以上に述べたように、
(i)この発明の販売管理装置は、商品の購入者から購入代金として預かった預かり金のうち、予め定められた貨幣による預かり額の入力を受け付ける特定預かり額入力部と、前記貨幣を除いた預かり額の入力を受け付ける一般預かり額入力部と、前記商品の精算に関する情報を入力者に表示する表示部と、前記特定預かり額入力部、前記一般預かり額入力部および前記表示部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記特定預かり額入力部からの入力がなかった場合において、前記一般預かり額入力部によって入力された預かり額が前記貨幣の単位に相当する金額以上であるとき、前記特定預かり額入力部からの入力を促す警告を前記表示部に表示させることを特徴とする。
また、この発明の販売管理装置は、商品の購入者から購入代金として預かった預かり金のうち、予め定められた貨幣による預かり額の入力を受け付ける特定預かり額入力工程と、前記貨幣を除いた預かり額の入力を受け付ける一般預かり額入力工程と、前記商品の精算に関する情報を入力者に表示する表示工程とを有し、前記特定預かり額入力工程において入力がなかった場合において、前記一般預かり額入力工程において入力された預かり額が前記貨幣の単位に相当する金額以上であるとき、前記貨幣による預かり額の入力を促す警告を表示することを特徴とする。
【0064】
この発明において、「販売管理装置」とは、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等におけるレジでの精算時に用いるECRやPOSなどの装置である。
「貨幣」は、紙幣や硬貨に限られず、商品券、割引券または小切手など、商品の精算時に何らかの価値を有するものであって、カウントの対象となるものなら何でもよい。
「予め定められた貨幣」は、例えば、1万円札のような高額紙幣であってもよいし、千円札のように高額紙幣でなくてもよい。また、五百円玉のような硬貨であってもよいし、先着順に人数が限定された特別割引券のようなものであってもよい。また、国内の貨幣に限られず、外国の貨幣であってもよい。
「特定預かり額入力部」は、予め定められた貨幣による預かり額を入力するための入力部である。例えば、予め定められた貨幣が1万円札である場合、「特定預かり額入力部」は、各種入力キーのうち、1万円札による預かり額を入力するための万券キーと「置数」キーとを組み合わせたものに相当する。
「一般預かり額入力部」は、予め定められた貨幣を除いた預かり額を入力するための入力部である。例えば、「一般預かり額入力部」は、各種入力キーのうち「置数」キーに相当する。
「商品の精算に関する情報」は、購入者が購入した商品の品目や個数、各商品の価格や総計、消費税、購入者からの預かり額、現金による支払いまたはクレジットカードによる支払い、釣銭額等の情報である。また、エラー表示や警告表示等の入力者への表示や販売管理装置の設定画面等も含まれる。
「警告」は、表示部に表示された視覚的な情報を通じた警告に限られず、音源部から発せられた聴覚的な情報を通じた警告であってもよい。
【0065】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)この発明による販売管理装置において、前記制御部は、前記購入者の商品の精算終了後、次の購入者の商品の精算が開始される前に、前記警告を前記表示部に表示させるものであってもよい。(実施形態7)
【0066】
このようにすれば、商品の精算終了後に入力者が万券キーの押し忘れをしたか否かを確認するための警告がなされるため、精算の最中に警告がなされることによって、購入者を待たせることがない。
また、従来、商品精算後に入力者が万券キーの押し忘れに気が付いた場合であっても、時間の経過とともに預かった1万円札の枚数を正確に思い出すことが困難になるため、入力者の曖昧な記憶を頼りに不正確な1万円札の枚数が入力され、かえって万券枚数の信頼性が低下するおそれがあった。
しかしながら、預かり金の金額の入力後、所定の期間内に警告がなされるため、万券キーの押し忘れがあった場合であっても、入力者の記憶が新しいうちに警告が行われ、不正確な枚数が入力されるのを防止することができる。
【0067】
「購入者の商品の精算終了後、次の購入者の商品の精算が開始される前」は、例えば、レシートの印字後、次の購入者の商品登録までの間の期間があげられる。また、警告は1回のみに限られず、複数回繰り返してもよい。また、警告を行うべき期間は、実際の商品の精算の状況を考慮して適切なタイミングに設定することができる。
【0068】
(iii)この発明による販売管理装置において、前記制御部は、前記警告の後に前記預かり金に含まれた前記貨幣の数の入力設定画面を前記表示部に表示させるものであってもよい。(実施形態8)
【0069】
このようにすれば、万券キーの押し忘れの警告後、すぐに万券枚数の訂正が可能になるため、警告があったことを忘れないうちに入力者に万券枚数を訂正させることによって、正確な万券枚数の訂正を確実に実行させることが可能となる。
【0070】
(iv)この発明による販売管理装置において、前記特定預かり額入力部および前記一般預かり額入力部によって入力された預かり額の総額を記憶する預かり総額記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記入力設定画面に入力すべき前記貨幣の数の上限値を、前記総額を前記貨幣の単位に相当する金額で割った数を超えない最大の整数値に設定するものであってもよい。(実施形態9)
【0071】
このようにすれば、訂正すべき万券枚数の上限が設定されるため、入力者による枚数選択の手間を軽減し、万券枚数の訂正を容易にする。また、万券枚数の上限は、預かり金を超えない金額の最大の枚数に設定されるため、必要以上に多い枚数が上限に設定されることがなく、適切な上限が設定される。
【0072】
(v)この発明による販売管理装置において、前記制御部は、前記入力設定画面に入力すべき前記貨幣の数の初期値を、0、前記総額を前記貨幣の単位に相当する金額で割った数を超えない最大の整数値、前記最大の整数値を2で割った中間値の端数を切り上げて得られた整数値、前記中間値の端数を切り捨てて得られた整数値、および予め定められた整数値のいずれか1つに設定するものであってもよい。(実施形態10)
【0073】
このようにすれば、訂正すべき万券枚数の初期値が設定されるため、入力者による枚数選択の手間を軽減し、万券枚数の訂正を容易にする。また、複数のオプションの中から実際の利用状況に照らして適切な初期値を設定することが可能となる。
例えば、万券候補枚数CNの初期値として、「0」、「現金預かり額を10,000円の単位で割った数(商)を超えない最大の整数値」、「中間値の端数の切り上げ」、「中間値の端数の切り捨て」、および「固定値」のうちいずれか1つに設定する。
【0074】
ここで、「中間値の端数の切り上げ(切り捨て)」とは、現金預かり額を10,000円の単位で割って得られた数(商)を超えない最大の整数値を2で割った数(中間値)の端数を切り上げ(切り捨て)ることによって得られた整数値である。
例えば、預かり額が54,000円の場合、10,000円の単位で割って得られた数(商)は5.4であり、5.4を超えない最大の整数値は5、その中間値は2.5となる。このとき、「中間値の端数の切り上げ」または「中間値の端数の切り捨て」に対応する数値はそれぞれ3または2となる。
また、中間値が偶数(例えば、「2」)のときは、「中間値の端数の切り上げ」または「中間値の端数の切り捨て」に対応する数値は同じ値(「2」)になる。
【0075】
この発明の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。