(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウレタン添加剤(PF)を製造するために使用される成分(IIIa)が、第一級モノアルコール、第二級モノアルコール、第三級モノアルコール、および/または第二級モノアミンの群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物。
少なくとも1つの顔料着色されたベースコートと、その上に設けられている少なくとも1つのクリアコートとを含む、効果および/または色を与えるマルチコートペイント系であって、クリアコートが、請求項1から13のいずれか一項に記載のコーティング材料組成物から生成される、ことを特徴とするマルチコートペイント系。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のコーティング材料
本発明の目的のために、別段の指示がない限り、不揮発分(NVF、固体)の決定の各場合において、一定の条件が選択された。不揮発分の決定のために、1gの量の各サンプルが固形蓋に塗布され、130℃で1時間加熱され、次いで、室温に冷却され、再び秤量される。(ISO3251に従って)。決定は、例えば、本発明のコーティング組成物に存在する対応するポリマー溶液および/または樹脂の不揮発分で行われ、それによって、例えば、2つ以上の成分の混合物中の各構成成分または全コーティング組成物の質量分率を調整でき、それを決定することを可能にした。
【0019】
したがって、該コーティング材料の個々の成分(A)または(B)または(C)または(E)のバインダー分(不揮発分または固体含有量とも呼ぶ)は、各成分(A)または(B)または(C)または(E)の少量サンプルを量り取り、その次に、それを130℃で60分間乾燥させて、固体を決定し、それを冷却し、次いで、それを再び秤量することによって決定される。次いで、その成分のバインダー分(質量%)は、130℃で乾燥させた後の各サンプルの残留物の質量を、乾燥前の各サンプルの質量で割って出た比に100を掛けることによって示される。
【0020】
標準の市販の成分の場合、別段の指示がない限り、前記成分のバインダー分は、十分な正確さで、上述の固体含有量と等しくてもよい。
【0021】
ウレタン添加剤(PF)のバインダー分(不揮発分または固体含有量とも呼ぶ)は、その製造に使用された個々の化合物(I−a)、(II−a)および任意に(III−a)のバインダー分、さらにはポリイソシアネート(PI)から算術的に決定される。
【0022】
該コーティング材料組成物のバインダー分は、コーティング材料の個々のバインダー成分ならびに架橋剤成分である(A)、(B)、(C)、(PF)および(E)のバインダー分の合計から算術的に決定される。
【0023】
本発明の目的のために、ヒドロキシル価またはOH価は、1グラムの当該の構成成分のアセチル化の間に結合された酢酸のモル量に等しい、水酸化カリウムの量(ミリグラム単位)を示す。本発明の目的のために、ヒドロキシル価は、別段の指示がない限り、DIN53240−2[ヒドロキシル値の決定−第2部:触媒を用いる方法(Determination of hydroxyl value−Part 2:Method with catalyst)]に従って、滴定によって実験的に決定される。
【0024】
本発明の目的のために、酸価は、1gの各構成成分を中和するのに必要とされる水酸化カリウムの量(ミリグラム単位)を示す。本発明の目的のために、酸価は、別段の指示がない限り、DIN EN ISO2114に従って、滴定によって実験的に測定される。
【0025】
本発明の目的のために、質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、高速液体クロマトグラフィーポンプおよび示差屈折率検出器を使用する、35℃でのゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。使用された溶離液は、溶離速度が1ml/分である、0.1体積%酢酸を含有するテトラヒドロフランであった。校正は、ポリスチレン標準によって行う。
【0026】
本発明の目的のために、ガラス転移温度Tgは、DIN51005「熱分析−用語(Thermal Analysis(TA)−Terms)」、およびDIN53765「熱分析−示差走査熱量測定(Thermal Analysis−Differential Scanning Calorimetry(DSC))」に基づいて実験的に決定される。これは、10mgのサンプルを、サンプル容器に量り取り、DSC装置中に導入することを含む。その装置は、開始温度に冷却され、その後、第1の測定運転および第2の測定運転が、50ml/分の不活性ガスフラッシング(N
2)下で、10K/分の加熱速度で行われ、測定運転の間に開始温度に冷却される。測定は、典型的には、予想されるガラス転移温度よりも約50℃低い温度からガラス転移温度よりも約50℃高い温度までの範囲で行われる。本発明の目的のために、記録されるガラス転移温度は、DIN53765の項目8.1に準拠して、比熱容量(0.5Δcp)が半分変化する、第2の測定運転における温度である。この温度は、DSCプロット(温度に対する熱流のプロット)から決定され、測定プロットを有するガラス転移前およびガラス転移後の外挿基線間の中心線の交点の温度である。
【0027】
ポリヒドロキシル基含有成分(A)
1分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、オリゴマーおよび/またはポリマーである、当業者に既知のすべての化合物を、ポリヒドロキシル基含有成分(A)として使用することができる。成分(A)として、異なるオリゴマーおよびポリマーポリオールの混合物を使用することもできる。
【0028】
好ましいオリゴマーおよび/またはポリマーポリオール(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された、Mn≧300g/mol、好ましくはMn=400〜30000g/mol、より好ましくはMn=500〜15000g/molの数平均分子量、およびMw>500g/mol、好ましくは800〜100000g/mol、特に900〜50000g/molの質量平均分子量を有する。
【0029】
成分(A)として、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールおよび/またはポリメタクリレートポリオール、およびこれらのコポリマー(以下、ポリアクリレートポリオールと呼ぶ)、ポリウレタンポリオール、ポリシロキサンポリオール、ならびにそれらのポリオールの混合物が好ましい。
【0030】
ポリオール(A)は、好ましくは、30〜400mgKOH/g、特に70〜250mgKOH/gの間のOH価を有する。ポリ(メタ)アクリレートコポリマーの場合、OH価は、用いられるOH官能モノマーに基づく計算によって充分に正確に決定することもできる。
【0031】
ポリオール(A)は、好ましくは、0〜30mgKOH/gの間の酸価を有する。
【0032】
DIN−EN−ISO11357−2に従ってDSC測定により測定されるポリオールのガラス転移温度は、好ましくは−150〜100℃の間、より好ましくは−40℃〜60℃の間である。
【0033】
ポリウレタンポリオールは、好ましくは、オリゴマーポリオール、特にポリエステルポリオールプレポリマーと、適切なジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって製造され、例えば、EP−A−1273640に記載されている。特に、ポリエステルポリオールと、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとの反応生成物が使用される。本発明に従って好ましくは使用されるポリウレタンポリオールは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、Mn≧300g/mol、好ましくはMn=700〜2000g/mol、より好ましくはMn=700〜1300g/molの数平均分子量、および好ましくは、Mw>500g/mol、好ましくは1500〜3000g/molの間、特に1500〜2700g/molの間の質量平均分子量を有する。
【0034】
適切なポリシロキサンポリオールは、例えば、WO−A−01/09260に記載されており、そこに挙げられているポリシロキサンは、好ましくはさらなるポリオール、特により高いガラス転移温度を有するポリオールと組み合わせて用いることができる。
【0035】
ポリヒドロキシル基含有成分(A)として、ウレタン添加剤(PF)と異なるポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリメタクリレートポリオール、およびポリウレタンポリオール、またはこれらの混合物、非常に好ましくはポリ(メタ)クリレートポリオールの混合物を使用することが特に好ましい。
【0036】
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオール(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、Mn≧300g/mol、好ましくはMn=400〜10000g/mol、より好ましくはMn=500〜5000g/molの数平均分子量、および好ましくは、Mw>500g/mol、好ましくは800〜50000g/molの間、特に900〜10000g/molの間の質量平均分子量を有する。
【0037】
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオール(A)は、好ましくは、30〜400mgKOH/g、特に100〜250mgKOH/gの間のOH価を有する。
【0038】
本発明に従って好ましくは使用されるポリエステルポリオール(A)は、好ましくは、0〜30mgKOH/gの間の酸価を有する。
【0039】
適切なポリエステルポリオールは、例えば、EP−A−0994117およびEP−A−1273640にも記載されている。
【0040】
本発明に従って好ましくは使用されるポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)は、一般に、コポリマーであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン標準に対して測定された各場合において、好ましくは、Mn≧300g/mol、好ましくはMn=500〜15000g/mol、より好ましくはMn=900〜10000g/molの数平均分子量、および好ましくは、500〜20000g/mol、特に1000〜15000g/molの質量平均分子量Mwを有する。
【0041】
該コポリマーのガラス転移温度は、一般に、−100〜100℃の間、特に40℃〜60℃未満の間(DIN−EN−ISO11357−2に従ってDSC測定により測定される)である。
【0042】
ポリ(メタ)アクリレートポリオール(A)は、好ましくは、60〜300mgKOH/g、特に70〜250mgKOH/gの間のOH価、および0〜30mgKOH/gの間の酸価を有する。ヒドロキシル価(OH価)および酸価は、上記の通り決定される(それぞれDIN53240−2およびDIN EN ISO2114)。
【0043】
使用されるヒドロキシ基含有モノマービルディングブロックは、好ましくは、ヒドロキシアクリルアクリレートおよび/またはヒドロキシアルキルメタクリレート、例えば、特に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、特に4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび/または4−ヒドロキシブチルメタクリレートである。
【0044】
ポリ(メタ)アクリレートに使用されるさらなるモノマービルディングブロックは、好ましくは、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート、例えば、好ましくはエチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレートもしくはラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート、および/またはシクロアルキルメタクリレート、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、あるいは、特にシクロヘキシルアクリレート、および/またはシクロヘキシルメタクリレートである。
【0045】
ポリ(メタ)アクリレートポリオールのためのさらなるモノマービルディングブロックとして、ビニル芳香族炭化水素、例えば、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、もしくは特にスチレン、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアミドもしくはニトリル、ビニルエステルもしくはビニルエーテル、ならびに、少量で、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸を使用することができる。
【0046】
ポリイソシアネート基含有成分(B)
成分(B)として適しているのは、従来の置換されたまたは無置換の芳香族、脂肪族、脂環式および/またはヘテロ環式ポリイソシアネート、好ましくは脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートである。好ましいポリイソシアネートの例は、以下のものである。トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ドデカン1,12−ジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン1,4−ジイソシアネート、ペルヒドロジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(例えば、Bayer AG製のDesmodur(登録商標)W)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(American Cyanamid製のTMXDI(登録商標))、および前述のポリイソシアネートの混合物。前述のジイソシアネートのビウレットダイマーおよびイソシアヌレートトリマーも、好ましいポリイソシアネートである。特に好ましいポリイソシアネート(B)は、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、それらのビウレットダイマーおよび/またはそれらのイソシアヌレートトリマー、および/または、例えば、商品名Desmodur(登録商標)N3900で市販されている非対称HDIトリマーなどの、それらの非対称トリマーである。
【0047】
本発明のさらなる実施形態において、成分(B)として適しているのは、ポリオールと化学量論的に過剰な前述のポリイソシアネートとの反応によって得られる、ウレタン構造単位を有するポリイソシアネートプレポリマーである。そのようなポリイソシアネートプレポリマーは、例えば、US−A−4,598,131に記載されている。
【0048】
成分(B)は、適切な溶媒(L)中に存在していてもよい。適切な溶媒(L)は、ポリイソシアネート成分を十分に溶解する、および、イソシアネートに対し反応性である基が無い、溶媒である。そのような溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチレングリコールジアセテート、ブチロアクトン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メチラール、ブチラール、1,3−ジオキソラン、グリセロールホルマール、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、Solventnaphtha(登録商標)、2−メトキシプロピルアセテート(MPA)、およびエチルエトキシプロピオネートである。
【0049】
ヒドロキシル基含有成分(C)
ポリヒドロキシル基含有成分(A)とは別に、本発明のコーティング材料組成物は、成分(A)およびウレタン添加剤(PF)とは異なる、1種または複数のモノマー性ヒドロキシル基含有成分(C)を任意にさらに含むことができる。これらの成分(C)は、好ましくは、各場合において該コーティング材料組成物のバインダー分に対して[換言すると、各場合において成分(A)のバインダー分と、成分(B)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、成分(PF)のバインダー分と、成分(E)のバインダー分との合計に対して]、0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%の割合を占める。
【0050】
低分子質量のポリオールが、ヒドロキシル基含有化合物(C)として用いられる。使用される低分子質量のポリオールは、例えば、ジオール、例えば、好ましくはエチレングリコール、ジ−およびtri−エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,2−シクロヘキサンジメタノール、ならびにポリオール、例えば、好ましくはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、およびジペンタエリトリトールである。そのような低分子質量のポリオール(C)は、好ましくは、ポリオール成分(A)に対して少ない割合で混合される。
【0051】
触媒(D)
アルコキシシリル単位の架橋のために、さらには、化合物(A)のヒドロキシル基と、化合物(B)のイソシアネート基との反応のために使用できる触媒は、それ自体既知である化合物である。例は、ルイス酸(電子不足化合物)、例えば、ナフテン酸スズ、安息香酸スズ、オクタン酸スズ、酪酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、酸化ジブチルスズ、およびオクタン酸鉛、さらには、例えば、WO−A−2006/042585に記載されている触媒である。さらに、通例の酸ベース触媒、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸なども適している。アルコキシシリル単位の架橋に使用される触媒は、好ましくは、リン酸のまたはスルホン酸のアミン付加物(例えば、King Industries製の製品Nacure)である。
【0052】
触媒(D)として特に好ましく用いられるのは、リン含有触媒、特にリンおよび窒素含有触媒である。この文脈において、2種以上の異なる触媒(D)の混合物を使用することも可能である。
【0053】
適切なリン含有触媒(D)の例は、好ましくは非環式ホスホン酸ジエステル、環式ホスホン酸ジエステル、非環式ジホスホン酸ジエステル、および環式ジホスホン酸ジエステルからなる群からの、置換されたホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルである。この種の触媒は、例えば、独国特許出願DE−A−102005045228に記載されている。
【0054】
しかし、特に、好ましくは非環式リン酸モノエステル、環式リン酸モノエステル、非環式リン酸ジエステル、および環式リン酸ジエステルからなる群からの、置換されたリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステル、より好ましくは、リン酸モノエステルおよびジエステルのアミン付加物が使用される。
【0055】
触媒(D)として非常に特に好ましく用いられるのは、特に、アミンブロック型リン酸エチルヘキシルおよびアミンブロック型リン酸フェニル、非常に好ましくは、アミンブロック型リン酸ビス(2−エチルヘキシル)を含めた、対応するアミンブロック型リン酸エステルである。
【0056】
リン酸エステルをブロックするアミンの例は、特に、第三級アミンであり、その例は、二環式アミン、例えば、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジメチルドデシルアミン、またはトリエチルアミンである。リン酸エステルをブロックするために特に好ましく使用されるのは、140℃の硬化条件下で触媒の高い活性を確実にする、第三級アミンである。リン酸エステルをブロックするために、特に、80℃以下の低い硬化温度で、非常に特に好ましく使用されるのは、二環式アミン、とりわけ、ジアザビシクロオクタン(DABCO)である。
【0057】
ある種のアミンブロック型リン酸触媒はまた、市販されている(例えば、King Industries製の製品Nacure)。示すことができる例は、リン酸のアミンブロック型部分エステルに基づく特に適切な触媒として、King Industries製の商品名Nacure4167で知られているものである。
【0058】
触媒は、好ましくは、本発明のコーティング材料組成物のバインダー分に対して、0.01〜20質量%の割合で、より好ましくは0.1〜10質量%の割合で使用される。触媒の一部のより低い活性は、対応したより多い量を用いることによって部分的に補われてもよい。
【0059】
本発明のコーティング材料組成物は、二環式アミン、特に不飽和二環式アミンに基づく追加のアミン触媒を含むことができる。適切なアミン触媒の例は、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである。
【0060】
これらのアミン触媒は、好ましくは、本発明のコーティング材料組成物のバインダー分に対して、0.01〜20質量%の割合で、より好ましくは0.1〜10質量%の割合で使用される。該コーティング材料組成物のバインダー分は、コーティング材料の個々のバインダー成分ならびに架橋剤成分である(A)、(B)、(PF)、(C)および(E)のバインダー分の合計から算術的に決定される。
【0061】
ウレタン添加剤(PF)
コーティング材料組成物は、成分(A)、(B)および(C)と異なる、ならびに、式(I)の少なくとも1つのペルフルオロアルキル基
CR
13−(CR
22)
x− (I)
(式中、
R
1およびR
2は、互いに独立に、H、F、および/またはCF
3であるが、R
1およびR
2は、同時にHであってはならず、
xは、1〜20、好ましくは3〜11、より好ましくは5〜7である)
および
式(II)の少なくとも1つのシラン基
−X−Si−R
3sG
3−s (II)
[式中、
Gは、同一のまたは異なる加水分解性基、好ましくはハロゲン、特に塩素および臭素、アルコキシ基、アルキルカルボニル基および/またはアシルオキシ基、特にアルコキシ基(OR
5)であり、
Xは、有機基、特に、1〜20個の炭素原子を有する直鎖および/または分枝状のアルキレン基もしくはシクロアルキレン基、非常に好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R
3は、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり、その炭素鎖は、隣接していない酸素、硫黄、またはNRa基(式中、Raは、アルキル、シクロアルキル、アリール、もしくはアラルキルである)により介在されていてもよく、好ましくは、R
3は、アルキル基、特に1〜6個のC原子を有するアルキル基であり、
sは、0〜2、好ましくは0〜1、より好ましくは0である]
を有する、少なくとも1種のウレタン添加剤(PF)を含み、
そこで、ウレタン添加剤(PF)が、
少なくとも1種のポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の0.5〜20モル%と、成分(IIa)と異なる、ならびに、式(I)の少なくとも1つのペルフルオロアルキル基、およびイソシアネート基に対し反応性である1つの基を有する、成分(Ia)との反応、ならびに、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の10.0〜99.5モル%と、成分(Ia)と異なる、ならびに、式(II)の少なくとも1つのシラン基、およびイソシアネート基に対し反応性である1つの基を有する、成分(IIa)との反応によって製造されていることが、本発明に不可欠である。
【0062】
ウレタン添加剤(PF)は、好ましくは、ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の少なくともいくつかと、成分(Ia)および(IIa)との反応だけでなく、さらに、ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基のいくつかと、成分(Ia)および(IIa)と異なる、およびイソシアネート基に対し反応性である、単官能成分(IIIa)との反応によって製造されている。
【0063】
したがって、特に好ましくは、ウレタン添加剤(PF)は、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の0.5〜20モル%と、成分(Ia)との反応、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の30〜98.5モル%と、成分(IIa)との反応、ならびに、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の1〜69.5モル%と、成分(Ia)および(IIa)と異なる、およびイソシアネート基に対し反応性である、単官能成分(IIIa)との反応
によって製造されている。
【0064】
非常に特に好ましくは、ウレタン添加剤(PF)は、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の1.0〜16.0モル%、好ましくは1.5〜10モル%と、成分(Ia)との反応、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の64〜89.0モル%、好ましくは66〜86モル%と、成分(IIa)との反応、ならびに、
ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の10〜30モル%、好ましくは12.5〜25.0モル%と、成分(IIIa)との反応
によって製造されている。
【0065】
ポリイソシアネート(PI)として適しているのは、成分(B)の説明との関連ですでに挙げた、従来の置換されたまたは無置換の芳香族、脂肪族、脂環式および/またはヘテロ環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである。好ましいポリイソシアネート(PI)は、置換されたまたは無置換の脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである。前述のジイソシアネートのビウレットダイマーおよびイソシアヌレートトリマーも好ましいポリイソシアネートである。特に好ましいポリイソシアネート(B)は、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、および前述のポリイソシアネートの混合物、さらには、三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそのようなポリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートおよび/またはそれらの非対称トリマー(例えば、商品名Desmodur(登録商標)N3900で市販されている非対称HDIトリマー)の混合物、特に、そのようなポリイソシアネートのビウレット体のおよび/またはアロファネート体のおよび/またはイソシアヌレートの混合物である。とりわけ好ましいのは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、それらのビウレットダイマーおよび/またはそれらのイソシアヌレートトリマーである。
【0066】
ウレタン添加剤(PF)は、式(II)の少なくとも1つのシラン基を有することが、本発明に不可欠である。これらのシラン基(II)の構造も、反応性に影響を与え、したがって、コーティングの硬化の過程において、まさしくその十分な反応にも影響を与える。シランの適合性および反応性に関して、好ましくは、3つの加水分解性基を有する、すなわち、sが0であるシランが使用される。
【0067】
加水分解性基Gは、ハロゲン、特に塩素および臭素の群から、アルコキシ基の群から、アルキルカルボニル基の群から、およびアシルオキシ基の群から、特にアルコキシ基から選択されてもよい。特に好ましいのは、R
5が、水素、アルキル、またはシクロアルキルであり、その炭素鎖は、隣接していない酸素、硫黄、またはNRa基(式中、Raは、アルキル、シクロアルキル、アリール、もしくはアラルキルである)により介在されていてもよく、R
5およびR
5’が、好ましくは、エチルおよび/またはメチル、より好ましくはメチルである、アルコキシ基(OR
5)である。
【0068】
構造単位(II)は、好ましくは、(好ましくは脂肪族)ポリイソシアネート、および/または三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそれらから誘導されるポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(IIa−1)のアミノ官能性シラン
H−NR
4t−[X−Si−R
3sG
3−s]
2−t (IIa−1)
[式中、X、R
3、G、およびsは、式(II)について与えられた定義を有し、R
4は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルであり、その炭素鎖は、隣接していない酸素、硫黄、またはNRa基(ここで、Raは、アルキル、シクロアルキル、アリール、もしくはアラルキルである)により介在されていてもよく、tは、0または1である]
との反応によって導入される。
【0069】
例えば、第一級アミノシラン、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(例えば、Wacker Chemieから、商品名Geniosil(登録商標)GF93で入手可能)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、Wacker Chemieから、商品名Geniosil(登録商標)GF96で入手可能)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemieから、商品名Geniosil(登録商標)GF9、さらにはGeniosil(登録商標)GF91で入手可能)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Wacker Chemieから、商品名Geniosil(登録商標)GF95で入手可能)、または第二級N−アルキルアミノシラン、例えば、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミン、またはビスアルコキシシリルアミン、例えば、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミンが適している。
【0070】
構造単位(II)は、(好ましくは脂肪族)ポリイソシアネート、および/または三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそれらから誘導されるポリイソシアネート(PI)と、少なくとも1種の式(IIa−2)の化合物と少なくとも1種の式(IIa−3)の化合物との混合物
H−NR
4−(X−SiR
3s(OR
5)
3−s) (IIa−2)
HN(X−SiR
3u(OR
5)
3−u)
n(X’−SiR
3’w(OR
5’)
3−w)
m (IIa−3)
[式中、R
3、R
4およびsは、式(IIa−1)について示した定義を有し、R
5およびR
5’は、水素、アルキル、またはシクロアルキルであり、その炭素鎖は、隣接していない酸素、硫黄、またはNRa基(式中、Raは、アルキル、シクロアルキル、アリール、もしくはアラルキルである)により介在されていてもよく、R
5およびR
5’は、好ましくはエチルおよび/またはメチルであり、より好ましくはメチルであり、
XおよびX’は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖および/または分枝状のアルキレン基もしくはシクロアルキレン基、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
nは、0〜2であり、mは、0〜2であり、m+nは、2であり、uおよびwは、0〜2である]
との反応によって導入される。
【0071】
各好ましいアルコキシ基(OR
5)および(OR
5’)は、同一であっても異なっていてもよいが、それらの基の構造について、重要な要素は、これらの基が加水分解性シラン基の反応性に影響を与える程度である。R
5およびR
5’は、好ましくは、それぞれ、アルキル基、特に、1〜6個のC原子を有するアルキル基である。特に好ましい基は、シラン基の反応性を高める、すなわち、良い脱離基を構成する基である。したがって、メトキシ基は、エトキシ基よりも好ましく、エトキシ基は、プロポキシ基よりも好ましい。したがって、特に好ましくは、R
5は、エチルおよび/またはメチル、特にメチルである。
【0072】
有機官能性シランの反応性は、さらに、シラン官能基と、修飾される構成成分との反応に役立つ有機官能基との間のスペーサーXおよびX’の長さによってかなり影響されうる。この例として、Wackerから入手可能である「α」シランを挙げることができ、「α」シランには、Si原子と官能基との間に、「γ」シランの場合に存在するプロピレン基ではなく、メチレン基が存在する。
【0073】
本発明による好ましい化合物(IIa−3)は、ビス(2−エチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミン、ビス(4−ブチルトリメトキシシリル)アミン、ビス(2−エチルトリエトキシシリル)アミン、ビス(3−プロピルトリエトキシシリル)アミン、および/またはビス(4−ブチルトリエトキシシリル)アミンである。特に好ましいのは、ビス(3−プロピルトリメトキシシリル)アミンである。そのようなアミノシランは、例えば、商品名DYNASYLAN(登録商標)でDEGUSSAから、またはSilquest(登録商標)でOSIから入手可能である。
【0074】
本発明による好ましい化合物(IIa−2)は、アミノアルキルトリアルコキシシラン、例えば、好ましくは、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、および4−アミノブチルトリエトキシシラン。特に好ましい化合物(IIa−2)はN−(2−(トリメトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アルキルアミン、N−(4−(トリメトキシシリル)ブチル)アルキルアミン、N−(2−(トリエトキシシリル)エチル)アルキルアミン、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アルキルアミンおよび/またはN−(4−(トリエトキシシリル)ブチル)アルキルアミンである。特に好ましいのは、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ブチルアミンである。そのようなアミノシランは、例えば、商品名DYNASYLAN(登録商標)でDEGUSSAから、またはSilquest(登録商標)でOSIから入手可能である。
【0075】
特に好ましくは、ウレタン添加剤(PF)は、各場合において化合物(IIa−2)および(IIa−3)の総量に対して100〜5モル%、好ましくは100〜10モル%、より好ましくは100〜20モル%、非常に好ましくは100〜40モル%の少なくとも1種の式(IIa−2)の化合物と、
各場合において化合物(IIa−2)および(IIa−3)の総量に対して0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、より好ましくは0〜80モル%、非常に好ましくは0〜60モル%の少なくとも1種の式(IIa−3)の化合物
との混合物を成分(IIa)として使用して製造されている。
【0076】
さらに、ウレタン添加剤(PF)は、好ましくは、式(Ia−1)のフルオロアルコール
CR
13−(CR
22)
x−(CH
2)
y−O−A
z−H (Ia−1)
(式中、
R
1およびR
2は、互いに独立に、H、F、および/またはCF
3であるが、R
1およびR
2は、両方がHでなくてもよく、
xは、1〜20、好ましくは3〜11、より好ましくは5〜7であり
yは、1〜6であり、
zは、0〜100、好ましくは0であり、
Aは、CR’R’’−CR’’’R’’’’−O、または(CR’R’’)
a−O、またはCO−(CR’R’’)
b−Oであり、
R’、R’’、R’’’、およびR’’’’は、互いに独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、または1〜25個のC原子を有する任意の有機基であり、
aおよびbは、3〜5である)
である、ウレタン添加剤(PF)の製造のために使用されている成分(Ia)によって製造されている。
【0077】
特に、ポリアルキレンオキシド構造単位はA
zは、任意の所望のアルキレンオキシドのホモポリマー、コポリマーもしくはブロックポリマーを含むか、またはポリオキシアルキレングリコールを含むか、またはポリラクトンを含む。
【0078】
ペルフルオロアルキルアルコール(Ia−1)として適切な化合物の例は、例えば、WO2008/040428、33頁の4行目から34頁の3行目に記載されている(ペル)フルオロアルキルアルコール、さらには、EP−B−1 664 222B1、9頁の段落[0054]から10頁の段落[57]に記載されている(ペル)フルオロアルキルアルコールである。
【0079】
成分(PF)は、好ましくは、式(I−2)および/または式(I−3)の少なくとも1つのペルフルオロアルキル基
CF
3(CF
2)
k− (I−2)
F(CF
2CF
2)
l− (I−3)
(式中、
kは、1〜20、好ましくは3〜11、より好ましくは5〜7であり、
lは、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜3である)
を有する。
【0080】
構造単位(I−2)は、好ましくは、(好ましくは脂肪族)ポリイソシアネート、および/または三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそれらから誘導されるポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(I−2a)の(ペル)フルオロアルキルモノアルコール(FA)
CF
3(CF
2)
k−(CH
2)
o−O−H (I−2a)
(式中、kは、1〜20、好ましくは3〜11、より好ましく5〜7であり、oは、1〜10、好ましくは1〜4である)
との反応によって導入される。
【0081】
構造単位(I−3)は、好ましくは、(好ましくは脂肪族)ポリイソシアネート、および/または三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそれらから誘導されるポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(I−3a)の(ペル)フルオロアルキルモノアルコール(FA)
F(CF
2CF
2)
l−(CH
2CH
2O)
c−H (I−3a)
(式中、lは、1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜3であり、
cは、1〜15、好ましくは5〜15である)
との反応によって導入される。
【0082】
適切なペルフルオロアルコールの例は、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデカン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ペンタコサフルオロテトラデカン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,16,16,16−ノナコサフルオロヘキサデカン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロヘプタン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロノナン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロウンデカン−1−オール、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14−テトラコサフルオロトリデカン−1−オール、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,14,14,15,15,16,16−オクタコサフルオロペンタデカン−1−オール
である。
【0083】
特に好ましくは、成分(PF)は、式(I−2)の少なくとも1つのペルフルオロアルキル基
CF
3(CF
2)
k− (I−2)
(式中、kは、1〜20、より好ましくは3〜11、非常に好ましくは5〜7である)
を有する。
【0084】
これらの好ましい構造単位(I−2)は、好ましくは(好ましくは脂肪族)ポリイソシアネート、および/または三量化、二量化、ウレタン形成、ビウレット形成、ウレトジオン形成および/またはアロファネート形成によりそれらから誘導されるポリイソシアネートと、少なくとも1種の式(I−2a)の(ペル)フルオロアルキルモノアルコール(FA)
CF
3(CF
2)
k−(CH
2)
o−OH (I−2a)
あるいは式(I−2a)の異なるフルオロアルコールの混合物(式中、kは、1〜8、好ましくは1〜6、特に1〜4であり、oは、1〜6、より特に1〜4、非常に好ましくは1〜2である)
との反応によって導入される。
【0085】
oが2である式(I−2a)のペルフルオロアルキルエタノール、好ましくは2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールおよび2−(ペルフルオロオクチル)エタノールを使用すること、および式(I−3a)の異なるペルフルオロアルキルエタノールの混合物、特に、任意に他の(ペル)フルオロアルキルエタノールと一緒にした、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールと2−(ペルフルオロオクチル)エタノールとの混合物が、非常に特に好ましい。好ましくは、30〜49.9質量%の2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールおよび30〜49.9質量%の2−(ペルフルオロオクチル)エタノール、例えば、市販品のFluowet(登録商標)EA612およびFluowet(登録商標)EA812を有する、ペルフルオロアルキルエタノール混合物;2−(ペルフルオロヘキシル)エタノール、例えば、ダイキン工業株式会社(大阪、日本)製の市販品DaikinA−1620、または2−(ペルフルオロオクチル)エタノール、例えば、ダイキン工業株式会社(大阪、日本)製の市販品Daikin A−1820が使用される。非常に特に好ましいのは、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノールを使用することである。
【0086】
さらに、ウレタン添加剤(PF)は、好ましくは、第一級モノアルコール、第二級モノアルコール、第三級モノアルコール、および/または第二級モノアミンの群から選択される、ウレタン添加剤(PF)を製造するために使用される成分(IIIa)によって製造されている。
【0087】
適切なモノアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、およびオクタノールであり、適切な第二級モノアルコールの例は、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、およびイソアミルアルコールであり、適切な第三級モノアルコールの例は、tert−ブタノールおよびtert−アミルアルコールである。
【0088】
適切な第二級モノアミンの例は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、2−アミノペンタン、ジブチルアミン、N−メチルオクチルアミン、ジフェニルアミン、フェニルエチルアミン、ピペリジン、ピロリドン、モルホリンなどである。
【0089】
ウレタン添加剤(PF)において、ポリイソシアネート(PI)中に元々存在するイソシアネート基の好ましくは95〜100モル%、より好ましくは100モル%が、成分(Ia)、(IIa)、および任意に(IIIa)と反応している。
【0090】
該コーティング材料組成物は、概して、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.05〜10.0質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%の量の、ウレタン添加剤(PF)を含む。
【0091】
成分(A)と、(B)と、任意に(C)と、(PF)とコーティング材料組成物のさらなる成分との組合せ
コーティング材料組成物が、一成分の組成物である場合、遊離イソシアネート基がブロッキング剤でブロックされている、ポリイソシアネート基含有成分(B)が選択される。イソシアネート基は、例えば、置換されたピラゾール、特にアルキル置換されたピラゾール、例えば、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾールなどでブロックされてもよい。特に好ましくは、成分(B)のイソシアネート基は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックされる。
【0092】
本発明によれば、特に好ましい二成分(2K)コーティング材料組成物は、コーティング材料が塗布される直前に、従来の方法で、ポリヒドロキシル基含有成分(A)および下記のさらなる成分を含むペイント成分と、ポリイソシアネート基含有成分(B)および任意に下記のさらなる成分を含むさらなるペイント成分との混合によって形成され、そこでは、概して、成分(A)を含むペイント成分は、ウレタン添加剤(PF)、および溶媒の一部を含む。
【0093】
ポリヒドロキシル成分(A)は、適切な溶媒中に存在してもよい。適切な溶媒は、ポリヒドロキシル基含有成分の充分な溶解を可能にするものである。そのような溶媒の例は、ポリイソシアネート基含有成分(B)のための、すでに列挙した溶媒(L)である。
【0094】
ポリオール(A)および任意に(C)と、ウレタン添加剤(PF)と、ポリイソシアネート(B)との質量分率は、好ましくは、ポリヒドロキシル基含有成分(A)および任意に(C)のヒドロキシル基対成分(B)のイソシアネート基のモル当量比が、1:0.9〜1:1.5の間、好ましくは1:0.9〜1:1.1の間、より好ましくは1:0.95〜1:1.05の間であるように選択される。
【0095】
本発明によれば、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して、30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%の少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有成分(A)、特に少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリアクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリメタクレート(A)を含むコーティング材料組成物が使用されることが好ましい。
【0096】
同様に、本発明によれば、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して、20〜50質量%、好ましくは25〜40質量%のポリイソシアネート基含有成分(B)を含むコーティング材料組成物の使用も好ましい。
【0097】
これらの他に、本発明のコーティング材料は、1種または複数のアミノ樹脂(E)をさらに含むことができる。企図しているものは、通例のおよび既知のアミノ樹脂であり、それらの一部のメチロールおよび/またはメトキシメチル基は、カルバメート基またはアロファネート基によって脱官能基化され(defunctionalized)ていてもよい。この種の架橋剤は、特許明細書US−A−4710542およびEP−B−0245700、さらには、Advanced Organic Coatings Science and Technology Series、1991、13巻、193〜207頁のB.Singhらの論文「Carbamylmethylated Melamines,Novel Crosslinkers for the Coatings Industry」に記載されている。概して言えば、そのようなアミノ樹脂(E)は、コーティング材料組成物のバインダー分に対して、0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%の割合で使用される。
【0098】
本発明のコーティング材料組成物は、好ましくは、成分(A)、(B)、(D)、任意に(C)、任意に(E)および(PF)と異なる、少なくとも1種の通例のおよび既知のコーティング添加剤(F)を、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して、有効量で、すなわち、好ましくは20質量%までの、より好ましくは0〜10質量%の量でさらに含む。
【0099】
コーティング添加剤(F)の例は、以下の通り、
− とりわけUV吸収剤、
− とりわけ光安定剤、例えば、HALS化合物、ベンゾトリアゾール、もしくはオキサルアニリド、
− ラジカル補足剤、
− スリップ剤、
− 重合抑止剤、
− 消泡剤、
− 成分(A)および(C)と異なる反応性希釈剤、特に、さらなる置換基および/または水との反応時のみに反応性になる反応性希釈剤、例えば、Incozolまたはアスパラギン酸エステル、
− 成分(A)および(C)と異なる湿潤剤、例えば、シロキサン、フッ素化合物、カルボキシルモノエステル、リン酸エステル、ポリアクリル酸およびそれらのコポリマー、もしくはポリウレタン、
− 付着促進剤、
− 流動調節剤、
− 通例の親水性および/または疎水性フュームドシリカ、例えば、様々なAerosil(登録商標)グレードをベースにしたレオロジー補助剤、または通例の尿素ベースのレオロジー助剤、
− 塗膜形成助剤、例えば、セルロース誘導体、
− フィラー、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムもしくは酸化ジルコニウムをベースにしたナノ粒子(さらなる詳細については、Roempp Lexikon 「Lacke und Druckfarben」、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、1998、250〜252頁を参照されたい)、
− 難燃剤
である。
【0100】
特に好ましいのは、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して40〜65質量%の少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリアクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリメタクリレート(A)、および/または少なくとも1種のポリヒドロキシル基含有ポリエステルポリオール(A)、および/またはポリヒドロキシル基含有ポリウレタン(A)と、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して25〜40質量%の少なくとも1種の成分(B)と、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して0〜5質量%のヒドロキシル基含有成分(C)と、
本発明のコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.1〜8.0質量%の少なくとも1種のウレタン添加剤(PF)と、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して0〜15質量%までの少なくとも1種のアミノ樹脂(E)と、
本発明のコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.1〜10質量%の少なくとも1種の架橋用の触媒(D)と、
コーティング材料組成物のバインダー分に対して0〜10質量%の少なくとも1種の通例のおよび既知のコーティング添加剤(F)と
を含むコーティング材料組成物である。
【0101】
個々の成分の量との関連で示した該コーティング材料組成物のバインダー分は、各場合において、成分(A)のバインダー分と、成分(B)のバインダー分と、成分(C)のバインダー分と、成分(PF)のバインダー分と、成分(E)のバインダー分との合計からなる。
【0102】
本発明のコーティング材料は、特に透明なコーティング材料、好ましくはクリアコートである。したがって、本発明のコーティング材料は、顔料を含まないか、または有機の透明染料または透明顔料を含むのみである。
【0103】
本発明のさらなる実施形態において、本発明のバインダー混合物または本発明のコーティング材料組成物は、付加的な顔料および/またはフィラーをさらに含むことができ、顔料着色されたトップコート、または顔料着色されたアンダーコート、またはサーフェイサー、特に顔料着色されたトップコートの製造に役立ちうる。これらの目的のために用いられる顔料および/またはフィラーは、当業者に既知である。顔料は、顔料対バインダー比が、各場合においてコーティング材料組成物のバインダー分に対して0.05:1〜1.5:1の間であるような量で典型的に使用される。
【0104】
本発明のコーティング材料組成物から生成されるコーティングは、すでに硬化した電着コート、プライマーサーフェイサーコート、ベースコート、または通例のおよび既知のクリアコートにさえ非常によく付着するので、それらは、自動車OEM(生産ライン)塗装におけるそれらの使用に加えて、自動車補修塗装、および/または自動車内または自動車上に取り付ける部品のコーティング、および/または商用車のコーティングに非常によく適している。
【0105】
本発明のコーティング材料組成物の塗布は、通例の塗布方法のいずれか、例えば、スプレー法、ナイフコーティング法、スプレッド法、注入法、ディップ法、含浸法、滴下法、またはロール法によって行うことができる。そのような塗布に関して、コーティングされる基材は、それ自体は動かなくてよく、塗布ユニットまたは装置が動かされる。あるいは、コーティングされる基材は、特にコイルは、動かしてもよく、塗布ユニットは、基材に対して動かないか、適切に動かされる。
【0106】
スプレー塗布法、例えば、圧縮空気スプレー法、エアレススプレー法、高速回転法、静電スプレー塗布法(ESTA)を単独で、またはホットスプレー塗布法、例えば、ホットエアスプレー法と一緒に用いることが好ましい。
【0107】
本発明の塗布されたコーティング材料の硬化は、一定の静止時間後に行うことができる。静止時間は、例えば、コーティング塗膜の平坦化および脱気、または揮発成分、例えば、溶媒の蒸発に役立つ。静止時間は、早期の完全な架橋などの、コーティング塗膜に対するダメージまたはコーティング塗膜の変化のいかなる例も引き起こさないという条件で、昇温の適用、および/または大気湿度の低下によってアシストおよび/または短縮されてもよい。
【0108】
コーティング材料の熱硬化は、方法に関して特殊性を有さず、通例のおよび既知の方法、例えば、強制空気オーブンにおける加熱、またはIRランプによる照射に従って行われる。この熱硬化は、段階的に行うこともできる。別の好ましい硬化方法は、近赤外(NIR線)による硬化の方法である。
【0109】
熱硬化は、20〜200℃、好ましくは40〜190℃、特に50〜180℃の温度で、1分から10時間まで、好ましくは2分から5時間、特に3分から3時間の間有利に行われ、低温で、より長い硬化時間も用いることができる。自動車補修塗装、およびプラスチック部品のコーティング、ならびに商用車のコーティングについて、ここでは、好ましくは20〜80℃という比較的低い温度が典型的に用いられる。
【0110】
本発明のコーティング材料は、輸送手段(とりわけ、動力車、例えば、自転車、オートバイ、バス、トラック、または乗用車)の車体またはその部品;建物の内部および外部;家具、窓、およびドア;プラスチック成形品、とりわけ、CDおよび窓;小型工業部品、コイル、容器、およびパッケージ;白物家電;フィルム;光学、電気、および機械部品;ならびに中空ガラス器および日用品への装飾的、保護的、および/または効果を与えるコーティングまたは塗装として非常によく適している。
【0111】
したがって、本発明のコーティング材料組成物は、例えば、コーティングされていない、またはプレコーティングされた基材に塗布することができ、本発明のコーティング材料は、顔料着色されている、または顔料着色されていない、のいずれかである。特に、本発明のコーティング材料組成物およびペイント系、特に、クリアコートは、技術的および審美的に特に要求の高い自動車OEM塗装の分野において;ならびに車体内または車体上に取り付けるための、特に高級車の車体のためのプラスチック部品のコーティング、例えば、ルーフ、ハッチ、フード、フェンダー、バンパー、スポイラー、ドアシル、保護用ストリップ、サイドトリムなどを製造するために;ならびに商用車、例えば、トラック、チェーン駆動建設用車両、例えば、クレーン車両、ホイールローダー、コンクリートミキサー、バス、鉄道車両、船舶、航空機、さらに農機、例えば、トラクターおよびコンバイン、ならびにそれらの部品の塗装のために;ならびに、ラインでのOEM塗装の修理だけでなく、例えば、引っ掻き、石片による傷などの局所的な欠陥の修理、さらに、車両の価値向上のための対応する修理工場および自動車ペイントショップにおける完全な再コーティングを包含する自動車補修塗装のために用いられる。
【0112】
プラスチック部品は、典型的には、ASA、ポリカーボネート、ASAとポリカーボネートとのブレンド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、または耐衝撃性改質のポリメチルメタクリレート、特に、ASAとポリカルボネートとのブレンド、好ましくは、ポリカーボネート分>40%で、特に>50%で使用する該ブレンドからなる。
【0113】
ASAは、ビニル芳香族化合物、特にスチレンと、シアン化ビニル、特にアクリロニトリルとのグラフトコポリマーが、特にスチレンおよびアクリロニトリルのコポリマーマトリクス中のポリアルキルアクリレートゴム上に存在する、耐衝撃性改質スチレン/アクリロニトリルポリマーを一般に指す。
【0114】
特に好ましくは、本発明のコーティング材料組成物は、多段階コーティング法において、特に、任意にプレコーティングされた基材が、まず、顔料着色されたベースコート塗膜で、次いで、本発明のコーティング材料組成物でコーティングされる方法において使用される。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの顔料着色されたベースコート、およびその上に塗布される少なくとも1つのクリアコートを含む、色および/または効果を与えるマルチコート塗装であって、クリアコートが、本発明のコーティング材料組成物から生成されていることを特徴とする、マルチコート塗装を提供する。
【0115】
水希釈性ベースコートだけでなく、有機溶媒をベースとしたベースコートも使用することができる。適切なベースコートは、例えば、EP−A−0692007、およびその中の第3欄、第50行以下に列挙された文献に記載されている。好ましくは、塗布されたベースコートは、まず乾燥される、すなわち、蒸発段階において、少なくとも一部の有機溶媒および/または水が、そのベースコート塗膜から除去される。乾燥は、好ましくは室温〜80℃の温度で行われる。乾燥が行われた後、本発明のコーティング材料組成物が塗布される。その後、2コート塗装が、好ましくは自動車OEM塗装において使用される条件下、20〜200℃の温度で、1分〜10時間までの間焼き付けられ、自動車補修塗装に用いられる温度、一般に、20〜80℃の間の場合には、より長い硬化時間を用いることもできる。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明のコーティング材料組成物は、プラスチック基材、特に、内部または外部に取り付けるためのプラスチック部品のコーティングのために、透明なクリアコートとして使用することができる。内部または外部に取り付けるためのこれらのプラスチック部品は、好ましくは、多段階コーティング法で同様にコーティングされ、そこでは、任意にプレコーティングされた基材、または次のコーティングの付着を高めるために前処理された基材(例えば、基材の火災処理、コロナ処理、またはプラズマ処理によって)は、まず、顔料着色されたベースコート塗膜で、その後、本発明のコーティング材料組成物でコーティングされる。
【実施例】
【0117】
ポリアクリレートポリオール(A1)の製造
窒素でフラッシングした、およびその上に凝縮器が取り付けられている反応器に、589.25質量部のSolventnaphta(登録商標)を装入し、この最初の装入物を、撹拌しながら140℃まで加熱した。これと並行して、2つの別個の供給物を用意した。供給物1は、340.75質量部のシクロヘキシルメタクリレート、262.00質量部のスチレン、209.25質量部のn−ブチルメタクリレート、235.75質量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および262.00質量部のヒドロキシプロピルメタクリレートからなるものであった。供給物2は、61.00質量部のSolventnaphta(登録商標)、および130.75質量部のペルオキシドTBPEH(tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなるものであった。140℃の温度に達したら、供給物2を、285分間にわたって、ゆっくりかつ均一に計量供給した。供給物2の開始15分後、供給物1を、240分間にわたって、ゆっくりかつ均一に反応器に計量供給した。供給物2の計量供給の終了後、反応混合物を、後重合のために、140℃でさらに120分間撹拌した。重合溶液を、409.25gのメトキシプロピルアセテートで希釈する。得られた生成物のバインダー分が55.15%であり、酸価が1.5mgKOH/g(固体含有量に対して)であり、粘度(23℃で)が650mPa sであることが判明した。理論上のOH価は、156mgKOH/gである。
【0118】
ポリアクリレートポリオール(A2)の製造
窒素でフラッシングした、およびその上に凝縮器が取り付けられている反応器に、678.22質量部のSolventnaphta(登録商標)を装入し、この最初の装入物を、撹拌しながら140℃まで加熱した。これと並行して、2つの別個の供給物を用意した。供給物1は、335.73質量部のシクロヘキシルメタクリレート、258.28質量部のスチレン、193.25質量部のn−ブチルメタクリレート、232.38質量部の2−ヒドロエチルメタクリレート、12.83質量部のアクリル酸、および258.28質量部のヒドロキシプロピルメタクリレートからなるものであった。供給物2は、58.33質量部のSolventnaphta(登録商標)、および129.03質量部のペルオキシドTBPEH(tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)からなるものであった。140℃の温度に達したら、供給物2を、285分間にわたって、ゆっくりかつ均一に計量供給した。供給物2の開始15分後、供給物1を、240分間にわたって、ゆっくりかつ均一に反応器に計量供給した。供給物2の計量供給の終了後、反応混合物を、後重合のために、140℃でさらに120分間撹拌した。重合溶液を、146.60gの酢酸ブチルと、196.70のソルベントナフサとの混合物で希釈する。得られた生成物のバインダー分が55.10%であり、酸価が9.6mgKOH/g(固体含有量に対して)であり、粘度(23℃で)が1120mPa sであることが判明した。理論上のOH価は、156mgKOH/gである。
【0119】
Aerosilペースト(A3)の製造
Vollrath製の実験用撹拌ミルに、110gのケイ砂(粒径0.70±0.1mm)と共に、656gのポリアクリレートA2、74.4gの酢酸ブチル、および69.6gのAerosil(登録商標)R380(Evonik Industries AG、Hanau、BET比表面積=380±30m
2/g)からなる800gのミルベースを装入し、水冷しながら、30分間分散させる。分散後、分離を行い、粉砕媒体を取り除いた。
【0120】
フッ素含有成分(PF1)から(PF6)ならびに成分(PFV1)から(PFV2)の製造
市販の、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(Desmodur(登録商標)N3300、Bayer Materials Science AG)100gを、500mlの三つ口フラスコに入れる。その器具には、KPGブレード型撹拌機、滴下漏斗、および乾燥窒素の導入に合ったガス供給機が備わる。イソシアネートを、表1に示した量のSolventnaphta(登録商標)で希釈し、溶液を70℃まで加熱する。次いで、Xモル%のNCO基を、表1に示した量の同様に表1で示した単官能フルオロアルコールと反応させる。理論上のNCO値に達したら、20モル%の残留NCO基をペンタノールと反応させる。再び、理論上のNCO値に達したら、残留NCO基を、表1に示した、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン(Evonik製の市販品Dynasylan(登録商標)1124)と、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ブチルアミン(Evonik製のDynasylan(登録商標)1189)との混合物と反応させる。NCOが0%に達したら、生成混合物を冷却し、固体含有率を確認する(すべてのバッチを、SC60%に基づき計算する)。
【0121】
硬化剤溶液(B)
硬化剤溶液を製造するために、適切な容器に、市販のイソホランジイソシアネート(Solventnaphta(登録商標)中で強度70%)13.5部、市販の、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(1:1の酢酸ブチル/Solventnaphta(登録商標)中で強度90%)69.5部、Solventnaphta(登録商標)8.5部、および酢酸ブチル8.5部を装入し、これらの成分を、撹拌によって互いによく混合する。硬化剤溶液の固体含有率(バインダー分)は、72.0%である。
【0122】
【表1】
【0123】
本発明の実施例B1から実施例B6のコーティング材料、および比較例V1と比較例V2のコーティング材料の形成、ならびに実施例1から実施例6の対応するコーティング、および比較例V1と比較例V2の対応するコーティングの形成
【0124】
本発明の実施例のベースワニス(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、(S5)および(S6)、ならびに比較例のベースワニス(VS1)および(VS2)を製造するために、表2に示した構成成分を、示した順番(上から始まる)で量り取り、この順番で適切な容器に入れ、撹拌によって互いによく混合する。
【0125】
【表2】
【0126】
表2への鍵
1)Setalux(登録商標)91756=60質量%の不揮発分を有する、ポリアクリレートバインダーにおいて溶液/分散液状態の、尿素系の、Nuplex Resins(Netherland)製の市販のレオロジー剤
2)上記の、Aerosil(登録商標)のペーストA3
3)Cymel(登録商標)202=ブタノール中で強度82%の、Cytec製の市販のメラミン樹脂
4)Tinuvin(登録商標)384=BASF SE製の市販のベンゾトリアゾール系光安定剤
5)Tinuvin(登録商標)292=BASF SE製の市販の立体障害アミン系光安定剤
6)市販のポリエーテル修飾ポリメチルアルキルシロキサン
7)各場合において、強度60%の成分PFを1質量部使用する
【0127】
本発明の実施例B1から実施例B6のコーティング材料(KL)、および比較例V1と比較例V2のコーティング材料を製造するために、表3に示した構成成分を、示した順番(上から始まる)で量り取り、この順番で適切な容器に入れ、撹拌しながら互いによく混合する。
【0128】
【表3】
【0129】
金属のボンダーパネルを、市販の電着コーティング材料(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)500)および市販の水性サーフェイサー(BASF Coatings GmbH製のSecuBloc(登録商標))で、連続してコーティングし、各場合において焼成する。次いで、この系を、市販の黒色水性ベースコート材料(BASF Coatings GmbH製のColorBrite(登録商標))でコーティングし、80℃で7分間乾燥する。次いで、実施例B1から実施例B6のコーティング材料、および比較例V1と比較例V2のコーティング材料を、重力式カップガンを使用して塗布する。塗布後、ワニス系を、3回、各場合において135℃で20分間にわたって焼成する。
【0130】
得られたコーティングのそれぞれの硬度を確認する。すべてのコーティングは、良好な硬度で際立っている。その後、標準のDIN EN ISO 2409 DEに従って、クロスカットを行い、付着性試験を、粘着テープの剥離により行う。さらに、試験結果を表4に示す。
【0131】
【表4】
【0132】
表4への鍵
1)添加剤PFにおけるF-アルコールの量を掛けた、ベースワニスにおけるPFの割合から算出する