【実施例1】
【0038】
図1は、本実施の形態1における超音波診断装置の一例を示す構成図である。
超音波診断装置1000は、
図1に示すように、プローブ1004および本体装置1005を有する。
【0039】
プローブ1004は、複数のサブアレイ1001a,1001b,…、サブアレイ切替スイッチ1101a,1101b,…、基準電圧源1102a,1102b,…、送信信号源1103a,1103,…、および制御回路(
図1では、CNTと示す)1200を備える。
【0040】
本体装置1005は、プローブ1004の側のサブアレイ切替スイッチ1101a,1101b,…と接続する複数のインターフェース回路(
図1では、IFと示す)1003a,1003b,…、プローブ1004の側の制御回路(CNT)1200と接続するデジタルインターフェース(
図1では、デジタルIFと示す)1006、インターフェース回路1003a,1003b…と接続する制御部1007、制御部1007と接続して超音波画像を表示する表示部1008を有する。
【0041】
プローブ1004の側のサブアレイ切替スイッチ1101、基準電圧源(SREF)1102、送信信号源(SDG)1103,および本体装置1005の側のインターフェース回路1003は、1個のサブアレイ1001に対して1個それぞれ設けられている。なお、以下、添え字のa,b,c,…は同一の構成要素であることを示し、特に必要のない場合は省略する。
【0042】
図2はプローブ1004が有する1サブアレイ1001の構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
サブアレイ1001は、複数の1素子回路102a,102b,…、をそれぞれ有する。サブアレイ1001は、プローブ1004の内部に、例えば128個設けられる。1素子回路102は、各サブアレイ1001の内部に、8×8=64個程度がマトリクス状に配列された構成からなる。
【0044】
図3は、サブアレイ1001が有する1素子回路102の構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
送受信部である1素子回路102は、図示するように、振動子201、送受分離部202、受信アナログフロントエンド部(
図2では、受信AFEと示す)204、および受信遅延を行なう受信アナログメモリ部205、送信部203、送信遅延を行なう送信アナログメモリ部206、素子回路切替スイッチ207から構成される。
【0046】
図4は、1素子回路102が有する素子回路切替スイッチ207の構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
素子回路切替スイッチ207は、スイッチSW10、SW11、SW12、SW13と、を有する。
スイッチSW10は、端子O2と端子SOとの間に挿入される。
スイッチSW11は、端子R2と端子SRとの間に挿入される。
スイッチSW12は、端子D0と端子SOとの間に挿入される。
スイッチSW13は、端子D1と端子SRとの間に挿入される。
【0048】
図5は、サブアレイ切替スイッチ1101の構成の一例を示すブロック図である。
サブアレイ切替スイッチ1101は、スイッチSW20、SW21、SW22、SW23と、バッファ1201と、を有する。
スイッチSW20は、バッファ1201と端子SOとの間に挿入される。 スイッチSW21は、端子SR2と端子SRとの間に挿入される。
スイッチSW22は、端子SD0と端子SOとの間に挿入される。
スイッチSW23は、端子SD1と端子SRとの間に挿入される。
バッファ1201は、スイッチSW20と端子SO2との間に挿入される。
【0049】
サブアレイ切替スイッチ1101の端子SOおよび端子SRは、サブアレイ1001が有する1素子回路102の全てに対し、共通にそれぞれ接続され、1素子回路102が有する素子回路切替スイッチ207の端子SOおよび端子SRに、それぞれ接続される。
【0050】
サブアレイ切替スイッチ1101の端子SO2は、本体装置1005のインターフェース回路1003と接続され、端子SR2は基準電圧源1102と接続され、端子SD0および端子SD1は、送信信号源1103にそれぞれ接続される。
【0051】
素子回路切替スイッチ207の端子O2と端子R2は、受信アナログメモリ部205にそれぞれ接続され、端子D0と端子D1は、送信アナログメモリ部206にそれぞれ接続される。
【0052】
図10は、基準電圧源1102の構成の一例を示すブロック図である。
【0053】
基準電圧源1102は、基準電圧設定回路1300とバッファ回路1310を備えている。基準電圧設定回路1300は電流源1301と抵抗1302で構成される。バッファ回路1310はボルテージフォロワを構成している。
【0054】
基準電圧設定回路1300では、抵抗1302の一端が電流源1301と接続され、他端はグランド電位に接続される。電流源1301の電流値をIとし、抵抗1302の抵抗値をRとすれば、IRの基準電圧が基準電圧設定回路1300から出力され、バッファ回路1310に入力される。バッファ回路1310は、ボルテージフォロワを構成しており、入力された基準電圧を低インピーダンスで出力する。
【0055】
以下、
図1、
図2、
図3を用いて、振動子201から行なう超音波信号の送受信動作について説明する。
【0056】
図1の送信信号源1103から出力された送信入力信号SD1は、本体装置1005のデジタルIF1006を介して制御部1007で制御されたプローブ1004の制御回路(CNT)1200からの切替信号Cによって、
図1のサブアレイ切替スイッチ1101のスイッチSW23をオンにしてスイッチSW21をオフにして端子SRから出力して素子回路切替スイッチ207の端子SRに入力することで、サブアレイ1001内の1素子回路102に共通に入力される。
【0057】
1素子回路102に入力された送信入力信号は、制御回路1200からの切替信号Cによって、
図3の素子回路切替スイッチ207のスイッチSW11がオフにされスイッチSW13がオンにされることで端子D1から出力され、
図3の送信アナログメモリ部206へ入力される。
【0058】
図1の送信信号源1103から出力された送信入力信号SD0は、本体装置1005のデジタルIF1006を介して制御部1007で制御されたプローブ1004の制御回路(CNT)1200からの切替信号Cによって、
図1のサブアレイ切替スイッチ1101のスイッチSW22をオンにしてスイッチSW20をオフにして端子SOから出力して素子回路切替スイッチ207の端子SOに入力することで、サブアレイ1001内の1素子回路102に共通に入力される。
【0059】
1素子回路102に入力された送信入力信号は、制御回路1200からの切替信号Cによって、
図3の素子回路切替スイッチ207のスイッチSW10がオフにされスイッチSW12がオンにされることで端子D0から出力され、
図3の送信アナログメモリ部206へ入力される。
【0060】
送信アナログメモリ部206では、図示はしていないが遅延制御用の制御信号を出力するデジタル回路からの制御信号に基づいて、送信入力信号をサンプリングしてメモリに蓄積し、ある遅延時間(超音波を照射したい部位のプローブからの距離に応じた時間)の後に送信部203へ出力する。送信部203は入力した送信入力信号D0とD1の値に応じて正あるいは負の振幅の高圧信号にレベル変換し、送受分離部202を介して振動子201を駆動する。振動子201からは、超音波信号が出力される。また、振動子201から出力されて検体で反射した超音波信号は、振動子201で受信される。
【0061】
振動子201が受信した超音波信号は、送受分離部202によって分離されて受信アナログフロントエンド部204に入力される。受信アナログフロントエンド部204では、受信した信号を増幅およびフィルタリングなどの処理を行う。
【0062】
受信アナログフロントエンド部204から出力された信号は、受信アナログメモリ部205に入力される。この受信アナログメモリ部205は、図示はしていないが遅延制御用の制御信号を出力するデジタル回路からの制御信号に基づいて、アナログ入力信号をサンプリングしてメモリに蓄積し、ある遅延時間の後に出力する。
【0063】
また、受信アナログメモリ部205に入力される信号の振幅について、振幅がない状態に対応する出力信号の基準電圧は、
図1の基準電圧源1102から出力され、サブアレイ切替スイッチ1101の端子SR2に入力される。制御回路1200からの切替信号Cによって、サブアレイ切替スイッチ1101がスイッチングされ、スイッチSW21がオンになりスイッチSW23がオフになる。これにより、サブアレイ切替スイッチ1101の出力端子SRからは基準電圧が出力され、サブアレイ1001内の1素子回路102の素子回路切替スイッチ207の入力端子SRに入力される。制御回路1200からの切替信号Cによって、素子回路切替スイッチ207のスイッチSW11をオンにしてスイッチSW13をオフにすることにより、素子回路切替スイッチ207の端子R2から受信アナログメモリ部205に基準電圧が入力される。
【0064】
基準電圧が入力された受信アナログメモリ部205から出力された信号は、素子回路切替スイッチ207の端子O2に入力し、制御回路1200からの切替信号Cによって、素子回路切替スイッチ207のスイッチSW10をオンにしてスイッチSW12をオフにすることにより、素子回路切替スイッチ207の端子SOから、即ち1素子回路102から出力される。サブアレイ単位で共通の信号線(
図2のSOと接続する線)に接続することにより、サブアレイ1001内の1素子回路102の端子SOからの出力信号が、サブアレイ単位で加算される。
【0065】
サブアレイ1001内の全ての1素子回路102からの出力信号が加算された信号は、サブアレイ1001の端子SOからサブアレイ切替スイッチ1101の端子SOに入力する。
【0066】
制御回路1200から出力される切替信号Cによって、サブアレイ切替スイッチ1101のスイッチSW20をオンにしてスイッチSW22をオフにすることにより、サブアレイ切替スイッチ1101端子SO2から出力して、本体装置1005のインターフェース回路1003に送られる。
【0067】
インターフェース回路1003に送られた信号は制御部1007に送られ、制御部1007でそれぞれのサブアレイ1001からの出力に対応する信号が統合されて被検体の超音波画像が形成される。この形成された超音波画像は、表示部1008に送られて、表示部の画面受に表示される。
【0068】
図6は、1素子回路102の素子回路切替スイッチ207の制御の一例を示す真理値表である。
【0069】
図7は、サブアレイ切替スイッチ1101の制御の一例を示す真理値表である。
【0070】
図8は、送受分離部202の制御の一例を示す真理値表である。
【0071】
1素子回路102の素子回路切替スイッチ207のスイッチSW10、SW11、SW12、SW13と、サブアレイ切替スイッチ1101のスイッチSW20、SW21、SW22、SW23と、送受分離部202は、制御回路1200から出力される切替信号Cの0、あるいは1のデジタル値に応じて、スイッチの端子間が導通状態でありスイッチがオンしていることを示すCLOSE、あるいはスイッチの端子間が非導通状態でありスイッチがオフしていることを示すOPENのモードに設定される。制御回路1200から出力される切替信号Cは、本体のデジタルIF1006を介して、制御部1007により制御される。
【0072】
図9は、1素子回路102の送受分離部202と素子回路切替スイッチ207と、サブアレイ切替スイッチ1101の制御のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【0073】
以下、
図6乃至
図9を用いて、素子回路切替スイッチ207とサブアレイ切替スイッチ1101と送受分離部202の制御のタイミングについて説明する。
【0074】
図9において、T01の期間は、切替信号Cは0に設定される。送受分離部202はOPENに設定され、受信アナログフロントエンド部204は、送信部203および振動子201と分離される。素子回路切替スイッチ207のスイッチSW10、SW11、及びサブアレイ切替スイッチ1101のスイッチSW20、SW21はOPENに設定され、素子回路切替スイッチ207のスイッチSW12、SW13、及びサブアレイ切替スイッチ1101のSW22、SW23はCLOSEに設定される。
【0075】
従って、本体装置1005のデジタルIF1006を介して制御部1007で制御されたプローブ1004の制御回路1200から各送信信号源1103に出力される制御信号に基づいて送信信号源1103から出力される送信入力信号はスイッチSW12、SW13、SW22、SW23を通過し、送信アナログメモリ部206に入力することが可能となる。即ち、振動子201から超音波信号が出力可能な状態となる。
【0076】
図9において、T02の期間は、切替信号Cは1に設定される。送受分離部202はCLOSEに設定され、受信アナログフロントエンド部204は、振動子201と導通状態になる。スイッチSW10、SW11、SW20、SW21はCLOSEに設定され、スイッチSW12、SW13、SW22、SW23はOPENに設定される。従って、基準信号源1102から出力される基準電圧はスイッチSW11、SW21を通過し、受信アナログメモリ部205に入力することが可能となる。受信アナログメモリ部205から出力される信号はスイッチSW10を通過し、サブアレイ1001内の1素子回路102の出力信号が、サブアレイ単位で加算され、スイッチSW20を通過し、バッファ1201に入力され、本体装置1005へと出力される。即ち、振動子201で受信した超音波信号が、本体装置1005で受信可能な状態となる。
【0077】
以上に示したとおり、サブアレイ1001毎に基準電圧源を設けるため、複数のサブアレイ1001間の出力信号の干渉は起こらない。一方、サブアレイ1001毎に基準電圧を出力する配線が必要となるが、
図5に示したように、サブアレイ切替スイッチ1101に、端子SR2から基準電圧を入力し、端子SD1から送信信号入力してスイッチSE21とSW23とを切替えることにより、サブアレイ切替スイッチ1101端子SRからは基準電圧と送信信号の何れかが出力され、サブアレイ1001へ入力する配線SRと兼用が可能なため、配線面積を抑えながら、サブアレイ1001間の出力信号の干渉を防ぐことが可能な超音波プローブを提供することができる。
【0078】
また、本実施例では、
図11のバッファ回路1310はボルテージフォロワに限らず低出力インピーダンスが実現可能な構成なら良い。例えば、エミッタフォロワやソースフォロワ、オペアンプを用いた非反転増幅器などが考えられる。
【0079】
また、
図3において、受信アナログメモリ部205と送信アナログメモリ部206は、送信と受信で共用しても良い。この場合でも、送信入力用の端子D0と端子D1と受信出力用の端子Oと基準電圧入力用の端子Rに対して、素子回路切替スイッチ207を接続することで、基準電圧の配線と送信入力信号の配線を兼用することが可能である。
【実施例2】
【0080】
図11は
図1に対し、
図10に示す基準電圧源1102内の基準電圧設定回路1300を
図13に示した基準電圧設定回路1400で置き換えて、各基準電圧源で共有できるようにした図である。以下、
図11乃至
図13を用いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0081】
基準電圧設定回路1400から出力された基準電圧信号は、基準電圧源1110を介しサブアレイ切替スイッチ1101に接続される。基準電圧設定回路1400は制御回路1210から入力された制御信号に基づき、基準電圧を設定し、基準電圧源1110へと出力する。基準電圧源1110はバッファとして動作し、基準電圧設定回路の出力を受け、低インピーダンスで出力する。その他の動作は本発明第1の実施の形態と同じなため説明を省略する。
【0082】
図12に本実施例における基準電圧源1110の一例を示す。
図13に本実施例における基準電圧設定回路1400の一例を示す。
【0083】
基準電圧源1110は、バッファ回路1310で構成され、バッファ回路1310は、ボルテージフォロワを構成しており、入力された基準電圧を低インピーダンスで出力する。
【0084】
図13に示した基準電圧設定回路1400は、電流源1401と抵抗1402と抵抗1403とスイッチSW1419とSW1411とバッファ回路1404で構成される。
【0085】
電流源1401は、直列接続された抵抗1402と抵抗1403に電流を流し、抵抗1403の一端はグランド電位に接続される。電流源1401の電流値をIとし、抵抗1402と抵抗1403の抵抗値をそれぞれRとすれば、スイッチSW1400とスイッチSW1401の一端にはそれぞれ、I2RとIRの基準電圧が加えられる。
【0086】
スイッチSW1410とスイッチSW1411は制御回路1200により制御され、スイッチSW1410がクローズで、スイッチSW1411がオープンの場合、I2Rの基準電圧がバッファ回路1404に入力される。一方、スイッチSW1410がオープンで、スイッチSW1411がクローズの場合、IRの基準電圧がバッファ回路1404に入力される。バッファ回路1404は、ボルテージフォロワを構成しており、入力された基準電圧を低インピーダンスで出力する。
【0087】
すなわち、基準電圧をサブアレイ1001へ供給するため、低インピーダンス出力のバッファ回路部1310は、各サブアレイに対して1対1で接続することにより、異なるサブアレイ間の干渉を低減できる。
【0088】
一方、基準電圧の設定を行なう基準電圧設定回路1400は、
図12に示すように、複数の基準電圧源1110で共有される。そのため、基準電圧設定回路1400を各基準電圧源内で構成する方式に比べ、面積と消費電力の削減が可能となる。
【0089】
また、制御回路1210からの信号により、基準電圧設定回路1400のスイッチSE1410とSE1411とを制御することで、基準電圧を変えることが可能となる。例えば、
図3に示した受信AFE204あるいは受信アナログメモリ部205が複数の消費電力で動くモードを持つとすれば、そのモードに連動して基準電圧を切替えることが可能となる。
【0090】
また、本実施例における、
図13と
図14のバッファ回路1310とバッファ回路1404は、ボルテージフォロワに限らず低出力インピーダンスが実現可能な構成なら良い。例えば、エミッタフォロワやソースフォロワ、オペアンプを用いた非反転増幅器などが考えられる。また、
図14のバッファ回路1404が無い構成でも良い。バッファ回路1404は、基準電圧設定回路1400と基準電圧源1110の間の配線において、周辺配線からの距離が近く、カップリングによる干渉の影響が懸念される場合等は、バッファ回路1404を入れることで、バッファ回路1404の出力が低インピーダンスのため、干渉の影響が軽減される。
【0091】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0092】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0093】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。