特許第6445260号(P6445260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445260
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20181217BHJP
   H01R 12/75 20110101ALI20181217BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20181217BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   H01B7/00 306
   H01R12/75
   H05K1/18 U
   H02G3/16
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-117715(P2014-117715)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-230873(P2015-230873A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(72)【発明者】
【氏名】秋山 信一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 文平
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−251755(JP,A)
【文献】 特開2003−111239(JP,A)
【文献】 特開平10−190164(JP,A)
【文献】 特開2007−202352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
B60R 16/02
H01R 12/75
H02G 3/16
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に標準的に搭載される複数の標準系サブハーネスと、
前記車両に選択的に搭載される少なくとも1つのオプション系サブハーネスと、
前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスと接続可能な回路パターンが形成された回路基板と、
を備えたワイヤハーネスであって、
前記オプション系サブハーネスが搭載されない車両に使用される場合、全ての前記複数の標準系サブハーネスのみが前記回路基板に接続されることで、全ての前記複数の標準系サブハーネスが前記回路パターンを介して導通接続され、
前記オプション系サブハーネスが搭載される車両に使用される場合、全ての前記複数の標準系サブハーネス及び選択された前記オプション系サブハーネスが前記回路基板に接続されることで、全ての前記複数の標準系サブハーネス及び選択された前記オプション系サブハーネスが前記回路パターンを介して導通接続される、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記回路基板は、前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスの各々の端部を着脱自在に接続可能な複数の接続部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記回路基板に形成された前記回路パターンは、要求される仕様に応じて接続される前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスの種類の違いに対応して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記回路基板は、電気絶縁性の基板と前記基板の少なくとも1つの面に貼り付けられた導電性の箔状パターンとを有するプリント基板である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記回路基板は、厚み方向に重ねて配置された複数の電気絶縁層を有し、互いに電気的に分離された複数の箔状パターンが、前記複数の電気絶縁層の各境界及び表面にそれぞれ形成された多層プリント基板である、
ことを特徴とする請求項4に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサブハーネスを用いて構成されるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるワイヤハーネスの従来技術に関しては、特許文献1及び特許文献2が知られている。このようなワイヤハーネスは、特許文献1の図1に示されるように、例えば系統毎にそれぞれ用意された複数のサブハーネスを束ねた集合体として構成されるのが一般的である。束ねられるサブハーネスは、そのワイヤハーネスに求められる仕様に応じて異なる。
【0003】
具体的には、どの車種の、どのグレードの、必要とされるオプションの有無によって、車両に必要とされる電装品が異なり、このため、その電装品に接続される電源線、アース線、信号線、通信線を構成する回路線が異なってくる。このような、回路線の違いに対応するため、例えば電装システム単位でその電装システムを駆動するための回路線をまとめたものをサブハーネスとし、車種、グレード、オプションに応じて必要とされる仕様に応じたサブハーネスを選択し、それらのサブハーネスを束ねて一つのワイヤハーネスを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−160464号公報
【特許文献2】特開2001−169433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤハーネスWHの具体的な構成例と、このワイヤハーネスを構成するために予め用意される複数種類のサブハーネスとの関係を図6に示す。図6に示したワイヤハーネスの構成例について以下に説明する。
【0006】
図6においては、サブハーネス群SHGとしてサブハーネスA1、A2、B1、B2、及びCが用意されている。したがって、サブハーネス群SHGの中から適宜選択した複数のサブハーネスを束ねてワイヤハーネスWHを構成することができる。
【0007】
例えば、図6に示したサブハーネスA2と、サブハーネスB2と、サブハーネスCとの3つを組み合わせたアセンブリ(Assy)としてワイヤハーネスWHを構成することができる。しかし、ワイヤハーネスWHの構成については、これを搭載する車両の車種、グレード、オプション等の仕様の違いに対応して変更する必要がある。つまり、ワイヤハーネスWHを構成する電線の本数や、各電線に接続するコネクタの有無などが、適宜変更される。
【0008】
図6の例では、サブハーネス群SHGの中から選択するサブハーネスの組み合わせを次のように変更することにより、ワイヤハーネスWHの全体の構成を変更できる。
(1)サブハーネスA1と、サブハーネスB1と、サブハーネスCとの3つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
(2)サブハーネスA2と、サブハーネスB1と、サブハーネスCとの3つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
(3)サブハーネスA1と、サブハーネスB2と、サブハーネスCとの3つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
(4)サブハーネスA1と、サブハーネスB1との2つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
(5)サブハーネスA2と、サブハーネスB1との2つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
(6)サブハーネスA1と、サブハーネスB2との2つを組み合わせてワイヤハーネスWHを構成する。
【0009】
ワイヤハーネスは、このようにして、車種、グレード、オプションに応じて異なる仕様に対応している。このようなワイヤハーネスが、特許文献1の図1に示されるように、例えばリインフォースに配索される。このワイヤハーネスは、インパネワイヤハーネスと称されることがある。
【0010】
上述した現状のワイヤハーネスやサブハーネスには、どの車種、どのグレード、どのオプションであっても必ず使用される標準系の回路(図中の実線。以下標準系回路線と称することがある。)と、車種、グレード、オプションによって選択的に追加される回路(図中の1点鎖線。以下、選択回路線と称することがある。)とが含まれる。
【0011】
あるサブハーネスに選択的に追加される回路が増えれば増えるほど、そのサブハーネスには異なる品番のものを用意しなければならなくなる。図6のサブハーネス群SHGの中のサブハーネスA1、A2に関しては、選択的に追加される回路が1つのみであるため2種類のサブハーネス(A1、A2)だけを用意しておけばよい。しかし、選択的に追加される回路が2つの場合は4種類のサブハーネス、選択的に追加される回路が3つの場合は8種類のサブハーネスが必要になる。つまり、事前に用意しなければならないサブハーネスの種類(品番)が指数関数的に増加する。
【0012】
このように、標準系回路線及び選択回路線を組み合わせてサブハーネスを構成する形態では、電装品数の増大に伴い、あるいは車種、グレード数、オプション数の増大に伴って、管理しなければならないサブハーネスの数が増加する傾向にある。
【0013】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、事前に用意しなければならないサブハーネスの品番数の増大を抑えることができるワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 車両に標準的に搭載される複数の標準系サブハーネスと、
前記車両に選択的に搭載される少なくとも1つのオプション系サブハーネスと、
前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスと接続可能な回路パターンが形成された回路基板と、
を備えたワイヤハーネスであって、
前記オプション系サブハーネスが搭載されない車両に使用される場合、全ての前記複数の標準系サブハーネスのみが前記回路基板に接続されることで、全ての前記複数の標準系サブハーネスが前記回路パターンを介して導通接続され、
前記オプション系サブハーネスが搭載される車両に使用される場合、全ての前記複数の標準系サブハーネス及び選択された前記オプション系サブハーネスが前記回路基板に接続されることで、全ての前記複数の標準系サブハーネス及び選択された前記オプション系サブハーネスが前記回路パターンを介して導通接続される、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
(2) 前記回路基板は、前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスの各々の端部を着脱自在に接続可能な複数の接続部を備える、
ことを特徴とする上記(1)の構成のワイヤハーネス。
(3) 前記回路基板に形成された前記回路パターンは、要求される仕様に応じて接続される前記複数の標準系サブハーネス及び前記少なくとも1つのオプション系サブハーネスの種類の違いに対応して形成されている、
ことを特徴とする上記(1)の構成のワイヤハーネス。
(4) 前記回路基板は、電気絶縁性の基板と前記基板の少なくとも1つの面に貼り付けられた導電性の箔状パターンとを有するプリント基板である、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つの構成のワイヤハーネス。
(5) 前記回路基板は、厚み方向に重ねて配置された複数の電気絶縁層を有し、互いに電気的に分離された複数の箔状パターンが、前記複数の電気絶縁層の各境界及び表面にそれぞれ形成された多層プリント基板である、
ことを特徴とする上記(4)の構成のワイヤハーネス。
【0015】
上記(1)の構成のワイヤハーネスによれば、前記第1の回路線と前記第2の回路線との接続の有無、回路線の分岐等の接続状態を、前記回路基板内部の回路パターンにより行うことができる。したがって、ワイヤハーネスの全体として様々な種類の接続状態を必要とする場合であっても、前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスの各々の構成を簡略化することが可能であり、事前に用意すべきサブハーネスの種類を削減できる。また、全体として長距離の経路を接続するワイヤハーネスを構成する場合であっても、比較的短い長さの前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスを用いることができる。
上記(2)の構成のワイヤハーネスによれば、選択した複数のサブハーネスを前記接続部を介して前記回路基板に装着するだけで、所望の仕様に適合する構成のワイヤハーネスを容易に実現できる。
上記(3)の構成のワイヤハーネスによれば、前記回路基板における前記回路パターンの構成と、選択的に接続する前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスの構成により、様々な仕様に適合するワイヤハーネスを実現できる。
上記(4)の構成のワイヤハーネスによれば、前記第1のサブハーネスの第1の回路線と、前記第2のサブハーネスの第2の回路線とを接続する前記回路パターンを容易に実現できる。
上記(5)の構成のワイヤハーネスによれば、互いに独立した複数の回路線が交差する箇所においても、複数の回路線の絶縁状態を維持することが容易である。したがって、複雑な構成の回路パターンを形成することが可能であり、サブハーネスを構成する電線数の増大にも対応できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のワイヤハーネスによれば、事前に用意しなければならないサブハーネスの品番数の増大を抑えることができる。すなわち、前記第1の回路線と前記第2の回路線との接続の有無、回路線の分岐等の接続状態の切り替えを、前記回路基板内部の回路パターンにより行うことができるので、ワイヤハーネスの全体として様々な種類の接続状態を必要とする場合であっても、前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスの各々の構成を簡略化することが可能である。また、全体として長距離の経路を接続するワイヤハーネスを構成する場合であっても、比較的短い長さの前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスを用いることができる。
【0017】
また、このワイヤハーネスによれば、前記第1の回路基板と第2の回路基板との中から適切な回路基板を選択し、この回路基板と前記第1のサブハーネス、前記第2のサブハーネス、及び前記第3のサブハーネスの少なくとも2つを組み合わせることにより、所望の仕様に適合するワイヤハーネスを実現できる。つまり、仕様に応じた要求に対して、前記回路基板の交換で容易に対応できる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの全体の構成例を示す平面図である。
図2図2は、図1のワイヤハーネスを構成するために用意した各構成要素を示す平面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、それぞれ第2実施形態でワイヤハーネスを構成するために利用可能な2種類の接続ユニットの構成を示す平面図である。
図4図4は、第2実施形態でワイヤハーネスを構成するために利用可能なサブハーネス群の各々の構成を示す平面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、それぞれ第2実施形態における2種類のワイヤハーネスの各々の構成例を示す平面図である。
図6図6は、一般的なワイヤハーネス及びサブハーネスの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のワイヤハーネスに関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
<ワイヤハーネス100の全体の構成>
第1実施形態におけるワイヤハーネス100の全体の構成例を図1に示す。また、図1のワイヤハーネス100を構成するために予め用意した各構成要素を図2に示す。なお、図1及び図2においては構成の理解を容易にするために各電線を実際よりも短く記載してあるが、実際のワイヤハーネス100においては、10[cm]〜数百[cm]程度の適当な長さの電線を必要に応じて用いることが想定される。また、図1のワイヤハーネスやサブハーネスには、どの車種、どのグレード、どのオプションであっても必ず使用される標準系の回路(図中の実線。以下標準系回路線と称することがある。)と、車種、グレード、オプションによって選択的に追加される回路(図中の1点鎖線。以下、選択回路線と称することがある。)とが含まれる。
【0022】
図1に示したワイヤハーネス100は、1つの接続ユニット10と、3つの標準系サブハーネス20、30、及び40と、4つのオプション系サブハーネス50、60、70、及び80とを組み合わせて構成してある。
【0023】
具体的には、予め用意した標準系サブハーネス20の一端に接続したコネクタ22を、接続ユニット10の基板側コネクタ12aと接続してある。また、予め用意した標準系サブハーネス30の一端に接続したコネクタ31を、接続ユニット10の基板側コネクタ12bと接続してある。また、予め用意した標準系サブハーネス40の一端に接続した基板側コネクタ12cを、接続ユニット10の基板側コネクタ12cと接続してある。更に、オプション系サブハーネス50のコネクタ52を接続ユニット10の基板側コネクタ12dと接続し、オプション系サブハーネス60のコネクタ62を接続ユニット10の基板側コネクタ12eと接続し、オプション系サブハーネス70のコネクタ72を接続ユニット10の基板側コネクタ12fと接続し、オプション系サブハーネス80のコネクタ81を接続ユニット10の基板側コネクタ12gと接続してある。
【0024】
つまり、3つの標準系サブハーネス20〜40、及び4つのオプション系サブハーネス50〜80は、いずれも端部を物理的に接続ユニット10と接続してある。したがって、標準系サブハーネス20〜40、及びオプション系サブハーネス50〜80の各々の電線は、接続ユニット10に設けられた後述する回路パターンを利用して、互いに電気的に接続することができる。
【0025】
図1に示したワイヤハーネス100は接続ユニット10と、3つの標準系サブハーネス20〜40と、4つのオプション系サブハーネス50〜80とで構成してあるが、4つのオプション系サブハーネス50〜80の各々については選択的に接続ユニット10と接続される。つまり、このワイヤハーネス100を搭載する車両の車種、グレード、各種オプションの有無に応じたワイヤハーネスに要求される仕様に従い、4つのオプション系サブハーネス50〜80の各々が選択的に接続ユニット10と接続され、仕様に適合する図1のようなワイヤハーネス100が構成される。
【0026】
<各構成要素の説明>
<接続ユニット10の説明>
図2に示した接続ユニット10は、薄板として構成され平面形状が矩形形状の回路基板11と、回路基板11に装着された複数の基板側コネクタ12a〜12gとを含んでいる。具体的には、回路基板11は電気絶縁性基板11bとこの基板上に形成された回路パターン11aとを含むプリント基板として構成してある。また、比較的複雑な構成の回路パターン11aを形成する場合には、多層構成のプリント基板を用いて回路基板11を構成する。
【0027】
回路パターン11aは、電気絶縁性基板11bの表面、裏面、又は厚み方向の層の境界面に貼り付けられた銅箔等の導電性箔状パターンとして構成されている。また、回路パターン11aは、図2中に点線で示すように、基板側コネクタ12a〜12gの各々の間を接続する多数の配線を含んでいる。これらの多数の配線は互いに電気的に分離されているが、一部の配線は互いに電気的に接続してある。複数の配線が図2に示す平面上で交差する箇所でこれらを分離する場合には、互いに異なる面又は層に各配線を配置してこれらを電気的に分離する。また、互いに異なる面又は層に配置された配線同士を接続する場合には、電気絶縁性基板11bを厚み方向に貫通するスルーホールを用いて電気的な接続を実現する。
【0028】
なお、図2に示した接続ユニット10は、標準系サブハーネス20〜40及びオプション系サブハーネス50〜80との接続に関する着脱を容易にするために基板側コネクタ12a〜12gを備えている。
【0029】
なお、接続ユニット10を保護したり、回路パターン11aが周囲の回路と電気的に接触するのを防止するために、接続ユニット10を適当なハウジングの内部に収容するように構成することも考えられる。また、接続ユニット10の周囲を電気絶縁性の樹脂などで覆うように構成しても良い。
【0030】
<標準系サブハーネスの説明>
図2に示した標準系サブハーネス20は、3本の電線23a、23b、23cと、これらの両端部に接続したコネクタ21及び22とを備えている。具体例として、電線23aは電源電力を供給するための電源線として使用し、電線23bはアース線として使用し、電線23cは信号線、あるいは通信線として使用することが想定される。
【0031】
電線23a、23b、及び23cの各々は、撚り線などの導体の周囲を電気絶縁性の樹脂などで被覆して構成してある。電線23a、23b、及び23cの各々の導体の太さや被覆の厚さ及び材料については、仕様に応じて変化する電流値や、電圧値に応じて適宜決定される。また、図2の例では3本の電線23a、23b、23cは、全ての車両に標準的に装備される電線であることを想定している。したがって、標準系サブハーネス20の種類は1種類のみである。
【0032】
図2に示した標準系サブハーネス40は、6本の電線により構成される電線群44と、これらの端部に接続した3つのコネクタ41、42、及び43とで構成してある。電線群44を構成する6本の電線は、全ての車両に標準的に装備される電線であることを想定している。したがって、標準系サブハーネス40の種類は1種類のみである。
【0033】
また、電線群44を構成する6本の電線の各々は、例えば電源線、アース線、信号線、通信線等として使用される。
【0034】
図2に示した標準系サブハーネス30は、電線群34a、電線34b、電線群34c、コネクタ31、32、及び33により構成されている。電線群34aは4本の電線により構成され、電線群34cは2本の電線により構成されている。
【0035】
図2の標準系サブハーネス30において、電線群34a及び電線34bは、全ての車両に標準的に装備される電線であり、電線群34cについては、ワイヤハーネス100に要求される仕様、すなわち車両の車種、グレード、各種オプションの有無に応じて各電線の有無が選択される。したがって、事前に用意すべき標準系サブハーネス30の種類(品番)は2種類又はそれ以上になる可能性がある。
【0036】
<オプション系サブハーネスの説明>
図2に示したオプション系サブハーネス50は、電線53とその両端部に接続した2つのコネクタ51及び52とで構成されている。電線53の長さや、コネクタ51の形状等については、オプション系サブハーネス50の仕様に応じて決定される。
【0037】
図2に示したオプション系サブハーネス60は、電線群63とその両端部に接続した2つのコネクタ61及び62とで構成されている。電線群63は2本の電線で構成してある。電線群63の長さやコネクタ61の形状等については、オプション系サブハーネス60の仕様に応じて決定される。
【0038】
図2に示したオプション系サブハーネス70は、電線73とその両端部に接続した2つのコネクタ71及び72とで構成されている。電線73の長さやコネクタ71の形状等については、オプション系サブハーネス70の仕様に応じて決定される。
【0039】
図2に示したオプション系サブハーネス80は、電線83とその両端部に接続した2つのコネクタ81及び82とで構成されている。電線83の長さやコネクタ82の形状等については、オプション系サブハーネス80の仕様に応じて決定される。
【0040】
オプション系サブハーネス50、60、70、及び80の各々の種類は基本的には1種類のみであるが、必要に応じて2種類以上になる場合もある。
【0041】
<第1実施形態のワイヤハーネス100に関する利点>
従来のワイヤハーネスを構成する各種サブハーネスの各々は、全ての車両に共通の様々な標準系回路線と、車種、グレード、各種オプションの有無等に応じて選択的に付加される様々な選択回路線とによって構成されていた。そのため、あるサブハーネスに設けられる選択回路線が増えれば増えるほど、用意しなければならないサブハーネスの品番数が指数関数的に増加した。他方、図1に示したワイヤハーネス100については、図2に示したように、標準系回路線によって形成される標準系サブハーネス20〜40と、選択回路線によって形成されるオプション系サブハーネス50〜80とが異なるサブハーネスとして形成されている。このようにサブハーネスが構成される場合、選択回路線がn個増えたとしても、サブハーネスの品番の増加はn個にとどまる。このように、従来のサブハーネスの品番数に比べて、大幅にサブハーネスの品番数の増大を抑えることができる。
【0042】
また、図1に示したワイヤハーネス100においては、各サブハーネスの回路線同士の接続に関して接続ユニット10の回路基板11がその役割を担う。つまり、回路線の接続形態は、回路基板11によって決まる。このため、各サブハーネス上に分岐を設ける必要が無いため、サブハーネスの形状が分岐の無い簡素なもので済む。このため、サブハーネスをより安価に製造することができる。他方、回路基板11には、全ての回路線を接続するための回路パターンが設けられる必要があるが、回路線の総数を最大限見積もっても、回路基板11を高価にするものではない。このため、ワイヤハーネス全体としてより単純な構成とすることにより、より安価なワイヤハーネスを提供できる。
【0043】
また、サブハーネスの形状が分岐が少ない簡素なものになることにより、複数のサブハーネスにおいて形状の類似性が高まる。これはつまり、サブハーネスの汎用性が高まることを意味する。この結果、あるワイヤハーネスにおいて複数箇所にあるサブハーネスを用いることができるように成ったり、あるいは、あるワイヤハーネスに用いているサブハーネスを別のワイヤハーネスに用いることができるなど、サブハーネスの共有化を図ることができる。これは、各種のワイヤハーネスに対して、共通のサブハーネスを用いることができることを意味する。
【0044】
上述のようにサブハーネスの共有化を図ることができるのは、回路基板11が回路線−回路線間の接続の役割を担っているためである。回路基板11は、回路線−回路線間を接続する、いわゆるジョイント機能だけではなく、接続されるべき複数本の回路線を選択するという接続関係を整える整流機能を持っている。回路パターンが異なる回路基板を用意すれば、回路線−回路線の接続関係を任意にきりかえることができる。これは、ワイヤハーネスに求められる仕様が、回路基板の回路パターンによって切り替えられることを意味する。サブハーネスの共有化が図られるとともに、仕様の変更機能を回路基板へ集約することにより、車両のグレード、オプションを跨いでワイヤハーネスを共用でき、さらに車種を跨いでのワイヤハーネスの共用をも実現できる。従来のワイヤハーネスは車種毎に設計されていたが、図1のワイヤハーネス100であれば車種という枠組みに囚われることなく、ワイヤハーネスを設計することができる。
【0045】
次に、ワイヤハーネス100の利点について、ワイヤハーネスを製造する際の作業効率の側面で捕らえる。ワイヤハーネス100を構成する複数の標準系サブハーネス20〜40においては、従来のサブハーネス(図6中のA1、A2、B2)を構成する1本の電線を、2本の電線を連結して実現している。このため、標準系サブハーネス20〜40は、従来のサブハーネスに比較してその電線長が短くて済む。これは、サブハーネスを治具板上に配策する際に、作業者が1本の電線を配策経路に沿わせる距離が短いことを意味する。電線の長さが長ければそれだけ作業者は、大きく動かなければならないことを考えると、電線の長さが短いことは、サブハーネスの配策作業の効率化に寄与する。
【0046】
<第2実施形態>
<ワイヤハーネスの全体の構成>
第2実施形態でワイヤハーネスを構成するために利用可能な2種類の接続ユニットの構成を図3(a)及び図3(b)にそれぞれ示す。また、第2実施形態でワイヤハーネスを構成するために利用可能なサブハーネス群の各々の構成を図4に示す。また、第2実施形態における2種類のワイヤハーネスの各々の構成例を図5(a)及び図5(b)にそれぞれ示す。なお、図3図5においては構成の理解を容易にするために各電線を実際よりも短く記載してあるが、実際のワイヤハーネスにおいては、10[cm]〜数百[cm]程度の適当な長さの電線を必要に応じて用いることが想定される。
【0047】
図5(a)に示したワイヤハーネス100Aは、1つの接続ユニット10Aと、3つの標準系サブハーネス20、30、及び40とを組み合わせて構成してある。また、図5(b)に示したワイヤハーネス100Bは、1つの接続ユニット10Bと、3つの標準系サブハーネス20、30、及び40と、4つのオプション系サブハーネス50、60、70、及び80とを組み合わせて構成してある。
【0048】
ワイヤハーネス100Aを構成する場合には接続ユニット10Aを選択的に使用し、ワイヤハーネス100Bを構成する場合には接続ユニット10Bを選択的に使用する。図3(a)に示す接続ユニット10Aと、図3(b)に示す接続ユニット10Bとは互いに回路パターンが異なる回路基板11A、及び11Bを採用している。
【0049】
具体的には、予め用意した標準系サブハーネス20の一端に接続したコネクタ22を、接続ユニット10A又は10Bの基板側コネクタ12aと接続してある。また、予め用意した標準系サブハーネス30の一端に接続したコネクタ31を、接続ユニット10A又は10Bの基板側コネクタ12bと接続してある。また、予め用意した標準系サブハーネス40の一端に接続した基板側コネクタ12cを、接続ユニット10の基板側コネクタ12cと接続してある。更に、オプション系サブハーネス50のコネクタ52を接続ユニット10の基板側コネクタ12dと接続し、オプション系サブハーネス60のコネクタ62を接続ユニット10の基板側コネクタ12eと接続し、オプション系サブハーネス70のコネクタ72を接続ユニット10の基板側コネクタ12fと接続し、オプション系サブハーネス80のコネクタ81を接続ユニット10の基板側コネクタ12gと接続してある。
【0050】
つまり、ワイヤハーネス100Aを構成する3つの標準系サブハーネス20〜40は、いずれも端部を物理的に接続ユニット10Aと接続してある。また、ワイヤハーネス100Bを構成する3つの標準系サブハーネス20〜40、及び4つのオプション系サブハーネス50〜80は、いずれも端部を物理的に接続ユニット10Bと接続してある。したがって、標準系サブハーネス20〜40、及びオプション系サブハーネス50〜80の各々の電線は、接続ユニット10A又は10Bに設けられた後述する回路パターンを利用して、互いに電気的に接続することができる。
【0051】
図1に示したワイヤハーネス100は接続ユニット10と、3つの標準系サブハーネス20〜40と、4つのオプション系サブハーネス50〜80とで構成してあるが、4つのオプション系サブハーネス50〜80の各々については選択的に接続ユニット10と接続される。また、例えばオプション系サブハーネス50〜80を接続しない場合は接続ユニット10Aを選択的に使用し、オプション系サブハーネス50〜80を接続する場合は接続ユニット10Bを選択的に使用する。
【0052】
つまり、ワイヤハーネスを搭載する車両の車種、グレード、各種オプションの有無に応じて変化するワイヤハーネスの仕様の変化に対して、各回路線の接続形態の違いを接続ユニット10A、10Bにおける回路パターンの違いで吸収する。4つのオプション系サブハーネス50〜80の各々は、選択的に接続ユニット10Bと接続され、仕様に適合する図5(a)、(b)のようなワイヤハーネス100A又は100Bが構成される。
【0053】
<各構成要素の説明>
<接続ユニット10A、10Bの説明>
図3(a)に示した接続ユニット10Aは、薄板として構成され平面形状が矩形形状の回路基板11Aと、回路基板11Aに装着された複数の基板側コネクタ12a〜12cとを含んでいる。具体的には、回路基板11Aは電気絶縁性基板11bとこの基板上に形成された回路パターン11aとを含むプリント基板として構成してある。また、比較的複雑な構成の回路パターン11aを形成する場合には、多層構成のプリント基板を用いて回路基板11を構成する。
【0054】
図3(b)に示した接続ユニット10Bは、回路基板11Bと、回路基板11Bに装着された複数の基板側コネクタ12a〜12gとを含んでいる。回路基板11Aと回路基板11Bとの違いは、これらに形成されている回路パターン11Aa、11Baの違いのみである。
【0055】
回路パターン11Aa、11Baの各々は、電気絶縁性基板11bの表面、裏面、又は厚み方向の層の境界面に貼り付けられた銅箔等の導電性箔状パターンとして構成されている。また、回路パターン11Aa、11Baの各々は、図3(a)、(b)中に点線で示すように、基板側コネクタ12a〜12gの各々の間を接続する多数の配線を含んでいる。図3(a)、(b)に示すように、回路パターン11Aa、11Baは互いに異なっている。つまり、回路パターン11Aaは図5(a)に示したワイヤハーネス100Aの仕様に応じた各回路線間の接続を実現するように構成され、回路パターン11Baは図5(b)に示したワイヤハーネス100Bの仕様に応じた各回路線間の接続を実現するように構成されている。
【0056】
回路パターン11Aa、11Ba上の多数の配線は互いに電気的に分離されているが、一部の配線は互いに電気的に接続してある。複数の配線が図3(a)、(b)に示す平面上で交差する箇所でこれらを分離する場合には、互いに異なる面又は層に各配線を配置してこれらを電気的に分離する。また、互いに異なる面又は層に配置された配線同士を接続する場合には、電気絶縁性基板11bを厚み方向に貫通するスルーホールを用いて電気的な接続を実現する。
【0057】
なお、図3(a)、(b)に示した接続ユニット10A、10Bは、標準系サブハーネス20〜40及びオプション系サブハーネス50〜80との接続に関する着脱を容易にするために基板側コネクタ12a〜12gを備えている。
【0058】
なお、接続ユニット10A、10Bを保護したり、回路パターン11Aa、11Baが周囲の回路と電気的に接触するのを防止するために、接続ユニット10A、10Bを適当なハウジングの内部に収容するように構成することも考えられる。また、接続ユニットの周囲を電気絶縁性の樹脂などで覆うように構成しても良い。
【0059】
<標準系サブハーネスの説明>
図4に示した標準系サブハーネス20は、3本の電線23a、23b、23cと、これらの両端部に接続したコネクタ21及び22とを備えている。具体例として、電線23aは電源電力を供給するための電源線として使用し、電線23bはアース線として使用し、電線23cは信号線、あるいは通信線として使用することが想定される。
【0060】
電線23a、23b、及び23cの各々は、撚り線などの導体の周囲を電気絶縁性の樹脂などで被覆して構成してある。電線23a、23b、及び23cの各々の導体の太さや被覆の厚さ及び材料については、仕様に応じて変化する電流値や、電圧値に応じて適宜決定される。また、図4の例では3本の電線23a、23b、23cは、全ての車両に標準的に装備される電線であることを想定している。したがって、標準系サブハーネス20の種類は1種類のみである。
【0061】
図4に示した標準系サブハーネス40は、6本の電線により構成される電線群44と、これらの端部に接続した3つのコネクタ41、42、及び43とで構成してある。電線群44を構成する6本の電線は、全ての車両に標準的に装備される電線であることを想定している。したがって、標準系サブハーネス40の種類は1種類のみである。
【0062】
また、電線群44を構成する6本の電線の各々は、例えば電源線、アース線、信号線、通信線等として使用される。
【0063】
図4に示した標準系サブハーネス30は、電線群34a、電線34b、電線群34c、コネクタ31、32、及び33により構成されている。電線群34aは4本の電線により構成され、電線群34cは2本の電線により構成されている。
【0064】
図4の標準系サブハーネス30において、電線群34a及び電線34bは、全ての車両に標準的に装備される電線であり、電線群34cについては、ワイヤハーネス100に要求される仕様、すなわち車両の車種、グレード、各種オプションの有無に応じて各電線の有無が選択される。したがって、事前に用意すべき標準系サブハーネス30の種類(品番)は2種類又はそれ以上になる可能性がある。
【0065】
<オプション系サブハーネスの説明>
図4に示したオプション系サブハーネス50は、電線53とその両端部に接続した2つのコネクタ51及び52とで構成されている。電線53の長さや、コネクタ51の形状等については、オプション系サブハーネス50の仕様に応じて決定される。
【0066】
図4に示したオプション系サブハーネス60は、電線群63とその両端部に接続した2つのコネクタ61及び62とで構成されている。電線群63は2本の電線で構成してある。電線群63の長さやコネクタ61の形状等については、オプション系サブハーネス60の仕様に応じて決定される。
【0067】
図4に示したオプション系サブハーネス70は、電線73とその両端部に接続した2つのコネクタ71及び72とで構成されている。電線73の長さやコネクタ71の形状等については、オプション系サブハーネス70の仕様に応じて決定される。
【0068】
図4に示したオプション系サブハーネス80は、電線83とその両端部に接続した2つのコネクタ81及び82とで構成されている。電線83の長さやコネクタ82の形状等については、オプション系サブハーネス80の仕様に応じて決定される。
【0069】
オプション系サブハーネス50、60、70、及び80の各々の種類は基本的には1種類のみであるが、必要に応じて2種類以上になる場合もある。例えば、車体の大きさが大きく異なる複数種類の車両に搭載するワイヤハーネス100については、電装品同士の距離が大きく異なる場合があるので、長さが異なるオプション系サブハーネス50〜80を事前に用意しておくことも必要になる。
【0070】
<第2実施形態のワイヤハーネス100A、100Bに関する利点>
図5(a)、(b)に示したワイヤハーネス100A、100Bを構成する場合には、このワイヤハーネスの一部分である回路基板11A、11Bの回路パターン11Aa、11Baを交換するだけで、複数のサブハーネス間の電気接続状態を変更することができる。例えば、図3(b)の回路基板11Bを選択した場合には、図5(b)のワイヤハーネス100Bのように、オプション系サブハーネス50、60、70の各回路線と、標準系サブハーネス30の各回路線とを接続できるし、オプション系サブハーネス50の回路線と標準系サブハーネス40の回路線とを接続することもできる。図3(a)の回路基板11Aを選択した場合には、標準系サブハーネス20、30、40の間の回路線の接続のみが可能になる。
【0071】
したがって、比較的種類や品番数が少ない複数のサブハーネスを共通に使用して様々な仕様のワイヤハーネスを構成することができる。つまり、複数仕様のワイヤハーネスに対して同一構成のサブハーネスを共用できるので、事前に用意すべきサブハーネスの種類や品番を大幅に削減できる。
【0072】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスの実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(5)に簡潔に纏めて列記する。
(1) 第1の回路線(電線23a、23b、23c)を有する第1のサブハーネス(標準系サブハーネス20)と、
第2の回路線(電線34a、34b、34c)を有する第2のサブハーネス(標準系サブハーネス30)と、
前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスとそれぞれ接続可能な回路パターン(11a)が形成された回路基板(11)と、
を備え、
前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスが前記回路基板に接続された場合、前記第1の回路線及び前記第2の回路線は、前記回路パターンを介して導通接続される、
ことを特徴とするワイヤハーネス(100)。
(2) 前記回路基板は、前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスを含む複数のサブハーネスの各々の端部を着脱自在に接続可能な複数の接続部(基板側コネクタ12a〜12g)を備える、
ことを特徴とする上記(1)の構成のワイヤハーネス。
(3) 前記回路基板に形成された前記回路パターンは、要求される仕様に応じて接続される前記第1のサブハーネス及び前記第2のサブハーネスを含む複数のサブハーネスの種類の違いに対応して形成されている、
ことを特徴とする上記(1)の構成のワイヤハーネス。
(4) 前記回路基板は、電気絶縁性の基板と前記基板の少なくとも1つの面に貼り付けられた導電性の箔状パターンとを有するプリント基板である、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つの構成のワイヤハーネス。
(5) 前記回路基板は、厚み方向に重ねて配置された複数の電気絶縁層を有し、互いに電気的に分離された複数の箔状パターンが、前記複数の電気絶縁層の各境界及び表面にそれぞれ形成された多層プリント基板である、
ことを特徴とする上記(4)の構成のワイヤハーネス。
【符号の説明】
【0073】
10,10A,10B 接続ユニット
11,11A,11B 回路基板
11a,11Aa,11Ba 回路パターン
11b 電気絶縁性基板
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g 基板側コネクタ
20,30,40 標準系サブハーネス
21,22,31,32,33,41,42,43 コネクタ
23a,23b,23c,34b,53,73,83 電線
34a,34c,44,63 電線群
50,60,70,80 オプション系サブハーネス
51,52,61,62,71,72,81,82 コネクタ
100,100A,100B,WH ワイヤハーネス
SHG サブハーネス群
A1,A2,B1,B2,C サブハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6