特許第6445287号(P6445287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445287
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】携帯機
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20181217BHJP
   B60R 25/24 20130101ALN20181217BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   !B60R25/24
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-186327(P2014-186327)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-56659(P2016-56659A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河村 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】川村 将之
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−231651(JP,A)
【文献】 特開2004−263447(JP,A)
【文献】 特開2002−320278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
E05B 49/00
B60R 25/24
B60R 25/40
H04B 1/3883
H04B 1/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が内蔵される携帯機であって、前記電子部品が機能する通常モードと、その通常モードよりも電力消費の少ない省電力モードとを有する携帯機において、
ロック機構の施錠が完了したことを示唆するロック完了情報を車両から受信することに基づいて、当該携帯機の未使用状態を示唆する情報を取得するロック完了情報取得手段と、
前記ロック完了情報取得手段が取得した情報により当該携帯機が未使用状態と判断されてから一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させるモード制御手段とを備える
ことを特徴とする携帯機。
【請求項2】
記携帯機の所持状態を検知する所持状態検知手段を含み、
前記所持状態検知手段による当該携帯機が非所持状態になったことの検知をもって当該携帯機が未使用状態になったことを検知し、
前記モード制御手段は、前記ロック完了情報取得手段及び前記所持状態検知手段によって未使用状態と判断する
請求項1に記載の携帯機。
【請求項3】
電子部品が内蔵される携帯機であって、前記電子部品が機能する通常モードと、その通常モードよりも電力消費の少ない省電力モードとを有する携帯機において、
当該携帯機の使用状態を検知する使用状態検知手段と、
前記使用状態検知手段により当該携帯機が未使用状態になったことが検知されてから一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させるモード制御手段とを備え、
前記使用状態検知手段は、当該携帯機を用いて電気的に施錠可能なロック機構の施錠を肯定するロック肯定情報を取得するロック肯定情報取得手段と、当該携帯機の所持状態を検知する所持状態検知手段とを含み、
前記使用状態検知手段は、前記ロック肯定情報取得手段による前記ロック肯定情報の取得をもって前記ロック機構の施錠を肯定したとき、当該携帯機が第1の未使用状態になったことを検知し、
前記使用状態検知手段は、前記ロック肯定情報取得手段により前記ロック肯定情報が取得されないことをもって前記ロック機構の施錠を肯定せずに、前記所持状態検知手段により当該携帯機が非所持状態になったことが検知されたとき、当該携帯機が第2の未使用状態になったことを検知し、
前記モード制御手段は、前記使用状態検知手段により当該携帯機が前記第1の未使用状態になったことが検知されてから第1の一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させるとともに、前記使用状態検知手段により当該携帯機が前記第2の未使用状態になったことが検知されてから第2の一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させる
ことを特徴とする携帯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が内蔵される携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機(電子キー)を所持したユーザが車両ドアに接近することにより車両ドアの解錠が許可されたり、ユーザが車室内に入ることによりエンジンの始動が許可される、いわゆる電子キーシステムが周知である(例えば、特許文献1を参照)。この電子キーシステムでは、車両ドアの周辺や車室内に通信エリアが形成されており、この通信エリアに携帯機を所持したユーザが進入すると、車両に設けられた車載機と携帯機との間で無線通信が行われる。そして、この無線通信を通じて車両ドアの解錠やエンジンの始動許可などが行われるようになっている。
【0003】
ところで、電子キーシステムに用いられる携帯機は、車両運転時以外は、例えば家の中で机上に置かれたままの状態で静置されるなど、未使用の状態で放置されることが多い。このため、こうした携帯機にあっては、内蔵される電子部品への給電を常時行っていると、未使用時に電源用のバッテリが消耗してしまい、バッテリ切れを招きやすくなるといった懸念がある。
【0004】
そこで、待機電流の低減を目的に省電力モードを設定し、特定のスイッチ操作により省電力モードへの移行を可能とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−170162号公報(段落[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザ自身のスイッチ操作により携帯機のモードを切り替える場合、当該操作をする煩雑さがある。また、当該操作がされないと省電力効果が得られない。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、自動的に省電力モードに移行させることが可能な携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する携帯機は、電子部品が内蔵される携帯機であって、前記電子部品が機能する通常モードと、その通常モードよりも電力消費の少ない省電力モードとを有する携帯機において、当該携帯機の使用状態を検知する使用状態検知手段と、前記使用状態検知手段により当該携帯機が未使用状態になったことが検知されてから一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させるモード制御手段とを備えることをその要旨としている。
【0008】
この構成によれば、携帯機が未使用状態になってから一定時間が経過すると、携帯機が省電力モードに移行する。この過程でユーザ自身の例えばスイッチ操作を伴わない。したがって、自動的に省電力モードに移行させることができる。
【0009】
上記携帯機について、前記使用状態検知手段は、当該携帯機の所持状態を検知する所持状態検知手段を含み、その所持状態検知手段による当該携帯機が非所持状態になったことの検知をもって当該携帯機が未使用状態になったことを検知することとしてもよい。
【0010】
この構成によれば、携帯機が所持されないまま一定時間が経過すると、携帯機が自動的に省電力モードに移行する。したがって、非所持状態での電力消費が抑制される。
上記携帯機について、前記使用状態検知手段は、当該携帯機を用いて電気的に施錠可能なロック機構の施錠を肯定するロック肯定情報を取得するロック肯定情報取得手段を含み、そのロック肯定情報取得手段による前記ロック肯定情報の取得をもって当該携帯機が未使用状態になったことを検知することとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、ロック機構の施錠が肯定された後、一定時間が経過すると、携帯機が自動的に省電力モードに移行する。ロック機構の施錠が肯定された後は通常であれば携帯機は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0012】
上記携帯機について、前記ロック肯定情報取得手段は、当該携帯機との双方向通信を通じて施錠可能な前記ロック機構の施錠が完了したことを示唆するロック完了情報を取得するロック完了情報取得手段を含み、前記使用状態検知手段は、前記ロック完了情報取得手段による前記ロック完了情報の取得をもって当該携帯機が未使用状態になったことを検知することとしてもよい。
【0013】
この構成によれば、ロック機構が施錠された後、一定時間が経過すると、携帯機が自動的に省電力モードに移行する。ロック機構を施錠した後は通常であれば携帯機は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0014】
上記携帯機について、前記ロック肯定情報取得手段は、当該携帯機を送信側とする単方向通信を通じて施錠可能な前記ロック機構の施錠を指示する遠隔操作があったことを示唆するロック指示情報を取得するロック指示情報取得手段を含み、前記使用状態検知手段は、前記ロック指示情報取得手段による前記ロック指示情報の取得をもって当該携帯機が未使用状態になったことを検知することとしてもよい。
【0015】
この構成によれば、ロック機構の施錠を指示する遠隔操作が行われた後、一定時間が経過すると、携帯機が自動的に省電力モードに移行する。当該遠隔操作を行った後は通常であれば携帯機は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0016】
上記携帯機について、前記使用状態検知手段は、当該携帯機を用いて電気的に施錠可能なロック機構の施錠を肯定するロック肯定情報を取得するロック肯定情報取得手段と、当該携帯機の所持状態を検知する所持状態検知手段とを含み、前記使用状態検知手段は、前記ロック肯定情報取得手段による前記ロック肯定情報の取得をもって前記ロック機構の施錠を肯定したとき、当該携帯機が第1の未使用状態になったことを検知し、前記使用状態検知手段は、前記ロック肯定情報取得手段により前記ロック肯定情報が取得されないことをもって前記ロック機構の施錠を肯定せずに、前記所持状態検知手段により当該携帯機が非所持状態になったことが検知されたとき、当該携帯機が第2の未使用状態になったことを検知し、前記モード制御手段は、前記使用状態検知手段により当該携帯機が前記第1の未使用状態になったことが検知されてから第1の一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させるとともに、前記使用状態検知手段により当該携帯機が前記第2の未使用状態になったことが検知されてから第2の一定時間が経過したことを条件に、当該携帯機を前記省電力モードに移行させることとしてもよい。
【0017】
この構成によれば、携帯機が第1の未使用状態になったときと第2の未使用状態になったときとで同じ或いは異なる一定時間の経過を条件に、携帯機が自動的に省電力モードに移行する。したがって、ロック機構の施錠を伴う或いは伴わないユーザの動線を考慮した省電力制御が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動的に省電力モードに移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】電子キーシステムの構成を示すブロック図。
図2】携帯機のモードを切り替える場合の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、携帯機の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、携帯機2は、電子キーシステム1の構成要素であって、車両3との双方向通信及び携帯機2を送信側とする単方向通信が可能である。双方向通信にはLF(low frequency )帯の電波とUHF(ultrahigh frequency )帯の電波が用いられ、単方向通信にはUHF帯の電波が用いられる。
【0021】
携帯機2は、自機の統括的な制御を司るマイコン21の他、LF電波を受信可能なLF受信回路22と、UHF電波を送信可能なUHF送信回路23とを備えている。マイコン21のメモリには、携帯機2に固有のID(identification)が記憶されている。マイコン21は、LF受信回路22でLF電波が受信されたとき、そのLF電波が車両3からのリクエスト信号であるか否かを判定し、肯定判断したとき、上記IDを含むレスポンス信号をUHF送信回路23から送信する。このレスポンス信号は車両3で解析される。そして、レスポンス信号に含まれるIDが車両3に登録済の基準IDと照合一致したとき、例えば車両ドアが施錠され、施錠が完了すると、施錠が完了したことを示唆するロック完了情報を含むLF電波が車両3から送信される。これによりマイコン21はロック完了情報を取得可能である。LF受信回路22は、ロック完了情報を取得するための媒体となるLFアンテナを含み、マイコン21と共にロック完了情報取得手段を構成する。ロック完了情報は車両ドアの施錠を肯定するロック肯定情報に相当する。マイコン21はロック肯定情報取得手段に相当する。
【0022】
携帯機2は、車両ドアの施錠を指示するべく操作されるロックボタン24と、車両ドアの解錠を指示するべく操作されるアンロックボタン25とを備えている。マイコン21は、ロックボタン24が操作されたとき、車両ドアの施錠を指示する操作コードと上記IDとを含むリモートキー信号をUHF送信回路23から送信する。同様に、マイコン21は、アンロックボタン25が操作されたとき、車両ドアの解錠を指示する操作コードと上記IDとを含むリモートキー信号をUHF送信回路23から送信する。尚、ロックボタン24が操作されたとき、車両ドアの施錠を指示する遠隔操作があったことを示唆するロック指示情報がロックボタン24から出力される。これによりマイコン21はロック指示情報を取得可能である。ロック指示情報は車両ドアの施錠を肯定するロック肯定情報に相当する。マイコン21はロック指示情報取得手段に相当する。
【0023】
携帯機2は、自機の振動の有無を検知する振動センサ26を備えている。マイコン21は、携帯機2が振動していることを示唆する検知信号が入力されたとき、携帯機2が所持状態にあることを検知する。マイコン21は、携帯機2が所持状態にあることを検知したとき、車両3からのリクエスト信号を受信可能とするべく、携帯機2をLF受信回路22などの電子部品が機能する通常モードに設定する。例えば、携帯機2を所持したユーザが歩行しているとき、携帯機2は通常モードに設定されていることになる。
【0024】
一方、マイコン21は、携帯機2が振動していないことを示唆する検知信号が入力されたとき、携帯機2が非所持状態になったことを検知する。マイコン21は、ロック肯定情報を取得し、且つ、携帯機2が非所持状態になったことを検知したとき、携帯機2が第1の未使用状態になったことを検知し、第1の未使用状態になってから第1の一定時間(例えば10分間)が経過したことを条件に、携帯機2を通常モードよりも電力消費の少ない省電力モードに移行させる。省電力モードでは、LF受信回路22への給電が遮断されてLF電波の受信機能が停止される。また、それに伴い、通常モードにおいてマイコン21が実行する、LF受信回路22で受信されたLF電波が車両3からのリクエスト信号であるか否かの判定も省電力モードでは実行されない。例えば、車両ドアを施錠して自宅に入り携帯機2を机上に置いた場合が第1の未使用状態として想定される。第1の一定時間は任意に設定可能である。
【0025】
他方、マイコン21は、ロック肯定情報を取得せずに、携帯機2が非所持状態になったことを検知したとき、携帯機2が第2の未使用状態になったことを検知し、第2の未使用状態になってから第2の一定時間(例えば20分間)が経過したことを条件に、携帯機2を省電力モードに移行させる。例えば、車両ドアを施錠しないまま車室内に留まった場合が第2の未使用状態として想定される。第2の一定時間は任意に設定可能である。振動センサ26は、携帯機2の所持状態を検知するための媒体であり、マイコン21と共に所持状態検知手段を構成する。また、マイコン21は、携帯機2の使用状態を検知する使用状態検知手段を構成する。さらに、マイコン21はモード制御手段に相当する。
【0026】
車両3は、主にセキュリティ制御を司る照合ECU(Electronic Control Unit )31の他、リクエスト信号などのLF電波を車両ドアの周辺に発信可能なLF発信機32と、UHF電波を受信可能なUHF受信機33と、車両ドアを施錠するべく操作されるロックスイッチ34とを備えている。照合ECU31のメモリには、車両3に適合する携帯機2のIDが基準IDとして登録されている。1台の車両3に複数本の携帯機2のそれぞれを適合させるべく、複数の基準IDが登録されている。
【0027】
照合ECU31は、ロックスイッチ34が操作されたとき、LF発信機32からリクエスト信号を発信する。照合ECU31は、リクエスト信号の発信に伴い、UHF受信機33でレスポンス信号が受信されたとき、そのレスポンス信号に含まれたIDを対象に、上記基準IDとの照合を行う。照合ECU31は、IDがいずれかの基準IDと照合一致したとき、車両ドアを施錠する。照合ECU31は、車両ドアの施錠が完了したとき、施錠が完了したことを示唆するロック完了情報を含むLF電波をLF発信機32から送信する。これによりロック完了情報が携帯機2で取得可能となる。
【0028】
次に、携帯機2の作用について説明する。
図2に示すように、携帯機2が省電力モード(LF電波の受信機能が停止されたスリープ状態)或いは通常モード(リクエスト信号を受信待機するスタンバイ状態)にあるときに、携帯機2にトリガ入力が発生し、それがロックボタン24の操作であるとき(ステップS3でYES)、車両ドアの施錠を指示するリモートキー信号が送信される。このとき、振動センサ26で携帯機2の振動有りが検出されることに伴い(ステップS5でYES)、マイコン21は、LF電波の受信機能をONしつつ(ステップS6)、携帯機2を通常モードに移行させる。この場合、マイコン21は、ロックボタン24からロック指示情報を取得しつつ、車両ドアの施錠を肯定する(ステップS8でYES)。尚、車両3でのリモートキー信号の解析を経て車両ドアが施錠された場合に、マイコン21は、車両3からロック完了情報を取得しつつ、車両ドアの施錠を肯定してもよい(ステップS8でYESとなる別態様)。
【0029】
マイコン21は、車両ドアの施錠を肯定したことを契機に、タイマによる計時動作を開始する。マイコン21は、振動センサ26で携帯機2の振動有りが検出される都度(ステップS9でNO)、それまでに計時された時間をリセットしつつ、計時動作を通じて計時された時間が第1の一定時間に達したとき(ステップS10でYES)、LF電波の受信機能をOFFしつつ(ステップS11)、携帯機2を省電力モードに移行させる。これにより、ロックボタン24で車両ドアを施錠して自宅に入り携帯機2を置いた場合には、携帯機2を置いてから、つまり携帯機2が未使用状態になってから静置状態のまま第1の一定時間が経過すると、携帯機2が省電力モードに移行することになる。
【0030】
一方、携帯機2が所持されつつロックボタン24が操作されないとき(ステップS3でNO)、振動センサ26で携帯機2の振動有りが検出されることに伴い(ステップS5でYES)、マイコン21は、LF電波の受信機能をONしつつ(ステップS6)、携帯機2を通常モードに移行させる。この場合、車両3のロックスイッチ34が操作されると、車両3からリクエスト信号が発信され、通常モードにある携帯機2でリクエスト信号が受信されると、携帯機2からレスポンス信号が送信される。そして、車両3でのレスポンス信号の解析を経て車両ドアが施錠された場合に、マイコン21は、車両3からロック完了情報を取得しつつ、車両ドアの施錠を肯定する(ステップS7でYES)。
【0031】
マイコン21は、車両ドアの施錠を肯定したことを契機に、タイマによる計時動作を開始する。マイコン21は、振動センサ26で携帯機2の振動有りが検出される都度(ステップS9でNO)、それまでに計時された時間をリセットしつつ、計時動作を通じて計時された時間が第1の一定時間に達したとき(ステップS10でYES)、LF電波の受信機能をOFFしつつ(ステップS11)、携帯機2を省電力モードに移行させる。これにより、ロックスイッチ34の操作を契機とするスマートロック後、携帯機2を所持したユーザが通信エリア内の車両周辺に留まった場合には、車両周辺に留まってから、つまり携帯機2が未使用状態になってからポケット或いは鞄の中で静止状態を保ったまま第1の一定時間が経過すると、携帯機2が省電力モードに移行することになる。
【0032】
他方、マイコン21は、車両ドアの施錠を肯定せずに(ステップS7及びステップS8で共にNO)、振動センサ26で携帯機2の振動無しが検出されたとき(ステップS13でYES)、別のタイマによる計時動作を開始する。マイコン21は、振動センサ26で携帯機2の振動有りが検出される都度(ステップS13でNO)、それまでに計時された時間をリセットしつつ、計時動作を通じて計時された時間が第2の一定時間に達したとき(ステップS14でYES)、LF電波の受信機能をOFFしつつ(ステップS15)、携帯機2を省電力モードに移行させる。これにより、車両ドアを施錠しない未ロック状態で車室内に留まった場合(アンロックで車両3を放置)には、車室内に留まってから、つまり携帯機2が未使用状態になってから車室内で静止状態を保ったまま第2の一定時間が経過すると、携帯機2が省電力モードに移行することになる。また、同乗者が所持する別の携帯機にて車両ドアのロックをした場合にも、ユーザが所持する携帯機2は、ステップS16において、省電力モードに移行することになる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)携帯機2が未使用状態になってから一定時間が経過すると、携帯機2が省電力モードに移行する。この過程でユーザ自身の例えばスイッチ操作を伴わない。したがって、自動的に省電力モードに移行させることができる。
【0034】
(2)マイコン21は、携帯機2が非所持状態になったことの検知をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知する。この構成によれば、携帯機2が所持されないまま一定時間が経過すると、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する。したがって、非所持状態での電力消費が抑制される。
【0035】
(3)マイコン21は、ロック肯定情報の取得をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知する。この構成によれば、車両ドアの施錠が肯定された後、一定時間が経過すると、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する。車両ドアの施錠が肯定された後は通常であれば携帯機2は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0036】
(4)マイコン21は、ロック完了情報の取得をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知する。この構成によれば、車両ドアが施錠された後、一定時間が経過すると、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する。車両ドアを施錠した後は通常であれば携帯機2は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0037】
(5)マイコン21は、ロック指示情報の取得をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知する。この構成によれば、車両ドアの施錠を指示する遠隔操作が行われた後、一定時間が経過すると、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する。当該遠隔操作を行った後は通常であれば携帯機2は使用しない。かかる未使用状態での電力消費が抑制される。
【0038】
(6)携帯機2が第1の未使用状態になったときと第2の未使用状態になったときとで異なる一定時間の経過を条件に、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する。したがって、車両ドアの施錠を伴う或いは伴わないユーザの動線を考慮した省電力制御が可能となる。
【0039】
(7)車両ドアを施錠して自宅に入り携帯機2を机上に置いた場合などが第1の未使用状態として想定される。一方、車両ドアを施錠しないまま車室内に留まった場合などが第2の未使用状態として想定される。後者の場合、アンロックされている車両ドアの施錠のため比較的早期に携帯機2が使用される可能性が高いのに対し、前者の場合、車両ドアが既に施錠されているので直ちに携帯機2が使用される可能性は低い。そこで、前者の場合、本例に倣って、携帯機2が第1の未使用状態になってから短時間の経過で省電力モードに移行させることとすれば、省電力効果が高まる。
【0040】
(8)第1の一定時間及び第2の一定時間はそれぞれ任意に設定可能なため、省電力効果が得られるようになるまでの時間を自由に設定できる。
(9)車室内外を問わずユーザが携帯機2を使用しない場合に、電池の消費を抑制することができる。
【0041】
(10)従来よりも電池寿命が改善され、概算で約2倍程度の延命が可能となる。
尚、上記実施の形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・第1の一定時間は10分間に限定されない。例えば0分に設定すれば、携帯機2が第1の未使用状態になると直ちに携帯機2が省電力モードに移行する。
【0042】
・第2の一定時間は20分間に限定されない。例えば0分に設定すれば、携帯機2が第2の未使用状態になると直ちに携帯機2が省電力モードに移行する。
・携帯機2が第1の未使用状態になったときと第2の未使用状態になったときとで同じ一定時間の経過を条件に、携帯機2が自動的に省電力モードに移行する構成でもよい。
【0043】
・第1の一定時間を第2の一定時間よりも長い時間に設定してもよい。
・第1の一定時間や第2の一定時間をカスタマイズする設定ボタンを携帯機2に設けてもよい。この場合、ユーザによるカスタマイズが可能となる。
【0044】
・第1の未使用状態をスマートロック時とリモートロック時とで区別しつつ、第1の一定時間をそれぞれに同じ或いは異なる一定時間に設定してもよい。
・上記実施の形態では、第1の一定時間及び第2の一定時間をそれぞれ任意に設定可能としたが、それらを固定値としてもよい。
【0045】
・省電力モードは、LF電波の受信機能を停止する他、携帯機2に内蔵される全ての電子部品への給電を遮断してもよい。
・ステップS12の省電力モードとステップS16の省電力モードとを区別しつつ、それぞれの電力消費を異ならせてもよい。
【0046】
・車両ドアの施錠を肯定してから一定時間が経過したタイミングで携帯機2の振動の有無を検知し、振動無しを検知したことを条件に、携帯機2を省電力モードに移行させる構成でもよい。
【0047】
・車両ドアの施錠を肯定せずに、携帯機2の振動無しを検知してから一定時間が経過したタイミングで携帯機2の振動の有無を検知し、振動無しを検知したことを条件に、携帯機2を省電力モードに移行させる構成でもよい。
【0048】
・車両ドアの施錠を肯定してから同じ或いは異なる所定の時間が経過する度に、携帯機2の振動の有無を検知し、振動無しを検知した度に、より電力消費の少ない省電力モードへと移行させる構成でもよい。
【0049】
・車両ドアの施錠を肯定せずに、携帯機2の振動無しを検知してから同じ或いは異なる所定の時間が経過する度に、携帯機2の振動の有無を検知し、振動無しを検知した度に、より電力消費の少ない省電力モードへと移行させる構成でもよい。
【0050】
・ロック肯定情報の取得の有無にかかわらず、携帯機2が非所持状態になったことの検知をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知してもよい。
・携帯機2の所持状態にかかわらず、ロック肯定情報の取得をもって携帯機2が未使用状態になったことを検知してもよい。
【0051】
・振動センサ26に代えて又は加えて温度センサなどを外的要因検知デバイスとして携帯機2に設けてもよい。外的要因検知デバイスは所持状態検知手段を構成する。
・車両3との間で双方向通信のみが可能で単方向通信の機能を持たない携帯機に本発明を適用してもよい。
【0052】
・車両3との間で単方向通信のみが可能で双方向通信の機能を持たない携帯機に本発明を適用してもよい。
・建物の電子キーシステムに用いられる携帯機に本発明を適用してもよい。また、車両キーと建物キーとに兼用される携帯機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…電子キーシステム、2…携帯機、3…車両、21…マイコン(使用状態検知手段、モード制御手段、所持状態検知手段、ロック肯定情報取得手段、ロック完了情報取得手段、ロック指示情報取得手段)、22…LF受信回路(電子部品、ロック完了情報取得手段)、23…UHF送信回路、24…ロックボタン、25…アンロックボタン、26…振動センサ(所持状態検知手段)、31…照合ECU、32…LF発信機、33…UHF受信機、34…ロックスイッチ。
図1
図2