(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定する手順において、前記ロータにおける複数の前記保持部の位置の中から、使用する保持部の位置である使用位置が前記使用個数分だけさらに決定されることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る部品実装装置50の構成を示す平面図である。
図1に示すように、部品実装装置50は、基板(被装着物)52に電子部品(部品)105(
図2参照)を実装して電子回路基板を製作する装置である。
【0017】
具体的には、部品実装装置50は、基板搬送コンベア51によって搬送される基板52の所定位置(クリーム半田が塗布された箇所)に電子部品105を自動的に搭載(装着)する。エポキシ樹脂等から構成される基板52上には、銅箔などの回路パターンがエッチング、印刷等で形成されている。
【0018】
電子部品105がクリーム半田上に搭載された基板52は、後工程の図示しない炉内で加熱される。これにより、電子部品105が基板52に半田付けされ、電子部品105が実装された電子回路基板が製造される。
【0019】
部品実装装置50の基台59上には、一対の部品供給部53が、基板搬送コンベア51(
図1の紙面左右方向に延在)を間に挟んで両側に対向して設けられている。
図1では、一対の部品供給部53が、基板52の搬送方向に沿って2組(2ステージ分)設置されている場合が示されている。
【0020】
電子部品供給装置60は、基板52の搬送方向に沿って複数個並んで、部品供給部53に着脱可能に設置されて固定されており、種々の電子部品105をそれぞれの電子部品の取出し位置(部品吸着位置)に供給する。これらの電子部品供給装置60は、ほとんど隙間なく(1mm以下程度の隙間)隣り合って並置されている。
【0021】
基板搬送コンベア51は、基板52を搬送する搬送手段と、矢印Aの方向から搬送されてくる基板52を所定の位置に位置決めして保持する基板保持手段と、を有している(いずれも図示せず)。基板搬送コンベア51は、基板52上に電子部品105が装着された後、矢印Bの方向に基板52を搬送する。
【0022】
図2は、電子部品供給装置60に備えられるテープリール(図示せず)に巻回される部品収納テープ100のテープリールから繰り出された状態を示す斜視図である。
図2に示すように、部品収納テープ100は、部品収納部103に電子部品105が収納されたキャリアテープ101と、電子部品105が収納された部品収納部103を覆うカバーテープ104と、を有している。
図2では、電子部品105は、説明しやすいように先頭の部品収納部103に収納されたもののみが示されている。
【0023】
部品収納部103は、キャリアテープ101の長手方向に沿って複数並んで凹状に形成されている。キャリアテープ101の一側部には、キャリアテープ101に対して搬送力を与えるための搬送力伝達孔102が、長手方向に沿って複数並んで穿孔されている。
【0024】
カバーテープ104は、電子部品105が収納された部品収納部103の上方開口を覆うように、キャリアテープ101に貼着されている。これにより、部品収納テープ100の移動中における電子部品105の飛び出しを抑えるとともに、環境影響(例えば湿度)から電子部品105を保護することができる。
【0025】
初期の状態では、電子部品供給装置60に備えられる部品収納テープ100は、前記したようにテープリールに巻回されている。電子部品供給装置60内の部品収納テープ100は、稼働状態に移行すると、搬送力伝達孔102を用いて搬送力が付与されて巻回が解かれる。そして、部品収納テープ100は、電子部品105がその取出し位置に来るように搬送されるとともに、電子部品105は、部品収納テープ100から取り出し可能に露出させられる。その後、部品収納テープ100の部品収納部103内の電子部品105が、部品実装ヘッド54のノズル5(
図4参照)によって、真空吸引されることにより吸着されて取り出される。
【0026】
図1に示すように、基板52が搬送される方向(矢印A,B方向)に沿って延在する一対のXビーム55が、基板搬送コンベア51を間に挟んで両側に対向して配設されている。そして、一対のXビーム55は、基板搬送コンベア51の上方(
図1の紙面に垂直方向手前側)に位置している。
【0027】
Xビーム55の両端部には、図示しないアクチュエータ(例えば、リニアモータ等)が取り付けられている。このアクチュエータによって、Xビーム55は、基板52が搬送される方向(矢印A,B方向)に直交する方向(
図1の紙面上下方向)に、Yビーム57に沿って移動可能に支持されている。したがって、Xビーム55は、部品供給部53と基板52との間を往復動(行き来)することができる。
【0028】
Xビーム55には、図示しないアクチュエータ(例えば、リニアモータ等)によって、Xビーム55の長手方向(延在方向)に沿って移動する部品実装ヘッド54が設置されている。部品実装ヘッド54の先端(
図1に示す部品実装ヘッド54の
図1の紙面に垂直方向奥側)には、前記した部品収納テープ100の部品収納部103内の電子部品105(
図2参照)を吸着するためのノズル5(
図3参照)が複数設けられている。部品実装ヘッド54は、さらに、前記したXビーム55のアクチュエータによって、Yビーム57の延在方向に沿って移動する。
【0029】
このように部品実装ヘッド54は、水平方向(
図1の紙面に平行方向)に移動する。したがって、部品供給部53に設置された電子部品供給装置60から供給される電子部品105は、部品実装ヘッド54のノズル5に吸着された後、水平方向を移動し、実装対象の基板52上における所定位置(実装位置)まで搬送される。
【0030】
そして、実装対象の基板52上の所定位置(クリーム半田が塗布された箇所)に、電子部品105が部品実装ヘッド54によって押圧された後、ノズル5の真空が解かれる。これにより、当該電子部品105が基板52に搭載(装着)される。
【0031】
部品供給部53と基板搬送コンベア51との間には、認識カメラ56とノズル保管部58とが配置されている。
【0032】
認識カメラ56は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等であり、部品実装ヘッド54に吸着した電子部品105の位置ずれ情報を取得する。認識カメラ56は、電子部品105が基板搬送方向(矢印A,B方向)および基板搬送方向と直交する方向にどれだけ位置ずれしているか、また回転角度はどの程度かを、部品実装ヘッド54に吸着された電子部品105を撮影することにより確認する。言うまでもなく、認識カメラ56が撮影を行うことにより、部品実装ヘッド54に電子部品105が吸着されているか否かを確認することもできる。
【0033】
部品実装ヘッド54が、部品供給部53から、Xビーム55の延在方向やYビーム57の延在方向に基板52の上方を移動する際に、部品実装ヘッド54は認識カメラ56上を通過する。この際に、認識カメラ56が電子部品105の位置ずれ情報等を取得する。
【0034】
ノズル保管部58は、種々の電子部品105を吸着するために必要な、部品実装ヘッド54に取り付けられるノズル5(
図3参照)を複数個保管している。例えば特定の電子部品105に対応したノズルに変更するように指示された場合、部品実装ヘッド54は、Xビーム55の延在方向及びYビーム57の延在方向にそれぞれ独立して移動することにより、ノズル保管部58まで移動する。そして、部品実装ヘッド54に取り付けられているノズル5が、ノズル保管部58に保管されている指定されたノズルと交換される。
【0035】
図3は、ノズル機構1を備える部品実装ヘッド54を支持し、ノズル機構1のノズル5を公転させる手段を示す側面図である。
なお、説明を明確にするため、
図3に示すように前後上下の方向を設定する。ここで、上下方向は、鉛直方向に一致する。前後方向は、
図1における基板搬送方向(矢印A,B方向)と直交する方向であり、「前」は基板搬送コンベア51に近付く方向を指し、「後」は基板搬送コンベア51から離れる方向を指す。
【0036】
図3に示すように、部品実装ヘッド54は、電子部品105(
図2参照)を吸着して基板52に装着するノズル機構1と、ノズル機構1を搭載するロータ11と、を備えている。また、ロータ11は、回転駆動される駆動軸63と接続する本体12を有している。駆動軸63の端部は、公転モータ64に接続されている。したがって、駆動軸63は、公転モータ64によって回転駆動され得る。
【0037】
公転モータ64は、公転モータブラケット65に固定されている。そして、公転モータブラケット65は、ヘッドフレーム66と接続されている。ヘッドフレーム66は、部品実装ヘッド54が回転可能となるようにその下面を支持する。公転モータブラケット65とヘッドフレーム66とを用いて、ロータ11の本体12に接続される駆動軸63と公転モータ64とが同軸となるように支持される。このように構成すれば、公転モータ64によって、部品実装ヘッド54は安定して回転できる。また、ヘッドフレーム66は、Xビーム55(
図1参照)の長手方向に沿って直線的に移動可能な直動機構67によって支持されているため、Xビーム55の長手方向の任意の位置に位置決め可能である。
【0038】
次に、
図4〜
図10を参照して、本実施形態に係る部品実装ヘッド54(
図3参照)についてさらに説明する。
図4は、ノズル機構1の一例を示す斜視図である。
図4に示すように、ノズル機構1は、電子部品105(
図2参照)を吸着するノズル5と、直動機構2と、回転機構3と、筺体20と、を有している。直動機構2は、ノズル5を該ノズル5の中心軸方向に移動させる。回転機構3は、ノズル5を該ノズル5の中心軸回りに回転させる。そして、筺体20は、直動機構2、回転機構3及びノズル5を支持している。
【0039】
本実施形態では、直動機構2は、ノズル5とともに回転機構3を、上下方向に移動させる。回転機構3は、ノズルシャフト4と、該ノズルシャフト4の先端に同軸に配置されたノズル5とを、ノズルシャフト4の中心軸回りに回転させる。直動機構2と回転機構3とは、それぞれ独立してノズル機構1毎に動作可能とされている。そして、直動機構2が筺体20に支持されており、回転機構3及びノズル5は、直動機構2を介して筺体20に支持されている。
【0040】
図5は、
図4に示すノズル機構1を下から見た図である。
図5に示すように、直動機構2を支持する筺体20の左右方向の幅W1と、回転機構3の左右方向の幅W2は、ほぼ同等の寸法に設定されている。本明細書において、左右方向は、ノズル機構1が搭載されるロータ11の円周方向に合致する方向をいう。
【0041】
また、
図5上で直動機構2を左右方向に等分する中心線CL1は、回転機構3及びノズル5の中心を通っている。このように中心線CL1とノズル5の中心は同一平面内にあり、かつ幅W1と幅W2とがほぼ同等の値であるため、ノズル機構1は、左右方向の長さ(幅)が非常に小さい。
【0042】
図6は、ノズル機構1の内部構造の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、回転機構3は、回転用モータ6と、回転用モータ6の回転軸(中心軸CL2)と同軸に配置されて回転駆動されるノズルシャフト4と、を有している。前記したように、ノズル5は、ノズルシャフト4の先端に同軸に配置されている。
【0043】
直動機構2は、直動用モータ7と、直動用モータ7の回転軸(中心軸CL3)と同軸に配置されて回転駆動されるねじ軸8と、を有している。また、直動機構2は、ねじ軸8に螺合されねじ軸8が中心軸CL3回りに回転することによって上下方向に移動するナット9と、ナット9に連結された可動部材10と、を有している。可動部材10は、回転機構3と連結されており、直動用モータ7が動作することによって、ナット9が上下方向に移動すると、回転機構3も上下方向に移動するようになっている。
【0044】
なお、
図6では、直動用モータ7(例えば、回転モータ)の回転駆動力をねじ軸8とナット9とを用いて上下方向の移動に変換させる方式の直動機構2が採用されているが、これに限定されるものではない。例えば、直動用モータ7としてリニアモータを用いて、このリニアモータの可動子と回転機構3とを可動部材10で連結する構成の直動機構が採用されてもよい。
【0045】
また、直動機構2の動作軸(中心軸CL3)と回転機構3の動作軸(中心軸CL2)とを同一平面内に併設することにより、中心軸CL3及び中心軸CL2によって形成される平面に垂直な方向のノズル機構1の寸法(厚さ)を低減することが可能である。
【0046】
また、回転機構3は、前記したように直動機構2によって中心軸CL3の方向に移動可能に支持されている。したがって、直動機構2を大きくすることなく(あるいは直動機構2に備えられる直動用モータ7を推力確保のために大型化することなく)回転機構3を移動させるために、回転機構3は軽量化された構成とすることが望ましい。
【0047】
図7は、ロータ11の一例を示す斜視図である。
図7に示すように、ノズル機構1(
図4参照)を搭載するためのロータ11は、回転駆動される駆動軸63(
図3参照)と回転伝達可能に接続する本体12を有している。ただし、本体12における駆動軸63との接続部は、図示を省略している。
【0048】
本体12には、ノズル機構1を着脱可能に保持する保持部13が、本体12の中心軸CL4回りの円周方向に複数並んで設けられている。保持部13の設置個数は、ここでは8個であるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本実施形態では、ロータ11の本体12は、円柱形状を呈している。保持部13は、本体12の半径方向に沿って形成され本体12の上面及び外周面に開口する溝14を有している。すなわち、複数の保持部13は、本体12に対して、放射状に形成されている。そして、溝14には、ノズル機構1の筺体20(
図4参照)が嵌め込まれるようになっている。
【0050】
ロータ11は、公転モータ64(
図3参照)によって、上下方向と平行な中心軸CL4回りに回転され得る。したがって、ロータ11の溝14に嵌め込まれたノズル機構1は、中心軸CL4回りに公転し得る。
【0051】
保持部13の溝14の底面がノズル機構1の筺体20(
図4参照)の下面と接触し、保持部13の溝14の左右の内側面がノズル機構1の筺体20の左右の側面をガイドすることによって、保持部13はノズル機構1を保持する。また、溝14はロータ11の本体12に対して半径方向に沿って放射状に配置されているため、ノズル5(
図4参照)を本体12の中心軸CL4回りの円周上に配置することになる。
【0052】
図8は、複数のノズル機構1が搭載されたロータ11を示す斜視図である。
図8に示すように、ロータ11には、合計8個のノズル機構1が搭載されている。ただし、一つのロータ11へのノズル機構1の搭載個数は、8個に限定されるものではなく、例えば16個であってもよい。
【0053】
図9は、
図8の下から見た図である。
図9に示すように、ノズル機構1の回転機構3(
図8参照)をロータ11の半径方向内側に配置することによって、ノズル5が配置される円の直径であるノズル配置直径P1を小さくすることができる。そして、ノズル配置直径P1を小さくすることによって、各ノズル5間の距離が最大でもノズル配置直径P1となる。したがって、ノズル5を直線的に並べて配置する場合と比較すると、電子部品105(
図2参照)を基板52(
図1参照)に装着する時の移動距離を最小化し、電子部品105の装着に必要な時間を減少させることができる。
【0054】
図10は、ロータ11にノズル機構1を着脱する方法を説明するための図である。
図10に示すように、ロータ11の本体12には、溝14を有する保持部13が設けられている。この保持部13の溝14内の奥側(ロータ11の中心軸CL4(
図7参照)に近付く側)の面、左右の内側面、及び下面によって囲繞された空間にノズル機構1の筺体20を
図10中の破線の矢印方向に嵌め込むことによって、ロータ11にノズル機構1を装着することができる。また、ノズル機構1を保持部13の溝14の前記した各面から離間させることによって、ロータ11から分離させて取り外すことができる。
【0055】
図11は、ロータ11に設けられた、ノズル機構1の位置決め構造の一例を示す図である。
図12は、ノズル機構1に設けられた、ノズル機構1の位置決め構造の一例を示す図である。ここで、
図11は、ロータ11の中心軸CL4(
図7参照)を含む平面で溝14の幅方向中央を切断した断面斜視図である。
【0056】
図11に示すように、ロータ11の本体12に設けられた保持部13は、溝14の左右の内側面にそれぞれ形成された略Z字状に延在するノズル機構固定溝15を有している。このノズル機構固定溝15は、
図12に示すノズル機構1をガイドして固定するための溝である。
図11中の符号16は、ノズル5が挿通する貫通孔を示す。また、
図12に示すように、ノズル機構1の筺体20における左右の側面のそれぞれには、ノズル機構固定溝15に入り込む突起21が設けられている。
【0057】
図11〜
図12を参照して、ノズル機構1をロータ11に装着する方法について説明する。まず、ノズル機構1の突起21がノズル機構固定溝15の外周側開口に挿入されるようにして、ノズル機構1を溝14内の奥側に一旦押し込む。続いて、ノズル機構固定溝15の延在方向にしたがって、ノズル機構1を下方向に移動させる。最後に、ノズル機構1を溝14内のさらに奥側に押し込む。この押込み動作によって、ノズル機構1及びロータ11にそれぞれ設けられた電力を供給する給電線や各種信号を入出力する信号線等の配線部材(図示せず)がコネクタ(図示せず)を介して電気的に接続される構成となっている。また、ノズル機構1及びロータ11にそれぞれ設けられた空気吸引用の流路(図示せず)が連通される構成となっている。ただし、非接触で給電や信号の送受信をするシステムが導入されてもよい。また、ロータ11にノズル機構1を位置決めする構造は、
図11〜
図12に示した例に特に限定されるものではない。
【0058】
次に、
図13〜
図14を参照して、部品実装装置50において電子回路基板を製作する前段階における事前段取り作業として、部品実装ヘッド54の使用方法を含む部品実装装置50の構築方法について説明する。
図13は、部品実装装置50に付設される情報処理装置90の構成の一例を示すブロック図である。
図14は、部品実装装置50の構築方法を実施する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0059】
図13に示すように、情報処理装置90は、データ処理部91、記憶部92、表示部93、および入力装置94を有している。情報処理装置90としては、例えば一般的なPC(パーソナルコンピュータ)が使用され得る。
【0060】
データ処理部91はCPUを含んでおり、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。本実施形態では、データ処理部91は、部品実装ヘッド54のロータ11に設けられた複数の保持部13のうち、使用する保持部の個数である使用個数を決定する。また、データ処理部91は、さらに、ロータ11における複数の保持部13の位置の中から、使用する保持部の位置である使用位置を前記使用個数分だけ決定する。
【0061】
記憶部92は、予め各種プログラムやデータを格納しておくROMと、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAMと、各種プログラムやデータを格納し、さらにデータ処理により得られた結果等を保存するために使用されるハードディスクとを有している。表示部93は、LCD等のディスプレイであり、データ処理部91による演算結果等の各種の情報を表示する。入力装置94は、キーボード、マウス、外部機器からの入力インタフェース等を含み、各種の情報の入力を行うために使用される。
【0062】
図14に示すフローチャートの内容は、プログラムとして記憶部92に記憶されており、データ処理部91がこのプログラムを実行する。
図14に示すように、まず、データ処理部91は、基板52に装着する電子部品105に関する情報を受け付ける(ステップS1)。装着すべき電子部品105に関する情報には、装着すべき電子部品105の種類、数、基板52における実装位置等が含まれる。ここで、装着すべき電子部品105に関する情報は、CADデータ等の電子データとして外部機器から入力される場合もある。
【0063】
ステップS2では、データ処理部91は、使用可能に用意されている電子部品105に関する情報を受け付ける。用意されている電子部品105に関する情報には、電子部品105の種類、形状(縦、横、高さの寸法)、極性等が含まれる。かかる情報は、通常、予めライブラリとして整理されて記憶部92のハードディスク等に保存されている場合が多く、この場合には、ライブラリの電子部品105に関する情報が読み出される。なお、新規な電子部品105に関する情報は、ユーザの操作によってライブラリに加えられる。
【0064】
ステップS3では、データ処理部91は、部品実装装置50に関する情報を受け付ける。部品実装装置50に関する情報には、部品実装装置50におけるステージの数が含まれる。本実施形態では、1枚の基板52に対して一対(2個)の部品実装ヘッド54が、各ステージにそれぞれ配置されている。そして、各ステージにおいて1枚の基板52に対して割り当てられる部品実装ヘッド54の数は、ここでは自動的に設定されるが、その入力が受け付けられてもよい。また、部品実装装置50に関する情報には、ロータ11に設けられた保持部13の設置数が含まれる。さらに、部品実装装置50に関する情報には、部品実装ヘッド54の種類(例えば、微小チップ部品専用タイプ、異形部品対応タイプ等)や部品実装装置50における配列が含まれ得る。
【0065】
ステップS4では、データ処理部91は、使用可能に用意されているノズル機構1に関する情報を受け付ける。用意されているノズル機構1に関する情報には、ノズル機構1の種類(例えば、高速動作対応タイプ、高精度位置決め対応タイプ、大荷重押し込み対応タイプ等)が含まれる。
【0066】
ステップS5では、データ処理部91は、電子部品105を基板52に装着する順序を作成する。電子部品105の装着順序の作成は、電子回路基板1枚あたりの製作時間を最小にするように計算される。また、計算結果として、装着順序と、その装着順序で製作したときの製作時間が、記憶部92に記憶される。
【0067】
ステップS6では、データ処理部91は、ステージ毎にノズル機構1の搭載数を決定する。すなわち、データ処理部91は、ステップS5で作成した電子部品105の装着順序に基づいて、各ステージに必要なノズル機構1の数と種類を決定する。ここで、一つのロータ11における複数の保持部13のうち、使用する保持部13の個数である使用個数が決定される。
【0068】
ステップS7では、データ処理部91は、ステージ毎にノズル機構1の搭載位置を決定する。ここで、一つのロータ11における複数の保持部13の位置の中から、使用する保持部13の位置である使用位置が前記使用個数分だけさらに決定される。これは、ステージによってはロータ11にノズル機構1を隣り合って搭載した方が良い場合もあるし、間隔をあけて搭載した方が良い場合もあるからである。
【0069】
ステップS8では、データ処理部91は、電子回路基板1枚あたりの製作時間を計算する。ここで、データ処理部91は、ステップS6〜S7で決定したノズル機構1の搭載数及び搭載位置に基づいて、電子回路基板1枚あたりの製作時間を、ステップS5とは別に再度計算する。
【0070】
ステップS9では、データ処理部91は、ステップS8で計算された製作時間が予め決められた目標時間以下であるか否か、つまり要求通りであるか否かを判断する。このとき、ステップS8で再計算した製作時間とステップS5で初期に計算した製作時間とが大きく異なる結果、要求通りでないと判断された場合には(ステップS9でNo)、データ処理部91は、ステップS5に処理を戻して、電子部品105の装着順序を作成し直す。一方、ステップS8で再計算した製作時間が要求通りの製作時間内に収まっていれば(ステップS9でYes)、次のステップS10に進む。
【0071】
ステップS10では、データ処理部91は、ステージ毎にノズル機構1の搭載を指示する。ここで、ステップS5〜S9の処理の結果確定されたステージ毎におけるノズル機構1の搭載数及び搭載位置に基づいて、ステージ毎にノズル機構1がロータ11に搭載される。このノズル機構1のロータ11への搭載作業は、人手によって行われてもよいし、自動機械によって行われてもよい。
【0072】
ステップS11では、データ処理部91は、ノズル機構1の搭載が正常に行われたか否かをチェックする。すなわち、ノズル機構1の誤搭載がないことの確認が行われる。ここで、例えば、ノズル機構1に識別情報を備えておくとともにロータ11の各保持部13に識別情報の検出手段を備えるように構成し、ノズル機構1の識別情報と、該識別情報を検出した保持部13の位置情報とが照合される。
【0073】
ステップS11においてノズル機構1の搭載が正常に行われたと判断された場合(ステップS11でYes)、データ処理部91は、ノズル機構1の正常搭載を示す情報を報知する(ステップS12)。例えば、データ処理部91は、表示部93にステップS11における照合結果を表示するとともに、青色のランプ(図示せず)を点灯させる。
【0074】
ステップS11においてノズル機構1の搭載が正常に行われていないと判断された場合(ステップS11でNo)、データ処理部91は、ノズル機構1の異常搭載を示す情報を報知する(ステップS13)。例えば、データ処理部91は、表示部93に異常搭載を示すメッセージを表示するとともに、赤色のランプ(図示せず)を点灯させる。その後、データ処理部91は、ステップS10に処理を戻し、ノズル機構1の搭載作業がやり直されることになる。
【0075】
ステップS12において、ノズル機構1の正常搭載を示す情報が報知されると、部品実装ヘッド54を含む部品実装装置50の構築方法を実施する処理が終了する。
本実施形態では、部品実装装置50において、ロータ11の複数の保持部13のうちの一部は、ノズル機構1が装着されない空の状態とされる場合がある。
そして、他の事前段取り作業が完了していれば、部品実装装置50による電子回路基板の製作に入ることになる。
【0076】
図15は、ノズル機構1を保守管理する保守装置70の構成を示す説明図である。
図15に示すように、保守装置70は、ノズル機構1が装着されると、自動的に保守作業を行う。保守作業では、まず、データ処理装置81からの指令によって、正圧ポンプ73が動作し、電磁弁72を切り替えることでノズル機構1に設けられた流路(図示せず)に正圧がかかる。正圧は、圧力・流量センサ71によって圧力や流量を検出しながら、所定の圧力に設定される。そして、ノズル機構1内の流路に詰まりや損傷がある場合、圧力・流量センサ71による検出値が規定の圧力・流量とならないため、異常と判断され、該当するノズル機構1は修理対象とされる。
【0077】
一方、データ処理装置81からの指令によって、真空ポンプ74が動作し、電磁弁72を切り替えることでノズル機構1の流路に負圧がかかる。そして、圧力・流量センサ71による検出値が規定の圧力・流量とならない場合、ノズル機構1に設けられたフィルタ(図示せず)の目詰まりが発生している可能性がある。この場合、保守装置70は、フィルタの交換を指示する。
【0078】
さらに、データ処理装置81からの指令によって、回転モータコントローラ76に回転モータアンプ75を介して接続された回転機構3(
図4参照)が動作する。また、データ処理装置81からの指令によって、直動モータコントローラ78に直動モータアンプ77を介して接続された直動機構2(
図4参照)が動作する。そして、最下端に移動したときのノズル5の先端位置のずれ量や、ノズル5を回転させたときの回転角度位置のずれ量を計測する位置センサ79からの信号が、センサコントローラ80によって解析される。この解析結果がデータ処理装置81に送信されることによって、ノズル機構1の動作不具合を調査することができる。
【0079】
このような保守作業におけるノズル機構1の修理やフィルタ交換等の指示は、データ処理装置81に含まれるディスプレイ上に表示してもよいし、ブザー等の音で知らせるようにしてもよい。また、各種の保守作業のデータは、データ処理装置81を介してデータベース82に蓄積され、不具合発生の予測や定期交換部品のタイミングを告知することに使用される。
【0080】
図16は、部品実装ヘッド54に、電子部品105を下方と側方から撮像する手段を備えた例を示す側面図である。
図16の例は、
図3に示す構造と基本構造は同じである。
【0081】
図16に示すように、ヘッドフレーム66に光学フレーム84が取り付けられている。光学フレーム84には、カメラ83、第1ミラー85及び第2ミラー86が搭載されている。
図16に示す部品実装ヘッド54には、説明しやすいようにノズル5が1個だけ記載されている。公転モータ64が回転し、ノズル機構1の直動機構2(
図4参照)によって高さ調整されたノズル5が第2ミラー86の直上に位置されると、ノズル5の先端に吸着した電子部品105(
図2参照)がカメラ83によって撮像される。このとき、カメラ83は、
図16の破線で示すように、電子部品105の下面と側面(前後方向面)とを撮像する。
【0082】
カメラ83が電子部品105の側面を撮像することによって、電子部品105の吸着状態が判断される。電子部品105が正常に吸着されていないと判断された場合(例えば、通常では電子部品105の厚さ方向の端面で吸着されるが、厚さ方向以外の端面で吸着されている場合)、電子部品105は基板52(
図1参照)に装着されず、廃棄される。さらに、カメラ83が電子部品105の下面を撮像することによって、電子部品105の水平面上での角度ずれやノズル5の中心軸に対する位置ずれが測定される。測定した角度ずれの量に基づいて、回転機構3(
図4参照)を動作させることによって、電子部品105の角度ずれが修正される。また、測定した位置ずれの量に基づいて、部品実装ヘッド54を電子部品105の位置ずれ分だけ修正した座標に移動させることによって、電子部品105が基板52の正しい位置に装着されるようになる。このように部品実装ヘッド54に対して電子部品105の吸着状態を測定する手段を備えることによって、電子部品105を基板52に装着する時間を短縮することができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態では、部品実装ヘッド54は、ノズル5、ノズル5の直動機構2、ノズル5の回転機構3及び筺体20を有するノズル機構1と、ノズル機構1を搭載するロータ11と、を備えている。そして、ロータ11の本体12には、ノズル機構1を着脱可能に保持する保持部13が、本体12の中心軸回りの円周方向に複数並んで設けられている。
【0084】
このような構成によれば、ロータ11に搭載された複数のノズル機構1のうちの一部を交換したり取り外したりすることが容易に可能となる。したがって、ロータ11の本体12に設けられた複数の保持部13のうち、電子部品105の実装に必要な保持部13のみにノズル機構1を保持させて使用することができる。
このため、従来のように使用しないノズルが部品実装ヘッドに存在するために、無駄な資産を抱えたり、部品実装ヘッドの重量が不必要に増加して部品実装ヘッドの移動速度の制約や消費電力の増加を招いたりすることを防止できる。
また、部品実装ヘッド54に備えられるすべてのノズル5が、それぞれ独立して該ノズル5の中心軸回りの回転、及び該ノズル5の中心軸方向の直動を行うことができるため、実装作業時間の短縮、及び実装位置精度の向上を図ることができる。
さらに、製作する電子回路基板の機種変更やノズル機構1の保守管理の際には、対象となるノズル機構1のみを、部品実装ヘッド54のロータ11から短時間で容易に取り外すことができる。さらに、部品実装ヘッド54から取り外されたノズル機構1の保守作業において、直動機構2及び回転機構3をノズル機構1毎に動作させて調査や点検を行うことが可能となる。
すなわち、電子部品105の実装作業に関して生産性の向上を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、ロータ11の本体12は、円柱形状を呈しており、保持部13は、本体12の半径方向に沿って形成され本体12の上面及び外周面に開口する溝14を有し、ノズル機構1の筺体20は、溝14に嵌め込まれる。
【0086】
このような構成によれば、ロータ11の側方上部からノズル機構1をロータ11に接近させて溝14に嵌め込むことによって、複数のノズル機構1をロータ11の保持部13に容易かつ確実に保持させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、ロータ11に設けられた複数の保持部13のうち、使用する保持部の個数である使用個数が決定された後、決定された使用個数の保持部13にノズル機構1がそれぞれ着脱可能に保持させられる。
【0088】
このような構成によれば、部品実装装置50で行われる電子部品105の実装作業の内容に適合するように、ロータ11の複数の保持部13のうち、決定された使用個数の保持部13にノズル機構1を保持させて使用することができる。例えば、大きい電子部品105を取り扱う場合には保持部13の使用個数を少なくし、小さい電子部品105を取り扱う場合には保持部13の使用個数を多くすることができる。また、大きい電子部品105と小さい電子部品105との両方を一つの部品実装ヘッド54で取り扱うことも可能である。さらに、部品実装装置50には部品実装ヘッド54を備えるステージが通常複数存在しており、いずれかのステージで使用しない保持部13が生じ得るが、このような使用しない保持部13にはノズル機構1を保持させる必要はない。
このように、無駄のない効率的な電子部品105の実装作業を実現することができる。
【0089】
また、本実施形態では、ロータ11における複数の保持部13の位置の中から、使用する保持部の位置である使用位置が前記した使用個数分だけさらに決定される。
【0090】
このような構成によれば、ステージによってはロータ11にノズル機構1を隣り合って搭載した方が良い場合もあるし、間隔をあけて搭載した方が良い場合もあるため、必要に応じてより効果的な保持部13の使用位置を選択することが可能となる。例えば、ロータ11の回転アンバランスを抑制するような保持部13の使用位置を選択することもできる。このようにすれば、ロータ11における複数の保持部13のうちの使用しない保持部13のためにロータ11の回転アンバランスが生じることを抑制でき、ロータ11の回転を安定化させることができる。これにより、ノズル5の位置精度が向上し、電子部品105の確実な吸着を実現できる。
【0091】
また、本実施形態では、部品実装装置50に備えられる記憶部92(
図13参照)に記憶されたプログラムをデータ処理部(コンピュータ)31が実行することによって、一つのロータ11における複数の保持部13のうち、使用する保持部13の個数である使用個数が決定される。また、一つのロータ11における複数の保持部13の位置の中から、使用する保持部13の位置である使用位置が前記使用個数分だけさらに決定される。
【0092】
このような構成によれば、部品実装装置50で行われる電子部品105の実装作業の最適化を実現できるプログラムを提供することができる。
【0093】
〔第2実施形態〕
次に、
図17〜
図19を参照して、本発明の第2実施形態について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。
図17は、本発明の第2実施形態において複数のノズル機構1が搭載されたロータ11を示す斜視図である。
図18は、
図17の下から見た図である。
【0094】
図17に示すように、本発明の第2実施形態は、ノズル機構1の回転機構3をロータ11の半径方向外側に配置した点で、
図8に示す第1実施形態と相違している。したがって、
図18に示すように、ノズル5が配置される円の直径であるノズル配置直径P2は大きくなり、各ノズル5間の間隔は大きくなる。このような構成によれば、例えば長手方向と短手方向の比が大きい長尺な電子部品を複数同時に吸着することが可能となる。
【0095】
図19は、第2実施形態においてロータ11にノズル機構1を着脱する方法を説明するための図である。第1実施形態と同様に、保持部13の溝14内にノズル機構1の筺体20を
図19中の破線の矢印方向に嵌め込むことによって、ロータ11にノズル機構1を装着することができる。
【0096】
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0097】
例えば、部品実装装置50の構造は、前記した実施形態に記載された方式に限定されるものではなく、それ以外の方式であってもよい。また、ノズル機構1やロータ11は、部品を吸着して被装着物に装着する装置であれば幅広く適用可能である。