特許第6445343号(P6445343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6445343溶接ワイヤ収納物および溶接ワイヤ収納容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445343
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】溶接ワイヤ収納物および溶接ワイヤ収納容器
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/133 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B23K9/133 503C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-27481(P2015-27481)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-150347(P2016-150347A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】貴師田 充
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−216768(JP,A)
【文献】 特開2008−149376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/133
B65D 85/04
B65H 49/08
B65H 49/02
B65H 75/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外筒部と、当該外筒部の内側に設けられて壁面を形成するとともにさらに内側に向けて突出した複数の頂部が連結されている内壁部と、を有する溶接ワイヤ収納容器と、
コイル状の積層外径部の複数箇所が前記内壁部の前記頂部に接触した状態で前記溶接ワイヤ収納容器に収納される溶接ワイヤと
を含み、
前記内壁部は、前記溶接ワイヤに対峙する頂部と、当該頂部に連続する斜面部と、当該頂部に対向するとともに当該斜面部に連続し且つ前記外筒部に対峙する底部とを有する複数の枠体と、隣接する2つの当該枠体を接続する複数の接続体とを有すること
を特徴とする溶接ワイヤ収納物。
【請求項2】
前記底部は前記頂部よりも幅広であることを特徴とする請求項1記載の溶接ワイヤ収納物。
【請求項3】
前記枠体が中空形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の溶接ワイヤ収納物。
【請求項4】
前記枠体が熱硬化性樹脂で構成されることを特徴とする請求項1記載の溶接ワイヤ収納物。
【請求項5】
前記接続体が熱可塑性樹脂で構成されることを特徴とする請求項1記載の溶接ワイヤ収納物。
【請求項6】
コイル状に巻き回された溶接ワイヤを収納する溶接ワイヤ収納容器であって、
筒状の外筒部と、
前記外筒部の内側に設けられ、複数の頂部が連結されている内壁部と
を有し、
前記内壁部は、前記溶接ワイヤに対峙する頂部と、当該頂部に連続する斜面部と、当該頂部に対向するとともに当該斜面部に連続し且つ前記外筒部に対峙する底部とを有する複数の枠体と、隣接する2つの当該枠体を接続する複数の接続体とを有すること
を特徴とする溶接ワイヤ収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ワイヤを収納してなる溶接ワイヤ収納物および溶接ワイヤを収納するための溶接ワイヤ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接装置で使用する溶接ワイヤを収納する容器として、溶接ワイヤに捩りを与えながら落とし込むことで、溶接ワイヤをループ状に積み重ねたワイヤ層として収納するペイルパック用容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このペイルパック用容器は、長尺の溶接ワイヤを収納した状態で、使用先まで運搬するために用いられる。また、ペイルパック用容器は、運搬後の使用先において、収納した溶接ワイヤを溶接装置に供給するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−136346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接装置にて溶接を行う際、ペイルパック用容器に収納されたワイヤ層から溶接ワイヤが引き出され、溶接装置への供給が行われる。このとき、溶接前の運搬時において、ペイルパック用容器に与えられた衝撃により、ワイヤ層を構成する溶接ワイヤの配列に乱れが生じていることがあった。そして、ワイヤ層を構成する溶接ワイヤの配列に乱れが生じている場合には、ペイルパック用容器から溶接ワイヤを引き出す際に、溶接ワイヤが折れ曲がるキンクと呼ばれる現象が発生したり、溶接ワイヤの絡みが生じたりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、溶接ワイヤ収納容器に収納された溶接ワイヤの配列の乱れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の溶接ワイヤ収納物は、筒状の外筒部と、当該外筒部の内側に設けられて壁面を形成するとともにさらに内側に向けて突出した複数の頂部が連結されている内壁部と、を有する溶接ワイヤ収納容器と、コイル状の積層外径部の複数箇所が前記内壁部の前記頂部に接触した状態で前記溶接ワイヤ収納容器に収納される溶接ワイヤとを含み、前記内壁部は、前記溶接ワイヤに対峙する頂部と、当該頂部に連続する斜面部と、当該頂部に対向するとともに当該斜面部に連続し且つ前記外筒部に対峙する底部とを有する複数の枠体と、隣接する2つの当該枠体を接続する複数の接続体とを有することを特徴としている
この溶接物収納物において前記底部は前記頂部よりも幅広であることを特徴とすることができる。
また、前記枠体が中空形状に形成されることを特徴とすることができる。
さらに、前記枠体が熱硬化性樹脂で構成されることを特徴とすることができる。
さらにまた、前記接続体が熱可塑性樹脂で構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明は、コイル状に巻き回された溶接ワイヤを収納する溶接ワイヤ収納容器であって、筒状の外筒部と、前記外筒部の内側に設けられ、複数の頂部が連結されている内壁部とを有し、前記内壁部は、前記溶接ワイヤに対峙する頂部と、当該頂部に連続する斜面部と、当該頂部に対向するとともに当該斜面部に連続し且つ前記外筒部に対峙する底部とを有する複数の枠体と、隣接する2つの当該枠体を接続する複数の接続体とを有することを特徴としている
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、溶接ワイヤ収納容器に収納された溶接ワイヤの配列の乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態が適用される溶接ワイヤ収納物の構成例を示す斜視図である。
図2】溶接ワイヤ収納物の縦断面図である。
図3】溶接ワイヤ収納物の横断面図(図2におけるIII−III断面図)である。
図4】内壁部の構成例を示す斜視図である。
図5】内壁部の要部を説明するための正面図である。
図6】実施例および比較例の、振動試験後のワイヤコイルの状態を説明するための図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される溶接ワイヤ収納物1の構成例を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す溶接ワイヤ収納物1の縦断面図である。さらに、図3は、図1に示す溶接ワイヤ収納物1の横断面図(図2におけるIII−III断面図)である。
【0011】
溶接ワイヤ収納物1は、鉛直上方に向かって開口する溶接ワイヤ収納容器10と、溶接ワイヤ収納容器10の内側に、螺旋状(コイル状)に積層された状態で収納される溶接ワイヤ20とを備える。ここで、溶接ワイヤ20としては、ソリッドワイヤまたはフラックス入りワイヤが使用され得る。ただし、この例では、溶接ワイヤ20としてフラックス入りワイヤが用いられているものとする。なお、以下の説明において、螺旋状に積層された溶接ワイヤ20を、ワイヤコイル40と称することがある。また、溶接ワイヤ収納容器10は、JIS Z 3200:2005で規定される「ペールパック」に対応するものである。
【0012】
まず、溶接ワイヤ収納容器10の構成について説明を行う。
溶接ワイヤ収納容器10は、底板11と、外筒部12と、内壁部13と、内筒支持部14と、2つのつり手15とを備えている。
【0013】
これらのうち、底板11は円形状を呈しており、ボール紙で構成されている。また、外筒部12は円筒形状を呈しており、こちらもボール紙で構成されている。そして、底板11の周縁部と外筒部12の下端部とが、金属製のリング(図示せず)にてかしめられることで一体化している。これにより、外筒部12は、底板11の周縁から上方に立ち上がるように構成される。また、外筒部12の上端部にも、金属製のリング(図示せず)が取り付けられている。そして、底板11の上面および外筒部12の内周面には、外部からの水分の侵入を抑制するための防湿剤が塗布されている。
【0014】
また、内壁部13は、外筒部12の内側に、外筒部12の内周面に沿って設けられる。この例において、内壁部13は、外筒部12の内周面の全域にわたって設けられている。したがって、内壁部13も、全体として円筒状の形状を呈するようになっている。そして、この例においては、内壁部13の内側にワイヤコイル40が配置される。内壁部13はプラスチックで構成されており、接着テープや接着剤等を用いて外筒部12に取り付けられている。また、内壁部13は、さらに内側に向けて突出する複数の頂部が連結された構造を有するものであるが、その詳細については後述する。
【0015】
さらに、内筒支持部14は、底板11の上面の略中央に配置される。この内筒支持部14は、溶接ワイヤ20としてソリッドワイヤを用いる場合に、ワイヤコイル40の内側に立てて取り付けられる円筒状の内筒16(図2に二点鎖線で示す)をはめ込んで支持するためのものである。この内筒支持部14は、円形状を呈する底部の周縁部が鉛直上方に立ち上がった皿状の形状を有しており、金属で構成されている。そして、内筒支持部14は、接着テープや接着剤等を用いて底板11に取り付けられている。なお、この例においては、溶接ワイヤ20としてフラックス入りワイヤを用いており、内筒16を取り付けていない。
【0016】
さらにまた、2つのつり手15は、外筒部12の外周面のうち鉛直上方側となる部位に、互いに向かい合うように取り付けられている。これら2つのつり手15は金属で構成されており、ユーザが溶接ワイヤ収納物1あるいは溶接ワイヤ収納容器10を運搬する際に持ち手として使用される。
【0017】
次に、ワイヤコイル40の構成について説明を行う。
ワイヤコイル40は、溶接ワイヤ収納容器10における底板11の上方であって、内壁部13の内側且つ内筒支持部14の外側となる空間に配置される。そして、ワイヤコイル40は、溶接ワイヤ収納容器10の上方から、螺旋状に1回巻あたり略360°の捻りを付与して落とし込むように充填することにより、溶接ワイヤ収納容器10内に収納される。したがって、溶接ワイヤ収納物1では、溶接ワイヤ20が、下方から上方に向かって順次螺旋状に巻き回されるとともに積層されることで、ワイヤコイル40を構成している。
【0018】
なお、マグ溶接(炭酸ガスアーク溶接を含む)あるいはミグ溶接等を採用する溶接装置にて上記溶接ワイヤ収納物1を用いる場合、溶接ワイヤ収納物1の上方には、アローハットと呼ばれる円錐状のガイド(図示せず)が取り付けられる。また、溶接ワイヤ収納物1の内部におけるワイヤコイル40の上方には、リング状の押さえ板(図示せず)が配置される。
【0019】
続いて、溶接ワイヤ収納容器10に設けられた内壁部13について、より詳細に説明を行う。
図4は、内壁部13の構成例を示す斜視図である。また、図5は、内壁部13の要部を説明するための正面図である。ここで、図4は、図1において円筒状を呈する内壁部13を、平板状に展開した図を示している。
【0020】
内壁部13は、複数の枠体31と複数の接続体32とを交互に接続した構成を有している。別の観点からみれば、内壁部13は、複数の枠体31を接続体32により連結して構成される。ここで、各枠体31および各接続体32は、それぞれ、図1において下方から上方に伸びる縦長の形状を呈している。
【0021】
これらのうち、枠体31は、略台形状の断面を有するものであって、底面部311と、上面部312と、2つの斜面部313と、補強部314とを備えている。
【0022】
まず、下底となる底面部311は、溶接ワイヤ収納容器10において外筒部12の内周面と対向する側に配置される。また、上底となる上面部312は、溶接ワイヤ収納容器10においてワイヤコイル40(溶接ワイヤ20)と対峙する側に配置される。ここで、底面部311および上面部312は、略平行な位置関係に設定される。さらに、一方の斜面部313は、底面部311の一端側と上面部312の一端側とを接続する。さらにまた、他方の斜面部313は、底面部311の他端側と上面部312の他端側とを接続する。そして、補強部314は、底面部311、上面部312および2つの斜面部313の内側に形成される中空部において、底面部311の中央部と上面部312の中央部とを接続する。ここで、本実施の形態では、底面部311が底部の一例として、上面部312が頂部の一例として、それぞれ機能している。
【0023】
次に、接続体32は、板状の断面を有するものであって、隣接する2つの枠体31において、一方の枠体31における底面部311の一端部(底面部311と一方の斜面部313との接続部)と、他方の枠体31における底面部311の他端部(底面部311と他方の斜面部313との接続部)とを接続する。ここで、各接続体32の背面は、各枠体31に設けられた底面部311と一体化した面を構成する。
【0024】
本実施の形態の内壁部13は、合成樹脂素材をプレス成形することで製造されている。ここで、枠体31は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂で構成することが望ましい。これに対し、接続体32は、塩ビ樹脂、PP樹脂、PE樹脂、ABS樹脂、PC樹脂等の熱可塑性樹脂で構成することが望ましい。すなわち、内壁部13において、枠体31は相対的に硬い硬質合成樹脂を用いるとよく、接続体32は相対的に軟らかい軟質合成樹脂を用いるとよい。
【0025】
ここで、枠体31において、底面部311の周方向の長さを底面幅A、上面部312の周方向の長さを上面幅B、斜面部313の周方向の長さを斜面幅Cとする。また、接続体32の周方向の長さを接続幅Dとする。すると、本実施の形態では、枠体31において、底面幅A>上面幅Bとなっており、上面幅B>斜面幅Cおよび底面幅A>斜面幅Cとなっている。また、本実施の形態では、枠体31と接続体32とにおいて、底面幅A>接続幅D、上面幅B>接続幅Dおよび斜面幅C≦接続幅Dとなっている。
【0026】
次に、本実施の形態の溶接ワイヤ収納物1の動作について説明する。
溶接ワイヤ収納物1に上記押さえ板およびアローハット(ともに図示せず)を装着し、アローハットの上端に設けられた孔から、溶接ワイヤ20の一端を引き出す。そして、この溶接ワイヤ20を、溶接装置のトーチ(図示せず)に送給する。これに伴い、溶接ワイヤ収納物1において溶接ワイヤ収納容器10の内部に収容されたワイヤコイル40から、螺旋状に巻き回された溶接ワイヤ20が、順次引き出されていく。
【0027】
さて、本実施の形態の溶接ワイヤ収納物1は、製造業者にて製造された後、実際に使用者にて使用されるまでの間に、何度か運搬される。ここで、製造業者において製造された直後の溶接ワイヤ収納物1においては、ワイヤコイル40を構成する溶接ワイヤ20が、整然とした状態で収納されている。ただし、製造後に溶接ワイヤ収納物1が運搬されることに伴い、溶接ワイヤ収納物1は各種衝撃を受け得る状態となる。そして、溶接ワイヤ収納物1にこのような衝撃力が加わると、ワイヤコイル40を構成する溶接ワイヤ20の配列が乱れてしまうことがある。すると、この溶接ワイヤ収納物1から溶接ワイヤ20を引き出す際に、溶接ワイヤ20の配列の乱れに起因して、溶接ワイヤ20が折れ曲がるキンクや溶接ワイヤ20の絡み(もつれ)が生じる懸念がある。
【0028】
ここで、本実施の形態では、溶接ワイヤ収納物1を構成する溶接ワイヤ収納容器10において、外筒部12の内側に内壁部13を配置するようにした。そして、この内壁部13を、枠体31を凸部とし接続体32を凹部とする凹凸構成とした。これにより、溶接ワイヤ収納容器10に収納されるワイヤコイル40の外周側(内壁部13と対向する側:コイル状の積層外径部に対応)が、内壁部13を構成する複数の枠体31の上面部312と、複数箇所にて点接触するようになる。すると、従来のように外筒部12の内面(平坦な曲面)にワイヤコイル40の外周側を面接触させる場合と比較して、同じ衝撃を受けた場合に、接触部位においてワイヤコイル40にかかる力が大きくなる。その結果、外部から受けた衝撃に伴う、ワイヤコイル40を構成する溶接ワイヤ20の配列の乱れを抑制することが可能になる。
【0029】
また、その結果、溶接装置に対し溶接ワイヤ収納物1から溶接ワイヤ20を供給する際に、溶接ワイヤ20にキンクや絡みが生じるという事態を容易に回避することが可能になる。
【0030】
ここで、本実施の形態では、内壁部13において、枠体31の底面幅Aよりも接続体32の接続幅Dを小さくする(底面幅A>接続幅D)ようにした。すなわち、溶接ワイヤ収納容器10に収納されるワイヤコイル40の外周側が、内壁部13を構成する複数の接続体32に接触しにくい構成とした。これにより、ワイヤコイル40の外周面を構成する溶接ワイヤ20が、内壁部13の内周面の形状(凹凸)に倣って変形する(折れ曲がる)のを抑制することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、内壁部13を構成する枠体31において、底面部311の底面幅Aを上面部312の上面幅Bよりも大きくし(底面幅A>上面幅B)、且つ、上面部312の上面幅Bを斜面部313の斜面幅Cよりも大きくした(上面幅B>斜面幅C)。これにより、ワイヤコイル40との接触に伴って枠体31に加わる力を安定して受け止めることが可能になる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、内壁部13を構成する枠体31と接続体32とを、枠体31における底面部311側にて接続するようにした。これにより、外筒部12の内面と内壁部13とを面接触させることができ、溶接ワイヤ収納容器10において内壁部13を安定して配置させることが可能になる。
【0033】
さらにまた、本実施の形態では、内壁部13を構成する枠体31を中空構成とした。これにより、ワイヤコイル40との接触に伴って枠体31を容易に変形させることが可能になるともに、内壁部13を軽量化することが可能になる。ここで、本実施の形態では、枠体31の中空内部に補強部314を設けることにより、枠体31の過剰な変形を抑制することが可能になる。
【0034】
また、本実施の形態では、内壁部13を構成する枠体31を熱硬化性樹脂で構成するようにした。これにより、枠体31の強度を高めることができる。
【0035】
さらに、本実施の形態では、内壁部13を構成する接続体32を熱可塑性樹脂で構成するようにした。これにより、平板状に形成された内壁部13を外筒部12に取り付ける際に、接続体32にて湾曲させ、溶接ワイヤ収納容器10において円筒状とすることが容易になる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
まず、実施例として、図4および図5に示す内壁部13を備えた、図1乃至図3に示す溶接ワイヤ収納容器10を用意した。
また、比較例として、図1乃至図3に示す溶接ワイヤ収納容器10から内壁部13を取り除いたもの(内壁部13を取り付けないもの)を用意した。
【0038】
ここで、実施例および比較例のそれぞれにおける溶接ワイヤ収納容器10の外径(底板11の直径)は662mmとし、高さ(外筒部12の長さ)は500mmとした。
【0039】
実施例における溶接ワイヤ収納容器10の内壁部13において、底面幅Aは30mmとし、上面幅Bは20mmとし、斜面幅Cは5mmとし、接続幅Dは5mmとした。また、内壁部13の枠体31の高さ(底面部311から上面部312に至る長さ)は15mmとした。
【0040】
そして、実施例の溶接ワイヤ収納容器10および比較例の溶接ワイヤ収納容器10に対し、下記の表1に示す条件にて、JIS Z 3312:2009 YGW11の規格に合致する径1.4mmの溶接ワイヤ20の落とし込みを行い、各溶接ワイヤ収納容器10内にワイヤコイル40を積載した溶接ワイヤ収納物1を得た。
【0041】
【表1】
【0042】
このようにして得られた各溶接ワイヤ収納物1に対し、ワイヤコイル40の上面(以下では積層上面と呼ぶ)に、油性ペンにて、半径方向に沿う直線状のマーキングを施した。また、各溶接ワイヤ収納物1に対し、ワイヤコイル40の内面(以下では積層内面と呼ぶ)に、油性ペンにて、鉛直方向に沿う直線状のマーキングを施した。そして、各溶接ワイヤ収納物1に対し、ワイヤコイル40の積層上面の上に押さえ板(図示せず)を配置し、図示しない振動装置を用いて3分間振動を与える振動試験を行った。
【0043】
図6は、実施例および比較例の振動試験後のワイヤコイル40の状態を説明するための図(写真)である。ここで、図中左側は実施例の結果を、図中右側は比較例の結果を、それぞれ示している。また、図中上段はワイヤコイル40の積層上面および積層内面を斜め上方(図2に示すVIa方向)からみた結果を、図中中段はワイヤコイル40の積層上面を上方(図2に示すVIb方向)からみた結果を、図中下段はワイヤコイル40の積層内面を側方(図2に示すVIc方向)からみた結果を、それぞれ示している。ここで、各写真には、ワイヤコイル40の積層上面および積層内面に対して施されていたマーキングを、強調して示している。なお、各マーキングは、上述したように、振動試験を行う前はそれぞれ直線状となっていたものである。
【0044】
図6から明らかなように、実施例では、比較例に対し、振動試験後のワイヤコイル40の配列の乱れが抑制されていることが分かる。このことは、内壁部13の有無によるものであり、上述したように、ワイヤコイル40の外周側と内壁部13とが、複数箇所で点接触していることに起因するものと考えられる。
【符号の説明】
【0045】
1…溶接ワイヤ収納物、10…溶接ワイヤ収納容器、11…底板、12…外筒部、13…内壁部、14…内筒支持部、15…つり手、16…内筒、20…溶接ワイヤ、31…枠体、32…接続体、40…ワイヤコイル、311…底面部、312…上面部、313…斜面部、314…補強部、A…底面幅、B…上面幅、C…斜面幅、D…接続幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6