(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステル樹脂(A)を構成するポリオール成分(xa)が、ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルを(xa)のモル数に基づいて70モル%以上含有し、ポリカルボン酸成分(ya)が、(ya)のモル数に基づいて芳香族ポリカルボン酸を70モル%以上含有する請求項1に記載のトナーバインダーの製造方法。
ポリエステル樹脂(A)の160℃における貯蔵弾性率G’(160)と180℃における貯蔵弾性率G’(180)の比〔G’(160)/G’(180)〕が1.1〜2.5であり、120〜180℃の損失正接が0.25〜1.30である請求項1又は2に記載のトナーバインダーの製造方法。
(A)〜(D)の合計重量に基づいて、ポリエステル樹脂(A)の含有量が20〜80重量%、ポリエステル樹脂(B)の含有量が20〜80重量%、ワックス分散用樹脂(C)の含有量が1〜10重量%、炭化水素ワックス(D)の含有量が3〜15重量%である請求項5に記載のトナーバインダーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)を構成単位とする。
ポリオール成分(xa)としては、ジオール及び3〜8価又はそれ以上のポリオールが挙げられる。(xa)は単独でも二種以上を併用してもよい。
【0008】
ジオールとしては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−ドデカンジオール等);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位の数1〜30〕;2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、及び前記のビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜30);等が挙げられる。
3〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン及びジペンタエリスリトール等);糖類及びその誘導体、例えばショ糖及びメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜30)等が挙げられる。
【0009】
ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルは、通常、ビスフェノール類にアルキレンオキサイド(以下AOと略記)を付加して得られる。ビスフェノール類としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
OH−Ar−X−Ar−OH (1)
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基、−SO
2−、−O−、−S−、又は直接結合、Arは、ハロゲンもしくは炭素数1〜30のアルキル基で置換されていてもよいフェニレン基を表す。]
具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリクロロビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジブロモビスフェノールF、2−メチルビスフェノールA、2,6−ジメチルビスフェノールA、2,2’−ジエチルビスフェノールFが挙げられ、これらは2種以上を併用することもできる。これらビスフェノール類に付加するAOとしては、炭素数が2〜4のものが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、2,3−、1,3−又はiso−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)、並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらの中で好ましくはEO及び/又はPOである。AOの付加モル数は、好ましくは2〜30モル、更に好ましくは2〜10モルである。
ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルのうち、トナーの定着性の観点から好ましいものは、ビスフェノールAのEO及び/又はPO付加物(平均付加モル数2〜4、特に2〜3)である。
【0010】
ポリオール成分(xa)のうち、トナーとして用いたときの低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)、3〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール、及びノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、トナーとして用いたときの保存安定性の観点から更に好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
【0011】
また、ポリオール成分(xa)としては、ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルを、(xa)のモル数に基づいて70モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上がビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルであるのが更に好ましい。
ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルを(xa)のモル数に基づいて70モル%以上含有する(xa)を用いることで、樹脂強度が上がり、トナーとして用いたときの耐久性や画質安定性が良好となる。
【0012】
ポリカルボン酸成分(ya)としては、ジカルボン酸及び3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。(y)は単独でも二種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等)、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10,000](α−オレフィン/マレイン酸共重合体等)等が挙げられる。
3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
(ya)としては、(ya)の無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0013】
ポリカルボン酸成分(ya)のうち、トナーとして用いたときの低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましいのは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、トナーとして用いたときの保存安定性の観点から更に好ましいのは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの併用であり、特に好ましいのは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
【0014】
また、ポリカルボン酸成分(ya)としては、芳香族ポリカルボン酸と脂肪族ポリカルボン酸を構成単位とすることが好ましい。芳香族ポリカルボン酸の含有率は、トナーとして用いたときの低温定着性の観点から(ya)の合計モル数に基づいて好ましくは70モル%以上、更に好ましくは75〜98モル%、特に好ましくは80〜95モル%である。
【0015】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)の軟化点(以下Tmと略記)は130〜180℃であり、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、好ましくは132〜178℃、更に好ましくは135〜175℃である。
本発明におけるTmは、以下の方法で測定することができる。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
【0016】
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、20〜50mgKOH/gであり、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは22〜50mgKOH/g、更に好ましくは23〜49mgKOH/g、特に好ましくは24〜48mgKOH/gである。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、トナーの耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは0〜80mgKOH/gであり、更に好ましくは0〜70mgKOH/g、特に好ましくは0〜65mgKOH/gである。
【0018】
なお、本発明における酸価及び水酸基価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
【0019】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、4〜40℃/時間の平均温度低下速度(温度低下の平均速度)で200℃から50℃まで温度を低下させて得られたポリエステル樹脂である。
平均温度低下速度は、以下の数式(1)で算出される。
平均温度低下速度(℃/時)=150/T
Tは200℃から50℃まで温度低下するのに要した時間(単位:時)を表す。
【0020】
200℃から50℃まで温度低下する過程においては、常に一定の速度である必要はなく、途中の速度は変化してもよく、200℃の時間と50℃になった時間の差による平均独度がこの範囲になっていれば特に問題ない。
平均温度低下速度は、好ましくは5〜35℃/時、更に好ましくは6〜30℃/時、特に好ましくは7〜25℃/時である。平均温度低下速度が4℃/時未満であると、トナーとして用いたときの低温定着性が低下し、40℃/時を超えると、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性が低下する。
なお、(A)としては、後述する(A)の製造方法において、重合反応が終了し、それを200〜250℃に昇温し(重合温度がそれ以上の場合はその温度で)200℃から50℃の間を4〜40℃/時の平均温度低下速度で温度低下したものであってもよいし、一旦得られた(A)を4℃/時より遅い平均温度低下速度、あるいは40℃/時より速い平均温度低下速度で温度低下してしまった場合は、もう一度200〜250℃まで加熱し、200℃から50℃の間を4〜40℃/時の平均温度低下速度で温度低下して得られたのであってもよい。
【0021】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、160℃における貯蔵弾性率G’(160)と180℃における貯蔵弾性率G’(180)の比〔G’(160)/G’(180)〕が1.1〜2.5であることが好ましい。(A)の〔G’(160)/G’(180)〕は、更に好ましくは1.2〜2.4である。
【0022】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)は、120〜180℃の損失正接が0.25〜1.30であることが好ましい。(A)の120〜180℃の損失正接は、更に好ましくは0.30〜1.25である。(A)の120〜180℃の損失正接が0.25以上であれば、トナーとして用いたときの低温定着性が向上し、1.30以下であれば、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性が向上するため好ましい。
【0023】
本発明における貯蔵弾性率(G’)及び損失正接は、下記粘弾性測定装置を用いて下記の条件で測定することができる。
装置 :ARES(TAインスツルメント社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
【0024】
ポリエステル樹脂(A)のTgは、好ましくは45〜75℃である。下限は、更に好ましくは48℃、特に好ましくは50℃であり、上限は、更に好ましくは72℃、特に好ましくは70℃である。(A)のTgが75℃以下であるとトナーとして用いたときの低温定着性が向上し、45℃以上であるとトナーとして用いたときの耐ホットオフセット性が向上する。
なお、本発明にTgは、セイコーインスツル(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
【0025】
ポリエステル樹脂(A)のTHF可溶分のピークトップ分子量(以下Mpと記載)は、トナーの耐久性と低温定着性の両立の観点から、3,500〜18,000が好ましく、更に好ましくは3,700〜15,000、特に好ましくは4,000〜12,000である。
なお、Mpとは、得られたクロマトグラム上の最大のピーク高さを示す分子量を意味する。
【0026】
本発明における樹脂の分子量〔Mp、Mn及び重量平均分子量(以下Mwと記載)〕は、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本[東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)[東ソー(株)製]12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
また、分子量の測定は、樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
【0027】
ポリエステル樹脂(A)の(A)の重量に基づくTHF不溶解分は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは3〜50重量%、更に好ましくは4〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。
なお、本発明における樹脂のTHF不溶解分は、以下の方法で求めることができる。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
【0028】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、更に好ましくは160〜270℃、特に好ましくは170〜260℃、最も好ましくは200〜250℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、特に好ましくは2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒〔例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕、及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(xa)とポリカルボン酸成分(ya)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.4/1〜1/1.2である。
【0029】
本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)に加え、ポリオール成分(xb)とポリカルボン酸成分(yb)を構成単位とする軟化点が80〜120℃であるポリエステル樹脂(B)を含有させてもよい。
(B)を含有させることで、トナーとして用いたときの低温定着性が良好となる。
【0030】
ポリオール成分(xb)としては、前記のポリオール成分(xa)として例示したものと同様のものが挙げられる。(xb)は、単独でも二種以上を併用してもよい。
(xb)としては、ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルを、(xb)のモル数に基づいて98モル%以上含有することが好ましく、99モル%以上がビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルであるのが更に好ましい。
ビスフェノール構造を有するポリオキシアルキレンエーテルを(xb)のモル数に基づいて98モル%以上含有する(xb)を用いることで、樹脂強度が上がり、トナーとして用いたときの耐久性や画質安定性が良好となる。
【0031】
ポリカルボン酸成分(yb)としては、前記のポリカルボン酸成分(ya)として例示したものと同様のものが挙げられる。(yb)は、単独でも二種以上を併用してもよい。
(yb)としては、芳香族ポリカルボン酸を、(yb)のモル数に基づいて70モル%以上含有することが好ましく、75モル%以上が芳香族ポリカルボン酸であるのが更に好ましい。
芳香族ポリカルボン酸を、(yb)のモル数に基づいて70モル%以上含有する(yb)を用いることで、樹脂強度が上がり、トナーとして用いたときの耐久性や画質安定性が良好となる。
【0032】
ポリエステル樹脂(B)の酸価は、トナーの帯電特性の観点から好ましくは0〜50mgKOH/g、更に好ましくは3〜45mgKOH/g、特に好ましくは5〜40mgKOH/gである。
【0033】
ポリエステル樹脂(B)の水酸基価は、トナーの耐ホットオフセット性の観点から好ましくは0〜80mgKOH/g、更に好ましくは0〜70mgKOH/g、特に好ましくは0〜65mgKOH/gである。
【0034】
ポリエステル樹脂(B)のTmは、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、好ましくは80〜120℃、更に好ましくは82〜118℃、特に好ましくは85〜115℃である。
【0035】
ポリエステル樹脂(B)のTgは、好ましくは45〜75℃である。下限は、更に好ましくは48℃、特に好ましくは50℃であり、上限は、更に好ましくは72℃、特に好ましくは70℃である。(B)のTgが75℃以下であるとトナーとして用いたときの低温定着性が向上し、45℃以上であるとトナーとして用いたときの耐ホットオフセット性が向上する。
【0036】
ポリエステル樹脂(B)のTHF可溶分のMpは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、好ましくは2,000〜10,000、更に好ましくは2,500〜9,000、特に好ましくは3,000〜8,000である。
【0037】
ポリエステル樹脂(B)の(B)の重量に基づくTHF不溶解分は、低温定着性の観点から、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。
【0038】
本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)に加え、ポリオレフィン存在下でビニルモノマーを重合して得られたワックス分散用樹脂(C)を含有させてもよい。 (C)は、融点が60〜100℃である炭化水素ワックス(D)のトナー中での分散を良くするために使用するものであり、(D)の分散が良くなることで、トナーとして用いたときの耐ホットオフセット性が向上する。
ポリオレフィンとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、熱減成型ポリオレフィン、特に好ましくは熱減成型ポリエチレン及び熱減成型ポリプロピレンである。
また、キャリアー等へのフィルミング及び離型性の観点から、ポリオレフィンのMnは好ましくは400〜40,000、更に好ましくは1,000〜30,000、特に好ましくは1,500〜20,000である。
【0039】
ポリオレフィンのTmは、好ましくは50〜170℃である。下限は、更に好ましくは80℃、特に好ましくは90℃、最も好ましくは100℃であり、上限は、更に好ましくは160℃、特に好ましくは155℃である。ポリオレフィンのTmが50℃以上であればトナーの流動性が良好であり、170℃以下であると充分な離型効果が得られる。
なお、ポリオレフィンのTmは、JIS K2207−1996に規定の方法により測定することができる。
【0040】
ポリオレフィンの160℃における溶融粘度は、トナーの定着性の観点から、好ましくは2〜10,000mPa・s、更に好ましくは3〜7,000mPa・s、特に好ましくは5〜4,500mPa・sである。
ポリオレフィンの針入度は、トナーの現像性の観点から、好ましくは5.0以下、更に好ましくは3.5以下、特に好ましくは1.0以下である。
なお、針入度は、JIS K2207−1996に規定の方法により測定することができる。
【0041】
ビニルモノマーとしては、以下の(d)〜(i)のモノマー及びこれらの併用が挙げられる。
(d)カルボキシル基又はエステル基含有ビニル系モノマー:
(d−1)炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸:(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;
(d−2)炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体[酸無水物及びモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]:マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの無水物並びにこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;
【0042】
(d−3)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜24)エステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート及びエチル−α−エトキシ(メタ)アクリレート等;
【0043】
(d−4)炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等;
(d−5)不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル:酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等。
【0044】
(e)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:
(e−1)炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
(e−2)炭素数2〜12のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;
(e−3)炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば2−ブテン−1,4−ジオール;
(e−4)炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
【0045】
(f)ビニル系炭化水素:
(f−1)スチレンをはじめとする芳香族ビニル系炭化水素(炭素数8〜20):スチレンのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン;並びにビニルナフタレン。
(f−2)脂肪族ビニル系炭化水素:炭素数2〜20のアルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;
(f−3)脂環式ビニル系炭化水素:モノ及びジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン及びインデン。
【0046】
(g)エポキシ基含有ビニル系モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート等。
(h)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル等。
(i)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン等。
【0047】
これらのうち好ましいのは、スチレン及びスチレンと他のモノマー〔更に好ましいのは(d)及び(e)、特に好ましくは(d−3)及び(e−1)〕との併用である。
【0048】
ワックス分散用樹脂(C)は、ポリオレフィン存在下でビニルモノマーを重合して得られたものであるが、(C)中には、ビニルモノマーでグラフトされた変性ポリオレフィンに加えて、未反応のポリオレフィン及び/又はビニルモノマーの(共)重合体を含んでいてもよい。
変性ポリオレフィンを製造する際のポリオレフィンとビニルモノマーの重量比[ポリオレフィン:ビニルモノマー]は、ポリオレフィンとビニルモノマーの合計重量を100とした場合、トナーの流動性の観点から、好ましくは[(1〜30):(70〜99)]、更に好ましくは[(2〜27):(83〜98)]である。
【0049】
ワックス分散用樹脂(C)の〔Tg〕は、トナーの耐熱保存安定性と低温定着性の両立の観点から好ましくは40〜90℃、更に好ましくは50〜80℃、特に好ましくは55〜75℃である。
ワックス分散用樹脂(C)のMnは、トナーの耐久性及び粉砕性の観点から好ましくは2,000〜10,000、更に好ましくは2,500〜9,000である。
【0050】
変性ポリオレフィンからなるワックス分散用樹脂(C)は、例えばポリオレフィンを溶剤(例えばトルエン及びキシレン等)に溶解又は分散させ、100〜200℃に加熱した後、ビニルモノマーをパーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びt−ブチルパーオキサイドベンゾエート等)とともに滴下して重合後、溶剤を留去することにより得られる。
パーオキサイド系開始剤の量は、ポリオレフィンとビニルモノマーの合計重量に基づいて、好ましくは0.2〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0051】
本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)に加え、融点が60〜100℃である炭化水素ワックス(D)を含有させてもよい。
(D)としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、低分子量ポリエチレン等が挙げられる。
(D)の融点は、トナーの低温定着性の観点から好ましくは62〜98℃である。
(D)の融点は、セイコーインスツル製RDC−220を用い、JIS K7122に従って測定し、最大吸熱ピークの極大値の温度を融点とする。
【0052】
本発明のトナーバインダー中には、更に耐オフセット性を向上させるために、融点が60〜100℃である炭化水素ワックス(D)以外のポリオレフィンワックス(W)[融点が(D)と異なる炭化水素ワックスを含む]を含有させることができる。
【0053】
ポリオレフィンワックス(W)としては、オレフィンの(共)重合体(W−1)、オレフィンの(共)重合体の酸化物(W−2)、オレフィンの(共)重合体のマレイン変性物(W−3)、オレフィンと不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸アルキルエステルとの共重合体(W−4)等が挙げられる。
【0054】
(W−1)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、及びこれらの混合物等の(共)重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、及びプロピレン/1−ヘキセン共重合体)が挙げられる。
(W−1)には、オレフィンの(共)重合により得られるもの(W−11)、及び熱減成型ポリオレフィン(W−12)が含まれていてもよい。
【0055】
(W−12)としては、Mw5万〜500万のポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン及びポリプロピレン等)を熱減成して得られるポリオレフィンが挙げられる。
【0056】
(W−2)としては、上記(W−1)の酸化物等が挙げられる。
酸化は酸素及び/又はオゾン等を用いて公知の方法で行うことができ、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。
【0057】
(W−3)としては、上記(W−1)のマレイン酸系モノマー[マレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等の、マレイン酸の炭素数1〜4のモノ又はジアルキルエステル)]変性物等が挙げられる。
変性は、公知の方法で行うことができ、例えば(W−1)とマレイン酸系モノマーを公知の過酸化物触媒を用いて、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で反応させることにより行うことができる。
【0058】
(W−4)としては、上記オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体が挙げられる。
共重合は、公知の触媒を用いて公知の方法等で行うことができる。
【0059】
ポリオレフィンワックス(W)のMnは、キャリアー等へのフィルミング及びワックスの観点から、好ましくは1,000〜3万、更に好ましくは1,500〜25,000、特に好ましくは2,000〜2万である。
ポリオレフィンワックス(W)の融点は、キャリアー等へのフィルミング及びワックスの観点から、好ましくは110〜165℃、更に好ましくは120〜160℃、特に好ましくは140〜155℃である。
【0060】
ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、ワックス分散用樹脂(C)、炭化水素ワックス(D)の合計重量を100とした場合の(A)、(B)、(C)、(D)の重量比〔(A):(B):(C):(D)〕は、低温定着性と耐ホットオフセット性及び粉砕性との両立の観点から、好ましくは〔(20〜80):(20〜80):(1〜10):(3〜15)〕、更に好ましくは〔(25〜75):(25〜75):(1〜9):(3〜14)〕、特に好ましくは〔(30〜70):(30〜70):(2〜9):(4〜14)〕である。
【0061】
本発明のトナーバインダーには、ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、ワックス分散用樹脂(C)及び炭化水素ワックス(D)以外に、その特性を損なわない範囲で、トナーバインダーとして通常用いられる他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、Mnが1,000〜100万のビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。他の樹脂は、必要により(A)、(B)、(C)及び/又は(D)とブレンドしてもよいし、一部反応させてもよい。他の樹脂の含有率は、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量に基づき、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0062】
本発明において、ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、ワックス分散用樹脂(C)及び炭化水素ワックス(D)の混合方法は特に限定されず、通常行われる公知の方法でよく、粉体混合、溶融混合のいずれでもよい。また、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
【0063】
本発明のトナー組成物は、本発明のトナーバインダー及び着色剤を含有する。
本発明のトナー組成物には、トナーバインダー及び着色剤に加え、離型剤、荷電制御剤、及び流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有させてもよい。
【0064】
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
【0065】
離型剤としては、Tmが50〜170℃のものが好ましく、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックス等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノール等が挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタン酸等が挙げられる。
【0066】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
【0067】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末及び炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
【0068】
本発明のトナー組成物を構成する各成分の含有率は、以下の通りである。
本発明のトナー組成物中の本発明のトナーバインダー(他のトナーバインダーを含む場合は、樹脂の合計含有率)の含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは30〜97重量%、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜92重量%である。
本発明のトナー組成物中の着色剤の含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは0.05〜60重量%、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
本発明のトナー組成物中の離型剤の含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
本発明のトナー組成物中の荷電制御剤の含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
本発明のトナー組成物中の流動化剤の含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
また、添加剤の合計含有率は、トナー組成物の重量に基づいて、好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは4〜58重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。
トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
【0069】
本発明のトナー組成物の製造方法としては、公知の混練粉砕法等が挙げられる。例えば、流動化剤を除く上記のトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混
練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定することができる。
【0070】
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。[トナー/キャリアー粒子]の合計重量を100とした場合、トナーとキャリアー粒子との重量比[トナー/キャリアー粒子]は、好ましくは[1/99〜100/0]である。また、キャリアー粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
【0071】
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等、好ましくは紙)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる
【0072】
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下において実施例1及び9〜10は参考例1〜3を意味する。
【0073】
<製造例1>[ポリエステル樹脂(A1)の合成]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例に用いる反応槽も同様)中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物121重量部(2.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物453重量部(8.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物167重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物20重量部(0.2モル部)、テレフタル酸180重量部(7.8モル部)、アジピン酸4重量部(0.2モル部)、無水トリメリット酸53重量部(2.0モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−5、融点62℃]150重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸52重量部(2.0モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で4時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1)とする。
(A1)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は11.4℃/時である。(A1)のTgは55℃、Tmは130℃、Mpは4500、酸価は25mgKOH/g、水酸基価は35mgKOH/g、THF不溶解分は20重量%、G’(160)/G’(180)は1.7、120〜180℃の損失正接は0.46〜1.22であった。
【0074】
<製造例2>[ポリエステル樹脂(A2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物218重量部(4.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物346重量部(6.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物168重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸168重量部(7.3モル部)、アジピン酸15重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸53重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、230℃で無水トリメリット酸78重量部(2.9モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で6時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2)とする。
(A2)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は13.6℃/時である。(A2)のTgは63℃、Tmは155℃、Mpは5500、酸価は35mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/g、THF不溶解分は32重量%、G’(160)/G’(180)は1.7、120〜180℃の損失正接は0.58〜1.09であった。
【0075】
<製造例3>[ポリエステル樹脂(A3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物53重量部(1.0モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物681重量部(11.6モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物1重量部(0.02モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物1重量部(0.01モル部)、テレフタル酸225重量部(9.0モル部)、アジピン酸18重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸6重量部(0.2モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸73重量部(2.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で8時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A3)とする。
(A3)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は8.0℃/時である。(A3)のTgは67℃、Tmは174℃、Mpは11300、酸価は24mgKOH/g、水酸基価は2mgKOH/g、THF不溶解分は37重量%、G’(160)/G’(180)は1.3、120〜180℃の損失正接は0.80〜0.89であった。
【0076】
<製造例4>[ポリエステル樹脂(A4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物127重量部(2.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物249重量部(4.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物367重量部(7.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸185重量部(7.6モル部)、アジピン酸9重量部(0.4モル部)、無水トリメリット酸42重量部(1.5モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸70重量部(2.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で5時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A4)とする。
(A4)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は31.0℃/時である。(A4)のTgは62℃、Tmは135℃、Mpは6700、酸価は25mgKOH/g、水酸基価は41mgKOH/g、THF不溶解分は24重量%、G’(160)/G’(180)は2.3、120〜180℃の損失正接は0.90〜1.23であった。
【0077】
<製造例5>[ポリエステル樹脂(A5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物196重量部(4.0モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物377重量部(6.9モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物170重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸170重量部(7.3モル部)、アジピン酸15重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸54重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸65重量部(2.4モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で4時間反応させ、取り出し、室温まで冷却した。得られた樹脂を反応槽内に再び移し、250℃で3時間加熱溶解させ、再び取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A5)とする。
(A5)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は10.6℃/時である。(A5)のTgは62℃、Tmは152℃、Mpは5700、酸価は36mgKOH/g、水酸基価は25mgKOH/g、THF不溶解分は28重量%、G’(160)/G’(180)は1.7、120〜180℃の損失正接は0.64〜1.12であった。
【0078】
<製造例6>[ポリエステル樹脂(A6)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物270重量部(5.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物296重量部(5.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物170重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸171重量部(7.3モル部)、アジピン酸15重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸54重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、230℃で無水トリメリット酸71重量部(2.6モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で7時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A6)とする。
(A6)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は4.8℃/時である。(A6)のTgは64℃、Tmは168℃、Mpは5200、酸価は30mgKOH/g、水酸基価は21mgKOH/g、THF不溶解分は40重量%、G’(160)/G’(180)は1.5、120〜180℃の損失正接は0.51〜0.83であった。
【0079】
<製造例7>[ポリエステル樹脂(A7)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物274重量部(4.0モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物77重量部(1.0モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物258重量部(4.0モル部)、1.2−プロピレングリコール(以下、単にプロピレングリコールと記載する)150重量部(10.0モル部)、テレフタル酸285重量部(8.7モル部)、アジピン酸37重量部(1.3モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸95重量部(2.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で6時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A7)とする。
(A7)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は8.5℃/時である。(A7)のTgは53℃、Tmは158℃、Mpは4500、酸価は38mgKOH/g、水酸基価は9mgKOH/g、THF不溶解分は25重量%、G’(160)/G’(180)は1.8、120〜180℃の損失正接は0.95〜1.20であった。
【0080】
<製造例8>[ポリエステル樹脂(A8)の合成]
反応槽中に、プロピレングリコール665重量部(20.0モル部)、テレフタル酸ジメチルエステル696部(8.2モル)、アジピン酸115重量部(1.8モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら5時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。回収されたプロピレングリコールは302部(9.1モル)であった。その後、220℃で無水トリメリット酸88重量部(1.1モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で6時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A8)とする。
(A8)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は12.9℃/時である。(A8)のTgは62℃、Tmは165℃、Mpは8500、酸価は28mgKOH/g、水酸基価は2mgKOH/g、THF不溶解分は38重量%、G’(160)/G’(180)は1.7、120〜180℃の損失正接は0.70〜1.15であった。
【0081】
<製造例9>[ポリエステル樹脂(A9)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物218重量部(4.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物346重量部(6.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物168重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸168重量部(7.3モル部)、アジピン酸15重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸53重量部(2.0モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−51、融点77℃]150重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸78重量部(2.9モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で4時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A9)とする。
(A9)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は12.9℃/時である。(A9)のTgは62℃、Tmは154℃、Mpは5400、酸価は33mgKOH/g、水酸基価は22mgKOH/g、THF不溶解分は32重量%、G’(160)/G’(180)は1.7、120〜180℃の損失正接は0.60〜1.10であった。
【0082】
<製造例10>[ポリエステル樹脂(A10)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物127重量部(2.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物249重量部(4.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物367重量部(7.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸185重量部(7.6モル部)、アジピン酸9重量部(0.4モル部)、無水トリメリット酸42重量部(1.5モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−11、融点68℃]150重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、210℃で無水トリメリット酸70重量部(2.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で5時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A10)とする。
(A10)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は26.5℃/時である。(A10)のTgは62℃、Tmは135℃、Mpは6700、酸価は24mgKOH/g、水酸基価は38mgKOH/g、THF不溶解分は24重量%、G’(160)/G’(180)は2.3、120〜180℃の損失正接は0.88〜1.22であった。
【0083】
<製造例11>[ポリエステル樹脂(RA1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物260重量部(5.3モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物306重量部(5.6モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物169重量部(3.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸170重量部(7.3モル部)、アジピン酸15重量部(0.8モル部)、無水トリメリット酸54重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸74重量部(2.7モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で5時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA1)とする。
(RA1)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は56.3℃/時である。(RA1)のTgは60℃、Tmは145℃、Mpは5800、酸価は32mgKOH/g、水酸基価は30mgKOH/g、THF不溶解分は10重量%、G’(160)/G’(180)は2.5、120〜180℃の損失正接は1.10〜1.35であった。
【0084】
<製造例12>[ポリエステル樹脂(RA2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物315重量部(6.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物346重量部(6.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物77重量部(1.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸166重量部(7.2モル部)、アジピン酸17重量部(0.9モル部)、無水トリメリット酸53重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸73重量部(2.7モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で7時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA2)とする。
(RA2)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は3.0℃/時である。(RA2)のTgは68℃、Tmは178℃、Mpは4000、酸価は33mgKOH/g、水酸基価は31mgKOH/g、THF不溶解分は45重量%、G’(160)/G’(180)は1.3、120〜180℃の損失正接は0.56〜0.77であった。
【0085】
<製造例13>[ポリエステル樹脂(RA3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物301重量部(6.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物330重量部(6.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物73重量部(1.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物4重量部(0.04モル部)、テレフタル酸158重量部(7.2モル部)、アジピン酸17重量部(0.9モル部)、無水トリメリット酸51重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸115重量部(4.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で7時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA3)とする。
(RA3)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は10.2℃/時である。(RA3)のTgは66℃、Tmは169℃、Mpは4200、酸価は55mgKOH/g、水酸基価は15mgKOH/g、THF不溶解分は35重量%、G’(160)/G’(180)は1.5、120〜180℃の損失正接は0.91〜1.05であった。
【0086】
<製造例14>[ポリエステル樹脂(RA4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物222重量部(4.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物464重量部(8.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物78重量部(1.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物5重量部(0.04モル部)、テレフタル酸169重量部(7.2モル部)、アジピン酸18重量部(0.9モル部)、無水トリメリット酸54重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸41重量部(1.5モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で6時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA4)とする。
(RA4)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は7.6℃/時である。(RA4)のTgは61℃、Tmは142℃、Mpは5500、酸価は18mgKOH/g、水酸基価は42mgKOH/g、THF不溶解分は18重量%、G’(160)/G’(180)は1.5、120〜180℃の損失正接は1.12〜1.25であった。
【0087】
<製造例15>[ポリエステル樹脂(RA5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物125重量部(2.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物301重量部(5.4モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物314重量部(6.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物12重量部(0.1モル部)、テレフタル酸186重量部(7.8モル部)、アジピン酸4重量部(0.2モル部)、無水トリメリット酸55重量部(2.0モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸54重量部(2.0モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で4時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA5)とする。
(RA5)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は12.9℃/時である。(RA5)のTgは59℃、Tmは125℃、Mpは4800、酸価は26mgKOH/g、水酸基価は44mgKOH/g、THF不溶解分は14重量%、G’(160)/G’(180)は1.8、120〜180℃の損失正接は0.80〜1.28であった。
【0088】
<製造例16>[ポリエステル樹脂(RA6)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物99重量部(1.9モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物629重量部(10.7モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物1重量部(0.02モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のEO5.6モル付加物1重量部(0.01モル部)、テレフタル酸218重量部(8.7モル部)、アジピン酸22重量部(1.0モル部)、無水トリメリット酸9重量部(0.3モル部)、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で4時間反応させた。その後、220℃で無水トリメリット酸80重量部(2.8モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、0.5〜5kPaの減圧下で8時間反応させ、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA6)とする。
(RA6)を200℃から50℃まで温度低下した際の平均温度低下速度は6.9℃/時である。(RA6)のTgは63℃、Tmは187℃、Mpは8900、酸価は26mgKOH/g、水酸基価は2mgKOH/g、THF不溶解分は45重量%、G’(160)/G’(180)は1.3、120〜180℃の損失正接は0.70〜0.88であった。
【0089】
<製造例17>[ポリエステル樹脂(B1)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物352重量部(6.2モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物404重量部(7.5モル部)、テレフタル酸259重量部(9.5モル部)、アジピン酸12重量部(0.5モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−51、融点77℃]111重量部、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸31重量部(1.0モル部)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B1)とする。
(B1)のTgは53℃、Tmは95℃、Mpは4800、酸価は17mgKOH/g、水酸基価は60mgKOH/g、THF不溶解分は0重量%であった。
【0090】
<製造例18>[ポリエステル樹脂(B2)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物152重量部(2.6モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物212重量部(3.3モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物392重量部(7.2モル部)、テレフタル酸223重量部(8.0モル部)、イソフタル酸42重量部(1.5モル部)、アジピン酸12重量部(0.5モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−9、融点75℃]83重量部、及び縮合触媒としてチタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸26重量部(0.8モル部)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B2)とする。
(B2)のTgは58℃、Tmは97℃、Mpは5800、酸価は14mgKOH/g、水酸基価は49mgKOH/g、THF不溶解分は0重量%であった。
【0091】
<製造例19>[ポリエステル樹脂(B3)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物543重量部(9.5モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物122重量部(1.9モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物68重量部(1.3モル部)、テレフタル酸269重量部(9.8モル部)、アジピン酸5重量部(0.2モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−11、融点68℃]300重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸51重量部(1.6モル部)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B3)とする。
(B3)のTgは68℃、Tmは108℃、Mpは6200、酸価は28mgKOH/g、水酸基価は35mgKOH/g、THF不溶解分は0重量%であった。
【0092】
<製造例20>[ポリエステル樹脂(B4)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物73重量部(1.2モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物285重量部(4.0モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物376重量部(6.4モル部)、テレフタル酸286重量部(9.5モル部)、アジピン酸13重量部(0.5モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−51、融点77℃]111重量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸31重量部(0.9モル部)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB1)とする。
(RB1)のTgは62℃、Tmは107℃、Mpは6200、酸価は18mgKOH/g、水酸基価は20mgKOH/g、THF不溶解分は0重量%であった。
【0093】
<製造例21>[ポリエステル樹脂(B5)の合成]
反応槽中に、ビスフェノールA・PO2モル付加物115重量部(2.0モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物214重量部(3.3モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物431重量部(8.0モル部)、テレフタル酸255重量部(9.3モル部)、アジピン酸17重量部(0.7モル部)、炭化水素ワックス[日本精蝋(株)製、HNP−11、融点68℃)111重量部、及び縮合触媒としてチタン酸テトライソプロポキシド3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させ、次いで0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で175℃まで冷却した。その後、無水トリメリット酸26重量部(0.8モル)を仕込み、175℃で1時間保持した後、取り出した。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RB2)とする。
ポリエステル樹脂(RB2)のTgは59℃、Tmは97℃、Mpは5300、酸価は15mgKOH/g、水酸基価は55mgKOH/g、THF不溶解分は0重量%であった。
【0094】
<製造例22>[ワックス分散用樹脂(C1)の合成]
温度計及び撹拌機を備えた耐圧反応槽(以下の製造例に用いる耐圧反応槽も同様)中に、キシレン300重量部、ビスコール660P[三洋化成工業(株)製 熱減成型ポリオレフィンワックス、Tm145℃]120重量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン715重量部、アクリロニトリル90重量部、アクリル酸ブチル65重量部、アクリル酸10重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド28重量部、及びキシレン120重量部の混合溶液を175℃で3時間かけて滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C1)を得た。(C1)のTgは65℃、Mnは3400であった。
【0095】
<製造例23>[ワックス分散用樹脂(C2)の合成]
耐圧反応槽中に、キシレン300重量部、ビスコール550P[三洋化成工業(株)製 熱減成型ポリオレフィンワックス、Tm152℃]165重量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン630重量部、アクリロニトリル100重量部、アクリル酸ブチル90重量部、アクリル酸15重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド24重量部、及びキシレン120重量部の混合溶液を175℃で3時間かけて滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C2)を得た。(C2)のTgは55℃、Mnは4100であった。
【0096】
<製造例24>[ワックス分散用樹脂(C3)の合成]
耐圧反応槽中に、キシレン300重量部、ビスコール660P60重量部、サンワックス171P[三洋化成工業(株)製 熱減成型ポリオレフィンワックス、Tm107℃)60重量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン715重量部、アクリロニトリル90重量部、アクリル酸ブチル65重量部、アクリル酸10重量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド30重量部、及びキシレン120重量部の混合溶液を175℃かけて3時間で滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散用樹脂(C3)を得た。(C3)のTgは61℃、Mnは2900であった。
【0097】
<実施例1〜10と比較例1〜6>
製造例で得られたポリエステル樹脂(A1)〜(A10)、(RA1)〜(RA6)、(B1)〜(B3)、(RB1)〜(RB2)、ワックス分散用樹脂(C1)〜(C3)を、表1の配合比(重量部)に従って配合し、本発明のトナーバインダー(TB−1)〜(TB−10)及び比較のトナーバインダー(RTB−1)〜(RTB−6)を得た。更に下記の方法で本発明のトナー組成物(TC−1)〜(TC−10)、及び比較用のトナー組成物(RTC−1)〜(RTC−6)を得た。
【0098】
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて、トナーバインダー、着色剤、離型剤、荷電制御剤を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。次いで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ[アエロジルR972:日本アエロジル(株)製]0.5重量部をサンプルミルにて混合して、それぞれ本発明のトナー組成物(TC−1)〜(TC−10)、及び比較用のトナー組成物(RTC−1)〜(RTC−6)を得た。
【0099】
なお、表1中の着色剤、離型剤、荷電制御剤は以下の通りである。
着色剤:カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]
離型剤:カルナバワックス[東洋アドレ(株)製]
荷電制御剤:T−77[保土谷化学(製)]
【0101】
トナー組成物のTg、Tmを前記の方法で測定した。
下記の評価方法で、トナー組成物の低温定着性、耐ホットオフセット性、耐久性、帯電安定性及び連続複写時の画質安定性を評価した。結果を表2に示す。
【0103】
[評価方法]
〔1〕低温定着性
上記のトナー組成物を用いて、市販複写機[AR5030;シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販複写機[AR5030;シャープ(株)製]の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191[マクベス(株)製]を用いて測定した画像濃度の残存率が75%以上となる定着ロール温度を最低定着温度(MFT)(℃)とした。MFTが低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
【0104】
〔2〕耐ホットオフセット性
上記の低温定着性評価方法と同様にして、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をホットオフセット発生温度(HOT)(℃)とした。HOTが高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。
【0105】
〔3〕定着幅
HOTからMFTを差し引いたものを定着幅(℃)とする。定着幅が大きいほど、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランスがよいことを意味する。
【0106】
〔4〕耐久性
トナー組成物を市販のプリンターLP−1400[エプソン(株)製]用のカートリッジに充填し、同機を用いべた画像を2000枚連続印刷し、2000枚後の画像を目視で判定し、以下の評価基準で耐久性を評価した。
[評価基準]
○:スジ・ムラなし
△:わずかにスジ・ムラがある
×:スジ・ムラがある
【0107】
〔5〕帯電安定性
トナー組成物0.5gとフェライトキャリアー[パウダーテック(株)製、F−150]20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10及び60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、以下の評価基準で帯電安定性を評価した。
[評価基準]
◎:摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量が0.8以上
○:摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量が0.7以上、0.8未満
△:摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量が0.6以上、0.7未満
×:摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量が0.6未満
【0108】
〔6〕連続複写時の画質安定性
トナー組成物30gとフェライトキャリアー[パウダーテック(株)製、f−150]800gを均一に混合し2成分現像剤とした。この現像剤を用いて、市販複写機[AR5030、シャープ(株)製]を用いて現像した未定着画像を、市販フルカラー複写機[LBP−2160、キヤノン(株)製]の定着ユニットを用いて、プロセススピード80mm/secで定着し、以下の評価基準で連続複写時の画質安定性を評価した。
[評価基準]
◎:8000枚連続複写後も画像が良好である
○:8000枚連続複写後、画質低下(白地汚れ)がややみられる
△:8000枚連続複写後、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が明らかにみられる
×:複写初期から画像不良である
【0109】
本発明の実施例1〜10のトナーはいずれの性能評価結果も良好であった。
一方、平均温度低下速度が速すぎる(RA1)を用いた比較例1、平均温度低下速度が遅すぎる(RA2)を用いた比較例2、酸価が50mgKOH/gを超える(RA3)を用いた比較例3、酸価が20mgKOH/g未満の(RA4)を用いた比較例4、軟化点が130℃以下の(RA5)を用いた比較例5、および軟化点が180℃以上の(RA5)を用いた比較例5はすべて、少なくとも1項目の性能が不良であった。