特許第6445392号(P6445392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6445392使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケットおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445392
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/32 20060101AFI20181217BHJP
   G21C 19/40 20060101ALI20181217BHJP
   G21F 5/00 20060101ALI20181217BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G21C19/32 040
   G21C19/40 200
   G21F5/00 K
   G21F9/36 501G
   G21F9/36 501J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-104541(P2015-104541)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-217938(P2016-217938A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下条 純
(72)【発明者】
【氏名】梅原 啓介
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 健一
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−349469(JP,A)
【文献】 特開2005−274237(JP,A)
【文献】 特開2014−066567(JP,A)
【文献】 特開2006−200939(JP,A)
【文献】 特開2011−117774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/32
G21C 19/40
G21F 5/00
G21F 5/012
G21F 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出材が複数組み合わされることで格子状に形成された、使用済燃料輸送貯蔵キャスクに使用されるバスケットにおいて、
前記押出材の幅方向の両端面の各々には、前記押出材同士を嵌合させる凹部が複数形成されており、
前記押出材同士が当接する部分の厚みが所定の寸法になるように、当該部分の外表面切削されており、
切削されている前記部分は、前記押出材の表面における、前記幅方向の両側から2つの前記凹部で挟まれた部分であることを特徴とする使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケット。
【請求項2】
切削されている前記部分は、前記押出材の前記両端面であることを特徴とする請求項1に記載の使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケット。
【請求項3】
外縁側に位置する前記押出材に取り付けられ、前記使用済燃料輸送貯蔵キャスク内に挿入された際に前記使用済燃料輸送貯蔵キャスクとの隙間に配置されるサポート部材を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケット。
【請求項4】
押出材を複数組み合わせることで格子状に形成される、使用済燃料輸送貯蔵キャスクに使用されるバスケットの製造方法において、
前記押出材の幅方向の両端面の各々に、前記押出材同士を嵌合させる凹部を複数形成する工程と、
前記押出材同士が当接する部分の厚みが所定の寸法になるように、当該部分の外表面切削する工程と、
を有し、
前記押出材の表面における、前記幅方向の両側から2つの前記凹部で挟まれた部分の外表面を切削することを特徴とする使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出材が複数組み合わされることで格子状に形成された、使用済燃料輸送貯蔵キャスクに使用されるバスケットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使用済みのPWR燃料集合体の輸送貯蔵キャスクのバスケットとして、アルミニウム合金からなる断面が略H形状の押出材を縦横に複数組み合わせることで格子状に形成されたものが開示されている。断面視における各ブレードの長辺方向の長さaと、断面視における2本のブレード間の間隔bとが、a/b≦4の関係を満足することで、断面の寸法精度に優れた押出材を押出加工することができるとともに、ブレード間の隙間を好適な水ギャップとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−117774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のバスケットにおいては、使用済燃料を収納する格子内寸法の公差が押出材の断面寸法公差に支配されるため、格子内寸法の公差が大きくなり、未臨界維持設計を成立させるのが難しくなるという問題がある。
【0005】
未臨界維持設計では、バスケットの格子内寸法の公差を考慮した臨界解析を行う。この臨界解析では、キャスク胴内が満水状態であって、バスケットの格子内寸法が公差を考慮して最大となる条件において、燃料集合体の燃料ピンの配列ピッチが仮想的に広がった状態が最も厳しい条件となる。よって、バスケットの格子内寸法の公差をできるだけ小さくすることは、未臨界維持設計を成立させる上で効果的である。
【0006】
本発明の目的は、未臨界維持設計を好適に成立させることが可能な使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケットおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、押出材が複数組み合わされることで格子状に形成された、使用済燃料輸送貯蔵キャスクに使用されるバスケットにおいて、前記押出材の幅方向の両端面の各々には、前記押出材同士を嵌合させる凹部が複数形成されており、前記押出材同士が当接する部分の厚みが所定の寸法になるように、当該部分の外表面切削されており、切削されている前記部分は、前記押出材の表面における、前記幅方向の両側から2つの前記凹部で挟まれた部分であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、押出材を複数組み合わせることで格子状に形成される、使用済燃料輸送貯蔵キャスクに使用されるバスケットの製造方法において、前記押出材の幅方向の両端面の各々に、前記押出材同士を嵌合させる凹部を複数形成する工程と、前記押出材同士が当接する部分の厚みが所定の寸法になるように、当該部分の外表面切削する工程と、を有し、前記押出材の表面における、前記幅方向の両側から2つの前記凹部で挟まれた部分の外表面を切削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、押出材同士が当接する部分を機械加工することで、組立公差を低減させることができるので、押出材同士を高い寸法精度で当接させることができる。これにより、バスケットを形成して使用済燃料を格納した際に、使用済燃料同士の相互干渉を防止し、中性子による反応度を低くすることができるので、未臨界維持設計を好適に成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】使用済燃料輸送貯蔵キャスクの一部切欠斜視図である。
図2】使用済燃料輸送貯蔵キャスクの断面図である。
図3A】押出材を組み合わせる様子を示す斜視図である。
図3B】押出材を組み合わせた様子を示す斜視図である。
図4A】押出材を組み合わせた様子を示す説明図である。
図4B】押出材を組み合わせた様子を示す説明図である。
図4C】押出材を組み合わせた様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(使用済燃料輸送貯蔵キャスクの構成)
本実施形態による使用済燃料輸送貯蔵キャスク(キャスク)は、使用済燃料の輸送および貯蔵に用いられるものである。キャスク10は、一部切欠斜視図である図1に示すように、有底無蓋筒状の容器本体41と、その蓋42とを有している。また、キャスク10は、その内部にバスケット1を有している。
【0013】
容器本体41は、炭素鋼製の胴47と、胴47を取り巻く複数の側部中性子遮蔽材46と、側部中性子遮蔽材46を覆う炭素鋼製の外筒45と、を有している。胴47の底部分には、炭素鋼で覆われた底部中性子遮蔽材(図示せず)が設けられている。容器本体41の側面には、複数のトラニオン55が設けられている。また、側部中性子遮蔽材46同士の間には、伝熱フィン51がそれぞれ設けられている。
【0014】
蓋42は、炭素鋼製の一次蓋43と二次蓋52との二重蓋構造にされている。二次蓋52は、中性子遮蔽材からなる蓋部中性子遮蔽材53を炭素鋼で覆った構成にされている。蓋42には、密封監視装置54が設けられている。
【0015】
キャスク10の断面図である図2に示すように、バスケット1は、容器本体41の胴47内に収容されている。バスケット1は、多数のバスケット格子3を備えている。このバスケット格子3には、使用済燃料が収納される。本実施形態において、バスケット格子3は5列×6列で並べられているが、これに限定されない。
【0016】
ここで、キャスク10の未臨界維持設計においては、通常安全側に新燃料であるU−235の濃縮度を想定した評価が行われる。特にPWR燃料集合体は、BWR燃料集合体よりも燃料ピンの配列が多く臨界反応度が高い。そこで、後述するように、バスケット1の部材にホウ素(B−10)等の中性子吸収材が添加されている。また、使用済燃料間に距離を設けることで隣接する使用済燃料同士の反応度が抑制されている。ここで、臨界解析では、キャスク10の内部を満水にした状態が、使用済燃料の反応度が最も高い状態であることから、使用済燃料間の空間を水ギャップという。この水ギャップにより、隣り合う使用済燃料同士の相互干渉が防止され、中性子による反応度が低くなりキャスク体系が臨界になることが防止される。
【0017】
(バスケットの構成)
バスケット1は、斜視図である図3Aおよび図3Bに示すように、押出材5が格子状に縦横に組まれることで形成されている。押出材5は、アルミニウム合金などを押出加工したものである。なお、押出材の代わりに圧延材を用いてもよい。
【0018】
押出材5は、面同士が対向する2枚の平板6と、2枚の平板6の間に設けられた複数のリブ7と、を有している。2枚の平板6同士の隙間は、水ギャップとなっている。本実施形態において、リブ7の数は「2」であるが、これに限定されず、「1」であってもよいし、「3」以上であってもよい。
【0019】
平板6の幅方向の両端面6bの各々には、押出材5同士を嵌合させる凹部6aが複数形成されている。凹部6aの深さは、押出材5の短手方向の長さの1/4相当である。
【0020】
ここで、バスケット1には未臨界維持機能が要求される。そこで、押出材5の材料には、未臨界維持のために中性子吸収性能に優れるホウ素(ボロン)が添加されている。ホウ素には、B−10とB−11の同位体があり、B−10の方が中性子吸収性能に優れている。押出材5の材料として、ホウ素添加アルミニウム合金やホウ素添加ステンレス鋼が好適に用いられる。バスケット1の軽量化を考慮すると、ホウ素添加アルミニウム合金が望ましい。ホウ素添加アルミニウム合金としては、濃縮ホウ素を添加したアルミニウム材料であってもよいし、天然ホウ素からなる炭化ホウ素(B4C)を添加したアルミニウム材であってもよい。濃縮ホウ素とは、中性子吸収性能の高いB−10の比率を天然の比率(約20%)よりも人工的に高めたものである。
【0021】
また、押出材5の断面形状を立体形状とし、リブ7で離隔された2枚の平板6同士の隙間を水ギャップとすることにより、特にPWR燃料集合体用のバスケット1の未臨界維持設計で重要な「水ギャップ」を容易に確保することができる。
【0022】
また、図2に示すように、バスケット1の中央部に位置する押出材5における2枚の平板6同士の間隔Y1は、バスケット1の周辺部に位置する押出材5における2枚の平板6同士の間隔Y2よりも大きくされている。つまり、バスケット1の中央部に位置する押出材5におけるリブ7の長さは、バスケット1の周辺部に位置する押出材5におけるリブ7の長さよりも長くされている。なお、図中横方向の間隔Y1,Y2について説明しているが、図中縦方向についても同様である。
【0023】
バスケット1の中央部における使用済燃料の反応度は、バスケット1の周辺部における使用済燃料の反応度よりも高い。そこで、バスケット1の中央部に位置する押出材5における2枚の平板6同士の間隔Y1を、バスケット1の周辺部に位置する押出材5における2枚の平板6同士の間隔Y2よりも大きくすることで、バスケット1の中央部における水ギャップがバスケット1の周辺部における水ギャップよりも大きくなる。これにより、未臨界制御を好適に維持することができる。また、バスケット1の周辺部における水ギャップをバスケット1の中央部における水ギャップよりも小さくすることにより、バスケット1をコンパクト化することができる。
【0024】
また、キャスク10が9mの高さから落下する事象における強度を確保するために、バスケット1には構造強度が要求される。特に、キャスク10が水平落下する事象において、使用済燃料による曲げ荷重に対する強度を維持する必要がある。ここで、キャスク10の水平落下とは、キャスク10の中心軸が水平になる姿勢で落下することを指す。そこで、押出材5の断面形状を立体的にして断面係数を大きくすることにより、肉厚の薄い部材で重量を最低限に抑えながらバスケット1に必要な強度を得ることができる。
【0025】
ここで、図3Aに示すように、押出材5同士が当接する部分は機械加工されている。具体的には、図中ハッチングで示すように、平板6の表面における、幅方向の両側から2つの凹部6aで挟まれた部分(嵌合部分)6cが機械加工されている。ここで、機械加工とは、外表面を切削することによって部材厚を所定の寸法に調整することを指す。
【0026】
JIS H4100 2006(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)によると、アルミニウム合金の押出材の場合、断面形状の幅公差は、断面寸法の外接円の直径が250mm以下のJIS特殊級の場合でも±1〜2mm程度である。そこで、押出材5同士を好適に組み合わせるためには、押出材5の幅の公差を許容するように、凹部6aの幅の公差を大きく設定する必要がある。ここで、押出材5の幅とは、2枚の平板6間の距離である。また、凹部6aの幅とは、押出材5の長手方向に沿った凹部6aの長さである。
【0027】
押出材5同士を組み合わせた様子を示す説明図である図4Aに示すように、押出材5の幅をt、凹部6aの幅をW、使用済燃料を収納する格子内寸法をL、凹部6a同士の間隔をPとする。同様の説明図である図4Bに示すように、凹部6a同士の間隔Pが最大値Pmaxで、押出材5の幅tが最小値tminで、凹部6aの幅Wが最大値Wmaxであるとき、格子内寸法Lの最大値Lmaxは、以下のようにして算出される。
max=Pmax−2(tmin−Wmax/2)
=Pmax−2tmin+Wmax
【0028】
一方、同様の説明図である図4Cに示すように、凹部6a同士の間隔Pが最大値Pmaxで、押出材5の幅tが最小値tminで、凹部6aの幅Wが最大値Wmaxであるとき、格子内寸法Lの最小値Lminは、以下のようにして算出される。
min=Pmax−Wmax
【0029】
押出材5の幅の公差を許容するように、凹部6aの幅の公差を大きく設定した場合、凹部6aの幅の最大公差と押出材5の幅の最小公差とを組み合わせると、使用済燃料を収納する格子内寸法の公差が大きくなり、未臨界維持設計を成立させるのが難しくなる。アルミニウム合金の押出材の場合、格子内寸法の最大公差は±3〜6mm程度となる。
【0030】
そこで、押出材5同士が当接する部分である、嵌合部分6cを機械加工すると、機械加工された部分の公差を、押出材5の幅の公差の約1/10程度にすることができる。これにより、機械加工された嵌合部分6cに嵌合される凹部6aの幅の公差を小さくすることができるので、格子内寸法の最大公差を、押出材5の幅の公差程度に抑えることができる。よって、未臨界維持設計を好適に成立させることができる。アルミニウム合金の押出材の場合、機械加工された部分の公差を±0.1〜0.2mm程度にできるので、格子内寸法の最大公差を、押出材5の幅の公差である±1〜2mm程度に抑えることができる。
【0031】
また、図3Aに示すように、平板6の長手方向に沿った2つの端面6bが機械加工されている。押出材5に長手方向に曲がりやねじれが生じている場合、押出材5を組み合わせた際に、端面6b同士の間に隙間が生じる場合がある。そこで、2つの端面6bを機械加工することで、端面6b同士の間に隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、端面6b同士の間から中性子が漏れるのを抑制することができるので、未臨界維持設計を好適に維持することができる。
【0032】
なお、嵌合部分6cおよび端面6bのどちらか一方のみ、または両方のみを機械加工するといったように、機械加工する部分を最小限に留めることで、材料の歩留まりの向上、および、コストの低減を図ることができる。
【0033】
また、図2に示すように、バスケット1は、外縁側に位置する押出材5にボルト等で取り付けられたサポート部材9を更に有している。サポート部材9は、アルミニウム合金などを押出加工したものであって、バスケット1の中心軸に沿ってバスケット1の上端から下端にわたって配置されている。
【0034】
サポート部材9は、図中、バスケット1の四隅にそれぞれ取り付けられた第1部材9aと、図中上端および下端に取り付けられた第2部材9bと、図中右端および左端に取り付けられた第3部材9cと、からなる。これらサポート部材9は、バスケット1がキャスク10内に挿入された際に、キャスク10との隙間に配置される。
【0035】
外縁側に位置する押出材5にサポート部材9を取り付けることで、バスケット1をキャスク10内に挿入した際に、キャスク10との隙間に配置されたサポート部材9によって、格子寸法がずれるのが抑制される。これにより、使用済燃料同士の間隔が好適に維持されるので、未臨界維持設計を好適に維持することができる。また、サポート部材9によってバスケット1の剛性が向上するので、キャスク10が水平落下する事象における強度を好適に確保することができる。
【0036】
また、バスケット1には、除熱機能が要求される。図1に示すように、使用済燃料の崩壊熱は伝熱フィン51を介して外筒45に伝わり、外部に放熱される。また、除熱機能においては、バスケット1からキャスク10の胴に効率よく熱を伝えることが重要である。図2に示すように、キャスク10とバスケット1との隙間にサポート部材9を配置することで、使用済燃料の崩壊熱はサポート部材9を介して容器本体41に伝わり、外部に放熱される。これにより、キャスク10の除熱機能を向上させることができる。
【0037】
なお、サポート部材9がバスケット1の中心軸に沿って長尺に形成された構成であってもよいし、複数(例えば3個)に分割されたサポート部材9がバスケット1の中心軸に沿って並んで配置された構成であってもよい。サポート部材9が長尺に形成されている場合には、バスケット1の剛性を好適に向上させることができるが、長手方向に曲がったりねじれたりするため、外径寸法公差が大きくなるという問題がある。この点、分割されたサポート部材9を並べて配置することで、外径寸法公差を小さくすることができる。
【0038】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る使用済燃料輸送貯蔵キャスクのバスケット1によると、押出材5同士が当接する部分を機械加工することで、組立公差を低減させることができるので、押出材5同士を高い寸法精度で当接させることができる。これにより、バスケット1を形成して使用済燃料を格納した際に、使用済燃料同士の相互干渉を防止し、中性子による反応度を低くすることができるので、未臨界維持設計を好適に成立させることができる。
【0039】
また、押出材5の表面における、幅方向の両側から2つの凹部6aで挟まれた部分(嵌合部分)6cを機械加工する。押出材5同士を好適に組み合わせるためには、押出材5の幅の公差を許容するように、凹部6aの幅の公差を大きく設定する必要がある。しかし、凹部6aの幅の最大公差と押出材5の幅の最小公差とを組み合わせると、使用済燃料を収納する格子内寸法の公差が大きくなり、未臨界維持設計を成立させるのが難しくなる。そこで、押出材5同士が当接する部分である、嵌合部分6cを機械加工すると、機械加工された部分の公差を、押出材5の幅の公差の約1/10程度にすることができる。これにより、機械加工された部分に嵌合される凹部6aの幅の公差を小さくすることができるので、格子内寸法の最大公差を、押出材5の幅の公差程度に抑えることができる。よって、未臨界維持設計を好適に成立させることができる。
【0040】
また、押出材5の幅方向の両端面6bを機械加工することで、押出材5の端面6b同士を当接させた際に、端面6b同士の間に隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、端面6b同士の間から中性子が漏れるのを抑制することができるので、未臨界維持設計を好適に維持することができる。
【0041】
また、外縁側に位置する押出材5にサポート部材9を取り付けることで、バスケット1をキャスク10内に挿入した際に、キャスク10との隙間に配置されたサポート部材9によって、格子寸法がずれるのが抑制される。これにより、使用済燃料同士の間隔が好適に維持されるので、未臨界維持設計を好適に維持することができる。また、サポート部材9によってバスケット1の剛性が向上するので、キャスク10が水平落下する事象における強度を好適に確保することができる。また、使用済燃料の崩壊熱を、サポート部材9を介して容器本体41に伝えて、外部に放熱することができるので、キャスク10の除熱機能を向上させることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 バスケット
3 バスケット格子
5 押出材
6 平板
6a 凹部
6b 端面
6c 嵌合部分
7 リブ
9 サポート部材
10 キャスク
41 容器本体
42 蓋
43 一次蓋
45 外筒
46 側部中性子遮蔽材
47 胴
51 伝熱フィン
52 二次蓋
53 蓋部中性子遮蔽材
54 密封監視装置
55 トラニオン
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C