特許第6445439号(P6445439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445439
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】接触検知装置および光学測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20181217BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20181217BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61B1/00 550
   A61B1/018 515
   G02B23/24 A
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-536537(P2015-536537)
(86)(22)【出願日】2014年9月2日
(86)【国際出願番号】JP2014073057
(87)【国際公開番号】WO2015037475
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年5月30日
(31)【優先権主張番号】61/876,584
(32)【優先日】2013年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 遼佑
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0053632(US,A1)
【文献】 特表2009−537014(JP,A)
【文献】 特開2009−074854(JP,A)
【文献】 特開2011−240155(JP,A)
【文献】 特開2010−185782(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/154061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端で接触する生体組織へ照明光を出射するとともに前記生体組織で散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと前記生体組織との接触を検知する接触検知装置であって、
前記照明光の波長よりも短い波長を有し、前記測定プローブを介して前記生体組織の所定領域へ照射されるレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記測定プローブを介して受光した光を電気信号に変換する光電変換部と、
前記光電変換部が変換した電気信号が、前記測定プローブの先端面および前記生体組織の表面でそれぞれ散乱した前記レーザ光の戻り光同士の干渉によって生じるうなり成分が含まれるか否かに基づいて、前記測定プローブの先端と前記生体組織との接触の有無を判定する信号処理部と、
を備えたことを特徴とする接触検知装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記光電変換部が変換した電気信号の周波数を解析し、所定の周波数における振幅が所定の振幅閾値以下である場合には前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定し、前記所定の周波数における振幅が前記所定の振幅閾値を上回る場合には前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定することを特徴とする請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、
前記光電変換部が変換した電気信号の強度を所定の閾値と比較し、該強度が前記所定の閾値未満である場合に前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定し、
前記電気信号の強度が前記所定の閾値以上である場合に前記電気信号の周波数を解析し、所定の周波数における振幅が所定の振幅閾値以下であるときには前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定し、前記所定の周波数における振幅が前記所定の振幅閾値を上回るときには前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定することを特徴とする請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定した場合、前記測定プローブに接続されて該測定プローブに前記照明光を供給するとともに該測定プローブから前記戻り光を受光して前記生体組織の性状を示す特性値を演算する測定手段に対し、前記戻り光の計測を開始させる計測トリガー信号を送信することを特徴とする請求項2または3に記載の接触検知装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記測定手段の計測中に前記測定プローブの先端と前記生体組織との接触を検知した場合には、接触している旨を示す情報および該情報を計測結果と関連付けて記録する指示を前記測定手段に送信する一方、前記測定手段の計測中に前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触を検知しない場合には、接触していない旨を示す情報および該情報を計測結果と関連付けて記録する指示を前記測定手段に送信することを特徴とする請求項4に記載の接触検知装置。
【請求項6】
前記照明光の波長は、750nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の接触検知装置。
【請求項7】
前記光電変換部の前段に設けられ、入射した光のうち前記レーザ光の波長の光のみを透過させる第1のフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の接触検知装置。
【請求項8】
先端で接触する生体組織へ出射する照明光を供給する光源部、前記生体組織で散乱した前記照明光の戻り光を計測する測定部、および前記測定部による計測結果をもとに前記生体組織の性状を示す特性値を演算する演算部を有する本体装置と、
前記本体装置に着脱自在に接続して前記照明光を出射するとともに前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと、
請求項1〜7のいずれか一つに記載の接触検知装置と、
を備えたことを特徴とする光学測定装置。
【請求項9】
前記測定プローブは、
前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を、前記生体組織の表面上の所定の領域へ照射する検知用照射ファイバと、
前記測定プローブの先端面および前記生体組織の表面でそれぞれ散乱した前記レーザ光の戻り光を少なくとも受光して伝播する検知用受光ファイバと、
を有することを特徴とする請求項8に記載の光学測定装置。
【請求項10】
前記検知用照射ファイバおよび前記検知用受光ファイバは、同一のファイバからなることを特徴とする請求項9に記載の光学測定装置。
【請求項11】
前記検知用照射ファイバは、さらに前記光源からの照明光を伝播して出射することを特徴とする請求項9または10に記載の光学測定装置。
【請求項12】
前記測定プローブの先端には、カバーガラスが設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項13】
前記測定プローブの先端には、コリメートレンズが設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【請求項14】
前記測定部の前段に設けられ、前記戻り光のうち前記照明光と同じ波長の光のみを透過させる第2のフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一つに記載の光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端で接触する生体組織へ照明光を出射するとともに生体組織で散乱した照明光の戻り光を受光する測定プローブと生体組織との接触を検知する接触検知装置、該接触検知装置を備えて生体組織の性状を示す特定値を演算する光学測定装置および接触検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織に照明光を照射し、生体組織から散乱された戻り光(散乱光)の計測値に基づいて、生体組織の性状を示す特性値を演算する光学測定装置が知られている。光学測定装置は、消化器等の臓器を観察する内視鏡と組み合わせて使用されている。このような光学測定装置として、空間コヒーレンス長の短い低コヒーレントの白色光をプローブの照射ファイバ先端から生体組織に照射し、複数の角度の戻り光の強度分布を複数の受光ファイバを用いて計測することによって、生体組織の性状を検出するLEBS(Low-Coherence Enhanced Backscattering)を用いた光学測定装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0053632号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEBSのように生体組織からの戻り光を計測する光学装置において、有効な計測結果を得るためには、プローブの先端面と生体組織の表面とを安定して接触させた状態で計測する必要がある。これは、プローブ先端面と生体組織の表面とが安定して接触していない場合、両者の相対的な位置関係が変化することによって計測条件が変動してしまい、戻り光の特性を正しく計測することができないためである。
【0005】
これに対して、生体組織とプローブ先端とが接触している場合であっても、生体組織の表面でプローブ先端面が生体組織の表面上で滑ると、戻り光を計測する領域が変化し、計測結果にばらつきが生じてしまうことがある。また、生体組織とプローブ先端とが接触している場合であっても、計測時に生体組織へのプローブ先端の押し込み方が変化すると、計測結果が変化してしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織へ照射した光の戻り光の計測結果の信頼性を向上させることができる接触検知装置、光学測定装置および接触検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる接触検知装置は、先端で接触する生体組織へ照明光を出射するとともに前記生体組織で散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと前記生体組織との接触を検知する接触検知装置であって、前記照明光の波長よりも短い波長を有し、前記測定プローブを介して前記生体組織の所定領域へ照射されるレーザ光を出射するレーザ光源と、前記測定プローブを介して受光した光を電気信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部が変換した電気信号が、前記測定プローブの先端面および前記生体組織の表面でそれぞれ散乱した前記レーザ光の戻り光同士の干渉によって生じるうなり成分が含まれるか否かに基づいて、前記測定プローブの先端と前記生体組織との接触の有無を判定する信号処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記信号処理部は、前記光電変換部が変換した電気信号の周波数を解析し、所定の周波数における振幅が所定の振幅閾値以下である場合には前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定し、前記所定の周波数における振幅が前記所定の振幅閾値を上回る場合には前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記信号処理部は、前記光電変換部が変換した電気信号の強度を所定の閾値と比較し、該強度が前記所定の閾値未満である場合に前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定し、前記電気信号の強度が前記所定の閾値以上である場合に前記電気信号の周波数を解析し、所定の周波数における振幅が所定の振幅閾値以下であるときには前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定し、前記所定の周波数における振幅が前記所定の振幅閾値を上回るときには前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していないと判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記信号処理部は、前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触していると判定した場合、前記測定プローブに接続されて該測定プローブに前記照明光を供給するとともに該測定プローブから前記戻り光を受光して前記生体組織の性状を示す特性値を演算する測定手段に対し、前記戻り光の計測を開始させる計測トリガー信号を送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記信号処理部は、前記測定手段の計測中に前記測定プローブの先端と前記生体組織との接触を検知した場合には、接触している旨を示す情報および該情報を計測結果と関連付けて記録する指示を前記測定手段に送信する一方、前記測定手段の計測中に前記測定プローブの先端と前記生体組織とが接触を検知しない場合には、接触していない旨を示す情報および該情報を計測結果と関連付けて記録する指示を前記測定手段に送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記照明光の波長は、750nm以下であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる接触検知装置は、前記光電変換部の前段に設けられ、入射した光のうち前記レーザ光の波長の光のみを透過させる第1のフィルタをさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる接触検知装置は、先端で接触する生体組織へ出射する照明光を供給する光源部、前記生体組織で散乱した前記照明光の戻り光を計測する測定部、および前記測定部による計測結果をもとに前記生体組織の性状を示す特性値を演算する演算部を有する本体装置と、前記本体装置に着脱自在に接続して前記照明光を出射するとともに前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと、上記いずれかに記載の接触検知装置と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記測定プローブは、前記レーザ光源から出射された前記レーザ光を、前記生体組織の表面上の所定の領域へ照射する検知用照射ファイバと、前記測定プローブの先端面および前記生体組織の表面でそれぞれ散乱した前記レーザ光の戻り光を少なくとも受光して伝播する検知用受光ファイバと、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記検知用照射ファイバおよび前記検知用受光ファイバは、同一のファイバからなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記検知用照射ファイバは、さらに前記光源からの照明光を伝播して出射することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記測定プローブの先端には、カバーガラスが設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記測定プローブの先端には、コリメートレンズが設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる光学測定装置は、前記測定部の前段に設けられ、前記戻り光のうち前記照明光を同じ波長の光のみを透過させる第2のフィルタをさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる接触検知方法は、先端で接触する生体組織へ照明光を出射するとともに前記生体組織で散乱した前記照明光の戻り光を受光する測定プローブと前記生体組織との接触を検知するために前記照明光の波長よりも短い波長を有するレーザ光を出射するレーザ光源を備えた接触検知装置が行う接触検知方法であって、前記測定プローブを介して受光した光を電気信号に変換する光電変換ステップと、前記光電変換ステップで変換した電気信号が、前記測定プローブの先端面および前記生体組織の表面でそれぞれ散乱したレーザ光の戻り光同士の干渉によって生じるうなり成分が含まれるか否かに基づいて、前記測定プローブの先端と前記生体組織との接触の有無を判定する信号処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、測定プローブの先端面および生体組織の表面でそれぞれ散乱したレーザ光の戻り光同士の干渉によって生じるうなり成分が含まれるか否かに基づいて、測定プローブの先端と生体組織との接触の有無を判定することで測定プローブの先端面と生体組織の表面とが相対的に動かない状態における生体組織からの戻り光の特性を取得できるようになり、生体組織へ照射した光の戻り光の計測結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図3図3は、測定プローブの先端面と生体組織の表面とが接触していない場合にPDが変換した電気信号の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示す測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図5図5は、測定プローブの先端面と生体組織の表面とが接触している場合にフォトダイオードが変換した電気信号の一例を示す図である。
図6図6は、測定プローブの先端面と生体組織の表面とが接触していない場合に信号処理部がフーリエ変換した電気信号の一例を示す図である。
図7図7は、測定プローブの先端面と生体組織の表面とが接触している場合に信号処理部がフーリエ変換した電気信号の一例を示す図である。
図8図8は、図1に示す測定プローブから出射される光の反射状態を模式的に示す図である。
図9図9は、図1に示すフォトダイオードが変換した電気信号の一例を示す図である。
図10図10は、図1に示す接触検知部が実行する測定プローブの先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示すフローチャートである。
図11図11は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置を内視鏡システムで使用する際の状況を示す図である。
図12図12は、実施の形態1の変形例1にかかる接触検知部が実行する測定プローブの先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示す他のフローチャートである。
図13図13は、実施の形態1の変形例2にかかる接触検知部が実行する測定プローブの先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示す他のフローチャートである。
図14図14は、実施の形態1の変形例3にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図15図15は、実施の形態1の変形例4にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図16図16は、図15のA矢視図である。
図17図17は、図15に示す測定プローブの接触状態を説明する模式図である。
図18図18は、実施の形態1の変形例5にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。
図19図19は、図18のB矢視図である。
図20図20は、実施の形態2にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図21図21は、実施の形態3にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図22図22は、実施の形態3にかかる光学測定装置の他の構成を模式的に示すブロック図である。
図23図23は、実施の形態4にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明にかかる接触検知装置、光学測定装置および接触検知方法の好適な実施の形態として、LEBS技術を用いた光学測定装置を例に詳細に説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。また、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係および各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれる。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示す光学測定装置1は、散乱体である生体組織に対して光学測定を行って生体組織の性状(特性)を検出する本体装置2と、被検体内に挿入されるディスポーザブル型の測定プローブ3とを備える。
【0026】
本体装置2は、生体組織の性状に関わる特性値を演算する測定手段である光学測定部4、および測定プローブ3の先端と生体組織との接触を検知する接触検知部5を備える。また、本体装置2は、測定プローブ3の基端が着脱自在に接続されるコネクタ部20を備える。コネクタ部20は、接続線21を介して光学測定部4に接続されるとともに、接続ファイバ24を介して接触検知部5に接続される。
【0027】
光学測定部4は、電源40と、計測用光源部41と、光検出部42と、入力部43と、出力部44と、記録部45と、制御部46とを備える。電源40は、光学測定部4の各部に電力を供給する。
【0028】
計測用光源部41は、計測用光源部41とコネクタ部20とを接続する接続ファイバ22およびコネクタ部20を介して、生体組織へ出射するインコヒーレント光の照明光を測定プローブ3へ供給する。計測用光源部41は、白色LED(Light Emitting Diode)、キセノンランプ、タングステンランプおよびハロゲンランプのようなインコヒーレント光源と、複数のレンズとを用いて実現される。このようなレンズとしては、たとえば集光レンズやコリメートレンズ等を挙げることができる。計測用光源部41は、所定の波長帯域に含まれる波長成分を有する照明光を出射する。計測用光源部41は、750nm以下の波長の照明光を測定プローブ3に供給する。具体的には、計測用光源部41は、赤および緑の波長帯域(たとえば、赤:600nm〜750nm、緑:500nm〜600nm)の光を照明光として出射する。
【0029】
光検出部42は、光検出部42とコネクタ部20とを接続する接続ファイバ23およびコネクタ部20を介して、測定プローブ3から照射された照明光が生体組織で散乱(反射を含む)した照明光の戻り光(散乱光)を検出し、検出結果を制御部46へ出力する。光検出部42は、フィルタ47(第2のフィルタ)と、受光部48とを有する。フィルタ47は、照明光の戻り光のうち赤および緑の波長帯域の光を透過させる。受光部48は、フィルタ47を透過した赤および緑の波長帯域の光を計測して計測結果を制御部46へ出力する。具体的には、受光部48は、測定プローブ3から入射されフィルタ47を透過した赤および緑の波長帯域の戻り光のスペクトル成分および強度分布を検出し、この結果を電気信号に変換して制御部46へ出力する。受光部48は、分光測定器または受光センサ等を用いて実現される。
【0030】
入力部43は、本体装置2の起動を指示する指示信号、本体装置2による生体組織の計測の開始を指示する指示信号およびキャリブレーション処理を指示する指示信号等の入力を受け付けて制御部46へ出力する。入力部43は、プッシュ式のスイッチやタッチパネル等を用いて実現される。
【0031】
出力部44は、制御部46の制御のもと、本体装置2における各種情報、たとえば生体組織の計測結果を出力する。出力部44は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等の表示ディスプレイおよびスピーカ等を用いて実現される。
【0032】
記録部45は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等を用いて実現され、本体装置2を動作させるための各種プログラムおよび光学計測処理に使用される各種データや各種パラメ−タ等を記録する。また、記録部45は、光学測定部4による生体組織の計測結果および接触検知部5における検知結果を記録する。
【0033】
制御部46は、本体装置2を統括的に制御する。制御部46は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成される。制御部46は、演算部49を有する。演算部49は、光検出部42による計測結果をもとに複数種の演算処理を行い、生体組織の性状に関わる特性値を演算する。
【0034】
接触検知部5は、レーザ光源51と、フォトダイオード(以下、PDという)52と、信号処理部53と、ビームスプリッタ54と、フィルタ55(第1のフィルタ)とを備える。測定プローブ3を介して受光した光を電気信号に変換する光電変換部の機能を有する。
【0035】
レーザ光源51は、計測用光源部41とは別体であり、計測用光源部41が出射する照明光の波長よりも短い波長のレーザ光を出射する。レーザ光源51は、計測用光源部41が供給する光の波長とは異なる波長のレーザ光を出射する。レーザ光源51は、青の波長帯域(400nm〜500nm)のレーザ光を出射する。または、レーザ光源51は、可視光より波長が短いレーザ光を出射する。レーザ光源51は、生体組織内部まで到達せず、生体組織の表面で反射しやすい短波長のレーザ光を出射する。
【0036】
PD52は、測定プローブ3の先端面36と生体組織の表面とにおいて散乱したレーザ光の戻り光を検出して電気信号(アナログ信号)に変換する。
【0037】
信号処理部53は、PD52が変換した電気信号をA/D変換した後、デジタルの電気信号の強度および周波数を解析することによって測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を検知し、検知結果を光学測定部4に出力する。
【0038】
ビームスプリッタ54は、レーザ光源51からのレーザ光を接続ファイバ24に入射させるとともに、接続ファイバ24から出射された生体組織表面からのレーザ光の反射光を透過させてフィルタ55に供給する。
【0039】
フィルタ55は、ビームスプリッタ54の後段であって、PD52の前段に設けられ、入射した光のうち、レーザ光の波長の光のみを透過させる。たとえば、フィルタ55は、青の波長帯域の光を透過させ、PD52は、フィルタ55を透過した青の波長帯域の光を検出して、電気信号に変換する。
【0040】
測定プローブ3は、照射ファイバ32および受光ファイバ33を有する計測用ファイバ31と、接触検知用ファイバ34と、カバーガラスであるガラスロッド35とを備える。
【0041】
計測用ファイバ31は、計測用光源部41から供給された照明光を伝播して生体組織へ出射する照射ファイバ32と、生体組織において反射および/または散乱した照明光の戻り光がガラスロッド35を介して入射する受光ファイバ33とを有する。LEBS技術を用いる場合には、散乱角度の異なる少なくとも2つの戻り光をそれぞれ受光するため、複数の受光ファイバが設けられる。
【0042】
接触検知用ファイバ34は、レーザ光源51から出射されたレーザ光を、測定プローブ3の先端面36と生体組織との接触面を介して生体組織の表面に照射するとともに、測定プローブ3の先端面36と生体組織の表面とにおいて反射したレーザ光の反射光を伝播する。接触検知用ファイバ34は、特許請求の範囲における検知用照射ファイバおよび検知用受光ファイバの機能を兼ね備える。接触検知用ファイバ34は、生体組織の表面のうち、光学測定部4による戻り光の計測領域である戻り光計測領域Apを少なくとも含む領域Asにレーザ光を照射する。接触検知用ファイバ34として、たとえばシングルモードファイバ、マルチモードファイバおよび偏波保持光ファイバのいずれかを用いることができる。このうち、偏波保持光ファイバは、生体組織の表面からの反射光を検知するのに好適である。
【0043】
計測用光源部41からの照明光と、生体組織で散乱(反射を含む)した照明光の戻り光は、ガラスロッド35を経由する。そして、レーザ光源51からのレーザ光も、ガラスロッド35を経由する。
【0044】
ここで、接触検知部5における信号処理部53は、PD52が光電変換した電気信号がドップラー効果により生じたうなり(光ビート)成分を含むか否かに基づいて、測定プローブ3の先端と生体組織との接触を検知する。
【0045】
図2および図4は、図1に示す測定プローブ3の先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。図2は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していない場合について示し、図4は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触する場合について示す。図3は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していない場合にPD52が変換した電気信号の一例を示す図である。図5は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触している場合にPD52が変換した電気信号の一例を示す図である。
【0046】
たとえば、図2のように、接触検知用ファイバ34から周波数f(f=c/λ。c:光速、λ:波長)の光70が出射されると、先端面36のガラスロッド35の端面からは、周波数fをそのまま保持した戻り光71が接触検知用ファイバ34に戻る。しかしながら、矢印Yaのように、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが相対的に動いた場合、ドップラー効果によって、生体組織60の表面61で反射した戻り光である反射光72の周波数は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61との相対的な移動速度に応じて周波数fからΔfだけ変調する。このように、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが相対的に動くと、先端面36のガラスロッド35からの戻り光71と、生体組織60の表面61で反射した反射光72との間で干渉が起こり、接触検知用ファイバ34を伝播してPD52に検出される光信号には、うなり成分を有する信号(光ビート信号)が含まれる。図3の曲線L1は、この光ビート信号を模式的に示す図である。
【0047】
これに対し、図4のように、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触する場合には、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61との相対的な移動がないため、ドップラー効果も発生しない。したがって、先端面36のガラスロッド35からの戻り光73と、生体組織60の表面61で反射した反射光74との間で干渉が発生せず、接触検知用ファイバ34を伝播してPD52に検出された光信号は、うなり成分が発生しない。このため、雑音等の信号成分を取り除いた場合、光信号の強度は、図5の直線L2に示すように、時間によらずほぼ一定となる。
【0048】
信号処理部53は、PD52が検出した電気信号がうなり成分を含むか否かを判断するために、PD52が検出した電気信号に対してフーリエ変換処理を行う。PD52が検出した電気信号が図3に示す曲線L1で示されるうなり成分を含む場合には、この電気信号に対してフーリエ変換処理を行うと、たとえば、図6に示す曲線L3のように、周波数fに応じて強度が変化する周波数スペクトルが得られる。これに対し、PD52が検出した電気信号が、図5に示す直線L2のようにうなり成分を含まず一定の強度を保持する場合には、この電気信号に対してフーリエ変換処理を行うと、例えば図7に示す直線L4のように、周波数fがほぼ0のところで鋭いピークを有する周波数スペクトルが得られる。
【0049】
このため、信号処理部53は、うなり成分の変調周波数(Δf)として想定されるサンプリング周波数を複数(図6に示す場合には、f1〜f4の4つ)設定し、PD52が検出した電気信号に対するフーリエ変換後の周波数スペクトルのサンプリング周波数における強度(振幅)と、所定の振幅閾値(図6におけるTf)とを比較して、接触検知の判断を行う。
【0050】
信号処理部53は、周波数スペクトルのサンプリング周波数の少なくともいずれか一つの振幅が所定の振幅閾値を上回る場合には、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していないと判定する。これは、PD52が検出した電気信号にうなり成分が含まれるため、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが相対的に動いている場合に相当する。
【0051】
これに対し、信号処理部53は、周波数スペクトルのすべてのサンプリング周波数における振幅が所定の振幅閾値以下である場合には、測定プローブ3の先端面36と生体組織60とが接触していると判定する。これは、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが相対的に動いていない場合、すなわち、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触している場合に相当する。
【0052】
次に、図8および図9を参照して、接触検知用ファイバ34から出射される光70が平行光ではなく広がりを持っている光である場合を説明する。図8(1)は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面との距離R1が、うなり成分に基づく接触検知を行うことができる距離にある状況を示している。この状況において、戻り光75と反射光76が干渉してうなりを生じたとすると、図9(1)に示す曲線L5のように、測定するのに十分な強度を有している。これに対して、図8(2)は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61との間の距離R2が離れすぎている状況(R2>>R1)を示している。この状況において、レーザ光は生体組織60の表面61に到達するまでに光量が減衰してしまうため、戻り光77と反射光78が干渉してうなりを生じていたとしても、うなり成分の強度は、図9(2)に示す曲線L6のように小さくなり、測定することが困難となる。
【0053】
そこで、接触検知用ファイバ34から出射される光70が平行光ではなく広がりを持っている光である場合、信号処理部53は、PD52が変換した電気信号の強度が所定の閾値Ts(図9参照)未満であるとき、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していないと検知する。この閾値Tsは、信号処理部53においてうなり成分の有無が判断できるように、信号処理部53の処理精度に応じて設定される。
【0054】
次に、接触検知部5において信号処理部53が測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理について説明する。図10は、図1に示す接触検知部5において測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示すフローチャートである。PD52は、光学測定部4の戻り光の計測周期よりも少なくとも短い周期で、接触検知用ファイバ34によって伝播された反射光の検出を行なって電気信号に変換し、接触検知用の電気信号として信号処理部53に入力する。
【0055】
図10に示すように、レーザ光源51は、照明光の波長よりも短い波長のレーザ光を、測定プローブ3の先端面36と生体組織60との接触面を介して、生体組織の表面であって光学測定部4の戻り光計測領域Apを少なくとも含む領域Asに照射するレーザ光出射処理を行う(ステップS1)。PD52は、測定プローブ3の先端面と生体組織の表面と空の戻り光を検出して電気信号に変換して、変換後の電気信号を接触検知用信号として信号処理部53に入力する(ステップS2)。
【0056】
信号処理部53は、接触検知用信号に対して接触検知用信号処理を行う(ステップS3)。この接触検知用信号処理において、信号処理部53は、PD52から入力された電気信号の信号強度を取得する処理と、電気信号をフーリエ変換して所定のサンプリング周波数(たとえば、図6のサンプリング周波数f1〜f4)の振幅を取得する処理と、を行う。
【0057】
信号処理部53は、PD52から入力された電気信号の信号強度が所定の閾値(たとえば、図9に示す閾値Ts)以上であるか否かを判断する(ステップS4)。信号処理部53は、PD52から入力された電気信号の信号強度が所定の閾値未満であると判断した場合には(ステップS4:No)、測定プローブ3の先端36と生体組織60の表面61とが接触していないと判定(非接触検知)する(ステップS5)。
【0058】
これに対し、信号処理部53は、PD52から入力された電気信号の信号強度が所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS4:Yes)、フーリエ変換後の所定のサンプリング周波数の振幅が振幅閾値以下であるか否かを判断する(ステップS6)。
【0059】
信号処理部53は、フーリエ変換後の少なくとも一つのサンプリング周波数の振幅が振幅閾値を上回ると判断した場合には(ステップS6:No)、測定プローブ3の先端36と生体組織60の表面61とが接触していないと判定(非接触検知)する(ステップS5)。
【0060】
一方、信号処理部53は、フーリエ変換後の所定のサンプリング周波数の振幅が振幅閾値以下であると判断した場合には(ステップS6:Yes)、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していると判定(接触検知)する(ステップS7)。
【0061】
信号処理部53は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60との接触検知結果を光学測定部4の制御部46に出力して(ステップS8)、ステップS2に進む。
【0062】
以上のように構成された光学測定装置1は、図11に示すように、内視鏡システム100の内視鏡装置101(内視鏡スコープ)に設けられた処置具チャンネル101aを介して測定プローブ3が被検体内に挿入され、照射ファイバ32が生体組織に照明光を照射し、受光ファイバ33が生体組織で反射および/または散乱した照明光の戻り光を検出して光検出部42に伝播する。その後、演算部49は、光検出部42が検出した検出結果に基づいて、生体組織の性状を示す特性値を演算する。光学測定部4は、接触検知部5から出力された測定プローブ3の先端面36と生体組織60との接触検知結果をもとに、戻り光の計測処理を制御する。または、接触検知部5から出力された測定プローブ3の先端面36と生体組織60との接触検知結果をもとに、戻り光の計測結果の記録処理を制御する。
【0063】
このように、本実施の形態1によれば、測定プローブ3の先端面および生体組織の表面でそれぞれ散乱したレーザ光の戻り光同士の干渉によって生じるうなり成分が含まれるか否かに基づいて、測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を判定することで、測定プローブ3の先端面と生体組織の表面とが相対的に動かない状態における生体組織からの戻り光の特性を取得できるようになり、生体組織へ照射した光の戻り光の計測結果の信頼性を向上させることができる。
【0064】
(実施の形態1の変形例1)
図12は、実施の形態1の変形例1として、図1に示す接触検知部5が実行する測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示すフローチャートである。
【0065】
図12に示すステップS11〜ステップS17は、図10に示すステップS1〜ステップS7である。ステップS17において、信号処理部53は、測定プローブ3の先端面36と生体組織60の表面61とが接触していると判定した場合、光学測定部4の制御部46に、戻り光の計測を開始させる計測トリガー信号を送信する(ステップS18)。光学測定部4は、この接触検知部5からの計測トリガー信号を受けた後に、接触検知部5に応答信号を送信し、戻り光の計測を実行する。接触検知部5は、光学測定部4からの応答信号を受信し(ステップS19)、ステップS12に進む。光学測定部4は、応答信号として、たとえば、計測の開始を指示する信号を送信する。さらに、光学測定部4は、計測トリガー信号を受けた後に開始した戻り光の計測が正常に終了した旨を示す信号を送信してもよい。
【0066】
このように、信号処理部53は、測定プローブ3の先端面と生体組織の表面とが適切に接触していると検知した場合にのみ、光学測定部4に計測トリガー信号を送信して、プローブ先端面と生体組織の表面とが相対的に動かない状態における生体組織からの戻り光のみを計測させるようにしてもよい。
【0067】
(実施の形態1の変形例2)
図13は、実施の形態2の変形例2として図1に示す接触検知部5が実行する測定プローブ3の先端と生体組織との接触の有無を検知する接触検知処理の概要を示す他のフローチャートである。
【0068】
図13に示すステップS21〜ステップS27は、図10に示すステップS1〜ステップS7である。図13に示すステップS28は、図12におけるステップS18である。変形例2において、信号処理部53は、光学測定部4が戻り光を計測している間も測定プローブ3の先端面と生体組織の表面61とが適切に接触しているか否かをモニタリングする。信号処理部53に、PD52から接触検知用の電気信号が入力されると(ステップS29)、電気信号をフーリエ変換して所定のサンプリング周波数の振幅を取得する接触検知用信号処理を行う(ステップS30)。
【0069】
続いて、信号処理部53は、図10に示すステップS6と同様に、フーリエ変換後の所定のサンプリング周波数の振幅が振幅閾値以下であるか否かを判断する(ステップS31)。
【0070】
信号処理部53は、フーリエ変換後の所定のサンプリング周波数の振幅が振幅閾値以下であると判断した場合には(ステップS31:Yes)、光学測定部4に対して、測定プローブ3と生体組織60とが接触している旨の情報および該情報を計測結果と関連付けて記録部45に記録する指示を送信する(ステップS32)。
【0071】
これに対し、信号処理部53は、フーリエ変換後の所定の周波数の振幅が振幅閾値を上回ると判断した場合には(ステップS31:No)、光学測定部4に対して、測定プローブ3と生体組織60とが接触していない旨の情報および該情報を計測結果と関連付けて記録部45に記録する指示を送信する(ステップS33)。
【0072】
そして、信号処理部53は、光学測定部4から、計測が終了した旨を示す応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS34)。信号処理部53は、光学測定部4から応答信号を受信していないと判断した場合(ステップS34:No)、ステップS29に戻り、モニタリングを継続する。一方、信号処理部53は、光学測定部4から応答信号を受信したと判断した場合(ステップS34:Yes)、ステップS22に進む。
【0073】
このように、信号処理部53は、光学測定部4が戻り光を計測している間も、測定プローブ3の先端面と生体組織の表面とが適切に接触しているか否かをモニタリングし、接触検知結果を戻り光の計測結果に対応付けて記憶させることで、戻り光の計測結果の信頼性をさらに高めることができる。
【0074】
(実施の形態1の変形例3)
図14は、実施の形態1の変形例3にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面を模式的に示す図である。実施の形態1の変形例3では、図14に示す測定プローブ3Aのように、接触検知用ファイバ34Aを、測定プローブ3Aの先端面36Aまで延長させて、レーザ光を、測定プローブ3Aの先端面36Aから生体組織60の表面に直接出射できる構造としている。
【0075】
(実施の形態1の変形例4)
図15は、実施の形態1の変形例4にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面の他の例を模式的に示す図である。図16は、図15のA矢視図である。実施の形態1の変形例4では、図15および図16に示す測定プローブ3Bのように、ガラスロッドを削除し、計測用ファイバ31Bも測定プローブ3Bの先端面36Bまで延長している。
【0076】
また、図17のように、測定プローブ3Bの先端面36Bが生体組織60の表面61と部分的に接触している場合、計測用ファイバ31Bの端面と生体組織60の表面61とが接触していない場合であっても測定プローブ3Bの先端面36Bと生体組織60の表面61とが接触していると判断される場合がある。このため、接触検知用ファイバ34Aを複数設けてもよい。
【0077】
(実施の形態1の変形例5)
図18は、実施の形態1の変形例5にかかる測定プローブの先端を長手方向に沿って切断した断面の他の例を模式的に示す図である。図19は、図18のB矢視図である。図18および図19に示す測定プローブ3Cにおいては、4本の接触検知用ファイバ34Aを計測用ファイバ31Bの周囲に均等に分散させて配置している。この場合、接触検知部5では、レーザ光源51は、4本の接触検知用ファイバ34Aにレーザ光を供給し、PD52は、レーザ光の反射光として、4本の接触検知用ファイバ34Aから伝播された光をまとめて検出する。そして、接触検知部5では、4本の接触検知用ファイバ34Aのうち1本でも生体組織60の表面61と非接触であれば、PD52に検出された光信号にうなり成分が現れるため、測定プローブ3Cの先端面36Cの全面が生体組織60の表面61と接触しているか否かを確実に検知できる。
【0078】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図20は、実施の形態2にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0079】
図20に示すように、実施の形態2にかかる光学測定装置201は、図1に示す光学測定装置1のガラスロッド35の代わりに、コリメートレンズ235を有する測定プローブ203を備える。このため、測定プローブ203の先端面236から出射されるレーザ光は平行光L21となり、生体組織に到達するまでのレーザ光の光量の減少を考慮する必要がなくなる。したがって、信号処理部53は、接触検知処理において、図10のPD52から入力された電気信号の信号強度が所定の閾値以上であるか否かを判断するステップS4の処理を削除することができ、実施の形態1と比較して、演算処理の簡易化を実現できる。
【0080】
なお、コリメートレンズ235の焦点距離は、コリメートレンズ235のファイバ側端面と、コリメートレンズ235の他方端面である先端面236との距離Rと一致させる必要がある。また、コリメートレンズ235の例としては、たとえば、グリンレンズがある。
【0081】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図21は、実施の形態3にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0082】
図21に示すように、実施の形態3にかかる光学測定装置301は、図1に示す光学測定装置1において、本体装置302が有する光学測定部304においてビームスプリッタ354を追加する一方、接触検知部305とコネクタ部320を接続する接続ファイバ24を削除した構成を有する。そして、光学測定装置301では、測定プローブ303の接触検知用ファイバ34は、実施の形態1における照射ファイバ32を兼ねている。
【0083】
ビームスプリッタ354は、計測用光源部41からの照明光を接続ファイバ22に入射するとともに、後段のビームスプリッタ54を経由して背面から入射したレーザ光を透過して接続ファイバ22に入射させる。また、接続ファイバ22から出射された光を透過して、ビームスプリッタ54に供給する。接続ファイバ22は、コネクタ部320を介して、接触検知用ファイバ34に接続する。
【0084】
この実施の形態3では、接触検知用ファイバが戻り光計測用の照明ファイバの機能も具備しているため、光学測定部304に対して接触検知部5の部分を後付けで追加することもできる。すなわち、公知の光学測定装置に対して、測定プローブの先端面と生体組織の表面との接触を検知する機能を追加することもできる。
【0085】
なお、実施の形態3において、図22に示す光学測定装置301Aの測定プローブ303Aのように、ガラスロッド35に代えて、実施の形態2で説明したコリメートレンズ235を用いてもよい。この場合も、実施の形態2と同様に、本体装置302Aが有する接触検知部305Aの信号処理部53は、図10のステップS4の処理を削除することができる。さらに、PD52が変換したアナログ信号は、計測用光源部41からの一定光量の照明光がレーザ光の反射光にそのまま積算されたものであるため、特にレーザ光の波長を選別せずとも、PD52が変換したアナログ信号を周波数変換するのみでうなり成分を分離することができる。したがって、接触検知部305Aは、接触検知部305と比して、フィルタ55を削除することができる。
【0086】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。図23は、実施の形態4にかかる光学測定装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0087】
図23に示すように、実施の形態4にかかる光学測定装置401は、レーザ光源51から出射されたレーザ光を生体組織の表面に照射する光ファイバ434Aと、レーザ光の反射光を伝播する検出ファイバ434Bとをそれぞれ設けた測定プローブ403を備える。本体装置402が有するコネクタ部420は、接触検知部405の接続ファイバ424Aを介して、レーザ光源51が出射したレーザ光を測定プローブ403の光ファイバ434Aへ伝播する。そして、コネクタ部420は、接触検知部405の接続ファイバ424Bを介して、測定プローブ403の検出ファイバ434Bから入射したレーザ光の反射光をPD52へ伝播する。
【0088】
この実施の形態4では、レーザ光源51からのレーザ光とレーザ光の反射光とを、ビームスプリッタで分離するのではなく、それぞれファイバを設けて伝播しているため、レーザ光およびレーザ光の反射光の光量のロスがなくなり、検出精度をさらに高めることができる。
【0089】
なお、本発明にかかる光学測定装置が実行する各処理に対する実行プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,201,301,301A,401 光学測定装置
2,302,302A,402 本体装置
3,3A,3B,3C,203,303,303A,403 測定プローブ
4,304 光学測定部
5,305,305A,405 接触検知部
20,320,420 コネクタ部
21 接続線
22,23,24,424A,424B 接続ファイバ
31,31B 計測用ファイバ
32 照射ファイバ
33 受光ファイバ
34,34A 接触検知用ファイバ
35 ガラスロッド
36,36A,36B,36C,236 先端面
40 電源
41 計測用光源部
42 光検出部
43 入力部
44 出力部
45 記録部
46 制御部
47,55 フィルタ
48 受光部
49 演算部
51 レーザ光源
52 PD
53 信号処理部
54,354 ビームスプリッタ
60 生体組織
235 コリメートレンズ
434A 光ファイバ
434B 検出ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23