(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記針ガードが前記第2の位置に向かって移動する時に、前記止め具が前記ハウジングラッチと非接触状態になり、その結果、前記ハウジングラッチが前記上部ハウジングとの干渉から外れることができる、請求項1に記載の装置。
前記針ガードが、前記針が前記組織から取り外された時、前記針ガードを前記第2の方向に沿って前記針を越えて最終位置に向かって移動させるように構成された針ガード復帰部を含む、請求項2に記載の装置。
前記針ガードが針ガードラッチを含み、前記針ガードラッチが、前記針ガードが前記最終位置に移動する時に、前記ハウジングラッチと嵌合するように構成されており、その結果、前記ハウジングラッチが前記針ガードを前記最終位置で係止する、請求項3に記載の装置。
前記下部ハウジングと前記上部ハウジングとの間に連結された中部ハウジングを更に含み、前記中部ハウジングが、前記上部ハウジングが前記使用前位置にある時に前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間で露出され、前記上部ハウジングが前記投与位置にある時に前記上部ハウジングによって実質的に完全に覆われる本体を含む、請求項1に記載の装置。
前記中部ハウジング本体が、側壁と、前記側壁によって支持される少なくとも1つの摩擦部材と、を含み、前記上部ハウジングが、前記中部ハウジングの少なくとも1つの摩擦部材と干渉し、それによって、前記上部ハウジングが前記使用前位置から前記投与位置に向かって移動する時に摩擦力を生じる、前記少なくとも1つの摩擦部材を含む、請求項5に記載の装置。
前記注射器が、底肩部と、前記底肩部から前記第1の方向に沿って離間している上部リムと、を含み、前記装置が、前記注射器を受容し、かつ前記底肩部で前記注射器を支持するように構成された、注射器リテーナを更に含む、請求項1に記載の装置。
前記注射器リテーナが、本体と、前記本体から前記第2の方向に沿って延在する一対の弾性的に撓曲可能な脚と、を含み、前記弾性的に撓曲可能な脚が、前記弾性的に撓曲可能な脚間に隙間を画定するように前記第2の方向に対して直角を成す方向に沿って互いに離間している、請求項7に記載の装置。
前記上部ハウジングが、少なくとも1つの係止ラッチを含み、前記下部ハウジングが、少なくとも1つの対応するラッチ部材を画定し、その結果、前記上部ハウジングが前記投与位置に移動する時、前記少なくとも1つの係止ラッチが前記少なくとも1つのラッチ部材上でスナップ嵌めし、それによって、前記上部ハウジングを前記投与位置に係止する、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面において、異なる図面における類似の要素は、同一の参照符号が付されている。図面は、必ずしも実物大ではなく、説明目的のみのために例示的な実施形態を図示するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。この詳細な説明は、本発明の原理を、限定するのではなく、一例として例示するものである。
【0016】
本発明は薬剤送達装置、及びその使用方法であり、この装置は、従来の注射器と針並びに自動注射型の装置の限界及び欠点のうちの多くを克服するものである。従来の装置の欠点及び限界を克服するために、また当該技術分野における満たされていない要求に対処するために、ここで開示する装置及び方法の実施形態は、ユーザーが針を見ることがなく、針に触れ得ることもなく、針恐怖症及び針感染の可能性を低減するように構成された装置を含む。これは、薬剤送達後の針の自動遮蔽を含む。
【0017】
本装置の実施形態は、片手での操作を可能にし、脚、腕、又は腹などの別の部位での注入を適宜に可能にする、エルゴノミクス形状因子を有する。感圧作動を含む実施形態では、針ガードラッチが針の移動を阻止する。このようにして、この装置は、針が注入部位に対して押圧されていない場合には針を露出させない安全機構を含む。
【0018】
図1A〜1Dには、本発明の装置の一実施形態が示されており、この実施形態は、使用に先立って薬剤を視認するための窓104を含む。装置の薬剤が消費されたか否かをユーザーに視覚的に示すために、装置が使用された後に、着色された表示部がその窓に現れてもよい。更に、薬剤が送達された後、安全性が向上し、偶発的な針穿刺の可能性が低減される。
【0019】
薬剤送達の状態、及び薬剤送達が完了したか否かをユーザーが認識できるようにするために、本発明のこの実施形態は、
図4及び7に示す爪117及びラチェット116で示すものなどの爪及びラチェットを含んでおり、この爪及びラチェットは、注入が完了すると係合して、可聴クリック音を1回又は複数回発生させる。そのような機構は、薬用量が送達されており、装置を皮膚から取り除いてよいことをユーザーに合図して、注入部位から装置が尚早に引き抜かれることを防止することができる。したがって、従来の自動注射器では、すべての薬用量が投与されたことを確認するためにユーザーは数秒間待つことが必要となり得るが、これとは異なり、送達プロセス全体にわたってユーザーが能動的に関与することとなる。
【0020】
より良好なフィードバックをユーザーに提供するために、開示する爪及びラチェットのシステムはまた、送達中に装置の可聴クリック音及び動きを与えて、注入が進行していることを示す。更に別の実施形態では、送達の最後により大きなクリック音が単独で、又は視覚的な表示部と共に、送達が完了したことを確認するフィードバックを1回与える。
【0021】
更に、注射器を連想させユーザーにとって不快である従来の針安全装置及び自動注射器とは異なり、本発明は、親しみやすく威圧的でないデザイン及び操作方法を有する。加えて、従来の自動注射器とは異なり、以下に説明するように、ユーザーが針の挿入及び薬剤の注入を制御する。
【0022】
図1〜9に、本発明の例示的な装置が示されている。
図1A〜1Dには、薬剤の注入に至る様々な段階における装置の一実施形態が示されており、
図2A〜2Cには、薬剤の注入中及び注入後の実施形態が示されている。
図1Aは、ユーザーが受け取り得る、使用前の構成にある装置100を示している。この弛緩位置において、上部ハウジング101は、下部ハウジング102の近位又は最上方部分の上に部分的に重なっている。本装置の様々な実施形態の説明において、用語「近位」が装置の上端に関して使用され、「遠位」が、装置の底面に関して使用されている。例えば、
図1Bにおいて、遠位は、装置100の底面又は底部131に関して用いられている。
【0023】
図示されるように、外部から視認可能な装置の特徴には、上部ハウジング101と、下部ハウジング102と、キャップ103と、窓104と、インターロックボタン105と、グリップリング106と、上部ハウジング101の底縁部111と、薬用量表示部107と、が含まれる。
図3は、本発明のこの実施形態の構成要素の分解図である。
【0024】
装置を使用する際の準備工程は、
図1Bに示すように、下部ハウジング102に取り外し可能に装着されるキャップ103を取り外すことである。キャップ103を取り外すと、同時に針シールド113が取り外され、針ガード108が露出する。窓104及び針ガードスロット109は、それぞれ好ましくは装置の両側に存在するものであり、内部に収容された注射器118及びその薬剤含量をユーザーが視認及び点検することを可能にする。
【0025】
使用の際、フロア設置型の自動車ギアシフトを把持する方法と同様に、装置は、上部ハウジング101の頂部に手のひらを置くことによって把持される。グリップリング106は、装置を把持する方法に関する視覚的な手がかりをユーザーに提供する。一実施形態において、グリップリング106は、滑らない快適なグリップ表面を設けるために、カバーされるか、コーティングされるか、あるいは限定するものではないが、ネオプレンゴム、ウレタン、ポリウレタン、シリコーン、天然ゴム、熱可塑性エラストマー(「TPE」)、又はそれらの組み合わせなどの好適なエラストマー材料で作製される。
【0026】
ユーザーは、グリップリング106及びインターロックボタン105に手のひらで下向きの圧力を加えることによって、所望の注入箇所、典型的には大腿の上部若しくは側部、腹部、又は上腕の側部若しくは後部で身体に対し装置を押圧する。手のひらでインターロックボタン105に圧力を加えると、インターロックボタン105は、
図1Cに示すように、下向きに撓曲することになり、次に、
図5に示す針ガードラッチ124がラッチ解除されて、針ガード108が上向きに滑動し、針110が露出する(いくつかの装置構成要素が説明の目的で
図5から除かれていることに留意されたい)。針ガードラッチ124は、上部ハウジングスリーブ120の遠位端の一部分と一体に形成されている。上部ハウジングスリーブ120は中空円筒であり、その円筒の一部分は上部ハウジング101内にあり、またその一部分は、装置が弛緩状態にあるとき、下部ハウジング102内にある。上部ハウジングスリーブ120は、以下でより詳細に説明するように、上部ハウジング101に固定的に装着され、ラッチ止め機能を果たし、下部ハウジング102に付勢要素119を閉じ込めるように作用する。
【0027】
針ガードラッチ124は、その最上方端部に、装置の長手中心軸A−A’を基準として内向きの傾斜表面127と、ストップ130と、を含む。針ガードラッチ124をラッチ解除するために、インターロックボタン延長部123の遠位端を形成する、表面127と相補的な外向きの傾斜表面128が、針ガードラッチ124上の傾斜表面127と係合する。表面127と128との係合により、針ガードラッチ124は中心軸に対して外向きに撓曲することになり、ストップ130は、針ガード108の上方移動を阻止することから解かれる。ラッチ止め機構及び針ガード108は好ましくは、インターロックボタン105が完全に押し下げられない限り、針ガード108の上方移動が防止されるように構成される。これにより、他の表面との接触を原因とする汚染及び損傷から針が保護され、偶発的な針穿刺からユーザーが保護され、針が見えないように遮蔽される。
【0028】
ユーザーが、上部ハウジング101を下向きに押し続けると、針ガード108は、上向きに移動して針110を露出させそれをユーザーの皮膚に侵入させ、下部ハウジング102の底部表面131が皮膚に対して実質的に面一となったときに停止する。針ガード108がストップ130を通り過ぎると、ユーザーは、残りの注入工程に影響を及ぼすことなく、インターロックボタン105を解放することができ、又は解放しないように選択することもできる。インターロックボタン105が解放されると、弾性部材121がインターロックボタン105を上方位置に戻す。移動ガイド132は、インターロックボタンが確実に直線的な上下移動をするように作用する。
【0029】
本明細書で説明する針挿入プロセスでは、ユーザーが挿入を制御する。この特徴により、ユーザーは、インシュリン依存性糖尿病患者にしばしば利用される一般的な方法を活用することが可能となる。つまり、針を皮膚に接触させ、皮膚を穿刺することなくそこで保持された場合、数秒後、ユーザーは針の存在を感じなくなり、この時点で、針に加えられる圧力を増大させることによって、痛みを伴うことなく針を挿入することができる。
【0030】
針110がユーザーに挿入された後、注入プロセスは通常、
図2A〜2Cに示すように開始される。
図6を参照すると、下部ハウジング102の一部であるハウジングラッチ122が、近接詳細図で示されており、装置の使用前の状態において上部ハウジング101が下部ハウジング102を基準にして移動するのを防止する(いくつかの装置構成要素が説明の目的で
図6から除かれていることに留意されたい)。針ガード108が上方移動を完了すると、針ガード108上の傾斜表面133が、ハウジングラッチ122の端部を形成する表面134の傾斜部分と接触して、ハウジングラッチ122を内向きに撓曲させ、それによって、上部ハウジング101及び上部ハウリングスリーブ120が下向きに移動することが可能となる。
【0031】
針110を身体に挿入した後、ユーザーは上部ハウジング101に対する圧力を維持する。
図3、4、7及び8に示すように、プランジャロッド115がプランジャ112を押圧する。プランジャロッド115は上部ハウジング101に固定的に連結され、注射器118は、下部ハウジング102の中に形成された円筒に固定されるか、あるいはその円筒内に保持される。したがって、上部ハウジング101が下部ハウジングに対して下向きに移動して下部ハウジング102に被さると、注射器118内でプランジャロッド115及びプランジャ112が下向きに移動することによって、注射器110の内部の薬剤が、針110を通って患者へと送達される。
【0032】
ハウジングラッチ122が解除された後、最上方端部で上部ハウジング101に固定的に装着された上部ハウジングスリーブ120に下向きの力を及ぼすことによって、上部ハウジングスリーブ120の遠位端を囲む付勢要素119が緊張状態を解かれて上部ハウジング101に下向きの力を加える。付勢要素119はまた、結果として薬剤の注入をもたらす更なる必要な力をユーザーが与えながら、プランジャロッド115及びプランジャ112の前進を支援するエネルギーを与えるために使用されてもよく、あるいは、付勢要素119によって供給されるエネルギーは、単にプランジャロッド15及びプランジャ112を前進させるのに十分なものであってもよい。本発明の別の実施形態において、付勢要素119は、ユーザーが必要とする更なる力の入力を伴うことなく、薬剤を注入するのに十分な力を与え、したがって、針が手動で挿入され薬剤が自動的に注入される注入装置が提供される。付勢要素は、所望の程度に上部ハウジングスリーブ120に下向きの力を及ぼすことが可能な任意の構成要素であってよく、また、限定するものではないが、バネ、圧縮ガスアクチュエータ、油圧駆動器、ワックスアクチュエータ、電気化学アクチュエータ、形状記憶合金、及び同様のもの、並びにそれらの組み合わせであってもよい。
図1〜9に示す実施形態において、ユーザーは、上部ハウジング101に下向きに押し付けることによって、プランジャロッド115及びプランジャ112を前進させるのに必要な付加的な力を与える。したがって、ハンドルを回転させるために運転手が必要とする力を自動車のパワーステアリングが低減するのと類似した方式で、薬剤を注入するためにユーザーが必要とする力が低減される。従来の自動注射器とは異なり、ユーザーが、注入に必要な力に寄与し、本発明は、薬剤の注入速度をユーザーに制御させる。
【0033】
図4及び7を参照すると、本発明の実施形態の断面図が示されており、これらの実施形態はそれぞれ、薬剤の送達が開始される前及び開始された後のものである。薬剤が送達されているとき、上部ハウジングスリーブ120に装着された爪117が、下部ハウジング102に装着されたラチェット116に沿って移動する。爪117及びラチェット116は、少なくとも次の2つの機能を果たし得る。第1に、上部ハウジング101と下部ハウジング102とを引き離すことによって上部ハウジング101が下部ハウジング102から分離することが防止される。第2に、爪117がラチェット116に沿って移動することにより、静かなクリック音が発生して、上部ハウジング101が移動しており薬剤が送達されているというフィードバックがユーザーに与えられる。加えて、
図8に示すように、上部ハウジング101の移動の最後に、爪117は、ラチェット116のより深い凹部に係合するように構成されてもよく、それによって、移動が最後に達し薬剤が完全に送達されたという可聴合図をユーザーに与えることができる、より大きなクリック音を発生させ、更に、上部ハウジング101を定位置に固定して装置のリセット又は再使用を防止する。
【0034】
図2B及び8を参照すると、薬剤が完全に注入され、上部ハウジング101が移動の最後に達すると、上部ハウジング101の底縁部111は薬用量表示部107をカバーする。薬用量表示部107は、下部ハウジング102の遠位部分にある環状の着色リングである。これにより、薬剤送達が完了したという視覚的な手掛かりがユーザーに与えられる。
【0035】
使用に先立ち、患者は窓104を通じて薬剤を視認して、透明性及び粒子について薬剤を点検することができる。使用後、プランジャ112は窓104において視認されることができ、装置が使用されたことが示される。別法として、窓は、注射が注入した後にプランジャロッド115もまた視認可能となるように設計されてもよい。プランジャ112及びプランジャロッド115は、装置が使用されたことを患者に明確に示すために、明るく着色されてもよい。
【0036】
図2C及び9を参照すると、注入の完了後、ユーザーは装置100を皮膚から取り除き、針ガード復帰要素114は針ガード108を延出させて針110に被せ、偶発的な針穿刺からユーザー及び他者を保護している。針ガード復帰要素は、限定するものではないが、バネ、圧縮ガスアクチュエータ、油圧駆動器、ワックスアクチュエータ、電気化学アクチュエータ、形状記憶合金、及び同様のもの、並びにそれらの組み合わせなど、針ガード108を延出させて針110に被せることが可能な任意の要素であってよい。針ガード108が完全に延出すると、針ガードロック125が針ガード108内のスロットに係合して、針ガード108が後退することを防止する。針ガードロック125は、上部ハウジングスリーブ120の内部表面から内向きに延在する片持ちラッチである。下部ハウジング102の一部である下部ハウジングリブ126は、スロットを閉鎖することによって、送達時に針ガードロック125が針ガード108内のスロットに尚早に係合することを防止するように構成されてもよい。本発明の別の実施形態では、装置の再使用又は共用を防止するために、送達が完了する前に装置100が取り除かれた場合に、針ガード108が延出し定位置にロックしてもよい。
【0037】
本発明がもたらす補助送達手法では、送達プロセス全体にわたってユーザーが能動的に関与する。これは、従来の自動挿入器の作動プロセスとは区別されるものであり、従来の作動プロセスでは、ボタンを押下した後、ユーザーは、時には注入が進行中であるか否かを疑問に思いながら、数秒間、薬剤が送達されるのを受動的に待機する。
【0038】
本発明の補助作動手法は、上部ハウジング101に加えられる力を変化させることによってユーザーが送達速度を制御するため、異なる薬剤を送達するための注入装置の修正に伴う開発時間及び費用を低減するという更なる利点を有する。プランジャがわずかに詰まった場合、ユーザーはもう少し力を加えることができ、これは、最悪の状況の要件に合わせて設計されなければならない従来の自動注射器とは異なるものであり、機構内の薬剤、カートリッジ、プランジャ、針、及び摩擦によって異なる。
【0039】
別の実施形態において、インターロックボタン105及びインターロックバネ121は設計から除かれ得る。この実施形態において、上部ハウジング101は、ストップに衝突するまで下向きに自在に移動する。この移動は、上述のインターロック機構と類似した機構を使用して針ガード108をロック解除して針ガード108を後退させるために利用される。針ガード108が完全に後退すると、針ガード108は別のラッチを解除してもよく、そのラッチによって、上部ハウジング101は、下向きの移動を停止し、上述したものと類似した方式で薬剤を注入する。
【0040】
図10〜18に、本発明の更に別の実施形態が示されている。
図10Aには装置200が示されており、装置200は、上部ハウジング205と、下部ハウジング202と、それらの間の中部ハウジング201と、を有する。上部ハウジング205は、グリップキャップ228を含む。この弛緩状態において、上部ハウジング205は、中部ハウジング201の近位部分の上に部分的に重なっている。中部ハウジング201の最遠位部分は、下部ハウジング202内に固定的に据え付けられている。また
図10Aには、上部ハウジング底縁部211、移動リッジ216、及び窓204が示されている。窓204は、下部ハウジング202の遠位部分内に据え付けることが好ましい。第2の窓は、図示されていないが、装置上の窓204の反対側に存在するのが好ましい。
【0041】
キャップ203は、下部ハウジング202に取り外し可能に装着されるものであり、
図10Bにおいては、針シールド213、針シールドクランプ217、及び針ガード208が露出するように、装置200から取り外されて示されている。キャップ203を取り外している間、針シールドクランプ217は、針シールド213を把持すると同時に針シールド213を取り外して、針ガード208をユーザーに対して露出する。装置のユーザーが針ガード208を皮膚に押し付けると、この動作によって針ガード208が上向きに滑動して、
図10Cに示すように、針210が露出する。
【0042】
図12は、装置200の分解図である。グリップキャップ228は、上部ハウジング205にグリップキャップ228を固定的に留め付けるグリップキャップ組立ピン230を含む。組立ピン230は、上部ハウジング205の穴242と嵌合する。好ましくは、組立ピン230は、横断面において正方形であり、丸みの付いた隅部が、組立ピン230の隅部と穴242の隅部との干渉表面をなしている。グリップキャップ228の内部表面と一体であり、その内部表面から下向きに延在する、ガイド233及びプランジャロッド215が示されている。プランジャロッド215は、その遠位端にダンパー221を含む。また、プランジャ212と針シールド213とを有する注射器218が示されている。
【0043】
好ましい実施形態において、グリップキャップ228の外部表面は、滑りのない柔らかい把持感をユーザーに与えることが可能な材料でコーティング若しくは形成されるか、又はグリップキャップ228の全体がそのような材料で形成される。グリップキャップのコーティング又は形成に好適な材料には、限定するものではないが、ネオプレンゴム、ウレタン、ポリウレタン、シリコーン、天然ゴム、TPE及び類似のもの、並びにそれらの組み合わせなどのエラストマー材料が挙げられる。
【0044】
上部ハウジング205は、クリックラッチ220と、ハンドルリブガイド238と、底縁部211と、を含む。クリックラッチ220、並びに本装置で使用される他のラッチには、好ましくは少なくとも2つのラッチが使用され、装置の滑らかな移動及び動作を促進するために、同じラッチが互いに対して対称に配置される。
【0045】
本体207とハンドルガイドスロット239とを有する中部ハウジング201が
図12に示されており、ハンドルガイドスロット239は、本体207の近位部分の外部表面上にある。装置が使用されているとき、上部ハウジング205の一体部分であるハンドルリブガイド238は、ハンドルガイドスロット239と係合すると共にハンドルガイドスロット239内で滑動して、薬剤送達中、上部ハウジング205の滑らかで制御された動きを維持する。
【0046】
本体207は、装置が作動されると上部ハウジング205が本体207に被さって下降するため、薬用量表示部として機能することができる。すべての薬用量が送達されると、本体207は、
図11Cに示すように上部ハウジング205によって完全に隠される。投薬が進行中であるか又は完了したという、視認容易な視覚的フィードバックをユーザーに与えるために、本体207は好ましくは着色され、より好ましくは明るい色で着色されるか、あるいは模様を付けられる。任意に、送達された又は送達されるように残存している薬剤の量を視覚的に計るために、目盛りが本体207に含められてもよい。
【0047】
図13を参照すると、中部ハウジング201も、グリップラッチ224と、クリックラッチ捕捉スロット236と、針ガードラッチ237と、を含む。グリップラッチ224は、力が加えられると内部表面243に向かって外向きに移動が可能となるように、その最遠位部分にて中部ハウジング201の内部表面243に移動可能に装着された概ね矩形の要素である。グリップラッチ224はまた、ストップ表面245と、三角形のストップ244と、を含み、三角形のストップ244は、最上方部分の一角から装置の中心に向かって内向きに延在している。使用前の静止した装置の位置において、グリップラッチ224は、ストップ245がグリップキャップ228のガイド233の下方移動に干渉することが原因で、上部ハウジング205が中部ハウジング201に対して移動するのを防止する。
【0048】
図12及び13を参照すると、下部ハウジング202が示されており、下部ハウジング202は、下部ハウジング基部206と、移動リッジの端部216と、窓204と、ハウジングラッチ229と、ガイドスロット227と、注射器保持クリップ235と、を有している。キャップ203は、キャップ保持リング234を介して下部ハウジング基部206に取り外し可能に取り付けられる。使用中、下部ハウジング基部206は、ユーザーの皮膚と接触し、したがって、好ましくは、グリップキャップ228に使用するのに好適な軟質な柔軟材料のいずれかで作製されている。
【0049】
窓204は、注射器218の内容物を視認するための開口部を下部ハウジング202内に提供する。窓204は、注射器218の底部がユーザーに視認可能となるように配置されており、ユーザーは、プランジャ212が注射器の底部に向かう移動の最後に達したことを確認することができる。窓204は、好都合な任意の寸法及び形状であってよく、好ましくは、長円形の形状をなし、その長軸は装置及び注射器の長軸と一直線となり、そのため、注射器の所望の長さが露出して視認される。
【0050】
ガイドスロット227は、異なる3つの構成要素、つまり、グリップキャップ228のガイド233と、グリップラッチ解放部231と、針ガード延長部241との位置合わせを維持する。ガイドスロット227は、上部ハウジング202と針ガード208との位置合わせ及び垂直移動、並びにグリップラッチ231の確実なラッチ止め及びラッチ解除を維持することによって、装置の滑らかな作動を確実にする。外向きに延在するハウジングラッチ229は、中部ハウジング201の内部表面243内にある凹部(図示せず)に係合することによって、中部ハウジング201を下部ハウジング202に留め付ける。この装置の再使用不能な実施形態において、ラッチ229及び凹部の形状は、中部ハウジングと下部ハウジングが分離され得ないような形状である。再使用可能な実施形態では、凹部及びラッチは、中部ハウジングと下部ハウジングとを引き離すことができるように構成される。
【0051】
図12を参照すると、針ガード208は針ガードスロット209を含み、針ガードスロット209は、一方の側をグリップラッチ解放部231によって、もう一方の側を針ガード延長部241によって形成されている。グリップラッチ解放部231は、傾斜表面240を含む。
図14及び15を参照すると、グリップラッチ解放部231の傾斜表面240は、外側に向いており、グリップラッチ231が上方に移動すると、内側に向いたグリップラッチ224の傾斜表面244と係合して、グリップラッチ224を外向きに撓曲させ、ガイド233及び205の下方移動に対する障害を取り除く。
【0052】
針ガードスロット209により、プランジャの下方行程の最後にプランジャが注射器に作用するとき、窓204を利用して注射器及びプランジャを視認することが可能となる。加えて、針ガード復帰部214は、グリップラッチ解放部231と針ガード延長部241によって形成された空間の底部に存在する。
【0053】
装置200の独創的な態様は、注射器218が装置の内部で懸架される方式である。
図12、13、及び17を参照すると、注射器218が、針シールド213とダンパー221との間で保持されており、針シールド213及びダンパー221はそれぞれ柔軟な構成要素であり、装置200が落下されるかあるいは他の形で誤って取り扱われた場合に、注射器218を保護するようになっている。装置が組み立てられると、注射器218は、保持クリップ235によって下部ハウジング202の空洞246内で緩く保持される。装置が使用されているときの、注射器218内にある薬剤の体積に応じて、ダンパー221がプランジャ212に接触するまでに上部ハウジング205が幾分か移動することがあり、この初期の下方移動中、ダンパー221は空気ピストンとして作用して、プランジャロッド215の端部とプランジャ212との間に形成された間隙内の空気を圧縮し、これにより、移動に対する速度依存性の抵抗がグリップの初期の下方移動にもたらされる。ダンパー221が高速で移動する場合、空気は、空気圧力の上昇を低減するほど十分には迅速に脱出することができない。ダンパー221は、ダンパー221を越えて空気を漏出させるための通り穴(図示せず)を任意に含んでもよい。別の方法として、ダンパーは、圧力上昇を伴わない、ダンパーからの摩擦力に基づく抵抗を利用し、その場合、漏れも速度依存性も存在せず、あるいは、これらの組み合わせが利用されてもよい。ダンパー221がプランジャ212と接触すると、ダンパー221は、プランジャロッド215に向かって内向きに圧壊して、ダンパー221と空洞246の内部表面との間の摩擦を低減する。
【0054】
図10及び11を参照すると、ユーザーが装置200を使用することを望むとき、ユーザーは下部ハウジング202からキャップ203を取り外すが、この行為によって同時に、針シールド213が取り外され、針ガード208が露出する。ユーザーは、身体上の所望の注入部位に当て付けて装置200を把持しながら、上部ハウジング205で装置200を握持し、手のひらをグリップキャップ228の上に置き、グリップキャップ228を下向きに押し付けるが、この押し付ける行為によって針ガード208が上向きに滑動して針210が露出する。グリップキャップ228に圧力を加え続けると、結果として、針210は、ユーザーの皮膚及び皮下組織に侵入し、下部ハウジング基部206が皮膚表面に接触したとき又は針ガード208のリム245が下部ハウジング202内における移動の最後に達したときに停止する。
【0055】
図15を参照すると、針ガード208が下部ハウジング202内における上方移動の最後に達したとき、グリップラッチ復帰部231の傾斜表面240が、その反対に面し相補的に傾斜した、中部ハウジング201のグリップラッチ224の表面244に接触して、グリップラッチ224を中部ハウジング201の内壁243に向かって撓曲させる。この動作により、グリップラッチ224のストップ表面245は、グリップキャップ228のガイド233の下方移動を妨げることを止めて、ガイド233が解放され、上部ハウジング205が下向きに移動して中部ハウジング201に被さる。
【0056】
上部ハウジング205が下向きに移動するとき、グリップキャップ228のプランジャロッド215及びダンパー221が注射器プランジャ212を下向きに押圧すると、注射器218の内部の薬剤が針210を通じて送達される。薬剤送達の最後に、本体207は上部ハウジング205により実質的に完全にカバーされ、上部ハウジング205の底縁部211は、相補的に付形された、下部ハウジング202の移動リッジ216と嵌合してる。また、プランジャロッド215、ダンパー221、及びプランジャ212は、窓204内で明確に視認可能である。これらのすべての特徴により、ユーザーは、薬剤が送達されたことを視覚的に確認でき、また、底縁部211が移動リッジ216に当接して急停止することにより、ユーザーは触覚で確認することができる。
【0057】
加えて、クリック機構が薬剤送達の最後に作動されて、可聴フィードバックが与えられる。
図14を参照すると、クリックラッチ220は、その斜面247が中部ハウジング201の頂部に接触し、滑動して頂部を過ぎると、外向きに撓曲する。斜面247が下向きに十分遠方へ移動すると、斜面247はクリックラッチ捕捉スロット236と整列し、斜面247は、中部ハウジング201の近位部分にて壁を貫いて延在する捕捉スロット236の中に滑り込み、中部ハウジング201の本体207の外部表面にスナップ嵌めされてクリック音を生じる。再使用不能型の装置において、クリックラッチ220は、捕捉スロット236によって永久的に捕捉されるものであり、リセットすることができない。好ましい実施形態において、装置の作動を滑らかにするために、またクリック(clicking)及びラッチ止め機能を向上させるために、2つのクリックラッチ220が、互いに180度反対の位置に配置される。
【0058】
ユーザーが皮膚から装置200を取り除くと、ユーザーの皮膚に装置200を押し付けることによって圧縮された、
図12にバネとして示された針ガード復帰部214が伸張して、針ガード208が下向きに延出して針210に被さり、ユーザーを偶発的な穿刺から保護する。バネに加えて、針ガード復帰部は、圧縮ガスアクチュエータ、油圧駆動器、ワックスアクチュエータ、電気化学アクチュエータ、形状記憶合金、及び類似のもの、並びにそれらの組み合わせであってもよい。針ガード208が完全に延出されると、針ガード保持器232が、下部ハウジング202上にある、
図13に示すストップ248と係合して、針ガード208が下部ハウジング202から分離することを防止する。
図16に針ガードラッチ237が示されているが、針ガードラッチ237は、その遠位端にて中部ハウジング201の内部表面243に移動可能に装着される。針ガード208が上向きに移動しているとき、針ガードラッチ237は、ガイド233の又は針ガード延長部241の外部表面と接触して外向きに撓曲する。針ガード208が下向きに移動し、延出して針210をカバーすると、針ガードラッチ237が滑って針ガード延長部241の頂部に被さり、針ガード208が再び後退することを防止する。
【0059】
使用に先立ち、グリップキャップ228の延長ガイド233は、外向きに撓曲した位置に針ガードラッチ237を保持して、針210の挿入のために針ガード208を後退させる。2つの針ガード保持部232及び針ガードラッチ237が好ましくは使用され、装置200の中心軸の周りに180度離して設置される。薬剤の送達が完了する前に装置200が皮膚から取り除かれた場合、針ガード208が延出して針210をカバーし、装置の再使用を防止するようにロックする。別の再使用可能な実施形態では、薬剤の送達が完了する前に装置200が皮膚から取り除かれた場合、針ガード208は延出するが定位置にロックしない。
【0060】
図19は、装置200の再使用可能な別の実施形態を示すものであり、この実施形態において、上部ハウジング205及び中部ハウジング201は、下部ハウジング202から分離可能である。この実施形態において、ユーザーは中部ハウジングと下部ハウジングとを分離し、下部ハウジングの中に注射器218を挿入し、次いで中部ハウジング及び上部ハウジングを再び装着する。
【0061】
図20に、装置200の更に別の代替実施形態が示されているが、この実施形態には補助駆動器219が含められている。補助駆動器219は、粘性の薬剤を送達する上で最大の実用性が見出され得るものである。この補助駆動器219は、上部ハウジング205と中部ハウジング201との間に力を加えて、上部ハウジングスリーブ120に下向きの力を及ぼす。これにより、薬剤を注入するためにユーザーがグリップキャップ228に加えなければならない下向きの力の量が低減される。補助駆動器219は、バネ、圧縮アクチュエータ、油圧駆動器、ワックスアクチュエータ、電気化学アクチュエータ、形状記憶合金若しくは同様のもの、又はそれらの組み合わせであってよい。別の方法として、補助駆動器は、ユーザーが必要とする更なる力の入力を伴わずに、薬剤を注入するのに十分な力を与えてもよく、したがって、針が手で挿入され、薬剤が従来の自動注射器と類似した方式で自動に注入される注入装置が提供される。
【0062】
図21は、再使用可能装置用のリセット可能なクリック機構を備える装置200の下部ハウジング202の別の実施形態を示す。この実施形態において、ガイドスロット227は、クリッカ222のガイド225と係合する。クリック止め装置222は、針ガード復帰部214によって付勢されている。クリック止め装置222を設定するために、ユーザーは、クリッカラッチ226がそれを保持するクリック止め装置222を越えて延在するまでクリッカガイド225のうちの1つを押し下げる。グリップキャップ228が、移動の最後に下向きに移動すると、ガイド233がクリッカラッチ226上の傾斜表面に接触し、クリッカラッチ226を内向きに撓曲させ、針ガード復帰部214の力を受けて上向きに移動するようにクリッカ222を解放する。クリッカ222のクリック表面223が下部ハウジング202に接触するとクリック音が発生して、薬剤が完全に送達されたことが合図される。薬剤の注入中に針ガード208が後退されると、針ガード復帰部214の圧縮が高められて、クリック止め装置に加えられる力及びクリック音の大きさが増大する。別の方法として、ユーザーが新たな注射器を装置に装填して上部ハウジングを下部ハウジングに取り付けると、クリック機構が自動的にリセットされてもよい。
【0063】
図22A〜30Fは、薬剤送達装置の更に別の実施形態を示す。
図22A〜22E及び
図23に示されるように、薬剤を送達するように構成されている送達装置300は、中心軸Aと、近位端Pと、中心軸Aにそって近位端Dから離間している遠位端Dと、を画定する。
図22A及び22Bに示されるように、装置300は、下部ハウジング304と、上部ハウジング308と、下部ハウジング304と上部ハウジング308との間で連結された中部ハウジング312と、を含み得る。装置300は、下部ハウジング304によって支持されている針ガード316と、キャップ320を取り外した時に針ガード316が露出されるように下部ハウジング304に取り外し可能に連結されたキャップ320と、を更に含み得る。針ガード316は、下部ハウジング304に対して第1の位置から第1の方向X
1に沿って移動可能であり、それによって、装置300の針332が第2の位置に保護され(例えば、
図22Cに示すように)、それによって、(例えば、
図22Dに示すように)針332が露出される。装置300を組織表面に対して押し付けると、針ガード316は、第1の位置から第2の位置に移動して、それによって、装置300の針332が組織内に挿入できるように構成されている。
図22C〜22E及び
図23に示されるように、針ガード316は、針ガード316を、第1の方向X
1とは反対の第2の方向X
2に沿って第2の位置から最終位置に移動させ、(
図22Eに示すように)針332が組織から取り外されると針332を超えて移動させるように構成された、バネ318として例示されている針ガード復帰部317を含む。
【0064】
続けて
図22A、22B、及び23を参照すると、上部ハウジング308は下部ハウジング304に対して支持され、人力を受け入れて、その人力に応答して、下部ハウジング304を基準として第2の方向X
2に沿って使用前位置から投与位置に移動するように構成されている。
図22A及び22Bに示されるように、中部ハウジング312は、上部ハウジング308が使用前位置にある時に上部ハウジング308と下部ハウジング304との間で露出され、上部ハウジング308が投与位置にある時に上部ハウジング308によって実質的に完全に覆われる本体315を含む。したがって、上部ハウジング308は、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動する時に、中部ハウジング本体315に沿って移動するように構成されている。
【0065】
図22Bに示されるように、上部ハウジング308は、第1の、すなわち底部の合わせ端縁又は表面311を画定し得、下部ハウジング304は、上部ハウジングが投与位置にある時に、上部ハウジング308の下縁311と嵌合する第2の、すなわち上部の合わせ端縁又は表面313を画定し得る。端縁311及び313は、例示される様に正弦曲線であってよく、上部ハウジング308が投与位置にまで移動したことを可視表示することができる。端縁311及び313は、所望により任意の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、端縁311及び313は、所望により平坦であってもよい。
【0066】
続けて
図22C〜22E及び
図23を参照すると、送達装置300は、下部ハウジング304によって支持される注射器324と、上部ハウジング308によって担持され、上部ハウジング308が第2の方向X
2に沿って移動される時に注射器324に対して前進するように上部ハウジング308とともに移動可能なプランジャロッド328と、を更に含む。注射器324は、薬剤を保持するように構成され、組織内に挿入されるように構成された針332を担持する。プランジャロッド328が注射器324に対して前進すると、注射器324に薬剤を針332から組織内に送達させる。
図22A及び22Bに示されるように、送達装置300は、注射器324の内容物を見るための下部ハウジング304への開口部を提供する一対の窓336などの少なくとも1つの窓336を更に含む。
図22A、22B及び
図23に示されるように、下部ハウジング304及び中部ハウジング312は、窓336が装置300の遠位端に近接して位置するように、ともに窓336を画定する。したがって、窓336は、注射器324の底部がユーザーに視認でき、それによって、プランジャロッド328が、注射器324の底部への行程の終了に到達したことをユーザーが確認できるように配置されている。窓336は、例示の様に、第1の方向X
1に沿って楕円形であり得るが、窓336は、所望により、任意のサイズ及び形状を有し得ることを理解されたい。
【0067】
図23に示されるように、キャップ320は、キャップ320を取り外すと針ガード316が露出し、針シールド338が注射器324から外れて、それによって、針ガード316内で針332が露出するように、下部ハウジング304に取り外し可能に取り付けられている。
図23に示されるように、キャップ320は、キャップ本体340と、キャップ本体340に取付けられた針シールドクランプ344と、を含む。キャップ本体340は、キャップ320を下部ハウジング304に取り付けた時に針ガード316を受容する空洞348と、下部ハウジング304を把持して、それによってキャップ320を下部ハウジング304に取り外し可能に連結するキャップ保持リング352と、を画定する。
図23に示されるように、キャップ保持リング352は、下部ハウジング304によって画定される一対の突起部350を受容して、それによってキャップ320を下部ハウジング304に取り外し可能に連結するように構成された一対の戻り止め356を画定する。キャップ320を取り外すために、下部ハウジング304は、キャップをねじり外すことができる突起部350のいずれかの側で一対の突起を画定し得る。例えば、突起は、キャップをねじると、突起がキャップを下部ハウジング304から押し離すように、キャップ上のカム面と係合し得る。但し、キャップ保持リング352は、所望により、キャップ320を下部ハウジング304に取り外し可能に連結する任意の機能を含み得ることを理解されたい。
【0068】
続けて
図22C及び23を参照すると、針シールドクランプ344は、空洞348内でキャップ本体340に連結され得る。針シールドクランプ344は、キャップ320が下部ハウジング304に連結されている時に針シールド338を把持するように構成されている。針シールド338は、針シールド338が針332を囲むように注射器324に取り付けられる。キャップ320が下部ハウジング304から取り外される時、針シールド338がキャップ320に沿って下部ハウジング304から取り外されるように、針シールドクランプ344が針シールド338を把持する。キャップ320が取り外されると、装置300は組織表面に対して配置され、その後で、薬剤を組織内に注入するように作動し得る。
【0069】
ここで、
図23、
図24A〜24Cを参照すると、上部ハウジング308は、スカート360と、スカート360に装着されたハウジング本体364と、ハウジング本体364に装着されたグリップキャップ368と、を含み得る。
図24A及び24Bに示されるように、上部ハウジング308、及び、特にハウジング本体364は、グリップキャップ装着部材372と、第2の方向X
2に沿ってグリップキャップ装着部材372から遠位に延在する一対のガイド376と、を含む。
図23に示されるように、グリップキャップ368は、グリップキャップ装着部材372に連結され得、ガイド376は、ハウジング本体364がスカート360に装着されている時、スカート360を貫通して延在し得る。
【0070】
グリップキャップ装着部材372は、実質的に凸状の近位表面374と、近位表面374と対向する遠位表面375と、を画定するように、ドーム型形状であり得る。グリップキャップ368も、ドーム型形状であり得、グリップキャップ368が近位表面374と重なり合うようにグリップキャップ装着部材372に装着され得る。
図24Aに示されるように、装着部材372は、遠位表面375から延在する複数の固定部材380を含み得る。固定部材380は、スカート360によって画定されるロックピン382などの対応する固定部材を受容し、それによってハウジング本体364をスカート360に連結するように構成された開口部381をそれぞれ画定し得る。但し、固定部材380及び382は、所望により、任意の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、装着部材372の固定部材380はロックピンを画定することができ、スカート360の固定部材382は、開口部を画定することができる。また、グリップキャップ368及びハウジング本体364は、所望により、一体的に形成することができ、グリップキャップ368及び装着部材372は、所望により、任意の形状を有することができることも理解されたい。
【0071】
図24Aに示されるように、上部ハウジング308は、装着部材372の遠位表面375から下部ハウジング304に向かって延在する一対の係止ラッチ390などの、少なくとも1つの係止ラッチ390を更に含み得る。係止ラッチ390は、装置300が再使用されないように、上部ハウジング308が使用前位置から投与位置まで移動された後に上部ハウジング308を投与位置で係止するように構成されている。係止ラッチ390は、弾性的に撓曲可能であってよく、それぞれ、装着部材372から延在する屈曲部材392と、屈曲部材392の遠位端から中心軸Aに向かって延在する突起部394と、を含み得る。
図22C〜22Eに示されるように、係止ラッチ390は、突起部394が第2の方向X
2に対して横方向である方向に沿って互いに接近して延在するように、互いに対向している。
図22C〜22Eに示されるように、上部ハウジング308が中部ハウジング312に沿って移動されると、係止ラッチ390が下部ハウジング304と係合し、互いに離れて屈曲する。上部ハウジング308が投与位置に到達すると、係止ラッチ390が互いに接近する方向に戻り、その結果、突起部394が下部ハウジング304の対応するラッチ部材に係合し、それによって上部ハウジング308を投与位置に係止する。係止ラッチ390が対応するラッチ部材と係合すると、可聴クリック音が鳴り、それによって、注入が完了したことをユーザーに知らせ得る。但し、係止ラッチ390は、所望によって、任意の構成を有し得ること、及び上部ハウジング308は、所望によって、任意の数の係止ラッチを有し得ることを理解されたい。例えば、上部ハウジング308は、所望により、単一の係止ラッチを含み得る。
【0072】
図22C、
図23及び
図24A〜24Bに示されるように、ハウジング本体364の各ガイド376は、スカート360を貫通して中部ハウジング312の中まで延在する。各ガイド376は、ガイド376が第2の方向X
2に対して横方向である方向に沿って互いに対向するように、第2の方向X
2に沿って細長く、装着部材372から延在している、ガイド本体377を含み得る。ガイド376は、針ガード316が第2の位置まで移動し、針332が組織内に挿入されるまで上部ハウジング308を使用前位置に保持するように下部ハウジング304と一時的に干渉するように構成されている。このように、薬剤の無意識投与を回避することができる。
【0073】
図24Bに示されるように、各ガイド376は、下部ハウジング304に少なくとも部分的に面する当接面398と、ガイド本体377を貫通して、ガイド本体377の遠位端からガイド本体377の近位端に向かって延在する溝400と、を画定し得る。当接面398は、上部ハウジング308が使用前位置にある時に下部ハウジング304と係合し、それによって、針ガード316が第2の位置に移動されるまで上部ハウジング308を使用前位置に保持するように構成されている。当接面398は、ガイド本体377の遠位端に近接して配置され得る。当接面398は、第1の方向に垂直の平面を画定することができ、対応する溝400内に通じる斜面を画定する角部を含み得る。溝400は、ガイド本体377を完全に貫通して第2の方向X
2に対して横方向である方向に沿って延在し、第2の方向X
2に沿ってガイド本体377のかなりの部分に沿って延在する。溝400は、上部ハウジング308と下部ハウジング304との間の干渉が取り除かれ、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動する時に下部ハウジング304のリリーフ又はガイドとして作用するように構成されている。すなわち、上部ハウジング308と干渉する下部ハウジング304の部分は、干渉が取り除かれ、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動する時に、溝400内を移動する。但し、当接面398及び溝400は、所望により任意の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、当接面398は、角度をつけてもよく、溝400は、所望によりガイド本体377内に完全には貫通しないが延在してよい。
【0074】
図24Cに示されるように、スカート360は、第2の方向X
2に沿ってスカート本体404を完全に貫通して延在する溝412を画定する内面408を有するスカート本体404を含む。上部ハウジング308は、中部ハウジング312が溝412の中に受容されるように中部ハウジング312に連結され、中部ハウジング312は、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動される時に溝412を通って移動するように構成されている。
図24Cに示されるように、スカート360は、内面408から中心軸Aに向かって延在する4つの摩擦部材416などの少なくとも1つの摩擦部材416を含む。摩擦部材416は、中部ハウジング312によって画定される対応する摩擦部材と干渉して、それによって、上部ハウジング308が使用前位置から投与位置に向かって移動する時に摩擦力を生じるように構成されている。摩擦力は、人力が上部ハウジング308に加えられると抵抗力を追加し、それによって、上部ハウジング308が第2の方向X
2に沿って突然に移動することを防止する。例えば、注射器324に薬剤が部分的にしか充填されておらず、プランジャロッド328が注射器324内のプランジャと接触していない場合、この摩擦力が、上部ハウジング308の突然の移動を防止し得る。針ガードスプリング318が、下部ハウジング304を持ち上げたり、プランジャロッド328がプランジャと接触する前に針332を組織から離脱することを防止するために針ガード316が第2の位置にあるとき、摩擦部材によって生じる摩擦力は、圧縮された針ガードスプリング318の力より大きいか、又はでなければならない。但し、摩擦力は、所望により任意の力であり得ることを理解されたい。例えば、スカート360及び中部ハウジング312は、摩擦力が実質的にゼロであるように、摩擦部材がなくてもよい。スカート360は、所望により、任意の数の摩擦部材416を画定し得ることを更に理解願いたい。
【0075】
続けて
図24Cを参照すると、各摩擦部材416は、内面408から突出したレール420を画定し得る。
図24Cに示されるように、各レール420は、レール420がスカート360の遠位端からスカート360の近位端に向かって延伸するにしたがって先細になり得る。したがって、上部ハウジング308が使用前位置から移動を開始する時の摩擦力は、上部ハウジング308が投与位置の近くにある時の摩擦力より大きくなり得る。但し、レール420は、所望により任意の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、レール420は、上部ハウジング308と中部ハウジング312との間の摩擦力が、上部ハウジング308の移動全体にわたって一定であるように、先細になっていなくてもよい。
【0076】
ここで、
図25A及び25Bを参照すると、中部ハウジング本体315は、側壁464と、側壁464によって担持される4つの摩擦部材468などの少なくとも1つの摩擦部材468と、を含む。各摩擦部材468は、上部ハウジング308の対応する摩擦部材416の1つと干渉するように構成されている。
図25Aに示されるように、各摩擦部材468は、ヒンジ474において側壁464と連結された片持ち部472として構成され得、その結果、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動する時に、各片持ち部472が中部ハウジング312の中心軸(例えば、中心軸A)に対して屈曲するように構成される。
図25Aに示されるように、側壁464は、実質的に円筒状であり、各スロットがそれぞれの片持ち部472を画定する4つのスロット478を含む。各スロット478は、中部ハウジング本体315の近位端から延在し、それぞれのヒンジ474で終端する。例示の実施形態において、ヒンジ474は、片持ち部472が、中心軸Aと平行なそれぞれの軸周りを屈曲するように配向される。
図25Aに示されるように、片持ち部472は、それぞれが第1の片持ち部472aと第2の片持ち部472bとを有する第1及び第2の対の片持ち部を画定する。各対の第1の片持ち部472aと第2の片持ち部472bは、互いに離れて延在する。すなわち、第1の対と第2の対の第1の片持ち部472aは、側壁464周りを時計方向に延在し、第1の対と第2の対の第2の片持ち部472bは、側壁464周りを反時計方向に延在する。したがって、各片持ち部472は、中心軸Aを基準として半径を画定するように湾曲され得る。但し、片持ち部472は、所望により、任意の構成を有してよく、ヒンジ474は、所望により、任意の構成を有してよいことを理解されたい。摩擦部材468は片持ち部472に限定されず、所望により任意の構成を有し得ることを、更に理解されたい。例えば、摩擦部材468は、側壁464の外面上のエラストマーパッドであり得る。
【0077】
続けて
図25A〜25Bを参照すると、各片持ち部472は、中部ハウジング312の近位端に近接して配置され得る。各片持ち部472は、それぞれのレール420と接触しているように構成されている外部エラストマー部480を含み得る。エラストマー部480を利用して、レール420と接触している片持ち部472の表面の摩擦係数を大きくし、それによって、抵抗力を変更してもよい。
図25Cに示されるように、最初は、上部ハウジング308が使用前位置から移動を開始する時、レール420の増肉部は、片持ち部472が中心軸Aに向かって内側に屈曲し、レール420に対して付勢力を加えるように、エラストマー部480と接触している。レール420と片持ち部472との間の干渉は、上部ハウジング308の投与位置に向かう移動に抵抗する摩擦力を生じる。上部ハウジング308が投与位置に向かって更に移動すると、レール420に対する付勢力が減少するようにレール420が先細になり、上部ハウジング308の下向き移動に対する抵抗力が弱まる。
【0078】
ここで、
図26A及び26Bを参照すると、下部ハウジング304は、基部490と、基部490から第1の方向X
1に沿って延在する下部ハウジング本体494と、を含む。基部490は、針332が組織内に挿入された時に患者の皮膚に面するように構成された皮膚対向面498を含む。基部490は、皮膚対向面498の中まで延在する空洞502を更に画定し、針ガード316が第2の位置に移動された時に針ガード316を受容するように構成されている。下部ハウジング本体494は、第1の方向X
1に沿って下部ハウジング本体494に沿って延在する一対の第1の溝506aと、第1の溝506aに隣接する第1の方向X
1に沿って下部ハウジング本体494に沿って延在する一対の第2の溝506bと、を画定する。各溝506aは、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動される時に、ガイド376が第2の方向X
2に沿って第1の溝506a内を前進するように、上部ハウジング308のそれぞれのガイド376を受容するサイズを有する。第2の溝506bは、針ガード316の一部が、下部ハウジング本体494とガイド376との間に配置され、第1の方向X
1及び第2の方向X
2に沿って溝506b内を移動できるように、針ガード316の一部を受容するように構成されている。
【0079】
図26A及び26Bに示されるように、下部ハウジング304は、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動しないように上部ハウジング308が使用前位置にある時に上部ハウジング308と解放可能に干渉する一対のハウジングラッチ510などの少なくとも1つのハウジングラッチ510を更に含む。
図26Bに示されるように、各ハウジングラッチ510は、下部ハウジング本体494のそれぞれの部分から上に向かって延在する脚512と、中心軸Aから離れて脚512の近位端から、ガイド376によって画定される溝400の中まで延在する突起部514と、を含む。
【0080】
ハウジングラッチ510は、上部ハウジング308が使用前位置から投与位置に向かって移動する時に、ハウジングラッチ510が、屈曲するか、又は上部ハウジング308との干渉から外れるように構成されるように、弾性的に撓曲可能である。特に、突起部514は、ガイド376の当接面398と係合して、それによって、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動することを防止する。針ガード316が第2の位置に移動し、ハウジングラッチ510が自由に屈曲できる時、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動すると、突起部がガイド376の溝400に進入して溝に沿って移動し、上部ハウジング308との干渉が解除される。ハウジングラッチ510は、所望によって任意の構成を有してよく、下部ハウジング本体494の任意の部分から延在し得ることを理解されたい。例えば、各脚512は、下部ハウジング本体494のそれぞれの部分から下向きに延在し得る。
【0081】
続けて
図26A及び26Bを参照すると、下部ハウジング304は、上部ハウジング308が投与位置にある時に上部ハウジング308の係止ラッチ390と嵌合するように構成された一対のラッチ部材530などの少なくとも1つのラッチ部材530を更に含む。
図26Aに示されるように、各ラッチ部材530は、下部ハウジング本体494から延在する斜面532と、斜面532の遠位端のシェルフ534と、を画定し得る。シェルフ534は、装置の遠位端に面する表面を画定する。上部ハウジング308が投与位置に向かって移動されると、係止ラッチ390の突起部394が斜面532に沿って進み、互いに離れて屈曲する。上部ハウジング308が投与位置に到達すると、係止ラッチ390は、ラッチ部材530をスナップ嵌めし、元の位置に実質的に戻り、その結果、突起部394がシェルフ534に係合し、それによって上部ハウジング308を投与位置に係止する。特に、突起部394は、上部ハウジング308が使用前位置に向かって戻らないようにシェルフ534の表面に当接する。但し、ラッチ部材530は、所望により任意の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、ラッチ部材530は、突起部394を受容する下部ハウジング本体494において画定されるスロットであり得る。
【0082】
係止ラッチ390の突起部394と斜面532との間の接触は、上部ハウジング308を投与位置に移動するために上部ハウジング308に加えられる下向きの人力に対する抵抗力に追加する摩擦力を生じ得る。このように、係止ラッチ390とラッチ部材530も、摩擦部材であると考えることができる。すなわち、レール420と片持ち部472は一次的摩擦部材であり、係止ラッチ390とラッチ部材530は二次的摩擦部材であると考えることができる。
【0083】
ここで、
図23と
図27A〜27Cを参照すると、注射器324は、針332に近接した底肩部540と、第1の方向X
1に沿って底肩部540から離間している上部リム544と、を含み得る。
図27A〜27Cに示されるように、装置300は、注射器324を受容し、底肩部540で注射器324を支持するように構成された、注射器リテーナ548を更に含み得る。注射器リテーナ548は、本体552と、本体から第2の方向X
2に沿って延在する一対の弾性的に撓曲可能な脚556と、を含み得る。弾性的に撓曲可能な脚556は、弾性的に撓曲可能な脚556間に間隙560を画定するように第2の方向X
2に対して垂直な方向に沿って互いに離間している。弾性的に撓曲可能な各脚556は、注射器324が間隙560を通って第2の方向に沿って据え付け位置に向かって移動される時に、弾性的に撓曲可能な脚556が互いから離れて移動し、注射器324が据え付け位置にある時に、タブ564が注射器324の底肩部540に係合するように、弾性的に撓曲可能な脚556が、互いに接近する方向に戻るように、他方の脚556に向かって延在するタブ564を含む。注射器リテーナとリテーナとの組み合わせが、下部ハウジング304内に挿入されると、撓曲可能な脚556は固定され、もはや外側に屈曲されないので、注射器324を支持することができる。例示的な実施形態において、タブ564は、脚556の遠位端に配置される。但し、タブ564は、所望によって、脚556に沿った任意の位置に配置し得ることを理解されたい。
【0084】
続けて
図27Aを参照すると、リテーナ548は、本体552を貫通して隙間560の中に延在する開口部572と、開口部572内で本体552によって担持される少なくとも1つのグリップ576と、を更に含む。この少なくとも1つのグリップ576は、据え付け位置にきた注射器324が隙間560を通って第1の方向X
1に沿って移動しないように注射器324に当接するように構成されている。グリップ576は、注射器324の隙間からの後退を防止できるエラストマー部、リブ、又はその他の任意の構造体であり得る。
【0085】
図27A及び22Cに示されるように、リテーナ548は、中心軸Aから離れて本体552から外に向けて延在する一対の係止タブ580などの少なくとも1つの係止タブ580を更に含む。係止タブ580は、下部ハウジング304に当接し、それによって、下部ハウジング304内で注射器リテーナ548を係止するように構成されている。係止タブ580は、リテーナ548が下部ハウジング304に据え付けられると、係止タブ580が中心軸Aに向かって屈曲するように可撓性であってよく、係止タブ580が下部ハウジング304の対応する部分と係合し、それによって、リテーナ548及び注射器324を下部ハウジング304内に係止するように、リテーナ548が下部ハウジング304内に完全に据え付けられると、その後で元の位置に戻る。但し、リテーナ548は、所望により、他の構成を有し得ることを理解されたい。例えば、係止タブ580は、所望により、脚556から延在してもよい。
【0086】
ここで、
図23、
図22C〜22E、及び
図28を参照すると、針ガード316が皮膚表面に対して押し付けられると、針ガード316は、下部ハウジング304に対して第1の方向X
1に沿って第1の位置から第2の位置に移動可能であり、その後、装置300が皮膚表面から取り外されると、第2の方向X
2に沿って第2の位置から最終位置まで移動可能である。
図28に示されるように、針ガード316は、ハウジング600と、ハウジング600から第1の方向X
1に沿って延在する一対の延伸部604と、を含む。ハウジング600は、針ガード316が第1の位置及び最終位置にある時に、針332を収容する。針ガード316が第2の位置に移動すると、針332がハウジング600から突き出て、組織内に挿入される。
【0087】
図23及び28に示されるように、延伸部604は互いに対向しており、延伸部604のそれぞれは、下部ハウジング本体494と、上部ハウジング308の対応するガイド376との間に配置されるように、下部ハウジング304の対応する第2の溝506b内で移動するように構成されている。
図28に示されるように、各延伸部604は、ハウジングラッチ510を上部ハウジング308と干渉させた状態に保持するように針ガード316が第1の位置にある時、ハウジングラッチ510の突起部514などの対応するハウジングラッチ510に接触又は当接するように構成された止め具612を画定する。針ガード316が第2の位置に向かって移動すると、止め具612がハウジングラッチ510と非接触状態になる。次いで、ハウジングラッチ510は、上部ハウジング308との干渉から外れて、上部ハウジング308は、投与位置に向かって移動可能となる。したがって、上部ハウジング308は、針ガード36が第2の位置に移動されるまで使用前位置に保持され得る。
【0088】
続けて
図28を参照すると、針ガード316は、各延伸部604における開口616、及び延伸部604から上に開口616の中まで延在する針ガードラッチ620を更に画定する。各針ガードラッチ620は、弾性的可撓性があり、その近位端で溝624、及びその遠位端でヒンジ628を画定する。針ガードラッチ620は、針ガード316が第2の位置から最終位置に移動する時、及び上部ハウジング308が投与位置にある時に、ヒンジ628周りで屈曲するように構成されている。
図28に示されるように、各針ガードラッチ620は、ヒンジ628から溝624まで延在する側壁632を画定する。溝624に近接する各側壁632の少なくとも一部分は、第1の方向又は第2の方向に対して角度が付けられている。針ガードラッチ620を屈曲させるように上部ハウジング308が投与位置に向かって移動される時、及び針ガード316が第2の位置から最終位置に移動する時、ハウジングラッチ510の突起部514は、傾斜した側壁部632に沿って進み得る。この後、装置300が組織から取り外され、針ガード316が最終位置に移動すると、針ガードラッチ620が元の位置に向かって屈曲し、その結果、溝624はハウジングラッチ510の突起部514を受容し、それによって、針ガード316を最終位置に係止する。
【0089】
図29A〜29Fに示されるように、ハウジングラッチ510は、上部ハウジング308を使用前位置に選択的に保持し、かつ後に針ガード316を最終位置に保持するように、構成され得る。
図29Aに示されるように、上部ハウジング308が使用前位置にあり、針ガード316が第1の位置にある時、ハウジングラッチ510の突起部514は、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動しないように、上部ハウジング308のガイド376のそれぞれの当接面398に当接する。
図29Aに示されるように、針ガード316の止め具612は、突起部514に当接し、突起部514を当接面398と干渉した状態に保持する。
図29Bに示されるように、針ガード316が第2の位置に移動されると、止め具612が突起部514から離され、そのため、ハウジングラッチ510は、上部ハウジング308の当接面398との干渉から外れることができ、上部ハウジング308は投与位置に向かって移動できるようになる。
図29C及び29Dに示されるように、上部ハウジング308が投与位置に向かって移動すると、突起部514がガイド376の溝400に沿ってその中に進入する。
図29Dに示されるように、突起部514は、角度の付いた側壁部532に沿って進み、突起部514が溝400に沿って進行を続けられるように針ガードラッチ620を屈曲させる。
図29E及び29Fに示されるように、針ガード316が第2の位置から最終位置に向かって移動すると、突起部514は、針ガードラッチ620が元の位置に向かって屈曲し、溝624が突起部514を受容し、それによって、針ガード316を最終位置に係止するまで、側壁632に沿って進む。このように、ハウジングラッチ510は、上部ハウジング308を使用前位置に保持し、かつ針ガード316を最終位置に係止するように、構成され得る。
【0090】
実施中、及び
図30A〜30Fを参照すると、送達装置300は、薬剤を送達するように構成し得る。使用に先立ち、上部ハウジング308は、ハウジングラッチ510によって使用前位置に係止され得、キャップ320は、針ガード316及び針332を遮蔽するように下部ハウジング304に連結され得る。装置300が使用できる状態にある時、
図30Bに示されるように、キャップ320が針シールド338を針332から取り外すように、キャップ320を下部ハウジング304から取り外すことができる。
【0091】
図30Cに示されるように、針ガード316が皮膚表面に対して押し付けられ、針ガード316が第2の位置に移動し、針332が組織内に挿入されるように、装置300を皮膚表面に対して配置し、人力を上部ハウジング308に対して挿入方向(例えば、第2の方向)に沿って加えることができる。針ガード316が第2の方向に移動すると、止め具612がハウジングラッチ510との係合状態から外れて、上部ハウジング308は、もはや使用前位置に係止されていない。
図30D及び30Eに示されるように、上部ハウジング308は、この後、第2の方向に沿って中部ハウジング312を越えて移動され得る。上部ハウジング308が投与位置に到達すると、中部ハウジング312の実質的にすべてが上部ハウジング308によって覆われ、プランジャが窓336内で可視であり得、それによって、全ての薬剤が組織に送達されたことを視覚的に立証することができる。
【0092】
更に、上部ハウジング308が投与位置に到達すると、上部ハウジング308の係止ラッチ390が下部ハウジング304のラッチ部材530と係合し、それによって、送達装置300が再使用されないように上部ハウジング308を投与位置に係止する。係止ラッチ390がラッチ部材530にスナップ嵌めされると、上部ハウジング308が投与位置に到達し、投与位置に係止されたことをユーザーに知らせる可聴クリック音が生じる。上部ハウジング308は、装置300が再使用できないように永久的に投与位置に係止し得る。但し、装置300を滅菌して再使用できるように、上部ハウジング308を一時的に係止し得ることを理解されたい。
【0093】
図30Fに示されるように、装置300が、挿入方向とは反対の方向に皮膚表面から取り外されると、針ガード316が第2の方向に沿って最終位置まで移動する。最終位置にある時、ハウジングラッチ510は針ガードラッチ620と干渉し、それによって、針ガード316を最終位置に係止する。このように、装置30を再使用できないように、針ガード316を最終位置に永久的に係止することができる。但し、装置300を滅菌して再使用できるように、針ガード316を一時的に係止し得ることを理解されたい。
【0094】
図30B及び30Fに示されるように、針ガード316は、第1の方向に沿って第1の位置から第2の位置までの第一の距離d
1、及び第2の方向に沿って第2の位置から最終位置までの第2の距離d
2移動するように構成し得る。第2の距離d
2は第1の距離d
1より大きくてもよく、これによって、針ガード316が実際に最終位置にあって係止されていることをユーザーに知らせる。針ガード316、及び特に針ガード316のハウジング600は、針ガード316が最終位置にある時にのみ見えるカラーバンドなどの可視表示640をハウジング600の近位端に含み得る。但し、針ガード316は、第1の位置から第2の位置までの任意の距離、及び第2の位置から最終位置までの任意の距離を移動し得ることを理解されたい。
【0095】
前述した説明及び図面は、本発明の好ましい実施形態を表すが、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な追加、修正、組み合わせ及び/又は置き換えを行うことができることが理解されよう。特に、本発明が、他の特定の形態、構造、配置、比率で、また他の要素、材料、及び構成要素を用いて、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく具現化され得ることが、当業者には明らかとなるであろう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び作動条件に具体的に適合される構造、配置、比率、材料、及び構成要素の多くの修正とともに使用され得ることを認識するであろう。加えて、本明細書において記述されている機能は、単独で、又は他の機能組み合わせて使用することもできる。例えば、1つの構成要素に関連して説明されている機能を別の構成要素において説明されている機能とともに使用及び/又は置き換えることができる。したがって、本願で開示されている実施形態は、全ての点において、例示的であって、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって表され、前述の説明に限定されるものではない。
【0096】
本発明の様々な修正及び変更が、添付の特許請求の範囲の広義の範囲を逸脱することなくなし得ることが、当業者には認識されるであろう。これらのうちのいくつかは上記で検討されており、その他は、当業者には明らかとなるであろう。これには反復投与の設計が含まれ、この設計においては、上部ハウジング及び中部ハウジングの一方又は両方が、1回分(partial)の高さまで上昇し、ユーザーによって押し下げられたときに1回分の注射器を実現する。