特許第6445587号(P6445587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロン テクノロジー, インク.の特許一覧

特許6445587クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法
<>
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000002
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000003
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000004
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000005
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000006
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000007
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000008
  • 特許6445587-クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445587
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】クロスポイント型アレイの双方向アクセスのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 13/00 20060101AFI20181217BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20181217BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20181217BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G11C13/00 480B
   G11C13/00 270F
   G11C13/00 210
   H01L27/105 449
   H01L27/10 481
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-566196(P2016-566196)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-523545(P2017-523545A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015029106
(87)【国際公開番号】WO2015171520
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】14/272,015
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン・テクノロジー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】カストロ,ハーナン エー.
【審査官】 堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0149628(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0294153(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0362650(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0074326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
H01L 21/8239
H01L 27/10
H01L 27/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルを含むメモリアレイと、
アクセス動作を引き起こすよう構成されたメモリコントローラであって、前記アクセス動作が、前記アクセス動作の選択段階の間、前記メモリセル両端に第1のバイアスを印加することと、前記アクセス動作のアクセス段階の間、前記メモリセル両端に、前記第1のバイアスよりも大きさが小さい第2のバイアスを印加することとを含むことを特徴とする、メモリコントローラとを備え、
前記メモリコントローラが、前記メモリセルを通って流れる電流の向きを、前記選択段階と前記アクセス段階との間で反転させるようにさらに構成されており、
前記メモリセルが、前記第1のバイアスの印加に応じて閾値に至るように構成されており、
前記メモリコントローラが、前記第1のバイアスを取り除くとともに、前記第2のバイアスの印加に先立って、前記メモリセルを通って流れる電流を最小ホールド電流未満に降下させて前記メモリセルを閾値到達後状態から解放するようにさらに構成されている
ことを特徴とするメモリ装置。
【請求項2】
前記メモリコントローラが、前記メモリセルを解放してから約5マイクロ秒未満のうちに、前記第2のバイアスを印加するように構成されていることを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項3】
前記メモリコントローラが、前記第2のバイアスの印加に先立って、前記メモリセルを通してスナップバック放電電流を流すようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1のバイアスが第1の極性を有し、前記第2のバイアスが前記第1の極性とは逆の第2の極性を有することを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項5】
前記メモリセルが、前記第2のバイアスの印加にも応じて閾値に至るようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項4の装置。
【請求項6】
前記メモリアレイがクロスポイント型メモリアレイを含み、前記メモリセルが、電気的
に直列に配置された選択素子と記憶素子とを含むことを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項7】
前記選択素子または前記記憶素子の少なくとも一方が、カルコゲナイド材料を含むことを特徴とする、請求項6の装置。
【請求項8】
前回の閾値に至る事象から前記メモリセルが解放されてからの時間経過に依存する大きさを有する閾値電圧を、前記メモリセルが有することを特徴とする、請求項7の装置。
【請求項9】
メモリセルを含むメモリアレイと、
アクセス動作を引き起こすよう構成されたメモリコントローラであって、前記アクセス動作が、前記アクセス動作の選択段階の間、前記メモリセル両端に第1のバイアスを印加することと、前記アクセス動作のアクセス段階の間、前記第1のバイアスを取り除き前記メモリセル両端に第2のバイアスを印加することとを含み、前記第1と第2のバイアスが逆の極性を有することを特徴とする、メモリコントローラとを備え、
前記選択段階の少なくとも一部の間は前記メモリセルを第1の電圧に接続するとともに、前記アクセス段階の少なくとも一部の間は前記メモリセルを第2の電圧に接続するように構成された選択解除回路をさらに備えるメモリ装置。
【請求項10】
前記メモリセルが、前記第1のバイアスの印加に応じて閾値に至るように構成されており、前記第2のバイアスは、前記第1のバイアスよりも大きさが小さいことを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項11】
前記アクセス段階の間に、前記メモリセルの前記第1の電圧への接続から、前記メモリセルの前記第2の電圧への接続へと、前記選択解除回路に切り換えさせるように、前記コントローラが構成されていることを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項12】
前記選択段階の間に、前記メモリセルの前記第1の電圧への接続から、前記メモリセルの前記第2の電圧への接続へと、前記選択解除回路に切り換えさせるように、前記コントローラが構成されていることを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項13】
前記アクセス段階の間に、スナップバック事象の検出に応じて、前記メモリセルの前記第1の電圧への接続から、前記メモリセルの前記第2の電圧への接続へと、前記選択解除回路に切り換えさせるように、前記コントローラが構成されていることを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項14】
前記コントローラが、前記第1のバイアスの印加と前記第2のバイアスの印加の間には、前記メモリセルを通って流れる電流を最小ホールド電流未満に降下させるようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項15】
前記選択解除回路が列選択解除回路を含むことを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項16】
前記選択解除回路が行選択解除回路を含むことを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項17】
アクセス命令を前記メモリコントローラに送るよう構成されたプロセッサをさらに備え、前記メモリコントローラが、前記アクセス命令を受け取るのに応じて前記アクセス動作を引き起こすように構成されていることを特徴とする、請求項9の装置。
【請求項18】
メモリセルにアクセスする方法であって、
アクセス動作の選択段階の間、前記メモリセル両端に第1のバイアスを印加し、アクセス動作のアクセス段階の間、前記メモリセル両端に、前記第1のバイアスより大きさが小さい第2のバイアスを印加することと、
前記選択段階と前記アクセス段階との間で電流の流れの方向を反転させることと、
前記第1のバイアスを取り除くとともに、前記メモリセルを通って流れる電流を最小ホールド電流未満に降下させることによって、前記第2のバイアスを印加するよりも前に、前記メモリセルを閾値到達後状態から解放すること
を含む方法。
【請求項19】
前記第1のバイアスの印加に応じて前記メモリセルが閾値に至ることを特徴とする、請求項18の方法。
【請求項20】
前記閾値到達後状態から前記メモリセルを解放してから5マイクロ秒未満のうちに、前記第2のバイアスを印加することをさらに含む、請求項18の方法。
【請求項21】
前記第1のバイアスを印加することによって、前記メモリセルを通ってスナップバック放電電流が流れることを特徴とする、請求項18の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術は、全般的に、メモリ装置およびそれを動作させる方法に関連し、より具体的には、可変抵抗材料を有するメモリアレイ、および可変抵抗材料を有するメモリアレイにアクセスする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変抵抗材料を組み込むメモリデバイスは、コンピュータ、ディジタル・カメラ、携帯電話、パーソナル・ディジタル・アシスタントなどの、広範囲の電子装置で使われることがある。そうした可変抵抗材料の電気抵抗は、例えば電圧パルスまたは電流パルスなどの電気信号に応じて、複数の抵抗状態の間で変化し得る。ときにはユニポーラ・メモリデバイスと呼ばれる、或る可変抵抗メモリデバイスでは、一つの極性を有する電気信号に応じて、メモリセルの電気抵抗が変化し得る。ときにはバイポーラ・メモリデバイスと呼ばれる、別の或るメモリデバイスでは、一つの極性または二つの逆の極性を有する電気信号に応じて、メモリセルの電気抵抗が変化し得る。例えば、バイポーラ・メモリデバイスでは、メモリセルの抵抗が、第1の極性を有する第1の電気信号に応じて、一つの方向に(例えば、高抵抗から低抵抗へと)変化し得るとともに、第1の極性とは逆の第2の極性を有する第2の電気信号に応じて、逆の方向に(例えば、低抵抗から高抵抗へと)変化し得る。バイポーラ・メモリデバイスの動作をサポートするよう構成された周辺回路は、逆の極性の電流および/または電圧をサポートする必要性のために、ユニポーラ・メモリデバイスと比べて、より大規模かつより複雑になり得る。よって、逆の極性でのメモリセルへの効率的なアクセスのための装置と方法が必要である。
【0003】
特許請求される主題は、本明細書の結びの部分で、詳細に指摘され、かつ、明瞭に請求項に記載されている。しかし、それは、添付の図面とともに読まれたときに、以下の詳細な説明を参照することで、構成および/または動作方法の双方に関して、目的、特徴、および/またはその利点とあわせて、最も良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】ある実施形態によるメモリセルを表す、模式的な三次元等角図である。
図2】ある実施形態によるメモリセルの電流対電圧の関係を示す図である。
図3】ある実施形態によるメモリセルの閾値電圧対時間の関係を示す図である。
図4】ある実施形態によるメモリ装置を示す、模式的回路図である。
図5】ある他の実施形態によるメモリデバイスを示す、より詳細な模式的回路図である。
図6】ある実施形態によるアクセス動作を示す、メモリアレイの列と行の電圧・時間曲線を示す図である。
図7】ある実施形態による別のアクセス動作を示す、メモリアレイの列と行の電圧・時間曲線を示す図である。
図8】ある他の実施形態による別のアクセス動作を示す、メモリアレイの列と行の電圧・時間曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
動作中に抵抗を変化させる材料を組み込む、例えばメモリデバイスなどのデバイスは、例えば、コンピュータ、ディジタル・カメラ、携帯電話、パーソナル・ディジタル・アシスタントなどの広範囲の電子装置に見受けられることがある。そうしたメモリデバイスは、ときとして抵抗変化型ランダム・アクセス・メモリ(RRAM)と呼ばれるのだが、メモリセルのアレイを含むことができ、そのアレイは、クロスポイント型メモリアレイの形に配列することができる。クロスポイント型メモリアレイは、列と、行と、列と行の交点に配置された複数のメモリセルとを含む。クロスポイント型メモリアレイを含むRRAMデバイスでは、例えば電圧信号または電流信号などの電気信号に応じて、メモリセルの抵抗が変化し得る。
【0006】
ときとしてユニポーラ・メモリデバイスと呼ばれる、或るRRAMデバイスでは、一つの極性を有する電気信号に応じて、メモリセルの電気抵抗が変化し得る。例えば、ユニポーラRRAMデバイスでは、メモリセルの抵抗は、第1の極性を有する第1の電気信号に応じて一つの方向に(例えば、高抵抗から低抵抗へと)変化し得るとともに、第1の極性と同じ極性を有する第2の電気信号に応じて逆の方向に(例えば、低抵抗から高抵抗へと)変化し得る。ときとしてバイポーラ・メモリデバイスと呼ばれる、或る他のRRAMデバイスでは、一つの極性または二つの逆の極性を有する電気信号に応じて、メモリセルの電気抵抗が変化し得る。例えば、バイポーラRRAMデバイスでは、メモリセルの抵抗は、第1の極性を有する第1の電気信号に応じて一つの方向に(例えば、高抵抗から低抵抗へと)変化し得るとともに、第1の極性とは逆の第2の極性を有する第2の電気信号に応じて逆の方向に(例えば、低抵抗から高抵抗へと)変化し得る。
【0007】
本明細書で使われるとおり、書き込みまたは読み出しのいずれかのためにメモリセルに印加される電気信号は、アクセス信号と呼ばれる。逆の極性でのバイポーラRRAMデバイスの動作をサポートするよう構成された周辺回路は、逆の極性の電流および/または電圧をサポートする必要性のために、ユニポーラRRAMデバイスと比べて、より大規模かつより複雑になり得る。これは、例えば、逆の極性でメモリセルにアクセスするための電流および/または電圧をサポートする必要性のためであり得る。
【0008】
本明細書では、RRAMデバイスに関して実施形態が記述されるが、とりわけRRAMデバイスについては、それら実施形態は、例えばスイッチやアンチヒューズなど、メモリアレイ関連以外にも応用することができる。同様に、オボニック・スレッショルド・スイッチ(OTS)および/またはカルコゲナイド材料を組み込むメモリセルについて、実施形態が記述されるが、本明細書で教示される技法や構造の原理と利点は、他の材料にとっても有用であり得る。
【0009】
図1は、ある実施形態によるクロスポイント型メモリアレイにおけるメモリセル10を表す。図1におけるメモリセル10は、同一または逆の極性を有する電気信号に応じて、第1と第2の抵抗状態の間で変化することができる。つまり、メモリセル10は、バイポーラ・メモリセルでもよく、またはノンポーラ・メモリセルでもよい。
【0010】
明瞭さのために、図1には一つのメモリセル10しか示されていないが、複数の列配線20と複数の行配線22とを有するクロスポイント型メモリアレイに複数のメモリセル10があってもよいことは、よく理解されるだろう。図示された実施形態において、メモリセル10は、列配線20と行配線22とを介して電気的にアクセスされるように構成された、記憶素子34と選択素子38とを含み、ここで、列配線20はビット線とすることができ、行配線22はワード線とすることができる。メモリセル10はスタック構成になっていて、列配線20と記憶素子34を接続する第1電極32と、記憶素子34と選択素子38を接続する中間電極36と、選択素子38と行配線22を接続する第2電極40とをさらに含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、選択素子38と記憶素子34の一方または双方が、カルコゲナイド材料を含むことができる。選択素子38と記憶素子34ともにカルコゲナイド材料を含む場合、記憶素子34は、室温で安定かつ不揮発性の相変化を受け得る、カルコゲナイド材料を含むことができる。他方、選択素子38は、類似の安定かつ不揮発性の相変化を受けない、カルコゲナイド材料を含むことができる。
【0012】
バイポーラ型またはユニポーラ型のRRAMデバイスに含めることが可能な、相変化に基づく記憶素子34の例には、カルコゲナイド合金系の中でもとりわけ、例えばInSbTeやInSbTeやInSbTeなどの、インジウム(In)−アンチモン(Sb)−テルル(Te)(IST)合金系の中の元素のうち少なくとも二つを含む合金や、例えばGeSbTeやGeSbTeやGeSbTeやGeSbTeやGeSbTeなどの、ゲルマニウム(Ge)−アンチモン(Sb)−テルル(Te)(GST)合金系の中の元素のうち少なくとも二つを含む合金といった、カルコゲナイド組成物を含む相変化物質が含まれる。本明細書で使われるように、ハイフンで繋がれた化学組成物の表記法は、特定の混合物または化合物に含まれる元素を示しており、その示された元素を含む、すべての化学量比を表すことを意図したものである。相変化記憶ノードに使える他のカルコゲナイド合金系は、例えば、Ge−Te、In−Se、Sb−Te、Ga−Sb、In−Sb、As−Te、Al−Te、In−Ge−Te、Ge−Sb−Te、Te−Ge−As、In−Sb−Te、Te−Sn−Se、Ge−Se−Ga、Bi−Se−Sb、Ga−Se−Te、Sn−Sb−Te、In−Sb−Ge、Te−Ge−Sb−S、Te−Ge−Sn−O、Te−Ge−Sn−Au、Pd−Te−Ge−Sn、In−Se−Ti−Co、Ge−Sb−Te−Pd、Ge−Sb−Te−Co、Sb−Te−Bi−Se、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sb−Se−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Te−Sn−Ni、Ge−Te−Sn−Pd、Ge−Te−Sn−Ptを含む。
【0013】
ユニポーラ型またはバイポーラ型のメモリRRAMデバイスに含めることが可能な記憶素子34の他の例には、他の種類の記憶素子の中でもとりわけ、金属酸化物ベースのメモリ記憶素子(例えば、NiO、HfO、ZrO、CuO、TaO、Ta、TiO、SiO、Alなど)、導電性ブリッジ・ランダムアクセスメモリ(CBRAM)記憶素子(例えば、金属をドープしたカルコゲナイド)、および/またはスピン・トランスファ・トルク・ランダムアクセスメモリ(STT−RAM)記憶素子が含まれる。
【0014】
RRAMデバイスに含めることができる選択素子38の例には、カルコゲナイド材料を含む二端子セレクタが含まれ、この二端子セレクタは、ときとしてオボニック・スレッショルド・スイッチ(OTS)と呼ばれることがあり得る。OTSは、記憶素子34について上述したカルコゲナイド合金系のうちのいずれか一つを含む、カルコゲナイド組成物を含んでいてもよい。そのうえ、選択素子38は、結晶化を抑制するために、Asのような元素をさらに含んでもよい。OTS材料の例には、とりわけ、Te−As−Ge−Si、Ge−Te−Pb、Ge−Se−Te、Al−As−Te、Se−As−Ge−Si、Se−As−Ge−C、Se−Te−Ge−Si、Ge−Sb−Te−Se、Ge−Bi−Te−Se、Ge−As−Sb−Se、Ge−As−Bi−Te、Ge−As−Bi−Seが含まれる。
【0015】
依然として図1を参照すると、メモリセル10は、リセット(RESET)状態としても知られる比較的高抵抗の状態(HRS)またはセット(SET)状態としても知られる比較的低抵抗の状態(LRS)でもよい、ある抵抗状態にあってもよい。リセット状態とセット状態は、例えば2から100万の間の抵抗比を有することができる。
【0016】
本明細書で使われるように、プログラム・アクセス動作は、RRAMデバイスにとってリセット・アクセス動作とも呼ばれることがあるもので、メモリセルを、セット状態からリセット状態に変化させる。他方、抹消動作は、RRAMデバイスにとってセット・アクセス動作とも呼ばれることがあるもので、メモリセルを、リセット状態からセット状態に変化させる。しかし、「プログラム」と「抹消」という用語は、リセット・アクセス動作とセット・アクセス動作に関連しているので、逆のものを意味するように、相互に入れ替えて使われてもよい。
【0017】
さらに、本明細書では、セット状態とリセット状態が、メモリセル(記憶素子および/または選択素子を含んでもよい)全体としての状態を指すのに使われることがあるが、メモリセルのセット状態とリセット状態との区別が、記憶素子の抵抗の違いを起源とする可能性があることが理解されるだろう。
【0018】
図2は、ある実施形態によりセット遷移とリセット遷移を経るメモリセルの、電流・電圧(I−V)曲線60を示す図である。x軸は、相変化メモリセルの両端に印加される電圧を表し、y軸は、対数スケールで表示された電流の絶対値を表す。I−V曲線60は、バイポーラ・メモリセルのものに対応している場合もあるのだが、バイポーラ・メモリセルでは、第1の極性(正)でセット動作を行うことができ、第2の極性(負)でリセット動作を行うことができる。また、I−V曲線60は、図1のメモリセル10に似たメモリセルに対応している場合もあるのだが、その場合、記憶素子34または選択素子38のうち少なくとも一方が、カルコゲナイド材料を含む。メモリセルがカルコゲナイド材料を含む場合、スイッチング事象(つまり、セット遷移および/またはリセット遷移)は、閾値到達後事象を含むことがあり、閾値到達後事象は、より詳しく以下で説明するとおり、スナップバック事象を伴うことがある。
【0019】
セット遷移I−V曲線70は、リセット状態からセット状態への遷移中のメモリセルを表し、一方でリセット遷移I−V曲線90は、セット状態からリセット状態への遷移中の相変化メモリセルを表す。I−V曲線には捉えられていないものの、セットからリセットへ、またはリセットからセット状態への遷移は、継続時間成分、または、時間の経過にともなう電圧もしくは電流の波形を含むことがある。
【0020】
セット遷移I−V曲線70は、比較的ゆっくり変化する電流対電圧により特徴づけられるリセット状態サブスレッショルド領域72を含み、その後に、リセット状態の正の閾値電圧(VTH RESET)の付近のセット遷移閾値「突端(nose)」領域74が続き、その正の閾値電圧の点の付近でセット遷移I−V曲線70は傾きの逆転を受け、その後に、メモリセル両端の電圧の急な減少により特徴づけられるセット遷移スナップバック領域76が続き、その後に、ホールド電圧V付近のセット遷移ホールド領域78が続き、その後にセット・アクセス領域80が続き、ここにおいて、安定な電流または電圧のいずれかを計測することができる。
【0021】
依然として図2を参照すると、リセット遷移I−V曲線90は、比較的ゆっくり変化する電流対電圧により特徴づけられるセット状態サブスレッショルド領域92を含み、その後に、セット状態の負の閾値電圧(VTH SET)の付近のリセット遷移閾値「突端」領域94が続き、その負の閾値電圧の点の付近ではリセット遷移I−V曲線90が傾きの逆転を受け、その後に、メモリセル両端の電圧の急な減少により特徴づけられるリセット遷移スナップバック領域96が続き、その後に、ホールド電圧V付近のリセット遷移ホールド領域98が続き、その後に、リセット・セル・アクセス領域100が続き、ここにおいて、安定な電流または電圧のいずれかを計測することができる。
【0022】
リセット状態では、VTH SETと比べて閾値電圧VTH RESETがより高い、ということがよく理解されるだろうが、その理由は、記憶素子からの電圧降下に対する寄与が、セット状態よりもリセット状態の方で大きくなり得るためである。また、メモリセルを通って流れる(例えば、通る)似たような量の電流に対して、リセット・セル・アクセス領域100はセット・セル・アクセス領域80よりもメモリセル両端での電圧降下の程度が大きい、ということがよく理解されるだろうが、その理由は、記憶素子からの電圧降下に対する寄与が、セット状態よりもリセット状態の方で大きくなり得るためである。
【0023】
図2の図示された実施形態では、セット遷移I−V曲線70とリセット遷移I−V曲線90の双方に、メモリセル両端の電圧の急激な減少により特徴づけられるスナップバック領域76と96がある。スナップバック事象は、メモリセルを通って流れる放電電流を伴うことがある。放電電流量は、スナップバック効果を受けているメモリセルに接続された列配線と行配線の、キャパシタンスと抵抗に依存し得る。これらのキャパシタンスと抵抗の値に依存して、ある種の環境下では、電流の量および/またはスナップバック事象の継続時間が、相変化メモリにおける部分的または完全な相変化を引き起こすのに十分となり得る。
【0024】
ある種の実施形態では、図1のメモリセル10などのメモリセルは、一旦、閾値に到達すると、そのメモリセルを通って流れる電流をある最低レベルよりも上に保つことができる限りは、図2のセット・セル・アクセス領域80とリセット・セル・アクセス領域100で表される、閾値到達後状態に維持しておくことができ、この最低レベルは、ときとしてホールド電流(I)と呼ばれる。他方、メモリセルを通って流れる電流が、I未満に低下することが可能となると、すなわち「解放される」と、メモリセルは、消され得る、つまり閾値に到達する前の状態へと復帰し得る。ある種の実施形態では、メモリセルが解放されると、閾値電圧(VTH RESETまたはVTH SET)は、閾値に至る前に当該メモリセルが有していた閾値電圧に戻らないことがある。その代わり、以下に図3において示すように、閾値電圧は、徐々に回復することがあり、回復時間により特徴づけられ得る。
【0025】
図3は、閾値到達後状態からメモリセルが解放された時点からの時間経過(t)に、閾値電圧の大きさが依存するようなメモリセルの、例示的な閾値回復曲線120を示す図である。図3では、y軸が閾値電圧VTHを表し、x軸は、閾値到達後状態からt=0において解放されてからの時間経過を表す。閾値に至る前の閾値電圧は、VTH,0と表されている。図示されているように、閾値到達後状態からt=0においてメモリセルが解放された後、時間経過tが過ぎると、閾値電圧はVTH,0に回復するか、またはVTH,0近くまで回復する。ある種の実施形態では、約5マイクロ秒以内か約500ナノ秒以内か約50ナノ秒以内に、閾値電圧の大きさは、以前の閾値電圧の少なくとも50%に回復する。
【0026】
図4は、ある実施形態によるメモリ装置150の模式的回路図である。メモリ装置150は、複数の列170と複数の行172とを含むメモリアレイ152を含む。メモリアレイ152は、列170と行172との交点に、複数のメモリセル154をさらに含む。メモリセル154は、例えば、図1に関して上述したメモリセル10を含むことができる。ある種の実装では、列170がビット線またはディジット線とも呼ばれることがあり、行172がワード線とも呼ばれることがある。メモリセル154のうち少なくともいくつかには、とりわけ、例えば電圧、電流、または電界を含む適切な電気信号の印加により、アクセスすることができる。メモリセル154には、そのメモリセル154に結合された行172と列170とにより定義される、アドレスがあってもよい。
【0027】
ある種の実施形態によれば、メモリ装置150は、列170を通じてメモリアレイ152に電気的に接続された列選択回路(COL SEL)196と、行172を通じてメモリアレイ152に電気的に接続された行選択回路(ROW SEL)194とをさらに含む。ある種の実施形態では、アクセス動作の間、行172のうち少なくともいくつかと列170のうち少なくともいくつかが個別に活性化されるように構成されており、その結果、ビット毎にアドレス指定が可能な方法でメモリセル154の各々を選択することができる。
【0028】
ある種の実施形態によれば、そのうえメモリ装置150は、COL SEL196とさらに列170も介してメモリアレイ152に電気的に接続された、列選択解除回路(COL DESEL)160を含む。そのうえメモリ装置150は、ROW SEL194とさらに行172も介してメモリアレイ152に電気的に接続された、行選択解除回路(ROW DESEL)162を含む。ある種の実施形態では、例えば、アクセス動作のうちの選択段階(より詳しくは図6図8に関して説明する)の間、選択すべき一つ以上の列170を、その列に接続されたそれぞれのCOL SEL196を介して活性化することができ、かつ、選択すべき一つ以上の行172を、それぞれのROW SEL194を介して活性化することができる。ある種の実施形態では、例えば、アクセス動作のうちのアクセス段階(より詳しくは図6〜8に関して説明する)の間、選択すべき一つ以上の列170を、その列に接続されたそれぞれのCOL DESEL160を介して活性化することができ、かつ、選択すべき一つ以上の行172を、その行172に接続されたROW DESEL162を介して活性化することができる。ある種の実施形態では、アクセス動作のうちの選択段階またはアクセス段階の間、選択されない一つ以上の列170だけでなく選択すべき一つ以上の列170も、COL DESEL160を介して活性化することができ、選択されない一つ以上の行172だけでなく選択すべき一つ以上の行172も、ROW DESEL162を介して活性化することができる。
【0029】
図4では単に例示の目的で、COL DESEL160が特定の本数の列170に接続されており、かつ、ROW DESEL162が特定の本数の行172に接続されているが、様々な実施形態において、COL DESEL160にはいかなる適切な本数の列170を接続することもでき、ROW DESEL162にはいかなる適切な本数の行172を接続することもできる。さらに、図4では単に例示の目的で、COL SEL196が各列170に接続されており、かつ、ROW SEL194が各行172に接続されているが、様々な実施形態において、COL SEL196にはいかなる適切な本数の列170を接続することもでき、ROW SEL194にはいかなる適切な本数の行172を接続することもできる。
【0030】
依然として図4を参照すると、ある種の実施形態によれば、メモリ装置150は、COL SEL196とCOL DESEL160とを介して列170に電気的に接続された、列デコーダ164をさらに含むとともに、ROW SEL194とROW DESEL162とを介して行172に電気的に接続された、行デコーダ166をさらに含む。動作中は、例えば、アクセスすべきメモリセル154の物理アドレスがメモリセル・アドレスにより指定されてもよく、そのメモリセル・アドレスがメモリアクセス命令の中に含まれていてもよい。メモリセル・アドレスは、アクセス動作を行うべき対象たる目的のメモリセルに対応する列と行に対応する、列アドレスおよび/または行アドレスを含むことができる。列デコーダ164は、メモリセル・アドレスを受け取ると、列アドレスをデコードするように構成され、そして、COL SEL196または/およびCOL DESEL160の一方または双方を活性化することによって列を選択または選択解除するように、構成されている。同様に、行デコーダは、メモリセル・アドレスを受け取ると、行アドレスをデコードするように構成され、そして、ROW SEL194または/およびROW DESEL162の一方または双方を活性化することによって行を選択または選択解除するように、構成されている。
【0031】
依然として図4を参照すると、ある種の実施形態では、メモリ装置150がメモリコントローラ168をさらに含み、メモリコントローラ168は、リセット・アクセス動作やセット・アクセス動作やリード・アクセス動作を含む、メモリアレイ152に対して実行される種々のアクセス動作を、制御するように構成されていてもよい。動作中に、メモリアレイ152内の一つ以上のメモリセル154にアクセスするためのプロセッサからの信号を受け取るように、メモリコントローラ168を構成することができる。メモリコントローラ168は、次に、列デコーダ164と行デコーダ166とを介してメモリアレイ152に制御信号を送るように構成されている。ある種の実施形態では、メモリコントローラ168は、ソリッドステート集積回路内のメモリ装置150の一部として統合されている。他の実施形態では、メモリコントローラ168をホスト・デバイスの一部とすることができる。
【0032】
依然として図4を参照すると、ある種の実施形態によれば、メモリセル154は、図1のメモリセル10と同様の、カルコゲナイド材料を含む可変抵抗メモリセルを含むことができる。メモリ装置150は特定の個数のセル154を図示しているが、メモリアレイ152は、いかなる適切な個数のメモリセル154を含んでいてもよいし、行と同じ本数の列を有するとは限らない、ということが理解されるだろう。メモリアレイ152は、例えば、少なくとも数百万個ものメモリセル154を含むこともできる。
【0033】
依然として図4を参照すると、ある種の実施形態によれば、ROW SEL194は、p型の電界効果トランジスタ(PFET)174とn型の電界効果トランジスタ(NFET)176とを含む。PFETとNFETは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などの、絶縁ゲート型トランジスタに相当し得る。デバイスの名前の中に「金属」や「酸化物」という用語が存在してはいるが、これらのトランジスタが、多結晶シリコンなどの、金属以外の材料でできたゲートを有することができることと、窒化ケイ素または高誘電率誘電体などの、ケイ素酸化物以外の誘電体でできた誘電性「酸化物」領域を有することができることは、理解されるであろう。PFET174とNFET176のゲートは、それぞれの行選択線190を介して行デコーダ166により駆動されてもよい。PFET174のドレインとNFET176のドレインは、それぞれの行172に接続されている。さらに、PFET174のソースは、ROW DESEL162に結合されていてもよく、一方でNFET176のソースは、行選択電圧源158に結合されていてもよい。
【0034】
同様に、ある種の実施形態によれば、COL SEL196は、PFET184とNFET182とを含む。ROW SEL194と同様に、PFET184とNFET182のゲートは、それぞれの列選択線192を介して列デコーダ164により駆動されてもよい。PFET184のドレインとNFET182のドレインは、それぞれの列170に接続されている。さらに、PFET184のソースは、列選択電圧源156に結合されていてもよく、一方でNFET182のソースは、COL DESEL160に結合されていてもよい。
【0035】
図5は、ある種の実施形態による、動作中のメモリデバイス200を示す模式的回路図である。メモリデバイス200は、メモリアレイ152などの、図4のメモリ装置150と似た構成要素を含む。メモリアレイ152は、動作中には様々なバイアス設定のもとに置かれる複数のメモリセルを含む。動作中には、選択された列170Sと選択された行172Sとの間に適切な選択バイアスおよびアクセス・バイアスをかけることによって、目的のメモリセル(Tセル)154Tがアクセスされてもよい。本明細書で使われるように、選択されている行172Sと選択解除されている列170Dとに沿って配置されている、メモリセル154Aなどのメモリセルを、Aセルと呼ぶ。さらに、選択されている列170Sと選択解除されている行172Dとに沿って配置されている、メモリセル154Bなどのメモリセルを、Bセルと呼ぶ。さらに、選択解除されている列170Dと選択解除されている行172Dとに沿って配置されている、メモリセル154Cなどのメモリセルを、Cセルと呼ぶ。
【0036】
またもや図4と同様に、メモリデバイス200は、列170Sや170Dを介してメモリアレイ152と電気的に接続された列選択回路(COL SEL)196と、行172Sや172Dを介してメモリアレイ152と電気的に接続された行選択回路(ROW SEL)194とを、さらに含む。ある種の実施形態によれば、メモリデバイス200は、図4のCOL DESEL160と類似の列選択解除回路(COL DESEL)210をさらに含む。COL DESEL210は、COL SEL196を介して、そしてさらに列170Sや170Dをも介して、メモリアレイに電気的に接続されている。また、明確さのために図示はされていないものの、メモリデバイス200は、図4のROW DESEL162に類似した行選択解除回路ROW DESELを、さらに含むことができる。
【0037】
またもや図4と同様に、COL SEL196はPFET184とNFET182とを含み、これらのゲートは列デコーダ(不図示)に接続されており、ROW SEL194はPFET174とNFET176とを含み、これらのゲートは行デコーダ(不図示)に接続されている。
【0038】
ある種の実施形態では、図5に示されるように、所定の列に接続されているメモリセルが正にバイアスされるべきか、負にバイアスされるべきかに応じて、例えば中間バイアス列電圧源222または基準電圧源(例えばグランド)204を含む適切な電圧源に、その所定の列を接続するように構成され得る複数のスイッチを、COL DESEL210が含んでいる。図示された実施形態では、それらのスイッチは、第1のFET214と第2のFET218とを含み、それらのドレインはCOL SEL196のNFET182のソースに接続されている。そのうえ、第2のNFET218のソースをさらに中間バイアス列電圧源222に接続することもでき、第1のFET214のソースは、例えば0ボルトの基準電圧源に接続されていてもよい。図5では、第1と第2のスイッチを含むCOL DESEL210が、NFETである二つのFET214と218を備えるものとして、描かれている。しかし、実施形態はこのように限定されるわけではなく、いくつかの他の実施形態では、第1と第2のFETのうちの一方または双方をPFETとすることもできる。さらにまた別の実施形態では、COL DESEL210が、例えばダイオードまたは類似の素子といった、別の適切なスイッチング素子を含むこともできる。
【0039】
図5では説明の目的上、図示されているすべての列が一つのCOL DESEL210に接続されているが、COL DESEL210に接続することのできる任意の適切な本数の列をメモリデバイス200が含んでいてもよいことは、よく理解されるであろう。例えば、一実施形態においては、メモリデバイス200のそれぞれの列に接続されたCOL DESEL210があってもよい。他の実施形態では、例えばタイルなどの、アレイのうちの所定の単位の、列の総本数のうちの適切な一部分に接続された、COL DESEL210があってもよく、タイルは、例えば約1024列を含むことができる。COL DESEL210に接続される列の本数と、したがって、アレイに接続されるCOL DESEL210の数とは、とりわけ、COL DESEL210の面積フットプリントと、その量を届けるようにCOL DESEL210を構成することの可能な電流の量とに、依存し得る。
【0040】
ある種の実施形態では、列選択電圧源156と比べて、それよりも低い電圧を、COL SEL196を介して列170Sまたは170Dへと供給するように、中間バイアス列電圧源222を構成することができる。例えば、列選択電圧源156により列170Sまたは170Dへ供給される電圧の約20%から80%の間で供給するように、中間バイアス列電圧源222を構成することができる。例示として、ある種の実施形態では、約4Vから8Vの間、例えば約6Vの電圧、または、約3Vから7Vの間、例えば約5Vの電圧を供給するように、列選択電圧源156を構成することができる。さらに、約1Vから5Vの間、例えば約3Vの電圧、または、約0.5Vから4.5Vの間、例えば約2.5Vの電圧を供給するように、中間バイアス列電圧源222を構成することができる。
【0041】
さらに、明確さのために図5には図示されてはいないものの、ある種の実施形態では、COL DESEL210の代わりに、またはCOL DESEL210に加えて、メモリデバイス200が、ROW SEL194を介し、さらに行172Sおよび172Dも介してメモリアレイ152に電気的に接続された、行選択解除回路(図4のROW DESEL162に似たROW DESEL)を含むことができる、ということがよく理解されるだろう。動作中は、そのROW DESELは、(中間バイアス列電圧源222と類似の)中間バイアス行電圧源に接続されていてもよく、COL DESEL210と類似の方法で動作することができる。
【0042】
依然として図5を参照すると、ある種の実施形態では、動作中に、選択された列170Sと選択された行172Sとを介してTセル154Tにアクセスすることができるように、メモリデバイス200が構成されており、この場合、選択された列170Sと選択された行172Sとの間で、Tセル154Tを通って逆方向に流れる電流を伴う第1と第2のアクセス動作に応じて、第1と第2の抵抗状態の間で切り換えるように、Tセル154Tを構成する。例えば、第1の抵抗状態と第2の抵抗状態は、それぞれ、リセット状態とセット状態とすることができ、第1のアクセス動作と第2のアクセス動作は、それぞれ、セット動作とリセット動作とすることができる。あるいは、第1の抵抗状態と第2の抵抗状態は、それぞれ、セット状態とリセット状態とすることができ、第1のアクセス動作と第2のアクセス動作は、それぞれ、リセット動作とセット動作とすることができる。
【0043】
ある種の実施形態では、アクセス動作がセット動作またはリセット動作の一方であってよいのだが、これが、選択段階とアクセス段階とを含む。こうした実施形態では、Tセル154Tに対してアクセス動作を実行することは、選択段階の間は第1のバイアスを印加することと、第1のバイアスを除くことと、大きさでは第1のバイアスよりも小さい第2のバイアスをアクセス段階の間は印加することと、を含む。例えば、第1のバイアスは選択バイアスとすることができるのだが、列選択電圧源156が列選択電圧(VCOL SEL)をTセル154Tの第1の端に供給するように、COL SEL196のPFET184を作動させるとともに、例えば基準電圧204などの行選択電圧(VROW SEL)に電流制限器202を介してTセル154Tの第2の端を電気的に接続するように、ROW SEL194のNFET176を作動させることによって、選択段階回路経路230を使って第1のバイアスを印加することができる。
【0044】
さらに、アクセス動作がセット動作である場合には、第2のバイアスがセット・アクセス・バイアスであってもよいのだが、第1のバイアスを除いた後に、中間バイアス列電圧源222が中間バイアス列電圧を列選択解除電圧(VCOL DESEL)としてTセル154Tの第1の端に供給するように、COL DESEL210の第2のFET218を作動させるとともに、例えば基準電圧204などの行選択電圧(VROW SEL)に電流制限器202を介してTセル154Tの第2の端を電気的に接続するように、ROW SEL194のNFET176を作動させることによって、セット・アクセス回路経路238を使って第2のバイアスを印加することができる。アクセス動作がセット動作である場合には、Tセル154Tを通る電流の流れの向きが、選択段階とアクセス段階で同じである、ということがよく理解されるだろう。
【0045】
さらに、アクセス動作がリセット動作である場合には、第2のバイアスがリセット・アクセス・バイアスであってもよいのだが、第1のバイアスを除いた後に、Tセル154Tの第1の端を接地するようにCOL DESEL210の第1のFET214を作動させるとともに、行選択回路194がTセル154Tの第2の端に選択解除電圧(VROW DESEL)を供給するようにROW SEL194のPFET174を作動させることによって、リセット・アクセス回路経路234を使って第2のバイアスを印加することができる。アクセス動作がリセット動作である場合には、Tセル154Tを通る電流の流れの向きが、リセット動作の選択段階とアクセス段階で逆である、ということがよく理解されるだろう。
【0046】
以下では、メモリデバイスに対して逆の極性にあるセット・アクセス動作とリセット・アクセス動作が、種々の実施形態にしたがって記述される。図6図8は、種々の実施形態による、メモリセルがアクセスされるときの、メモリアレイの列と行の電圧・時間(V−T)曲線を示す図である。とりわけ、図6図8は、クロスポイント型アレイのメモリセルにアクセスするところを図示しているのだが、そこでは、リセット・アクセス動作とセット・アクセス動作に応じて切り換えるようにメモリセルを構成しており、リセット・アクセス動作とセット・アクセス動作において電流はメモリセルを通って逆方向に流れ、ここでアクセス動作は、選択段階の間は第1のバイアスを印加することと、第1のバイアスを除くことと、大きさでは第1のバイアスよりも小さい第2のバイアスをアクセス段階の間は印加することを含む。図6図8では、x軸が時間を表し、y軸が電圧を表す。
【0047】
図6は、ある種の実施形態により、列と行を介してメモリセルに対してセット・アクセス動作が実行されるクロスポイント型メモリアレイの、V−T曲線を示している。V−T曲線270と274は、選択された列と選択された行とに印加される電圧の時間的発展を表す。セット・アクセス動作は選択段階248を含み、その後にアクセス段階252が続く。選択段階248は、選択時点(t=tSEL)において、BL選択信号240が非活性化状態254から活性化状態256へと活性化されることにより、かつ、WL選択信号244が非活性化状態258から活性化状態260へと活性化されることにより、開始される。解放時点(t=tREL)において、BL選択信号240が非活性化されて非活性化状態254へと戻ると、選択段階248が終了する。アクセス段階252は、tRELにおいてBL選択信号240が非活性化されることにより開始され、選択解除時点(t=tDESEL)においてWL選択信号244が非活性化されることにより終了する。
【0048】
依然として図6を参照すると、ある種の実施形態では、(例えば、例として図5のAセル154AやBセル154BやCセル154Cなどの残りのセルを抑制するために)抑制されるべき列と行だけでなく、目的のセル(例えば図5のTセル154T)にアクセスするために選択すべき列と行をも含む、クロスポイント型メモリアレイの複数の列と行が、時刻t=0において、それぞれ、VCOL DESELとVROW DESELにプリチャージされていてもよい。プリチャージ電圧VCOL DESELおよびVROW DESELは、例えば、図5に関して説明した列選択電圧源156および行選択電圧源158によって供給されてもよい。
【0049】
SELにおいて、例えば、選択された列に対して、V−T曲線270により示されるようにVCOL SELを印加するとともに、選択された行に対して、V−T曲線274により示されるようにVROW SELを印加することによって、Tセルをまたいで選択バイアス286を印加することができる。VCOL SELは、例えば、COL SEL196(図5)を使って、選択された列を列選択電圧源156(図5)に接続することにより、印加することができる。VROW SELは、例えば、ROW SEL194(図5)を使って、選択された行をグランド204(図5)に接続することにより、印加することができる。選択された列と選択された行にVCOL SELとVROW SELがそれぞれ印加されると、Tセルを選択バイアス286のもとに置くことができ、電流が、選択段階回路経路230(図5)を通って、選択された列から、Tセルを介して、選択された行へと流れる。この条件のもとでは、AセルとBセルは、それぞれ、抑止バイアス282と278のもとにあるだろう。図示された実施形態では、Cセルが本質的にゼロ・バイアスのもとにあるよう、VCOL DESELとVROW DESELが実質的に同じ電圧レベルにあるが、Cセルが非ゼロ・バイアスとなるようにVCOL DESELとVROW DESELを別の電圧レベルとすることもできる、ということはよく理解されるだろう。
【0050】
COL SELとVROW SELとVCOL DESELとVROW DESELの相対的な大きさは、アレイにバイアスをかける所望の手法に依存するだけでなく、メモリ素子と選択素子との選び方にも依存して、適切な電圧になるように選ばれていてもよい。ある種の実施形態では、Tセルが約4Vから約10Vの間のバイアスのもとにあってもよく、その一方、タイプAとBのセルは、Tセルのバイアスの約50%、例えば約2Vから5Vのもとにあってもよく、Cセルは約0Vのもとにあってもよい。ある種の実施形態では、AとBとCをまたぐバイアスの和がおよそ選択バイアスに等しいようにしつつ、任意の適切な選択バイアスがTセルをまたいで印加され得るように、バイアスをかける手法を選んでもよい。
【0051】
メモリセルが選択バイアス286のもとに置かれていた、ある一定量の時間の後で、Tセルは、閾値時点(t=tTH)において閾値に至ることができ、そのことが原因で、今度は、スナップバック放電電流がメモリセルを通って流れるようになり得る。Tセルが閾値に至った後、Tセル両端のバイアスはホールド・レベル290へと落ち込み、これは、図2について説明したホールド電圧Vに対応していてもよく、例えば約0.1Vから約2Vの間の、例えば約1Vといった大きさであり得る。
【0052】
ある種の実施形態によれば、解放時点(t=tREL)においてTセルは、閾値到達後状態から、少なくとも瞬間的には解放され得る。ある種の実施形態では、Tセルを通って流れる電流が、図2について説明したIに似た最小ホールド電流未満にまで落ち込むことを可能とすることを、解放は含んでいる。
【0053】
ある種の実施形態によれば、閾値到達後状態からTセルを少なくとも瞬間的には解放した後に、Tセル両端にセット・アクセス・バイアス294が印加されてもよい。選択された列から選択された行へとTセルを通って電流が流れるような、選択された行と比べてより高い電位に、選択された列があるように、セット・アクセス・バイアス294が印加される。図3に関して上述したように、閾値到達後状態から解放された後、Tセルは、選択バイアス286よりもセット・アクセス・バイアス294の大きさが小さくなっているような、t=tRELから経過した時間に応じた大きさを有する、低下した閾値電圧を有することがある。セット・アクセス・バイアス294の大きさは、例えば、選択バイアス286の約75%未満、選択バイアス286の約50%未満、または選択バイアス286の約25%未満、などとすることができる。
【0054】
ある種の実施形態では、図6に示されるように、解放後すぐにセット・アクセス・バイアス294が印加される。他の実施形態では、Tセルを解放した後にセット・アクセス・バイアス294が印加されるまでに遅延があってもよい。ある種の実施形態では、セット・アクセス・バイアス294は、約5マイクロ秒以内、約500ナノ秒以内、約50ナノ秒以内、または約1ナノ秒以内に、印加されてもよい。
【0055】
例えば、セット・アクセス回路経路238(図5)を介して、選択された列に電圧VCOL DESELを印加するとともに、選択された行を接地することによって、Tセル両端にセット・アクセス・バイアス294を印加することができる。アクセス・バイアス294のもとにTセルをバイアスしておくように、選択された列へと電圧を供給するために、図5に図示されている列選択電圧源156または中間バイアス列電圧源222のいずれが使われてもよいことは、よく理解されるだろう。その電圧は、例えば、COL SEL196(図5)を使って、選択された列を列選択電圧源156(図5)に接続することで、選択された列へと印加することができて、その場合、電流は選択段階回路経路230(図5)を通って流れる。あるいは、その電圧は、例えば、COL DESEL210(図5)を使って、選択された列を中間バイアス列電圧源222(図5)に接続することで、選択された列へと印加することができて、その場合、電流はセット・アクセス回路経路238(図5)を通って流れる。図6の図示された実施形態は、アクセス段階252の間にセット・アクセス回路経路238を通って流れる電流に対応する。図示されたセット・アクセス動作の期間において、電流の流れの向き298が、バイアスをかけている二つの状態の間で同じになるように、すなわち、選択された列から選択された行への方向となるように、選択バイアス286とアクセス・バイアス294の双方の期間中、選択された列は選択された行よりも高い電圧にある、ということがよく理解されるだろう。選択解除時点t=tDESELにおいては、セット・アクセス動作を完了するために、選択された列と選択された行を、プリチャージ状態へ、つまり、それぞれVCOL DESELとVROW DESELへと、戻してもよい。
【0056】
図7は、ある種の実施形態による、列と行を介してメモリセルに対してリセット・アクセス動作が実行されるクロスポイント型メモリアレイの、電圧・時間曲線を示している。電圧・時間曲線(V−T)336と338は、それぞれ、選択された列と選択された行に対する電圧の時間的発展を表す。リセット・アクセス動作は選択段階312を含み、その後にアクセス段階316が続く。図示された実施形態では、選択段階312は、選択時点(t=tSEL)において、BL選択信号304とWL信号308が、それぞれ非活性化状態322と330から活性化されて、それぞれ活性化状態328と332になることによって、開始される。解放時点(t=tREL)において選択段階312が終了してアクセス段階316が始まり、その時、BL選択信号304とWL選択信号308は、非活性化されて、それぞれ非活性化状態322と330になる。アクセス段階316の期間中には、t=tSEL2において、列選択解除電圧300(VCOL DES)が、中間バイアス列電源324から基準電圧326へと変えられる。アクセス段階316は、選択解除時点(t=tDESEL)において列選択解除電圧300(VCOL DES)が中間バイアス列電源324に戻されるときに、終了する。
【0057】
依然として図7を参照すると、ある種の実施形態によれば、選択された列と選択された行にそれぞれ対応するV−T曲線336と338は、時刻t=0からt=tRELまでの選択段階の間は、図6について説明したセット・アクセス動作の選択段階についての、選択された列と行それぞれのV−T曲線270と274に、定性的には類似している。図6と同様に、t=tTHにおいて、目的のセル(例えば図5のTセル154T)が閾値に至るようにしてもよく、t=tRELにおいて、Tセルは、少なくとも瞬間的には、閾値到達後状態から解放されてもよい。ある種の実施形態では、リセット・アクセス動作における選択バイアス344の大きさは、セット・アクセス動作における(図6での)選択バイアス286よりも、例えば、約0.1Vから2Vまでの電圧差の分だけ、または、例えば約1Vといった、約0.5Vから1.5Vまでの電圧差の分だけ、小さくてもよい。
【0058】
その後、ある種の実施形態によれば、第2の選択時点(t=tSEL2)において、Tセル両端にリセット・アクセス・バイアス348aが印加されてもよい。図示した実施形態によれば、TセルをtRELで解放してから、リセット・アクセス・バイアス348aをtSEL2で印加するまでの間に、遅延があってもよい。図6について説明したセット・アクセス動作と同様に、リセット・アクセス・バイアス348aは、メモリセルをtRELで解放した時点から、約5マイクロ秒以内、約500ナノ秒以内、約50ナノ秒以内、または約1ナノ秒以内に、t=tSEL2において印加されてもよい。
【0059】
ある種の実施形態では、メモリセルがリセット・アクセス・バイアス348aのもとに置かれていた、ある一定量の時間の後で、Tセルは、第2の閾値時点(t=tTH2)において二度目に閾値に至ることができ、そのことによって今度は、第2のスナップバック放電電流がメモリセルを通って流れることになるのだが、その大きさは、t=tTHでのスナップバック事象の結果として起こるスナップバック放電よりも小さい。t=tTH2での第2のスナップバック事象の間、電流の流れの向きは、t=tTHでの第1のスナップバック事象の間の電流の流れの向きとは反対である。t=tTH2においてTセルが二度目に閾値に至った後、Tセル両端のバイアスは、閾値に至った後のリセット・アクセス・バイアス348bにまで、低下することがある。その後、図6について説明したセット・アクセス動作と同様に、選択解除時点t=tDESELにおいては、リセット・アクセス動作を完了するために、選択された列と選択された行を、プリチャージ状態へ、つまり、それぞれVCOL DESELとVROW DESELへと戻してもよい。
【0060】
ある種の実施形態では、例えば中間バイアス列電圧源222とCOL DESEL210(図5)を使って、選択された列に電圧を印加することができ、その場合、電流はリセット・アクセス回路経路234(図5)を通って流れる。図7の図示された実施形態は、リセット・アクセス回路経路234を通って流れる電流に対応する。
【0061】
図6について説明したセット・アクセス・バイアスとは違って、バイアスの方向が、選択バイアス344とリセット・アクセス・バイアス348で逆になっている、ということがよく理解されるだろう。選択バイアス344を印加している間は、選択された列から選択された行へ電流が流れるように、選択された列が、選択された行よりも高い電圧にある。リセット・アクセス・バイアス348を印加している間は、電流の流れが、選択された行から選択された列へとなるように、選択された列が、選択された行よりも低い電圧にある。例えば、COL DESEL210(図5)を使って、選択された列をグランド204(図5)に接続して、選択された列における電圧を(例えば0ボルトに接地された)低いレベルにまで降下させるとともに、(例えばグランド204と比べて)より高いレベルのVROW DESELを、選択された行へと印加することによって、このような電流の流れの逆転を引き起こすことができる。上記で議論した通り、選択された列だけでなく、選択解除されている他の列も、COL DESEL210(図5)を用いて同じ中間バイアス列電圧源222(図5)に接続することができる。選択解除されている列は、低い電圧レベル350(例えばVROW SEL)にまで降下させることができる。上記で議論した通り、中間バイアス列電圧源222に接続された、選択解除されている列の本数は、メモリデバイスの設計に依存した任意の適切な本数とすることができ、例えば、1本から、タイル内の列の一部までの間とすることができる。選択された沿いのタイプAのセルのうちの一部もバイアスの逆転に遭うことがあるが、当該一部のセルはスナップバック事象に遭わないだろう、ということ、なぜなら、Tセルとは異なり、タイプAのセルのうちの上記一部は、Tセルが遭ったのと似たようなtTHにおける前回のスナップバック事象には遭っておらず、したがって、タイプAのセルのうちの上記一部の閾値電圧は、Tセルの閾値電圧のように、図3について上述した一時的な閾値電圧の低下とその回復効果にしたがって一時的に小さくなったりしてはいないためである、ということが、よく理解されるだろう。
【0062】
ある種の実施形態では、メモリコントローラが、tTHに起きるスナップバック事象を検出して、選択された列に対する列選択解除電圧VCOL DESの、(例えば図5の中間バイアス列電圧源222により供給される)中間バイアス列電圧から基準電圧(例えばグランド204)への切り換えを引き起こすように、構成されていてもよい。その検出は、電流検出回路もしくは電圧検出回路により行うことができ、かつ/または、例えば約100ナノ秒より短い時間の継続期間のあいだ持続する電圧事象もしくは電流事象を検出するよう設計された技術を使うことで、行うことができる。メモリコントローラがスナップバック事象を検出することができる、これらの実施形態においては、スナップバック事象を検出済みかどうかに基づいて、条件に応じて中間バイアス列電圧から基準電圧への切り換えを行うことができる。
【0063】
図8は、ある他の実施形態による、列と行を介してメモリセルに対してリセット・アクセス動作が実行されるクロスポイント型メモリアレイの、電圧・時間曲線を示している。電圧・時間曲線(V−T)390と394は、選択された列と選択された行に対する電圧の時間的発展を表す。リセット・アクセス動作は選択段階372を含み、その後に、図7について説明した選択段階312とアクセス段階316のやり方に似たやり方で開始および終了するアクセス段階376が続く。図7とは異なり、図8に表されている実施形態では、t=tTHに起こるスナップバック事象を検出するようにはメモリコントローラが構成されていないかもしれず、かつ、中間バイアス列電源切り換え信号360が選択段階372の間にt=tsel2において非活性化状態378から活性化状態380へと活性化される、という点を除いて、図8のリセット・アクセス動作の順序は、図7のリセット・アクセス動作の順序に似ている。これらの実施形態では、図7と同様に、t=tRELでメモリセルを解放するのと第2の閾値時点t=tTH2との間において、選択された列に対する電圧供給が、列電圧源(例えば図5列選択電圧源156)から中間バイアス列電圧源(例えば図5の中間バイアス列電圧源222)へと切り換えられる一方で、選択された列と選択された行をt=tSELで選択した後のt=tSEL2において、中間バイアス列電圧源が活性化される。目的のセルが閾値に到達する事象は、t=tSEL2の前に起こるのでもよく、またはそれより後に起こるのでもよい。t=tRELまでには、列選択解除電源が既に切り換わっているため、目的のセルの両端にかかるバイアスは、図7でのようにまず非活性化状態になることなく、第2の選択バイアス414aへと遷移することができる。この直接的な遷移は、ある種の実施形態による利点となり得る。目的のセルに印加される後続のアクセス・バイアス414bは、図7について説明したものと類似である。
【0064】
ある種の実施形態の観点から本発明を説明してきたが、本明細書で述べた特徴と利点のすべてを提供する訳ではない実施形態をも含む、当業者にとって明白な他の実施形態も、本発明の範囲内に入る。また、さらなる実施形態を提供するために、上述の様々な実施形態を組み合わせることができる。さらに、一実施形態の文脈において示された或る特徴を他の実施形態に組み込むこともまた、可能である。したがって、本発明の範囲は、付属の請求項を参照することによってのみ、定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8