特許第6445745号(P6445745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6445745
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ダイレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20181217BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61B17/34
   A61M25/06 550
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-530811(P2018-530811)
(86)(22)【出願日】2018年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2018011674
【審査請求日】2018年6月12日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/012024
(32)【優先日】2017年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 友希弘
(72)【発明者】
【氏名】槇 英昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 乃基
(72)【発明者】
【氏名】澤井 陽
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−177289(JP,A)
【文献】 特表2014−524807(JP,A)
【文献】 特開2012−095812(JP,A)
【文献】 特開2012−100827(JP,A)
【文献】 実開平04−090355(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状のシャフトと、前記シャフトの基端に接続された把持部とを有するダイレータであって、
前記シャフトの外周面に、外部に突出する螺旋状の凸部が設けられ、
前記シャフトが、1本又は複数本の素線を中空形状に巻き回した第1コイルからなり、
前記螺旋状の凸部は、前記シャフトの軸に沿って隣り合う部分に隙間を有し、
前記螺旋状の凸部が、1本又は複数本の素線を前記シャフトの外周面に巻き回した第2コイルからなるダイレータ。
【請求項2】
前記第2コイルは、1本の素線を前記シャフトの外周面に巻き回して形成している請求項1に記載のダイレータ。
【請求項3】
前記第2コイルの素線は、隣接する素線間の離間量が基端側に向かって徐々に減少するように巻回されている請求項1または請求項2に記載のダイレータ。
【請求項4】
記第1コイル及び前記第2コイルの各素線が互いに反対向きに巻き回されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のダイレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療又は診断の為に、患者の血管等の体内管腔にカテーテルを挿入する場合には、シースイントロデューサーと呼ばれる補助具が使用されてきた。シースイントロデューサーは、患者の体内管腔と体外とを繋ぐためのシースと、そのシース内に挿入され、体表に形成された孔を拡張するためのダイレータとを備えている。例えば、特許文献1には、シース80とダイレータ70とを備えたシースイントロデューサー200が記載されている(図1等参照)。
【0003】
かかるシースイントロデューサー200を使用する場合には、先ず、患者の皮膚の所定位置に導入針を使用して穿孔し、その孔よりガイドワイヤを血管等の体内管腔に挿入し、ダイレータ70がシース80に挿入された状態のシースイントロデューサー200の先端にガイドワイヤの基端を挿入させ、シースイントロデューサー200をガイドワイヤに沿わせながら体内管腔に挿入する。この際、ダイレータ70の先端が皮膚に形成された孔を拡径する。そして、ダイレータ70がシースイントロデューサー200から抜去された後、シースイントロデューサー200内にカテーテルが挿入され、血管等の体内管腔内に挿入される。
【0004】
このようなシースイントロデューサーは、一般に患者の皮膚から挿入されるものであり、特許文献1に記載されているように、短くて直線形状のものが一般的であった。一方、患者の皮膚からではなく、患者の口又は鼻から挿入された内視鏡の先端から導入針を突出させ、患者の胃等の消化管の壁の所定位置に穿孔し、その孔よりガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの基端にダイレータの先端を挿入させ、ダイレータをガイドワイヤに沿わせながら消化管の壁に挿入して消化管の壁に形成された孔を拡径するような手技が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−11867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような手技に使用されるダイレータは、患者の口または鼻から挿入されるものであるから比較的長く、かつ、消化管を通るものであるから、一般に湾曲された状態で使用されることを考慮する必要があった。
【0007】
しかしながら、ダイレータの長さを長くした場合には、手許からの回転力(トルク)及び押込み力(プッシャビリティー)が、ダイレータの先端まで伝わらず、延いては、消化管の壁に形成された孔を拡径できないという問題があった。さらに、ダイレータが湾曲した場合には、特に、これらの性能の劣化が顕著に現れるという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シャフトの長さを長くし、かつ、湾曲させた場合においても、プッシャビリティー及びトルク伝達性を維持して、消化管等の壁に形成された孔を容易に拡径することができるダイレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の一態様に係るダイレータは、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状のシャフトと、前記シャフトの基端に接続された把持部とを有するダイレータであって、前記シャフトの外周面に、外部に突出する螺旋状の凸部が設けられ、前記螺旋状の凸部は、前記シャフトの軸に沿って隣り合う部分に隙間を有する。
【0010】
また、前記螺旋状の凸部は、前記シャフトの先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分に設けられていてもよい。
【0011】
また、前記外径が拡大する部分は、前記シャフトの先端側の外径が基端側の外径よりも小さいテーパ形状であってもよい。
【0012】
また、前記螺旋状の凸部の隙間が、前記シャフトの先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなっていてもよい。
【0013】
また、前記シャフトが、1本又は複数本の素線を中空形状に巻き回した第1コイルからなっていてもよい。
【0014】
また、前記螺旋状の凸部が、1本又は複数本の素線を前記シャフトの外周面に巻き回した第2コイルからなっていてもよい。
【0015】
また、第2コイルは、1本の素線を前記シャフトの外周面に巻き回して形成していてもよい。
【0016】
また、第2コイルの素線は、前記シャフトの前記基端側において前記軸に沿って密着して巻回されており、前記シャフトの前記テーパ形状の部分を含む先端側において前記軸に沿って離間して巻回されていてもよい。
【0017】
また、前記シャフトが、1本又は複数本の素線を中空形状に巻き回した第1コイルからなり、前記螺旋状の突部が、1本又は複数本の素線を前記シャフトの外周面に巻き回した第2コイルからなり、前記第1コイル及び前記第2コイルの各素線が互いに反対向きに巻き回されていてもよい。
【0018】
また、前記シャフトが、複数の第1素線を、先端に向って細くなるテーパ中空形状に巻回した第1層体から構成され、前記螺旋状の突部が、前記第1層体の表面に、1本の第2素線が前記第1層体とは反対向きに巻回された第2層体から構成され、前記第1積層体と第2積層体からなる多層体において、前記第2素線は、基端側において密着して巻回されており、テーパ中空形状部を含む先端側において離間して巻回されていてもよい。
【0019】
また、前記第2素線の離間量は、前記テーパ中空形状部基端側の円筒部において徐々に減少していてもよい。
【0020】
また、前記シャフトが、複数の第3素線を中空形状に巻回した第3層体と、その第3層体の先端から基端側に離間して、前記第3層体の外周に複数の第4素線を巻回した第4層体とから構成され、前記螺旋状の突部が、前記第4層体の先端の先端側に、前記第3層体の外周に1本の第5素線を離間させて巻回した第5層体からなっていてもよい。
【0021】
また、前記第4層体の先端から基端側に離間して、前記第4層体の外周に複数の第6素線を巻回した第6層体を備え、前記第6層体の先端の先端側には、前記第4層体の外周に1本の第7素線を離間させて前記第5層体と同一方向に巻回した第7層体とを備えてもよい。
【0022】
また、前記第5層体は、前記第4層体と一体的に形成されていてもよい。
【0023】
また、前記第7層体は、前記第6層体と一体的に形成されていてもよい。
【0024】
また、前記第6層体は、前記第7層体と一体的に形成されていてもよい。
【0025】
また、前記第6層体及び前記第7層体の離間量は、基端側に向って徐々に減少していてもよい。
【0026】
また、先端の外表面は、平坦状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シャフトの長さを長くし、かつ、湾曲させた場合においても、先端柔軟性を確保し、プッシャビリティー及びトルク伝達性を維持して、消化管等の壁に形成された形成された孔を容易に拡径することができるダイレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態のダイレータの全体図である。
図2】第1実施形態のダイレータ(多層体)の内腔を示した先端部図面である。
図3図1のIII−III断面図である。
図4】第2実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図5】第3実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図6】第3実施形態のダイレータ(多層体)の内腔を示した先端部図面である。
図7図5のVII−VII断面図である。
図8】第4実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図9】第5実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図10】第6実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図11】第7実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図12】第8実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
図13】第9実施形態のダイレータの全体図である。
図14】第10実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
図15】第11実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
図16】第12実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
図17】変形例のダイレータの先端部図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面に示したダイレータの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のダイレータの全体図であり、図2は、本第1実施形態のダイレータ(多層体)の内腔を示した先端部図面であり、図3は、図1のIII−III断面図である。
【0030】
また、図1及び図2において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0031】
図1において、ダイレータ1は、複数の金属素線3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3j及び3kを巻回して中空状に形成された中空コイル体3と、その中空コイル体3の表面に、中空コイル体3(先端に向って左巻き)とは反対向き(先端に向って右巻き)に巻回された1本の金属素線5aからなるコイル体5とから構成された多層体7と、その多層体7の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0032】
ここで、多層体7は、基端部P3において円筒中空形状であり、中間部P2においてテーパ中空形状であり、先端部P1において円筒中空形状である。
【0033】
なお、金属素線3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3j及び3kは、「第1素線」に相当し、中空コイル体3は、「第1層体」と、「シャフト」と、「第1コイル」とに相当する。
また、金属素線5aは、「第2素線」に相当し、コイル体5は、「第2層体」と、「螺旋状の凸部」と、「第2コイル」とに相当する。
さらに、中空コイル体3の中間部P2は、「テーパ中空形状部」と、「外径が拡大する部分(テーパ形状)」とに相当する。また、コネクタ9は、「把持部」に相当する。
【0034】
中空コイル体3は、図3に示すように10本のステンレス鋼からなる金属素線3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3j及び3kを巻回して中空形状にしたものである。中空コイル体3は、基端部P3において円筒中空形状であり、中間部P2においてテーパ中空形状であり、先端部P1において円筒中空形状であり、先端に向って外径が細くなるようにしてある。すなわち、中空コイル体3は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。
【0035】
図2においては、中空コイル体3の共通内接線を点線で示している。中空コイル体3の共通内接線内側には内腔8が形成されている(図3参照)。
【0036】
なお、本実施形態において、中空コイル体3を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0037】
コイル体5は、1本のステンレス鋼からなる金属素線5aが中空コイル体3(先端に向って左巻き)とは反対向き(先端に向って右向き)に巻回されたものである。ここで、金属素線5aは、基端側において密着して巻回されており、中間部P2及び先端部P1において離間して巻回されている。コイル体5により、中空コイル体3の外周面3Lに、外部(ダイレータ1の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体3の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体5は、中空コイル体3の外径が拡大する部分である中間部P2に設けられている。
【0038】
また、本実施形態における金属素線5aは、隣接する金属素線間の離間量が、基端部P3の円筒中空形状部においてその基端側に向って徐々に減少している。この構成により、ダイレータ1(多層体7)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ1(多層体7)を内部に容易に進入させることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、金属素線5aは、隣接する金属素線間の離間量が、基端部P3の円筒中空形状部においてその基端側に向って徐々に減少するように構成したが、この構成に限らず、隣接する金属素線間の離間量を先端部P1から基端部P3に向って一定になるようにした場合においても、ダイレータ1(多層体7)の長さを長くし、かつ、ダイレータ1(多層体7)を湾曲させた場合において、ダイレータ1(多層体7)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ1(多層体7)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、1本の金属素線5aのネジ効果によって、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ1を前進させることができる。また、コイル体5は、中空コイル体3の外径が拡大する部分、すなわち中間部P2に設けられているので、形成された孔を容易に拡径することができる。
【0040】
また、金属素線5aについて、隣接する金属素線間の離間量が、基端部P3の円筒中空形状部においてその基端側に向って徐々に減少するようにしているので、ダイレータ1(多層体7)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ1(多層体7)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0041】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体3(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線5aを中空コイル体3の外周面3Lに巻き回したコイル体5(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ1の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体3およびコイル体5の各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ1を中空コイル体3が開く方向へ回転させても、コイル体5には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体3が開くのを抑制することができ、ダイレータ1のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0042】
なお、本実施形態において、金属素線5aをステンレス鋼としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0043】
本実施形態及びこれ以降に記載される他の実施形態におけるダイレータの長さは、例えば2000mm、好ましくは1600mm〜2500mmであり、先端部P1の長さは、例えば10mm、好ましくは0〜100mmであり、中間部P2の長さは、例えば30mm、好ましくは5〜100mmである。中空コイル体3の先端における内径は、例えば0.7mm、好ましくは0.4〜1.0mmであり、中空コイル体3の基端における内径は、例えば1.5mm、好ましくは1.0〜3.0mmである。コイル体5の先端における外径は、例えば1.84mm、好ましくは0.8〜3.0mmであり、コイル体5の基端における外径は、例えば2.64mm、好ましくは1.4mm〜5.0mmである。また、金属素線3a−3hおよび3j−3kの直径は、例えば0.21mm、好ましくは0.1〜0.5mmであり、金属素線5aの直径は、例えば0.36mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。
【0044】
コネクタ9は、その先端が中空コイル体3の基端及びコイル体2の基端に接続されている。コネクタ9は樹脂からなり、中空コイル体3の内腔8に連通する内腔を有する中空形状である。
【0045】
次に、当該ダイレータの使用態様の一例について説明する。
【0046】
先ず、導入針を用いて対象物を穿刺する。穿刺後に、導入針の内腔にガイドワイヤを挿入した後、導入針を抜き、本実施形態のダイレータ1の先端をガイドワイヤの基端から穿刺部まで挿入する。そして、ダイレータ1を回転させながら押し進めることにより、穿刺部の孔を拡径することができる。
【0047】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。また、図4において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0048】
なお、本実施形態のダイレータ(多層体)は、第1実施形態のダイレータ1(多層体7)と基本的には同じ構造である為、同じ部材については同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
図4において、ダイレータ10は、複数の金属素線3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3j及び3kを巻回して中空状に形成された中空コイル体3と、その中空コイル体3の表面に、中空コイル体3(先端に向って左巻き)とは反対向き(先端に向って右巻き)に巻回された1本の金属素線5aからなるコイル体5とから構成された多層体17と、その多層体17の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備えるが、ダイレータ10の多層体17が中空コイル体3の先端に最先端部6を有するのに対し、ダイレータ1の多層体7が中空コイル体3の先端に最先端部6を有しない点において両ダイレータは相違する。本実施形態では、先端に最先端部6が設けられた中空コイル体3が「シャフト」に相当する。
【0050】
最先端部6は、中空コイル体3の先端にロウ材(銀錫ロウ材、金錫ロウ材等)を流し込んで形成されており、その形状は略円筒中空形状である。また、最線端部6の表面は、多層体7の先端のように表面が凸凹形状ではなく、平坦である。
【0051】
かかる構成のダイレータ10によれば、多層体17の先端に、表面が平坦な最先端部6が接続されているので、穿刺部に対して、ダイレータを先ず押し、それから回転させながら押込みことにより、穿刺部への挿入性をさらに向上させることができる。
【0052】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面であり、図6は、第3実施形態のダイレータ(多層体)の内腔を示した先端部図面であり、図7は、図5のVII−VII断面図である。
【0053】
また、図5及び図6において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0054】
図5において、ダイレータ20は、複数の金属素線21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21j及び21kを巻回して中空状に形成された中空コイル体21と、その中空コイル体21の先端から基端側に離間して、中空コイル体21の外周に複数の金属素線22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22j、22k、22m、22n、22p、22q、22r及び22sを中空コイル体21と同じ向き(先端に向って左巻き)に巻回して形成されたコイル体22と、そのコイル体22の先端から基端側に離間して、コイル体22の外周に複数の金属素線23a(図5、6では、一本の金属素線23aのみに参照番号を付している。)を、コイル体22(先端に向って左巻き)とは反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体23と、そのコイル体23の先端の先端側に、コイル体22の外周に1本の金属素線25aを離間させて巻回したコイル体25と、コイル体22の先端の先端側に、コイル体21の外周に1本の金属素線24aを離間させて金属素線25aと同一方向に巻回したコイル体24とから構成された多層体27と、その多層体27の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0055】
ここで、多層体27の形状は、基端部P3の基端側では多層体7及び多層体17と同様、円筒中空形状であるが、先端部近傍においては、多層体7及び多層体17と異なり、先端テーパ形状ではなく、段付き円筒中空形状である。
【0056】
なお、金属素線21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21j及び21kは、「第3素線」に相当し、中空コイル体21は、「第3層体」に相当する。
【0057】
また、金属素線22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22j、22k、22m、22n、22p、22q、22r及び22sは、「第4素線」に相当し、コイル体22は、「第4層体」と、「外径が拡大する部分」とに相当する。
【0058】
また、金属素線24aは、「第5素線」に相当し、コイル体24は、「第5層体」に相当する。
【0059】
また、金属素線23aは、「第6素線」に相当し、コイル体23は、「第6層体」に相当する。中空コイル体21およびコイル体22は、「シャフト」と「第1コイル」とに相当する。
【0060】
さらに、金属素線25aは、「第7素線」に相当し、中空コイル体25は、「第7層体」に相当する。中空コイル体24および中空コイル体25は、「螺旋状の凸部」と「第2コイル」とに相当する。
【0061】
中空コイル体21は、図7に示すように10本のステンレス鋼からなる金属素線21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21j及び21kを撚って中空形状にしたものである。中空コイル体21は、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0062】
図6においては、中空コイル体21の共通内接線を点線(3本の点線のうちの最内側)で示している。中空コイル体21の共通内接線内側には内腔28が形成されている(図7参照)。
【0063】
また、コイル体22は、図7に示すように16本のステンレス鋼からなる金属素線22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22j、22k、22m、22n、22p、22q、22r及び22sを中空コイル体21の表面に撚って形成したものである。コイル体22も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0064】
図6においては、コイル体22の共通内接線を点線(3本の点線のうちの中間)で示している。
【0065】
また、コイル体23は、23本のステンレス鋼からなる金属素線23aをコイル体22の表面に撚って形成したものである。コイル体23も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0066】
図6においては、コイル体23の共通内接線を点線(3本の点線のうちの最外側)で示している。コイル体22は中空コイル体21の表面に撚って形成されている。よって、シャフトに相当する中空コイル体21およびコイル体22は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。
【0067】
また、コイル体24は、1本のステンレス鋼からなる金属素線24aをコイル体21の表面に形成したものであり、コイル体25は、1本のステンレス鋼からなる金属素線25aをコイル体22の表面に形成したものである。
【0068】
本実施形態において、中空コイル体21、コイル体22及びコイル体23は、各素線が密着して巻回されており、コイル体24及びコイル体25は、素線が離間して巻回されている(図6参照)。コイル体24により、中空コイル体21の外周面21Lに、外部(ダイレータ20の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられ、コイル体25により、コイル体22の外周面22Tに、外部(ダイレータ20の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体21の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体25は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体22に設けられている。
【0069】
なお、本実施形態において、中空コイル体21、コイル体22、コイル体23、コイル体24及びコイル体25を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0070】
本実施形態のダイレータ20(多層体27)によれば、ダイレータ20(多層体27)の長さを長くし、かつ、ダイレータ20(多層体27)を湾曲させた場合において、ダイレータ20(多層体27)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ20(多層体27)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、1本の金属素線24a及び金属素線25aのネジ効果によって、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ20を前進させることができる。また、コイル体25は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体22に設けられているので、形成された孔を容易に拡径することができる。
【0071】
なお、本実施形態において、金属素線25a及び金属素線24aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ20(多層体27)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ20(多層体27)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0072】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体21およびコイル体22(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線を中空コイル体21の外周面21Lに巻き回したコイル体24(第2コイル)およびコイル体22の外周面22Tに巻き回したコイル体25(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ20の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体21およびコイル体22とコイル体24およびコイル体25との各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ20を中空コイル体21およびコイル体22が開く方向へ回転させても、コイル体24およびコイル体25には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体21およびコイル体22が開くのを抑制することができ、ダイレータ20のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0073】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。また、図8において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0074】
図8において、ダイレータ30は、複数の金属素線31a、31b、31c、31d、31e、31f、31g、31h、31j及び31kを巻回して中空状に形成された中空コイル体31と、その中空コイル体31の先端から、中空コイル体31の外周に1本の金属素線32aを中空コイル体31と反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体32と、そのコイル体32の先端から基端側に離間して、コイル体32の外周に複数の金属素線33a(図8では、一本の金属素線33aのみに参照番号を付している。)を、コイル体32(先端に向って右巻き)とは反対向き(先端に向って左巻き)に巻回して形成されたコイル体33と、そのコイル体33の先端の先端側に、コイル体32の外周に1本の金属素線35aを離間させてコイル体32(先端に向って右巻き)と同じ向き(先端に向って右巻き)に巻回したコイル体35とから構成された多層体37と、その多層体37の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0075】
ここで、多層体37は、第3実施形態の多層体27と同様の段付き円筒中空形状であるが、第3実施形態の多層体27のコイル体22とコイル体24とが別部材で構成されているのに対し、本実施形態の多層体37は、コイル体32が一体的に連続して構成されている点で異なる。すなわち、コイル体32は、図8に示すように、金属素線32aが基端側では密着して巻回されており、先端側では、離間して巻回されている。
【0076】
なお、中空コイル体31およびコイル体32の密着して巻回されている部分は、「シャフト」と「第1コイル」とに相当する。コイル体32の離間して巻回されている部分およびコイル体35は、「螺旋状の凸部」と「第2コイル」とに相当する。また、コイル体32の密着して巻回されている部分は、「外径が拡大する部分」に相当する。
【0077】
中空コイル体31は、中空コイル体21と同様に、10本のステンレス鋼からなる金属素線31a、31b、31c、31d、31e、31f、31g、31h、31j及び31kを撚って中空形状にしたものである。中空コイル体31は、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0078】
また、コイル体32は、1本のステンレス鋼からなる金属素線32aをコイル体31の表面に巻回して形成したものである。コイル体32も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0079】
また、コイル体33は、23本のステンレス鋼からなる金属素線33aをコイル体32の表面に撚って形成したものである。中空コイル体33も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。コイル体32の密着して巻回されている部分は中空コイル体31の表面に撚って形成されている。よって、シャフトに相当する中空コイル体31およびコイル体32の密着して巻回されている部分は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。
【0080】
さらに、コイル体35は、1本のステンレス鋼からなる金属素線35aをコイル体32の表面に形成したものである。
【0081】
本実施形態において、中空コイル体31及びコイル体33は、各素線が密着して巻回されている(図8参照)。コイル体32の離間して巻回されている部分により、中空コイル体31の外周面31Lに、外部(ダイレータ30の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられ、コイル体35により、コイル体32の密着して巻回されている部分の外周面32Bに、外部(ダイレータ30の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体31の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体35は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体32の密着して巻回されている部分に設けられている。
【0082】
なお、本実施形態において、中空コイル体31、コイル体32、コイル体33及びコイル体35を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0083】
本実施形態のダイレータ30(多層体37)によれば、ダイレータ30(多層体37)の長さを長くし、かつ、ダイレータ30(多層体37)を湾曲させた場合において、ダイレータ30(多層体37)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ30(多層体37)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、多層体37を回転させたときに、コイル体32の基端から先端に向って連続した1本の金属素線32a及び金属素線35aによるネジ効果をさらに向上させて、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ30を容易に前進させることができる。また、コイル体35は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体32の密着して巻回されている部分に設けられているので、形成された孔をさらに容易に拡径することができる。
【0084】
なお、本実施形態において、金属素線32a及び金属素線35aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ30(多層体37)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ30(多層体37)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0085】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体31およびコイル体32(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線を中空コイル体31の外周面31Lに巻き回したコイル体32(第2コイル)およびコイル体32の外周面32Bに巻き回したコイル体35(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ30の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体31とコイル体32およびコイル体35との各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ30を中空コイル体31が開く方向へ回転させても、コイル体32およびコイル体35には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体31が開くのを抑制することができ、ダイレータ30のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0086】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
また、図9において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0087】
図9において、ダイレータ40は、複数の金属素線41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41j及び41kを巻回して中空状に形成された中空コイル体41と、その中空コイル体41の先端から基端側に離間して、中空コイル体41の外周に複数の金属素線42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、42j、42k、42m、42n、42p、42q、42r及び42sを中空コイル体21(先端に向って左巻き)と同一の向き(先端に向って左巻き)に巻回して形成されたコイル体42と、その中空コイル体42の先端から、中空コイル体42の外周に1本の金属素線43aを中空コイル体42と反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体43と、コイル体42の先端の先端側に、コイル体41の外周に1本の金属素線44aを離間させてコイル体43(先端に向って右巻き)と同じ向き(先端に向って右巻き)に巻回したコイル体44とから構成された多層体47と、その多層体47の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0088】
ここで、多層体47は、第3実施形態の多層体27と同様の段付き円筒中空形状であるが、第3実施形態の多層体27のコイル体25とコイル体23とが別部材で構成されているのに対し、本実施形態の多層体47は、コイル体43が一体的に連続して構成されている点で異なる。すなわち、コイル体43は、図9に示すように、金属素線43aが基端側では密着して巻回されており、先端側では、離間して巻回されている。
【0089】
なお、中空コイル体41およびコイル体42は、「シャフト」と「第1コイル」とに相当する。コイル体43の離間して巻回されている部分およびコイル体44は、「螺旋状の凸部」と「第2コイル」とに相当する。また、コイル体42は、「外径が拡大する部分」に相当する。
【0090】
中空コイル体41は、中空コイル体21と同様に、10本のステンレス鋼からなる金属素線41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41j及び41kを撚って中空形状にしたものである。中空コイル体41は、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0091】
また、コイル体42は、16本のステンレス鋼からなる金属素線42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h、42j、42k、42m、42n、42p、42q、42r及び42sを、中空コイル体41と同じ向き(先端に向って左巻き)に巻回して、コイル体41の表面に形成したものである。コイル体42も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0092】
また、コイル体43は、1本のステンレス鋼からなる金属素線43aをコイル体42の表面に巻回し形成したものである。中空コイル体43も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0093】
さらに、コイル体44は、1本のステンレス鋼からなる金属素線44aを、コイル体43(先端に向って右巻き)と同じ向き(先端に向って右巻き)に巻回して、コイル体41の表面に形成したものである。
【0094】
本実施形態において、中空コイル体41及びコイル体42は、各素線が密着して巻回されている(図9参照)。コイル体42は中空コイル体41の表面に撚って形成されている。よって、シャフトに相当する中空コイル体41およびコイル体42は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。コイル体44により、中空コイル体41の外周面41Lに、外部(ダイレータ40の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられ、コイル体43より、コイル体42の外周面42Tに、外部(ダイレータ40の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体41の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体43は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体42に設けられている。
【0095】
なお、本実施形態において、中空コイル体41、コイル体42、コイル体43及びコイル体44を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0096】
本実施形態のダイレータ40(多層体47)によれば、ダイレータ40(多層体47)の長さを長くし、かつ、ダイレータ40(多層体47)を湾曲させた場合において、ダイレータ40(多層体47)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ40(多層体47)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、多層体47を回転させたときに、コイル体43の基端から先端に向って連続した1本の金属素線43a及び金属素線44aによるネジ効果をさらに向上させて、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ40を容易に前進させることができる。また、コイル体43は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体42に設けられているので、形成された孔をさらに容易に拡径することができる。
【0097】
なお、本実施形態において、金属素線44a及び金属素線43aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ40(多層体47)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ40(多層体47)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0098】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体41およびコイル体4(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線を中空コイル体41の外周面41Lに巻き回したコイル体44(第2コイル)およびコイル体42の外周面42Bに巻き回したコイル体43(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ40の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体41およびコイル体42とコイル43およびコイル体44との各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ40を中空コイル体41およびコイル体42が開く方向へ回転させても、コイル体43およびコイル体44には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体41およびコイル体42が開くのを抑制することができ、ダイレータ40のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0099】
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
また、図10において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0100】
図10において、ダイレータ50は、複数の金属素線51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h、51j及び51kを巻回して中空状に形成された中空コイル体51と、その中空コイル体51の先端から基端側に離間して、中空コイル体51の外周に複数の金属素線52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52h、52j、52k、52m、52n、52p、52q、52r及び52sを中空コイル体51(先端に向って左巻き)と同一の向き(先端に向って左巻き)に巻回して形成されたコイル体52と、中空コイル体51の先端から、中空コイル体51及びコイル体52の外周に1本の金属素線53aを中空コイル体52と反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体53とから構成された多層体57と、その多層体57の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0101】
ここで、多層体57は、第3実施形態の多層体27と同様の段付き円筒中空形状であるが、第3実施形態の多層体27のコイル体24、コイル体25及びコイル体23が別部材で構成されているのに対し、本実施形態の多層体57は、コイル体53が一体的に連続して構成されている点で異なる。すなわち、コイル体53は、図10に示すように、1本の金属素線53aが基端側では密着して巻回されており、コイル体52の先端側及びコイル体51の先端側では、離間して巻回されている。
【0102】
なお、中空コイル体51およびコイル体52は、「シャフト」と「第1コイル」とに相当する。コイル体53の離間して巻回されている部分は、「螺旋状の凸部」と「第2コイル」とに相当する。また、コイル体52は、「外径が拡大する部分」に相当する。
【0103】
中空コイル体51は、中空コイル体21と同様に、10本のステンレス鋼からなる金属素線51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h、51j及び51kを撚って中空形状にしたものである。中空コイル体51は、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0104】
また、コイル体52は、16本のステンレス鋼からなる金属素線52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52h、52j、52k、52m、52n、52p、52q、52r及び52sを、中空コイル体51と同じ向き(先端に向って左巻き)に巻回して、コイル体51の表面に形成したものである。コイル体52も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0105】
さらに、コイル体53は、1本のステンレス鋼からなる金属素線53aをコイル体51及びコイル体52の表面に巻回し形成したものである。中空コイル体53も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0106】
本実施形態において、中空コイル体51及びコイル体52は、各素線が密着して巻回されている(図10参照)。コイル体52は中空コイル体51の表面に撚って形成されている。よって、シャフトに相当する中空コイル体51、コイル体52、およびコイル体53の密着して巻回されている部分は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。コイル体53により、中空コイル体51の外周面51Lおよびコイル体52の外周面52Tに、外部(ダイレータ50の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体51の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体53は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体52に設けられている。
【0107】
なお、本実施形態において、中空コイル体51、コイル体52及びコイル体53を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0108】
本実施形態のダイレータ50(多層体57)によれば、ダイレータ50(多層体57)の長さを長くし、かつ、ダイレータ50(多層体57)を湾曲させた場合において、ダイレータ50(多層体57)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ50(多層体57)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、多層体57を回転させたときに、コイル体53の基端から先端に向って連続した1本の金属素線53aによるネジ効果をさらに向上させて、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ50を容易に前進させることができる。また、コイル体53は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体52に設けられているので、形成された孔をさらに容易に拡径することができる。
【0109】
なお、本実施形態において、金属素線53aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ50(多層体57)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ50(多層体57)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0110】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体51およびコイル体52(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線を中空コイル体51の外周面51Lおよびコイル体52の外周面52Tに巻き回したコイル体53(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ50の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体51およびコイル体52とコイル53との各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ50を中空コイル体51およびコイル体52が開く方向へ回転させても、コイル体53には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体51およびコイル体52が開くのを抑制することができ、ダイレータ50のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0111】
<第7実施形態>
図11は、第7実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
また、図11において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0112】
図11において、ダイレータ60は、複数の金属素線61a、61b、61c、61d、61e、61f、61g、61h、61j及び61kを巻回して中空状に形成された中空コイル体61と、その中空コイル体61の先端から基端側に離間して、中空コイル体61の外周に複数の金属素線62a、62b、62c、62d、62e、62f、62g、62h、62j、62k、62m、62n、62p、62q、62r及び62sを中空コイル体61(先端に向って左巻き)と同一の向き(先端に向って左巻き)に巻回して形成されたコイル体62と、中空コイル体61の先端から、中空コイル体61及びコイル体62の外周に1本の金属素線63aを中空コイル体62と反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体63とから構成された多層体67と、その多層体67の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備えるが、ダイレータ60の多層体67が中空コイル体61の先端に最先端部66有するのに対し、ダイレータ50の多層体57が中空コイル体51の先端に最先端部66を有しない点において両ダイレータは相違する。
【0113】
最先端部66は、中空コイル体61の先端にロウ材(銀錫ロウ材、金錫ロウ材等)を流し込んで形成されており、その形状は略円筒中空形状である。また、最線端部66の表面は、多層体57の先端のように表面が凸凹形状ではなく、平坦である。
【0114】
多層体67は、第3実施形態の多層体27と同様の段付き円筒中空形状であるが、第3実施形態の多層体27のコイル体24、コイル体25及びコイル体23が別部材で構成されているのに対し、本実施形態の多層体67は、コイル体63が一体的に連続して構成されている点で異なる。すなわち、コイル体63は、図11に示すように、金属素線63aが基端側では密着して巻回されており、コイル体62の先端側及びコイル体61の先端側では、離間して巻回されている。
【0115】
なお、中空コイル体61およびコイル体62は、「シャフト」と「第1コイル」とに相当する。コイル体63の離間して巻回されている部分は、「螺旋状の凸部」と「第2コイル」とに相当する。また、コイル体62は、「外径が拡大する部分」に相当する。
【0116】
中空コイル体61は、中空コイル体21と同様に、10本のステンレス鋼からなる金属素線61a、61b、61c、61d、61e、61f、61g、61h、61j及び61kを撚って中空形状にしたものである。中空コイル体61は、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0117】
また、コイル体62は、16本のステンレス鋼からなる金属素線62a、62b、62c、62d、62e、62f、62g、62h、62j、62k、62m、62n、62p、62q、62r及び62sを、中空コイル体61と同じ向き(先端に向って左巻き)に巻回して、コイル体61の表面に形成したものである。中空コイル体62も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0118】
さらに、コイル体63は、1本のステンレス鋼からなる金属素線63aをコイル体61及びコイル体62の表面に巻回し形成したものである。中空コイル体63も、先端からコネクタ9まで円筒中空形状である。
【0119】
本実施形態において、中空コイル体61及びコイル体62は、各素線が密着して巻回されている(図11参照)。コイル体62は中空コイル体61の表面に撚って形成されている。よって、シャフトに相当する中空コイル体61およびコイル体62は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。コイル体63により、中空コイル体61の外周面61Lおよびコイル体62の外周面62Tに、外部(ダイレータ60の最外面、最外部)に突出する螺旋状の凸部が設けられる。当該螺旋状の凸部は、中空コイル体61の軸Aに沿って隣り合う部分(隣接する金属素線)に隙間を有する。また、コイル体63は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体62に設けられている。
【0120】
なお、本実施形態において、中空コイル体61、コイル体62及びコイル体63を構成する素線をステンレス鋼からなる金属素線としたが、ステンレス鋼に限らず、ニッケル−チタン等の超弾性合金からなる金属素線であっても良く、金属素線に限らず、樹脂素線であっても良い。
【0121】
本実施形態のダイレータ60(多層体67)によれば、多層体67の先端に、表面が平坦な最先端部66が接続されているので、穿刺部に対して、ダイレータを先ず押し、それから回転させながら押込みことにより、穿刺部への挿入性をさらに向上させることができると共に、ダイレータ60(多層体67)の長さを長くし、かつ、ダイレータ60(多層体67)を湾曲させた場合において、ダイレータ60(多層体67)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ60(多層体67)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持することができる。また、多層体67を回転させたときに、コイル体63の基端から先端に向って連続した1本の金属素線63aによるネジ効果をさらに向上させて、押し込み操作だけでなく回転操作によってもダイレータ60を容易に前進させることができる。また、コイル体63は、シャフトの外径が拡大する部分であるコイル体62に設けられているので形成された孔をさらに容易に拡径することができる。
【0122】
なお、本実施形態において、金属素線63aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ60(多層体67)の軸方向における剛性を徐変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ60(多層体67)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0123】
また、シャフトが、複数本の金属素線を中空形状に巻き回した中空コイル体61およびコイル体62(第1コイル)からなるので、シャフトの柔軟性、および、シャフトによるトルクの伝達性を向上させることができる。また、螺旋状の凸部が、1本の金属素線を中空コイル体61の外周面61Lおよびコイル体62の外周面62Tに巻き回したコイル体63(第2コイル)からなるので、螺旋状の凸部を容易に形成することができ、第2コイルの弾性により、ダイレータ60の先端の柔軟性を確保でき、トルク伝達性を向上させることができる。また、中空コイル体61およびコイル体62とコイル63との各素線が互いに反対向きに巻き回されているので、ダイレータ60を中空コイル体61およびコイル体62が開く方向へ回転させても、コイル体63には閉じる方向へ力が加わるため、中空コイル体61およびコイル体62が開くのを抑制することができ、ダイレータ60のコネクタ9に加えられた力を先端側へ伝えることができる。
【0124】
<第8実施形態>
図12は、第8実施形態のダイレータ(多層体)の先端部図面である。
また、図12において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0125】
図12において、ダイレータ70は、複数の金属素線21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21j及び21kを巻回して中空状に形成された中空コイル体21と、その中空コイル体21の先端から基端側に離間して、中空コイル体21の外周に複数の金属素線22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22j、22k、22m、22n、22p、22q、22r及び22sを中空コイル体21とは反対向き(先端に向って右巻き)に巻回して形成されたコイル体22と、そのコイル体22の先端の先端側に、コイル体21の外周に1本の金属素線24aを離間させて巻回したコイル体24とから構成された多層体77と、その多層体77の基端に接続された中空形状のコネクタ9とを備える。
【0126】
ここで、多層体77の形状は、第3実施形態の多層体27と同様の段付き円筒中空形状であり、多層体77は、多層体27からコイル体25及びコイル体23を除いた2層構造をなす。
【0127】
本実施形態のダイレータ70(多層体77)によれば、ダイレータ70(多層体77)の長さを長くし、かつ、ダイレータ70(多層体77)を湾曲させた場合において、ダイレータ70(多層体77)の先端柔軟性を確保し、ダイレータ70(多層体77)のプッシャビリティー及びトルク伝達性を維持し、多層体77を回転させたときに、金属素線24aによるネジ効果によって、形成された孔を容易に拡径することができる。
【0128】
しかしながら、第3実施形態の多層体27が3層構造であるのに対し、本実施形態の多層体77が2層構造であるので、多層体77の孔を拡径する能力については、多層体27に比べ若干劣ることとなる。
【0129】
なお、本実施形態において、金属素線24aの隣接する金属素線間の離間量を、基端側に向って徐々に減少するように構成すれば、ダイレータ70(多層体77)の軸方向における剛性差を除変することができ、進入する経路が蛇行していたとしても、ダイレータ70(多層体77)を内部に容易に進入させることができる効果を奏することとなる。
【0130】
<第9実施形態>
図13は、本発明の第9実施形態のダイレータの全体図である。
また、図13において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0131】
図13において、ダイレータ80は、シャフト81と、螺旋状の凸部82と、シャフト81の基端に接続されたコネクタ9とを備える。
【0132】
シャフト81は、基端から先端へ貫通する内腔81aが形成された中空状をなしている。また、シャフト81は、本体部83と、テーパ部84と、先端部85とを有している。
【0133】
シャフト81および螺旋状の凸部82を構成する材料は、テーパ部84および先端部85の柔軟性を確保すると共に、生体適合性を有している限り特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金材料、または、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびフッ素樹脂等の合成樹脂により構成されている。
【0134】
本体部83は、ダイレータ80のうちの基端側に位置し、その基端にコネクタ9が接続されている。また、本体部83は、その基端から先端にわたって略一定の外径を有する。
【0135】
テーパ部84は、本体部83の先端に接続され、当該先端から先端側に延び、先端側に向かうにつれて先細る形状をなしている。すなわち、テーパ部84は、その先端側の外形が基端側の外形よりも小さく構成され、シャフト81の先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分に相当する。
【0136】
先端部85は、テーパ部84の先端に接続され、当該先端から先端側に延びている。先端部85は、その基端から先端にわたって略一定の外径を有する。このように、シャフト81は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。
【0137】
螺旋状の凸部82は、シャフト81の外周面81Bに、外部(ダイレータ80の最外面、最外部)に突出するように設けられている。螺旋状の凸部82は、本体部83の先端側部分、テーパ部84、および先端部85に設けられ、シャフト81の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。すなわち、螺旋状の凸部82の当該隣り合う部分は互いに離間している。当該隙間は、シャフト81の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。螺旋状の凸部82は、シャフト81と鋳造等により一体に構成されている。
【0138】
本実施形態のダイレータ80は、シャフト81の外周面81Bに外部に突出する螺旋状の凸部82が設けられ、当該螺旋状の凸部82は、シャフト81の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。かかる構成により、従来のようにダイレータを押し込み操作によって前進させるだけでなく、螺旋状の凸部82により、回転操作によっても前進させることができる。
【0139】
また、螺旋状の凸部82は、シャフトの先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分、すなわちテーパ部84に設けられているので、形成された孔を容易に拡径することができる。
【0140】
また、螺旋状の凸部82の隙間が、シャフト81の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されているので、シャフト81の軸方向における剛性を除変することができる。これにより、シャフト81の長さを長くし、かつ、シャフト81を湾曲させた場合においても、シャフト81の先端柔軟性を確保し、シャフト81のプッシャビリティーおよびトルク伝達性を維持することができる。
【0141】
<第10実施形態>
図14は、本発明の第10実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
また、図14において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0142】
図14において、ダイレータ90は、シャフト91と、螺旋状の凸部92と、シャフト91の基端に接続されたコネクタ9(図13参照)とを備える。シャフト91および螺旋状の凸部92を構成する材料は、第9実施形態のダイレータ80のシャフト81および螺旋状の凸部82を構成する材料と同じである。
【0143】
シャフト91は、基端から先端へ貫通する内腔91aが形成された中空状をなしている。また、シャフト91は、本体部93と、テーパ部94とを有する。先端部を有しない点で、本実施形態のダイレータ90は、第9実施形態のダイレータ80と構成が相違する。
【0144】
本体部93およびテーパ部94の構成は、第9実施形態の本体部83およびテーパ部84と同じである。また、螺旋状の凸部92は、シャフト91の外周面91Bに、外部(ダイレータ90の最外面、最外部)に突出するに突出するように設けられている。螺旋状の凸部92は、本体部93の先端側部分、テーパ部94に設けられ、シャフト91の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。すなわち、螺旋状の凸部92の当該隣り合う部分は互いに離間している。当該隙間は、シャフト91の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。螺旋状の凸部92は、シャフト91と鋳造等により一体に構成されている。
【0145】
このように、本実施形態のダイレータ90は、シャフト91の外周面91Bに外部に突出する螺旋状の凸部92が設けられ、当該螺旋状の凸部92は、シャフト91の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。螺旋状の凸部92は、シャフトの先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分、すなわちテーパ部94に設けられている。螺旋状の凸部92の隙間が、シャフト91の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。よって、本実施形態のダイレータ90は、第9実施形態のダイレータ80と同様の効果を奏する。
【0146】
<第11実施形態>
図15は、本発明の第11実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
また、図15において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0147】
図15において、ダイレータ100は、シャフト101と、螺旋状の凸部102と、シャフト101の基端に接続されたコネクタ9(図13参照)とを備える。シャフト101および螺旋状の凸部102を構成する材料は、第9実施形態のダイレータ80のシャフト81および螺旋状の凸部82を構成する材料と同じである。
【0148】
シャフト101は、基端から先端へ貫通する内腔101aが形成された中空状をなしている。また、シャフト101は、テーパ部104を有している。先端部および本体部を有しない点で、本実施形態のダイレータ100は、第9実施形態のダイレータ80と構成が相違する。すなわち、本実施形態のシャフト101は、基端から先端の全長において、外径が徐々に減少するテーパ状をなしている。よって、シャフト101は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。
【0149】
螺旋状の凸部102は、シャフト101の外周面101Bに、外部(ダイレータ100の最外面、最外部)に突出するように設けられている。螺旋状の凸部102は、テーパ部104の先端側部分に設けられ、シャフト101の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。すなわち、螺旋状の凸部102の当該隣り合う部分は互いに離間している。当該隙間は、シャフト101の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。螺旋状の凸部102は、シャフト101と鋳造等により一体に構成されている。
【0150】
このように、本実施形態のダイレータ100は、シャフト101の外周面101Bに外部に突出する螺旋状の凸部102が設けられ、当該螺旋状の凸部102は、シャフト101の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。螺旋状の凸部102は、シャフトの先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分であるテーパ部104に設けられている。螺旋状の凸部102の隙間が、シャフト101の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。よって、本実施形態のダイレータ100は、第9実施形態のダイレータ80と同様の効果を奏する。
【0151】
<第12実施形態>
図16は、本発明の第11実施形態のダイレータの先端側部分の一部断面図である。
また、図16において、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される基端側(手元側、近位側)である。
【0152】
図16において、ダイレータ110は、シャフト111と、螺旋状の凸部112と、シャフト111の基端に接続されたコネクタ9(図13参照)とを備える。シャフト111および螺旋状の凸部112を構成する材料は、第9実施形態のダイレータ80のシャフト81および螺旋状の凸部82を構成する材料と同じである。
【0153】
シャフト111は、基端から先端へ貫通する内腔111aが形成された中空状をなしている。また、シャフト111は、本体部113と、先端部115とを有する。
【0154】
本体部113は、ダイレータ110のうちの基端側に位置し、その基端にコネクタ9が接続されている。また、本体部113は、その基端から先端にわたって略一定の外径を有する。
【0155】
先端部115は、本体部113の先端に接続され、当該先端から先端側に延びている。先端部115は、その基端から先端にわたって略一定の外径を有する。先端部115の外径は、本体部113の外径よりも小さく、先端部115と本体部113とは同軸に構成される。よって、シャフト111は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状をなしている。また、本体部113は、シャフト111の先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分に相当する。
【0156】
螺旋状の凸部112は、シャフト111の外周面111Bに、外部(ダイレータ110の最外面、最外部)に突出するように設けられている。螺旋状の凸部112は、本体部113の先端側部分および先端部115に設けられ、シャフト111の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。すなわち、螺旋状の凸部112の当該隣り合う部分は互いに離間している。当該隙間は、シャフト111の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されている。螺旋状の凸部112は、シャフト111と鋳造等により一体に構成されている。
【0157】
本実施形態のダイレータ110は、シャフト111の外周面111Bに外部に突出する螺旋状の凸部112が設けられ、当該螺旋状の凸部112は、シャフト111の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。かかる構成により、従来のようにダイレータを押し込み操作によって前進させるだけでなく、螺旋状の凸部112により、回転操作によっても前進させることができる。
【0158】
また、螺旋状の凸部112は、シャフトの先端側から基端側にかけて外径が拡大する部分、すなわち本体部113に設けられているので、形成された孔を容易に拡径することができる。
【0159】
また、螺旋状の凸部112の隙間が、シャフト111の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成されているので、シャフト111の軸Aにおける剛性を除変することができる。これにより、シャフト111の長さを長くし、かつ、シャフト111を湾曲させた場合においても、シャフト111の先端柔軟性を確保し、シャフト111のプッシャビリティーおよびトルク伝達性を維持することができる。
【0160】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。
【0161】
例えば、上述の実施形態では、中空コイル体3、中空コイル体21、中空コイル体31、中空コイル体41、中空コイル体51及び中空コイル体61を10本の素線から構成された中空コイル体として説明したが、素線の本数は、10本に限られるものではなく、1本又は複数本であって良い。
【0162】
また、上述の実施形態では、コイル体22、コイル体42、コイル体52及びコイル体62を16本の素線から構成されたコイル体として説明したが、素線の本数は、16本に限られるものではなく、1本又は複数本であって良い。
【0163】
また、上述の実施形態では、コイル体23及びコイル体33を23本の素線から構成されたコイル体として説明したが、素線の本数は、23本に限られるものではなく、1本又は複数本であって良い。
【0164】
また、第2実施形態の最先端部6は、多層体17の先端にロウ材を流し込んで形成されるものとしたが、多層体17の先端部近傍のコイル体5及び/または中空コイル体3の外周を研磨して表面が平坦な最先端部6を形成するようにしても良く、その点は、細先端部66についても同様である。
【0165】
さらに、第2実施形態の最先端部6は、多層体17の先端に固着するものとしたが、最先端部は、第3実施形態の多層体27の先端、第4実施形態の多層体37の先端、第5実施形態の多層体47の先端、第8実施形態の多層体77の先端、第9実施形態のシャフト81の先端、第10実施形態のシャフト91の先端、第10実施形態のシャフト101の先端、および第11実施形態のシャフト111の先端に固着しても、第2実施形態の多層体17、または第7実施形態の多層体67と同様の効果を奏するものである。
【0166】
また、第1〜8実施形態の多層体7、17、27、37、47、57、67、77、および、第9〜12実施形態のシャフト81、91、101、111および螺旋状の凸部82、92、102、112の外周を樹脂によりコーティングしてもよい。例えば、図17に示すように、第9実施形態のダイレータ80のシャフト81および螺旋状の凸部82の外周を樹脂86によりコーティングしてもよい。当該樹脂86により、滑り性を向上させることができ、生体組織の噛み込みを抑制することができる。シャフト81の外周を樹脂86によりコーティングした場合、本体部83、テーパ部84、および先端部85を樹脂86によりコーティングした部分が、シャフト81に相当し、当該シャフト81の外周面81Bから外部に突出する部分が螺旋状の凸部82に相当する。樹脂86としては、例えば、ポリアミド樹脂やフッ素樹脂等の生体適合性を有する樹脂材料、あるいは親水性のコーティング材料等が挙げられ、厚さは、例えば、0.1〜300μmである。
【0167】
また、第9〜12実施形態において、螺旋状の凸部82、92、102、112は、軸Aに沿って隣り合う部分に隙間をシャフト81の先端側から基端側にいくにつれて徐々に小さくなるように構成したが、当該間隔を一定にしてもよい。また、シャフト81、91、101、111と、螺旋状凸部82、92、102、112とを一体に構成したが、それらを別体に構成してもよい。
【0168】
図1図17に示す実施形態において、シャフトの表面に被膜を有しないダイレータを示した。しかし、シャフトは、その表面(シャフトと螺旋状の凸部との間の部位を含む)の側に、各種の被膜を有していてもよい。当該被膜としては、例えば、シャフトの表面の保護膜(代表例、めっき膜)、シャフトと螺旋状の凸部との密着性を向上させるための下地膜などが挙げられる。
【0169】
図1図17に示す実施形態において、螺旋状の凸部は、刃物を構成していないことが好ましい。本実施形態のダイレータは、対象物(例、患者の胃等の消化管の壁)に予め形成された孔を拡張するものである。従って、螺旋状の凸部が、刃物を構成していると、孔の内面の生体組織を損傷させるからである。
【0170】
従って、螺旋状の凸部は、その断面形状(例えば、図13に示す螺旋状の凸部82の螺旋方向に直交する断面の形状)の、シャフトの径方向外側の端部に、鋭角の角部を有しないことが好ましい。すなわち、当該端部は、例えば、鈍角の角部、あるいは曲線(例、円や楕円の一部を含む曲線)を含む形状で構成された部位を有していることが好ましい。
【符号の説明】
【0171】
1、10、30、40、50、60、70、80、90、100、110 ダイレータ
3、21、31、41、51、61 中空コイル体
5、22、23、24、25、32、33、35、42、43、44、52、53、62、63 コイル体
6、66 最先端部
7、17、27、37、47、57、67、77 多層体
8、28 内腔
9 コネクタ
81、91、101、111 シャフト
5、24、25、32、35、43、44、53、63、82、92、102、112 螺旋状の凸部
P1 先端部
P2 中間部
P3 基端部

【要約】
シャフトの長さを長くし、かつ、湾曲させた場合においても、先端柔軟性を確保し、プッシャビリティー及びトルク伝達性を維持して、消化管等の壁に形成された形成された孔を容易に拡径することができるダイレータを提供する。
ダイレータ80は、先端の外径が基端の外径よりも小さい中空形状のシャフト81と、シャフト81の基端に接続された把持部9とを有する。シャフト81の外周面81Bに、外部に突出する螺旋状の凸部82が設けられている。螺旋状の凸部82は、シャフト81の軸Aに沿って隣り合う部分に隙間を有する。
図1
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