(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
差動入力信号として入力された一対のアナログ信号をサンプリングするサンプリング回路と、前記サンプリング回路によりサンプリングされた一対のアナログ信号を保持するバイナリ容量を有し、前記バイナリ容量を介して前記一対のアナログ信号に参照信号の信号レベルを反映させることにより一対の電圧信号を発生させる容量回路と、前記一対の電圧信号が入力される入力トランジスタを有し、前記一対の電圧信号をなす一方の信号と他方の信号とを比較する比較回路と、前記比較回路の前段側に設けられ、前記入力トランジスタにおける寄生容量の電圧依存性を相殺した補正用トランジスタと、前記補正用トランジスタに所定のバイアス電圧を印加するバイアス回路と、を有し、前記一対の電圧信号を前記比較回路へ出力する補正回路と、前記比較回路による比較の結果に基づき、前記バイナリ容量に対応するデジタル信号の各ビットの値を2分探索法により逐次的に判定し、前記デジタル信号の各ビットの値を前記参照信号に反映させる制御回路と、を備えることを特徴とする逐次比較型A/D変換装置に実行する設定方法であって、
前記バイアス回路が印加する前記バイアス電圧の値を設定する第1の設定ステップと、
前記補正用トランジスタに前記第1の設定ステップで設定した値の前記バイアス電圧を順次印加する印加ステップと、
前記逐次比較型A/D変換装置にテスト信号を順次入力してA/D変換を実行させるA/D変換ステップと、
前記A/D変換ステップで変換された出力コードを順次測定した測定結果に基づいて、前記出力コード毎の積分非直線誤差を算出する第1の算出ステップと、
前記積分非直線誤差に基づいて、前記積分非直線誤差の最大値および最小値の各々を、前記出力コード毎に算出する第2の算出ステップと、
前記第2の算出ステップにおいて算出された複数の前記最大値と前記最小値の絶対値の差分が小さく、かつ、前記最大値と前記最小値の絶対値の平均値が小さい前記バイアス電圧の値を前記バイアス回路が印加する前記バイアス電圧の値に設定する第2の設定ステップと、
を含むことを特徴とする設定方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)として、被検体内に挿入される挿入部の先端部に撮像装置を有する内視鏡を備えた内視鏡システムについて説明する。また、この実施の形態により、本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間において、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0018】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの全体構成を模式的に示す概略図である。
図1に示す内視鏡システム1は、内視鏡2と、伝送ケーブル3と、コネクタ部5と、プロセッサ6と、表示装置7と、光源装置8と、を備える。
【0019】
内視鏡2は、伝送ケーブル3の一部である挿入部100を被検体の体腔内に挿入することによって被検体の体内を撮像して撮像信号をプロセッサ6へ出力する。また、内視鏡2は、伝送ケーブル3の一端側であり、被検体の体腔内に挿入される挿入部100の先端部101側に、被検体の体内を撮像して撮像信号を生成する撮像装置20が設けられている。さらに、内視鏡2は、挿入部100の基端部102側に、内視鏡2に対する各種操作を受け付ける操作部4が設けられている。撮像装置20が撮像した体内画像の撮像信号は、例えば数mの長さを有する伝送ケーブル3を介してコネクタ部5に出力される。
【0020】
伝送ケーブル3は、内視鏡2とコネクタ部5とを接続するとともに、内視鏡2とプロセッサ6および光源装置8とを接続する。また、伝送ケーブル3は、撮像装置20が生成した撮像信号をコネクタ部5へ伝送する。伝送ケーブル3は、ケーブルや光ファイバ等を用いて構成される。
【0021】
コネクタ部5は、内視鏡2、プロセッサ6および光源装置8に接続され、接続された内視鏡2が出力する撮像信号に所定の信号処理を施してプロセッサ6へ出力する。
【0022】
プロセッサ6は、コネクタ部5から入力された撮像信号に所定の画像処理を施して表示装置7へ出力する。また、プロセッサ6は、内視鏡システム1全体を統括的に制御する。例えば、プロセッサ6は、光源装置8が出射する照明光を切り替えたり、内視鏡2の撮像モードを切り替えたりする制御を行う。
【0023】
表示装置7は、プロセッサ6が画像処理を施した撮像信号に対応する画像を表示する。また、表示装置7は、内視鏡システム1に関する各種情報を表示する。表示装置7は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示パネル等を用いて構成される。
【0024】
光源装置8は、コネクタ部5および伝送ケーブル3を経由して内視鏡2の挿入部100の先端部101側から被検体(被写体)に向けて照明光を照射する。光源装置8は、白色光を発する白色LED(Light Emitting Diode)等を用いて構成される。なお、本実施の形態1では、光源装置8に同時方式の照明方式が採用されるが、面順次方式の照明方式であってもよい。
【0025】
〔内視鏡システムの要部〕
次に、内視鏡システム1の要部の機能について説明する。
図2は、内視鏡システム1の要部の機能を示すブロック図である。
【0026】
〔内視鏡の構成〕
まず、内視鏡2の構成について説明する。
図2に示す内視鏡2は、撮像装置20と、伝送ケーブル3と、コネクタ部5と、を備える。撮像装置20は、撮像素子21(撮像チップ)と、撮像素子21に被写体像を結像する光学系22と、を備える。
【0027】
撮像素子21は、行列方向に二次元マトリクス状に配置されてなり、外部から光を受光し、受光量に応じた撮像信号を生成して出力する複数の画素を有する受光部23と、受光部23によって光電変換された撮像信号を列毎に順次読み出す読み出し部24と、読み出し部24が順次読み出した撮像信号の電圧をインピーダンス変換してボルテージフォロワにより1倍に増幅して出力するバッファ部25と、受光部23によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成して出力する基準信号生成部26と、バッファ部25から出力された撮像信号および基準信号生成部26から生成された基準信号を同一タイミングでサンプリングし、デジタルの撮像信号に変換して外部へ出力するA/D変換装置27と、基準クロック信号および同期信号に基づきタイミング信号を生成するタイミング生成部28と、伝送ケーブル3を介してコネクタ部5から入力された基準クロック信号および同期信号の波形整形を行い、この波形整形を行った基準クロック信号および同期信号をタイミング生成部28へ出力するヒステリシス部29と、を有する。また、撮像素子21は、伝送ケーブル3を介して後述するプロセッサ6の電源部61において生成された電源電圧VDD(例えば3.3V)をグランドGNDとともに受け取る。撮像素子21に供給される電源電圧VDDとグランドGNDとの間には、電源安定用のコンデンサC1が設けられている。なお、撮像素子21の詳細な構成については、
図3を参照して後述する。
【0028】
光学系22は、複数のレンズおよびプリズムを用いて構成され、撮像素子21の受光部23に被写体像を結像する。
【0029】
コネクタ部5は、プロセッサ6から供給され、内視鏡2の各構成部の動作の基準となる基準クロック信号(例えば、27MHzのクロック信号)に基づいて、各フレームのスタート位置を表す同期信号(水平同期信号および垂直同期信号を含む)を生成して、基準クロック信号とともに、伝送ケーブル3を介して撮像装置20のタイミング生成部28へ出力するパルス生成部51と、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いて構成され、伝送ケーブル3を介して撮像装置20から出力されたデジタルの撮像信号に対して所定の信号処理、例えばノイズ低減処理を行ってプロセッサ6へ出力する信号処理部52と、レギュレータ(Regulator)等を用いて構成され、プロセッサ6から供給される電源から、撮像素子21を駆動するのに必要な電源電圧を生成して撮像素子21へ出力する電源電圧生成部53と、を有する。
【0030】
〔プロセッサの構成〕
次に、プロセッサ6の構成について説明する。
プロセッサ6は、電源電圧を生成し、この生成した電源電圧VDDをグランドGNDとともに、コネクタ部5の電源電圧生成部53へ供給する電源部61と、内視鏡システム1の各構成部の動作の基準となる基準クロック信号を生成し、この基準クロック信号をコネクタ部5のパルス生成部51へ出力するクロック生成部62と、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成され、内視鏡システム1の全体を統括的に制御するプロセッサ制御部63と、内視鏡2から入力されたデジタルの撮像信号に対して、同時化処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、ゲイン調整処理、ガンマ補正処理、デジタルアナログ(D/A)変換処理、フォーマット変換処理等の画像処理を行って画像信号に変換し、この画像信号を表示装置7へ出力する画像処理部64と、を備える。
【0031】
〔撮像素子の構成〕
次に、上述した撮像素子21の詳細な構成について説明する。
図3は、
図2に示す撮像素子21の詳細な構成を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、撮像素子21は、受光部23と、読み出し部24と、バッファ部25と、基準信号生成部26と、A/D変換装置27と、タイミング生成部28と、ヒステリシス部29と、を備える。
【0033】
受光部23は、行列方向に2次元マトリクス状に配置され、外部から光を受光し、受光量に応じた撮像信号を生成して出力する複数の画素を有する。なお、受光部23における画素の構成は、後述する
図4において詳細に説明する。
【0034】
読み出し部24は、後述する受光部23の複数の画素の各々から撮像信号を順次読み出してバッファ部25へ出力する。読み出し部24は、垂直走査部241(行選択回路)と、定電流源242と、ノイズ除去部243と、列ソースフォロワバッファ244と、水平走査部245と、基準電圧生成部246と、を有する。
【0035】
垂直走査部241は、タイミング生成部28から入力される駆動信号(φT、φR等)に基づいて、受光部23の選択された行(水平ライン)<M>(M=0,1,2…,m−1,m)に駆動信号φT<M>およびφR<M>を印加して、受光部23の各画素230を定電流源242で駆動することによって、撮像信号および画素リセット時のノイズ信号を後述する垂直転送線239(第1の転送線)へ転送し、ノイズ除去部243に出力する。
【0036】
ノイズ除去部243は、後述する各画素230の出力ばらつきと、画素リセット時のノイズ信号とを除去し、後述する各画素230で光電変換された撮像信号を列ソースフォロワバッファ244へ出力する。
【0037】
列ソースフォロワバッファ244は、水平走査部245から入力される駆動信号に基づいて、ノイズ除去部243からノイズが除去された撮像信号を保持し、この保持した撮像信号を増幅してバッファ部25へ出力する。
【0038】
水平走査部245は、タイミング生成部28から入力される駆動信号(φHCLK)に基づいて、受光部23の選択された列(縦ライン)<N>(N=0,1,2…,n−1,n)に駆動信号φHCLK<N>を印加し、各画素230で光電変換された撮像信号を、ノイズ除去部243および列ソースフォロワバッファ244を介して後述する水平転送線257に転送してバッファ部25へ出力する。
【0039】
基準電圧生成部246は、受光部23と同じ電源電圧VDDからノイズ除去部243のクランプ電圧VCLPを生成する。なお、基準電圧生成部246の回路の詳細は、後述する
図5において説明する。
【0040】
バッファ部25は、列ソースフォロワバッファ244から順次出力された撮像信号の電圧に対してインピーダンス変換を行い、ボルテージフォロワにより1倍に増幅してA/D変換装置27へ出力する。なお、バッファ部25の回路の詳細は、後述する
図4において説明する。
【0041】
基準信号生成部26は、受光部23によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成してA/D変換装置27へ出力する。なお、基準信号生成部26の回路の詳細は、後述する
図6において説明する。
【0042】
A/D変換装置27は、バッファ部25から出力された撮像信号および基準信号生成部26から生成された基準信号を同一タイミングでサンプリングし、デジタルの撮像信号(Vout)に変換して外部へ出力する。
【0043】
タイミング生成部28は、ヒステリシス部29から入力された基準クロック信号および同期信号に基づいて、各種の駆動信号を生成し、後述する読み出し部24、バッファ部25、基準信号生成部26およびA/D変換装置27へ出力する。
【0044】
ヒステリシス部29は、伝送ケーブル3を介して入力された基準クロック信号および同期信号の波形整形を行い、この波形整形を行った基準クロック信号および同期信号をタイミング生成部28へ出力する。
【0045】
〔撮像素子の回路の構成〕
次に、上述した撮像素子21の回路について詳細に説明する。
図4は、撮像素子21の構成を模式的に示す回路図である。
【0046】
〔画素の構成〕
まず、画素230の構成について説明する。
図4に示すように、上述した受光部23には、多数の画素230が二次元マトリクス状に配列されてなる。各画素230は、光電変換素子231(フォトダイオード)と、電荷変換部233と、転送トランジスタ234(第1の転送部)と、画素リセット部236(トランジスタ)と、画素ソースフォロワトランジスタ237と、を含む。
【0047】
光電変換素子231は、入射光をその光量に応じた信号電荷量に光電変換して蓄積する。光電変換素子231は、カソード側がそれぞれ転送トランジスタ234の一端側に接続され、アノード側がグランドGNDに接続される。
【0048】
電荷変換部233は、浮遊拡散容量(FD)からなり、光電変換素子231で蓄積された電荷を電圧に変換する。
【0049】
転送トランジスタ234は、光電変換素子231から電荷変換部233に電荷を転送する。転送トランジスタ234のゲートには、駆動信号(行選択パルス)φRおよび駆動信号φTが供給される信号線が接続され、他端側には、電荷変換部233が接続される。転送トランジスタ234は、垂直走査部241から信号線を介して駆動信号φRおよび駆動信号φTが供給されると、オン状態となり、光電変換素子231から電荷変換部233に電荷を転送する。
【0050】
画素リセット部236は、電荷変換部233を所定電位にリセットする。画素リセット部236は、一端側が電源電圧VDDに接続され、他端側が電荷変換部233に接続され、ゲートには駆動信号φRが供給される信号線に接続される。画素リセット部236は、垂直走査部241から信号線を介して駆動信号φRが供給されると、オン状態となり、電荷変換部233に蓄積された信号電荷を放出させ、電荷変換部233を所定電位にリセットする。
【0051】
画素ソースフォロワトランジスタ237は、一端側が電源電圧VDD(例えば3.3V)に接続され、他端側が垂直転送線239に接続され、ゲートには電荷変換部233で電圧変換された信号(撮像信号またはリセット時の信号)が入力される。画素ソースフォロワトランジスタ237は、後述する選択動作の後に、転送トランジスタ234のゲートに駆動信号φTが供給されると、光電変換素子231から電荷が読み出され、電荷変換部233にて電圧変換された後に、垂直転送線239に転送される。
【0052】
定電流源242は、一端側が垂直転送線239に接続され、他端側がグランドGNDに接続され、ゲートにはバイアス電圧Vbias1が印加される。定電流源242は、画素230を駆動し、画素230の出力を垂直転送線239へ出力させる。垂直転送線239へ出力された信号は、ノイズ除去部243に入力される。
【0053】
〔ノイズ除去部の構成〕
次に、ノイズ除去部243の構成について説明する。
図4に示すノイズ除去部243は、各画素230の列毎に設けられる。具体的には、ノイズ除去部243は、垂直転送線239毎に設けられる。ノイズ除去部243は、転送容量252(AC結合コンデンサ)と、クランプスイッチ253(トランジスタ)と、を有する。なお、本実施の形態1では、ノイズ除去部243がクランプ回路として機能する。
【0054】
転送容量252は、一端側が垂直転送線239に接続され、他端側が後述する列ソースフォロワバッファ244の列ソースフォロワトランジスタ254に接続される。
【0055】
クランプスイッチ253は、一端側が基準電圧生成部246からクランプ電圧VCLPが供給される信号線が接続され、他端側が転送容量252と列ソースフォロワバッファ244との間に接続され、ゲートにタイミング生成部28から駆動信号φVCLが入力される。ノイズ除去部243に入力される撮像信号は、ノイズ成分を含んだ光ノイズ和信号である。
【0056】
このように構成されたノイズ除去部243は、タイミング生成部28から駆動信号φVCLがクランプスイッチ253のゲートに入力されると、クランプスイッチ253がオン状態となり、基準電圧生成部246から供給されるクランプ電圧VCLPにより転送容量252がリセットされる。ノイズ除去部243でノイズ除去された撮像信号は、列ソースフォロワバッファ244のゲートに入力される。ノイズ除去部243は、サンプリング用のコンデンサ(サンプリング容量)を必要としないため、転送容量252(AC結合コンデンサ)の容量が列ソースフォロワバッファ244の入力容量に十分な容量であればよい。さらに、ノイズ除去部243は、サンプリング容量の無い分、撮像素子21における専有面積を小さくすることができる。
【0057】
〔列ソースフォロワバッファの構成〕
次に、列ソースフォロワバッファ244の構成について説明する。
図4に示す列ソースフォロワバッファ244は、各画素230の列毎に設けられる。具体的には、列ソースフォロワバッファ244は、垂直転送線239毎に設けられる。列ソースフォロワバッファ244は、列ソースフォロワトランジスタ254と、列選択スイッチ255と、を有する。なお、本実施の形態1では、列ソースフォロワバッファ244が列側回路として機能する。
【0058】
列ソースフォロワトランジスタ254は、一端側が電源電圧VSS(以下、「グランドGND」という)に接続され、他端側が列選択スイッチ255の一端側に接続され、ゲートにはノイズ除去部243でノイズ除去された撮像信号が入力される。
【0059】
列選択スイッチ255は、一端側が列ソースフォロワトランジスタ254の他端側に接続され、他端側が水平転送線257に接続される。列選択スイッチ255は、トランジスタを用いて構成され、ゲートに水平走査部245から駆動信号φHCLK<M>を供給するための信号線が接続される。列選択スイッチ255は、水平走査部245から駆動信号φHCLK<M>が供給されると、オン状態となり、ノイズ除去部243でノイズ除去された撮像信号を水平転送線257へ転送する。なお、水平転送線257には、図示しない水平リセットトランジスタが接続され、水平リセットトランジスタにタイミング生成部28から駆動信号が入力されることによって、水平リセットトランジスタがオン状態となり、水平転送線257をリセットする。
【0060】
このように構成された列ソースフォロワバッファ244は、タイミング生成部28から駆動信号φHCLK<M>が列選択スイッチ255に印加されると、列選択スイッチ255がオン状態となり、水平転送線257を介してノイズ除去部243でノイズ除去された撮像信号がバッファ部25に順次入力される。
【0061】
〔バッファ部の構成〕
次に、バッファ部25の構成について説明する。
図4に示すバッファ部25は、水平走査部245によって順次選択された列ソースフォロワバッファ244が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路を形成し、入力される撮像信号の電圧に対してインピーダンス変換を行ってA/D変換装置27へ出力する。具体的には、バッファ部25は、水平走査部245によって順次選択された列ソースフォロワバッファ244が接続されることによって、入力される撮像信号をボルテージフォロワにより1倍に増幅してA/D変換装置27へ出力する。バッファ部25は、画素230の奇数列および偶数列それぞれに設けられた第1のグローバル側回路260および第2のグローバル側回路270を有する。なお、第1のグローバル側回路260および第2のグローバル側回路270は、インピーダンス変換部として機能する。
【0062】
第1のグローバル側回路260は、定電流源256と、スイッチ261と、第1のトランジスタ262と、第2のトランジスタ263と、第3のトランジスタ264と、定電流源265と、を有する。
【0063】
定電流源256は、一端側が水平転送線257に接続され、他端側が電源電圧VDDに接続される。定電流源256は、撮像信号を水平転送線257へ読み出す。水平転送線257へ読み出された撮像信号は、後述するスイッチ261を介して第1のトランジスタ262のソース側に入力される。なお、本実施の形態1では、定電流源256が第1の定電流源として機能する。
【0064】
スイッチ261は、一端側が水平転送線257を介して列ソースフォロワバッファ244の列選択スイッチ255に接続され、他端側が第1のトランジスタ262のソース側に接続される。スイッチ261は、列ソースフォロワバッファ244の列選択スイッチ255と同様の抵抗値を有し、例えばトランジスタを用いて構成される。スイッチ261は、常にオン状態で設けられ、水平転送線257と第1のトランジスタ262とを接続する。
【0065】
第1のトランジスタ262は、一端側(ソース側)がスイッチ261および水平転送線257を介して列ソースフォロワバッファ244の列選択スイッチ255に接続され、他端側(ドレイン側)が第2のトランジスタ263の一端側(ドレイン側)に接続され、ゲートがA/D変換装置27に接続される。第1のトランジスタ262は、PMOSを用いて構成される。
【0066】
第2のトランジスタ263は、一端側(ドレイン側)に第1のトランジスタ262の他端側(ドレイン側)および第1のトランジスタ262のゲートが接続され、他端側(ソース側)がグランドGNDに接続され、ゲートが定電流源265に接続される。第2のトランジスタ263は、NMOSを用いて構成される。
【0067】
第3のトランジスタ264は、一端側(ドレイン側)が定電流源265(第2の定電流源)に接続され、他端側(ソース側)がグランドGNDに接続され、ゲートが定電流源265に接続される。
【0068】
このように構成された第1のグローバル側回路260は、水平走査部245によって順次選択された奇数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、列ソースフォロワバッファ244から入力される撮像信号(Vin)の電圧に対してインピーダンス変換を行い、ボルテージフォロワにより1倍に増幅して撮像信号(Vout)をA/D変換装置27へ出力する。
【0069】
第2のグローバル側回路270は、上述した第1のグローバル側回路260と同一の構成を有し、定電流源256と、スイッチ261と、第1のトランジスタ262と、第2のトランジスタ263と、第3のトランジスタ264と、定電流源265と、を有する。
【0070】
このように構成された第2のグローバル側回路270は、水平走査部245によって順次選択された偶数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路を形成し、入力される撮像信号(Vin)の電圧に対してインピーダンス変換を行い、ボルテージフォロワにより1倍に増幅した撮像信号(Vout)をA/D変換装置27へ出力する。
【0071】
基準信号生成部26は、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成してA/D変換装置27へ出力する。なお、基準信号生成部26の回路の詳細は、後述する
図6において説明する。
【0072】
A/D変換装置27は、受光部23における奇数列および偶数列の各々に設けられ、奇数列の画素230から出力されたアナログの撮像信号をデジタルの撮像信号に変換して外部へ出力する第1のA/D変換部280、および偶数列の画素230から出力されたアナログの撮像信号をデジタルの撮像信号に変換して外部へ出力する第2のA/D変換部290と、を有する。なお、第1のA/D変換部280および第2のA/D変換部290の回路の詳細は、後述する
図7において説明する。
【0073】
〔基準電圧生成部の構成〕
次に、上述した
図3において説明した基準電圧生成部246の構成について説明する。
図5は、基準電圧生成部246の構成を示す回路図である。
【0074】
図5に示す基準電圧生成部246(定電圧信号生成部)は、2つの抵抗291aおよび291bからなり、一端がVDD_A/D(例えば3.3V)に接続され、他端がグランドGNDに接続された抵抗分圧回路291と、タイミング生成部28から印加される駆動信号φVSHで駆動されるスイッチ292(トランジスタ)と、電源から独立させて、揺らぎから開放させるためのサンプリング容量293(コンデンサ)と、を含む。
【0075】
このように構成された基準電圧生成部246は、スイッチ292の駆動により駆動信号φVSHが駆動するタイミングで、ノイズ除去部243のクランプ電圧VCLPを生成してノイズ除去部243へ出力する。
【0076】
〔基準信号生成部の構成〕
次に、上述した
図3および
図4において説明した基準信号生成部26の詳細な構成について説明する。
図6は、基準信号生成部26の構成を模式的に示す回路図である。
【0077】
図6に示す基準信号生成部26は、2つの抵抗301aおよび抵抗301bからなる抵抗分割回路301と、タイミング生成部28から印加される駆動信号で駆動するスイッチ302(トランジスタ)と、電源から独立させて、揺らぎから開放させるためのサンプリング容量303(コンデンサ)と、画素相当回路304と、ノイズ除去相当回路305と、列相当回路306と、バッファ相当回路307と、を有する。
【0078】
画素相当回路304は、画素230の画素ソースフォロワトランジスタ237および定電流源242の各々と相当な回路を形成し、画素ソースフォロワトランジスタ237aと、画素ソースフォロワトランジスタ237aを駆動する定電流源242aと、を有する。
【0079】
画素ソースフォロワトランジスタ237aは、一端側(ドレイン側)が電源電圧VDDに接続され、他端側(ソース側)が定電流源242aに接続され、ゲートにはサンプリング容量303から転送された信号が転送される信号線が接続される。
【0080】
定電流源242aは、一端側が画素ソースフォロワトランジスタ237aに接続され、他端側がグランドGNDに接続される。定電流源242aは、画素ソースフォロワトランジスタ237aを駆動し、画素ソースフォロワトランジスタ237aの出力をノイズ除去相当回路305へ出力させる。
【0081】
ノイズ除去相当回路305は、上述したノイズ除去部243と相当な回路を形成し、転送容量252(AC結合コンデンサ)と、クランプスイッチ253と、を有する。ノイズ除去相当回路305は、上述したノイズ除去部243と相当な回路のため、詳細な説明は省略する。
【0082】
列相当回路306は、上述した列ソースフォロワバッファ244と相当な回路を形成し、列ソースフォロワトランジスタ254と、列選択スイッチ255と、を有する。列相当回路306は、上述した列ソースフォロワバッファ244と相当な回路のため、詳細な説明は省略する。
【0083】
バッファ相当回路307は、上述した第1のグローバル側回路260と相当な回路を形成し、定電流源256と、スイッチ261と、第1のトランジスタ262と、第2のトランジスタ263と、第3のトランジスタ264と、定電流源265と、を有する。バッファ相当回路307は、上述した第1のグローバル側回路260と相当な回路のため、詳細な説明は省略する。
【0084】
このように構成された基準信号生成部26は、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号(VREF)を生成してA/D変換装置27へ出力する。
【0085】
〔第1のA/D変換部の構成〕
次に、第1のA/D変換部280の構成について説明する。
図7は、第1のA/D変換部280の構成を模式的に説明する回路図である。なお、第1のA/D変換部280および第2のA/D変換部290は、同じ回路構成のため、以下においては、第1のA/D変換部280の構成のみ説明し、第2のA/D変換部290の構成の説明は省略する。また、
図7に示す第1のA/D変換部280は、逐次比較型のA/D変換装置であり、9ビット(bit)出力のA/D変換装置であるが、これに限定されず、出力ビット数を適宜変更することができる。なお、第1のA/D変換部280は、逐次比較型のA/D変換装置である必要はなく、省電力可能なA/D変換装置であればよく、例えばナイキスト型のA/D変換装置であってもよい。
【0086】
図7に示す第1のA/D変換部280は、サンプリング回路401と、容量性DAC回路402と、比較回路403と、補正回路404と、制御回路405と、を備える。
【0087】
サンプリング回路401は、差動入力信号を構成する1対の撮像信号(Vsignal)および基準信号(VREF)に対して、タイミング生成部28から入力されるクロック信号CLKに基づいて、同一のタイミングでトラック・ホールド(Track and Hold)を行い、アナログの撮像信号および基準信号をサンプリングする。サンプリング回路401は、スイッチ401aと、スイッチ401bと、を有する。
【0088】
スイッチ401aは、オン状態であるとき、上述した第1のグローバル側回路260と容量性DAC回路402との間を導通させ、オフ状態であるとき、第1のグローバル側回路260と容量性DAC回路402との間を高インピーダンス状態とする。スイッチ401aは、非反転入力端子INPを介してアナログの撮像信号が入力される。スイッチ401aは、オン状態からオフ状態に切り替わるタイミングに後述する容量部402aPにアナログの撮像信号をホールドしてサンプリングする。スイッチ401aは、タイミング生成部28から入力されるクロック信号CLKに基づいて、オン状態とオフ状態とが切り替わる。
【0089】
スイッチ401bは、オン状態であるとき、上述した基準信号生成部26と容量性DAC回路402との間を導通させ、オフ状態であるとき、基準信号生成部26と容量性DAC402との間を高インピーダンス状態とする。スイッチ401bは、反転入力端子INNを介してアナログの基準信号が入力される。スイッチ401bは、オン状態からオフ状態に切り替わるタイミングに後述する容量部402aNにアナログの基準信号をホールドしてサンプリングする。スイッチ401bは、タイミング生成部28から入力されるクロック信号CLKに基づいて、オン状態とオフ状態とが切り替わる。
【0090】
容量性DAC回路402は、制御回路405によって生成されたデジタル信号(DN0〜DN8,DP0〜DP8)に基づくアナログ信号を生成し、サンプリング回路401によりホールドされ、サンプリングされた撮像信号および基準信号の各々から参照信号(基準信号VREFと異なる別の基準信号)を減算することによって、差動入力信号と9ビットのデジタル信号D0〜D8との間の累積残差を取得する。容量性DAC回路402は、撮像信号および基準信号の各々から参照信号を減算した減算結果を、累積残差が反映されたアナログの撮像信号(INP)および基準信号(INN)として、比較回路403へ出力する。容量性DAC回路402は、容量部402aNと、駆動部402bNと、容量部402aPと、駆動部402bPと、を有する。
【0091】
容量部402aPは、減衰容量ChPとバイナリ容量C0P〜C8Pと、を有する。減衰容量ChPは、スイッチ401aに接続された配線に相当する信号ノードNPとグランドGNDとの間に接続される。また、バイナリ容量C0P〜C8Pの各々は、信号ノードNPと駆動部402bPの出力部との間に接続される。即ち、バイナリ容量C0P〜C8Pの各々は、一方の電極が信号ノードNPに共通接続され、他方の電極が後述する駆動部402bPを構成するインバータQ0P〜Q8Pの出力部に個別に接続される。バイナリ容量C0P〜C8Pは、制御回路405によって生成されるデジタル信号DP0〜DP8に対応して配置されている。バイナリ容量C0P〜C8Pの各々の容量値は異なる。例えば、デジタル信号DP(n+1)に対応する容量C(n+1)Pの容量値は、デジタル信号DPnに対応する容量CnPの容量値の2倍である(nは、0から7までの整数)。即ち、バイナリ容量C0P〜C8Pの各々の容量値は、デジタル信号DP0〜DP8の各ビットの位に応じた2進数で重み付けされている。
【0092】
容量部402aNは、容量部402aPと同様に、減衰容量ChNとバイナリ容量C0N〜C8Nと、を有する。減衰容量ChNは、スイッチ401bに接続された配線に相当する信号ノードNNとグランドGNDとの間に接続される。また、バイナリ容量C0N〜C8Nの各々は、信号ノードNNと駆動部402bNの出力部との間に接続される。即ち、バイナリ容量C0N〜C8Nの各々は、一方の電極が信号ノードNNに共通接続され、他方の電極が後述する駆動部402bNを構成するインバータQ0N〜Q8Nの出力部に個別に接続される。バイナリ容量C0N〜C8Nは、制御回路405によって生成されるデジタル信号DN0〜DN8に対応して配置されている。なお、バイナリ容量C0N〜C8Nの容量値についても、バイナリ容量C0P〜C8Pと同様に2進数で重み付けされている。また、容量部402aNを構成するバイナリ容量C0N〜C8Nの各容量値の各々は、容量部402aPを構成するバイナリ容量C0P〜C8Pの各々の容量値と同じに設定されている。
【0093】
駆動部402bPは、インバータQ0P〜Q8Pを有する。インバータQ0P〜Q8Pには、電源電圧VDD_A/Dが供給される。このことは、インバータQ0P〜Q8Pの各々から出力されるアナログ信号の振幅が電源電圧VDD_A/Dに等しいことを意味する。インバータQ0P〜Q8Pは、制御回路405によって生成されるデジタル信号DP0〜DP8に対応して配置されている。インバータQ0P〜Q8Pの各々には、制御回路405から、デジタル信号DP0〜DP8の各ビットが入力される。また、インバータQ0P〜Q8Pの出力部の各々は、バイナリ容量C0P〜C8Pの他方の電極に接続される。
【0094】
インバータQ0P〜Q8Pは、制御回路405から入力されるデジタル信号DP0〜DP8を反転することによって参照信号を生成する。容量部402aPが有する複数のバイナリ容量C0P〜C8Pは、電荷再配分により、減衰容量ChPに保持されているアナログの撮像信号Vsignalに基づく電荷から、参照信号に基づく電荷を引き抜くことによって、撮像信号Vsignalから参照信号を減算する。容量部402aPは、減算結果であるアナログ信号VCPを比較回路403へ出力する。
【0095】
駆動部402bNは、インバータQ0N〜Q8Nを備えている。インバータQ0N〜Q8Nには、電源電圧VDD_A/Dが供給される。このことは、インバータQ0N〜Q8Nの各々から出力される基準信号の振幅が電源電圧VDD_A/Dに等しいことを意味する。インバータQ0N〜Q8Nは、制御回路405によって生成されるデジタル信号DN0〜DN8に対応して配置されている。インバータQ0N〜Q8Nの各々には、制御回路405から、デジタル信号DN0〜DN8の各ビットが入力される。また、インバータQ0N〜Q8Nの出力部の各々は、バイナリ容量C0N〜C8Nの他方の電極に接続される。
【0096】
インバータQ0N〜Q8Nは、制御回路405から入力されるデジタル信号DN0〜DN8を反転することによって参照信号を生成する。容量部402aNが有する複数のバイナリ容量C0N〜C8Nは、電荷再配分により、減衰容量ChNに保持されているアナログの基準信号VREFに基づく電荷から、参照信号に基づく電荷を引き抜くことによって、アナログの基準信号VREFから参照信号を減算する。容量部402aNは、減算結果であるアナログ信号VCNを出力する。
【0097】
比較回路403(コンパレータ)は、容量性DAC回路402から入力されるアナログの撮像信号とアナログの基準信号とを比較し、その大小関係に応じた比較結果を示すデジタル信号VOPおよびデジタル信号VONを出力する。具体的には、比較回路403は、アナログの撮像信号の信号レベルがアナログの基準信号の信号レベルよりも高い場合、デジタル信号VOPとしてハイレベルの信号を出力し、デジタル信号VONとしてローレベルの信号を出力する。逆に、比較回路403は、アナログの撮像信号の信号レベルがアナログの基準信号の信号レベルよりも低い場合、デジタル信号VOPとしてローレベルの信号を出力し、デジタル信号VONとしてハイレベルの信号を出力する。比較回路403は、後述する制御回路405によって生成される内部クロック信号BIT_CLKおよび反転内部クロック信号BIT_CLKbに基づいて制御される。
【0098】
補正回路404は、比較回路403の前段側に設けられ、比較回路403の入力トランジスタにおける寄生容量を相殺した一対の電圧信号を比較回路403へ出力する。具体的には、補正回路404は、比較回路403の入力トランジスタの寄生容量(ゲート容量)を相殺することによって、比較回路403に入力される一対のアナログの信号電圧を補正して比較回路403へ出力する。補正回路404は、比較回路403の入力トランジスタの寄生容量を相殺する補正用トランジスタ404aと、補正用トランジスタ404aにバイアス電圧VBを印加するバイアス回路404bと、を有する。補正用トランジスタ404aのゲート端子は、比較回路403の入力端子に、補正用トランジスタ404aのドレイン端子とソース端子は互いに接続されてバイアス回路404bに接続されている。補正用トランジスタ404aは、ゲート端子と共通接続されたドレイン・ソース端子間とでMOS容量を構成する。補正用トランジスタ404aの容量の電圧依存性は、比較回路403の入力トランジスタの電圧依存と逆特性を有する。なお、補正用トランジスタ404aの電圧依存性については後述する。
【0099】
制御回路405は、SAR(Successive Approximation Register)ロジック回路として機能し、2分探索アルゴリズムに従って、比較回路403による比較結果を示すデジタル信号VOPおよびデジタル信号VONに対応するデジタル信号DP0〜DP8、およびデジタル信号DN0〜DN8の各ビットの値を逐次判定する。制御回路405は、デジタル信号VOPおよびデジタル信号VONに対応するデジタル信号DP0〜DP8およびデジタル信号DN0〜DN8を容量性DAC回路402に供給する。このうち、制御回路405は、デジタル信号DP0〜DP8を、A/D変換結果を表すデジタル信号D0〜D8として出力する(Vout)。また、制御回路405は、比較回路403を制御する内部クロック信号BIT_CLKおよび反転内部クロック信号BIT_CLKbを生成し、比較回路403へ供給する。制御回路405は、タイミング生成部28によって生成されたクロック信号CLKに基づいて制御される。制御回路405は、クロック信号CLKがハイレベルの期間において、内部クロック信号BIT_CLKおよび反転内部クロック信号BIT_CLKbを発生させる。
【0100】
このように構成された第1のA/D変換部280は、デジタル信号D0〜D8の最上位ビット(D8)から最下位ビット(D0)に向かって、1ビットずつ順にA/D変換結果を取得する。このA/D変換の過程で、比較回路403は、容量性DAC回路402によって上述した減算が行われる都度、それまでの累積残差が反映されたアナログの撮像信号(INP)の信号レベル(電圧)とアナログの基準信号(INN)の信号レベル(電圧)とを比較する。
【0101】
また、第1のA/D変換部280の差動入力レンジは、下記の式(1)となる。
【数1】
ここで、Cst1は、メタル配線間(ノード配線)に生じる寄生容量を示し、Cst2は、比較回路403の入力容量を示し、Cst3は、補正用トランジスタ404aにより生成されるMOS容量を示し、Chは、容量性DAC回路402の減衰容量を示す。
【0102】
上述した式(1)において、Cdac=Ch+Cst1+Cst2+Cst3となるようにChを設定するとゲイン係数が1となり、フルスケールレンジを確保することができる。このため、本実施の形態1では、補正用トランジスタ404aの容量は、MOS容量の値が比較回路403の入力トランジスタのゲート容量と逆特性のバイアス電圧の依存性を示すように設定する。
【0103】
〔補正用トランジスタの特性〕
次に、補正用トランジスタ404aの容量と比較回路403の容量の電圧依存特性について説明する。
図8は、比較回路403の入力容量と補正回路404の補正用トランジスタ404aの入力容量との電圧依存特性の関係を示す図である。
図8において、横軸が比較回路403の入力電圧(V)を示し、縦軸が容量を示す。また、
図8において、曲線L1が比較回路403の電圧依存特性を示し、曲線L2が補正用トランジスタ404aの電圧依存特性を示し、曲線L3が補正用トランジスタ404aの容量(VBパラメータ)と比較回路403の入力容量との合成容量における電圧依存特性を示す。
【0104】
図8に示すように、補正用トランジスタ404aは、容量が比較回路403の入力トランジスタのゲート容量と逆特性のバイアス電圧依存性を有するように設定する。具体的には、ユーザは、補正用トランジスタ404aのバイアス電圧VBを適切に設定することにより、補正用トランジスタ404aの容量と比較回路403の入力容量との合成容量を略フラットとなるように設定する。より具体的には、曲線L2に示すように、ユーザは、補正用トランジスタ404aのバイアス電圧VBを適切に設定することにより、比較回路403の入力トランジスタのゲート容量と逆特性のバイアス電圧依存性を持たせることで、曲線L3に示すように補正用トランジスタ404aのMOS容量と比較回路403の入力容量との合成容量を略フラットとなるように設定することができる。
【0105】
図9は、従来の逐次比較型のA/D変換装置が出力する出力信号のINL(Integral Non-Linearity:積分非直線性誤差)特性を示す。
図10は、第1のA/D変換部280が出力する出力信号のINL特性を示す。
図9および
図10において、横軸がcodeを示し、縦軸がINL[a.u.]を示す。また、
図9の曲線L31が従来の逐次比較型のA/D変換装置が出力する出力信号のINL特性を示し、
図10の曲線L32が第1のA/D変換部280が出力する出力信号のINL特性を示す。
【0106】
図10の曲線L32に示すように、第1のA/D変換部280は、出力信号が略フラットなものとなり、ゲインがA/D変換の最中に変動することを防止することができるので、出力信号の線形性を維持することができる。
【0107】
〔撮像装置の動作〕
次に、撮像装置20の動作について説明する。
図11Aは、撮像装置20の動作を示すタイミングチャートである。
図11Bは、
図11Aの領域R1のタイミングチャートの一部を拡大した模式図である。
図11Aにおいては、受光部23の行<n>の画素230から撮像信号を読み出し、A/D変換装置27からデジタルの撮像信号が出力されるまでを説明する。また、
図11Aに示すタイミングチャートでは説明の便宜上、画素230に1つの光電変換素子231のみが含まれるものとしている。画素230に複数の光電変換素子231が含まれる場合(画素共有の場合)には、このタイミングチャートに示す1映像信号ライン分の動作を画素230に含まれる光電変換素子231の数分だけ繰り返し行う。また、
図11Aにおいて、最上段から順に、駆動信号φR、駆動信号φT、駆動信号φVCL、駆動信号SW21〜SW2n、転送容量252の電圧VIN1〜VINn、バッファ部25の出力電圧Vout、A/D変換装置27の変換タイミング、基準クロックCLK、A/D変換装置27の変換結果の出力タイミングおよび基準信号VREFを示す。また、
図11Bにおいて、最上段から順に、基準信号VREF、バッファ部25の出力電圧Vout、基準クロックCLK、A/D変換装置27の動作モードおよびバッファ部25の出力電圧Voutから基準信号VREFの差分(Vout−VREF)を示す。
【0108】
図11Aおよび
図11Bに示すように、まず、タイミング生成部28は、クランプスイッチ253をオン(駆動信号φVCLがHigh)し、画素リセット部236をオン(パルス状の駆動信号φR<0>がHigh)、転送トランジスタ234をオフ(パルス状の駆動信号φT<0>がLow)することにより(時間T1)、読み出し対象の画素230特有のばらつきと、画素リセット時のノイズ等を含むノイズ信号を画素230から垂直転送線239に出力する。このとき、クランプスイッチ253をオン(駆動信号φVCLがHigh)状態にしたままにすることにより、列ソースフォロワバッファ244のゲートがクランプ電圧VCLPの電圧となり、転送容量252にVRST−VCLPを充電する。
【0109】
次に、タイミング生成部28は、クランプスイッチ253をオフ(駆動信号φVCLがLow)にした状態で、転送トランジスタ234をオン(パルス状の駆動信号φT<0>がHigh)することにより、電荷変換部233が光電変換素子231によって光電変換された信号を垂直転送線239に読み出す(時間T2)。この状態で、電荷変換部233によって電圧変換された撮像信号VSIGは、垂直転送線239に転送される。この動作により、転送容量252に、VCLP−(VRST1−VSIG1)を充電する。これにより、転送容量252を介して、ノイズ信号が差し引かれた撮像信号(光信号)が、列ソースフォロワバッファ244のゲートに出力される。ここで、列ソースフォロワバッファ244のゲートに出力される信号は、クランプ電圧VCLPを基準としてサンプリングされた信号である。
【0110】
続いて、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255をオン(駆動信号SW21がHigh)することにより(時間T3)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRST1−VSIG1))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260を介してA/D変換装置27へ出力される。
【0111】
その後、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255を切り替えてオンオフ(駆動信号SW21がLow、駆動信号SW22がHigh)することにより(時間T4)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRST2−VSIG2))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260を介してA/D変換装置27へ出力される。このとき、A/D変換装置27は、基準信号生成部26から出力された基準信号VREFに基づいて、転送容量252から出力された撮像信号Voutに対してA/D変換を行ってデジタルの撮像信号D1を外部へ出力する。
【0112】
続いて、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255を順次切り替えてオンオフ(駆動信号SW22〜SW2n)することにより(時間TN)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRSTn−VSIGn))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260を介してA/D変換装置27へ順次出力される。このとき、A/D変換装置27は、基準信号生成部26から出力された基準信号VREFに基づいて、転送容量252から順次出力された撮像信号Voutに対してA/D変換を行ってデジタルの撮像信号D2〜DNを外部へ順次出力する。
【0113】
このような動作を、撮像装置20は、受光部23の列数分(または読み出しが必要な列数分)繰り返すことにより、撮像信号の同相の揺らぎ成分がキャンセルされたデジタルの撮像信号を外部へ出力する。さらに、撮像装置20は、1ライン分の読み出し動作を画素行数分(または読み出しが必要な行数分)繰り返すことにより、1フレーム分のデジタルの撮像信号を外部へ出力する。
【0114】
また、
図11Bに示すように、基準信号VREFおよび撮像信号Voutは、同相ノイズが乗るが、バッファ部25の出力電圧Voutから基準信号VREFの差分(Vout−VREF)は、同相ノイズの影響を受けない。A/D変換装置27は、バッファ部25から入力された撮像信号Voutおよび基準信号生成部26から生成された基準信号VREFを同一のタイミングでサンプリングし、デジタルの撮像信号Voutを外部へ出力する。この結果、A/D変換結果は、同相ノイズの影響を受けない。
【0115】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、第1のグローバル側回路260が水平走査部245によって順次選択された奇数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、列ソースフォロワバッファ244から入力される撮像信号(Vin)の電圧に対してインピーダンス変換を行い、ボルテージフォロワにより増幅率を1倍に増幅して撮像信号(Vout)を出力するので、列ソースフォロワバッファ244が出力する撮像信号のレベルを最大限に用いることができる。
【0116】
また、本発明の実施の形態1によれば、画素230よりも低い電源電圧で動作するA/D変換装置27へ出力する場合において、A/D変換装置27の入力ダイナミックレンジと線形性を確保することができる。
【0117】
さらに、本発明の実施の形態1によれば、列ソースフォロワバッファ244の入力換算雑音を低減することができる。
【0118】
また、本発明の実施の形態1によれば、基準信号生成部26が画素230で生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有する基準信号を生成するので、同相ノイズの影響を実質的に受けない状態で撮像信号をデジタルの撮像信号に変換して出力することができる。
【0119】
また、本発明の実施の形態1によれば、比較回路403の入力端子に接続される容量を略フラットにすることができるので、A/D変換装置27が出力する出力信号の線形性が劣化することを防止することができる。
【0120】
(実施の形態1の変形例1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1について説明する。本実施の形態1の変形例1は、上述した実施の形態1に係る基準信号生成部26の構成が異なる。以下においては、本実施の形態1の変形例1に係る基準信号生成部の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
〔基準信号生成部の構成〕
図12は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る基準信号生成部の構成を模式的に示す回路図である。
【0122】
図12に示す基準信号生成部26aは、上述した実施の形態1に係る基準信号生成部26からノイズ除去相当回路305、列相当回路306および、バッファ相当回路307を省略した構成であり、2つの抵抗301aおよび抵抗302bからなる抵抗分割回路301と、タイミング生成部28から印加される駆動信号で駆動するスイッチ302(トランジスタ)と、電源から独立させて、揺らぎから開放させるためのサンプリング容量303(コンデンサ)と、画素相当回路304と、を有する。
【0123】
以上説明した本発明の実施の形態1の変形例1によれば、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成してA/D変換装置27へ出力することができるうえ、撮像素子21のチップ面積を小型化することができる。
【0124】
(実施の形態1の変形例2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。本実施の形態1の変形例2は、上述した実施の形態1に係る基準信号生成部26の構成が異なる。以下においては、本実施の形態1の変形例2に係る基準信号生成部の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
〔基準信号生成部の構成〕
図13は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る基準信号生成部の構成を模式的に示す回路図である。
【0126】
図13に示す基準信号生成部26bは、上述した実施の形態1に係る基準信号生成部26からスイッチ302(トランジスタ)、サンプリング容量303(コンデンサ)、画素相当回路304、ノイズ除去相当回路305、列相当回路306およびバッファ相当回路307を省略した構成であり、2つの抵抗301aおよび抵抗301bからなる抵抗分割回路301を有する。
【0127】
以上説明した本発明の実施の形態1の変形例2によれば、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成してA/D変換装置27へ出力することができるうえ、撮像素子21のチップ面積をより小型化することができる。
【0128】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、上述した実施の形態1に係る撮像素子21の構成が異なる。以下においては、本実施の形態2に係る撮像素子の構成を説明後、本実施の形態2に係る撮像素子の動作について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
〔撮像素子の回路の構成〕
図14は、本発明の実施の形態2に係る撮像素子の構成を模式的に示す回路図である。
図14に示す撮像素子21aは、上述した実施の形態1に係る撮像素子21のバッファ部25および基準信号生成部26に換えて、バッファ部25aおよび基準信号生成部26cを備える。
【0130】
〔バッファ部の構成〕
まず、バッファ部25aの構成について説明する。バッファ部25aは、水平走査部245によって順次選択された列ソースフォロワバッファ244が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、入力される撮像信号をボルテージフォロワにより1倍増幅にしてA/D変換装置27へ出力する。バッファ部25aは、画素230の奇数列および偶数列それぞれに設けられた第1のグローバル側回路260aおよび第2のグローバル側回路270aを有する。第1のグローバル側回路260aおよび第2のグローバル側回路270aは、インピーダンス変換部として機能する。
【0131】
第1のグローバル側回路260aは、上述した実施の形態1に係る第1のグローバル側回路260の構成に加えて、第4のトランジスタ266、定電流源267と、第5のトランジスタ268と、定電流源269と、をさらに有する。
【0132】
第4のトランジスタ266は、一端側(ソース側)が定電流源267に接続され、他端側(ドレイン側)がグランドGNDに接続され、ゲートがスイッチ261、第1のトランジスタ262および水平転送線257を介して列ソースフォロワバッファ244の列選択スイッチ255に接続される。第4のトランジスタ266は、PMOSを用いて構成される。
【0133】
定電流源267は、一端側が電源電圧VDDに接続され、他端側が第4のトランジスタ266の一端側(ソース側)および第5のトランジスタ268のゲートに接続される。なお、本実施の形態2では、定電流源267が第3の定電流源として機能する。
【0134】
第5のトランジスタ268は、一端側(ドレイン側)が電源電圧VDDに接続され、他端側(ソース側)が定電流源269に接続され、ゲートが定電流源267に接続される。第5のトランジスタ268は、NMOSを用いて構成される。
【0135】
定電流源269は、一端側がグランドGNDに接続され、他端側が第5のトランジスタ268の他端側(ソース側)に接続される。なお、本実施の形態2では、定電流源269が第4の定電流源として機能する。
【0136】
このように構成された第1のグローバル側回路260aは、出力段をソースフォロワ構成としているため、水平走査部245によって順次選択された奇数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、入力される撮像信号(Vin)をボルテージフォロワにより1倍に増幅した撮像信号(Vout)をA/D変換装置27へ出力する。
【0137】
第2のグローバル側回路270aは、上述した第1のグローバル側回路260aと同一の構成を有し、定電流源256と、スイッチ261と、第1のトランジスタ262と、第2のトランジスタ263と、第3のトランジスタ264と、定電流源265と、第4のトランジスタ266、定電流源267と、第5のトランジスタ268と、定電流源269と、を有する。
【0138】
このように構成された第2のグローバル側回路270aは、水平走査部245によって順次選択された偶数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、入力される撮像信号(Vin)をボルテージフォロワにより1倍に増幅した撮像信号(Vout)をA/D変換装置27へ出力する。
【0139】
基準信号生成部26cは、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号を生成してA/D変換装置27へ出力する。なお、基準信号生成部26cの回路の詳細は、後述する
図15において説明する。
【0140】
〔基準信号生成部の構成〕
次に、
図14において説明した基準信号生成部26cの詳細な構成について説明する。
図15は、基準信号生成部26cの構成を模式的に示す回路図である。
【0141】
図15に示す基準信号生成部26cは、上述した実施の形態1に係る基準信号生成部26のバッファ相当回路307に換えて、バッファ相当回路307aを有する。
【0142】
バッファ相当回路307aは、第1のグローバル側回路260aと相当な回路を形成し、定電流源256と、スイッチ261と、第1のトランジスタ262と、第2のトランジスタ263と、第3のトランジスタ264と、定電流源265と、第4のトランジスタ266、定電流源267と、第5のトランジスタ268と、定電流源269と、を有する。バッファ相当回路307aは、上述した第1のグローバル側回路260aと相当な回路のため、詳細な説明は省略する。
【0143】
このように構成された基準信号生成部26cは、画素230によって生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有し、撮像信号の補正処理に用いられる基準信号(VREF)を生成してA/D変換装置27へ出力する。
【0144】
〔撮像装置の動作〕
次に、撮像装置20の動作について説明する。
図16Aは、撮像装置20の動作を示すタイミングチャートである。
図16Bは、
図16Aの領域R2のタイミングチャートの一部を拡大した模式図である。
図16Aにおいては、受光部23の行<n>の画素230から撮像信号を読み出し、A/D変換装置27からデジタルの撮像信号が出力されるまでを説明する。また、
図16Aに示すタイミングチャートでは説明の便宜上、画素230に1つの光電変換素子231のみが含まれるものとしている。画素230に複数の光電変換素子231が含まれる場合(画素共有の場合)には、このタイミングチャートに示す1映像信号ライン分の動作を画素230に含まれる光電変換素子231の数分だけ繰り返し行う。また、
図16Aにおいて、最上段から順に、駆動信号φR、駆動信号φT、駆動信号φVCL、駆動信号SW21〜SW2n、転送容量252の電圧VIN1〜VINn、バッファ部25aの出力電圧Vout、A/D変換装置27の変換タイミング、基準クロックCLK、A/D変換装置27の変換結果の出力タイミングおよび基準信号VREFを示す。また、
図16Bにおいて、最上段から順に、基準信号VREF、バッファ部25の出力電圧Vout、基準クロックCLK、A/D変換装置27の動作モードおよびバッファ部25の出力電圧Voutから基準信号VREFの差分(Vout−VREF)を示す。
【0145】
図16Aおよび
図16Bに示すように、まず、タイミング生成部28は、クランプスイッチ253をオン(駆動信号φVCLがHigh)し、画素リセット部236にオン(パルス状の駆動信号φR<0>がHigh)、転送トランジスタ234をオフ(パルス状の駆動信号φT<0>がLow)することにより(時間T1)、読み出し対象の画素230特有のばらつきと、画素リセット時のノイズ等を含むノイズ信号を画素230から垂直転送線239に出力する。このとき、クランプスイッチ253をオン(駆動信号φVCLがHigh)状態にしたままにすることにより、列ソースフォロワバッファ244のゲートがクランプ電圧VCLPの電圧となり、転送容量252にVRST−VCLPを充電する。
【0146】
次に、タイミング生成部28は、クランプスイッチ253をオフ(駆動信号φVCLがLow)にした状態で、転送トランジスタ234にオン(パルス状の駆動信号φT<0>がHigh)することにより、電荷変換部233が光電変換素子231によって光電変換された電荷を変換した信号を垂直転送線239に読み出す(時間T2)。この状態で、電荷変換部233によって電圧変換された撮像信号VSIGは、垂直転送線239に転送される。この動作により、転送容量252に、VCLP−(VRST1−VSIG1)を充電する。これにより、転送容量252を介して、ノイズ信号が差し引かれた撮像信号(光信号)が、列ソースフォロワバッファ244のゲートに出力される。ここで、列ソースフォロワバッファ244のゲートに出力される信号は、クランプ電圧VCLPを基準としてサンプリングされた信号である。
【0147】
続いて、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255をオン(駆動信号SW21がHigh)することにより(時間T3)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRST1−VSIG1))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260aを介してA/D変換装置27へ出力される。
【0148】
その後、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255を切り替えてオンオフ(駆動信号SW21がLow、駆動信号SW22がHigh)することにより(時間T4)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRST2−VSIG2))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260aを介してA/D変換装置27へ出力される。このとき、A/D変換装置27は、基準信号生成部26cから出力された基準信号VREFに基づいて、転送容量252から出力された撮像信号Voutに対してA/D変換を行ってデジタルの撮像信号D1を外部へ出力する。
【0149】
続いて、タイミング生成部28は、列選択スイッチ255を順次切り替えてオンオフ(駆動信号SW22〜SW2n)することにより(時間TN)、転送容量252に充電された撮像信号Vout(VCLP−(VRSTn−VSIGn))が列ソースフォロワバッファ244および第1のグローバル側回路260aを介してA/D変換装置27へ順次出力される。このとき、A/D変換装置27は、基準信号生成部26cから出力された基準信号VREFに基づいて、転送容量252から順次出力された撮像信号Voutに対してA/D変換を行ってデジタルの撮像信号D2〜DNを外部へ順次出力する。
【0150】
このような動作を、撮像装置20は、受光部23の列数分(または読み出しが必要な列数分)繰り返すことにより、撮像信号の同相の揺らぎ成分がキャンセルされたデジタルの撮像信号を外部へ出力する。さらに、撮像装置20は、1ライン分の読み出し動作を画素行数分(または読み出しが必要な行数分)繰り返すことにより、1フレーム分のデジタルの撮像信号を外部へ出力する。
【0151】
また、
図16Bに示すように、基準信号VREFおよび撮像信号Voutは、同相ノイズが乗るが、バッファ部25の出力電圧Voutから基準信号VREFの差分(Vout−VREF)は、同相ノイズの影響を受けない。A/D変換装置27は、バッファ部25から入力された撮像信号Voutおよび基準信号生成部26から生成された基準信号VREFを同一のタイミングでサンプリングし、デジタルの撮像信号Voutを外部へ出力する。この結果、A/D変換結果は、同相ノイズの影響を受けない。
【0152】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、第1のグローバル側回路260aが水平走査部245によって順次選択された奇数列の列ソースフォロワバッファ244(列側回路)が接続されることによって、ボルテージフォロワ回路となり、列ソースフォロワバッファ244から入力される撮像信号(Vin)の電圧に対してインピーダンス変換を行い、ボルテージフォロワにより増幅率を1倍に増幅して撮像信号(Vout)を出力するので、列ソースフォロワバッファ244が出力する撮像信号のレベルを最大限に用いることができる。
【0153】
また、本発明の実施の形態2によれば、第1のグローバル側回路260aをソースフォロワ型にすることにより、列ソースフォロワバッファ244のセトリング性能を向上させることができる。
【0154】
また、本発明の実施の形態2によれば、第1のグローバル側回路260aをソースフォロワ型にすることにより、A/D変換装置27の入力容量を大きくした場合であっても、線形性を確保することができる。
【0155】
また、本発明の実施の形態2によれば、基準信号生成部26cが画素230で生成された撮像信号と同相の揺らぎ成分を有する基準信号を生成するので、同相ノイズの影響を実質的に受けない状態で撮像信号をデジタルの撮像信号に変換して出力することができる。
【0156】
また、本発明の実施の形態2によれば、比較回路403の入力端子に接続される容量を略フラットにすることができるので、A/D変換装置27が出力する出力信号の線形性が劣化することを防止することができる。
【0157】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、上述した実施の形態1に係るA/D変換装置27における第1のA/D変換部280および第2のA/D変換部290と構成が異なる。以下においては、本実施の形態3に係る第1のA/D変換部および第2のA/D変換部の構成について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0158】
〔第1のA/D変換部の構成〕
図17は、本実施の形態3に係る第1のA/D変換部の構成を模式的に示す回路図である。なお、本実施の形態3に係る第1のA/D変換部および第2のA/D変換部は、同じ回路構成のため、以下においては、第1のA/D変換部の構成のみ説明し、第2のA/D変換部の構成の説明は省略する。また、
図17に示す第1のA/D変換部280aは、逐次比較型のA/D変換装置であり、9ビット(bit)出力のA/D変換装置であるが、これに限定されず、出力ビット数を適宜変更することができる。
【0159】
図17に示す第1のA/D変換部280aは、上述した実施の形態1に係る第1のA/D変換部280の補正回路404に換えて、補正回路406を備える。
【0160】
補正回路406は、比較回路403の入力トランジスタの寄生容量を相殺することによって、比較回路403に入力される一対のアナログの信号を補正する。補正回路406は、比較回路403の入力トランジスタの寄生容量を相殺する補正用トランジスタ404aと、補正用トランジスタ404aにバイアス電圧VBを印加するとともに、バイアス電圧VBを調整可能なバイアス回路406bと、を有する。バイアス回路406bは、例えば可変抵抗等を用いて構成される。なお、バイアス回路406bは、DAC回路の出力信号を用いて構成されてもよい。
【0161】
〔補正回路のバイアス電圧VBの調整方法〕
次に、上述した補正回路406のバイアス電圧の調整方法について説明する。
図18は、補正回路406のバイアス電圧の調整方法を示すフローチャートである。
図19A〜
図19Cは、補正回路406のバイアス電圧(n)を変化させたときのINL特性(9ビットADC)を模式的に示す図である。
図19A〜
図19Cにおいて、横軸がcodeを示し、縦軸がINL[a.u]を示す。また、
図19Aの曲線L41がバイアス電圧VB=VB(1)のINL特性を示し、
図19Bの曲線L42がバイアス電圧VB=Vb(N)のINL特性を示し、
図19Cの曲線L43がバイアス電圧VB=VB(n)のINL特性を示す。
【0162】
図18に示すように、まず、ユーザは、バイアス回路406bを調整して、バイアス電圧VB(1)〜VB(N)の値を設定し(ステップS101)、n=1に設定する(ステップS102)。ここで、Nがバイアス電圧VBを分割する際の最大値を示す。
【0163】
続いて、バイアス回路406bは、補正用トランジスタ404aにバイアス電圧VB(n)を印加する(ステップS103)。
【0164】
その後、ユーザは、第1のA/D変換部280aにテスト信号を入力し、A/D変換を実行させ(ステップS104)、第1のA/D変換部280aから出力された出力コードDOUT(n)を測定し、INL(n)を算出する(ステップS105)。この場合、バイアス電圧VB(1)のINL特性は、
図19Aの曲線L41に示すような上側に凸状をなす。
【0165】
続いて、ユーザは、算出したINL(n)より、INLの最大値INL_MAX(n)、最小値INL_MIN(n)を算出する(ステップS106)。
【0166】
その後、ユーザは、nがNであるか否かを判断する(ステップS107)。nがNである場合(ステップS107:Yes)、後述するステップS109へ移行する。
【0167】
これに対して、nがNでない場合(ステップS107:No)、ユーザは、nをインクリメント(n=n+1)し(ステップS108)、ステップS103へ戻り、n=Nになるまで、上述したステップS103〜ステップS107を繰り返す。この場合、バイアス電圧VB(N)のINL特性は、
図19Bの曲線L42に示すような下側に凸状をなす。
【0168】
ステップS109において、ユーザは、最大値INL_MAX(n)と最小値INL_MIN(n)の絶対値の差分が小さく、最大値INL_MAX(n)と最小値INL_MIN(n)の絶対値の平均値が小さいnを選択する。
【0169】
その後、ユーザは、バイアス電圧VB(n)を補正用トランジスタ404aのバイアス電圧に設定する(ステップS110)。具体的には、ユーザは、バイアス回路406bが補正用トランジスタ404aに印加するバイアス電圧がVB(n)となるように調整する。この場合、
図19Cに示すように、バイアス電圧VB(n)のINL特性は、
図19Cの曲線L43に示すような略直線状をなす。ステップS110の後、ユーザは、本処理を終了する。
【0170】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、比較回路403の入力端子に接続される容量を略フラットにすることができるので、A/D変換装置27が出力する出力信号の線形性が劣化することを防止することができる。
【0171】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態では、伝送ケーブルを介して撮像装置が生成した撮像信号をプロセッサへ伝送していたが、例えば有線である必要はなく、無線であってもよい。この場合、所定の無線通信規格(例えばWi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標))に従って、撮像信号をプロセッサへ伝送するようにすればよい。もちろん、他の無線通信規格に従って無線通信を行ってもよい。さらに、撮像信号以外にも、内視鏡の各種情報を更新するための更新情報を伝送してもよい。
【0172】
また、本発明の実施の形態では、撮像素子を1チップで構成していたが、複数の画素を配置してなる画素チップと、読み出し部からA/D変換装置までの各種回路を配置してなる回路チップと、を分割し、画素チップ上に回路チップを積層する2チップとしてもよい。
【0173】
また、本発明の実施の形態では、伝送ケーブルを介してA/D変換装置からデジタルの撮像信号をコネクタ部へ伝送していたが、例えばデジタルの撮像信号を光信号に変換する光カプラ等を設け、デジタルの撮像信号を光信号によってコネクタ部へ伝送してもよい。
【0174】
また、本明細書において、前述の各動作フローチャートの説明において、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」、「その後」等を用いて動作を説明しているが、この順で動作を実施することが必須であることを意味するものではない。
【0175】
また、本発明の実施の形態では、プロセッサと光源装置とが一体的に形成されていたが、これに限定されることなく、例えばプロセッサと光源装置とが別体であってもよい。
【0176】
また、本発明の実施の形態では、同時方式の内視鏡を例に説明したが、面順次方式の内視鏡であっても適用することができる。
【0177】
また、本発明の実施の形態では、軟性内視鏡(上下内視鏡スコープ)以外にも、硬性内視鏡、副鼻腔内視鏡および電気メスや検査プローブ等の内視鏡システムであっても適用することができる。
【0178】
また、本発明の実施の形態では、逐次比較型A/D変換装置が撮像装置として、被検体に挿入される挿入部の先端部に設けられた内視鏡の撮像装置を例に説明したが、これに限定されることなく、レンズ装置を着脱自在な撮像装置、携帯電話に内蔵された撮像装置、表示モニタレスの撮像装置、ネットワークを介して操作される監視カメラ、デジタルカムコーダおよび顕微鏡に用いられる撮像装置等に適用することができる。
【0179】
また、本発明は、上述した実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した実施の形態および変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、各実施の形態および変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0180】
また、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。