特許第6445764号(P6445764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445764
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】機械式駐車場の契約車両認識装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20181217BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20181217BHJP
   E04H 6/14 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   E04H6/42 F
   E04H6/18 601A
   E04H6/14 601A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-256395(P2013-256395)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2015-113625(P2015-113625A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年10月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087527
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 光雄
(72)【発明者】
【氏名】長田 勝博
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−270357(JP,A)
【文献】 特開平09−251598(JP,A)
【文献】 特開2002−227448(JP,A)
【文献】 特開平07−244782(JP,A)
【文献】 特開2012−015957(JP,A)
【文献】 特開平07−269147(JP,A)
【文献】 特開2003−319086(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0085596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00−6/42
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約車両に前面側から見えるように車両前方に向けて提示した状態で装備される車両用バーコードと、
前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードと、
機械式駐車場の入出庫バースの出入口付近に設置されていて、該入出庫バースの出入口前の入庫車両待機領域に前記契約車両を停止させた状態で該契約車両を撮影して、該契約車両に装備されている前記車両用バーコードと、前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードを共に撮影するためと、前記機械式駐車場に格納してある前記契約車両の出庫を行うときに前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードを撮影するためのカメラと、
前記カメラに接続され、更に前記機械式駐車場の制御手段に接続されている画像処理装置とを備え、
且つ前記画像処理装置は、
前記入庫車両待機領域に停止した前記契約車両前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、少なくとも前記車両用バーコードの像が検出されると、前記入庫車両待機領域に停止した車両が契約車両であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて入庫処理を開始させる機能と、
前記機械式駐車場に前記契約車両が格納されている状態で、該格納されている契約車両の出庫を行う場合に前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコード前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、前記使用者用バーコードの像が検出されると、前記契約車両の使用者であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて出庫処理を開始させる機能を備える構成としたこと
を特徴とする機械式駐車場の契約車両認識装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記入庫車両待機領域に停止した前記契約車両前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、前記車両用バーコードの像及び使用者用バーコードの像が検出されると、前記入庫車両待機領域に停止した車両が契約車両であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて入庫処理を開始させる機能を有するものとした
請求項1記載の機械式駐車場の契約車両認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場にて契約車両とその使用者を認識して入庫処理や出庫処理を開始させるための機械式駐車場の契約車両認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車場を運用する形式の一つとしては、駐車を許可する車両を予め契約により定めておく形式がある。
【0003】
このような契約車両を入出庫させる機械式駐車場では、車両の入庫時には、入庫させようとしている車両が、予め登録されている契約車両であることを、該機械式駐車場の制御手段によって認識させる必要がある。又、前記機械式駐車場では、車両の出庫時には、契約車両の出庫操作を行う人が、該契約車両の使用者であることを、該機械式駐車場の制御手段に認識させる必要がある。
【0004】
そのため、従来、機械式駐車場に契約車両を入庫させる場合は、機械式駐車場の入出庫バースの出入口の前に車両を停止させ、この状態で、該車両の使用者(運転者)が一旦車両から降りて、通常、前記入出庫バースの出入口付近の壁面に設けてある操作盤のカードリーダに、予め貸与されている認識用カードを通すか、あるいは、前記操作盤のキーパッドにより暗証番号を打ち込むようにしてある。これにより、前記機械式駐車場の制御手段では、前記操作盤より入力される情報を基に、前記車両が契約車両であることを認識することができるようにしてある。このようにして契約車両の認識が行われると、前記機械式駐車場の制御手段は、該契約車両に割り当てられた空のパレットを呼び出して、入出庫バースまで移動させ、その後、該入出庫バースの出入口の扉を開いて、前記契約車両が入庫可能となるようにさせるための入庫処理を行うようにしてある。
【0005】
又、機械式駐車場に駐車(格納)されている契約車両の出庫を行うときには、該契約車両の使用者が、前記入庫の場合と同様に、機械式駐車場の操作盤のカードリーダに認識用カードを通すか、あるいは、前記操作盤のキーパッドにより暗証番号を打ち込むことにより、該機械式駐車場の制御手段に、出庫操作を行う人が前記契約車両の使用者であることを認識させるようにしてある。このようにして前記契約車両の使用者の認識が行われると、前記機械式駐車場の制御手段は、前記契約車両を、格納個所よりパレットと共に入出庫バースまで移動させ、その後、該入出庫バースの出入口の扉を開いて、前記契約車両を出庫可能とさせる出庫処理を行うようにしてある。
【0006】
機械式駐車場の制御手段に入庫する契約車両を認識させ、又、出庫操作を行う該契約車両の使用者を認識させるための別の手段としては、契約車両の使用者が、貸与されるリモートコントローラ(遠隔操作機器)により、前記機械式駐車場の制御手段を遠隔操作する手法も採用されてきている。
【0007】
機械式駐車場の制御手段に入庫する契約車両を認識させるための更に別の手段としては、該機械式駐車場に装備したカメラにより入庫しようとする車両のナンバーを読み取らせ、該読み取ったナンバーを基に、前記機械式駐車場の制御手段により、入庫車両が契約車両であるか否かの判断を行わせるようにすることも考えられてきている。
【0008】
なお、自転車を駐車するための駐輪場(駐車場)に関して、該駐輪場に進入する自転車が登録車両であるか否かを識別するための手段の一つとしては、自転車に識別子となるバーコードを設け、前記駐輪場の入口に、前記バーコードを読み取るためのバーコードリーダを設ける構成とすることや、自転車に識別子となるパターンを刻設し、前記駐輪場の入口に、前記パターンを撮影するための撮像装置を設ける構成とすることが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−227448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、機械式駐車場の制御手段に、入庫する契約車両を認識させ、又、出庫操作を行う該契約車両の使用者を認識させるための手段として、該機械式駐車場の操作盤のカードリーダやキーパッドを使用する方式は、契約車両を入庫させるときに、その使用者(運転者)が必ず車両を降りなければならない。そのため、該方式は、入庫する契約車両を認識させる際に手間と時間がかかり、前記契約車両の使用者による入庫操作に関してバリアフリー化を図ることが難しい。
【0011】
又、機械式駐車場の制御手段に、入庫する契約車両を認識させ、又、出庫操作を行う該契約車両の使用者を認識させるための手段として、該機械式駐車場の制御手段をリモートコントローラで操作する方式は、前記使用者が入庫操作を行うときに車両から降りる必要がないため、契約車両の入庫時の手間を省くことができるという点では有効である。
【0012】
しかし、前記リモートコントローラは、通常、前記機械式駐車場の制御手段より数メートル〜十数メートル離れた個所からも操作が可能であることから、複数台の契約車両が順次入庫を行うときに、入出庫バースの出入口に最も近い位置にいる契約車両とは別の契約車両の使用者が先にリモートコントローラの操作をしてしまうと、入出庫バースに、出入口に最も近い位置にいる契約車両とは別の契約車両に割り当てられたパレットが呼び出されてしまう。よって、その場合は、入庫順序にトラブルが生じるという問題や、契約車両が、正規に割り当てられたパレットとは別のパレットに載置された状態で格納されてしまうという問題が生じる可能性がある。
【0013】
更に、機械式駐車場の制御手段に入庫する契約車両を認識させるための手段として、機械式駐車場に装備したカメラにより入庫しようとする車両のナンバーを読み取らせて、入庫車両が契約車両であるか否かの判断を行わせる方式は、ナンバーに泥や雪が付着しやすいために、このような泥や雪の付着により、ナンバーの読み取り自体が適正に行えなくなる可能性が多いというのが実状である。
【0014】
なお、前記特許文献1に示されたものは、駐輪場の入口より進入する自転車が登録車両であるか否かを識別することができる装置であるが、駐輪場への自転車の進入自体を管理するためのものではないために、前述したような機械式駐車場における車両入庫時の契約車両の認識に直接適用できるものではない。更に、前記特許文献1には、自転車(車両)の使用者の認識を行う考えはまったく示されていないため、前述したような機械式駐車場における車両出庫時の契約車両の使用者の認識の手法が何ら示唆されるものではない。
【0015】
そこで、本発明は、機械式駐車場の制御手段に、入庫する契約車両を確実に認識させることができ、又、出庫操作を行う該契約車両の使用者を認識させることができ、且つ前記契約車両の使用者の入庫操作についてバリアフリー化を図ることができると共に、入庫順序にトラブルが生じるという問題や、或る契約車両が正規に割り当てられた以外のパレットに駐車してしまうといった問題が生じる虞を解消することができる機械式駐車場の契約車両認識装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記課題を解決するために、請求項1に対応して、契約車両に前面側から見えるように車両前方に向けて提示した状態で装備される車両用バーコードと、前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードと、機械式駐車場の入出庫バースの出入口付近に設置されていて、該入出庫バースの出入口前の入庫車両待機領域に前記契約車両を停止させた状態で該契約車両を撮影して、該契約車両に装備されている前記車両用バーコードと、前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードを共に撮影するためと、前記機械式駐車場に格納してある前記契約車両の出庫を行うときに前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコードを撮影するためのカメラと、前記カメラに接続され、更に前記機械式駐車場の制御手段に接続されている画像処理装置とを備え、且つ前記画像処理装置は、前記入庫車両待機領域に停止した前記契約車両前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、少なくとも前記車両用バーコードの像が検出されると、前記入庫車両待機領域に停止した車両が契約車両であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて入庫処理を開始させる機能と、前記機械式駐車場に前記契約車両が格納されている状態で、該格納されている契約車両の出庫を行う場合に前記契約車両の使用者が所持する使用者用バーコード前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、前記使用者用バーコードの像が検出されると、前記契約車両の使用者であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて出庫処理を開始させる機能を備える構成としてなる機械式駐車場の契約車両認識装置とする。
【0017】
又、請求項2に対応して、前記請求項1の構成において、前記画像処理装置は、前記入庫車両待機領域に停止した前記契約車両前記カメラにより撮影されて、その撮影画像にて、前記車両用バーコードの像及び使用者用バーコードの像が検出されると、前記入庫車両待機領域に停止した車両が契約車両であると認識し、その結果を前記機械式駐車場の制御手段に与えて入庫処理を開始させる機能を有するものとした構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)請求項1に示した構成を有する機械式駐車場の契約車両認識装置では、機械式駐車場の制御手段に、入庫車両待機領域に停止した車両が契約車両であるか否かを確実に認識させることができる。したがって、契約車両以外の車両が誤って入庫されることを防止できる。
(2)前記契約車両の入庫の際には、使用者が該契約車両から降りる必要はないため、契約車両の入庫時の手間及び時間を低減できる。
(3)更に、カメラで撮影できる領域となる入庫車両待機領域に契約車両が停止した場合には、その契約車両をカメラで撮影できて、該入庫車両待機領域以外の車両は撮影できないことから、複数の契約車両の入庫順序にトラブルが生じる虞や、契約車両が正規に割り当てられたパレット以外のパレットに駐車する問題が生じる虞は解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の機械式駐車場の契約車両認識装置の実施の一形態を示すもので、(a)は機械式駐車場側に装備される装置構成を示す概略平面図、(b)は契約車両に装備される車両用バーコードの概要を示す図、(c)は使用者用バーコードの概要を示す図である。
図2図1の契約車両認識装置のカメラによる撮影画像の概要を示すもので、契約車両の入庫処理を開始させるときの状態を示す図である。
図3図1の契約車両認識装置のカメラによる撮影画像の概要を示すもので、契約車両の使用者が該契約車両の出庫処理を開始させるときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)(b)(c)乃至図3は本発明の機械式駐車場の契約車両認識装置(以下、単に、契約車両認識装置と云う)1の実施の一形態を示すものである。
【0022】
前記本発明の契約車両認識装置1は、図1(a)に示すように、機械式駐車場2の入出庫バース3の出入口4付近に設けて該出入口4の前に設定された入庫車両待機領域5に配置される契約車両6を撮影するためのカメラ7と、該カメラ7が接続された画像処理装置8を備える。該画像処理装置8は、前記機械式駐車場2の制御手段9に接続されている。
【0023】
更に、本発明の契約車両認識装置1は、図1(b)に示すように、契約車両6に前面側から見えるように提示させるための車両用バーコード10と、前記契約車両6の使用者12(図2図3参照)が保持するための図1(c)に示す如き使用者用バーコード11とを備えた構成としてある。
【0024】
前記車両用バーコード10及び使用者用バーコード11は、小さいサイズで大きな情報量を確保するという観点、及び、離れた位置に配置された前記カメラ7の撮影画像13a,13b(図2図3参照)の画像処理により該各バーコード10,11の検出(読み取り)を容易にするという観点から考えると、カラーバーコード、又は、二次元バーコードとすることが望ましい。
【0025】
なお、前記車両用バーコード10と、使用者用バーコード11は、前記入庫車両待機領域5に配置された契約車両6の車内でフロントガラス付近に車両前方に向けて提示した状態で、前記カメラ7による撮影により得られる図2に示す如き撮影画像13aを基に、画像処理により確実に認識できるようなサイズとしてあるものとする。したがって、前記カメラ7の解像度、及び、前記画像処理装置8の画像処理能力は、図2に示した如き撮影画像13aを基にした画像処理により、前記契約車両6の車内にて提示される前記各バーコード10,11を確実に読み取ることができるような解像度、及び、画像処理能力にそれぞれ設定してあるものとする。
【0026】
前記車両用バーコード10は、一般に、車両のフロントガラスには公的に許可されたもの以外の貼付が禁止されていることに鑑みて、図1(b)に示すように、契約車両6のサンバイザー14における該サンバイザー14を下方へ展開したときに車両前方に臨む配置となる面に取り付けるようにすることが好適である。なお、前記車両用バーコード10は、必要に応じて車両前方に向けて提示できるようにしてあれば、サンバイザー14に取り付ける以外のいかなる手法で契約車両6に備えるようにしてもよいことは勿論である。
【0027】
前記使用者用バーコード11は、置き忘れや紛失の防止の観点から考えると、図1(c)に示すように、前記契約車両6のキー15と一緒に管理できるようにすることが好適である。なお、前記使用者用バーコード11は、必ずしも前記契約車両6のキー15と一緒に管理しなくてもよいことは勿論である。
【0028】
前記機械式駐車場2の制御手段9は、車両載置用のパレット16を前記入出庫バース3と図示しない格納区画との間で搬送するための搬送手段(図示せず)を制御する機能と、前記入出庫バース3の出入口4に備えられた扉17の開閉を制御する機能を備えるものとする。
【0029】
次に、本発明の契約車両認識装置1の使用方法の説明に即して前記画像処理装置8及び機械式駐車場2の制御手段9で行われる処理について説明する。
【0030】
先ず、前記機械式駐車場2に契約車両6の入庫を行う場合は、該契約車両6を、入出庫バース3の出入口4の前に設定された入庫車両待機領域5に、該出入口4に向けて停止させる。
【0031】
次に、前記のように契約車両6を入庫車両待機領域5に停止させた状態で、該契約車両6の使用者12は、前記車両用バーコード10と、前記使用者用バーコード11を、共に車両前方となる前記出入口4付近に設置されている前記カメラ7により撮影可能となるように提示する。
【0032】
これにより、前記カメラ7により、図2に示す如き撮影画像13aが撮影され、該撮影画像13aには、前記車両用バーコード10及び使用者用バーコード11の像が含まれるようになる。
【0033】
次いで、前記カメラ7より、前記撮影画像13aが画像処理装置8に送られると、該画像処理装置8では、前記撮影画像13aに含まれている前記車両用バーコード10及び使用者用バーコード11を、形状(パターン)のマッチング等の検出手法を用いて検出する。その後、前記画像処理装置8は、検出された車両用バーコード10及び使用者用バーコード11を、予め契約車両6ごとに登録されている車両用バーコード10及び使用者用バーコード11の登録情報と比較して、該登録情報と一致する場合に、前記入庫車両待機領域5に停車している車両が、契約車両6であると認識するようにしてある。
【0034】
前記のようにして入庫車両待機領域5に停車している契約車両6についての認識が行われると、前記画像処理装置8は、その認識結果を前記機械式駐車場2の制御手段9へ出力するようにしてある。
【0035】
これにより、前記機械式駐車場2の制御手段9は、前記画像処理装置8より契約車両6の認識結果が入力されることに起因して、該契約車両6に割り当てられた空のパレット16を呼び出して、搬送手段(図示せず)により前記入出庫バース3まで移動させ、その後、該入出庫バース3の出入口4の扉17を開いて、前記契約車両6が入庫可能となるようにする入庫処理を行うようにしてある。
【0036】
よって、前記契約車両6の使用者12は、該契約車両6を、前記出入口4を通して前記入出庫バース3に進入すると共に、前記パレット16の上に乗り入れさせるようにし、その後、該入出庫バース3より退出することにより、前記契約車両6の入庫が終了するようになる。
【0037】
なお、前記契約車両6の入庫の際、該契約車両6の認識に、該契約車両6に取り付けられている前記車両用バーコード10の提示に加えて、使用者用バーコード11も一緒に提示させることを条件としたのは、車両用バーコード10が取り付けられている契約車両6が前記入庫車両待機領域5に単に停止したという事象のみではなく、使用者12による入庫の意思が確認された場合にのみ、前記機械式駐車場2における入庫処理を開始させることが望ましいためである。したがって、前記機械式駐車場2の使用環境によっては、前記入庫車両待機領域5に停止した契約車両6にて車両用バーコード10のみが提示されたことに起因して、前記と同様にして機械式駐車場2における入庫処理を開始させるようにすることが可能であることは勿論である。
【0038】
一方、前記機械式駐車場2に既に駐車(格納)してある契約車両6の出庫を行う場合は、該契約車両6の使用者12が、所持している前記使用者用バーコード11を、前記入出庫バース3の出入口4付近に設置されている前記カメラ7により撮影可能となるように提示する。
【0039】
これにより、前記カメラ7により、図3に示す如き撮影画像13bが撮影され、該撮影画像13bには、前記使用者用バーコード11の像が含まれるようになる。
【0040】
次いで、前記カメラ7より、前記撮影画像13bが画像処理装置8に送られると、該画像処理装置8では、前記撮影画像13bに含まれている前記使用者用バーコード11を、前述した検出手法を用いて検出する。その後、前記画像処理装置8は、検出された使用者用バーコード11を、予め契約車両6ごとに登録されている使用者用バーコード11の登録情報と比較して、該登録情報と一致する場合に、前記契約車両6の使用者12を認識する。
【0041】
前記のようにして契約車両6の使用者12についての認識が行われると、前記画像処理装置8は、その認識結果を前記機械式駐車場2の制御手段9へ出力するようにしてある。
【0042】
これにより、前記機械式駐車場2の制御手段9は、前記認識された使用者12に対応する契約車両6がその時点で格納状態にある場合は、該契約車両6が載置されているパレット16を呼び出して、搬送手段(図示せず)により前記入出庫バース3まで移動させ、その後、該入出庫バース3の出入口4の扉17を開いて、前記契約車両6が出庫可能となるようにする出庫処理を行うようにしてある。
【0043】
よって、前記契約車両6の使用者12は、前記入出庫バース3にてパレット16上に配置されている該契約車両6を、出入口4を通して入出庫バース3の外部に乗り出すようにすることで、出庫が終了するようになる。
【0044】
このように、本発明の契約車両認識装置1によれば、前記機械式駐車場2の制御手段9に、入庫しようとする車両が契約車両6であるか否かを確実に認識させることができる。したがって、契約車両6以外の車両が誤って入庫されることを防止できる。
【0045】
又、前記契約車両6の入庫の際には、使用者が該契約車両6から降りる必要がないため、契約車両6の入庫時の手間及び時間を低減できる。このため、契約車両6の入庫に関して、バリアフリー化を図ることができる。
【0046】
しかも、入庫時における前記契約車両6の認識は、入出庫バース3の出入口4の前に設けられた入庫車両待機領域5に実際に停止された車両について行われるようにしてあるので、前記入庫車両待機領域5に到着した順序通りに契約車両6の認識が行われるため、入庫順序にトラブルが生じる虞や、契約車両6が正規に割り当てられたパレット16以外のパレット16に駐車する問題が生じる虞は、いずれも解消することができる。
【0047】
なお、本発明は、前記実施の形態にのみ限定されるものではなく、図1(a)(b)(c)乃至図3に示した前記車両用バーコード10及び使用者用バーコード11の形式、形状及びサイズは、図示するための便宜上のものであり、実際には、形式、形状及びサイズを適宜変更してよいことは勿論である。
【0048】
前記機械式駐車場2は、契約車両6に対する車両用バーコード10の装備を忘れた場合や、使用者12が使用者用バーコード11を所持し忘れた場合であっても、該契約車両6の入出庫を行うことができるようにするために、図1(a)に二点鎖線で示すような従来と同様のキーパッドを備えた操作盤18を備える構成としてもよい。
【0049】
前記機械式駐車場2は、車両の入庫と出庫を共に行わせる入出庫バース3を備えるものとして示したが、車両の乗り入れを行うための入庫バースと、車両の乗り出しを行うための出庫バースを個別に備えた構成としてもよい。かかる構成の機械式駐車場2では、入庫バースの出入口の前に前記と同様の入庫車両待機領域5を備えると共に、該入庫バースの出入口付近に前記入庫車両待機領域5に配置される契約車両6を撮影するためのカメラ7を備えるようにし、出庫バース側には、使用者12が所持する使用者用バーコード11を撮影するためのカメラ7を備えるようにして、該各カメラ7を画像処理装置8に接続した構成とすればよい。
【0050】
又、前記機械式駐車場2は、前記したような入出庫バース3を備えるか、又は、入庫バースと出庫バースを備えていれば、エレベータ方式、垂直循環方式、地下式(水平循環方式)、平面往復方式等のいかなる車両格納方式の機械式駐車場2であってもよい。
【0051】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 契約車両認識装置
2 機械式駐車場
3 入出庫バース
4 出入口
5 入庫車両待機領域
6 契約車両
7 カメラ
8 画像処理装置
9 制御手段
10 車両用バーコード
11 使用者用バーコード
図1
図2
図3