特許第6445770号(P6445770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6445770転がり軸受、転がり軸受装置および情報記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445770
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】転がり軸受、転がり軸受装置および情報記録装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/66 20060101AFI20181217BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20181217BHJP
   F16C 19/54 20060101ALI20181217BHJP
   F16C 33/41 20060101ALI20181217BHJP
   G11B 21/02 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   F16C33/66 Z
   F16C19/06
   F16C19/54
   F16C33/41
   G11B21/02 630D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-46877(P2014-46877)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-169315(P2015-169315A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】小坂 貴之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 春彦
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−254336(JP,A)
【文献】 特開平7−259866(JP,A)
【文献】 実開平4−36123(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/124595(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00−19/56,33/30−33/66
G11B 21/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸に配置された内輪および外輪と、
これら内輪と外輪との間の円環状空間に周方向に間隔をあけて配置される複数個の転動体と、
前記円環状空間に前記内輪および前記外輪と同軸に配置されるリング状であり、前記転動体を各々保持する複数個のボールポケットを周方向に間隔を空けた位置に有するリテーナとを備え、
該リテーナが、前記周方向に隣接する前記ボールポケット同士の間に形成され、グリースを内部に保持するグリースポケットを有し、
該グリースポケットが、前記リテーナの内周面と外周面の両方に開口部を有し、
前記内周面における前記開口部が、前記外周面における開口部よりも大きい転がり軸受であって、
前記グリースポケットは、前記周方向の寸法が前記外周面から前記内周面に向かって漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
前記グリースポケットは、軸方向の寸法が前記外周面から前記内周面に向かって漸次大きくなるように形成されている請求項1に記載の転がり軸受。
【請求項3】
軸方向に間隔をあけて配列される、請求項1から請求項2のいずれかに記載の2つの転がり軸受と、
該2つの転がり軸受の各前記内輪に嵌合される軸部材および各前記外輪を嵌合させる嵌合孔を有する外嵌部材のうち少なくとも一方とを備える転がり軸受装置。
【請求項4】
情報を記録する記録媒体と、
請求項3に記載の転がり軸受装置と、
前記記録媒体および前記転がり軸受装置を支持するベース部と、
該ベース部に対して前記転がり軸受装置により、該転がり軸受の軸回りに揺動可能に支持されるアーム部と、
該アーム部に取り付けられ、前記記録媒体に情報を記録するヘッド部とを備える情報記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受、転がり軸受装置および情報記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気記録装置(HDD)等の情報記録装置に用いられる転がり軸受装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この転がり軸受装置は、同軸に配置された内輪および外輪と、これら内輪と外輪との間の円環状空間に周方向に間隔をあけて配置される複数個の転動体とを有する転がり軸受とを備え、前記円環状空間内において転動体を回転自在に支持するリテーナにグリースが保持されている。このグリースが継時的に転動体へ供給されることによって、転動体と内輪および外輪との相対運動を潤滑して内輪および外輪の焼付きを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3651541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の転がり軸受装置においては、以下のような問題がある。すなわち、転動体が、外輪には内接しているのに対し、内輪には外接しているため、転動体との接触面積は外輪よりも内輪の方が小さくなり、内輪の方が転動体から受ける圧力が大きくなる。そのため、外輪よりも内輪の方が、転動体との摩擦による焼付きが顕著に発生する。
【0005】
その一方で、転がり軸受の回転動作において内輪と外輪とでは周方向の回転速度が異なり、内輪と転動体との相対速度よりも、外輪と転動体との相対速度の方が速い。そのため、回転動作に伴ってグリースが霧状化することによって発生するオイルミストの発生量が、内輪側よりも外輪側において多くなる。このオイルミストが記録媒体や磁気ヘッドに付着すると、読み書きエラーや故障の原因となるため、オイルミストの発生量は極力低減することが要求される。
【0006】
特許文献1の転がり軸受装置は、以上のような内輪と外輪との両方に対して同等量のグリースを供給するものであるため、内輪の焼付きの防止とオイルミストの発生の防止とを両立することが難しい。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、内輪の焼付き防止とオイルミストの発生防止とを両立することができる転がり軸受、転がり軸受装置および情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
本発明は、同軸に配置された内輪および外輪と、これら内輪と外輪との間の円環状空間に周方向に間隔をあけて配置される複数個の転動体と、前記円環状空間に前記内輪および前記外輪と同軸に配置されるリング状であり、前記転動体を各々保持する複数個のボールポケットを周方向に間隔を空けた位置に有するリテーナとを備え、該リテーナが、前記周方向に隣接する前記ボールポケット同士の間に形成され、グリースを内部に保持するグリースポケットを有し、該グリースポケットが、前記リテーナの内周面と外周面の両方に開口部を有し、前記内周面における前記開口部が、前記外周面における開口部よりも大きい転がり軸受を提供する。
【0012】
本発明によれば、グリースポケットが有する2つの開口部のうち、内輪に対向する開口部の方が、外輪に対向する開口部よりも大きくなっていることより、内輪と外輪とへのグリースの供給量が異なり、焼付きが発生し易い内輪へはグリースの供給が促進されるが、オイルミストを発生し易い外輪へはグリースの供給が低減される。これにより、内輪の焼付き防止とオイルミストの発生防止とを両立することができる。
【0013】
上記発明においては、前記グリースポケットは、前記周方向の寸法が前記外周面から前記内周面に向かって漸次大きくなるように形成されている。また、前記軸方向の寸法が前記外周面から前記内周面に向かって漸次大きくなるように形成されていてもよい。
このようにすることで、グリースポケットの断面積が外輪側から内輪側へ向かう程大きくなるので、グリースポケット内のグリースの量に、外輪側から内輪側に向かって漸次多くなるように偏りが生じる。これにより、内輪へのグリースの供給をさらに効果的に促進しつつ、外輪へのグリースの供給をさらに効果的に低減することができる。
【0014】
また、本発明は、前記軸方向に間隔をあけて配列される、上記いずれかに記載の2つの転がり軸受と、該2つの転がり軸受の各前記内輪に嵌合される軸部材および各前記外輪を嵌合させる嵌合孔を有する外嵌部材のうち少なくとも一方とを備える転がり軸受装置を提供する。
また、本発明は、情報を記録する記録媒体と、上記に記載の転がり軸受装置と、前記記録媒体および前記転がり軸受装置を支持するベース部と、該ベース部に対して前記転がり軸受装置により、該転がり軸受の軸回りに揺動可能に支持されるアーム部と、該アーム部に取り付けられ、前記記録媒体に情報を記録するヘッド部とを備える情報記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内輪の焼付き防止とオイルミストの発生防止とを両立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る転がり軸受装置を備える情報記録装置の概略構成図である。
図2図1の転がり軸受装置が備える第1転がり軸受の平面図である。
図3図1の転がり軸受装置の縦断面図である。
図4図2の第1転がり軸受が備えるリテーナを外周面側から見た部分的な側面図である。
図5】グリースポケットにグリースが載置された図2の第1転がり軸受の平面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る転がり軸受装置が備える第1転がり軸受の平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る転がり軸受装置の部分的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る転がり軸受、転がり軸受装置および情報記録装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る情報記録装置100は、ハードディスクドライブ装置であって、略矩形箱状のベースハウジング(ベース部)2と、ベースハウジング2に対して揺動可能なスイングアーム(アーム部)4と、このスイングアーム4を揺動自在に支持する転がり軸受装置1と、スイングアーム4を揺動させるボイスコイルモータ等の駆動部8とを備えている。図1において、符号6は磁気記録媒体を示している。
【0018】
スイングアーム4の先端には、磁気記録媒体6に磁気情報を書き込んだり、磁気記録媒体6に記録されている磁気情報を読み取ったりする磁気ヘッド(ヘッド部)5が取り付けられている。
転がり軸受装置1は、ベースハウジング2に固定されるとともに、スイングアーム4の軸受嵌合孔(図示略)に嵌合されている。
【0019】
この転がり軸受装置1は、図2および図3に示すように、軸方向に間隔をあけて同軸に配列される第1転がり軸受10および第2転がり軸受20と、これらの転がり軸受10,20に嵌合されるシャフト(軸部材)31と、転がり軸受10,20間に軸方向に挟まれるスペーサ33とを備えている。図2は、第1転がり軸受10を軸方向の上側から見た図であり、図3は、転がり軸受装置1を図2のII−II線の位置で軸方向に切断した断面図である。なお、図2においては、複数個図示されている転動体、突起およびグリースポケットのうち、代表して1つのみに符号15,17b,19を付している。
【0020】
第1転がり軸受10は、同軸に配置された円環形状の内輪11および外輪13と、これら内輪11と外輪13との間の円環状空間に周方向に間隔をあけて内蔵される複数個の転動体15と、前記円環上空間に配置され各転動体15を回転自在に支持するリテーナ17とを備えている。
第2転がり軸受20は、第1転がり軸受10と同様の構成および寸法を有し、内輪21および外輪23と、複数個の転動体25と、リテーナ27とを備えている。
【0021】
これらの転がり軸受10,20は、内輪11,21に、ベースハウジング2に対して固定されるシャフト31が嵌合され、外輪13,23がそれぞれスイングアーム4の軸受嵌合孔に嵌合されるようになっている。
なお、以下の説明において、内輪11,21および外輪13,23の軸方向、周方向および半径方向を、単に「軸方向」、「周方向」および「半径方向」とそれぞれ言う。
【0022】
第1転がり軸受10のリテーナ17は、図4に示されるように、内輪11および外輪13と同軸に配置されるリング状の本体17aと、該本体17aの端面から軸方向に突出する複数組の一対の爪状の突起17bとを備えている。一対の突起17bは、それらの間に転動体15を挟むことによって、一対の突起17bの間に形成されたボールポケットに転動体15を保持している。
【0023】
また、リテーナ17には、周方向に隣接し、互いに異なる転動体15を保持する突起17b同士の間に(すなわち、周方向に隣接するボールポケット同士の間に)、グリースGを保持するためのグリースポケット19が形成されている。すなわち、グリースポケット19は、隣接する2つの突起17bの外面と、その底面19cとなる本体17aの端面とによって画定されている。各グリースポケット19は、リテーナ17の半径方向に貫通しており、リテーナ17の内周面と外周面にそれぞれ第1の開口部19aおよび第2の開口部19bを有している。
【0024】
第2転がり軸受20のリテーナ27は、第1転がり軸受10のリテーナ17と同様の構成および寸法を有し、本体27aと、複数組の一対の突起27bとを備え、互いに異なる転動体25を保持する突起27b同士の間にグリースポケット29が形成されている。
【0025】
グリースGは、各グリースポケット19,29の底面19c,29c上に載置されている。このグリースGは、図5に示されるように、外輪13,23には接触しないように、また、外輪13,23との距離よりも内輪11,21との距離が近くなるように、内輪11,21側に偏った位置に載置されている。好ましくは、グリースGは、内輪11,21に接触するように載置される。
【0026】
また、外輪13,23の内周面には、転動体15,25よりも軸方向の外側において当該内周面から半径方向内方に突出するフランジ状のシールド(図示略)が固定されている。このシールドによって内輪11,21と外輪13,23との間の円環状空間が覆われることにより、霧状化したグリース(いわゆるオイルミスト)の転がり軸受装置1外部への流出が防止されるようになっている。
【0027】
以下、このように構成された転がり軸受10,20、転がり軸受装置1および情報記録装置100の作用について説明する。
本実施形態に係る転がり軸受装置1は、転がり軸受10,20の内輪11,21と外輪13,23との間で転動体15,25がそれぞれ転動させられることによって、シャフト31に固定された内輪11,21に対して外輪13,23がそれぞれ回動させられる。
【0028】
これにより、本実施形態に係る情報記録装置100は、駆動部8の作動によって、転がり軸受10,20の外輪13,23に固定されたスイングアーム4が、シャフト31が固定されているベースハウジング2に対して中心軸線C回りに揺動させられる。そして、スイングアーム4の揺動に従い、磁気ヘッド5が磁気記録媒体6上を往復移動させられる。
【0029】
例えば、駆動部8によりスイングアーム4を高速動作させると、磁気記録媒体6の所定の位置に記録されたデータへ磁気ヘッド5が瞬時に移動させられ、磁気ヘッド5により、磁気記録媒体6に記録されている磁気情報の読み取りや磁気情報の書き込みを行うことができる。
【0030】
このような本実施形態に係る転がり軸受10,20、転がり軸受装置1および情報記録装置100によれば、リテーナ17,27のグリースポケット19,29内に保持されているグリースGが、第1の開口部19a,29aから内輪11,21へ継時的に供給され、また、第2の開口部19b,29bから外輪13,23へ継時的に供給されることによって、転動体15,25と内輪11,21および外輪13,23との間の潤滑状態が長期にわたって維持される。
【0031】
この場合において、グリースGが、外輪13,23よりも内輪11,21により近い位置に保持されているので、内輪11,21へのグリースGの供給が促進される一方、外輪13,23へのグリースGの供給量は低減される。これにより、内輪11,21においては、グリースGによる潤滑効果を高めて焼付きを効果的に防止することができる。これと同時に、外輪13,23においては、オイルミストの発生を効果的に防止することができる。
【0032】
さらに、特に内輪11,21に生じる焼付きに関して、グリースGの全体量を増やすことによっても防止することは可能であるが、その場合には全体へのグリースGの供給量が過剰になって回転トルクが上がり過ぎたり、オイルミストの発生量が多くなったりするなどの問題が生じる。一方、オイルミストに関して、グリースGの全体量を減らすことによってもオイルミストの発生量を低減することは可能であるが、その場合には、特に内輪11へのグリースGの供給量が不足して焼付きが発生し易くなる。
【0033】
そこで、本実施形態は、外輪13,23側よりも内輪11,21側においてグリースGの量が多くなるように、グリースGの配置を内輪11,21へ近付け、外輪13,23へのグリースGの供給量を低減しつつ内輪11,21へのグリースGの供給量を増加させている。これにより、グリースGの全体量を抑えつつ、内輪11,21と外輪13,23とにそれぞれが必要とする適量のグリースGを供給することができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、グリースポケット19,29内において、内輪11,21側に偏った位置にグリースGを載置することによって、内輪11,21へのグリースGの供給量を増やしつつ外輪13,23へのグリースGの供給量を減らすこととしたが、これに代えて、グリースポケット19,29内においてグリースGが、内輪11,21側に偏って分布するように、グリースポケット19,29の形状を半径方向に非対称にしてもよい。
【0035】
具体的には、図6に示されるように、各グリースポケット19,29は、周方向の内径が外輪13,23側から内輪11,21側に向かって漸次大きくなるように、周方向に対向する内側面が半径方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
この構成においては、内輪11,21側の第1の開口部19a,29aが外輪13,23側の第2の開口部19b,29bよりも大きくなるため、内輪11,21へのグリースGの供給量は多くなり、外輪13,23へはグリースGの供給量は少なくなる。
【0036】
さらに、グリースポケット19,29の内面形状によって、グリースポケット19,29内にグリースGを充填する際に、外輪13,23側から内輪11,21側へ向かってグリースGの量が多くなるようにグリースポケット19,29内のグリースGの量に勾配が形成される。これにより、内輪11,21へのグリースGの供給をさらに促進しつつ、外輪13,23へのグリースGの供給をさらに低減することができる。
なお、図6の構成においても、図5に示されるように、グリースGを、グリースポケット19,29内の内輪11,21側に偏った位置に載置してもよい。
【0037】
あるいは、図7に示されるように、各グリースポケット19,29は、軸方向の寸法が外輪13,23側から内輪11,21側に向かって漸次大きくなるように、底面19c,29cが軸方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
この構成においても、第1の開口部19a,29aが第2の開口部19b,29bよりも大きくなるため、内輪11,21へのグリースGの供給量は多くなり、外輪13,23へはグリースGの供給量は少なくなる。
【0038】
さらに、グリースポケット19,29の底面19c,29cが傾斜していることによって、グリースポケット19,29内にグリースGを充填する際に、外輪13,23側から内輪11,21側へ向かってグリースGの量が多くなるように、グリースポケット19,29内のグリースGの量に勾配が形成される。これにより、内輪11,21へのグリースGの供給をさらに促進しつつ、外輪13,23へのグリースGの供給をさらに低減することができる。
なお、図7の構成においても、図5に示されるように、グリースGを、グリースポケット19,29内の内輪11,21側に偏った位置に載置してもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の一実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの一実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、各転がり軸受10,20が、外嵌部材を備えない構成を例示して説明したが、転がり軸受10,20の外輪13,23を嵌合する嵌合孔を有する略円筒形状のスリーブ(外嵌部材、図示略)を備えることとしてもよい。
【0041】
この場合、スリーブの嵌合孔に対して、スペーサ部材を挟んで軸方向の一方に第1転がり軸受10が嵌合され、軸方向の他方に第2転がり軸受20が嵌合されることとすればよい。また、スリーブがスイングアーム4の軸受嵌合孔に嵌合されることとすればよい。
また、転がり軸受装置1が、シャフト31を備えずにスリーブ(外嵌部材、図示略)を備え、外輪13,23間ではなく内輪11,21間に、内輪11,21と略同じ径寸法の円環形状のスペーサを配置することとしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 転がり軸受装置
2 ベースハウジング(ベース部)
4 スイングアーム
5 磁気ヘッド(ヘッド部)
10,20 転がり軸受
11,21 内輪
13,23 外輪
15,25 転動体
17,27 リテーナ
19,29 グリースポケット
19a,19b,29a,29b 開口部
19c,29c 底面
31 シャフト(軸部材)
100 情報記録装置
G グリース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7