(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動部は、所定の走査パターンで前記ファイバを駆動して、前記対象物上で1フレーム分の走査を繰り返し行い、前記光検出制御部は時間的に隣接する各フレームの境界に位置する期間であって、前記有効検出期間の期間外に、前記検出特性を制御する請求項1〜3に記載の走査型観察装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光走査型観察装置で使用される光検出部の受光素子としては、フォトダイオードや光電子増倍管等が用いられる。光検出器は、受光した光に対応するアナログ信号を出力するが、動作中の温度変化など使用条件の変化によって、信号の増倍率やオフセットが変動することが知られている。このため、安定した出力を得るために、適宜光検出部の温度やオフセットを検出して、検出した温度やオフセットに基づいて光検出部の補正を行うことが必要となる。
【0005】
しかしながら、従来、そのような光検出部の補正を行うことを可能とする光走査型観察装置は提案されていない。温度補正の方法としては、光検出部の温度測定を行う温度センサを設け、動作中の光検出部に対して温度の検出を行い、適宜検出結果に基づく増倍率の補正信号を光検出部に対して出力する方法が考えられる。ここで、温度検出を行う温度センサの出力がデジタル信号の場合、光検出部で信号光の検出および電気信号の出力を行っているときに温度検出を行うと、温度センサでデジタル処理が動作するためクロックの影響により、光検出部の出力信号に高周波ノイズが回り込む可能性がある。光検出部の出力が高周波ノイズの影響を受けると、生成される画像データにもノイズが含まれ、出力される画像の画質の劣化をもたらす。
【0006】
また、オフセットはレーザ光の照射を停止した状態で、光検出器から取得することができる。しかし、温度センサによるデジタル信号の出力と、光検出器からのオフセットの検出および調整が時間的に重なると、両者の信号が干渉してオフセットの設定が不正確になることがある。そのような場合も、安定した画質の画像が得られなくなる。
【0007】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、観察対象物の画像出力に影響を与えることなく、光検出部の検出特性を調整することが可能な、光走査型観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する光走査型観察装置の発明は、
光源からの光を対象物上に走査して該対象物の画像を取得する光走査型観察装置において、
前記光源からの光を導光し、揺動可能に支持された先端部から前記対象物へ照射するファイバと、
前記ファイバの前記先端部を振動駆動する駆動部と、
前記光の照射により前記対象物から得られる光を検出し電気信号に変換する光検出部と、
前記光検出部により出力された電気信号から画素情報を生成する信号処理部と、
前記光検出部が出力する前記電気信号が、前記信号処理部において前記対象物の画像の有効な画素情報の生成に使用される、前記対象物から得られる光の検出および前記電気信号の出力をする期間を有効検出期間とするとき、前記有効検出期間の期間外に前記光検出部の検出特性の制御を実行する光検出制御部と、
を備え
、
前記光検出部の前記検出特性が複数あり、
前記光検出制御部は、前記有効検出期間の期間外に、前記複数の検出特性を順次制御することを特徴とするものである。
【0009】
なお、対象物の「有効な」画素情報とは、光走査型観察装置により観察のために出力される対象物の画像を生成するのに使用される画素情報を意味する。
【0010】
好ましくは、前記光検出部の前記検出特性は、光増倍率
を含む。
且つ/又は、前記光検出部の前記検出特性は、オフセット
を含む。
【0012】
前記駆動部は、所定の走査パターンで前記ファイバを駆動して、前記対象物上で1フレーム分の走査を繰り返し行い、前記光検出制御部は時間的に隣接する各フレームの境界に位置する期間であって、前記有効検出期間の期間外に、前記検出特性を制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光の照射により光検出部が出力する電気信号が、信号処理部において対象物の画像の有効な画素情報の生成に使用される、対象物から得られた光の検出および電気信号の出力をする期間を有効検出期間とするとき、光検出制御部が、有効検出期間の期間外に光検出部の検出特性を制御するようにしたので、観察対象物の画像出力に影響を与えることなく、光検出部の検出特性を調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る光走査型観察装置の一例である光走査型内視鏡装置10の概略構成を示すブロック図である。光走査型内視鏡装置10は、スコープ20と、制御装置本体30とディスプレイ40とを含んで構成されている。
【0017】
制御装置本体30は、光走査型内視鏡装置10全体を制御する制御部31、発光タイミング制御部32、レーザ33R、33G、33B、および結合器34を含んで構成される。発光タイミング制御部32は、制御部31によって指示される発光タイミングに従って、それぞれ赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色のレーザ光を射出する3つのレーザ33R、33G、33Bを順次指定されたタイミングで発光させる。
【0018】
レーザ33R、33G、33Bとしては、例えば、DPSSレーザ(半導体励起固体レーザ)やレーザダイオードを使用することができる。レーザ33R、33G、33Bから出射されるレーザ光の経路は、結合器34により同一のシングルモードファイバである照明用光ファイバ11に結合される。もちろん、光走査型内視鏡装置10の光源の構成はこれに限られず、他の複数の光源を用いるものであっても良い。また、レーザ33R、33G、33Bおよび結合器34は、制御装置本体30と信号線で結ばれた制御装置本体30とは別の筐体に収納されていても良い。
【0019】
照明用光ファイバ11は、スコープ20の先端部まで繋がっており、結合器34から照明用光ファイバ11に入射した光は、スコープ20の先端部まで導光され照明光として対象物100に向けて照射される。その際、アクチュエータ21(駆動部)が振動駆動されることによって、照明用光ファイバ11を出射した照明光は、対象物100の観察表面上を、螺旋軌道を描くように走査する。このアクチュエータ21は、制御装置本体30のアクチュエータドライバ38を介して制御部31から制御されている。照明光の照射により対象物100から得られる反射光、散乱光、蛍光などの信号光は、マルチモードファイバにより構成される複数の検出用光ファイバ12の先端で受光して、スコープ20内を通り制御装置本体30まで導光される。
【0020】
制御装置本体30は、信号光を処理するための光検出器35(光検出部)、ADC(アナログ−デジタル変換器)36および信号処理部37をさらに備える。光検出器35は、フォトダイオードや光電子増倍管等の受光素子および信号の増幅、読み出しのための回路を含んで構成され、検出用光ファイバ12により導光されてきた信号光を電気信号に変換する。また、光検出器35は、外部からの制御信号によって、オフセットおよび信号の像倍率を調整可能に構成される。
【0021】
この光検出器35の出力は、ADC36でデジタル信号に変換され、信号処理部37に出力される。制御部31は、アクチュエータドライバ38により印加した振動電圧の起動時刻、振幅および位相などの情報から走査経路上の走査位置の情報を算出し、信号処理部37に渡す。これにより、光検出器35からの出力信号と、走査位置情報とが関連付けられる。なお、制御部31は、事前に算出された走査位置情報を予めテーブルとして保持していても良い。信号処理部37は、ADC36から時分割で出力される各波長の信号を同時化し、補間処理、強調処理、γ処理等の必要な画像処理を行って対象物100の画像を生成し、ディスプレイ40に表示する。信号処理部37は、例えば、信号処理用のプロセッサ、メモリおよび信号処理用のプロセッサで実行されるプログラム等により構成される。
【0022】
上記の各処理において、制御部31は、発光タイミング制御部32、光検出器35、アクチュエータドライバ38、および、信号処理部37を同期制御する。
【0023】
図2は、スコープ20を概略的に示す概観図である。スコープ20は、操作部22および挿入部23を備える。操作部22には、制御装置本体30からの照明用光ファイバ11、検出用光ファイバ12、および、配線ケーブル13が、それぞれ接続されている。これら照明用光ファイバ11、検出用光ファイバ12および配線ケーブル13は挿入部23内部を通り、挿入部23の先端部24(
図2における破線部内の部分)まで導かれている。
【0024】
図3は、
図2のスコープ20の挿入部23の先端部24を拡大して示す断面図である。先端部24は、アクチュエータ21、投影用レンズ25a,25b、中心部を通る照明用光ファイバ11および外周部を通る検出用光ファイバ12を含んで構成される。
【0025】
アクチュエータ21は、取付環26によりスコープ20の挿入部23の内部に固定されたアクチュエータ管27、並びに、アクチュエータ管27内に配置されるファイバ保持部材29および圧電素子28a〜28d(
図4(a)および(b)参照)を含んで構成される。照明用光ファイバ11は、ファイバ保持部材29で支持されるとともにファイバ保持部材29で支持された固定端11aから先端部11cまでが、揺動可能に支持された揺動部11bとなっている。一方、検出用光ファイバ12は挿入部23の外周部を通るように配置され、挿入部23の先端部24の先端まで延びている。さらに、検出用光ファイバ12の各ファイバの先端部には図示しない検出用レンズを備える。
【0026】
さらに、投影用レンズ25a、25bおよび検出用レンズ(図示せず)は、先端部24の最先端に配置される。投影用レンズ25a、25bは、照明用光ファイバ11の先端部11cから射出されたレーザ光が、対象物100上に略集光するように配置されている。したがって、投影用レンズ25a,25bは、照明用光ファイバ11から射出された光を対象物100に向けて照射する光学系を構成する。また、検出用レンズは、対象物100上に集光されたレーザ光が、対象物100により反射、散乱、屈折等をした光、又は、蛍光等を信号光として取り込み、検出用レンズの後に配置された検出用光ファイバ12に集光、結合させるように配置される。なお、投影用レンズ25a,25bは、二枚構成に限られず、一枚や他の複数枚のレンズにより構成しても良い。
【0027】
図4(a)は、光走査型内視鏡装置10のアクチュエータ21の振動駆動機構および照明用光ファイバ11の揺動部11bを示す図であり、
図4(b)は
図4(a)のA−A断面図である。照明用光ファイバ11は角柱状の形状を有するファイバ保持部材29の中央を貫通し、これによってファイバ保持部材29によって固定され保持される。ファイバ保持部材29の4つの側面は、それぞれ+Y方向および+X方向並びにこれらの反対方向に向いている。そして、ファイバ保持部材29の+Y方向および−Y方向にはY方向駆動用の一対の圧電素子28a、28cが固定され+X方向および−X方向にはX方向駆動用の一対の圧電素子28b、28dが固定される。
【0028】
各圧電素子28a〜28dは、制御装置本体30のアクチュエータドライバ38からの配線ケーブル13が接続される。
【0029】
ファイバ保持部材29を挟んでX方向に対向配置された圧電素子28b、28dが、互いに一方が伸びるとき他方が縮むことによって、ファイバ保持部材29に撓みを生じさせ、これを繰り返すことによりX方向の振動を生ぜしめることができる。Y方向の振動についても同様である。例えば、X方向の圧電素子28bおよび28dとして、印加する電圧の極性に対して伸縮方向の同じ圧電素子を用い、常に正負が反対で大きさの等しい電圧を印加することができる。同様に、Y方向の圧電素子28aと28cとの間にも、印加する電圧の極性に対して伸縮方向の同じ圧電素子を用い、常に反対方向で大きさの等しい電圧を印加することができる。
【0030】
アクチュエータドライバ38は、照明用光ファイバ11の先端部11cが螺旋状の軌道を描くように、圧電素子28a〜28dを制御する。具体的には、X方向駆動用の圧電素子28b、28dとY方向駆動用の圧電素子28a、28cとに、振幅が0から最大値まで時間的に変化する交流電圧を印加する。この交流電圧は、互いに位相が90°異なり、周波数は同一の共振周波数の近傍に設定される。
【0031】
図5は、照明用光ファイバのX方向の振動波形を示す図である。この図のように、照明用光ファイバ11の先端部11cは、X方向について振幅を0から所定の最大値まで拡大しながら所定の周期で振動をする。振幅が、最大値になると圧電素子28b,28dへの電圧の印加が停止され、あるいは、振幅を減少させるように制御された電圧を印加して、照明用光ファイバ11の先端部11cの振幅は、急激に減衰される。Y方向についても、同様に振幅の拡大、減衰が行われる。このようにして、照明用光ファイバ11の先端部が繰り返し駆動される。
【0032】
また、制御部31は、アクチュエータドライバ38による照明用光ファイバ11の先端部11cの駆動と同期して、発光タイミング制御部32を介してレーザ33R,33G,33Bの発光を制御する。レーザ33R,33G,33Bは、振幅拡大中は発光し、振幅が最大値になった後減衰中は消灯するように制御される。このように、照明用光ファイバ11の先端部11cを駆動することによって、先端部11cから射出された照明光は、
図6に実線で示すように対象物100上を走査する。
【0033】
次に、
図1に戻り、光検出器35の検出特性を制御する方法について説明する。ここで検出特性とは、光検出器35において検出した光による信号の増倍率の特性である。光検出器35の増倍率は、温度によって変化する。そこで、制御装置本体30には、光検出器35の温度を測定するための温度センサ39が設けられている。温度センサ39としては、温度センサICを用いることができるが、サーミスタや熱電対など他の種類の温度センサを使用したものでも良い。温度センサ39は、制御部31の光検出制御部31aに対して、温度データをデジタル信号で出力する。光検出制御部31aは、この温度データに基づいて、好ましい出力信号レベルを得るための光検出器35の増倍率を算出し、この増倍率に光検出器35を制御する信号を発生する。なお、光検出制御部31aは、制御部31の一部であり、制御部31の機能を実行するプログラムの一部のモジュールとして実現することができる。
【0034】
次に、光検出制御部31aから光検出器35を制御するタイミングについて説明する。
図7は、第1実施の形態に係る光走査型内視鏡装置10の各部の稼働状態を示すタイミングチャートである。レーザ33R,33G,33Bは、
図5、
図6を用いて説明したように、照明光を対象物100上で1フレームの走査(1サイクルの螺旋走査)を行う間に、順次連続的に発光を繰り返している期間と、消灯している期間とがある。レーザ33R,33G,33Bが発光している期間中は、光検出器35で照明光の照射により対象物から得られる反射光、散乱光が検出され、ADC36で検出された信号がデジタル化された後、信号処理部37で処理される。このように、光検出器35において、対象物の画像生成に寄与する照明光の検出、および、電気信号の出力が行われている期間を有効検出期間とする。一方、
図7に示すように、レーザ33R,33G,33Bが消灯していても、光検出器35および信号処理部37は稼働状態となっている。しかし、消灯期間中は、対象物からの信号光が発生しないため、有効な画素情報の検出、処理は行われない。
【0035】
光検出制御部31aは、レーザ33R,33G,33Bが消灯している期間、すなわち、有効検出期間以外の期間に、温度センサ39からの温度データの受信及び光検出器35に対する増倍率の設定を行う。仮に、温度データの受信から光検出器35に設定する増倍率のデータの送信までが、1つのフレームのレーザ33R,33G,33Bの消灯している期間内に完了できない場合は、複数のフレームにまたがって伝送することもできる。その場合、増倍率の変更を指示するデータを複数に分割して、有効検出期間以外の期間に順次送信を行う。光検出器35は全てのデータを受け取ってから、増倍率の変更を実行する。
【0036】
このようにすることによって、本実施の形態によれば、光走査型内視鏡装置10による観察中に、光検出器35の温度が変化しても、その温度変化を温度センサ39で検出して、光検出制御部31aに送信することができる。光検出制御部31aは、検出された温度に基づいて、光検出器35の光増倍率を決定し、光検出器35にこれを設定する。したがって、光検出器35の不所望な出力の変化が補正され、安定した観察画像を得ることができる。さらに、画像の生成に寄与しない有効検出期間以外の期間に、光検出器35の検出特性を制御するデータを発生させ光検出器35に設定するようにしたので、生成される画像の画質に影響を与えることなく光検出器35の検出特性を設定することが可能になる。
【0037】
なお、本実施の形態では、螺旋走査の振幅を拡大させる期間に、対象物100の画像データを取得し、振幅を縮小させる期間には、データを取得しない例を示したが、螺旋走査の方法はこれに限られず、例えば、振幅の拡大および縮小に係る期間を同程度の長さとして、振幅の拡大と縮小時の双方で1フレームの画像データを取得するようにすることもできる。そのような場合は、螺旋走査の最外周および/または中心を走査する際に、フレームとフレームとの境界で、有効な画素情報の生成に使用される照明光の照射および検出が行われない期間が生じ得る。他例えば、螺旋走査の最外周部には、画像表示したときにディスプレイ40上に表示されない領域が生じる。また、螺旋走査の中心付近では、サンプリング点の密度が高いので、サンプリングを省略する点がある。したがって、そのような画像生成に寄与しない有効検出期間以外の期間にレーザ光を消灯して、検出器35の増倍率の調整を行うことができる。
【0038】
(第2実施の形態)
図8は、第2実施の形態に係る光走査型内視鏡装置の各部の稼働状態を示すタイミングチャートである。本実施の形態に係る光走査型内視鏡装置は、
図1に示した第1実施の形態に係る光走査型内視鏡装置10と同様の構成要素で構成されているので、装置構成についての説明は省略する。
【0039】
本実施の形態に係る光走査型内視鏡装置10は、第1実施の形態に係る光走査型内視鏡装置10と、制御部31による各部の制御が異なっている。第1実施の形態では、螺旋走査の振幅を減少させる際に、レーザ33R,33G,33Bを消灯していたが、本実施の形態では、レーザ33R,33G,33Bの順次のパルス発光は停止せず、信号処理部37における信号処理を停止させる。このため、対象物100上での螺旋走査の振幅が減少する期間に、対象物100への照明光の照射によって得られる光は、光検出器35で検出された後、信号処理部37において処理されることなく棄てられる。そのため、画像生成に使用される有効な画素情報の生成に使用される対象物から得られる光の検出および電気信号の出力を行う有効検出期間は、信号処理部37が稼働している期間となる。
【0040】
光検出制御部31aは、信号処理部37が停止している期間に、温度センサ39の出力を受信し、光検出器35の増倍率を制御するための信号を発生させ、光検出器35の増倍率を補正する。このように、レーザ33R,33G,33Bが発光している期間であっても、これによって光検出器35で検出される信号光が、光走査型内視鏡装置10の画像の形成に寄与しないときは、光検出器35の検出特性を制御しても、生成される対象物100の画像に歪みやノイズなどの影響を与えない。
【0041】
なお、上記説明では、螺旋走査の画素データを取得しない振幅が減少する期間に、信号処理部37を停止するものとしたが、これに代えて光検出器35の検出動作を停止させても良い。あるいは、レーザ33R,33G,33B、光検出器35、信号処理部37のうち2以上を停止させても良い。光検出制御部31aは、光検出器35が後の処理で有効な対象物画像の表示に使用される信号光を検出し電気信号として出力する期間以外の期間に、光検出器35の増倍率を設定するように制御される。
【0042】
(第3実施の形態)
図9は、第3実施の形態に係る光走査型内視鏡装置の各部の稼働状態を示すタイミングチャートである。第1実施の形態では、光検出器35の検出特性として増倍率のみを制御していたが、第3実施の形態では、これに加えてオフセットを制御する。本実施の形態に係る光走査型内視鏡装置は、
図1に示した第1実施の形態の光走査型内視鏡装置10と同様の構成要素で構成されているので、装置構成についての説明は省略する。
【0043】
光検出制御部31aは、螺旋走査中の振幅減少時にレーザ33R,33G,33Bが消灯されると、第1実施の形態と同様の温度センサ39で検知された温度に基づく光検出器35の増倍率の制御と、オフセットの制御とを、順次実行する。オフセットの制御とは、例えば、光検出器35からレーザ33R,33G,33Bが消灯した状態でのADC36からの出力レベルを検出してオフセットとし、オフセットにずれが生じている場合は所望の値に戻すものである。増幅率の制御とオフセットの制御とは、時間的に重ならない予め決められたタイミングで行う。あるいは、光検出制御部31aと光検出器35との間は、データの種類を示すヘッダを付加したデータを順次受け渡すようにすることもできる。
【0044】
以上のような構成によって、複数の種類の検出特性を、光検出制御部31aから光検出器35に設定することができるので、より安定した画素信号を得ることができる。さらに、増倍率とオフセットとの制御が時間的に分離されているので、2つの検出特性の相互の制御によって発生する信号間の干渉を回避でき、安定した制御を行うことが可能になる。特に、温度センサ39から光検出制御部31aに出力されるデジタル信号と、光検出器35と光検出制御部31aとの間のオフセットの検出および制御の信号とが干渉することにより、光検出器35にオフセットが不正確な値に設定されることを避けることができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、対象物を走査する方法は、螺旋走査に限られない。リサージュ走査やラスター走査でも良い。例えば、ラスター走査の場合、より低速で走査される方向の両端部を走査中に、レーザ照射を停止して光検出制御部から検出器に対する検出特性の制御を行うようにすることができる。この場合、ラスター走査の低速走査方向の両端部は、画像表示されない。
【0046】
また、上記各実施の形態では、表示画像のフレームとフレームとの間で、光検出器の検出特性の制御を行うようにしたが、光検出器の検出特性を制御するタイミングはこれに限られない。例えば、それぞれのレーザによる各パルス光の照射および画素データの読み出しの間に、光検出部に対して検出特性の制御を行うようにしても良い。
【0047】
さらに、光走査型観察装置の駆動機構としては、圧電素子を用いたものに限られず、電磁石を用いて電磁力により駆動すすることもできる。照明光の光源の各レーザは、順次別々のタイミングでパルス発光するのではなく、3つの波長のレーザを同時に連続的に発振(cw発振)させ、これらを合波した白色の照明光を対象物上で走査させるようにしても良い。その場合、光検出部の前段で信号光を波長ごとに分離して、それぞれ異なる光検出器で検出することで、波長ごとの信号を得ることができる。