特許第6445845号(P6445845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6445845二つの異なる環境をもつ第1及び第2移送空間の間の材料移送路を封密的に連結する封密連結構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445845
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】二つの異なる環境をもつ第1及び第2移送空間の間の材料移送路を封密的に連結する封密連結構造
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/26 20060101AFI20181217BHJP
   A61G 10/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61L2/26
   A61G10/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-227382(P2014-227382)
(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公開番号】特開2016-87261(P2016-87261A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】512288190
【氏名又は名称】デンコム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514285047
【氏名又は名称】ダイナミック デザイン ファーマ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Dynamic Design Pharma, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(72)【発明者】
【氏名】イゴール・ジー・ヴィシタク
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ サッカ
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0150924(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0155846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格別の清浄化がなされておらず、作業者の立ち入りが可能な環境をもつ第1移送空間と、同第1移送空間と隔壁を介して隔てられ、無菌、無塵芥の清浄化された環境下にあり材料の各種処理がなされる第2移送空間との間を、第2移送空間の環境が第1移送空間の環境により汚染されることなく材料を移送可能とする第1及び第2移送空間の間を封密状態を維持して連結できる封密連結構造であって、
前記隔壁に材料移送用開口が形成され、前記材料移送用開口の第1及び第2移送空間側の周縁から中心に向けて封密的に複数のフランジリングが順次取り付けられ、それらのフランジリングのうち最も中心部に配されるフランジリングの中央開口部に封密状態を維持して一体に固設され、前記第1移送空間に配された材料導出口と封密的に係脱する中央連結開口部を有するリング状連結部材を有してなり、
前記複数のフランジリングのうち任意のフランジリングの外周縁が、その外周縁に内周縁が封密的に係合する内側に隣接するフランジリングの内周縁に摺接回転可能に取り付けられ、
前記リング状連結部材が摺接回転可能な任意の前記フランジリングの回転動作に連動する機構を有してなり、
摺接回転可能な前記フランジリングの第2移送空間側の一部表面に枢着され、前記リング状連結部材の中央連結開口部を開閉する扉体と、同扉体の閉鎖時にロックし、開放時にロックを解除するロック/解除手段と、を少なくとも有し、
摺接回転可能な前記フランジリングの第1移送空間側表面には、前記扉体の開閉操作部材、及び前記ロック/解除手段のロック/解除操作部材とが配されることに加えて、前記連結部材を摺接回転可能な前記フランジリングを介して前記隔壁との間で相対的に回転させる回転ハンドルとを有してなる、
ことを特徴とする封密連結構造。
【請求項2】
前記第2移送空間は、同空間の周囲が障壁により完全に包囲された密閉空間からなり、その正面の障壁の中央部に前記隔壁を有し、前記障壁にあって側部障壁の一部に外部から操作が可能な手操作用手袋が封密的に取り付けられてなる、請求項1記載の封密連結構造。
【請求項3】
前記扉体が開放状態にあるとき、摺接回転可能な前記フランジリングの第2移送空間側表面にあって前記扉体と不干渉位置に一部が枢支され、前記リング状連結部材の前記中央連結開口部に向けて回動し、その大径端を前記中央連結開口部と封密的に嵌合離脱する漏斗体と、摺接回転可能な前記フランジリングの第1移送空間側に配され、前記漏斗体を回動させる回動操作部材を、更に有してなる、請求項1〜2のいずれかに記載の封密連結構造。
【請求項4】
前記連結部材の中央連結開口部は第1移送空間側半部と第2移送空間側半部とを有し、第1移送空間側半部の内周面に、第2移送空間に配された材料収容容器の上記材料導出口を密閉する密閉蓋を封密的に係脱する係脱面を有し、その第2移送空間側半部の内周面は前記漏斗体の大径開口部及び前記扉体と封密的に密嵌する嵌脱面とを有してなる、請求項1記載の封密連結構造。
【請求項5】
閉鎖時における前記扉体の第1移送空間側の表面が、前記材料収容容器の前記材料導出口と封密的に係脱する係脱構造を有してなる、請求項3記載の封密連結構造。
【請求項6】
前記扉体の開閉用操作部材、前記ロック/解除手段のロック/解除操作部材、及び前記漏斗体の回動用操作部材が、摺接回転可能な前記フランジリングの同一円周上の第1移送空間側表面に封密状態を維持して操作可能に配され、前記回転ハンドルは摺接回転可能な前記フランジリングの同一円周上にあって他の各操作部材との非干渉位置に固設されてなる、請求項3記載の封密連結構造。
【請求項7】
前記扉体の開閉用操作部材、前記ロック/解除手段のロック/解除操作部材、及び前記漏斗体の回動用操作部材が摺接回転可能な前記フランジリングの同一円周上の第1移送空間側表面に封密状態を維持して操作可能に配され、前記回動ハンドルが前記同心円上であって他の操作部材の配置部より大径側の第1移送空間側表面に固設されてなる、請求項3記載の封密連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの異なる環境をもつ第1及び第2移送空間を隔離する隔壁に設けられた材料移送用開口を通して、例えば二つの空間のうちの汚染されている空間から滅菌、清浄化された空間へとの移送、又はその逆の移送にあたり、第1及び第2の移送空間の間を互いの環境が混じり合うことがなく、材料が汚染されることもなく移送できる2つの空間の材料移送路の間の封密連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特定の医薬品や化学物質を製造したり、或いは医療に関連する装置を組み立てるとき、「清浄な」即ち外部から隔離された清浄な領域内で行う場合、二つの環境のうちの汚染されている方の外側周辺環境内に存在する塵埃又は細菌やウィルスによって清浄な領域を汚染することなしに、材料を清浄な前記領域内に移送することが強く要求される。一方で、放射性物質用ホットセルや細菌学的処理を行う隔離チャンバの場合には、隔離チャンバ内の方が、清浄化されている外側周辺環境に比べて汚染されていることが多い。
【0003】
近年、医薬品の製造においても電子機器の製造と同様に、人間が中に入って作業が行える環境をもつ、いわゆるクリーンルームが使われることも多くなってはきているが、莫大な費用がかかるため、このクリーンルームに代えて作業員がグローブを嵌めた手を封密状態を維持して比較的小型な隔離チャンバ内に差し入れ、作業を行えるようにしたグローブボックスのような密閉室を設置することが増えてきている。しかしながら、このグローブボックスを使って材料を同ボックス内に又は同ボックスから外に移送する場合、同グローブボックスを取り巻く汚染された周囲環境によって、清浄化されている内部環境が汚染されやすい。この汚染を防ぐため、グローブボックスの内部へと材料を移送する場合に、その内部環境の汚染を阻止する手段が別途必要になってくる。
【0004】
こうした要求に応えるべく、例えば特許第3705839号公報(特許文献1)によれば、2つの異なる環境を仕切る障壁に形成された材料移送用開口の周縁に第1フランジリングを封密状態を維持して係合固定しており、この第1フランジリングは、そのリングの中心部に中央開口部を有している。また、前記障壁の一方の清浄な環境側に扉がヒンジ止めされている。この扉は、前記第1フランジリングの中央開口部に密封係合して閉塞する位置と、中央開口部から離間して待機する待機位置との間を揺動する。前記障壁の他方の環境をもつ側には、剛性をもつキャニスタなどの移送用容器が配され、この移送用容器の材料排出口に中央に開口をもつ第2フランジリングを有し、この第2フランジリングが、前記第1フランジリングと封密係合される。移送用容器のカバーが前記第2フランジリングの中央開口部に封密係合状態で装着される。この第1及び第2フランジリングを封密係合状態で互いにしっかりと固定するために、第1及び第2フランジリングに相補的係止手段が設けられている。移送される材料は、連結された隔離領域内を通すため、移送用容器内に収容されているか、或いは無菌の清浄な隔離領域内に隔離収容されており、移送用容器内の材料を清浄な隔離領域に移送し、或いは清浄な隔離領域内の材料を環境の異なる領域に配された移送用容器内へと封密的に移送する。
【0005】
前記障壁の一方の清浄な環境下にある側にヒンジ止めされた扉は、第1フランジリングの内周に漏洩のないように封密的に係合された中央開口部の閉塞位置と、中央開口部から離れた待機位置との間を揺動可能とされている。障壁の他方の格別に清浄化がなされていない側に設けられた移送用容器の第2フランジリングは第1フランジリングに対して封密的に係合して連結される。移送用容器の材料導出口に被せられている蓋体は、第2フランジリングの中央開口部に封密的に係合する。第1及び第2フランジリングに設けられた相補的係止手段は、第1及び第2フランジリングを封密的な係合状態を互いにしっかりと確保する。
【0006】
以下の説明では、医薬品産業におけるゴム栓の移送例を中心に述べることにするが、本発明の封密連結構造は、医薬品の製造に限らず、例えば原子力関連産業、電子機器産業、無菌の各種部品の移送関連産業など隔壁を介して配される2つの異なる環境をもつ第1及び第2移送空間の内部環境が混ざり合うことがなく、材料の汚染を生じさせることもない材料の移送が要求される他の技術分野にも広く適用することができる。
【0007】
ところで、上記特許文献1に開示された障壁を介して隔離された2つの異なる環境下にある材料の移送路間の封密連結構造によると、障壁の一方の側に配された扉やカバーの上述の動きを操作する歯車機構が障壁の他方の側に配されているものの、他方の環境下において歯車機構を介して扉やカバーを人手で操作する具体的な操作手段については何ら述べられていない。また同特許文献1によると、前記扉の閉塞時のロック手段も、そのロックを解除するロック解除手段をも備えておらず、何らかの切っ掛けで扉が開き、扉と中央開口との間に隙間ができ、中央開口の閉鎖時にも一方と他方の各空間に存在する異なる環境の雰囲気が混じり合ってしまう懸念が残る。
【0008】
上記扉のロック手段や他の作動部材に対する手操作による具体的な操作手段が、例えば米国特許出願公開第2013/0167442号明細書(特許文献2)に開示されている。この特許文献2に開示された封密連結構造によれば、2つの環境の異なる第1及び第2移送空間が隔壁を介して隔離され、その隔壁の材料移送用開口の第2移送空間側の周縁部に一枚のフランジリングの外周縁を封密状態を維持して係着固定している。
【0009】
このフランジリングは中央に開口部を有し、その第2移送空間側の半部の内周面には第1移送空間側に配された材料移送用容器の材料供給口と封密的に係着及び離脱ができるリング状連結部を有している。一方の第2移送空間側の半部の内周面には、同第1連結部の中央開口部に第2移送空間側に配された扉が密嵌係合して閉鎖する扉係着構造と、同扉の閉鎖/開放時の閉鎖ロック/解除手段と、第2移送空間へと移送される材料を集約するために配され、前記フランジリングの中央開口部と封密的に係着離脱する漏斗部材との係脱構造とを併せ持つ係脱構造を有している。
【0010】
しかして、これらの扉、そのロック/解除手段、漏斗部材をそれぞれ作動させるための操作部材は全て第1移送空間側の隔壁表面に配されている。前記操作部材は、前記隔壁に形成された各操作専用の貫通孔を介して第2移送空間側に配されたギアボックス等に封密的に結合されており、第1移送空間側に配された各操作部材により同じく第2移送空間側に配された扉や漏斗体などの回動動作等を前記ギアボックス等を介して作動させる。
【0011】
ところで、例えば近年の医療用ゴム栓の滅菌、洗浄、乾燥は一つのタンク内で行われ、これをタンクのゴム栓導出口に封密状に連結した清浄処理がなされた供給管を密閉状の無菌室の移送路入口に封密状態で連結し、無菌室内に用意された包装袋の中に洗浄後のゴム栓を密封状態で移送したのち、包装袋ともども次工程へと送り出すようにしている。
【0012】
ここで、前記ゴム栓の供給管は通常くの字状に屈曲して形成されており、そのゴム栓導出口の端面は水平面に対して45°〜75°の角度に傾斜している。しかも、その導出口端面の傾斜角は固定されており調整変更することは不可能である。一方、前記密閉された無菌室のゴム栓導入口が形成されている取付壁面は様々な角度で傾斜しており、その傾斜角度も変更することは不可能である。こうした状況下にあって、供給管のゴム栓導出口端面を無菌室の取付壁面のゴム管導入口に封密的に係着固定するには、例えば上記特許文献1にも記載されているように、供給管のゴム栓導出口端面と無菌室の取付壁面のゴム栓導入口とを同一平面上で向かい合わせにして前記ゴム栓導出口端面か又はゴム管導入口端面のいずれかを回転可能に構成して、シーリング材を介して相手方に係着固定する必要がある。
【0013】
仮に、前記ゴム栓導出口端面又はゴム栓導入口端面のいずれかを回転可能に構成したとしても、上記タンク及びゴム栓供給管の総重量は極めて大きく、無菌室自体も動かすことは不可能であるため、両者ともに簡単には回動させることができない。このため、現状では上記タンク及びゴム栓供給管の専用リフトが使われるようになってきており、このリフトを使ってタンク及びゴム栓供給管をタンクともども上下方向に移動可能にして、タンク自体を傾斜させ、ゴム栓供給管のゴム栓導出口端面の傾斜角度を、無菌室のゴム栓導入口をもつ取付壁面の傾斜角度に合わせることが行われている。この面合わせまでの工程と面合わせ後の工程は、例えば上記特許文献2に記載されている手順に従い、取付壁面の第1移送空間側に配された上記各種操作杆を操作することにより、扉の開閉動作、そのロック解除動作、及び漏斗部材の係脱動作をさせることができる。これらの必要な操作がなされる際に、ゴム栓導出口端面部又はゴム管導入口端面部のいずれかを、ゴム栓導出口端面とゴム管導入口端面とをシーリング材を介して封密的に係合連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3705839号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0167442号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献2にあって、タンク側のゴム栓導出口端部を独自に回転可能に構成すると、その回転操作を第1移送空間内で行うことはできるものの、仮にその人手による回転操作部材がゴム栓導出口端部に設けられているとすると、他の部材を操作する操作部材が取付壁面上に設置されていることから、前記回転操作部材を第1及び第2移送空間を隔てる取付壁面から離れた第1移送空間内に配されることになり、操作に当たっての煩雑さが免れ得ない。一方、前記回転操作部材を無菌室の前記取付壁面上に設ける場合には、人手による操作部材を同じ壁面の第1移送空間側に設けることができるが、扉などの他部材を取付壁面にヒンジ結合させていることから、無菌室全体の姿勢を変更するのではなく、前記取付壁面だけを単独に材料移送用開口の中心を回転中心として回転可能に構成せざるを得ず、これもまた採用することは極めて難しい。
【0016】
本発明はこうした状況を踏まえて開発されたものであって、その目的は構造が簡単で人手による操作性にも優れ、人為操作が可能な環境をもつ第1移送空間と、清浄化され無菌、無塵芥の環境下にあり材料の各種処理がなされる第2移送空間との間を、第1移送空間により汚染されることなく材料を隔壁の材料移送用開口を介して移送可能とした、前記第1及び第2移送空間の間を封密状態を維持して連結できる封密連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の基本構成は、格別の清浄化がなされておらず、作業者の立ち入りが可能な環境をもつ第1移送空間と、同第1移送空間と隔壁を介して隔てられ、無菌、無塵芥の清浄化された環境下にあり材料の各種処理がなされる第2移送空間との間を、第2移送空間の環境が第1移送空間の環境により汚染されることなく材料を移送可能とする第1及び第2移送空間の間を封密状態を維持して連結できる封密連結構造であって、
前記隔壁に材料移送用開口が形成され、同材料移送用開口の第1及び第2移送空間側の周縁から中心に向けて封密的に順次複数のフランジリングが取り付けられ、それらのフランジリングのうち最も中心部に配されるフランジリングの中央開口部に封密状態を維持して一体に固設され、前記第1移送空間に配された材料導出口に封密的に係脱する中央連結開口部を有するリング状連結部材を備えてなり、
前記複数のフランジリングのうち任意のフランジリングの外周縁が、その外周縁に内周縁が封密的に係合する内側に隣接するフランジリングの内周縁に摺接回転可能に取り付けられ、
前記リング状連結部材が摺接回転可能な任意の前記フランジリングの回転動作に連動する機構を備えており、
摺接回転可能な前記フランジリングの第2移送空間側の一部表面に枢着され、前記リング状連結部材の中央連結開口部を開閉する扉体と、同扉体の閉鎖時にロックし、開放時にロックを解除するロック/解除手段と、を少なくとも有し、
摺接回転可能な前記フランジリングの第1移送空間側表面には、前記扉体の開閉操作部材、及び前記ロック/解除手段のロック/解除操作部材とに配されることに加えて、前記連結部材を摺接回転可能な前記フランジリングを介して前記隔壁との間で相対回転させる回動ハンドルとを有してなる、ことを特徴とする封密連結構造にある。
【0018】
最も好ましい態様によれば、前記第2移送空間の周囲が障壁により完全に包囲された密閉空間であり、その正面の障壁の中央部に前記隔壁を有し、その側面障壁の一部に外部からの手動操作が可能な手袋が封密状で取り付けられている。その他の態様として、二つのフランジリング間で回転可能な任意のフランジリングと上記連結部材とを架設アームを介して一体化し、回転可能な前記フランジリングの回転に同調して前記連結部材を回転できるようにすることもできる。しかして、この態様の場合は最も好ましい上記態様と較べると、構造が複雑化するばかりでなく、その組立作業も煩雑化してしまうことを免れ得ない。そのため、本発明では上述の基本構成におけるように、上記任意のフランジリングを封密的に回転可能に構成し、このフランジリングの中心開口にリング状連結部材を固設して、該リング状連結部材を前記任意のフランジリングの回転動作に連動する回転可能とし、この任意のフランジリングの一部に回転ハンドルを設けている。
【0019】
また好ましくは、前記扉体が開放状態にあるとき、摺接回転可能な前記フランジリングの第2移送空間側表面にあって前記扉体と不干渉位置に一部が枢支され、前記扉体が開放状態にあるとき、前記第2移送空間内を前記リング状連結部材の前記中央開口に向けて回動し、その大径端を前記中央開口に封密的に嵌脱する漏斗体と、回転可能な前記フランジリングの第1移送空間側に配された前記漏斗体の回動操作部材とを、更に有しているとよい。
【0020】
更に、前記扉体の開閉操作部材、前記扉体のロック/解除操作部材、及び前記漏斗体の回動操作部材が回転可能な前記フランジリングの同一円周上の平坦部に操作可能に配され、前記回動ハンドルが前記同一円周上にあって前記各操作部材との非干渉領域に固設されるとよい。また、前記扉体の開閉操作部材、前記ロック手段のロック/解除操作部材、及び前記漏斗体の回動操作部材が回転可能な前記フランジリングの同一円周上の平坦部に操作可能に配され、前記回動ハンドルが前記同心円上であって前記各操作部材の配置部より大径の平坦部分に固設される場合もある。
【作用効果】
【0021】
本発明は、上記基本構成を備えているため、ハンドルをも含めて他の操作部材の全てを作業員が立ち入って人手による操作ができる環境をもつ第1移送空間側の隔壁上に集約して配されていることにより、その操作が極めて行いやすくなり、同じ隔壁上の第2移送空間側に配されている扉体や扉体のロック/解除部材、漏斗体、リング状連結部材などの作動部材を、それぞれ専用の作動操作部材を人手で簡単に操作することが可能であるため、予め決められた手順に従って手軽に所望のタイミングで随時作動させることができるようになる。しかも、それらの作動操作部材の操作にあたって、作動部材の作動時は勿論のこと、各作動部材の間が離間状態にあるときも、上記連結構造は封密性が確保しており、第1移送空間と第2移送空間との間で互いの環境が混じり合うこともない。
【0022】
漏斗体をも有する上記構成を備えた本発明の封密連結構造が適用された材料移送方法の代表例として、例えば医療用ゴム栓の移送方法の概要について簡単に述べると、ゴム栓は第1移送空間に配された滅菌洗浄用の密封タンク内に一旦集められ、そこで蒸留水の攪拌により滅菌及び洗浄がなされてから乾燥される。この滅菌、洗浄がなされたゴム栓は、前記滅菌洗浄用の密封タンクの材料導出口に封密的に接続され、管内が滅菌洗浄されたゴム栓供給管を介して封密状態を維持したまま第2移送空間である密閉室へと第1移送空間内の環境によって汚染されることなく移送される。
【0023】
以下、本発明の代表的な実施態様の一例である、前記ゴム栓供給管のゴム栓導出口を、前記リング状連結部材を介して第1移送空間の環境によって汚染されない状態にある第2移送空間へと延びる前記漏斗体に連結する手順について説明する。なお、この実施態様によれば、まず上記扉体が前記連結部材の第2移送空間側半部に封密的に嵌着させて連結部材の中央連結開口部が閉鎖状態にある。この状態で、予め別途用意された不透過性の第1密閉カバーを第1移送空間側から前記連結部材の第1移送空間側半部に向けて移動させて、前記連結部材の第1移送空間側半部の前記中央連結開口部に封密的に第1密閉カバーを係着固定したのち、前記扉体を閉鎖位置から待機位置まで回動させて連結部材の中央連結開口部を開き、第2移送空間内を改めて加熱蒸気などで滅菌洗浄する。この滅菌洗浄時、滅菌洗浄用の密封タンク及び同密封タンクに接続されたゴム栓供給管のゴム栓導出口に別途用意した第2密閉カバーが被着固定された状態で、第1空間内の所定位置にて待機している。
【0024】
第2移送空間内の滅菌洗浄を終えたのち、前記扉体を回動させて連結部材の中央連結開口部を閉鎖する。続いて、上記リフトを使って前記滅菌用の密封タンクとゴム栓供給管とを所望の高さまで持ち上げ、同時にゴム栓供給管のゴム栓導出口を所要の角度となるよう調整したのち、前記第1密閉カバーを連結部材の中央連結開口部から外すと同時に、前記ゴム栓導出口に固定されているフランジリングに連結部材の第1移送空間側半部の内周面を封密状に係着するとともに、ゴム栓供給管のゴム栓導出口に係着している第2密閉カバーを前記扉体表面に係着させる。これらの係着操作は、上記回転ハンドルの回転操作による。
【0025】
次いで、前記第2密閉カバーを担持したまま扉体を第2移送空間側の待機位置へと回動させて、ゴム栓供給管のゴム栓導出口を連結部材を介して第2移送空間側のゴム栓導入口とが封密状態を維持して連結される。この連結が終了すると、漏斗体操作部材が操作され、漏斗体を回動させて連結部材の中央開口部の第2移送空間側半部に封密的に嵌め込む。ここで滅菌用の密封タンクのゴム栓排出口が開けられると、内部のゴム栓がゴム栓供給管を通って前記漏斗体へと案内されて、第2移送空間部の包装袋内に集められる。このように、ゴム栓は第1移送空間を移送中に第1移送空間の環境に一切触れることがなく、また第1移送空間の環境が第2移送空間に流入することもないため、移送されたゴム栓は清浄を維持したまま第2移送空間内で所望の処理がなされる。ゴム栓供給管を連結部材から分離させるときは、前述の連結操作と逆の手順と操作とを行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の代表的な実施形態を示す封密連結構造の中央連結開口部に漏斗体を封密的に嵌め込んだときの第1移送空間側から見た正面図である。
図2】同封密連結構造の中央連結開口部に漏斗体を封密的に嵌め込んだときの第1移送空間側から見た外観斜視図である。
図3】同封密連結構造を第2移送空間側から見た正面図である。
図4】同封密連結構造の中央連結開口部に漏斗体を封密的に嵌め込んだときの第2移送空間側から見た外観斜視図である。
図5図2のV−V線に沿った矢視図である。
図6】前記封密連結構造の分解斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態の例を示す扉体を閉めたときの封密連結構造を第1移送空間側から見た外観斜視図である。
図8】同実施形態例を第2移送空間側から見た外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、上述の [発明の概要] の項で挙げ、特許請求の範囲にも記載したとおり、格別の清浄化がなされておらず、作業者が立ち入って多様な作業をすることができる環境をもつ第1移送空間と、同第1移送空間と隔壁を介して隔てられ、清浄化され完全な無菌、無塵芥の環境下にあって各種材料の多様な処理が可能な第2移送空間との間を、異なる環境の影響を受けることなく汚染されずに材料を移送可能とする第1移送空間及び第2移送空間の間を封密状態で連結する封密連結構造に関する。
以下、本発明の代表的な実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
【0028】
図1は本発明の封密連結構造の代表的な実施形態の一例を示す第1移送空間側から見た正面図、図2は同じく第1移送空間側から斜めに見た立体図、図3は同第2移送空間側から見た表面図、図4(A)は同じく第2移送空間側から斜めに見た立体図であり、図4(B)はその一部拡大図である。また、図5(A)は図2のV−V線に沿った矢視図であり、図5(B)はその一部拡大図、図6は本実施形態の分解斜視図である。本実施形態による封密連結構造は、人為的な作業が可能な環境をもつ第1移送空間Fと、滅菌及び清浄化され各種の処理が可能な障壁により囲まれた環境をもつ第2移送空間Sとからなる、医療用ゴム栓の滅菌・洗浄・乾燥設備例に関する。ここで第2移送空間Sは、第1移送空間側から見た正面が高さ方向中央から天井部まで、奥行き方向に所要の角度で上り傾斜面とされ、その正面の障壁、左右の障壁のうちの一壁面に第1移送空間Fから手を差し入れることができる図示せぬグローブが封密状で取り付けられている、いわゆる隔離障壁室内の密閉空間である。
【0029】
図1において、符号1は前記隔離障壁室の正面を構成する前記傾斜面の中央部に封密的に嵌め込まれた透明板からなる隔壁を示している。この隔壁1の中央部には第1材料移送用開口1aが形成されており、同第1材料移送用開口1aの表裏全周縁には環状の第1及び第2フランジリング2,3が環状シール部材4を介して封密状に固着されている。この環状シール部材4の外周縁は、前記隔壁1の第1材料移送用開口1aの反第1移送空間側周縁と、前記第2フランジリング3の反第2移送空間側の周面部とにより封密的に挟着固定され、図5(B)に拡大して示すように、同環状シール部材4の第1移送空間側の内周縁は第3フランジリング5の第2移送空間側の周面部に封密的に固着され、同環状シール部材4の第2移送空間側の内周縁は第2移送空間側に配される段差付きの第4フランジリング6の外径側段差面6a及び同フランジリング6の外側段差周面6bに封密的に固設されている。また、前記第4フランジリング6の第1移送空間側表面6dに第5フランジリング7の外径側半部の第2移送空間側周縁部が封密的に固着されており、その内径側半部は前記第4フランジリング6の内径側空間部に延出している。
【0030】
更に前記第4フランジリング6の内径側半部と前記第4フランジリング6の内径側段差面6cとの間の環状空間には、断面がL字型を呈する第6フランジリング8の段差内周面8aの外径側半部が封密的に且つ周方向に摺動可能に嵌合されている。前記段差内周面8aの内径側半部の第1移送空間側表面8bには、本発明における最も特徴的構成となる回転ハンドル9が固設されている。この回転ハンドル9は全体が横C字状に屈曲した円形断面の中実杆材からなり、その両端脚部部分の先端が固設部材9aを介して前記段差内周面8aの内径側半部の第1移送空間側表面8bに固設される。一方、前記第6フランジリング8の中央開口部には、本発明にとって重要な構成部材の一つであるリング状連結部材10が取り付けられている。このリング状連結部材10は、上記隔壁1を介して環境の異なる第1移送空間Fと第2移送空間Sとの間の材料移送路を封密的に連結させる部材である。
【0031】
本実施形態における前記連結部材10は、図1図2図5(A)及び図6から理解できるように、全体が環状を呈し、厚さ方向の第1移送空間Fに向けられる第1半部10aと、第2移送空間Sに向けられる第2半部10bとを有し、第1及び第2半部10a,10bの外径は同一とされ、第1半部10aの内径は段差部を介して第2半部10bの内径よりも大きく設定されている。
【0032】
前記第1半部10aの内周面には、図6に示されているとおり、同内周面の第1移送空間側の周縁から前記第2半部10bとの界面である段差面10cに向けて突出厚が漸次大きくなる複数の突出部10dが同内周面に沿って所定の位相差をもって間欠的に形成されている。図示例では、前記位相差は90°で、4個の前記突出部10dが形成される。なお、前記突出部10dの第2半部10b側の端縁と前記段差面10cとの間には所要の間隔sが開けられて切欠部10gを形成しており、その内壁面の径は前記段差部の外径面よりも開口に向かう周面の径よりも大きくされ、前記段差面10cが広く作られている。一方、前記突出部10dのと前記段差面10cとの間には所要の厚さの隙間10eが形成されている。
【0033】
周方向の前記間隔sには、後述するように、例えば第1移送空間Fと第2移送空間Sとの間の連通を遮断・開放するための図示せぬゴム栓供給管のゴム栓導出口に固着された図示せぬフランジリングの外周に沿って外側に間欠的に突出するる舌片が差し込まれ、リング状連結部材10の回転により前記隙間10eに入り込み、連結部材10の係脱機構を介して、図示せぬ前記ゴム栓供給管とが連結される。一方、ゴム栓供給管のゴム栓導出口には取付けと取外しができる第1密閉カバーが別に用意されており、同第1密閉カバーの外周縁からも、後述する扉体11の閉鎖時における第1移送空間側表面に形成された第1密閉カバーとの係脱機構に係脱する複数の舌片が外側に突出している。扉体表面に形成された前記係脱機構も連結部材に形成された係脱機構と実質的に同一の機構である。
【0034】
ここで、本実施形態にあっては前記ゴム栓供給管のフランジの外周から突出する舌片と前記連結部材10との係脱機構、及び前記第1密閉カバーと扉体11との係脱機構は、上記回転ハンドル9を所定の角度(90°)回転させることにより、連結部材10及び扉体11を係脱させるバヨネット係脱機構を採用している。前記連結部材10の前記第2半部10bの内周面は略円筒形に形成され、この円筒空間に後述する扉体11や漏斗体15がシールリング等を介して封密的に嵌合、離脱する。
【0035】
以上の部材を備えた封密連結構造にあって、本発明では上述のとおり更に前記第2移送空間S側の前記第6フランジリング8の一部に枢着され、前記リング状連結部材10の中央連結開口部10f(図3(B)参照)を開閉する扉体11を有しており、同扉体11の閉鎖時にロックし、開放時にロックを解除するロック/解除機構17を有している。前記第6フランジリング8の第1移送空間側フランジ面には、図1及び図2に示すように、前記扉体11の開閉操作部材13、及び前記ロック/解除機構17のロック/解除操作部材14が設けられ、本発明にあっては更に加えて前記第6フランジリング8を介して前記連結部材10を前記隔壁1に対して相対回転させる上述の回転ハンドル9を有している。また本実施形態にあっては、更にリング状連結部材10の前記中央連結開口部10fに向けて回動し、図示せぬゴム栓を第2移送空間S内へと集約して案内するために同中央連結開口部10fに嵌脱する漏斗体15が設けられている。前記第6フランジリング8の第1移送空間側フランジ面における前記扉体11の開閉操作部材13と相対する位置には、前記漏斗体15の回動を操作する漏斗体回動操作部材16が配されている。
【0036】
この実施形態における、第1移送空間側に配された前記扉体開閉操作部材13及び漏斗体回動操作部材16は、いずれも先端に外ネジ部を有する操作杆からなり、該操作杆は第6フランジリング8に形成された操作杆挿通孔12に挿通されて、その先端の各外ネジ部が同じく第6フランジリング8の第2移送空間側のフランジ面に固設された、各専用の第1及び第2ギアボックス13a,16aの内部ネジ孔に螺合固定され、各操作部材13,16を揺動操作することにより、前記連結部材10の中央連結開口部10fに対する扉体11の開閉動作と漏斗体15の嵌脱動作を行う。符号12aは前記操作杆挿通孔12回りを保護する枠片を示す。一方、上記ロック/解除操作部材14は、図2に示すように操作レバー18からなり、この操作レバー18を回動させることにより、図3(B)に示すロック/解除機構17が作動して、扉体11のロック及び解除がなされる。
【0037】
このロック/解除機構17は特定の機構に限るものではなく、上記特許文献2にも開示されているように、従来から広く知られた機構をも採用することができ、例えば上記扉体11の閉鎖時における扉体11の第2移送空間側の表面に固設された第1ロック/解除部材17a(図4参照)と、前記連結部材10の第2移送空間側フランジ部表面に回転可能に取り付けられ、周面の一部に噛合歯を有し、前記リング状連結部材10の第2移送空間側表面に回転可能に取り付けられた第2ロック/解除部材17bと、前記第6フランジリング8の第2移送空間側のフランジ面に、前記操作レバー18の回転操作により回転して前記第2ロック/解除部材17bの前記噛合歯と噛合する噛合歯を有する第3ロック/解除部材17cとを有している。図示例によれば、操作レバー18を左右に所要角度回すことにより、上記第2〜第3ロック/解除部材17b,17cを正逆回転させて、前記第2ロック/解除部材17bを前記第1ロック/解除部材17aに係脱させ、扉体11のロック/解除を行う。
【0038】
さて、以上の構成を備えた本実施形態に係る封密連結構造を使った医療用ゴム栓の移送方法を例にとって、図面を参照して具体的に説明する。本発明の実施形態1では、第6フランジリング8には、上記扉体11、回転ハンドル9及び上記ロック/解除機構17の他に、必ずしも装着する必要はないがゴム栓を第2移送空間Sへと集約する漏斗体15が配設されている。
【0039】
本実施形態にあっては、図示せぬ前記ゴム栓供給管のゴム栓導出口と、本発明の前記リング状連結部材10を介して滅菌と洗浄がなされた第2移送空間Sに配されている前記漏斗体15とを連結する手順について説明する。なお、この実施形態によれば、まず上記扉体11は前記連結部材10の中央連結開口部10fの第2移送空間側半部に封密的に嵌着されて連結部材10の中央連結開口部10fが閉鎖状態におかれている。一方、第2移送空間Sにおける前記連結部材10の前記中央連結開口部10fに近接する部位には、図示せぬ前記ゴム栓供給管のゴム栓導出口が配されている。このゴム栓導出口には、前記連結部材10の第2移送空間側の第2半部10bの開口面と封密的に係合/離脱するバヨネット係脱機構を備えた図示せぬフランジリングが固設されている。また、このフランジリングの内周面にガスケットを介して不透過性の滅菌フィルム等からなる第1密閉カバーである供給管導出口カバーが脱着可能に取り付けられている。この供給管導出口カバーの外周には扉体11とバヨネット係合可能な舌片が所定の間隔をおいて外側に突出している。そのため、前記扉体11の閉鎖時における同扉体11の第2移送空間側表面には、前記供給管導出口カバーに形成された前記舌片が係脱するバヨネット係脱面が形成されている。
【0040】
前記連結部材10の中央連結開口部10fが扉体11により封密的に閉鎖された状態で、予め別に用意された不透過性の第2密閉カバーである図示せぬ滅菌密閉カバーを第1移送空間側から前記連結部材10の第1移送空間側半部である第1半部10aに向けて前進させて、滅菌密閉カバーを前記連結部材10の前記中央連結開口部10fに封密状に係着固定したのち、前記扉体11と前記連結部材10とにより囲まれる密閉空間内を図示せぬ加熱手段や滅菌ガス、水蒸気などにより加熱滅菌する。この滅菌が終了すると、前記滅菌密閉カバーを元の第2移送空間Sの待機位置へと戻す。滅菌密閉カバーが待機位置に戻ると、第1移送空間Fの待機位置に待機している図示せぬ前記フランジリングと供給管導出口カバーとを有する前記ゴム栓供給管のゴム栓導出口を、扉体11により閉鎖されている前記連結部材10の中央連結開口部10fに向けて前進させ、前記ゴム栓導出口に取り付けられた前記フランジリングの外周から外側に向けて突出する舌片を、前記連結部材10の中央連結開口部10fの第1半部内周係合面の前記突出部10d間の間隔sに形成されている切欠部10gに嵌め込み、上記回転ハンドル9を操作して前記第6フランジリング8を介して前記連結部材10を回転させ、前記ゴム栓供給管の前記フランジリングの前記舌片を前記突出部10dと前記段差面10cとの間に形成された隙間10eに封密的に挿入して両者を係合させるとともに、前記供給管導出口カバーを前記扉体11の表面係脱面に係着させる。
【0041】
ここで、前記供給管導出口カバーと前記扉体11の周辺との間の空間部を滅菌・洗浄したのち、前記扉体11に前記供給管導出口カバーを係着させた状態を維持しながら、前記回転ハンドル9を逆方向に回転させて、前記連結部材10と前記ゴム栓供給管のフランジリングとの係合を外す。このとき、扉体11に前記供給管導出口カバーを係着させたまま前記連結部材10と前記ゴム栓供給管のフランジリングとの係合を外すようにするため、例えば連結部材10の第1半部内周面に形成された突出部10dの周方向の長さ及びその間の間隔sを、扉体11の表面に形成された係脱機構における突出部の周方向長さ及びその間の間隔の2倍以上にするとよい。
【0042】
続いて、前記操作レバー18を操作して、ロック/解除機構17のロックを解除するとともに、扉開閉用の第1操作杆13を操作して前記扉体11を第2移送空間側の待機位置まで回動させて、前記連結部材10の中央連結開口部10fを開放する。このとき、扉体11には上記供給管導出口カバーが係着した状態で担持されたままである。扉体11による前記開放がなされると漏斗体嵌脱用の上記第2操作杆16を操作して、漏斗体15を第2移送空間Sの待機位置から回動させて、その大径側端部を前記連結部材10の中央連結開口部10fに封密的に嵌め込む。こうして、第2移送空間Sに置かれた図示せぬ滅菌・洗浄タンクに連設されたゴム栓供給管のゴム栓導出口と第2移送空間Sとが連結部材10を介して封密的に連結され、滅菌・洗浄タンク内のゴム栓はゴム栓供給管と漏斗体15とを介して第2移送空間内に配された図示せぬ包装袋内へと収納される。このように、人為的な作業が行える第1移送空間側の環境と滅菌および洗浄がなされた清浄な第2移送空間側の環境とが混じり合うことがなく、ゴム栓は第1移送空間Fの影響を受けることもなく、第2移送空間Sへと移送される。
【0043】
前記連結部材10を介した第1移送空間のゴム栓移送路と第2移送空間のゴム栓移送路との間の連結を解除するには、上記手順と逆の手順で各操作を行えばよい。その手順を簡単に述べると、第2操作杆16を操作して、漏斗体15を第2移送空間側の待機位置へと回動させたのち、第1操作杆13を操作して、扉体11に上記供給管導出口カバーを係着させた状態を維持したままで扉体11を待機位置から連結部材10の中央連結開口部10fに向けて回動させ、同中央連結開口部10fを封密的に閉鎖する。この閉鎖後、第6フランジリング8に固設された回転ハンドル9を操作して、第6フランジリング8の回転に連動する前記連結部材10を所定の角度回転させ、前記扉体11に対する前記供給管導出口カバーの係着を外すと同時に、同供給管導出口カバーをゴム栓供給管のゴム栓導出口に固着された上記フランジリングに封密的に係合固定する。この段階で図示せぬタンク移動用リフトを元の待機位置に戻す。
【0044】
図7及び図8は、本発明の他の実施形態を示している。この実施形態によれば、上記実施形態における漏斗体15と同漏斗体15の回動操作部材である第2操作杆16と同操作杆16の先端外ネジ部がねじ込まれる第2ギアボックス16aとその周辺部材との全てが排除されている。その他の構成部材は、上記実施形態1における各構成部材と本質的に変わりなく、それらの操作及び動作も、その手順についても上述の実施形態のそれと同じである。
【符号の説明】
【0045】
1 隔壁
1a 第1材料移送用開口
2 第1フランジリング
3 第2フランジリング
4 環状シール部材
5 第3フランジリング
6 第4フランジリング
6a 外径側段差面
6b 外側段差周面
6c 内径側段差面
6d (第1移送空間側)表面
7 第5フランジリング
8 第6フランジリング
8a 段差内周面
8b (第1移送空間側)表面
9 回転ハンドル
9a 固設部材
10 リング状連結部材
10a (第1移送空間側の)第1半部
10b (第2移送空間側の)第2半部
10c 段差面
10d 突出部
10e 隙間
10f 中央連結開口部
10g 切欠部
11 扉体
12 操作杆挿通孔
12a 挿通孔枠片
13 開閉操作部材(第1操作杆)
13a 第1ギアボックス
14 ロック/解除操作部材
15 漏斗体
16 漏斗体回動操作部材(第2操作杆)
16a 第2ギアボックス
17 ロック/解除機構
17a 第1ロック/解除部材
17b 第2ロック/解除部材
17c 第3ロック/解除部材
18 操作レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8