(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機やレーザープリンター等に使用される静電荷像現像用トナーにおいて、その流動性改善や帯電特性の安定化のために、表面処理されたシリカ微粉体がトナー外添剤として用いられている。このシリカ微粉体には、湿度による帯電量の変化を少なくするため高い疎水性を有し、しかもトナー表面を均一に被覆できるように、凝集が少なく高分散であることが求められている。シリカ微粉体の比表面積については、200〜500m
2/g程度の超微粉末が使用されるが、繰り返しの画像形成を行っていくうちにトナー粒子表面にシリカ超微粉末が埋没し、トナーの流動性、摩擦帯電量、転写性等が低下して画像不良を引き起こすことが確認されている。
【0003】
このシリカ超微粉末の埋没を低減させるため、比表面積80m
2/g未満の比較的粒子径の大きな無機微粉末を併用する方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3)がある。比較的粒子径の大きな無機微粉末はトナー同士が直接接して生じるストレスを低減させるスペーサー効果を発現する。これにより、シリカ超微粉末の埋没を抑え、トナーの長寿命化を図る方法などがとられている。
【0004】
近年、トナーの低温定着化の加速により、トナーを長期間保存した際に、トナー同士のブロッキングにより、トナーの保存性、帯電性、流動性が低下する問題が大きくなっている。これらの問題改善に、比較的粒径の大きな無機微粉末を添加することが一般的である。比較的粒径の大きな無機微粉末としては、ゾルゲル法にて合成されたコロイダルシリカや、四塩化ケイ素の燃焼加水分解で製造されたヒュームドシリカが一般的である。しかし、コロイダルシリカの場合、帯電量が低く、かつトナーと一点でのみ接触するため、トナー表面からの脱離量が多く、保存性の改善効果が低いという問題点がある。また、ヒュームドシリカはストラクチャー構造を有し、接触点が多いためトナー表面からの脱離は改善されるものの、トナー同士が接触する際の抵抗が大きくなるので、流動性が悪化する問題がある。そのため、球形度及びアスペクト比を適度にコントロールした超微粉シリカ微粉末が保存性、帯電性、流動性の改善のために求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、保存性、帯電性、流動性に優れたトナー外添剤を提供することであり、そのトナー外添剤に好適な疎水化超微粉シリカ粉末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意研究を進めたところ、これを達成する超微粉シリカ粉末を見いだした。本発明はかかる知見に基づくものであり、以下の要旨を有する。
(1)平均粒子径が80nm以上300nm未満であり、平均球形度が0.50以上0.80未満、平均アスペクト比が1.0以上1.50未満、水分量が0.05wt%以上0.30wt%未満であることを特徴とする超微粉シリカ粉末。
(2)比表面積が10.0m
2/g以上150m
2/g未満であることを特徴とする前記(1)に記載の超微粉シリカ粉末。
(3)前記(1)又は(2)に記載の超微粉シリカ粉末をヘキサメチルジシラザンで表面処理したことを特徴とする超微粉シリカ微粉末。
(4)前記(1)から(3)のいずれか一項に記載の超微粉シリカ粉末を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー外添剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保存性、帯電性、流動性に優れたトナーを調製するのに好適なトナー外添剤が提供される。また前記トナー外添剤に好適な超微粉シリカ粉末が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の超微粉シリカ粉末は、レーザー回折散乱式粒度分布測定機にて測定された平均粒子径が80nm以上300nm未満であることが必要である。平均粒子径が80nm未満であると、トナー同士のブロッキング防止に寄与しないサイズの疎水化球状シリカ微粉末が多くなり、トナー外添剤に使用した際に、保存性を向上させることが出来ない。一方、平均粒子径が300nm以上となると、疎水化球状シリカ微粉末自体の帯電量が小さくなり、トナー外添剤に使用した際の帯電性が不十分となる。そのため、好ましい平均粒子径は90nm以上250nm以下、より好ましくは100nmを超え200nm以下である。
【0010】
本発明の球状シリカ微粉末のレーザー回折散乱式粒度分布は、ベックマンコールター社製「LS−230」を用いて測定することができる。測定に際しては、溶媒には水を用い、前処理として2分間、トミー精工社製「超音波発生器UD−200(超微量チップTP−040装着)」を用いて200Wの出力をかけて分散処理する。また、PIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)濃度を45〜55質量%に調整する。粒度分布の解析は0.04〜2000μmの範囲を粒子径チャンネルがlog(μm)=0.04の幅で116分割にして行った。水の屈折率には1.33を用い、球状シリカ微粉末の屈折率には1.50を用いた。なお、測定した粒度分布において、累積体積が50%となる粒子が平均粒子径である。
【0011】
本発明の超微粉シリカ粉末の平均球形度は0.50以上0.80未満であることが必要である。平均球形度が0.50未満であると、外添剤の一部がトナーに埋没しやすくなり、スペーサー効果が低下し、結果的にトナーの流動性が悪化する。また、平均球形度が0.80以上であると、トナー表面とトナー外添剤の接触点が少なくなるため、トナー表面からの外添剤の脱離が顕著となり、保存性が悪化する。そのため、好ましい平均球形度は0.55以上0.75未満、より好ましくは0.60以上0.70未満である。
【0012】
本発明の超微粉シリカ粉末の平均球形度は、下記方法で測定する。超微粉シリカ粉末をカーボンペーストで試料台に固定後、オスミウムコーティングを行い、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JSM−6301F型」で撮影した倍率10万倍、解像度2048×1356ピクセルの画像をパソコンに取り込んだ。この画像を、マウンテック社製画像解析装置「MacView Ver.4」を使用し、簡単取り込みツールを用いて粒子を認識させ、粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)から球形度を測定した。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとなるので、試料の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)
2となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)
2となる。撮影した粒子が、複数の一次粒子が凝集して二次粒子となっている形状の場合、二次粒子を単一の粒子とみなし、投影面積(A)は二次粒子全体の面積、周囲長(PM)は、二次粒子の界面に沿って測定した長さとする。このようにして得られた任意の投影面積円相当径50nm以上の粒子200個の球形度を求め、その平均値を平均球形度とした。
【0013】
本発明の超微粉シリカ微粉末の平均アスペクト比は、1.0以上1.50未満であることが必要である。平均アスペクト比が1.50以上になると、アスペクト比の高い外添剤によってトナー同士の接触時の抵抗が大きくなり、トナーの流動性が悪化する。そのため、好ましい平均アスペクト比は1.40未満であり、より好ましくは1.30未満である。
【0014】
本発明の超微粉シリカ粉末のアスペクト比は下記方法で測定する。超微粉シリカ粉末をカーボンペーストで試料台に固定後、オスミウムコーティングを行い、日本電子社製走査型電子顕微鏡「JSM−6301F型」で撮影した倍率10万倍、解像度2048×1356ピクセルの画像をパソコンに取り込んだ。この画像を、マウンテック社製画像解析装置「MacView Ver.4」を使用し、簡単取り込みツールを用いて粒子を認識させ、粒子の長径(A)と短径(B)の比(A/B)からアスペクト比を測定した。長径(A)は、粒子表面上の2点間の距離の最大値と定義する。また、短径(B)は、長径と直交する線分の、長さの極大値と定義する。なお、この極大値が複数存在するときはこれらの平均値を短径(B)とする。また、撮影した粒子が、複数の一次粒子が凝集して二次粒子となっている形状の場合、二次粒子を単一の粒子とみなして測定する。このようにして得られた任意の投影面積円相当径50nm以上の粒子200個のアスペクト比を求め、その平均値を平均アスペクト比とした。
【0015】
本発明のシリカの製法の詳細については後述するが、金属シリコンの酸化反応法が好ましい。製造方法を例示すれば、金属シリコンを化学炎や電気炉等で形成された高温場に投じて酸化反応させながら球状化する方法(例えば特許第1568168号明細書)、金属シリコン粒子スラリーを火炎中に噴霧して酸化反応させながら球状化する方法(例えば特開2000−247626号公報)などが挙げられる。この際、従来の製法は合成炉頂部のみに設置されたバーナーによる合成であるのに対して、今回の発明では、合成炉頂部のバーナーに加え、合成炉中部のアフターバーナーを使用した製造方法に特徴があり、従来にない球形度及びアスペクト比を持つ超微粉シリカ粉末の形状コントロールが可能となる。
【0016】
本発明の超微粉シリカ粉末の水分量は0.05wt%以上0.30wt%未満であることが必要である。トナーの帯電量は外添剤の水分量に起因し、帯電量の高低により、印字特性が変動する。水分量が0.05wt%未満の場合、超微粉シリカ粉末自体の帯電量が高くなるため、トナー外添剤に使用した際に帯電量が過剰となり、印刷面の汚れの原因となる。また、水分量が0.30wt%以上の場合、シリカ自体の帯電量が低いため、トナー外添剤に使用した場合に帯電量が不十分となり、印字の際に白抜けが多く発生する。そのため、好ましい水分量は0.10wt%以上0.25wt%未満であり、より好ましくは0.15wt%以上0.20wt%未満である。
【0017】
本発明の超微粉シリカ粉末の含有水分量は、カールフィッシャー電量滴定法で測定される。カールフィッシャー微量水分測定装置、例えば「CA−100」(三菱化学社製)にて測定することができる。具体的には、試料を水分気化装置に入れ、電気ヒーターで200℃まで加熱昇温しながら、脱水処理されたアルゴンガスをキャリアガスとして供給し、試料の表面吸着水を測定することができる。
【0018】
本発明における超微粉シリカ微粉末の比表面積は、10.0m
2/g以上150m
2/g未満であることが好ましい。比表面積がm
2/g未満であると、超微粉シリカ粉末自体の帯電量が小さくなり、トナー外添剤に使用した際の帯電性が不十分となる恐れがある。一方、比表面積が100m
2/gを超えると、トナー同士のブロッキング防止に寄与しないサイズの疎水化球状シリカ微粉末が多くなり、トナー外添剤に使用した際に、保存性を向上させることが出来ない恐れがある。さらに好ましい比表面積は20m
2/g以上90m
2/g未満、最も好ましくは25m
2/g以上80m
2/g未満である。
【0019】
本発明の疎水化球状シリカ微粉末の比表面積は、BET法に基づく値であり、マウンテック社製比表面積測定機「MacsorbHM model−1208」を用い、BET一点法にて測定する。測定に先立ち、窒素ガス雰囲気中で300℃、18分間加熱して前処理を行った。なお、吸着ガスには、窒素30%、ヘリウム70%の混合ガスを用い、本体流量計の指示値が25ml/minになるように流量を調整した。
【0020】
本発明の球状シリカ微粉体は、例えば流動層内にて循環ガスで超微粉シリカ粉末を浮遊(流動化)させた状態で、まず水を噴霧、混合してシラノール基を活性化させた後、ヘキサメチルジシラザンを噴霧、混合して疎水化処理を行うことによって得られる。または表面処理剤をガス化させ超微粉シリカ微粉末に接触させる方法などがある。流動層による気流混合は粉体にかかる力が小さいため、凝集が少なく、高分散状態での疎水化処理が可能となり、更に循環ガスで流動化させることによって見かけ上の密閉状態を作り出し、処理効率が高められる。循環ガスによる流動層の形成は、ブロワによって系内のガスを吸引し、その排気ラインを再び入口側に戻して流動化ガスとして用いることによって実現できる。
【0021】
本発明の疎水化球状シリカ微粉末は、ヘキサメチルジシラザンを単独で処理しても良いし、2種類以上の表面処理剤で処理しても良い。例えば、正帯電性付与の為、アミノシランカップリング剤と併用する場合は、まず、球状シリカ微粉末にアミノシラン処理を行った後に、本発明の疎水化処理方法を実施すれば良い。
【0022】
疎水化処理された球状シリカ微粉末のトナーへの配合量は、通常、トナー100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。配合量が少なすぎると、トナーへの付着量が少なく十分な保存性向上効果が得られず、多すぎるとトナーの帯電性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0023】
本発明の球状シリカ微粉末を含有するトナー外添剤のシリカ粉末には、本発明の球状シリカ微粉末が単独で使用されるものとは限らず、例えば、流動性付与効果の高い200〜500m
2/gの超微粉末シリカと併用して使用することもできる。
【0024】
本発明の球状シリカ微粉末を含有するトナー外添剤が添加される静電荷像現像用トナーとしては、結着樹脂と着色剤を主成分として構成される公知のものが使用できる。また、必要に応じて帯電制御剤が添加されていてもよい。
【0025】
本発明の球状シリカ微粉末を含有するトナー外添剤が添加された静電荷像現像用トナーは、一成分現像剤として使用でき、また、それをキャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。二成分現像剤として使用する場合においては、上記トナー外添剤は予めトナー粒子に添加せず、トナーとキャリアの混合時に添加してトナーの表面被覆を行ってもよい。キャリアとしては、鉄粉等、あるいはそれらの表面に樹脂コーティングされた公知のものが使用される。
【実施例】
【0026】
以下、本発明について、実施例及び比較例により、さらに詳細に説明する。
実施例1〜13 比較例1〜13
超微粉シリカ粉末は、合成炉の頂部に内炎と外炎が形成できる1本の二重管構造のLPG−酸素混合型バーナーが設置、中部に2本の二重管構造のLPG−酸素混合型アフターバーナーが設置され、さらに下部に捕集系ラインが直結されてなる装置を用いて合成した。頂部のバーナーの中心部には更にスラリー噴霧用の二流体ノズルが設置され、その中心部から、金属シリコン粉末(平均粒径9.8μm)と水からなるスラリー(金属シリコン濃度:10〜70質量%)を20.0kg/Hrのフィード量で噴射した。バーナー及び二流体ノズルの周囲からは水蒸気を供給した。火炎の形成は二重管バーナーの出口に数十個の細孔を設け、そこからLPGと酸素の混合ガスを噴射することによって行った。LPGの供給量は、合計5〜15N
3/hrとした。以上のように合成炉の頂部にて二流体ノズルから噴射したスラリーを火炎に通過させ球状シリカ超微粉を合成する。更に合成した球状シリカ超微粉は、粒子同士が凝集した状態で合成炉中部、具体的には、合成炉の長さを100とした場合、炉頂部から30〜70の距離となる場所に設置した二重管構造のLPG−酸素混合型アフターバーナーにて再度溶融することにより超微粉シリカ粉末とし、最終的にブロワによって合成炉下部の捕集ラインより空気輸送し、バグフィルターで捕集した。アフターバーナーは、炉体に並行で炉体下部方向を0度とすると、30度〜60度の角度となるように設置し、アフターバーナーから供給するLPG量は合計0〜10m
3/hrとした。なお、超微粉シリカ粉末の粒子径及び比表面積の調整は、スラリー濃度、スラリーフィード量で調整することにより行った。また、超微粉シリカ粉末の球形度及びアスペクト比は合成炉中部のアフターバーナーを使用することによって行った。さらに、超微粉シリカ粉末の水分量の調整は合成炉頂部の水蒸気量によって調整することによって行った。捕集した超微粉シリカ微粉末を適宜配合し、各種粒子径、球形度、アスペクト比及び比表面積の超微粉シリカ粉末A〜Mを得た。また、比較例として、スラリー濃度、スラリーフィード量、合成炉中部のアフターバーナーのLPG量、合成炉頂部の水蒸気量を調整することにより得られた超微粉シリカ粉末を適宜配合し、超微粉シリカ粉末N〜Vを得た。また、比較例として、アフターバーナーを使用しない、従来の合成法にて得られた超微粉シリカ粉末を適宜配合し、超微粉シリカ粉末W〜Xを得た。
【0027】
超微粉シリカ微粉末A〜Xを各100g、流動層(中央化工機社製「振動流動層装置VUA−15型」)に仕込み、N
2ガスで流動させたところに水2gを噴霧して5分間流動混合させた後、ヘキサメチルジシラザン(信越化学工業社製「SZ−31」)を4g噴霧し、30分間流動混合した。流動混合後、130℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら生成したアンモニアを除去し、疎水性の超微粉シリカ粉末A〜Xを得た。得られた疎水性超微粉シリカ粉末の疎水化度はいずれも65%以上であった。
【0028】
また、市販の表面疎水化処理を行っていない、比表面積が50m
2/gのヒュームドシリカY及び比表面積がm
2/gのコロイダルシリカZをそれぞれ前述同様に流動層内で疎水化表面処理を行い、疎水性超微粉シリカ粉末Y、Zを得た。得られた疎水性超微粉シリカ粉末の疎水化度はいずれも65%以上80%未満であった。
【0029】
ヘキサメチルジシラザンで疏水化処理を行った超微粉シリカ粉末の、トナー外添剤としての特性を評価するために、保存性、流動性及び帯電性を以下の方法に従って測定した。それらの結果を表1に示す。
【0030】
(1)保存性
上記のように得られた疎水性超微粉シリカ粉末A〜Z各15gと、ガラス転移点62℃のポリエステル樹脂をジェットミルで平均粒径が7.5μmになるように粉砕調整した樹脂粉485gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製「FM−10B型」)に入れ、1000rpmで1分間混合した。この混合物10gをシリコーンカップに計り取り、温度62℃の条件下で3時間静置した後、目開き74μmの篩の上に静かに移し、パウダテスタ(ホソカワミクロン社製「PT−E型」)の振動台にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩上に残った混合物の質量を測定した。この値が小さいほど、トナーの保存性が良いことを表す。
【0031】
(2)帯電性
上記のように得られた疎水性超微粉シリカ粉末A〜Z各30gと、平均粒子径5μmの架橋スチレン樹脂粉(綜研化学社製商品名「SX−500H」)970gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製「FM−10B型」)に入れ、1000rpmで1分間混合し疑似トナーを作製した。この疑似トナーを、温度25℃、相対湿度55%の条件下で24時間静置した後、ブローオフ帯電量を以下の手法で測定した。模擬トナー0.20gと、キャリアとして負帯電極性トナー用標準キャリア(日本画像学会より頒布「N−01」)3.80gを100mlポリエチレン製容器に入れて容器の蓋を閉め、容器を上下にして手に持ち、約30cmのストロークにて2回/秒の速度で200回振とうさせた。振とう3分後、この模擬トナーとキャリアの混合物0.30gを用いて吸引分離式帯電量測定器(三協パイオテク社製「セパソフトSTC−1」)により、ブローオフ帯電量を測定した。吸引時間は3分間、吸引圧力は4.0kPaとし、模擬トナーとキャリアの分離に用いるスクリーンには目開き32μmの金網を使用した。このブローオフ帯電量のマイナスの値が大きいほど、トナーの帯電性が良いことを表す。
【0032】
(3)流動性
上記の保存性評価手順同様にヘンシェルミキサーにて混合した疎水性超微粉シリカ粉末A〜Z各15gと、ガラス転移点62℃のポリエステル樹脂の混合物20gをパウダテスタ(ホソカワミクロン社製「PT−E型」)の振動台の上に乗せた710μmの篩に入れ、180秒振動させ、漏斗を通して落下する混合物を、下方に設置した安息角測定用テーブルに堆積させた。円錐状に形成された堆積物の、水平面に対する側面の角度を安息角として流動性を評価した。この安息角が小さいほど、流動性が良いことを表す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明によれば、保存性、帯電性、流動性に優れたトナー外添剤が提供される。また前記トナー外添剤への添加に好適な超微粉シリカ粉末が提供される。