特許第6445906号(P6445906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445906
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】通信経路確立方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/14 20090101AFI20181217BHJP
   H04W 8/20 20090101ALI20181217BHJP
   H04W 12/08 20090101ALI20181217BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20181217BHJP
   H04W 88/16 20090101ALI20181217BHJP
   H04W 92/04 20090101ALI20181217BHJP
【FI】
   H04W36/14
   H04W8/20
   H04W12/08
   H04W88/06
   H04W88/16
   H04W92/04
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-54581(P2015-54581)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-174339(P2016-174339A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100145698
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 俊介
(72)【発明者】
【氏名】梅木 智光
(72)【発明者】
【氏名】野一色 裕人
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/006316(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/165832(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/005629(WO,A1)
【文献】 3GPP,3GPP TS 23.402 V12.7.0,3GPP TS 23.402,2014年12月 5日,V12.7.0,Section 4.5.1,Section 4.5.9,Section 6.4.1.1,Figure 4.2.3-3,Figure 4.2.3-4,Figure 4.2.3-5,URL,http://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/23_series/23.402/23402-c70.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の通信網を介した通信経路を確立する通信経路確立方法であって、
第1通信網を利用して通信している通信装置が第2通信網に在圏すると、当該第2通信網に設けられたゲートウェイにおいて、前記通信装置の契約者情報を取得するステップと、
前記第2通信網に設けられたゲートウェイにおいて、取得した前記契約者情報に基づいて前記通信装置の前記第1通信網における通信で使用しているゲートウェイの種別を示す契約情報を特定するステップと、
前記第2通信網に設けられたゲートウェイにおいて、特定した前記契約情報が示す、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用している種別のゲートウェイから、前記通信装置が前記第1通信網を介した通信において最後にパケット通信を行った時刻を取得するステップと、
前記第2通信網に設けられたゲートウェイにおいて、取得した前記時刻に基づいて、前記通信装置がパケットを送受信していないタイミングにおいて、特定した前記契約情報に基づいて前記第2通信網から、前記第1通信網及び前記第2通信網に接続される外部網までの通信経路を確立するステップと、
を含む通信経路確立方法。
【請求項2】
前記取得するステップにおいて取得した前記契約者情報に基づいて、前記第2通信網の利用認証を行うステップ、を更に含み、
前記特定するステップ及び前記確立するステップは、前記利用認証の結果、利用が許可された前記通信装置に対して行われる、
請求項1に記載の通信経路確立方法。
【請求項3】
前記確立するステップは、前記第2通信網から前記種別のゲートウェイを介して前記外部網に接続する第1通信経路を確立する、
請求項1又は2に記載の通信経路確立方法。
【請求項4】
前記契約情報は、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用しているゲートウェイの種別及び当該通信において前記通信装置が利用可能なゲートウェイの種別であり、
前記確立するステップは、前記通信装置が利用可能なゲートウェイのうち、利用しているゲートウェイとは異なるゲートウェイを介して前記第2通信網から前記外部網に接続する第2通信経路を確立する、
請求項1又は2に記載の通信経路確立方法。
【請求項5】
前記契約情報は、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用しているゲートウェイの種別及び当該通信において前記通信装置が利用可能なゲートウェイの種別であり、
前記確立するステップは、前記種別のゲートウェイを介することなく前記第2通信網から前記外部網に接続する第3通信経路を確立する、
請求項1又は2に記載の通信経路確立方法。
【請求項6】
前記確立するステップにおいて、前記外部網に接続する新たな通信経路を確立すると、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用している通信経路を破棄するステップ、
を更に含む請求項又はに記載の通信経路確立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の通信網を介した通信経路を確立する通信経路確立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)は、3GPP(登録商標、3rd Generation Partnership Project)において移動通信装置の通信規格の一つとして規定され、広く普及している。LTE通信サービスを利用するユーザは、予め通信事業者と通信サービスの契約を行い、通信装置(UE:User Equipment)のSIM(Subscriber Identity Module)に契約した通信サービス名(APN:Access Point Name)を記録する。通信装置は、APNが記録されたSIMをもとにLTE通信網への接続を行う。
【0003】
近年、LTE通信網に接続する通信装置の数、及び通信装置から発生するデータ通信量が増加しており、LTE通信網以外の非3GPP規定の通信網へのトラヒック分散(オフロード)が求められている。トラヒックを分散する非3GPP規定の通信網として、無線LAN(Wireless LAN)通信網が想定されており、スマートフォンや携帯電話等の通信装置は、LTEだけでなく無線LANに対応し、無線LAN通信網でもデータ通信サービスを利用することが可能となっている。
【0004】
LTE通信網から無線LAN通信網にトラヒックを分散する仕組みとして、例えば、特許文献1には、ANDSF(Access Network Discovery and Selection Function)が通信装置に強制度を持ったモバイルオペレータポリシー(MOポリシー)を通知することで、通信装置に対してLTE通信網から無線LAN通信網への切り替えを強制する移動通信システムが開示されている。
【0005】
また、3GPPにおいても、LTE通信網から無線LAN通信網にトラヒックを分散する仕組みが検討されており、非特許文献1にSaMOG(S2a Mobility Based on GTP & WLAN access to EPC)としてまとめられている。
SaMOGは、無線LAN通信網からLTE通信網のバックボーンインフラとして設けられたEPC(Evolved Packet Core)に接続して通信経路を確立するための手続きを規定しており、通信装置が、通信事業者等が提供するWi−Fi(登録商標)アクセスポイントに接続されている場合に、信頼性のある(Trusted)アクセスとして無線LAN通信網からEPCへの接続を許可することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−74453号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TR23.852 “Study on S2a Mobility based on GPRS Tunnelling Protocol (GTP) and Wireless Local Area Network (WLAN) access to the Enhanced Packet Core (EPC) network (SaMOG); Stage 2”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の方法では、LTE通信網から無線LAN通信網にシームレスハンドオーバーするためには、通信経路を切り替えるための通知を通信装置が行わなければならず、このような通知を行う機能を有しない通信装置は、LTE通信網から無線LAN通信網に切り替える時にシームレスに切り替えることができずに通信断が発生し、通信のやり直しが発生してしまうという問題があった。
この点、図6に示す動作例及び図7に示すシーケンス図を参照して具体的に説明する。なお、説明に際し、AAA(Authentication, Authorization, Accounting)サーバ、HSS(Home Subscriber Server)及びPCRF(Policy and Charging Rule Function)については機能を分ける必要がないため、図7(その他の図面も含む)に示すシーケンス図では、これらを一つのノードで表している。
【0009】
図6は、LTE通信網を介して設定されたeNB(基地局)、S−GW(Serving-Gateway)、P−GW(PDN Gateway)を含む通信経路P11から、無線LAN通信網を介して設定されたAP(アクセスポイント)、TWAG(Trusted Wireless Access Gateway)、P−GWを含む通信経路P12に切り替える場合の動作例である。
【0010】
図6に示す例では、通信経路P11及び通信経路P12の双方において共通のP−GWを経由することとしている。ここで、LTE通信網に接続されるEPCには、P−GWが複数設けられており、シームレスハンドオーバーする場合、TWAGは、通信断を発生させないように、複数のP−GWの中から対象のP−GWを特定する必要がある。従来の方法では、UEからTWAGに対して、UEが契約しているAPNを通知することで、対象のP−GWを特定している。
【0011】
具体的には、図7に示すように、ステップS201において、UEは、TWAGに対してハンドオーバー接続要求を行い、この際に、EAP−AKA等の認証とともに、自身が契約しているAPNを通知する。この通知を受けると、TWAGでは、HSSにAPNを通知し、ステップS202において、認証結果(接続許可)とともにUEが接続しているP−GW名の返信を受ける。また、ステップS202において、TWAGは、認証結果(接続許可)をUEに対して通知する。
【0012】
この通知を受けると、ステップS203において、UEは、L3アタッチのトリガをTWAGに対して送信し、APNの通信に用いる通信網の切り替えを要求する。すると、TWAGは、ステップS202で取得したP−GWに対してセッション生成要求を行う。
この要求を受けると、ステップS204において、UEと通信中のP−GWでは、PCRFに対してIP−CANセッションの変更手続きを要求するとともに、AAAサーバやHSSが記憶している情報のアップデートを要求し、これらの手続きが完了すると、TWAGに対してセッションを生成した旨の通知を行う。
【0013】
その後、ステップS205において、TWAGは、UEに対してL3アタッチの完了を通知する。これにより、UEからeNB、S−GW、P−GWを経由していた通信経路P11が、UEからAP、TWAG、P−GWを経由する通信経路P12に切り替わる。
【0014】
ステップS201、S202に示すように、従来の方法では、対象のP−GWの特定を、UEから通知されたAPNに基づいて行うが、UEがAPNを通知するためには、UEがWLCPやWiCop(Wireless LAN Control Protocol)と呼ばれる機能を有していなければならない。UEがWLCP機能を有するか否かは、UEのベンダーに依存してしまうため、通信事業者としては、UEの種別に関わらず通信経路をLTE通信網から無線LAN通信網に切り替え可能な仕組みが求められる。
【0015】
本発明は、このような要望に鑑みてなされたものであり、通信装置の種別に関わらず通信経路を切り替え可能な通信経路確立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明においては、複数種類の通信網を介した通信経路を確立する通信経路確立方法であって、第1通信網を利用して通信している通信装置が第2通信網に在圏すると、当該第2通信網に設けられたゲートウェイにおいて、前記通信装置の契約者情報を取得するステップと、取得した前記契約者情報に基づいて前記通信装置の前記第1通信網における通信に関する契約情報を特定するステップと、前記ゲートウェイにおいて、特定した前記契約情報に基づいて前記第2通信網から、前記第1通信網及び前記第2通信網に接続される外部網までの通信経路を確立するステップと、を含む通信経路確立方法を提供する。
【0017】
また、前記取得するステップにおいて取得した前記契約者情報に基づいて、前記第2通信網の利用認証を行うステップ、を更に含み、前記特定するステップ及び前記確立するステップは、前記利用認証の結果、利用が許可された前記通信装置に対して行われることとしてもよい。
【0018】
また、前記契約情報は、前記通信装置が前記第1通信網における通信で利用しているゲートウェイの種別であり、前記契約情報を特定すると、特定した種別のゲートウェイから前記通信装置の前記第1通信網における通信における通信状況を取得するステップ、を更に含み、前記確立するステップは、前記契約情報に前記通信状況を加味して、前記外部網までの通信経路を確立することとしてもよい。
【0019】
また、前記契約情報は、前記通信装置が前記第1通信網における通信で利用しているゲートウェイの種別であり、前記確立するステップは、前記第2通信網から前記種別のゲートウェイを介して前記外部網に接続する第1通信経路を確立することとしてもよい。
【0020】
また、前記契約情報は、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用しているゲートウェイの種別及び当該通信において前記通信装置が利用可能なゲートウェイの種別であり、前記確立するステップは、前記通信装置が利用可能なゲートウェイのうち、利用しているゲートウェイとは異なるゲートウェイを介して前記第2通信網から前記外部網に接続する第2通信経路を確立することとしてもよい。
【0021】
また、前記確立するステップは、ゲートウェイを介することなく前記第2通信網から前記外部網に接続する第3通信経路を確立することとしてもよい。
【0022】
また、前記確立するステップにおいて、前記外部網に接続する新たな通信経路を確立すると、前記通信装置が前記第1通信網における通信において利用している通信経路を破棄するステップを更に含むこととしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信装置の種別に関わらず通信経路を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】通信システムの構成を示す図である。
図2】通信システムにおいて通信経路を確立する際の動作の概要を示す図である。
図3】通信システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図4】無線LAN通信網から外部網までの接続形態の一例を示す図である。
図5】通信システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】従来の通信システムにおいて通信経路を確立する際の動作の概要を示す図である。
図7】従来の通信システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[システム構成]
初めに、図1を参照して、本発明の通信経路確立方法が好適に利用される通信システムSの一例について説明する。図1に示すように、通信システムSは、UE50と、IP移動通信網1と、外部網NWと、を含んで構成される。
【0026】
UE50は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等のLTE及び無線LANに対応する移動通信装置であり、通信事業者が管理するSIMを用いてIP移動通信網1を介したデータ通信や音声通信を行う。
外部網NWは、インターネットやIMS等のパケットでデータの通信を行う通信網(PDN:Packet data network)であり、後述するコアネットワーク2及び無線LAN通信網4と接続される。
【0027】
IP移動通信網1は、コアネットワーク2と、LTE通信網3と、無線LAN通信網4と、を含んで構成される。
LTE通信網3は、3GPPで規定されるLTE方式の無線通信に対応した無線通信網であり、UE50と接続されるeNB31(無線基地局)を含む。無線LAN通信網4は、無線通信を利用してデータの送受信を行う非3GPP既定の無線通信網のうち、通信事業者等が公衆無線LANサービスを提供するための無線通信網である。無線LAN通信網4は、通信事業者等が提供する公衆無線LANのアクセスポイントであるAP41と、無線LAN通信網4と外部網NWとの間でパケットを転送するTWAG42とを含む。
【0028】
通信経路がLTE通信網3を介して確立される場合、UE50は、eNB31、S−GW22、P−GW23からなる通信経路P1を介して外部網NWに接続される。また、通信経路が無線LAN通信網4を介して確立される場合、UE50は、AP41、TWAG42、P−GW23からなる通信経路P2、又は、AP41、TWAG42からなる通信経路P3を介して外部網NWに接続される。
【0029】
コアネットワーク2は、MME21(Mobile Management Entity)と、S−GW22と、P−GW23と、AAAサーバ24と、HSS25と、PCRF26と、を含んで構成される。
コアネットワーク2を構成する各装置は、従来のLTEシステムの構成と同様であるため詳細な説明は省略するが、MME21は、UE50のアクセス制御を行い、S−GW22及びP−GW23は、LTE通信網3と外部網NWとの間でユーザデータの配送を行う。また、AAAサーバ24は、UE50の認証、認可、課金を行い、HSS25は、UE50の加入者情報の管理を行い、PCRF26は、データ配送におけるQoS(Quality of Service)管理を行う。
【0030】
[動作の概要]
続いて、図2を参照して、本実施形態の通信経路確立方法の動作の概要について説明する。
通信事業者等が提供する公衆無線LAN(無線LAN通信網4)の通信エリアにUE50が在圏すると、通信システムSでは、当該UE50が無線LAN通信網4を利用可能であるか否かの利用認証を行う。このような認証は、EAP(Extensible Authentication Protocol)と呼ばれ、通信事業者等が提供する公衆無線LANでは、通信事業者が管理するSIMを一意に識別する識別情報(IMSI(International Mobile Subscriber Identity)やTMSI(Temporary Mobile Subscriber Identity))を用いたEAP−SIMが広く用いられている。
【0031】
本実施形態の通信経路確立方法では、無線LAN通信網4のTWAG42は、利用認証に用いるIMSI(又はTMSI、以下略)をUE50から取得すると、取得したIMSIをHSS25に対して提供する。HSS25では、IMSIに基づく利用認証(例えば、EAP−SIM)を行うとともに、IMSIにより特定されるUE50の契約情報を抽出する。
なお、HSS25が抽出するUE50の契約情報は、例えば、UE50が通信事業者と契約しているAPN、現在利用しているLTE通信サービスにおいて接続しているP−GW23のID(種別)等である。
【0032】
HSS25がIMSIに基づいて契約情報(APN、P−GW_ID等)を抽出すると、HSS25は抽出した契約情報をTWAG42に対して通知する。TWAG42では、この通知を受けて、複数のP−GW23の中から接続するP−GW23を特定し、LTE通信網3から無線LAN通信網4に通信経路の切り替えを行う。
【0033】
このように、本実施形態の通信経路確立方法では、公衆無線LANの通信エリアに在圏したUE50から通知されるIMSIに基づいて、APNやP−GWのID等の契約情報を抽出するため、UE50によるAPNの通知を必要とせずに通信経路を切り替えることができる。そのため、本実施形態の通信経路確立方法によれば、UE50の種別に関わらず、即ち、UE50がWLCP機能を有しているか否かに関わらず、LTE通信網3から無線LAN通信網4に通信経路を切り替えることができる。
【0034】
加えて、本実施形態の通信経路確立方法では、後述するように、UE50の通信状況に応じて通信経路を確立することができるとともに、LTE通信網3のトラヒック分散だけでなく、EPCの負荷分散を実現することができる。
【0035】
このような通信経路確立方法を実現するために、図2に示すように、本実施形態では、HSS25に収容数記憶機能及び契約情報検索機能を追加し、P−GW23に通信履歴記憶機能を追加し、TWAG42に接続先決定機能を追加した。
【0036】
HSS25の契約情報検索機能は、TWAG42から通知されたUE50のIMSIに基づいてHSS25が保有する契約情報を検索し、UE50(IMSI)が契約しているAPNと現在利用しているP−GW23のIDとUE50(IMSI)が利用可能なP−GW23のIDとを抽出し、UE50の無線LAN通信網4に対する利用認証に対する返答とともにTWAG42の接続先決定機能に通知する。
この契約情報検索機能に基づき通知される情報により、TWAG42では、UE50からAPNの通知を受けることなく、UE50が契約しているAPNや利用しているP−GW23の種別等を把握することができる。
【0037】
また、HSS25の収容数記憶機能は、P−GW23が現在収容しているAPN毎の通信経路の数(PDNコネクション数)を記憶し、UE50の無線LAN通信網4に対する利用認証に対する返答とともにTWAG42の接続先決定機能に通知する。
この収容数記憶機能に基づき通知される情報により、TWAG42では、EPCの負荷状況(PDNコネクション数)を把握することができ、必要に応じて、LTE通信サービスにおいて利用しているP−GW23とは異なるP−GW23を介した通信経路を確立する等することで、EPCの負荷分散を実現することができる。
【0038】
以上のようにTWAG42がIMSIを通知すると、HSS25からTWAG42には、UE50が契約しているAPN、現在利用しているP−GW23のID、並びにUE50が利用可能なP−GW23のID及び当該P−GW23が現在収容している通信経路の数(負荷状況)が通知される。
本実施形態では、IMSIやTMSI等のSIMを一意に識別する情報を契約者情報と呼び、また、この契約者情報に基づきHSS25からTWAG42に通知される情報(APN、利用中のP−GW23の種別、利用可能なP−GW23、当該P−GW23のPDNコネクション数)を契約情報と呼ぶ。
【0039】
P−GW23の通信履歴記憶機能は、LTE通信網3を介して確立している通信経路において最後にパケットが通過した時刻を記憶し、TWAG42の接続先決定機能からの問い合わせに対して、パケットの最終通過時刻を返答する。具体的には、TWAG42の接続先決定機能が、IMSIの指定とともに問い合わせを行うと、P−GW23の通信履歴記憶機能は、該当するIMSIが識別するUE50のパケットの最終通過時刻を抽出し、TWAG42の接続先決定機能に対して返答する。
この通信履歴記憶機能に基づき通知される情報により、TWAG42では、UE50の通信状況に応じて通信経路を確立することができる。例えば、TWAG42は、UE50がパケットを送受信しているタイミングを避けて、LTE通信網3から無線LAN通信網4に通信経路を切り替えることができる。
【0040】
[通信システムSの動作]
続いて、図3を参照して、通信システムSの動作について説明する。図3は、LTE通信網3から無線LAN通信網4に通信経路を切り替える際の処理の流れを示すシーケンス図の一部である。
【0041】
ステップS101に示すように、LTE通信網3を介して通信しているUE50が、無線LAN通信網4の通信エリア圏に移動すると、UE50は、無線LAN通信網4への接続を試みる。具体的には、UE50は、自身が無線LAN通信網4を利用可能であるか否かの確認をEAP−SIM等の認証処理に基づき受けるために、自身が保有する契約者情報(IMSIやTMSI)をTWAG42に対して通知する。TWAG42は、UE50から契約者情報を取得すると、取得した契約者情報をAAAサーバ24を介してHSS25に通知する。
【0042】
続いて、ステップS102では、HSS25は、TWAG42から通知された契約者情報に基づいて認証処理を行う。なお、この認証処理において認証が失敗した場合、UE50に対してその旨を通知し、以降の処理を行わない。
他方、認証が成功した場合、ステップS103において、HSS25の契約情報検索機能は、当該IMSIが契約しているAPN、及びLTE通信網3を介した通信で現在利用しているP−GW23のIDをHSS25が保有する情報から検索する。続いて、HSS25の収容数記憶機能は、ステップS104において、認証が成功したIMSIが契約しているAPNに基づいて、当該IMSIが利用可能なP−GW23のID、及び当該P−GW23が現在収容している通信経路の数(PDNコネクション数)をHSS25が保有する情報から検索する。
【0043】
続いて、ステップS105において、HSS25は、認証結果の返答に加えて、ステップS103,S104で取得した契約情報(APN、現在利用中のP−GW23のID、利用可能なP−GW23のID及び収容コネクション数)を、TWAG42の接続先決定機能に通知する。
TWAG42の接続先決定機能では、ステップS106において、通知された契約情報にタイマーを付して一時的に記憶する。
【0044】
続いて、ステップS107において、TWAG42は、認証結果をUE50に対して通知する。このとき、TWAG42は、一時的に記憶した契約情報を通知することなく認証結果のみを通知する。
認証が成功したUE50は、ステップS108において、L3アタッチのトリガをTWAG42に対して送信し、APNの通信に用いる通信網の切り替えを要求する。
【0045】
続いて、TWAG42は、ステップS108の要求を行ったUE50の契約者情報(IMSI)をキーに、接続先決定機能で一時的に記憶(ステップS106)している契約情報を検索し、接続を確立するAPN及び当該APNで利用しているP−GW23のIDを取得する。なお、IMSIに対してAPNが複数ある場合には、予め設定されている接続確立順序に従ってAPNを選択し、処理を行う。
【0046】
その後、ステップS109において、TWAG42は、取得したP−GW23の通信履歴記憶機能に対して、UE50(IMSI)がLTE通信網3を介した通信において最後にパケット通信を行った時刻を要求する。
この要求を受けると、P−GW23の通信履歴記憶機能は、IMSIをキーとして検索を行い、UE50におけるパケットの最終通過時刻を取得し、TWAG42の接続先決定機能に対して返答する。
【0047】
P−GW23の通信履歴記憶機能からの返答の後、ステップS110において、TWAG42の接続先決定機能は、ステップS105で取得した契約情報及びステップS109で取得したパケットの最終通過時刻に基づいて接続先を決定する。
具体的には、P−GW23の通信履歴記憶機能は、UE50がLTE通信網3を介した通信経路において現在確立しているAPNの種別、当該UE50(IMSI)が利用可能なP−GW23の収容コネクション数、当該UE50の通信状況(通信中か否か)に基づいて、無線LAN通信網3から外部網NWまでの接続形態を決定する。
【0048】
ここで、ステップS110における接続先決定方法の詳細について具体的に説明する。本実施形態では、シームレスハンドオーバー、接続先のP−GW23の変更、又はLBO(Local Break-Out)の何れかにより、無線LAN通信網3から外部網NWまでの接続を行う。
【0049】
図4(A)は、シームレスハンドオーバーする際の動作例である。この場合、TWAG42の接続先決定機能は、LTE通信網3を介した通信経路P1で用いていたP−GW23と同じP−GW23を接続先として決定することで、AP41、TWAG42、P−GW23からなる通信経路P2を確立する。
シームレスハンドオーバーによれば、通信経路P2においてUE50に通知されるIPアドレスは、通信経路P1と同一のIPアドレスとなることから、通信を途切れさせることなく、無線LAN通信網4にトラヒックをオフロードすることができる。
【0050】
図4(B)は、接続先のP−GW23を変更して通信経路を確立する際の動作例である。この場合、TWAG42の接続先決定機能は、LTE通信網3を介した通信経路P1で用いていたP−GW23と異なるP−GW23を接続先として決定することで、AP41、TWAG42、異なるP−GW23からなる通信経路P2Aを確立する。通信経路P1で用いていたP−GW23と異なるP−GW23としては、UE50(IMSI)が利用可能なP−GW23のうち負荷の低いP−GW23を用いることができ、TWAG42の接続先決定機能は、例えば、UE50が利用可能なP−GW23の収容コネクション数に基づいて変更先のP−GW23を選択する。
【0051】
P−GW23を変更することで、EPC(P−GW23)の負荷分散が可能という利点がある。他方、IPアドレスの払い出しは変更後のP−GW23で実施されるため、LTE通信サービスで利用していたIPアドレスとは異なるアドレスがUE50に通知され、結果、LTE通信サービスにおいて通信中であった場合に通信が途切れる可能性がある。この点、音声通信ではなくデータ通信である場合には許容される場合もあり、また、図3のステップS109に示すように、パケットの最終通過時刻を加味してP−GW23を変更することで、LTE通信サービスにおける通信タイミングを避けることができ、結果、通信が途切れてしまうことを避けることができる。
【0052】
図4(C)は、LBOする際の動作例である。この場合、TWAG42の接続先決定機能は、P−GW23を介さずTWAG42から外部網NWに直接接続することで、AP41、TWAG42からなる通信経路P3を確立する。
シームレスハンドオーバーによれば、TWAG42又はAP41からIPアドレスの払い出しが行われるため、LTE通信サービスで利用していたIPアドレスとは異なるアドレスがUE50に通知されることになるものの、EPC(P−GW23)の負荷を低減することができる。
【0053】
図3のステップS110に戻り、TWAG42の接続先決定機能は、契約情報及びパケットの最終通過時刻に基づいて無線LAN通信網3から外部網NWまでの接続形態を決定する。具体的な決定方法は、通信事業者の運用ポリシーに従うものであり、限定的に解釈されるものではないが、理解を容易にするためにその一例を示す。
例えば、UE50が現在利用しているAPNが、音声通信(VoLTE)である場合にはIPアドレスを変更してしまうことを避けるために同一のP−GW23を継続利用(シームレスハンドオーバー)し、データ通信である場合にはP−GW23を変更することによる負荷分散やP−GW23を介さず外部網NWに直接接続(LBO)することによる負荷低減を優先するといった決定方法が想定される。
【0054】
TWAG42の接続先決定機能が無線LAN通信網3から外部網NWまでの接続形態を決定すると、決定した接続形態に応じて処理が行われる。図5(A)は、シームレスハンドオーバーする際の処理の流れを示すシーケンス図であり、図5(B)は、P−GW23を変更する際の処理の流れを示すシーケンス図であり、図5(C)は、LBOする際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0055】
図5(A)に示すように、シームレスハンドオーバーする場合、ステップS111において、TWAG42の接続先決定機能は、LTE通信サービスで利用していたP−GW23と同じP−GW23に対してセッション生成要求を行う。この要求を受けた後の処理の流れは、図7に示す従来の方法と基本的に同一であり、PCRF26におけるIP−CANセッションの変更手続き、AAAサーバ24やHSS25における情報のアップデートが行われ、これらの手続きが完了すると、TWAG42に対してセッションを生成した旨の通知が行われる。
続いて、ステップS112において、TWAG42の接続先決定機能は、UE50に対してL3アタッチの完了を通知する。これにより、UE50からeNB31、S−GW22、P−GW23を経由していた通信経路P1(図3参照)が、UE50からAP41、TWAG42、P−GW23を経由する通信経路P2に切り替わる。
【0056】
また、図5(B)に示すように、P−GW23を変更する場合、ステップS121において、TWAG42の接続先決定機能は、LTE通信サービスで利用していたP−GW23とは異なるP−GW23に対してセッション生成要求を行う。その後、セッション生成要求を受けたP−GW23において、IPアドレスの払い出し等が行われ、TWAG42に対してセッションを生成した旨の通知が行われる。
続いて、ステップS122において、TWAG42の接続先決定機能は、LTE通信サービスで利用していたP−GW23とは異なるP−GW23が接続先である旨をUE50に対して通知する。これにより、通信経路P1が、UE50からAP41、TWAG42、変更後のP−GW23を経由する通信経路P2Aに切り替わる。
【0057】
また、図5(C)に示すように、LBOする場合、ステップS131において、TWAG42の接続先決定機能は、IPアドレスの払い出しを行い、ステップS132において、UE50に対して通知する。
これにより、通信経路P1が、UE50からAP41、TWAG42、を経由する通信経路P3に切り替わる。
【0058】
なお、無線LAN通信網4に通信経路P2A又は通信経路P3(図4(B)又は図4(C))を確立した場合、LTE通信サービスで利用していたP−GW23は利用しなくなることから、TWAG42の接続先決定機能は、当該P−GW23に対して通信経路P1の破棄を要求する通知(デタッチトリガ)を行うこととしてもよい。
また、通信経路P2A(図4(B))を確立した場合、LTE通信サービスで利用していたP−GW23とは異なるP−GW23は、UE50に対するS−GW22までの通信路を確立していないため、TWAG42は、異なるP−GW23に対してS−GW22までの通信経路を確立する旨の通知を行うこととしてもよい。S−GW22と異なるP−GW23との間の通信経路を確立することで、P−GW23を切り替えた場合であっても通信断を発生させることなくハンドオーバーすることができる。
【0059】
これらの通知を行うか否かも、通信事業者の運用ポリシーに従うものであり、例えば、無線LAN通信網4からLTE通信網3に直ぐに戻るUE50に対しては、このような通知を行わないこととしてもよい。
【0060】
また、UE50が利用しているAPNが複数ある場合、TWAG42の接続先決定機能は、一のAPNの通信経路を確立した後に残りのAPNに対する通信経路の確立(図3のステップS109以降の処理)を行うことで、全てのAPNに対して外部網NWまでの通信経路を確立する。
【0061】
[実施形態の効果]
以上、本発明の通信経路確立方法が好適に用いられる通信システムSについて説明したが、このような通信経路確立方法によれば、以下の効果が期待できる。
【0062】
LTE通信網3だけでなく無線LAN通信網4を利用可能なUE50は、公衆無線LANの通信エリアに在圏すると自身が保持するSIMを一意に識別するIMSIを通知し、自身が当該公衆無線LANを利用可能であるかの認証を受ける。本実施形態の通信経路確立方法では、公衆無線LANの通信エリアに在圏するとUE50から自動的に通知されるIMSIに基づいて、LTE通信網3で利用しているAPNやP−GW23を特定し、通信経路の切り替えを行う。
これにより、無線LANに対応したUE50であれば、本実施形態の通信経路確立方法により通信経路の切り替えを行うことができるため、WLCP機能という特別な機能を有しているか否かに関わらず、LTE通信網3から無線LAN通信網4に通信経路を切り替えることができる。
【0063】
また、通信経路の切り替えをUE50ではなく、TWAG42で行うことができるため、UE50において外部網NWまでの接続形態(シームレスハンドオーバー、LBO等)を判別及び指示する必要がなく、UE50に複雑な機能を持たせる必要がない。加えて、TWAG42で通信経路の切り替え行うため、UE50側の事情ではなく通信事業者の運用ポリシーに従って通信経路の切り替えを行うことができる。
これにより、LTE通信網3のトラヒック分散に加え、EPCの負荷分散、負荷低減を適切に実現することができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0065】
1・・・IP移動通信網
2・・・コアネットワーク
21・・・MME
22・・・S−GW
23・・・P−GW
24・・・AAAサーバ
25・・・HSS
26・・・PCRF
3・・・LTE通信網
31・・・eNB
4・・・無線LAN通信網
41・・・AP
42・・・TWAG
50・・・UE(通信装置)
NW・・・外部網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7