特許第6445917号(P6445917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6445917
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】生タイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/32 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   B29D30/32
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-81514(P2015-81514)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-198975(P2016-198975A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 善博
(72)【発明者】
【氏名】乙脇 仁詩
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−154471(JP,A)
【文献】 特開2011−088414(JP,A)
【文献】 特表2001−525748(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/054185(WO,A1)
【文献】 特表2016−527104(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0165929(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーカスとサイドウォールゴムとを含む円筒状のタイヤケースを保持し、かつその軸心方向両側に外挿されるビードコア間であるケース本体部分をトロイド状に膨張させるとともに、前記ビードコアよりも軸心方向外側のケースはみ出し部分を巻上げる生タイヤ成形装置であって、
タイヤケースに外挿されるビードコアを保持するビードロック手段と、
ケースはみ出し部分を、ビードコアの廻りで半径方向外側に巻上げながら前記トロイド状のケース本体部分に押し付けて接合させる複数の押付けローラを有する巻上げ手段とを具えるとともに、
前記押付けローラは、トロイド状のケース本体部分に沿って半径方向外側に先行して移動する第1押付けローラと、この第1押付けローラに遅れて半径方向外側に移動する第2押付けローラとからなり、
しかも前記第1押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれしながら移動するとともに、前記第2押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれしながら移動することを特徴とする生タイヤ成形装置。
【請求項2】
前記巻上げ手段は、
軸心方向内外に移動可能なスライド筒、
互いに同心に回転自在な第1リング部と第2リング部とからなり、かつ前記スライド筒に軸心方向に一体移動可能に取り付く支持リング、
前記第1リング部に軸心方向外端部が枢支点にて枢支され軸心方向内端部側が半径方向外側に起き上がり可能な第1アーム本体と、この第1アーム本体の軸心方向内端部に枢着点にて枢着される前記第1押付けローラとを有し、周方向に間隔を有して並列する複数本の第1アーム、
前記第2リング部に軸心方向外端部が枢支点にて枢支され軸心方向内端部側が半径方向外側に起き上がり可能な第2アーム本体と、この第2アーム本体の軸心方向内端部に枢着点にて枢着される前記第2押付けローラとを有し、周方向に間隔を有して並列する複数本の第2アーム、
及び前記スライド筒に取り付くガイド板を具えるとともに、
前記ガイド板は、
半径方向外側に向かって周方向一方側に湾曲しながらのびるスリット状をなし、前記第1アーム本体が挿通することにより前記第1押付けローラを半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれさせる複数の第1案内溝と、
半径方向外側に向かって周方向他方側に湾曲しながらのびるスリット状をなし、前記第2アーム本体が挿通することにより前記第2押付けローラを半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれさせる複数の第2案内溝とを具えることを特徴とする請求項1記載の生タイヤ成形装置。
【請求項3】
前記第1案内溝は、前記第2案内溝の半径方向外側に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の生タイヤ成形装置。
【請求項4】
前記第2リング部は、第1リング部の半径方向内側に配されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の生タイヤ成形装置。
【請求項5】
前記第2リング部は、第1リング部の軸心方向内側に配されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の生タイヤ成形装置。
【請求項6】
前記第1アーム本体の前記枢支点から枢着点までの距離は、前記第2アーム本体の前記枢支点から枢着点までの距離よりも大であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の生タイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカル方式の巻上げ手段を具える生タイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生タイヤを成形する際に、ケースはみ出し部分を、ビードコアの廻りで半径方向外側に巻上げながらトロイド状のケース本体部分に押し付けて接合させる巻上げ手段として、メカニカル方式のものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
図8に示すように、従来のメカニカル方式の巻上げ手段は、周方向に間隔を有して並列する複数本の巻上げアームaを具える。この巻上げアームaは、軸心方向に移動可能なスライド筒dに軸心方向後端部が枢支されることにより、略水平な基準状態Y1から軸心方向内端部側が半径方向外側に向かって放射状に起き上がるアーム本体a1と、その軸心方向内端部に枢着される押し付けローラa2とを具える。そして、前記スライド筒dの軸心方向内側への移動により、各押し付けローラa2がケース本体部分c2に沿って半径方向内側から外側に移動し、その過程で、ケースはみ出し部分c1を巻上げながらケース本体部分c2に押し付けて接合させる。
【0004】
しかしながら、従来のメカニカル方式では、巻上げアームaが放射状に起き上がるため、押し付けローラa2、a2間に、サイドウォールゴムやカーカスの重ね合わせ部が位置する可能性が高い。その結果、前記重ね合わせ部が、押し付けローラa2によってしっかりと押し付けられなくなり、ジョイント不良を招く恐れが生じる。
【0005】
また、サイドウォール部の外面に、前記押し付けローラa2によるローラ痕が生じるが、このローラ痕は、カーカスの重ね合わせ部に原因するバルジデントと同方向に形成される。そのため、バルジデントが、ローラ痕間に不等ピッチ状に現れるため、バルジデントが強調されてしまい、外観品質を低下させるという問題を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−268371号公報
【特許文献2】特開2004−009298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、押付けローラとして、半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれしながら先行して移動する第1押付けローラと、この第1押付けローラに遅れて半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれしながら移動する第2押付けローラとを用いることを基本として、サイドウォールゴムやカーカスの重ね合わせ部を斜めに横切って押付けローラを走行させることができ、重ね合わせ部を確実に押し付けてジョイント不良を抑制するとともに、バルジデントを目立たなくして外観品質の低下を抑制しうる生タイヤ成形装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カーカスとサイドウォールゴムとを含む円筒状のタイヤケースを保持し、かつその軸心方向両側に外挿されるビードコア間であるケース本体部分をトロイド状に膨張させるとともに、前記ビードコアよりも軸心方向外側のケースはみ出し部分を巻上げる生タイヤ成形装置であって、
タイヤケースに外挿されるビードコアを保持するビードロック手段と、
ケースはみ出し部分を、ビードコアの廻りで半径方向外側に巻上げながら前記トロイド状のケース本体部分に押し付けて接合させる複数の押付けローラを有する巻上げ手段とを具えるとともに、
前記押付けローラは、トロイド状のケース本体部分に沿って半径方向外側に先行して移動する第1押付けローラと、この第1押付けローラに遅れて半径方向外側に移動する第2押付けローラとからなり、
しかも前記第1押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれしながら移動するとともに、前記第2押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれしながら移動することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置では、前記巻上げ手段は、
軸心方向内外に移動可能なスライド筒、
互いに同心に回転自在な第1リング部と第2リング部とからなり、かつ前記スライド筒に軸心方向に一体移動可能に取り付く支持リング、
前記第1リング部に軸心方向外端部が枢支点にて枢支され軸心方向内端部側が半径方向外側に起き上がり可能な第1アーム本体と、この第1アーム本体の軸心方向内端部に枢着点にて枢着される前記第1押付けローラとを有し、周方向に間隔を有して並列する複数本の第1アーム、
前記第2リング部に軸心方向外端部が枢支点にて枢支され軸心方向内端部側が半径方向外側に起き上がり可能な第2アーム本体と、この第2アーム本体の軸心方向内端部に枢着点にて枢着される前記第2押付けローラとを有し、周方向に間隔を有して並列する複数本の第2アーム、
及び前記スライド筒に取り付くガイド板を具えるとともに、
前記ガイド板は、
半径方向外側に向かって周方向一方側に湾曲しながらのびるスリット状をなし、前記第1アーム本体が挿通することにより前記第1押付けローラを半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれさせる複数の第1案内溝と、
半径方向外側に向かって周方向他方側に湾曲しながらのびるスリット状をなし、前記第2アーム本体が挿通することにより前記第2押付けローラを半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれさせる複数の第2案内溝とを具えることが好ましい。
【0010】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置では、前記第1案内溝は、前記第2案内溝の半径方向外側に形成されることが好ましい。
【0011】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置では、前記第2リング部は、第1リング部の半径方向内側、或いは第1リング部の軸心方向内側に配されることが好ましい。
【0012】
本発明に係る前記生タイヤ成形装置では、前記第1アーム本体の前記枢支点から枢着点までの距離は、前記第2アーム本体の前記枢支点から枢着点までの距離よりも大であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く、押付けローラを、先行して半径方向外側に移動する第1押付けローラと、この第1押付けローラに遅れて半径方向外側に移動する第2押付けローラとで構成している。そして、第1押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれしながら移動し、かつ第2押付けローラは、半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれしながら移動する。
【0014】
従って、第1押付けローラ及び第2押付けローラは、サイドウォールゴムやカーカスプライの重ね合わせ部に対して、それぞれ斜めに横切って走行でき、重ね合わせ部を確実に押し付けてジョイント不良を抑制できる。
【0015】
またサイドウォール部の外面には、第1押付けローラのローラ痕と第2押付けローラのローラ痕とが互いに交差する菱形状模様が形成される。そのため、カーカスに起因する半径方向のバルジデントを目立たなくさせることができ、外観品質の低下を抑制しうる。しかも、第1押付けローラ及び第2押付けローラが斜めに走行するため、従来の如くラジアル方向に走行する場合に比して走行距離が長くなる。即ち、押し付け面積が相対的に高まる。そのため、ケースはみ出し部分とケース本体部分との接合状態を維持しながら押し付け力を減じることが可能となり、ローラ痕自体を目立たなくさせうるなど、外観品質の低下抑制にさらに貢献できる。
【0016】
また先行する第1押付けローラによって押し付けられた部分が、第2押付けローラによって順次押し付けられるとともに、第1、第2押付けローラが、周方向に対して互いに逆方向に移動する。そのため、押し付けに起因するカーカスコードの配列乱れを抑制でき、ユニフォーミティを高く維持することができる。またケースはみ出し部分とケース本体部分との間のエアーを半径方向外側に押し出しながら押し付けるため、エアー溜まりの発生を抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の生タイヤ成形装置が採用された生タイヤ成形ラインの一例を概念的に示す側面図である。
図2】生タイヤ成形装置の主要部を略示する断面図である。
図3】ビードロック手段を拡大して示す断面図である。
図4】第1押付けローラ及び第2押付けローラの移動の軌跡を示す概念図である。
図5】押付けローラの枢着状態を示す側面図である。
図6】ガイド板における第1案内溝、第2案内溝を示す正面図である。
図7】巻上げ手段の他の実施例を略示する断面図である。
図8】メカニカル方式における従来の巻上げ手段を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の生タイヤ成形装置1が採用された生タイヤ成形ラインの一例を概念的に示す側面図である。
【0019】
図1において、本実施形態の生タイヤ成形装置1は、カーカスとサイドウォールゴムを含む円筒状のタイヤケース2を保持し、かつその軸心方向両側に外挿されるビードコア50、50間であるケース本体部分2Aをトロイド状に膨張させるとともに、前記ビードコア50よりも軸心方向外側のケースはみ出し部分2Bを巻上げるシェーピングドラム3を含んで構成される。
【0020】
図1中の符号5は所謂ベルトドラムであって、例えばベルトプライ、バンドプライ等のトレッド補強コード、及びトレッドゴムを含むトレッド構成部材を、このベルトドラム5の外周面上で順次巻回することにより、環状のトレッドリング6を形成する。符号7は所謂バンドドラムであって、本例では、カーカスとサイドウォールゴムとを含むタイヤケース構成部材を、このバンドドラム7の外周面上で順次巻回することにより、円筒状のタイヤケース2を形成する。タイヤケース構成部材としては、他に、インナーライナゴム、ビード補強層、クリンチゴム等を、タイヤ構造に応じて適宜含ませることができる。本例では、ベルトドラム5と前記シェーピングドラム3とバンドドラム7は、同一軸心上に一列に並んで配置される。
【0021】
又符号8は所謂トレッド搬送装置であって、前記ベルトドラム5上で形成された前記トレッドリング6を、ベルトドラム5から受け取り、前記シェーピングドラム3の半径方向外側の待機位置P1に搬入する。又符号9は所謂タイヤケース搬送装置であって、前記バンドドラム7上で形成されたタイヤケース2を、バンドドラム7から受け取り、前記シェーピングドラム3上に移載させる。
【0022】
次に、前記シェーピングドラム3は、同一軸心上を接離自在に相対移動しうる一対のドラム部10、10を有する。前記タイヤケース2は、この一対のドラム部10、10間に跨がって同心に保持される。
【0023】
図2に略示するように、各ドラム部10は、ビードロック手段11と、巻上げ手段12とを具える。前記ビードロック手段11は、拡縮径でき、かつ拡径によってタイヤケース2に外挿されたビードコア50を該タイヤケース2を介して保持する。また巻上げ手段12は、ビードロック手段11の軸心方向外側に配される。この巻上げ手段12は、ケースはみ出し部分2Bを、ビードコア50の廻りで半径方向外側に巻上げながらトロイド状に膨張されたケース本体部分2Aに押し付けて接合させる。
【0024】
具体的には、ドラム部10は、シェーピングドラム3の支持軸13に、外挿保持される円筒状胴部14を具えるとともに、この円筒状胴部14に、前記ビードロック手段11と巻上げ手段12とがそれぞれ形成される。なお円筒状胴部14は、周知の駆動手段(図示しない)を介して、軸心方向内外に移動しうる。
【0025】
図3に示すように、本例のビードロック手段11は、前記円筒状胴部14から軸心方向に対して直角に立ち上がる一対のガイド板17A、17Bと、このガイド板17A、17B間に配される複数のビードロックセグメント18とを具える。各ビードロックセグメント18は、軸心廻りで放射状に配列するとともに、ガイド板17A、17Bに設けるガイド部(図示しない)により、半径方向内外に案内される。円筒状胴部14と軸心方向内外側のガイド板17A、17Bとビードロックセグメント18とで囲むシリンダ室19には、前記円筒状胴部14に外挿されて軸心方向に移動しうる円錐状のピストン20が配される。そしてピストン20の円錐面が、各ビードロックセグメント18の半径方向内端に設ける斜面18aを押し上げることにより、各ビードロックセグメント18を半径方向外側に移動できる。なおビードロックセグメント18の半径方向外端には、ビードコア50をタイヤケース2を介して安定に着座させるゴム座18bが取り付く。
【0026】
シェーピングドラム3では、ビードコア50を保持したのち、ドラム部10、10同士を接近させながら、その間に高圧空気を充填することにより、前記ケース本体部分2Aをトロイド状に膨張させる。
【0027】
次に、前記図2に示すように、前記巻上げ手段12は、ケースはみ出し部分2Bを、ビードコア50の廻りで半径方向外側に巻上げながらトロイド状のケース本体部分2Aに押し付けて接合させる複数の押付けローラ21を具える。
【0028】
前記押付けローラ21は、トロイド状のケース本体部分2Aに沿って半径方向外側に先行して移動する第1押付けローラ21Aと、この第1押付けローラ21Aに遅れて半径方向外側に移動する第2押付けローラ21Bとから構成される。そして図4に示すように、各第1押付けローラ21Aは、半径方向外側に向かって周方向一方側に位置ずれしながら移動し、第2押付けローラ21Bは、半径方向外側に向かって周方向他方側に位置ずれしながら移動する。符号X1、X2は、第1押付けローラ21A及び第2押付けローラ21Bの移動の軌跡を示す。
【0029】
前記図2に示すように、本例の巻上げ手段12は、スライド筒22、このスライド筒22に取り付く第1リング部23Aと第2リング部23Bとからなる支持リング23、第1リング部23Aに軸心方向外端部が枢支される複数本の第1アーム24A、第2リング部23Bに軸心方向外端部が枢支される複数本の第2アーム24B、及び前記第1アーム24Aと第2アーム24Bとを案内するガイド板25を具える。
【0030】
前記スライド筒22は、前記円筒状胴部14に外挿保持され、この円筒状胴部14上を軸心方向内外に移動しうる。スライド筒22の移動は、例えばシリンダ機構、リンク機構、ボールネジ機構などを用いた適宜の駆動手段(図示しない)によって行われる。
【0031】
前記支持リング23は、スライド筒22に、該スライド筒22とは軸心方向に一体移動可能に取り付く。この支持リング23は、第1リング部23Aと第2リング部23Bとからなり、第1リング部23Aと第2リング部23Bとは、互いに同心に回転自在に支持される。即ち、第1リング部23Aと第2リング部23Bとは、周方向に対して互いに逆方向に回転することができる。なお本例では、第2リング部23Bが、第1リング部23Aの半径方向内側に同心に配される場合が示される。
【0032】
前記第1アーム24Aは、第1アーム本体26Aと、前記第1押付けローラ21Aとを具える。第1アーム本体26Aは、その軸心方向外端部が、前記第1リング部23Aに枢支点Qaにて枢支され、軸心方向内端部側が半径方向外側に向かって起き上がり可能に支持される。また第1アーム本体26Aの軸心方向内端部には、前記第1押付けローラ21Aが枢着点Qbにて回転自在に枢着される。
【0033】
本例では、第1押付けローラ21Aは、図5に示すように、第1アーム本体26Aの長手方向にのびる軸線J廻りで首振り自在なローラホルダ27を介して第1アーム本体26Aに取り付く。前記ローラホルダ27は、第1押付けローラ21Aを回転自在に保持するホルダー部27aと、このホルダー部27aから前記軸線Jに沿って突出しかつ第1アーム本体26Aの内端部に取り付く固定軸27bとを具える。第1押付けローラ21Aの回転軸心jは、前記軸線Jとは直角、かつ距離Kでオフセットしている。これにより、第1押付けローラ21Aは、回転軸心jを走行方向(移動方向)に対して直角に向けて転動しうる。
【0034】
前記第2アーム24Bは、第2アーム本体26Bと、前記第2押付けローラ21Bとを具える。第2アーム本体26Bは、その軸心方向外端部が、前記第2リング部23Bに枢支点Qaにて枢支され、軸心方向内端部側が半径方向外側に起き上がり可能に支持される。また第2アーム本体26Bの軸心方向内端部には、前記第2押付けローラ21Bが枢着点Qbにて回転自在に枢着される。第2押付けローラ21Bは、前記ローラホルダ27を介して第2アーム本体26Bに取り付く。
【0035】
なお第1アーム24Aにおける前記枢支点Qaから枢着点Qbまでの直線距離は、前記第2アーム24Bにおける前記枢支点Qaから枢着点Qbまでの直線距離よりも大である。
【0036】
また前記第1アーム24A、第2アーム24Bは、それぞれ、周方向に間隔を有して並列している。本例では、周方向に等ピッチ間隔を有して並列する場合が示される。
【0037】
前記ガイド板25は、前記スライド筒22から軸心方向に対して直角に立ち上がる円盤状をなし、該スライド筒22に一体に固定される。またガイド板25には、第1アーム24Aを案内する複数の第1案内溝28Aと、第2アーム24Bを案内する複数の第2案内溝28Bとが配される。
【0038】
図6に示すように、前記第1案内溝28Aは、半径方向内側から外側に向かって周方向一方側に湾曲しながらのびるスリット状をなす。この第1案内溝28Aは、第1アーム本体26Aが挿通することにより、該第1アーム本体26Aは第1案内溝28Aに沿って案内される。このとき、第1リング部23Aが、第1アーム本体26Aに追従して周方向一方側に回転でき、その結果、第1押付けローラ21Aを、前記軌跡X1に沿って走行させることが可能となる。
【0039】
また第2案内溝28Bは、半径方向内側から外側に向かって周方向他方側に湾曲しながらのびるスリット状をなす。この第2案内溝28Bは、第2アーム本体26Bが挿通することにより、該第2アーム本体26Bは第2案内溝28Bに沿って案内される。このとき第2リング部23Bが、第2アーム本体26Bに追従して周方向他方側に回転でき、その結果、第2押付けローラ21Bを、前記軌跡X2に沿って走行させることが可能となる。
【0040】
本例では、前記第1アーム本体26Aと第2アーム本体26Bとが互いに干渉しないように、少なくとも第1アーム本体26Aが第1案内溝28Aを挿通する挿通領域26Aaにおける第1アーム本体26Aは、第2アーム本体26Bが第2案内溝28Bを挿通する挿通領域26Baにおける第2アーム本体26Bよりも半径方向外側に位置させている。本例では、第1アーム本体26Aに屈曲部を設けることにより、挿通領域26Aaにおける第1アーム本体26Aを、挿通領域26Baにおける第2アーム本体26Bよりも半径方向外側に位置させている。また第1案内溝28Aは、第2案内溝28Bよりも半径方向外側に形成される。
【0041】
なお、少なくとも前記挿通領域26Aa、26Baにおいて、第1アーム本体26A及び第2アーム本体26Bは、第1案内溝28A及び第2案内溝28Bに沿って自在に移動しうるように、断面円形状に形成するのが好ましい。
【0042】
このように構成された巻上げ手段12では、第1押付けローラ21A、第2押付けローラ21Bが、前記軌跡X1、X2に沿って移動する。そのため、移動の際、サイドウォールゴムやカーカスプライの重ね合わせ部に対して、それぞれ斜めに横切ることができ、重ね合わせ部を確実に押し付けてジョイント不良を抑制しうる。
【0043】
またサイドウォール部の外面に、ローラ痕による菱形状模様が形成されるため、半径方向のバルジデントを目立たなくさせることができる。また従来の如くラジアル方向に走行する場合に比して走行距離が長くなる。即ち、押し付け面積が相対的に高まるため、ケースはみ出し部分2Bとケース本体部分2Aとの接合状態を維持しながら押し付け力を減じることができる。その結果、ローラ痕自体を目立たなくさせうるなど、外観品質の低下抑制にさらに貢献できる。
【0044】
また先行する第1押付けローラ21Aによって押し付けられた部分が、第2押付けローラ21Bによって順次押し付けられるとともに、第1、第2押付けローラ21A、21Bが、周方向に対して互いに逆方向に移動する。そのため、押付けに起因するカーカスコードの配列乱れを抑制でき、ユニフォーミティを高く維持することができる。またケースはみ出し部分2Bとケース本体部分2Aとの間のエアーを半径方向外側に押し出しながら押し付けるため、エアー溜まりの発生を抑制しうる。
【0045】
なお巻上げ手段12には、第1アーム24A群、及び第2アーム24B群をそれぞれ囲んで周方向に巻装されるゴム弾性を有する環状の収縮バンド(図示しない)が配される。この収縮バンドは、従来と同様、その収縮力により、ケースはみ出し部分2Bをケース本体部分2Aに押し付けるとともに、第1アーム24A、第2アーム24Bを半径方向内側の待機位置まで復帰させる。
【0046】
本例では、第1アーム24Aの形成数n1と、第2アーム24Bの形成数n2とが等しい場合が示される。しかし、第1アーム24Aの形成数n1を、第2アーム24Bの形成数n2よりも大に設定することが好ましい。その理由としては、前記図4に示すように、サイドウォール部の外面では、第1押付けローラ21Aと第2押付けローラ21Bとによって押し付けられる領域Yiの半径方向外側に、第1押付けローラ21Aのみによって押し付けられる領域Yoが形成される。従って、第1アーム24Aの形成数n1を、第2アーム24Bの形成数n2よりも大に設定することで、前記領域Yoでの接合強度を、領域Yiに近づけることができる。
【0047】
なお前記図6に示すように、第1案内溝28Aの半径方向内端と外端との間の軸心i廻りの中心角度θ1、第2案内溝28Bの半径方向内端と外端との間の軸心i廻りの中心角度θ2は、それぞれ10〜30度の範囲が好ましい。
【0048】
図7に巻上げ手段12の他の実施例を示す。本例では、第2リング部23Bが、第1リング部23Aの軸心方向内側に配される。この場合にも第1リング部23Aと第2リング部23Bとは、周方向に対して互いに逆方向に回転可能に支持される。
【0049】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0050】
1 生タイヤ成形装置
2 タイヤケース
2A ケース本体部分
2B ケースはみ出し部分
11 ビードロック手段
12 巻上げ手段
21 押付けローラ
21A 第1押付けローラ
21B 第2押付けローラ
22 スライド筒
23 支持リング
23A 第1リング部
23B 第2リング部
24A 第1アーム
24B 第2アーム
25 ガイド板
26A 第1アーム本体
26B 第2アーム本体
28A 第1案内溝
28B 第2案内溝
50 ビードコア
Qa 枢支点
Qb 枢着点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8