(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
フォトリレーやフォトカプラを含む光結合装置のモールド構造の一例として、ダブルモールド構造が知られている。ダブルモールド構造では、一般的に、発光素子と受光素子がインナーモールド樹脂で覆われ、このインナーモールド樹脂がアウターモールド樹脂で覆われている。
【0003】
上記ダブルモールド構造では、周囲温度が変化したときに応力がインナーモールド樹脂から発光素子に作用し、この応力によって発光素子が劣化するおそれがある。そこで、この応力を緩和する方法として、発光素子をシリコン樹脂で覆った後、このシリコン樹脂をインナーモールド樹脂で覆う方法が知られている。
【0004】
しかし、シリコン樹脂の温度特性は、インナーモールド樹脂の温度特性と大きく異なる。そのため、周囲温度が変化したとき、シリコン樹脂とインナーモールド樹脂との間の界面は剥離しやすい。この界面が剥離すると、発光素子から受光素子までの光路が遮られる。これにより、受光素子の受光量が減少するので、光の利用効率が悪化するおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、光結合装置の一例としてフォトカプラの構成を中心に説明する。ただし、フォトカプラ以外の他の光結合装置、例えばフォトリレーにも本実施形態を適用することは可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る光結合装置の概略的な構成を示す平面図である。また、
図2は、
図1に示す切断線A−Aに沿った断面図である。さらに、
図3は、
図2に示す領域Rの拡大図である。
【0011】
図1、
図2、および
図3に示すように、本実施形態に係る光結合装置1は、発光素子10と、受光素子11と、リードフレーム12、13と、第1の被覆部材14と、第2の被覆部材15と、第3の被覆部材16と、離型剤17と、を備える。
【0012】
発光素子10は、導体20によってリードフレーム12に電気的に接続されている。電流がリードフレーム12から導体20を介して発光素子10に供給されると、発光素子10は受光素子11へ向けて光を放射する。
【0013】
本実施形態では、発光素子10はLED(Light Emitting Diode)であるが、この発光素子10はLEDに限定されず、他の種類の発光素子であってもよい。また、導体20はアルミニウムのボンディングワイヤであるが、この導体20はアルミニウムに限定されず金等の他の種類の金属であってもよい。
【0014】
受光素子11は、導体21によってリードフレーム13に電気的に接続されている。受光素子11が発光素子10の光を受光すると、受光量に対応する電流が受光素子11から導体21を介してリードフレーム13に出力される。なお、本実施形態では、導体21も、導体20と同様にアルミニウムのボンディングワイヤであるが、この導体20もアルミニウムに限定されず、他の種類の金属であってもよい。
【0015】
リードフレーム12、13は、例えば、金属等の導電部材で構成されている。リードフレーム12は、発光素子10が設置された第1の面12aと、第1の面12aに対向する第2の面12bと、を有する。リードフレーム13は、受光素子11が発光素子10に対向するように設置された第3の面13aと、第3の面13aに対向する第4の面13bと、を有する。
【0016】
なお、本実施形態では、光結合装置1には、複数のリードフレーム12と複数のリードフレーム13とが設けられている。複数のリードフレーム12の1つに発光素子10がはんだで接合されている。この発光素子10は、自身が接合されたリードフレーム12とは別のリードフレーム12に導体20で電気的に接続されている。
【0017】
また、複数のリードフレーム13の1つに受光素子11がはんだで接合されている。この受光素子11は、自身が接合されたリードフレーム13とは別のリードフレーム13に導体20で電気的に接続されている。
【0018】
第1の被覆部材14は、発光素子10を覆っている。第1の被覆部材14は、例えば、シリコン樹脂で構成されている。本実施形態では、第1の被覆部材14が、発光素子10を保護するエンキャップ樹脂として機能する。
【0019】
第2の被覆部材15は、受光素子11と、リードフレーム12、13と、第1の被覆部材14と、を覆っている。第2の被覆部材15は、発光素子10の光を透過可能な透明樹脂で構成されている。
【0020】
第3の被覆部材16は、第2の被覆部材15を覆っている。第3の被覆部材15は、例えば、遮光性を備える黒色系の遮光樹脂で構成されている。これにより、発光素子10の光が外部へ漏れるのを防ぎ、さらに、受光素子11が外光で誤動作するのを防ぐことが可能となる。
【0021】
本実施形態では、第2の被覆部材15がいわゆるインナーモールド樹脂に相当し、第3の被覆部材16がいわゆるアウターモールド樹脂に相当する。すなわち、本実施形態では、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16によって、ダブルモールド構造が形成されている。
【0022】
離型剤17は、例えば、長鎖脂肪酸等の離型作用を有する有機物で構成されている。本実施形態では、離型剤17は、第2の被覆部材15の成型後に、この第2の被覆部材15の外面に塗布される。その後、第3の被覆部材16の成型を実施することによって、離型剤17は、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16との間に含まれる。
【0023】
なお、本実施形態では、離型剤17は、第2の被覆部材15の外面の一部、具体的にはリードフレーム12の第2の面12bに対向する領域に塗布されている。しかし、離型剤17は、第2の被覆部材15の外面の全領域に渡って塗布されていてもよい。
【0024】
図4(a)は、比較例に係る光結合装置の一部を拡大した断面図であり、
図4(b)は、本実施形態に係る光結合装置1の一部を拡大した断面図である。
【0025】
図4(a)に示す比較例では、離型剤17が第2の被覆部材15と第3の被覆部材16との間に含まれていない。換言すると、本比較例では、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の接着強度が、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16の接着強度よりも低い。そのため、周囲温度が上昇した場合、
図4(a)に示すように、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15との間の界面が剥離する可能性が高くなる。
【0026】
上記界面が剥離すると、光の屈折率が変化する。そのため、
図4(a)に示すように、発光素子10から放出された光L1が第1の被覆部材14と第2の被覆部材15との間の界面に入射しても、入射光の大部分が反射光L2となる。その結果、受光素子11の受光量が減少し、光の利用効率が悪化する。この対策として、第1の被覆部材14を除去して発光素子10を第2の被覆部材15で被覆することが考えられる。しかし、この場合、発光素子10が第2の被覆部材15から受ける応力で劣化するおそれがある。
【0027】
一方、
図4(b)に示す本実施形態によれば、上述したように、離型剤17が第2の被覆部材15と第3の被覆部材16との間に含まれている。換言すると、本実施形態では、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16の接着強度が、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の接着強度よりも低く、かつ第2の被覆部材15と第2の面12bの接着強度よりも低くなっている。そのため、周囲温度が上昇した場合、
図4(b)に示すように、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16との間の界面が剥離する可能性が高くなる。具体的には、有機物から成る離型剤17が、透明樹脂から成る第2の被覆部材15と遮光樹脂から成る第3の被覆部材16との間における水素結合を破壊することによって、これらの界面が剥離しやすくなる。
【0028】
上記界面が剥離すると、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15との間で生じる応力が緩和される。そのため、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の密着が維持され、これらの界面における光の屈折率が変化しにくくなる。つまり、本実施形態に係る光結合装置1では、発光素子10の光の利用効率を向上させるために、発光素子10から受光素子11までの光路上に位置しない部材間の界面の剥離を促すことによって、当該光路上に位置する部材間の密着を確保している。
【0029】
したがって、発光素子10から放出された光L1が第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の界面に入射したとき、入射光の大部分が出射光L3として受光素子11に受光される。その結果、第1の被覆材14を除去しなくても受光素子11の受光量が比較例よりも増大するので、発光素子10にかかる応力を緩和しつつ光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態に係る光結合装置1では、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16の剥離によって、装置内部で生じる応力が緩和される。これにより、発光素子10を第1の面12aに接合するはんだや、受光素子11を第3の面13aに接合するはんだが受ける応力も緩和されるので、これらのはんだの耐熱性が安定する。
【0031】
なお、本実施形態に係る光結合装置1では、経年劣化により、リードフレーム12と第2の被覆部材15との間の接着が弱くなりやすい。そうすると、第1の被覆部材14のうち、リードフレーム12側が酸化されて変色(例えば、茶色)しやすくなる。これを抑制するため、第1の面12aの平滑度を高くするなどして、第2の被覆部材15と第1の面12aとの接着強度(第4の接着強度)を高くすることが望ましい。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図5(a)は、第2の実施形態に係る光結合装置の一部を拡大した断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示す光結合装置において、リードフレーム12と第2の被覆部材15とが剥離した状態を示す断面図である。
【0033】
図5(a)に示すように、本実施形態に係る光結合装置は、離型剤17が第2の被覆部材15と第3の被覆部材16との間の代わりに、リードフレーム12の第2の面12bと第2の被覆部材15との間に含まれている点で第1の実施形態に係る光結合装置1と異なる。
【0034】
本実施形態では、離型剤17は、第2の被覆部材15の成型前に、リードフレーム12の第2の面12bに塗布される。この離型剤17によって、第2の面12bと第2の被覆部材15の接着強度は、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の接着強度よりも低くなっている。そのため、周囲温度が上昇した場合、
図5(b)に示すように、第2の面12bと第2の被覆部材15が剥離する可能性が高くなる。
【0035】
第2の面12bと第2の被覆部材15が剥離すると、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15との間で生じる応力が緩和される。そのため、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の密着が維持され、これらの界面の屈折率の変化が抑制される。つまり、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、発光素子10の光の利用効率を向上させるために、発光素子10から受光素子11までの光路上に位置しない部材間の界面の剥離を促すことによって、当該光路上に位置する部材間の密着を確保している。
【0036】
したがって、第1の実施形態と同様に、発光素子10から放出された光L1の大部分が出射光L3として受光素子11に受光されるので、発光素子10にかかる応力を緩和しつつ光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、第2の面12bと第2の被覆部材15を剥離させているが、これに加えて、第1の実施形態と同様に、第2の被覆部材15と第3の被覆材16も剥離させてもよい。つまり、第2の被覆部材15と第3の被覆部材16の接着強度と、第2の被覆部材15と第2の面12bの接着強度とのうちの少なくとも一方の接着強度が、第1の被覆部材14と第2の被覆部材15の接着強度よりも低ければよい。
【0038】
(変形例)
以下、第2の実施形態の変形例について説明する。
図6(a)は第2の実施形態の変形例に係る光結合装置の一部を拡大した断面図であり、
図6(b)は
図6(a)に示す光結合装置において、リードフレーム12と第2の被覆部材15が剥離した状態を示す断面図である。
【0039】
図6(a)に示すように、本変形例のリードフレーム12では、第2の面12bの表面粗さが第1の面12aの表面粗さよりも大きくなっている。なお、各面の表面粗さは、例えば、単位面積当たりの凹凸の高低差の平均値で規定してもよい。
【0040】
上記表面粗さの相違により、第2の面12bと第2の被覆部材15の接触面積が、第1の面12aと第2の被覆部材15の接触面積よりも小さくなる。これにより、第2の面12bと第2の被覆部材15の接着強度が、第1の面12aと第2の被覆部材15の接着強度よりも低くなる。
【0041】
その結果、
図6(b)に示すように、第1の面12aと第2の被覆部材15が密着し、第2の面12bと第2の被覆部材15が剥離した状態を作り出すことが可能となる。つまり、本変形例では、第2の面12bと第2の被覆部材15の密着状態と、第1の面12aと第2の被覆部材15の密着状態とのバランスを崩すことによって、離型剤17を用いることなく、第2の面12bと第2の被覆部材15の剥離を可能にしている。
【0042】
なお、本変形例では、リードフレーム12の第1の面12aにプラズマ処理を施してもよい。このプラズマ処理により、第1の面12aの平坦性が向上するので、第1の面12aと第2の被覆部材15との密着が強化される。この場合も、第2の面12bと第2の被覆部材15の接着強度が、第1の面12aと第2の被覆部材15の接着強度よりも低くなる。よって、第2の面12bと第2の被覆部材15が剥離した状態を作り出すことが可能となる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。