特許第6446004号(P6446004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446004
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ニッケル系触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 36/04 20060101AFI20181217BHJP
   C08F 4/70 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   C08F36/04
   C08F4/70
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-152872(P2016-152872)
(22)【出願日】2016年8月3日
(62)【分割の表示】特願2015-56471(P2015-56471)の分割
【原出願日】2008年4月9日
(65)【公開番号】特開2017-20030(P2017-20030A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年8月4日
【審判番号】不服-16556(P-16556/J1)
【審判請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】60/922,666
(32)【優先日】2007年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】シン ゼンクヮン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ティー プルートン
(72)【発明者】
【氏名】デイブ エム ログマン
(72)【発明者】
【氏名】松尾 成晃
【合議体】
【審判長】 近野 光知
【審判官】 海老原 えい子
【審判官】 小柳 健悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−63409(JP,A)
【文献】 特公昭49−11872(JP,B1)
【文献】 特開昭48−64180(JP,A)
【文献】 特開昭61−31408(JP,A)
【文献】 米国特許第6013746(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F6/00-246/00
C08F301/00
C08F4/60-4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエンポリマーを形成する方法であって、
前記方法が、触媒作用的に有効量の触媒組成物の存在下で、共役ジエンモノマーを重合する工程を含み、
前記触媒組成物が、
(a)含ニッケル化合物、
(b)アルキル化剤、
(c)含フッ素化合物
(d)カルボン酸、及び
(e)アルコール
を混合することによって生成され、
前記含ニッケル化合物が、ニッケルカルボン酸塩、ニッケル有機リン酸塩、ニッケル有機ホスホン酸塩、ニッケル有機ホスフィン酸塩、ニッケルカルバミン酸塩、ニッケルジチオカルバミン酸塩、ニッケルキサントゲン酸塩、ニッケルβ−ジケトネート、ニッケルアルコキシド又はアリールオキシド、ニッケルハロゲン化物、ニッケル偽ハロゲン化物、ニッケルオキシハロゲン化物、及び有機ニッケル化合物からなる群から選択され、
前記アルキル化剤の前記含ニッケル化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ni)が、1:1から200:1であり、前記(c)含フッ素化合物の前記含ニッケル化合物に対するモル比(F/Ni)が、7:1から500:1であり、前記カルボン酸の前記含ニッケル化合物に対するモル比(COOH/Ni)が、0.1:1から10:1であり、及び前記アルコールの前記含ニッケル化合物に対するモル比(OH/Ni)が、0.4:1から80:1であり、
前記(c)含フッ素化合物が、元素状態のフッ素、フッ化ハロゲン、フッ化水素、有機フッ化物、無機フッ化物、金属フッ化物、有機金属フッ化物、及びこれらの混合物からなる群より選択される含フッ素化合物と、エーテル、アルコール、水、アルデヒド、ケトン、エステル、ニトリル、又はこれらの混合物との錯体を含み、
触媒成分(a)〜(e)を混合することが、前記含ニッケル化合物、前記アルキル化剤、前記カルボン酸、及び前記アルコールを混合した後に、前記(c)含フッ素化合物を導入することを含む、方法。
【請求項2】
前記重合する工程を非極性溶媒中で実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非極性溶媒が、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、又はこれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルキル化剤の前記含ニッケル化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ni)が、3:1から30:1であり、前記(c)含フッ素化合物の前記含ニッケル化合物に対するモル比(F/Ni)が、7.5:1から450:1であり、前記カルボン酸の前記含ニッケル化合物に対するモル比(COOH/Ni)が、0.5:1から5:1であり、及び前記アルコールの前記含ニッケル化合物に対するモル比(OH/Ni)が、0.5:1から75:1である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルキル化剤が、有機アルミニウム化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機アルミニウム化合物が、一般式AlRn3-nで表される化合物を含み、
各Rが、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合する一価の有機基であり、同一でも異なってもよく、各Xが、水素原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であって、同一でも異なってもよく、nが、1から3の整数である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記共役ジエンモノマーが、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、及び2,4−ヘキサジエンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルコールが、一般式R−OHにより定義され、Rが一価の有機基である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
Rが1から40個の炭素原子を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルコールが、脂肪族アルコール、環式アルコール、不飽和アルコール、芳香族アルコール、複素環式アルコール及び多環式アルコールからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記カルボン酸が、一般式R−COOHにより定義され、Rが一価の有機基である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一以上の実施態様は、ニッケル系触媒組成物及びニッケル触媒によるポリジエンの製造方法を対象にしている。
【背景技術】
【0002】
含ニッケル化合物、有機アルミニウム化合物、及び含フッ素化合物を含むニッケル系の触媒系は、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを生成させるために使用できる。含フッ素化合物には、ボロントリフルオロライド、並びにボロントリフルオロライドと1級アルコール、フェノール類、水、鉱酸類、ケトン類、エステル類、エーテル類、及びニトリル類との錯体が含まれる。先行技術において、C2及びC8−C12アルキル基を含むアルキルアルミニウム化合物の混合物を用いてミクロゲルの少ないハイシス−1,4−ポリブタジエンを製造できることが示唆されている。また、コールドフローが少ないポリマー類は、少量のモノマーの存在下、触媒系を添加することによって得られることも示唆されている。
【0003】
低分子量のシス−1,4−ポリブタジエンの製造が望まれているため、ニッケル系触媒を用いて製造した生成ポリマーの分子量を制御する取り組みが為されてきた。例えば、1−ブテン、イソブチレン、シス及びトランス−2−ブテン、並びにアレン等の非共役ジオレフィン類又はオレフィン類の存在下で、重合を実行することができる。他の例においては、ハロゲン化フェノール類又はパラスチレン化ジフェニルアミンの存在下で重合を行なうことによって、分子量の低下を実現している。
【0004】
また、ニッケルで合成したポリブタジエン類の分子量分布は、ハロゲン化アルデヒド類及び/又はキノン化合物の存在下で重合を行なうことによって制御されてきた。他の例において、分子量分布はカルボン酸の存在下で重合を行なうことによって制御されてきた。
【0005】
更に、ニッケルで合成されたシス−1,4−ポリブタジエンの分枝の程度は、ジアルキル亜鉛化合物の存在下で重合を行なうことによって制御してきた。
【0006】
ニッケル系の触媒系を用いて製造されたシス−1,4−ポリブタジエンの製造において、いくつかの前進がなされ、事実、これらニッケル系の系は多くの商業的用途において有利に使用されるものの、依然として改善の必要がある。例えば、ゲル化を制御すること、分枝を制御すること、分子量を制御すること、並びに収率及び反応時間を改善することに対する要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一以上の実施態様は、共役ジエンポリマーの形成方法を提供し、該方法は、(a)含ニッケル化合物、(b)アルキル化剤、(c)含フッ素化合物、(d)カルボン酸、及び(e)アルコールを混合することによって生成させた触媒組成物が触媒的に有効量存在する下で、共役ジエンモノマーを重合する工程を含む。
【0008】
他の実施態様は、(a)含ニッケル化合物、(b)アルキル化剤、(c)含フッ素化合物、(d)カルボン酸、及び(e)アルコールを含む成分の組み合わせ又は反応生成物である触媒組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一以上の実施態様の触媒組成物としては、(a)含ニッケル化合物、(b)アルキル化剤、(c)含フッ素化合物、(d)カルボン酸、及び(e)アルコールを含む成分の組み合わせ又は反応生成物が挙げられる。特定の実施態様において、これら触媒組成物は、ルイス酸又はルイス塩基等の他の成分を含まないか、又は実質的に含まない。
【0010】
種々の含ニッケル組成物又はこれらの混合物が使用できる。一以上の実施態様において、これら含ニッケル化合物は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又は脂環式炭化水素等の炭化水素溶媒に可溶である。他の実施態様においては、重合媒体中で懸濁して触媒的に活性な化学種を形成できる炭化水素に不溶の含ニッケル化合物もまた有用である。
【0011】
含ニッケル化合物中のニッケル原子は、特に限定されないが、0、+2、+3、+4のいずれかの酸化状態を含む、種々の酸化状態を採りうる。含ニッケル化合物としては、特に限定されないが、ニッケルカルボン酸塩、ニッケルカルボン酸ホウ酸塩、ニッケル有機リン酸塩、ニッケル有機ホスホン酸塩、ニッケル有機ホスフィン酸塩、ニッケルカルバミン酸塩、ニッケルジチオカルバミン酸塩、ニッケルキサントゲン酸塩、ニッケルβ−ジケトネート、ニッケルアルコキシド又はアリールオキシド、ニッケルハロゲン化物、ニッケル偽ハロゲン化物、ニッケルオキシハロゲン化物、及び有機ニッケル化合物が挙げられる。
【0012】
ニッケルカルボン酸塩としては、ニッケル蟻酸塩、ニッケル酢酸塩、ニッケルアクリル酸塩、ニッケルメタクリル酸塩、ニッケル吉草酸塩、ニッケルグルコン酸塩、ニッケルクエン酸塩、ニッケルフマル酸塩、ニッケル乳酸塩、ニッケルマレイン酸塩、ニッケルシュウ酸塩、ニッケル2−エチルヘキサン酸塩、ニッケルネオデカノエート、ニッケルナフテン酸塩、ニッケルステアリン酸塩、ニッケルオレイン酸塩、ニッケル安息香酸塩、及びニッケルピコリン酸塩を挙げることができる。
【0013】
ニッケルカルボン酸ホウ酸塩としては、式(RCOONiO)3B又は(RCOONiO)2B(OR)[式中、各Rは、水素原子又は一価の有機基であり、それぞれ同一でも異なってもよい]で定義される化合物が挙げられる。一実施態様において、特に限定されないが、各Rは、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基であってよく、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子等のヘテロ原子を含んでもよい。ニッケルカルボン酸ホウ酸塩としては、米国特許第4,522,988号中に開示されているものが挙げられ、これを引用してここに援用する。ニッケルカルボン酸ホウ酸塩の具体例としては、ニッケル(II)ネオデカノエートボレート、ニッケル(II)ヘキサノエートボレート、ニッケル(II)ナフテネートボレート、ニッケル(II)ステアレートボレート、ニッケル(II)オクトエートボレート、ニッケル(II)2−エチルヘキサノエートボレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
ニッケル有機リン酸塩としては、ニッケルジブチルフォスフェート、ニッケルジペンチルフォスフェート、ニッケルジヘキシルフォスフェート、ニッケルジヘプチルフォスフェート、ニッケルジオクチルフォスフェート、ニッケルビス(1−メチルヘプチル)フォスフェート、ニッケルビス(2−エチルヘキシル)フォスフェート、ニッケルジデシルフォスフェート、ニッケルジドデシルフォスフェート、ニッケルジオクタデシルフォスフェート、ニッケルジオレイルフォスフェート、ニッケルジフェニルフォスフェート、ニッケルビス(p−ノニルフェニル)フォスフェート、ニッケルブチル(2−エチルヘキシル)フォスフェート、ニッケル(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)フォスフェート、及びニッケル(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)フォスフェートを挙げることができる。
【0015】
ニッケル有機ホスホン酸塩としては、ニッケルブチルフォスフォネート、ニッケルペンチルフォスフォネート、ニッケルヘキシルフォスフォネート、ニッケルヘプチルフォスフォネート、ニッケルオクチルフォスフォネート、ニッケル(1−メチルヘプチル)フォスフォネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)フォスフォネート、ニッケルデシルフォスフォネート、ニッケルドデシルフォスフォネート、ニッケルオクタデシルフォスフォネート、ニッケルオレイルフォスフォネート、ニッケルフェニルフォスフォネート、ニッケル(p−ノニルフェニル)フォスフォネート、ニッケルブチルブチルフォスフォネート、ニッケルペンチルペンチルフォスフォネート、ニッケルヘキシルヘキシルフォスフォネート、ニッケルヘプチルヘプチルフォスフォネート、ニッケルオクチルオクチルフォスフォネート、ニッケル(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)フォスフォネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)フォスフォネート、ニッケルデシルデシルフォスフォネート、ニッケルドデシルドデシルフォスフォネート、ニッケルオクタデシルオクタデシルフォスフォネート、ニッケルオレイルオレイルフォスフォネート、ニッケルフェニルフェニルフォスフォネート、ニッケル(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)フォスフォネート、ニッケルブチル(2−エチルヘキシル)フォスフォネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)ブチルフォスフォネート、ニッケル(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)フォスフォネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)フォスフォネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)フォスフォネート、及びニッケル(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)フォスフォネートを挙げることができる。
【0016】
ニッケル有機ホスフィン酸塩としては、ニッケルブチルフォスフィネート、ニッケルペンチルフォスフィネート、ニッケルヘキシルフォスフィネート、ニッケルヘプチルフォスフィネート、ニッケルオクチルフォスフィネート、ニッケル(1−メチルヘプチル)フォスフィネート、ニッケル(2−エチルヘキシル)フォスフィネート、ニッケルデシルフォスフィネート、ニッケルドデシルフォスフィネート、ニッケルオクタデシルフォスフィネート、ニッケルオレイルフォスフィネート、ニッケルフェニルフォスフィネート、ニッケル(p−ノニルフェニル)フォスフィネート、ニッケルジブチルフォスフィネート、ニッケルジペンチルフォスフィネート、ニッケルジヘキシルフォスフィネート、ニッケルジヘプチルフォスフィネート、ニッケルジオクチルフォスフィネート、ニッケルビス(1−メチルヘプチル)フォスフィネート、ニッケルビス(2−エチルヘキシル)フォスフィネート、ニッケルジデシルフォスフィネート、ニッケルジドデシルフォスフィネート、ニッケルジオクタデシルフォスフィネート、ニッケルジオレイルフォスフィネート、ニッケルジフェニルフォスフィネート、ニッケルビス(p−ノニルフェニル)フォスフィネート、ニッケルブチル(2−エチルヘキシル)フォスフィネート、ニッケル(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)フォスフィネート、及びニッケル(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)フォスフィネートを挙げることができる。
【0017】
ニッケルカルバミン酸塩としては、ニッケルジメチルカルバメート、ニッケルジエチルカルバメート、ニッケルジイソプロピルカルバメート、ニッケルジブチルカルバメート、及びニッケルジベンジルカルバメートを挙げることができる。
【0018】
ニッケルジチオカルバミン酸塩としては、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケルジエチルジチオカルバメート、ニッケルジイソプロピルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、及びニッケルジベンジルジチオカルバメートを挙げることができる。
【0019】
ニッケルキサントゲン酸塩としては、ニッケルメチルキサントゲン酸塩、ニッケルエチルキサントゲン酸塩、ニッケルイソプロピルキサントゲン酸塩、ニッケルブチルキサントゲン酸塩、及びニッケルベンジルキサントゲン酸塩を挙げることができる。
【0020】
ニッケルβ−ジケトネートとしては、ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルトリフルオロアセチルアセトネート、ニッケルヘキサフルオロアセチルアセトネート、ニッケルベンゾイルアセトネート、及びニッケル2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートを挙げることができる。
【0021】
ニッケルアルコキシド又はアリールオキシドとしては、ニッケルメトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルイソプロポキシド、ニッケル2−エチルへキソキシド、ニッケルフェノキシド、ニッケルノニルフェノキシド、及びニッケルナフトキシドを挙げることができる。
【0022】
ニッケルハロゲン化物としては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、及びヨウ化ニッケルを挙げることができる。ニッケル偽ハロゲン化物としては、シアン化ニッケル、ニッケルシアン酸塩、ニッケルチオシアン酸塩、ニッケルアジド、及びニッケルフェロシアニドが挙げられる。ニッケルオキシハライドとしては、ニッケルオキシフルオライド、ニッケルオキシクロライド、及びニッケルオキシブロマイドが挙げられる。ニッケルハロゲン化物、ニッケルオキシハライド又は他の含ニッケル化合物が不安定なフッ素原子又は塩素原子を含む場合、該含ニッケル化合物は、含フッ素化合物又は含塩素化合物としても作用し得る。アルコール等のルイス塩基を、かかるクラスの化合物の溶解助剤として使用できる。
【0023】
有機ニッケル化合物という用語は、少なくとも一つのニッケル−炭素結合を含む如何なるニッケル化合物をも指し得る。有機ニッケル化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(ニッケロセンとも呼ばれる)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル(デカメチルニッケロセンとも呼ばれる)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(ペンタジエニル)ニッケル、ビス(2,4−ジメチルペンタジエニル)ニッケル、(シクロペンタジエニル)(ペンタジエニル)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(アリル)ニッケル、ビス(メタリル)ニッケル、及びビス(クロチル)ニッケルが挙げられる。
【0024】
種々のアルキル化剤又はこれらの混合物を使用できる。アルキル化剤は、ヒドロカルビル化剤とも呼ばれ、該アルキル化剤としては、ヒドロカルビル基を別の金属に転移できる有機金属化合物が挙げられる。一般的に、これらの剤としては、1族、2族及び3族(IA属、IIA属及びIIIA属金属)等の陽イオン性金属の有機金属化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、アルキル化剤としては、有機アルミニウム化合物及び有機マグネシウム化合物が挙げられる。アルキル化剤が不安定なフッ素原子を含む場合、該アルキル化剤は、含フッ素化合物としても作用し得る。特定の実施態様において、前記アルキル化剤としては、塩素原子又は臭素原子を含まないアルキル化剤が挙げられる。
【0025】
“有機アルミニウム化合物”という用語は、少なくとも一つのアルミニウム−炭素結合を含む如何なるアルミニウム化合物をも指しうる。一以上の実施態様において、有機アルミニウム化合物は炭化水素溶媒に溶解しうる。
【0026】
一以上の実施態様において、有機アルミニウム化合物としては、式AlR3−n[式中、各Rは、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合する一価の有機基であり、同一でも異なってもよく、各Xは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、又はアリールオキシド基であって、同一でも異なってもよく、nは1から3の整数である]で示される化合物が挙げられる。一以上の実施態様において、各Rは、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基でもよく、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含みうる。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
【0027】
有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、トリヒドロカルビルアルミニウム、ジヒドロカルビルアルミニウムハイドライド、ヒドロカルビルアルミニウムジハイドライド、ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート、ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート)、ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド、ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド、ジヒドロカルビルアルミニウムハライド、ヒドロカルビルアルミニウムジハライド、ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド、及びヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシド化合物が挙げられる。
【0028】
トリヒドロカルビルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム、及びエチルジベンジルアルミニウムが挙げられる。
【0029】
ジヒドロカルビルアルミニウムクロライド化合物としては、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−オクチルアルミニウムクロライド、ジフェニルアルミニウムクロライド、ジ−p−トリルアルミニウムクロライド、ジベンジルアルミニウムクロライド、フェニルエチルアルミニウムクロライド、フェニル−n−プロピルアルミニウムクロライド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロライド、フェニル−n−ブチルアルミニウムクロライド、フェニルイソブチルアルミニウムクロライド、フェニル−n−オクチルアルミニウムクロライド、p−トリルエチルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムクロライド、p−トリルイソプロピルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムクロライド、p−トリルイソブチルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムクロライド、ベンジルエチルアルミニウムクロライド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムクロライド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロライド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムクロライド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロライド、及びベンジル−n−オクチルアルミニウムクロライドが挙げられる。
【0030】
ヒドロカルビルアルミニウムジクロライドとしては、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、及びn−オクチルアルミニウムジクロライドが挙げられる。
【0031】
他の有機アルミニウム化合物としては、ジメチルアルミウニウムヘキサノエート、ジエチルアルミニウムオクトエート、ジイソブチルアルミニウム2−エチルヘキサノエート、ジメチルアルミニウムネオデカノエート、ジエチルアルミニウムステアレート、ジイソブチルアルミニウムオレエート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノエート)、エチルアルミニウムビス(オクトエート)、イソブチルアルミニウムビス(2−エチルヘキサノエート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノエート)、エチルアルミニウムビス(ステアレート)、イソブチルアルミニウムビス(オレエート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド、イソブチルアルミニウムジフェノキシドなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
他クラスの有機アルミニウム化合物としては、アルミノキサン類が挙げられる。アルミノキサン類としては、一般式:
【化1】

で示すことができるオリゴマー状の鎖状アルミノキサン類、及び一般式:
【化2】
[式中、xは1から約100の整数で、他実施態様においては約10から約50でもよく;yは2から約100の整数で、他実施態様においては約3から約20でもよく;各R1は、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合する一価の有機基であって、同一でも異なってもよい]で示すことができるオリゴマー状の環式アルミノキサン類が挙げられる。一以上の実施態様において、各R1は、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基であって、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含みうる。これらヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子等のヘテロ原子を含んでもよい。本願で使用するアルミノキサンの分子数は、オリゴマー状のアルミノキサン分子のモル数ではなくアルミニウム原子のモル数を指すことに注意すべきである。かかる慣行は、アルミノキサンを利用する触媒の技術分野において一般に用いられている。
【0033】
アルミノキサン類は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物に水を反応させることによって調製できる。かかる反応は(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒中で溶解しそれから水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩中に含まれる結晶水、又は無機化合物もしくは有機化合物に吸着されている水と反応させる方法、(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合するモノマー又はモノマー溶液の存在下で水と反応させる方法、等の既知の反応に従って行なうことができる。
【0034】
アルミノキサン化合物としては、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n−ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n−ヘキシルアルミノキサン、n−オクチルアルミノキサン、2−エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1−メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン、2,6−ジメチルフェニルアルミノキサンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。イソブチルアルミノキサンは、入手可能性、並びに脂肪族炭化水素溶媒及び脂環式炭化水素溶媒中での溶解性のため特に有用である。変性メチルアルミノキサンは、当業者に既知の方法を用いて、メチルアルミノキサンのメチル基の約20−80%を、CからC12のヒドロカルビル基、好ましくはイソブチル基で置換することによって生成させることができる。
【0035】
アルミノキサン類は、それのみで又はその他の有機アルミニウム化合物と組み合わせて使用できる。一実施態様においては、メチルアルミノキサン及びジイソブチルアルミニウムハイドライドを組み合わせて使用する。
【0036】
有機マグネシウム化合物という用語は、少なくとも一つのマグネシウム−炭素結合を含む如何なるマグネシウム化合物も指しうる。有機マグネシウム化合物は炭化水素溶媒中で溶解し得る。利用可能な一つのクラスの有機マグネシウム化合物は、式MgR[式中、各Rは、一価の有機基で、同一でも異なってもよく、ただし、該基は炭素原子を介してマグネシウム原子に結合している]で表わされる。一以上の実施態様において、各R2は、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基。アラルキル基、アルカリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基であり、各基は1個の炭素原子又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含みうる。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
【0037】
利用可能な好適なジヒドロカルビルマグネシウム化合物の例としては、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジシソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ジブチルマグネシウムは、そのまま利用してもよいし、脂肪族及び脂環式炭化水素溶媒中に溶解してもよい。
【0038】
式R3MgXで表わしうる有機マグネシウム化合物としては、特に限定されないが、ヒドロカルビルマグネシウム水素化物、ヒドロカルビルマグネシウムハロゲン化物、ヒドロカルビルマグネシウムカルボン酸塩、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド、ヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
含フッ素化合物としては、一つ以上の不安定なフッ素原子を含む、種々の化合物又はこれらの混合物が挙げられる。一以上の実施態様において、含フッ素化合物は炭化水素溶媒中で溶解し得る。他の実施態様においては、重合媒体中に懸濁して触媒的に活性な化学種を形成できる炭化水素に不溶の含フッ素化合物が有用かもしれない。
【0040】
含フッ素化合物のタイプとしては、特に限定されないが、元素状態のフッ素、フッ化ハロゲン、フッ化水素、有機フッ化物、無機フッ化物、金属フッ化物、有機金属フッ化物、及びこれらの混合物が挙げられる。一以上の実施態様においては、含フッ素化合物と、エーテル、アルコール、水、アルデヒド、ケトン、エステル、ニトリル、又はこれらの混合物等のルイス塩基との錯体を使用できる。これらの錯体の具体例としては、3フッ化ホウ素及びフッ化水素とルイス塩基との錯体が挙げられる。
【0041】
フッ化ハロゲンとしては、1フッ化ヨウ素、3フッ化ヨウ素、及び5フッ化ヨウ素が挙げられる。
【0042】
有機フッ化物としては、t−ブチルフルオライド、アリルフルオライド、ベンジルフルオライド、フルオロ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルフルオライド、ベンジリデンフルオライド、メチルトリフルオロシラン、フェニルトリフルオロシラン、ジメチルジフルオロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、トリメチルフルオロシラン、ベンゾイルフルオライド、プロピオニルフルオライド、及びメチルフルオロフォルメートが挙げられる。
【0043】
無機フッ化物としては、3フッ化リン、5フッ化リン、オキシフッ化リン、3フッ化ホウ素、4フッ化ケイ素、3フッ化ヒ素、4フッ化セレン、及び4フッ化テルルが挙げられる。
【0044】
金属フッ化物としては、4フッ化スズ、3フッ化アルミニウム、3フッ化アンチモン、5フッ化アンチモン、3フッ化ガリウム、3フッ化ヨウ素、4フッ化チタン、及び2フッ化亜鉛が挙げられる。
【0045】
有機金属フッ化物としては、ジメチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、メチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジフルオライド、メチルアルミニウムセスキフルオライド、エチルアルミニウムセスキフルオライド、イソブチルアルミニウムセスキフルオライド、メチルマグネシウムフルオライド、エチルマグネシウムフルオライド、ブチルマグネシウムフルオライド、フェニルマグネシウムフルオライド、ベンジルマグネシウムフルオライド、トリメチルスズフルオライド、トリエチルスズフルオライド、ジ−t−ブチルスズジフルオライド、ジブチルスズジフルオライド、及びトリブチルスズフルオライドが挙げられる。
【0046】
種々のカルボン酸及びこれらの混合物を使用できる。1級カルボン酸及び2級カルボン酸としては、α−炭素(すなわち、酸性基を含む炭素に隣接した炭素)が1級又は2級であることを特徴とするカルボン酸が挙げられる。
【0047】
カルボン酸としては脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらとしては直鎖又は分枝のカルボン酸が挙げられる。他の実施態様において、カルボン酸としては環式カルボン酸が、他の実施態様においては芳香族カルボン酸が、他の実施態様においては多環酸が挙げられる。これらの又はその他の実施態様において、カルボン酸は飽和であってもよく、他の実施態様において、カルボン酸は不飽和であってもよい。特定の実施態様において、有用なカルボン酸としては、重合を行なう反応媒体中において可溶であるか、又は少なくとも部分的に可溶であるカルボン酸が挙げられる。
【0048】
一以上の実施態様において、有用なカルボン酸は一般式R−COOH[式中、Rは一価の有機基であり、COOHはカルボキシル基である]で定義されうる。一価の有機基としては、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基が挙げられる。置換基としては、かかる基の水素原子が一価の有機基によって置換されているものが挙げられる。これらヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、スズ原子、硫黄原子、ホウ素原子及びリン原子等のヘテロ原子を含んでもよい。特定の実施態様において、ヒドロカルビル基は、塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子を含まない。特定の実施態様において、一価の有機基は、該基に結合している一つ以上のカルボキシル基を含んでもよい。結果として、カルボン酸は二個以上のカルボキシル基を含んでもよい。他の実施態様において、カルボキシル基はヘテロ原子を含まない。
【0049】
一以上の実施態様において、有用なカルボン酸は、1から約30個の炭素原子、他の実施態様においては約2から約26個の炭素原子、他の実施態様においては約4から約18個の炭素原子、また他の実施態様においては約6から約12個の炭素原子を含む。
【0050】
典型的な脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、エタン酸、プロパン酸、イソプロパン酸、ブタン酸、t−ブタン酸、イソブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
飽和脂肪酸とも呼ばれる他の典型的なカルボン酸としては、酪酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
不飽和脂肪酸とも呼ばれる典型的な不飽和カルボン酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
典型的な芳香族酸としては、安息香酸、サリチル酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
典型的な環状酸としては、アビエチン酸、チョールムーグラ酸、アルビエチン酸及びピマル酸等のロジン酸類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
種々のアルコール類及びこれらの混合物が使用できる。一以上の実施態様において、アルコール類としては、一価のアルコール類(すなわち、一個の水酸基を含むもの)が挙げられ、他の実施態様においては、グリコール又はジオールとも呼ばれる二価アルコール、グリセロールとも呼ばれる三価アルコール、並びに多価アルコール等の多水酸基アルコール類(すなわち、二個以上の水酸基を含むアルコール)が挙げられる。一以上の実施態様において、前記アルコール類としては、1級及び/又は2級アルコールが挙げられる。1級及び2級アルコールとしては、α−炭素(すなわち、水酸基を含む炭素に隣接した炭素)が1級又は2級であることを特徴とするアルコールが挙げられる。
【0056】
アルコールとしては、直鎖又は分枝アルコールを含む脂肪族アルコールが挙げられる。他の実施態様において、アルコールとしては環式アルコールが、他の実施態様においては芳香族アルコールが、他の実施態様においては複素環式アルコールが、また他の実施態様においては多環式アルコールが挙げられる。
【0057】
これらの又はその他の実施態様においては、アルコールは飽和でもよく、また他の実施態様においては不飽和でもよい。特定の実施態様において有用なアルコールとしては、重合を行なう反応媒体中で可溶であるか、又は部分的に可溶であるアルコールが挙げられる。
【0058】
一以上の実施態様において、有用なアルコールは一般式R−OH[式中、Rは一価の有機基であり、−OHは水酸基である]で定義されうる。一価の有機基としては、特に限定されないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、及びアルキニル基等のヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基が挙げられる。置換された基としては、前記基の水素原子が一価の有機基によって置換されている基が挙げられる。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されないが、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、スズ原子、硫黄原子、ホウ素原子、及びリン原子等のヘテロ原子を含みうる。特定の実施態様において、前記ヒドロカルビル基は塩素又は臭素原子等のハロゲン原子を含まなくてもよい。特定の実施態様において、前記一価の有機基は、該基に結合する一つ以上の水酸基を含んでもよい。結果として、前記アルコールは、二個以上の水酸基を含みうる。他の実施態様においては、前記ヒドロカルビル基はヘテロ原子を含まない。
【0059】
一以上の実施態様において、有用なアルコールは1から約40個の炭素原子、他の実施態様においては約2から約26個の炭素原子、他の実施態様においては約4から約18個の炭素原子、また他の実施態様においては約6から約12個の炭素原子を含む。
【0060】
典型的な脂肪族アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ヘプタノール、オクタノール、デカノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
典型的な環式アルコールとしては、シクロヘキサノール、メタノール、t−ブチルシクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
典型的な不飽和アルコールとしてはアリルアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
典型的な芳香族アルコールとしては、置換フェノール、フェノール、ベンジルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
典型的な複素環式アルコールとしてはフルフリルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
典型的な多価アルコールとしてはステロール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
上記触媒組成物は、広範な触媒濃度及び触媒成分比に渡って、共役ジエン類を立体特異的なポリジエン類に重合する高い触媒活性を有しうる。前記触媒成分は相互作用して活性触媒種を形成しうるものと思われる。また、どの一触媒成分に対する最適濃度も、他の触媒成分の濃度に依存しうるものと思われる。
【0067】
一以上の実施態様において、アルキル化剤の含ニッケル化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ni)は、約1:1から約200:1、他の実施態様においては約3:1から約30:1、また他の実施態様においては約5:1から約15:1で変えることができる。ここで使用されているように、モル比という用語は、ある成分とその関連成分との当量比、例えば、含アルミニウム化合物上のアルミニウム原子の当量と、含ニッケル化合物上のニッケル原子の当量との比を指す。換言すれば、二官能性又は多官能性化合物(例えば、二個以上のカルボキシル基を含む化合物)を使用する場合、所望の当量比を実現するためには、化合物のモル数をより少なくすることが必要である。
【0068】
一以上の実施態様において、含フッ素化合物の含ニッケル化合物に対するモル比(F/Ni)は、約7:1から約500:1、他の実施態様においては約7.5:1から約450:1、また、他の実施態様においては約8:1から約400:1で変えることができる。
【0069】
一以上の実施態様において、カルボン酸の含ニッケル化合物に対するモル比(−COOH/Ni)は、約0.1:1から約10:1、他の実施態様においては約0.5:1から約5:1、また他の実施態様においては約0.7:1から約2:1で変えることができる。
【0070】
一以上の実施態様において、アルコールの含ニッケル化合物に対するモル比(−OH/Ni)は、約0.4:1から約80:1、他の実施態様においては約0.5:1から約75:1、また、他の実施態様においては約0.7:1から約65:1で変えることができる。ここで使用されているように、モル比という用語は、ある成分と関連成分との当量比、例えば、含塩素化合物上の塩素原子の当量と、含ニッケル化合物上のニッケル原子の当量との比を指す。
【0071】
前記触媒組成物は、前記触媒成分を組み合わせるか、又は混合することによって形成できる。活性触媒種はかかる組み合わせによって生成すると思われているものの、種々の成分又は構成要素の間の相互作用又は反応の程度は、確実には分からない。従って、“触媒組成物”という用語は、単なる成分の混合物、物理的又は化学的な誘引力によって生じる種々の成分の錯体、成分の化学反応生成物、又は上記成分の組み合わせを包含するために使用されてきた。
【0072】
本発明の触媒組成物は、下記方法の一つを用いることによって形成できる。
【0073】
一以上の実施態様において、前記触媒組成物は、インサイチューにおいて、逐次法又は同時法の何れかにおいて、モノマー及び溶媒又は単にバルクモノマーに、触媒成分を添加することによって形成できる。一実施態様においては、アルキル化剤、含ニッケル化合物、カルボン酸、及びアルコールの混合物を形成する。かかる混合物は溶媒中で形成してもよい。その後、かかる混合物及び含フッ素化合物に、重合させるモノマーを添加してもよい。
【0074】
一以上の実施態様においては、選択した触媒成分を、適切な温度(約−20℃から約80℃にできる)において重合系外で予備混合してもよく、生成した触媒生成物を数秒から数日の範囲で一定時間熟成させ、それからモノマーに添加してもよい。
【0075】
一以上の実施態様においては、アルキル化剤、含ニッケル化合物、カルボン酸、及びアルコールの混合物を、少量のモノマー及び任意に溶媒の存在下で形成する。すなわち、選択した触媒成分を、少量の共役ジエンモノマーの存在の下、適切な温度(約−20℃から約80℃にできる)において形成してもよい。該混合物を形成するために用いることができる共役ジエンモノマーの量は、含ニッケル化合物1モル当たり、約1から約500モル、他の実施態様においては約5から約250モル、他の実施態様においては約10から約100モルの範囲にできる。生成した組成物は、数秒から数日の範囲の一定時間熟成させ、その後、含フッ素化合物と共に重合させる共役ジエンモノマーの残余に添加してもよい。
【0076】
前記方法で説明したように、触媒組成物の溶液又は一以上の触媒成分を重合系外で調製する場合、有機溶媒又は担体を使用してもよい。有機溶媒は触媒組成物又は成分を溶解するために働いてもよく、或いは、かかる溶媒は、単に、触媒組成物もしくは成分を分散できる担体として働いてもよい。有機溶媒は触媒組成物に対して不活性でもよい。有用な溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び/又はこれらの二以上の混合物等の炭化水素溶媒が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレンなどが挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン類、イソペンタン類、イソオクタン類、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、灯油、石油スピリットなどが挙げられる。また、脂環式炭化水素溶媒の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。また、上記炭化水素の市販の混合物を使用してもよい。
【0077】
本発明の触媒組成物は、共役ジエン類をシス−1,4−ポリジエン類に重合するのに非常に高い触媒活性を示す。特定の実施態様は、1,3−ブタジエンをシス−1,4−ポリブタジエンに重合することを対象にしているけれども、更に他の共役ジエン類も重合しうる。重合しうる他の共役ジエン類の例としては、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、及び2,4−ヘキサジエンが挙げられる。また、二種以上の共役ジエン類の混合物を共重合に利用してもよい。
【0078】
ポリマーの製造は、上記触媒組成物が触媒的に有効な量存在している下で、共役ジエンモノマーを重合することによって達成できる。重合マス中で使用する全触媒濃度は、成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び転換率、所望の分子量、並びにその他多くの要因等、種々の要因の相互関係に依存する。従って、各触媒成分を触媒的に有効量使用できると言う以外に、具体的な全触媒濃度について明確に言及することはできない。一以上の実施態様において、使用する含ニッケル化合物の量は、共役ジエンモノマー100gあたり、約0.001から約10mmol、他の実施態様においては約0.002から約1mmol、他の実施態様においては約0.005から約1.0mmol、また他の実施態様においては約0.01から約0.1mmolで変えることができる。
【0079】
重合は、希釈剤としての有機溶媒中で実行できる。一実施態様においては溶液重合系が使用可能であり、この系は重合させるモノマーと形成するポリマーが重合媒体中で溶解していることを特徴とする系である。いずれの場合においても、重合するモノマーは凝縮相中にあってもよい。更に、該触媒成分を有機溶媒中に溶解、又は懸濁させてもよい。これらの又はその他の実施態様においては、該触媒成分又は要素を、触媒担体に担持させないか、又は含浸させない。他実施態様において、触媒成分又は要素を担持してもよい。
【0080】
一以上の実施態様において、共役ジエンの重合は非極性有機溶媒中で実行するために有利である。一以上の実施態様において、非極性有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び/又はこれら二以上の混合物等の炭化水素溶媒が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレンなどが挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン類、イソペンタン類、イソオクタン類、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、灯油、石油スピリットなどが挙げられる。また、脂環式炭化水素溶媒の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。また、上記炭化水素の市販の混合物を使用してもよい。
【0081】
これら重合の実行において、触媒組成物の調製に使用する有機溶媒量に加えて、ある量の有機溶媒を重合系に添加してもよい。追加の有機溶媒は、触媒組成物の調製に用いた有機溶媒と同じでも異なってもよい。重合を触媒するために使用する触媒組成物に対して不活性の有機溶媒を選択してもよい。典型的な炭化水素溶媒は上記に説明した。溶媒を使用する場合、重合するモノマーの濃度は特定の範囲に限定されない。しかしながら、一以上の実施態様において、重合開始時に重合媒体中に存在するモノマーの濃度は、約3重量%から約80重量%、他の実施態様においては約5重量%から約50重量%、他の実施態様においては約10重量%から約30重量%。また他の実施態様においては約15重量%から約25重量%の範囲にできる。
【0082】
また、共役ジエンの重合はバルク重合によって行なってもよく、これは実質的に溶媒を使用しない重合環境を指す。バルク重合は凝縮液相又は気相の何れかにおいて実行できる。
【0083】
共役ジエンの重合は、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスで実行できる。半連続プロセスにおいては、既に重合したモノマーを置き換える必要があるので、モノマーを断続的に投入してもよい。如何なる状況においても、重合は、中適度から激しい撹拌のもと、窒素、アルゴン又はヘリウム等の不活性保護ガスの使用による無酸素条件下で行なってもよい。重合温度は、−10℃又はこれ未満の低温から、120℃又はこれを超える高温まで広範に変えることができ、一実施態様において、温度範囲は約50℃から約100℃である。重合熱は(例えば、熱的に制御された反応ジャケットを用いた)外部冷却、(例えば、反応器に連結した還流凝縮器を用いることにより、モノマー及び溶媒を蒸発又は凝縮することによる)内部冷却によって、或いは前記方法を組み合わせて除去してもよい。用いる重合圧は広範に変えてもよいが、約1気圧から約10気圧の圧力範囲で維持してもよい。
【0084】
一旦所望の転化率に達したら、前記触媒を不活性化する重合停止剤を添加して重合を停止できる。かかる停止剤としてはプロトン化合物が挙げられ、かかる化合物としては、特に限定されないが、アルコール、カルボン酸、無機酸、水、又はこれらの混合物が挙げられる。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤を、前記停止剤と共に、前記停止剤添加の前に、又は前記停止剤添加の後に、加えてもよい。使用する酸化防止剤の量は、重合生成物の0.2重量%から1重量%の範囲にできる。
【0085】
重合混合物を失活させた場合、重合生成物は、当業者が既知である従来の脱溶媒及び乾燥手順を用いることによって、重合混合物から回収できる。例えば、ポリマーは、ポリマーセメントを蒸気脱溶媒し、次に生成したポリマークラムを熱風トンネル中で乾燥することによって回収できる。或いは、ポリマーは、前記ポリマーセメントを直接ドラム乾燥することによって回収してもよい。乾燥ポリマー中の揮発性物質の含量は、ポリマーの1重量%未満、また、他の実施態様においては0.5重量%未満にできる。
【0086】
本発明のポリジエンポリマーは、タイヤ部材の製造に特に有用である。かかるタイヤ部材は、本発明のポリマーのみで又はその他のゴムポリマーと共に調製できる。使用できるその他のゴムポリマーとしては、天然及び合成のエラストマーが挙げられる。合成のエラストマーは、一般に共役ジエンモノマーを重合することによって得られる。これらの共役ジエンモノマーを、芳香族ビニルモノマー等の他のモノマーと共重合してもよい。他のゴム状ポリマーは、エチレンと、一種以上のα−オレフィン及び任意に一種以上のジエンモノマーとを重合することによって得てもよい。
【0087】
有用なゴム状ポリマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−co−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン)、及びポリ(スチレン−co−イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは直鎖状、分枝状、及び星形状を含む無数の高分子構造を有しうる。また、ゴムの配合に一般的に使用される他の成分を加えてもよい。
【0088】
該ゴム組成物は、無機充填剤及び有機充填剤等の充填剤を含んでもよい。該有機充填剤としては、カーボンブラック及び澱粉が挙げられる。該無機充填剤としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー(ケイ酸アルミニウム水和物)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0089】
硫黄又は過酸化物系の硬化系を含む多くのゴム硬化剤を使用できる。硬化剤に関しては、カーク−オスマー著、化学技術百科事典、第3版、第30巻、p.365−468、1982年、この特に硬化剤と助剤の項、p.390−402、及びA.Y.コラン著、ポリマーの科学と技術百科事典、第二版、1989年、加硫の項、に記載されており、これらを引用してここに援用する。加硫剤は単独で又は組み合わせて使用してもよい。一以上の実施態様において、加硫可能な組成物の調製並びにタイヤの構成及び硬化は、本発明の実施によって影響を受けない。
【0090】
使用できる他の成分としては、促進剤、油、ワックス、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着性付与樹脂、補強樹脂、ステアリン酸等の脂肪酸、素練り促進剤、及び一種以上の他のゴム類が挙げられる。
【0091】
これらゴム組成物は、トレッド、サブトレッド、ブラックサイドウォール、ボディプライスキン、ビードフィラー等のタイヤ部品を形成するために有用である。ポリジエンのポリマーはトレッド配合物に使用することが好ましい。一以上の実施態様において、これらトレッド配合物は、配合物中のゴムの全重量に対して約10から約100重量%、他の実施態様においては約35から約90重量%、また他の実施態様においては約50から約80重量%のポリジエンポリマーを含んでもよい。
【0092】
一以上の実施態様において、加硫可能なゴム組成物は、ゴム成分及び充填剤(ゴム成分は任意に本発明のポリジエンポリマーを含む)を含む初期マスターバッチを形成することによって調製してもよい。この初期マスターバッチは、約25℃から約125℃の初期温度、約135℃から約180℃の排出温度で混合され得る。早期加硫(スコーチとしても知られている)を防ぐために、該初期マスターバッチから加硫剤を除いてもよい。該初期マスターバッチを加工したら、最終混合段階において低温で初期マスターバッチに加硫剤を導入及び混合してもよく、ここで加硫プロセスを開始させないことが好ましい。任意に、マスターバッチ混合段階と最終混合段階の間に、時としてリミルと呼ばれる追加の混合工程を行ってもよい。ここで使用されているゴムの配合技術及び添加剤は、ゴム技術、第二版、1973年、のゴムのコンパウンディング及び加硫の項に記載されているとおり、概ね知られている。
【0093】
また、シリカを充填したタイヤ配合物に適用できる混合条件及び方法も、米国特許第5,227,425号、第5,719,207号、第5,717,022号、及び欧州特許第890,606号に記載されているとおりよく知られており、これら全てを引用してここに援用する。一以上の実施態様において、充填剤としてシリカを(それのみで又は他の充填剤と組み合わせて)使用する場合、混合中にカップリング剤及び/又は遮蔽剤をゴム配合物に加えてもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤が、米国特許第3,842,111号、第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,674,932号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号、第6,608,145号、第6,667,362号、第6,579,949号、第6,590,017号、第6,525,118号、第6,342,552号、及び第6,683,135号に記載されており、これらを引用してここに援用する。一実施態様において、カップリング剤及び遮蔽剤が実質的に存在しない条件で、本発明の官能化ポリマー及びシリカを含めることによって、前記初期マスターバッチを調製する。
【0094】
加硫可能なゴム組成物をタイヤ製造に使用する場合、ゴムの成形技術、成型技術及び加硫技術等の通常のタイヤ製造技術に従い、これらの組成物をタイヤ部品に加工できる。一般に、加硫は、モールド内で加硫可能な組成物を加熱することによって達成され;例えば、約140℃から約180℃に加熱してもよい。硬化又は架橋したゴム組成物は加硫物とも呼ばれ、これは一般的に熱硬化性の三次元ポリマーネットワークを含む。加工助剤及び充填剤等の他の成分を、加硫したネットワークの全体に均一に分散させてもよい。米国特許第5,866,171号、第5,876,527号、第5,931,211号、及び第5,971,046号中で議論されているようにして、空気入りタイヤを製造でき、これらを引用してここに援用する。特定の実施態様において、本発明によって製造したシス−1,4−ポリブタジエンは、タイヤのトレッド及びタイヤサイドウォールの製造に有用である。
【0095】
本発明の実施の仕方を明らかにするために、以下の例を準備し、試験した。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきものではない。請求の範囲が本発明の範囲を規定する役割を果たす。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
窒素をパージし乾燥させた2ガロンの反応器にヘキサンを加え、次に1,3−ブタジエン(Bd)のヘキサン混合物を加え、Bdが18.0%(3628.7g、12.1mol)のヘキサン溶液8.0lbを生成させた。この溶液を25℃に保った。その後、トリエチルアルミニウム(TEA)1.764ミリモル(mmol)、ニッケルオクタノエート(NiOct、0.030mM phgm)0.196mmol、2−エチルヘキサン酸(EHA)0.098mmol、及び4−tert−ブチルシクロヘキサノール0.405mmolを、少量のBdのヘキサン溶液を含む窒素パージしたボトルに連続的に加えたところ、オレンジ色の溶液が生じた。(TEAのNiOctに対するモル比は9:1で、アルコールのTEAに対するモル比は1.5:1である)。この溶液を直ちに前記反応器に投入し、続いてボロントリフルオロライドジブチルエーテラート(BF3・OBu2)4.409mmolを加えた。(BF3・OBu2のTEAに対するモル比は2.5:1であった)。それから、反応器のジャケット温度を70℃にセットした。一時間重合させ、かかる時間の最後に、2,6−ジ−tert-ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を含むイソプロパノールで処理して触媒を失活させ、ポリブタジエンを凝固させた。その後、該ポリブタジエンを120℃においてドラム乾燥機内で乾燥させた。該ポリマーを分析した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例2〜4)
表1に記載したようにEHAの投入量を変えたことを除き、実施例1に記載したのと同様の手順を行なった。
【0098】
(比較例A)
4−tert−ブチルシクロヘキサノールを使用せず、また、表1に記載したようにEHAの投入量を変えたことを除き、実施例1に記載したのと同様の手順を行なった。重合後、反応器中にポリマーが生成した。該ポリマーはゲル状を示す。
【0099】
(比較例B)
EHAを使用せず、また、表1に記載したように4−tert−ブチルシクロヘキサノールの投入量を変えたことを除き、実施例1に記載したのと同様の手順を行なった。
【0100】
【表1】
【0101】
(実施例5〜7)
EHA0.294mmolと、表2に記載したような種々の量の4−tert−ブチルシクロヘキサノールとを使用したことを除き、実施例1に記載したのと同様の手順を行なった。
【0102】
【表2】
【0103】
当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の変形及び変更が明らかである。本発明は、ここに示した説明用の例に正規に限定されるものではない。