(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
XYZ座標系により定義される実空間における位置および姿勢が固定され、Z軸に対して平行な光軸を有する撮像装置を通じて対象物の撮像画像を取得し、対象物において定義されている、前記対象物の外観または構造に由来する少なくとも1つの指標領域を含む複数の指標領域のそれぞれの前記撮像画像におけるサイズを測定する第1サイズ測定処理と、
前記第1サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記複数の指標領域のそれぞれに含まれている複数の指標点のそれぞれのZ座標値を推定する縦実空間位置推定処理と、
前記複数の指標点のそれぞれのX座標値およびY座標値のうち少なくとも一方と、前記複数の指標点のそれぞれのZ座標値の推定結果とに基づき、前記複数の指標点のうち対をなす指標点を通る指標直線の実空間における姿勢を第1実空間姿勢として推定する第1実空間姿勢推定処理と、
前記第1実空間姿勢の推定結果に基づいて前記対象物の実空間姿勢を推定する実空間姿勢推定処理と、
前記撮像画像における前記指標直線の延在方向について、前記少なくとも1つの指標領域のサイズを測定する第2サイズ測定処理と、
前記第2サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記少なくとも1つの指標領域の実空間姿勢を第2実空間姿勢として推定する第2実空間姿勢推定処理と、を含み、
前記第1サイズ測定処理において、前記実空間における位置および姿勢が固定されている照射装置を用いて、前記複数の指標点のうち第1指標点に対して光線を照射することで、前記複数の指標領域のうち少なくとも1つの指標領域として第1指標領域を形成し、
前記実空間姿勢推定処理において、前記第1実空間姿勢の推定結果および前記第2実空間姿勢の推定結果を総合することにより、前記対象物の実空間姿勢を推定することを特徴とする位置姿勢推定方法。
XYZ座標系により定義される実空間における位置および姿勢が固定され、Z軸に対して平行な光軸を有する撮像装置を通じて対象物の撮像画像を取得し、対象物において定義されている複数の指標領域のそれぞれの前記撮像画像におけるサイズを測定する第1サイズ測定処理と、
前記第1サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記複数の指標領域のそれぞれに含まれている複数の指標点のそれぞれのZ座標値を推定する縦実空間位置推定処理と、
前記複数の指標点のそれぞれのX座標値およびY座標値のうち少なくとも一方と、前記複数の指標点のそれぞれのZ座標値の推定結果とに基づき、前記複数の指標点のうち対をなす指標点を通る指標直線の実空間における姿勢を第1実空間姿勢として推定する第1実空間姿勢推定処理と、
前記第1実空間姿勢の推定結果に基づいて前記対象物の実空間姿勢を推定する実空間姿勢推定処理と、を含み、
前記第1サイズ測定処理において、前記実空間における位置および姿勢が固定されている照射装置を用いて、前記複数の指標点のうち第1指標点に対して光線を照射することで、前記複数の指標領域のうち少なくとも1つの指標領域として第1指標領域を形成し、
前記実空間姿勢推定処理において、異なる対のそれぞれをなす指標点を通り、かつ、同一のまたは相互に平行な複数の前記指標直線のそれぞれの前記第1実空間姿勢の推定結果を総合することにより、前記対象物の実空間姿勢を推定することを特徴とする位置姿勢推定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、部品同士の組み付け状態を確認するため、撮像装置を用いて一の部品が撮像された際にそこに付されたマークが他の部品または部品群によって少なくとも部分的に隠されてしまい、当該確認作業が困難になる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、対象物の一部が他の物体により隠されてしまう状況であっても当該対象物の3次元座標系における位置および姿勢を簡易かつ高精度で推定することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の位置姿勢推定方法は、XYZ座標系により定義される実空間における位置および姿勢が固定され、Z軸に対して平行な光軸を有する撮像装置を通じて対象物の撮像画像を取得し、対象物において定義されている
、前記対象物の外観または構造に由来する少なくとも1つの指標領域を含む複数の指標領域のそれぞれの前記撮像画像におけるサイズを測定する第1サイズ測定処理と、前記第1サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記複数の指標領域のそれぞれに含まれている複数の指標点のそれぞれのZ座標値を推定する縦実空間位置推定処理と、前記複数の指標点のそれぞれのX座標値およびY座標値のうち少なくとも一方と、前記複数の指標点のそれぞれのZ座標値の推定結果とに基づき、前記複数の指標点のうち対をなす指標点を通る指標直線の実空間における姿勢を第1実空間姿勢として推定する第1実空間姿勢推定処理と、前記第1実空間姿勢の推定結果に基づいて前記対象物の実空間姿勢を推定する実空間姿勢推定処理と、前記撮像画像における前記指標直線の延在方向について、
前記少なくとも1つの指標領域のサイズを測定する第2サイズ測定処理と、前記第2サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記少なくとも1つの指標領域の実空間姿勢を第2実空間姿勢として推定する第2実空間姿勢推定処理と、を含み、
前記第1サイズ測定処理において、前記実空間における位置および姿勢が固定されている照射装置を用いて、前記複数の指標点のうち第1指標点に対して光線を照射することで、前記複数の指標領域のうち少なくとも1つの指標領域として第1指標領域を形成し、
前記実空間姿勢推定処理において、前記第1実空間姿勢の推定結果および前記第2実空間姿勢の推定結果を総合することにより、前記対象物の実空間姿勢を推定することを特徴とする。
【0008】
本発明の位置姿勢推定方法によれば、実空間のZ軸に平行な光軸を有する撮像装置を通じて取得された対象物の各指標領域のサイズに応じて、各指標点のZ座標値が推定される。これは、指標点が撮像装置(またはその撮像素子)に近くなるほどその測定サイズが大きくなり、指標点が撮像装置から遠くなるほどその測定サイズが小さくなるという定性的関係に依拠している。各指標点のZ座標値に基づき、対をなす指標点を通る指標直線の第1実空間姿勢(方向ベクトルに応じて定まる。)が推定される。照射装置を用いて複数の指標点のうち第1指標点に対して光線が照射されることで、当該第1指標点を含む第1指標領域が形成かつ定義される。
【0009】
撮像装置の撮像範囲において、対象物の一部が他の物体により隠されている状況であっても、第1指標点に対して当該他の物体を回避するようにまたは間隙を縫うように当該対象物の第1指標点に照射されることで、第1指標領域が形成される。同一の指標直線上にある複数の指標点のそれぞれを含む複数の指標領域を撮像画像に容易に含ませることができる。よって、このような状況であっても、対象物の少なくともZ座標値により定義される実空間位置および少なくとも指標直線の第1実空間姿勢により定義される対象物の実空間姿勢を簡易かつ高精度で推定することができる。
【0011】
当該位置姿勢推定方法によれば、撮像画像における少なくとも1つの指標領域の、指標直線の延在方向についてのサイズに応じて、当該指標領域の第2実空間姿勢(指標領域の垂線ベクトルに応じて定まる。)が推定される。第1実空間姿勢の推定結果および第2実空間姿勢の推定結果が統合されることで、対象物の実空間姿勢の推定精度の向上が図られる。
【0012】
本発明の位置姿勢推定方法
は、XYZ座標系により定義される実空間における位置および姿勢が固定され、Z軸に対して平行な光軸を有する撮像装置を通じて対象物の撮像画像を取得し、対象物において定義されている複数の指標領域のそれぞれの前記撮像画像におけるサイズを測定する第1サイズ測定処理と、前記第1サイズ測定処理における測定結果に基づき、前記複数の指標領域のそれぞれに含まれている複数の指標点のそれぞれのZ座標値を推定する縦実空間位置推定処理と、前記複数の指標点のそれぞれのX座標値およびY座標値のうち少なくとも一方と、前記複数の指標点のそれぞれのZ座標値の推定結果とに基づき、前記複数の指標点のうち対をなす指標点を通る指標直線の実空間における姿勢を第1実空間姿勢として推定する第1実空間姿勢推定処理と、前記第1実空間姿勢の推定結果に基づいて前記対象物の実空間姿勢を推定する実空間姿勢推定処理と、を含み、前記第1サイズ測定処理において、前記実空間における位置および姿勢が固定されている照射装置を用いて、前記複数の指標点のうち第1指標点に対して光線を照射することで、前記複数の指標領域のうち少なくとも1つの指標領域として第1指標領域を形成し、前記実空間姿勢推定処理において、異なる対のそれぞれをなす指標点を通り、かつ、同一のまたは相互に平行な複数の前記指標直線のそれぞれの前記第1実空間姿勢の推定結果を総合することにより、前記対象物の実空間姿勢を推定すること
を特徴とする。
【0013】
当該位置姿勢推定方法によれば、異なる対をなす指標点を通る複数の指標直線のそれぞれの実空間姿勢、ひいては対象物の実空間姿勢の推定精度の向上が図られる。
【0014】
本発明の位置姿勢推定方法において、
前記複数の指標点の異なる対によって、前記実空間において直交する
一対の指標直線が定義されるように、前記複数の指標点が設定され
、前記第1実空間姿勢推定処理において、前記一対の指標直線のそれぞれの実空間における姿勢を前記第1実空間姿勢として推定することが好ましい。
【0015】
当該位置姿勢推定方法によれば、実空間において直交する2つの指標直線のそれぞれの、第1実空間姿勢(または第1実空間姿勢の複数の推定結果の統合結果、または第1実空間姿勢および第2実空間姿勢の統合結果)により定義される対象物の実空間姿勢が推定される。
【0016】
本発明の位置姿勢推定方法において、前記複数の指標点のうち対象物座標系に固定されている第2指標点の前記撮像画像における位置に基づき、前記第2指標点のX座標値およびY座標値を推定する横実空間位置推定処理をさらに含むことが好ましい。
【0017】
当該位置姿勢測定方法によれば、対象物座標系において固定されている第2指標点の撮像画像における位置に応じて当該指標点のX座標値およびY座標値が推定される。これにより、第2指標点のZ座標値の推定結果に加えて、X座標値およびY座標値の推定結果により定義される対象物の実空間位置が高精度で推定される。
【0018】
本発明の位置姿勢推定方法において、前記対象物において前記撮像装置を通じて認識可能な輪郭により画定される第2指標領域に含まれる点が、前記第2指標点として定義されていることが好ましい。
【0019】
当該位置姿勢推定方法によれば、撮像画像における第2指標点の位置の測定精度の向上が図られることにより、対象物の実空間位置および実空間姿勢の推定精度の向上が図られる。
【0020】
本発明の位置姿勢推定方法において、前記複数の指標点のうち少なくとも1つの指標点のZ座標値を変化させながら、前記対象物の撮像画像における前記少なくとも1つの指標領域のサイズの変化を測定することにより、前記少なくとも1つの指標点のZ座標値と前記撮像画像における前記少なくとも1つの指標領域のサイズとの相関関係を第1相関関係として定義する第1準備処理をさらに含み、前記縦実空間位置推定処理において、前記第1相関関係にしたがって前記複数の指標点のそれぞれのZ座標値を推定することが好ましい。
【0021】
当該位置姿勢推定方法によれば、事前に定義された第1相関関係にしたがって各指標点のZ座標値が推定されるので、対象物の実空間位置および実空間姿勢の推定精度の向上が図られる。
【0022】
本発明の位置姿勢推定方法において、前記少なくとも1つの指標領域の実空間姿勢を変化させながら、前記撮像画像における前記少なくとも1つの指標領域の、前記指標直線の延在方向についてのサイズの変化を測定することにより、前記少なくとも1つの指標領域の実空間姿勢と前記撮像画像における前記指標直線の延在方向についてのサイズとの相関関係を第2相関関係として定義する第2準備処理をさらに含み、前記第2実空間姿勢推定処理において、前記第2相関関係にしたがって前記第2実空間姿勢を推定することが好ましい。
【0023】
当該位置姿勢推定方法によれば、事前に定義された第2相関関係にしたがって第2実空間姿勢が推定されるので、対象物の実空間位置および実空間姿勢の推定精度の向上が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態としての位置姿勢推定方法においては、実空間座標系(X,Y,Z)における対象物座標系(x,y,z)の位置および姿勢がワークW(対象物)の実空間位置および実空間姿勢として推定される(
図2A下側、
図2B下側、
図5A下側および
図5B下側参照)。当該推定に際して、照射装置2および撮像装置4が用いられ、ワークWの実空間における位置および姿勢が推定される。照射装置2はその光線20(レーザービーム)の光軸がZ軸に平行になるように、実空間における位置および姿勢が基台1により保持されている。撮像装置4はその光軸がZ軸に平行になるように、実空間における位置および姿勢が基台1により保持されている。
【0026】
ワークWは、例えば、実空間における位置および姿勢が一定に維持されるように配置されている他のワークに対して組み付けられる部品であり、ワークWのそれぞれが当該他のワークのそれぞれに対して組み付けられた際に、その実空間位置および姿勢のそれぞれの、目標位置および目標姿勢のそれぞれに対する偏差を評価するために実行される。
【0027】
照射装置2の実空間位置および実空間姿勢が一定に維持されることにより、複数の指標点P
i(i=0,1,2,‥N)のうち、第1指標点のX座標値X
iおよびY座標値Y
iはあらかじめ定められている。第2指標点は、対象物座標系における位置が固定されている。第1実施形態では、対をなす指標点P
iおよびP
jを通る複数の指標直線は相互に非平行である。例えば、
図2A上側および
図2B上側に示されているように、指標点P
0およびP
1を通る第1指標直線(ここではx軸に一致している。)および指標点P
0およびP
2を通る第2指標直線(ここではy軸に一致している。)は、指標点P
0において直交する。
【0028】
ワークWの複数の指標点P
iのうち第1指標点P
i1に対して、照射装置2を用いて光線20が照射される(
図1/STEP02)。これにより、例えば
図2A上側および
図2B上側に示されている第1指標点P
1およびP
2(i
1=1,2)のそれぞれに対して同時にまたは異なる時刻に光線が照射される。その結果、略円形の照射領域がワークWの表面に第1指標領域A
1およびA
2として形成かつ定義される。光線20の照射領域の形状は略円形状のほか、略楕円形上などの他の形状であってもよく、略円環状などの環状であってもよい。照射領域の形状が環状である場合、当該環を輪郭とする領域が第1指標領域A
i1として定義されてもよい。
【0029】
撮像装置4により取得された撮像画像において識別可能な、ワークWの外観または構造由来の領域が第2指定領域A
i2として定義され、第2指定領域A
i2の中心点またはその境界線上の点など、そこに含まれている点が第2指定点P
i2として定義されている。第2指定点P
i2は、その性質上、対象物座標系においてその位置が固定されている。
図2Aおよび
図2Bに示されている例では、ワークWに形成されている開口部の周縁により定義される第2指標領域A
0(i
2=0)中心点が第2指標点P
0として定義されている。第1実施形態では、対をなす第1指標点P
i1および第2指標点P
i2を通るように指標直線Q
i1i2が定義されている。なお、複数の指標点P
iに複数の第2指標点P
i2が含まれていてもよい。複数の指標点P
iの全てが第1指標点P
i1として定義され、全ての指標点P
iに対して光線20が照射されてもよい。
【0030】
続いて、撮像装置4を通じてワークWの撮像画像が取得される(
図1/STEP04)。これにより、例えば、
図2A上側および
図2B上側のそれぞれに示されているように、指標領域A
0〜A
2(A
0’〜A
2’)が含まれているワークWの撮像画像が取得される。
【0031】
撮像画像に基づき「第1サイズ測定処理」が実行され、画像座標系における指標領域A
iのサイズφ
i(または径)が測定される(
図1/STEP10)。なお、第1サイズ測定処理として、後述する第2サイズ測定処理(
図1/STEP20参照)と同様に、撮像画像における指標直線の延在方向について指標領域A
iのサイズφ
iが測定されてもよい。
【0032】
さらに「縦実空間位置推定処理」が実行され、画像座標系(u,v)における指標領域A
iのサイズφ
iの測定結果に基づき、指標点P
iのZ座標値Z
i(Z座標値)が推定される(
図1/STEP12)。例えば、
図3A〜
図3Cに概念的に示されているように、撮像装置4(またはその撮像素子)と指標点P
iとの間隔D
iが小さいほど撮像画像における指標領域A
iのサイズφ
iが大きくなる(撮像装置4と指標点P
iとの間隔Dが大きいほど撮像画像における指標領域A
iのサイズφ
iが小さくなる)というように、当該間隔D
iおよび当該サイズφ
iの間には相関関係(第1相関関係)が存在する。よって、画像座標系(u,v)における指標領域A
iのサイズφ
iに基づき、当該第1相関関係にしたがって、間隔D
iに相当する指標点P
iのZ座標値Z
iが推定されうる。
【0033】
撮像画像に基づき「横実空間位置推定処理」が実行され、画像座標系(u,v)における第2指標点P
i2の位置(u
i2,v
i2)に基づき、実空間における当該第2指標点P
i2のX座標値X
i2およびY座標値Y
i2が測定される(
図1/STEP14)。これにより、例えば、第2指標点P
0(i
2=0)の画像座標系における位置(u
0,v
0)に基づき、X座標値X
0およびY座標値Y
0が測定される(
図2A上側および
図2B上側参照)。
【0034】
第2指標点P
i2に関する縦実空間位置推定処理の結果(
図1/STEP12参照)および横実空間位置推定処理の結果(
図1/STEP14参照)に基づき、「実空間位置推定処理」が実行されることで、当該第2指標点P
i2の実空間位置(X
i2,Y
i2,Z
i2)がワークWの実空間位置として推定される(
図1/STEP16参照)。これにより、例えばワークWの代表点である第2指標点P
0(i
2=0)の実空間位置(X
0,Y
0,Z
0)が推定される(
図2Aおよび
図2B参照)。
【0035】
縦実空間位置推定処理の結果(
図1/STEP12参照)に基づき、「第1実空間姿勢推定処理」が実行される(
図1/STEP18)。具体的には、各指標点P
iのX座標値X
iおよびY座標値Y
i(第1指定点については既知の値であり、第2指定点については推定値である。)ならびにZ座標値Z
iの推定結果とに基づき、複数の指標点P
iのうち対をなす指標点P
iおよびP
jを通る指標直線Q
ijの実空間姿勢が第1実空間姿勢として推定される。例えば、指標直線Q
ijの方向ベクトル(a
i1,b
i1,c
i1)に基づき、実空間のX軸に対する指標直線Q
ijの角度θ
1X(i,j)=arctan(c
i1/a
i1)および実空間のY軸に対する指標直線Q
ijの角度θ
1Y(i,j)=arctan(c
i1/b
i1)のそれぞれが、第1実空間姿勢θ
1(i,j)として推定される。
【0036】
対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が基準姿勢(例えば平行)である基準状態における指標点P
iのZ座標値Z
i(0)に対する、対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が不明である任意の状態における指標点P
iのZ座標値Z
i(k)の偏差ΔZ
i(k)に基づき、関係式(01)にしたがって第1実空間姿勢θ
1(i,j)が推定されてもよい。対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が基準姿勢に調節された上で、指標点P
iのZ座標値Z
i(0)が予め測定されていてもよい。
【0037】
θ
1(i,j)=arctan{(ΔZ
j(k)−ΔZ
i(k))/L
ij}‥(01)。
【0038】
例えば、
図2A下側に示されている状態では、x軸がX軸に対して平行であり、かつ、y軸がY軸に対して平行である。この状態では、対象物座標系のxy平面が、実空間のXY平面に対して平行であり、XY平面に対する第1指標直線(x軸線)の第1実空間姿勢θ
1(0,1)および第2指標直線(y軸線)の第1実空間姿勢θ
1(0,2)がともに0であると推定される。
【0039】
これに対して、
図2B下側に示されている状態では、対象物座標系のxy平面が、実空間のXY平面に対して傾斜している。この状態では、指標点P
iのZ座標値Z
i(k)(縦実空間位置推定処理の結果)に基づき、関係式(01)にしたがって、第1指標直線の第1実空間姿勢θ
1(0,1)および第2指標直線の第1実空間姿勢θ
1(0,2)が推定される。
【0040】
撮像画像に基づき「第2サイズ測定処理」が実行され、画像座標系における指標直線の延在方向について、複数の指標領域A
iのうち少なくとも1つの指標領域のサイズが測定される(
図1/STEP20)。これにより、例えば、第1指標直線Q
01(対象物座標系のx軸に相当する。)および第2指標直線Q
02(対象物座標系のy軸に相当する。)のそれぞれの延在方向について、撮像画像における第2指標領域A
2のサイズφ
01およびφ
02が測定される(
図2A上側および
図2B上側参照)。
【0041】
続いて、第2サイズ測定処理における測定結果に基づき「第2実空間姿勢推定処理」が実行され、少なくとも1つの指標領域A
iの実空間姿勢が第2実空間姿勢として推定される(
図1/STEP22)。指標領域A
iの垂線ベクトル(a
i2,b
i2,c
i2)に基づき、実空間のX軸に対する指標直線Q
ijの角度θ
2X(i,j)=arctan(c
i2/a
i2)および実空間のY軸に対する指標直線Q
ijの角度θ
2Y(i,j)=arctan(c
i2/b
i2)のそれぞれが、第2実空間姿勢θ
2(i,j)として推定される。
【0042】
例えば、
図4A〜
図4C上側に示されているように、実空間のXY平面に対する指標直線Q
01(この例では対象物座標系のx軸に相当する。)の傾斜角度ξが大きくなるほど、
図4A〜
図4C下側に示されているように、画像座標系における指標領域A
iの当該指標直線の延在方向(この例ではx方向)についてのサイズφ
01(ξ)が小さくなるというように、当該傾斜角度ξおよび当該サイズφ
ij(ξ)の間には相関関係(第2相関関係)が存在する。よって、画像座標系(u,v)における指標領域A
iの指標直線Q
i jの延在方向についてのサイズφ
ijに基づき、当該第2相関関係にしたがって、第2実空間姿勢θ
2(i,j)が推定されうる。
【0043】
対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が基準姿勢(例えば平行)である基準状態における指標領域A
iのサイズφ
ij(ξ(0))に対する、対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が不明である任意の状態における指標領域A
iのサイズφ
ij(ξ(k))の偏差Δφ
ij(k)に基づき、関係式(02)にしたがって第2実空間姿勢θ
2(i,j)が推定される。対象物座標系のxy平面の実空間のXY平面に対する姿勢が基準姿勢に調節された上で、指標領域A
iのサイズφ
ij(ξ(0))が予め測定されていてもよい。
【0044】
θ
2(i,j)=arccos{Δφ
ij(k)/φ
ij(k)}‥(02)。
【0045】
第1実空間姿勢推定処理の結果(
図1/STEP18参照)および第2実空間姿勢推定処理の結果(
図1/STEP22参照)に基づき、「実空間姿勢推定処理」が実行される(
図1/STEP24)。具体的には、前記のように推定された第1実空間姿勢θ
1(i,j)および第2実空間姿勢θ
2(i,j)に基づき、関係式(04)にしたがってワークWの実空間姿勢θ
(i,j)が推定される。
【0046】
θ
(i,j)=αθ
1(i,j)+(1−α)θ
2(i,j) (0<α<1)‥(04)。
【0047】
重み係数αは、例えば「0.5」に設定されるが、第1実空間姿勢θ
1(i,j)および第2実空間姿勢θ
2(I,j)のそれぞれの推定精度の高低差に応じて、適宜変更されてもよい。例えば、撮像画像における光線由来の第1指標領域の認識精度が、ワークWの構造または外観由来の第2指標領域の認識精度よりも高い場合、αが0.5より大きい値に設定されてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態としての位置姿勢推定方法においては、第2サイズ測定処理(
図1/STEP20参照)および第2実空間姿勢推定処理(
図1/STEP22参照)が省略されている点で第1実施形態と相違する。
【0049】
第2実施形態では、複数の指標直線Q
ijおよびQ
i’j’は相互に平行に配置され、または、同一の直線である。例えば、
図5A上側および
図5B上側に示されているように、指標点P
0およびP
1を通る第1指標直線Q
01(i=0,j=1)および指標点P
0およびP
3を通る第3指標直線Q
03(i’=0,j’=1)は、同一の直線(対象物座標系のx軸に相当する。)である。同様に、指標点P
0およびP
2を通る第2指標直線Q
02(i=0,j=2)および指標点P
0およびP
4を通る第4指標直線Q
04(i’=0,j’=4)は、同一の直線(対象物座標系のy軸に相当する。)である。第1指標点として定義されている4つの指標点P
1〜P
4のそれぞれに対して光線が照射されて第1指標領域A
1〜A
4が形成かつ定義される(
図1/STEP02参照)。
【0050】
第1サイズ測定処理、縦実空間位置推定処理および第1実空間姿勢推定処理(
図1/STEP10→STEP12→STEP18参照)を経て、相互に平行である(または同一の直線である)複数の指標直線Q
i1j1〜Q
iMjM(M=2,3,‥)のそれぞれのXY平面に対する角度が第1実空間姿勢θ
1(i1,j1)〜θ
1(iM,jM)として推定される。そして、複数の第1実空間姿勢θ
1(i1,j1)〜θ
1(iM,jM)に基づき、関係式(06)にしたがって「実空間姿勢推定処理」が実行される(
図1/STEP24参照)。
【0051】
θ=Σ
m=1-Mβ
mθ
1(im,jm)) (0<β
m<1、Σβ
m=1)‥(06)。
【0052】
例えば、
図5A下側に示されている基準状態では、XY平面に対する第1〜第4指標直線のそれぞれの第1実空間姿勢θ
1(0,1)〜θ
1(0,4)が0であると推定される(
図2A下側参照)。これに対して、
図5B下側に示されている任意の状態では、対象物座標系のx軸線の実空間のXY平面に対する角度θ
xが(θ
1(0,1)+θ
1(0,3))/2(β
01=1/2、β
03=1/2)であると推定され、対象物座標系のy軸線の実空間のXY平面に対する角度θ
yが(θ
1(0,2)+θ
1(0,4))/2(β
02=1/2、β
04=1/2)であると推定される。
【0053】
(本発明の作用効果)
本発明の位置姿勢推定方法によれば、実空間のZ軸に平行な光軸を有する撮像装置4を通じて取得されたワークWの各指標領域A
iのサイズφ
iに応じて、各指標点P
iのZ座標値が推定される(
図1/STEP04→STEP10→STEP12、
図2A、
図2B参照)。これは、指標点P
iが撮像装置4(またはその撮像素子)に近くなるほどその測定サイズが大きくなり、指標点P
iが撮像装置4から遠くなるほどその測定サイズが小さくなるという定性的関係に依拠している(
図3A〜
図3C参照)。各指標点P
iのZ座標値Z
iに基づき、対をなす指標点P
iおよびP
jを通る指標直線Q
ijの第1実空間姿勢θ
1(i,j)(方向ベクトルに応じて定まる。)が推定される(
図1/STEP18→STEP24、関係式(04)参照)。照射装置2を用いて複数の指標点P
iのうち第1指標点P
i1に対して光線20が照射されることで、当該第1指標点P
i1を含む第1指標領域A
i1が形成かつ定義される(
図1/STEP02、
図2A上側、
図2B上側、
図5A上側および
図5B上側参照)。
【0054】
撮像装置4の撮像範囲において、ワークWの一部が他の物体により隠されている状況であっても、第1指標点P
i1に対して当該他の物体を回避するようにまたは間隙を縫うように当該ワークWの第1指標点P
i1に照射されることで、第1指標領域A
i1が形成される。同一の指標直線上にある複数の指標点P
iのそれぞれを含む複数の指標領域A
iを撮像画像に容易に含ませることができる。よって、このような状況であっても、ワークWの少なくともZ座標値Z
iにより定義される実空間位置および少なくとも指標直線Q
ijの第1実空間姿勢θ
1(i,j)により定義されるワークWの実空間姿勢を簡易かつ高精度で推定することができる。
【0055】
第1実施形態によれば、撮像画像における少なくとも1つの指標領域P
iの、指標直線Q
ijの延在方向についてのサイズφ
ijに応じて、当該指標領域P
iの第2実空間姿勢θ
2(i,j)(指標領域P
iの垂線ベクトルに応じて定まる。)が推定される(
図1/STEP20→STEP22、関係式(02)参照)。第1実空間姿勢θ
1(i,j)の推定結果および第2実空間姿勢θ
2(i,j)の推定結果が統合されることで、ワークWの実空間姿勢θ
(i,j)の推定精度の向上が図られる(
図1/STEP24、関係式(04)参照)。
【0056】
第2実施形態によれば、実空間姿勢推定処理(
図1/STEP24参照)において、異なる対のそれぞれをなす指標点を通り、かつ、同一のまたは相互に平行な複数の指標直線Q
i1j1〜Q
iMjMのそれぞれの第1実空間姿勢θ
1(im,jm)の推定結果を総合することにより、ワークWの実空間姿勢θ
(i,j)が推定される(関係式(06)参照)。これにより、単一の指標直線の第1実空間姿勢θ
1(im,jm)のみに基づいてワークWの実空間姿勢θ
(i,j)が推定されるよりも、当該推定精度の向上が図られる。
【0057】
(他の実施形態)
前記実施形態において、横実空間位置推定処理(
図1/STEP14参照)が省略されてもよい。この場合、少なくとも1つの指標点P
iのZ座標値Z
iの推定結果またはその統合結果がワークWの実空間位置の推定結果とされる。
【0058】
第2実施形態と同様に複数の指標点P
iが定義され、第1の対をなす第2指標点P
1およびP
3を通る指標直線Q
13(対象物座標系のx軸に相当する。)および第2の対をなす第2指標点P
2およびP
4を通る指標直線Q
24(対象物座標系のy軸に相当する。)のそれぞれのX軸およびY軸に対する角度が第1実空間姿勢θ
1(1,3)およびθ
1(2,4)として推定された上で、本発明の第1実施形態と同様の手順にしたがってワークWの姿勢が推定されてもよい。
【0059】
前記実施形態において「第1準備処理」が予め実行されていてもよい。具体的には、複数の指標点P
iのうち少なくとも1つの指標点P
kのZ座標値Z
kを変化させながら、ワークWの撮像画像における少なくとも1つの指標領域A
kのサイズφ
kの変化を測定することにより、当該Z座標値Z
kと当該サイズφ
kとの相関関係を第1相関関係として定義する。これにより、縦実空間位置推定処理(
図1/STEP12)において、第1相関関係にしたがって各指標点P
iのZ座標値Z
iが推定される。
【0060】
前記実施形態において「第2準備処理」が予め実行されていてもよい。具体的には、少なくとも1つの指標領域P
iの実空間姿勢θ
(i,j)を変化させながら、撮像画像における当該指標領域P
iの、指標直線Q
ijの延在方向についてのサイズφ
ijの変化を測定することにより、当該実空間姿勢θ
(i,j)と撮像画像における指標直線Q
ijの延在方向についてのサイズφ
ijとの相関関係を第2相関関係として定義する。これにより、第2実空間姿勢推定処理(
図1/STEP22参照)において、第2相関関係にしたがって第2実空間姿勢θ
2(i,j)が推定される。