特許第6446041号(P6446041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446041
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】乳系飲料を調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/40 20060101AFI20181217BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A47J31/40 102
   A47J31/40 104
   A47J31/44 410
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-524030(P2016-524030)
(86)(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-538019(P2016-538019A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014072113
(87)【国際公開番号】WO2015059010
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月12日
(31)【優先権主張番号】13190325.4
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィラー, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】レイ, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ペロ, マリー
(72)【発明者】
【氏名】レウエンベルガー, ウルスラ
(72)【発明者】
【氏名】フェッタ, スアド
(72)【発明者】
【氏名】ロリュー, クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】ルシヨン, シャーロット
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/045860(WO,A1)
【文献】 特開2000−157231(JP,A)
【文献】 特開2009−165830(JP,A)
【文献】 特表2013−531527(JP,A)
【文献】 特表2008−543458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0169051(US,A1)
【文献】 特表2008−508967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/40
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を調製するためのプロセスであって、前記飲料は少なくとも1つの乳飲料成分を含み、前記飲料は、飲料ディスペンサを用いて調製され、前記飲料ディスペンサは、
−異なる乳原料を収容する少なくとも2つの乳原料容器(1b、1a)であって、前記乳原料はその脂肪含有量が異なる、容器と、
−各乳原料容器から乳原料のドーズ量を計り取るための、前記乳原料容器(1a、1b)と協働するドーズ装置(2a、2b)と、を備え、
前記プロセスは、
−異なる乳原料のドーズ量を飲料再構成場所(3、8)に同時に導入する工程と、
−前記乳飲料成分を生成するために、前記異なる乳原料のドーズ量を希釈液と一緒に混合する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記飲料再構成場所は、飲用カップ(8)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記飲料再構成場所は、混合チャンバ(3)であり、前記混合チャンバは、乳原料のドーズ量及び希釈液のドーズ量を受け入れ、前記ドーズ量を混合して飲料を生成し、前記混合チャンバの出口を介して前記飲料を飲用カップに供給するように構成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記乳原料容器(1a、1b)は、乳粉末を収容する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記乳原料容器(1a、1b)は、脂肪含有量が1〜42重量%である乳粉末を収容する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記乳原料容器(1a、1b)は、脂肪含有量が1〜26重量%である乳粉末を収容する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記乳原料容器(1a、1b)は、脂肪含有量が1〜16重量%である乳粉末を収容する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
異なる乳粉末のドーズ量が、前記異なる乳粉末のドーズ量の混合物の脂肪含有量が8重量%以上であるような割合に従って、前記飲料再構成場所(3)に同時に導入される、請求項4〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記乳粉末容器は、脂肪含有量が1重量%である乳粉末及び脂肪含有量が16重量%である乳粉末を少なくとも含む、請求項4〜のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記乳粉末容器(1a、1b)は、脂肪含有量が8重量%以上である乳粉末を収容する、請求項4〜のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記異なる乳原料のドーズ量は、所定の割合で前記飲料再構成場所(3)に導入され、前記割合は、前記容器に収容された前記乳原料の性質に応じて、かつ脂肪含有量及び/又は味の点で最終飲料の所望の特性に応じて規定される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記飲料が調製される前記ディスペンサは、非乳飲料成分を調製するためのモジュール(1’、3’又は1”、3”)を備え、前記プロセスは、前記乳飲料成分を前記モジュールで調製された非乳飲料成分と混合する工程を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記モジュールで調製された前記非乳飲料成分は、コーヒー飲料成分である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ディスペンサは、
−脂肪含有量及び/又は味に関するユーザの入力(61)を受信するためのユーザインターフェース(6)と、
−ユーザの入力(61)に応じて前記飲料再構成場所(3)に導入される前記異なる乳原料のドーズ量を決定するための制御ユニット(7)と、
を備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳粉末から乳系飲料を提供するように構成された飲料ディスペンサに関する。
【0002】
[背景技術]
可溶性粉末から飲料を調製するように構成された飲料ディスペンサが先行技術から知られている。これらのディスペンサは、コーヒー、茶、スープ、ココアを生成でき、これらの飲料は、カプチーノ、ラッテマキアート又はモカのような公知のレシピに従って乳成分と混合されてよい。その他の飲料は、キャラメルラッテ、バニララッテのように香り付けされた乳成分のみからなる。
【0003】
ミルクは、脂肪分を含む。実際、全脂肪乳は通常少なくとも26重量%の脂肪分を含む。現在の飲料ディスペンサでは、顧客に対して、全脂肪乳(あるいは約16重量%の脂肪分を含む半脱脂乳も)又は脱脂乳のいずれかを選択してその乳系飲料を調製することが提案されている。脱脂乳は約1重量%の脂肪分を含んでいるため、消費者は自らの個人的な食事に最も適した乳の種類を選択できる。
【0004】
しかし、一部の顧客にとっては、脱脂乳粉末で調製したレシピと全脂肪乳粉末又は半脱脂乳粉末で調製した同じレシピとで、最終飲料に著しい味の相違がある。そのため、このような顧客は、脱脂乳を含む飲料を注文する際に、当該飲料の方が自らの食事によく合っている可能性があるものの、ためらうことがある。
【0005】
ここで、意外なことに、乳粉末から再構成した、総脂肪含有量が約8重量%であるミルクの味は、脱脂乳粉末から再構成したミルクよりも全脂肪乳粉末から再構成したミルクに近い味覚特性があることが見出された。ミルクの味は脂肪分の有無に密接に関係していることが現在知られているため、この結果は予想外であった。脂肪含有量が8%を上回る乳粉末から再構成したミルクはすべて、全脂肪乳粉末から再構成した飲料に近い味覚特性があることもまた見出された。
【0006】
本発明の目的は、全脂肪乳又は低脂肪乳のいずれかから調製され、味覚特性が近い乳系飲料を提供できる飲料ディスペンサを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、少なくとも低脂肪乳から調製され、脱脂乳の味覚特性がない乳系飲料を提供できる飲料ディスペンサを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ミルクを多く含む味覚特性を提供できる飲料ディスペンサを提供することである。
【0009】
[課題を解決するための手段]
第1の態様によれば、本発明は、飲料を調製するためのプロセスであって、飲料は少なくとも1つの乳飲料成分を含み、
飲料は、飲料ディスペンサを用いて調製され、飲料ディスペンサは、
・異なる乳原料を収容する少なくとも2つの乳原料容器であって、乳原料はその脂肪含有量が異なる、容器と、
・各乳原料容器から乳原料のドーズ量(dose:一杯分の量)を計り取るための、乳原料容器と協働するドーズ装置(dosing device)と、を備え、
プロセスは、
−異なる乳原料のドーズ量を飲料再構成場所に同時に導入する工程と、
−乳飲料成分を生成するために、異なる乳原料のドーズ量を希釈液と一緒に混合する工程と、を含む、プロセスに関する。
【0010】
本発明のプロセスは、可溶性飲料原料、特に可溶性乳粉末又は乳濃縮物のような乳原料を希釈液と混合することによって飲料が調製される飲料ディスペンサにおいて実施される。希釈液は、接触及び混合によって可溶性飲料原料を溶解する。希釈液は通常、水である。飲料調製の1つの工程は、可溶性飲料原料のドーズ量及び希釈液のドーズ量を計り取ることと、それを飲料再構成場所に供給し、この飲料再構成場所で可溶性飲料原料のドーズ量及び希釈液のドーズ量を接触させ混合させることと、からなる。
【0011】
第1の方式によれば、飲料再構成場所は、飲用カップであってよい。この種の飲料ディスペンサは、カップ内混合ディスペンサに相当する。通常、希釈液のドーズ量は、好ましくは可溶性飲料原料と希釈液との混合物を攪拌して混合するように構成された噴射型である、少なくとも1つのノズルを介して供給される。
【0012】
第2の方式によれば、飲料再構成場所は、混合チャンバであってよい。混合チャンバは、乳原料のドーズ量及び希釈液のドーズ量を受け入れ、このドーズ量を混合して飲料を生成し、混合チャンバの出口を介して飲料を飲用カップに供給するように構成されている。好ましくは、混合チャンバは、可溶性飲料原料を希釈液の中で溶解し、最終的に飲料を泡立たせるためのホイッパを備える。
【0013】
飲料再構成場所に関する方式がどのようなものであっても、乳飲料原料は通常、使い捨て式又は使い捨て式ではない複数のドーズ量に対応する収容容器に収容され、可溶性飲料成分のドーズ量は、飲料が調製されるたびに収容容器から引き出される。飲料粉末又は飲料濃縮物を計り取るための任意の公知の装置を使用してよい。
【0014】
好適な実施形態によれば、乳原料容器は、乳粉末を収容する。本発明では、「乳粉末」という用語は、可溶性乳固形分の粉末、ペレット又は顆粒を区別なく範囲に含める。
【0015】
このような乳粉末の場合、可溶性飲料成分を計り取るための装置は、好ましくは、スクリューオーガ、スプリングオーガ、ドーズ用オーガ又は孔のあいたディスクのような、容量測定ドーズ装置である。ディスペンサの乳粉末ドーズ装置は通常、機械的なものである。好ましくは、モータによって作動される。
【0016】
好適な実施形態によれば乳粉末は、収容容器に収容され、乳粉末のドーズ装置(好ましくはスクリューオーガ)は、収容容器の底に設置される。収容容器とドーズ装置とのこのアセンブリは通常、最新の飲料ディスペンサではキャニスタとして識別される。
【0017】
ドーズ装置は乳粉末を計り取り、この乳粉末は、収容容器の出口に供給された後に飲料再構成場所に分配される。
【0018】
本発明によれば、ディスペンサは、異なる乳粉末を収容する少なくとも2つの乳粉末容器を備え、それらの粉末はその脂肪含有量が異なる。乳粉末容器は、脂肪含有量が1〜42重量%、好ましくは1〜26重量%、さらに一層好ましくは1〜16重量%である異なる乳粉末を収容できる。
【0019】
好適な実施形態によれば、乳粉末容器は、脂肪含有量が約1重量%である乳粉末及び脂肪含有量が約16重量%である乳粉末を少なくとも含む。実際には、これらの脂肪分の含有量は両方とも、市販の乳粉末に対する最も一般的な脂肪含有量に相当する。この2つの脂肪含有量はまた、脂肪含有量が1〜16重量%である多岐にわたる乳粉末混合物の生成を可能にするという利点もある。
【0020】
別の実施形態によれば、乳粉末容器は、好ましくは、脂肪含有量が少なくとも8重量%である乳粉末を収容できる。前述したように、このような乳粉末から調製した飲料は、全脂肪乳粉末から調製した飲料に近い味であることが見出されている。
【0021】
好ましくは、本発明のプロセスによれば、異なる乳粉末のドーズ量は、異なる乳粉末のドーズ量の混合物の脂肪含有量が少なくとも8重量%であるような割合に従って、飲料再構成場所に同時に導入される。
【0022】
本発明では、乳原料容器は、脂肪含有量の点での相違とは別に、風味、栄養価及び/又は甘味料の有無も異なる乳原料を収容できる。栄養価の点での乳原料どうしの相違は、ビタミンのような補足栄養要素の有無に関連し得る。甘味料含有量の点での乳原料どうしの相違は、乳原材料中の甘味料の含有量又は乳原材料中の甘味料に異なる性質があるかどうかに関連し得る。例えば、乳原料中の甘味料は、Splenda(登録商標)、Acesulfame K(登録商標)、アスパルテーム又はStevia(登録商標)のような非炭水化物系の甘味料から選択されてよい。
【0023】
本発明によれば、飲料を調製するためのプロセスは、異なる乳原料ドーズ量を飲料再構成場所に同時に導入する工程を含む。したがって、プロセスでは、最終飲料は、脂肪含有量が異なる少なくとも2つの異なる可溶性乳原料のドーズ量及び希釈液のドーズ量の混合物から調製される。好ましくは、異なる乳原料のドーズ量は、所定の割合で飲料再構成場所に導入され、割合は、容器に収容された乳原料の性質に応じて、かつ脂肪含有量及び/又は味の点で最終飲料の所望の特性に応じて規定される。
【0024】
1つの実施形態によれば、飲料が調製される飲料ディスペンサは、非乳飲料成分を調製するための少なくとも1つのモジュールを備え、プロセスは、乳飲料成分をモジュールで調製された非乳飲料成分と混合する工程を含む。好ましくは、飲料ディスペンサは、飲料のコーヒー系成分を調製するためのモジュールを備える。飲料ディスペンサは、茶、ココア、又はその他の風味付けされた飲料のような非乳飲料成分も調製するためのモジュールを備えることができる。
【0025】
この実施形態では、飲料ディスペンサのモジュールは、
・少なくとも1つの可溶性非乳飲料成分用容器と、
・容器から飲料成分のドーズ量を計り取るための、可溶性非乳飲料成分用容器と協働する少なくとも1つのドーズ装置と、を備えることができ、
プロセスは、非乳飲料成分のドーズ量を希釈液と一緒に飲料再構成場所に導入して非乳飲料成分を生成する工程を含むことができる。
【0026】
このようなモジュールは、可溶性のコーヒー粉末又はコーヒー濃縮物から、可溶性のココア粉末若しくはココア濃縮物から、又は可溶性の茶粉末若しくは茶濃縮物から、それぞれコーヒー、ココア、茶を生成するように適合できる。
【0027】
この実施形態では、飲料ディスペンサのモジュールは、その代わりに、焙煎して挽いたコーヒーのドーズ量を水と一緒に淹出するように構成することができる。
【0028】
好ましくは、モジュールで調製された非乳飲料成分は、コーヒー飲料成分である。
【0029】
1つの好適な実施形態によれば、ディスペンサは、
−脂肪含有量及び/又は味に関するユーザの入力を受信するためのユーザインターフェースと、
−ユーザの入力に応じて飲料再構成場所に導入される異なる乳原料のドーズ量を決定するための制御ユニットと、を備える。
【0030】
ユーザインターフェースは、消費者に、
−乳系飲料のレシピの一覧と、
−脂肪含有量の選択肢の一覧及び/又は味の選択肢の一覧と、を提示できる。
【0031】
乳系飲料の様々なレシピは、以下をユーザに提供するために提示されて良い:
−飲料原料の組成(コーヒーとミルク、ココア、ミルクティーなど)又は飲料の外観(ホワイトコーヒー、ラッテマキアート、カプチーノ、モカなど)に関する選択肢、並びに
−脂肪含有量又は栄養情報(多いか少ないか)に関する選択肢及び/又は味(ミルクの香り、ミルクの風味)に関する選択肢。
【0032】
風味の添加物(バニラ、キャラメル)、栄養の添加物(ビタミン)及び/又は甘味料の添加物(性質及び含有量)に関する追加の選択肢を提供できる。
【0033】
ディスペンサは通常、ディスペンサ内部に本発明のプロセスを実施するための制御ユニットを備える。さらに詳細には、制御ユニットは、選択された飲料に関する少なくとも1つのユーザの入力に少なくとも部分的に基づいて、原料容器と協働するドーズ装置に命令する。特に、制御ユニットは、2つ以上の乳原料の選択を、ディスペンサに収容された乳原料容器の数及びユーザの入力に関わる各乳原料のドーズ量に応じて制御できる。
【0034】
マシンは、好ましくは、ユーザに情報を提供するため、かつ消費者による入力を受け付けるためのユーザインターフェース画面を備える。ユーザインターフェース画面は、接触感知画面であってよく、かつ/又は接触感知入力部を備えることができる。マシンは、タッチパッド、1つ以上のボタン及び/若しくはスイッチ、又は先行技術で同様の装置などのユーザ入力装置を有していてよい。
【0035】
本発明の特定の実施形態によれば、乳原料は、その脂肪含有量が異なる様々な液状乳濃縮物である。
【0036】
本発明では、以下の用語がある。
−「乳飲料成分」とは、可溶性乳粉末又は液状乳濃縮物を希釈液(通常は水)と混合して生じた飲料である、再構成されたミルクのことであり、
−「乳系飲料」とは、少なくとも乳飲料成分を含む飲料のことであり、
−「非乳飲料成分」とは、コーヒー、茶のようにミルクを含まない飲料、又はココア粉末から再構成されたココアのようにミルクが主成分ではない飲料のことである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の特徴及び利点は、以下の図面に関連してより良好に理解される。
図1】本発明のプロセスを実施するように構成された乳系飲料ディスペンサの概略図である。
図2】本発明のプロセスにより乳系飲料成分を含む多様な飲料を調製し、混合チャンバを実装するように構成された飲料ディスペンサの図である。
図3】本発明のプロセスにより乳系飲料成分を含む多様な飲料を調製し、カップ内混合を実施するように構成された別の飲料ディスペンサの図である。
【0038】
[図面の詳細な説明]
図1は、本発明による乳系飲料を調製するように構成された飲料ディスペンサを示している。ディスペンサは2つの容器1a、1bを備え、それぞれの容器が乳粉末を収容している。容器1a内の粉末は、容器1b内の粉末とは脂肪含有量が異なる。例えば一方の粉末は脂肪含有量が1重量%であり、もう一方の粉末は脂肪含有量が16重量%である。各容器1a、1bは、各乳粉末容器から乳粉末のドーズ量を計り取るための1つのドーズ装置2a、2bと協働する。ドーズ装置2a、2bは、粉末のドーズ量を同じ飲料再構成場所3に供給する。図示したディスペンサでは、飲料再構成場所3は、溶解チャンバ31と溶解チャンバの下流に位置するホイッパチャンバ32とを備え、ホイッパチャンバ内では、ホイッパが粉末と希釈液との混合物を泡立てることができる。ホイッパは、モータ34によって作動する。ホイッパチャンバ32は、乳成分をカップ8内に供給するための出口35を備える。ディスペンサは、水、好ましくは湯のタンク5である希釈液の供給源を備え、このタンクはポンプ4に接続されている。ポンプは、ポンプで吸引された希釈液を再構成場所3に供給する。
【0039】
本発明のプロセスによれば、異なる乳粉末の両方のドーズ量は、溶解チャンバ31内に同時に導入されて乳飲料成分を調製する。
【0040】
ディスペンサは、ドーズ装置2a、2b、ホイッパモータ34及びポンプ4を制御できる制御ユニット7を備える。制御ユニットは、メモリ9に記憶されたコンピュータ実行可能プログラム命令を実行できる。
【0041】
ディスペンサは、表示装置などの入出力装置を備えるユーザインターフェース6を備え、それによって消費者は飲料の選択ができる。好ましくは、制御装置は顧客に、選択可能なレシピR、R、R、Rなどの一覧を表示装置に示す。レシピは、その味、及び/又はその栄養の組成、特にその脂肪含有量が異なっていてよい。第1の工程では、制御装置は顧客に、選択可能なレシピR、R、R、Rの一覧を示すことができ、レシピは、その原料の組成(コーヒーとミルク、ココア、ミルクティーなど)又はその飲料の外観若しくは食感(ホワイトコーヒー、ラッテマキアート、カプチーノ、モカなど)が異なる。別の工程では、制御装置は顧客に、脂肪含有量又は栄養情報(多いか少ないか)に関する選択肢を示すことができる。別の工程では、制御装置は顧客に、味(ミルクの香り、ミルクの風味)に関する選択肢を示すことができる。そのため、最初のレシピ選択に基づいて、制御装置は顧客に、例えば顧客の食事に応じて、その顧客の飲料の脂肪含有量又は栄養情報を選択する選択肢を提供する。別の手法では、制御装置は顧客に、風味の点で飲料の味を選択する選択肢を提供できる。
【0042】
消費者は、表示装置を用いて、例えば表示装置によって提供されるか、あるいは表示装置に関連付けられているボタンを押して、あるいは表示装置がタッチ画面であれば画面に触れて、1つのレシピを選択できる。ユーザインターフェース6は、消費者からの入力61を受信するための手段を備える。入力61は制御ユニット7に伝送され、制御ユニットは、入力61に従って飲料レシピを作成するための該当する処理情報91を得るために、ローカルメモリ9から得ることができるか、又はネットワークを介して少なくとも1つのデータベース9と通信できるか若しくはサーバなどの少なくとも1つのデータ処理資源9と通信できる。制御ユニットは、顧客によって選択されたレシピに従って製品又は飲料を生成してカップ8の中に分配するために、処理情報91を使用して1つ以上のドーズ装置、2a、2b及び/又はポンプ4及び/又はホイップ装置3を制御できる。
【0043】
本発明によれば、処理情報91は、再構成場所3内に同時に計り取って入れられる、容器1a、1bに収容された両方の乳粉末の割合を少なくとも含む。低脂肪含有飲料を調製するために、その割合は、好ましくは、特に顧客が「ミルクリッチ」風味の飲料を選択する可能性もあった場合に、仕上がる調整後飲料の乳成分の脂肪含有量が少なくとも8重量%であるように決定される。実際、このような脂肪含有量は、味覚特性が脱脂乳よりも全脂肪乳に近いことがわかっている。したがって、約8重量%の脂肪分を含む飲料の乳成分は、低脂肪飲料と良好な味の飲料との両方の利点を有する。
【0044】
図2は、図1に記載したような乳飲料成分を調製するためのモジュールの隣に非乳飲料成分を調製するためのモジュールを備えている飲料ディスペンサを示している。飲料ディスペンサは、飲料を調製するための様々な機能部材が設置されているハウジングとともに示されている。特に、ディスペンサは、図1のディスペンサの部材1a、1b、3と、コーヒー成分及び茶又はココアの成分のような非乳成分を調製するための同様の構成部品1’、1”、3’、3”とを備える。例えば、容器1’は、インスタントの茶粉末又はココア粉末を収容でき、再構成チャンバ3’は、これらの粉末の一方から茶又はココアを調製できる。同じように、容器1”及び左隣の容器(図2の左側のパネルに隠れている)は、それぞれインスタントの可溶性コーヒー粉末及びインスタントの可溶性カフェイン抜きコーヒー粉末を収容でき、再構成チャンバ3”は、これらの粉末の一方からコーヒーを調製できる。
【0045】
乳飲料成分及び非乳飲料成分は、異なる再構成チャンバ内で別々に調製され、その後、出口35の1つを通って同じ飲用カップに分配される。ミルク及び非乳飲料成分は、一緒に混合されて消費者によって注文された飲料を生成する。例えばラッテマキアートが注文された場合は、まず、キャニスタ1a及び1dからの異なる乳粉末のドーズ量を希釈液のドーズ量と混合することによって、泡状のミルクが専用の再構成チャンバ3内で調製され、この泡状のミルクは、出口35の1つを通って飲用カップに分配される。次に、キャニスタ1”からの可溶性コーヒー粉末のドーズ量と希釈液のドーズ量とを混合することによって、コーヒーが専用の再構成チャンバ3”内で調製され、このコーヒーは、出口35の1つを通って泡状のミルクの上から飲用カップに分配される。
【0046】
図3は、図1及び図2のディスペンサの代替案を示し、この図では、飲料再構成場所は、混合チャンバの代わりに飲用カップ8である。このようなディスペンサは、カップ内混合を実施する。脂肪含有量が異なる別々の乳粉末は、容器1a、1bに収容される。容器1a、1bは、各乳粉末を計り取るための内蔵型ドーズ装置を備える。乳粉末のドーズ量は、シュート11a、11bを通ってカップ8に供給される。ディスペンサは、少なくとも1つの水の噴流をカップ8に供給して乳粉末を溶解するように構成された希釈液供給部10を備える。国際公開第2012/163727号には、このようなディスペンサの一例が記載されている。図1及び図2に関して記載したプロセスは、ミルクを含む飲料を調製するための図3のディスペンサにも適用される。
【0047】
[実施例]
図2のマシンで4つのラッテマキアートを調製した。このマシンでは、容器1aは脂肪含有量が1重量%である乳粉末を含み、容器1bは脂肪含有量が16重量%の乳粉末を含んでいた。
【0048】
第1のラッテマキアートは、脂肪含有量が16重量%の乳粉末のみを用いて、以下のように調製した。
−脂肪含有量が16重量%の乳粉末18gを70℃の湯150mLと混合してそれをカップに供給し、
−可溶性コーヒー粉末1.6gを70℃の湯30mLと混合してそれをカップに供給した。
【0049】
第2のラッテマキアートは、脂肪含有量が16重量%の乳粉末と脂肪含有量が1重量%の乳粉末との混合物とを用いて、以下のように調製した。
−脂肪含有量が16重量%の乳粉末9g及び脂肪含有量が1重量%の乳粉末9gを70℃の湯150mLと混合してそれをカップに供給し、
−可溶性コーヒー粉末1.6gを70℃の湯30mLと混合してそれをカップに供給した。
【0050】
その際、この第2のラッテマキアートの脂肪含有量は、脂肪含有量が8重量%の1つの乳粉末のみを用いて調製したラッテマキアートの脂肪含有量と同等であった。
【0051】
第3のラッテマキアートは、脂肪含有量が16重量%の乳粉末と脂肪含有量が1重量%の乳粉末との混合物を用いて、以下のように調製した。
−脂肪含有量が16重量%の乳粉末5g及び脂肪含有量が1重量%の乳粉末13gを70℃の湯150mLと混合してそれをカップに供給し、
−可溶性コーヒー粉末1.6gを70℃の湯30mLと混合してそれをカップに供給した。
【0052】
その際、この第3のラッテマキアートの脂肪含有量は、脂肪含有量が5重量%の1つの乳粉末のみを用いて調製したラッテマキアートの脂肪含有量と同等であった。
【0053】
第4のラッテマキアートは、脂肪含有量が1重量%の乳粉末のみを用いて、以下のように調製した。
−脂肪含有量が1重量%の乳粉末18gを70℃の湯150mLと混合してそれをカップに供給し、
−可溶性コーヒー粉末1.6gを70℃の湯30mLと混合してそれをカップに供給した。
【0054】
感覚特性に関して、顧客団は以下のように感じた。
−第1のラッテマキアートと第2のラッテマキアートとは有意な差がない。
−第1のラッテマキアートと第3のラッテマキアートとは、特に全体の香りの点で有意な差がある。
−最初の3つのラッテマキアートからなる群と脱脂乳(脂肪含有量1重量%)のみを用いて調製した第4のラッテマキアートとは、特にミルクの香り及びミルクの風味の点、並びに苦み及びコーヒー風味の点でも極めて有意な差がある。
【0055】
したがって、1%の脂肪含有量の乳粉末のみを用いて調製した飲料のみが、他とは異なる顕著な味を示した。
さらに、3つのラッテマキアートは、以下の栄養上の特徴を示した。
【0056】
【表1】
【0057】
これらの結果から、以下が明らかになった。
−第1及び第2のラッテマキアートは感覚特性が同じであったが、第2のラッテマキアートはエネルギーが9.7%低かった。
−第3のラッテマキアートは、第4のラッテマキアートよりも第1のラッテマキアートに近い感覚特性を示したが、その脂肪含有量は第1のラッテマキアートの方に近かった。この意外な結果は、高脂肪含有の乳系飲料に近い味覚特性を有する低エネルギーの乳系飲料を提供する場合に特に興味深い。
図1
図2
図3