(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発泡成形体)
発泡成形体は、非架橋のオレフィン系エラストマーを含み、かつ鉱物性油を含まない発泡粒子の融着体から構成される。
融着体を構成する発泡粒子(以下、融着発泡粒子ともいう)は、非架橋のオレフィン系エラストマーを基材樹脂として含む。本明細書において、非架橋とは、キシレンのような溶解可能な有機溶剤に不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。ゲル分率は以下のように測定した値である。
【0013】
非架橋のオレフィン系エラストマーの樹脂粒子の質量W1を測定する。次に沸騰キシレン80ミリリットル中に非架橋のオレフィン系エラストマーの樹脂粒子を3時間還流加熱する。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて非架橋のオレフィン系エラストマーの樹脂粒子のゲル分率を算出することができる。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
また、融着発泡粒子は、芳香族環、ナフテン環、パラフィン鎖等の鉱物性油を含まない。含まないことにより、成形時の発泡粒子間の溶着不良を抑制できる。
発泡成形体は、0.015〜0.5g/cm
3の密度を有するのが好ましい。この範囲であれば、柔軟性と回復性とを良好なバランスで両立できる。密度は0.03〜0.2g/cm
3でもよい。密度は、0.015g/cm
3、0.02g/cm
3、0.03g/cm
3、0.04g/cm
3、0.05g/cm
3、0.1g/cm
3、0.15g/cm
3、0.2g/cm
3、0.3g/cm
3、0.4g/cm
3、0.5g/cm
3を取りえる。
また、発泡成形体は、25%以下の圧縮永久ひずみを有することが好ましい。この範囲であれば、柔軟性と回復性とを良好なバランスで両立できる。圧縮永久ひずみは6%以下でもよい。圧縮永久ひずみは、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%を取りえる。
更に、発泡成形体は、5〜70の表面硬度(C)を有することが好ましい。この範囲であれば、柔軟性と回復性とを良好なバランスで両立できる。表面硬度(C)は10〜35でもよい。表面硬度(C)は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70を取りえる。
【0014】
(1)非架橋のオレフィン系エラストマー
非架橋のオレフィン系エラストマーは、鉱物性油非含有下で、発泡成形体に所定の密度と圧縮永久ひずみを与え得る限り特に限定されない。非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するものが挙げられる。このような構造は、常温でゴム弾性を示し、高温では可塑化され成形可能となるという性質を与える。
例えば、ハードセグメントがポリプロピレン系樹脂であり、ソフトセグメントがポリエチレン系樹脂である非架橋のオレフィン系エラストマーが挙げられる。
【0015】
前者のポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリプロピレンとしては、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック等から選択される立体規則性を有していてもよい。
後者のポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリエチレン以外の成分としてはポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンが挙げられる。
【0016】
非架橋のオレフィン系エラストマーには、軟化剤が含まれていてもよい。軟化剤としては、たとえば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
【0017】
非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリプロピレン系樹脂と、ソフトセグメントとなるポリエチレン系樹脂とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマーが挙げられる。
【0018】
なお、非架橋のオレフィン系エラストマーは、製造された発泡成形体のリサイクル性を向上できるという効果も奏する。また、通常のポリオレフィン系樹脂を発泡成形する場合と同様の発泡機での製造が容易である。従って、発泡成形体をリサイクルし再び発泡機へ供給して発泡成形をする場合でも、ゴム成分の発生による発泡不良を抑制できる。
【0019】
非架橋のオレフィン系エラストマーは、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定において得られた2920±20cm
−1の範囲の最大ピーク(A2920cm
−1)と1376±20cm
−1の範囲の最大ピーク(A1376cm
−1)の吸光度比(A2920cm
−1/A1376cm
−1)が1.20〜10の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が1.20未満の場合、発泡成形体の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。10より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は0.20〜5である。吸光度比は、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0を取りえる。
【0020】
また、非架橋のオレフィン系エラストマーは、FT−IR測定において得られた1376±20cm
−1の範囲の最大ピーク(A1376cm
−1)と720±20cm
−1の範囲の最大ピーク(A720cm
−1)の吸光度比(A720cm
−1/A1376cm
−1)が0.02〜0.5の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が0.02未満の場合、発泡成形体の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。0.5より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は0.05〜0.4である。吸光度比は、0.02、0.05、0.1、0.14、0.18、0.22、0.26、0.3、0.34、0.38、0.4、0.44、0.48、0.5を取りえる。
【0021】
なお、赤外吸収スペクトルから得られる2920cm
−1での吸光度A2920cm
−1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖に含まれるメチレン基のC−H伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度を、1376cm
−1での吸光度A1376cm
−1は、オレフィン系エラストマー中に含まれる−C−CH
3部位のC−H
3対称変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度をそれぞれ意味している。従って、この吸光度比を測定すれば、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。また720cm
−1での吸光度A720cm
−1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖の骨格振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。前記の2920±20cm
−1の範囲の最大ピークとの吸光度比を測定することでも、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。
【0022】
非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアA硬度が30〜100であることが好ましく、40〜90であることがより好ましい。ショアA硬度は50〜100や60〜90であってもよい。ショアA硬度は、30、40、50、60、70、80、90、100を取りえる。非架橋のポリオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(JIS K6253:97)に準拠して測定される。
また非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアD硬度が10〜70であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。ショアD硬度は、10、20、30、40,50、60、70を取りえる。非架橋のポリオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(ASTM D2240:95)に準拠して測定される。
非架橋のポリオレフィン系エラストマーは、融点が80〜180℃であることが好ましく、90〜170℃であることがより好ましい。融点は、80℃、100℃、120℃、140℃、160℃、180℃を取りえる。
【0023】
基材樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、非架橋のオレフィン系エラストマー以外に、架橋オレフィン系エラストマーのような他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよい。
基材樹脂の形状は、特に限定されず、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状等が挙げられる。
【0024】
基材樹脂は、0.5〜8.0mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、基材樹脂のガス保持性が低いため、発泡することが困難なことがある。8.0mmより大きい場合、発泡させた際、内部まで熱が伝わらないため、融着発泡粒子に有芯が生じてしまうことがある。より好ましい平均粒子径は、1.0〜6.0mmである。
【0025】
(GPC)
上記TPOシリーズのエラストマーのGPCチャートは、単一のピークを示している。このことは、TPOシリーズのエラストマーが、複数のポリマーの混合物ではなく、実質的に単一のポリマーからなることを示唆していると推察できる。
なお、GPCチャートから各種平均分子量が得られる。R110Eの数平均分子量Mnは約14万、重量平均分子量Mwは約450万であり、R110MPのMnは約13万、Mwは約38万であり、T310EのMnは約13万、Mwは約44万であり、M142EのMnは約9万、Mwは約30万である。
【0026】
(2)発泡成形体の製造方法
発泡成形体は、発泡粒子を型内成形させて得られ、複数の発泡粒子の融着体から構成される。例えば、多数の小孔を有する閉鎖金型内に発泡粒子を充填し、加圧水蒸気で発泡粒子を加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させ、一体化させることにより得ることができる。その際、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して、発泡成形体の密度を調整できる。
【0027】
更に、発泡粒子に不活性ガスを含浸させて、発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。発泡力を向上させることにより、型内成形時に発泡粒子同士の融着性が向上し、発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0028】
発泡粒子に不活性ガスを含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス雰囲気下に発泡粒子を置くことによって、発泡粒子中に不活性ガスを含浸させる方法が挙げられる。発泡粒子は、金型内に充填する前に不活性ガスが含浸されてもよいが、発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス雰囲気下に置くことで含浸されてもよい。なお、不活性ガスが窒素である場合、0.1〜2.0MPaの窒素雰囲気中に発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
【0029】
発泡粒子に不活性ガスを含浸させた場合、発泡粒子をこのまま、金型内にて加熱、発泡させてもよいが、発泡粒子を金型内に充填する前に加熱、発泡させて、高発泡倍率の発泡粒子とした上で金型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような高発泡倍率の発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率の発泡成形体を得ることができる。
また、発泡粒子の製造時に、合着防止剤を用いた場合、発泡成形体の製造時に、合着防止剤が発泡粒子に付着したまま成形を行ってもよい。また、発泡粒子相互の融着を促進するために、合着防止剤を成形工程前に洗浄して除去してもよく、除去するかせずして成形時に融着促進剤としてのステアリン酸を添加してもよい。ここで、合着防止剤は、成形時の発泡粒子の融着を促進する観点から除去しておくことが好ましい。
【0030】
(3)発泡成形体の用途
発泡成形体は、例えば、鉄道車両、飛行機及び自動車用の座席シート芯材、ベッド、クッション等に用いることができる。
【0031】
(発泡粒子)
発泡粒子は、上記発泡成形体の製造に使用可能であれば特に限定されない。発泡粒子は、非架橋のオレフィン系エラストマーを含み、かつ鉱物性油を含まない発泡粒子を使用できる。
(1)発泡粒子の形状等
発泡粒子は、0.015〜0.5g/cm
3の範囲の嵩密度を有する。嵩密度が0.015g/cm
3未満の場合、得られる発泡成形体に収縮が発生して外観が良好とならずかつ発泡成形体の機械的強度が低下することがある。0.5g/cm
3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。好ましい嵩密度は0.02〜0.45g/cm
3であり、更に好ましい嵩密度は0.013〜0.40g/cm
3である。嵩密度は0.03〜0.2g/cm
3としてもよい。
【0032】
発泡粒子の形状は、特に限定されず、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状等が挙げられる。
発泡粒子は、1.0〜15mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が1.0mm未満の場合、発泡粒子の製造自体が困難でありかつ製造コストが増大することがある。15mmより大きい場合、型内成形により発泡成形体を作製する際に金型への充填性が低下することがある。
【0033】
発泡粒子は、クッションの充填材ではそのまま使用でき、また型内発泡させるための発泡成形体の原料として使用できる。発泡成形体の原料として用いられる場合、通常、発泡粒子を「予備発泡粒子」と称し、それを得るための発泡を「予備発泡」と称する。
【0034】
(2)発泡粒子の製造方法
発泡粒子は、非架橋のオレフィン系エラストマーを含む樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程(含浸工程)と、発泡粒子を発泡させる工程(発泡工程)とを経て得ることができる。
【0035】
(a)含浸工程
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。
例えば、押出機を使用して非架橋のオレフィン系エラストマー樹脂を溶融混練し、次いで押出、水中カット、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、非架橋のオレフィン系エラストマーが十分に軟化する温度である、170〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱伝対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
【0036】
樹脂粒子の形状は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状である。
樹脂粒子は、0.5〜6mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mmより小さい場合、含浸させた発泡剤の逸散が早くなり、所望の密度まで発泡させることが困難になることがある。6mmより大きい場合、発泡時に粒子の中心部まで均一に熱が伝わらず、有芯の発泡粒子となってしまうことがある。
【0037】
樹脂粒子には、気泡調整剤が含まれていてもよい。
気泡調整剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤等が挙げられる。これら気泡調整剤は、複数種組み合わせてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0038】
樹脂粒子は、他に、難燃剤、着色剤、結合防止剤、帯電防止剤、展着剤、可塑剤、難燃助剤、充填剤、滑剤等を含んでいてもよい。
難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等が挙げられる。
結合防止剤(合着防止剤)としては、タルク、炭酸カルシウム、及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、及びシリコンオイル等が挙げられる。
【0039】
(b)発泡性粒子
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造する。なお、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法としては、公知の方法を用い得る。例えば、オートクレーブ内に、樹脂粒子、分散剤及び水を供給して撹拌することによって、樹脂粒子を水中に分散させて分散液を製造し、この分散液中に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
【0040】
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム等の難水溶性無機物や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような界面活性剤が挙げられる。
発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、空気、窒素及び二酸化炭素(炭酸ガス)等の無機ガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;ハロゲン化炭化水素が挙げられ、無機ガスが好ましい。なお、発泡剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0041】
樹脂粒子に含浸させる発泡剤の量は、樹脂粒子100質量部に対して、1.5〜6.0質量部であることが好ましい。1.5質量部未満であると、発泡力が低くなり、高い発泡倍率では、良好に発泡させることが困難である。発泡剤の含有量が6.0質量部を超えると、気泡膜の破れが生じやすくなり、可塑化効果が大きくなりすぎて、発泡時の粘度が低下しやすくなり、かつ収縮が起こりやすくなる。より好ましい発泡剤の量は2.0〜5.0質量部である。この範囲内であれば、発泡力を十分に高めることができ、高い発泡倍率であっても、より一層良好に発泡させることができる。
【0042】
樹脂粒子100質量部対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)は、以下のようにして測定される。
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の質量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の質量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
【0043】
発泡剤の含有量(質量部)=((Y−X)/X)×100
樹脂粒子への発泡剤の含浸温度は、低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。含浸温度は、−20〜120℃が好ましく、−15〜110℃がより好ましい。発泡助剤(可塑剤)を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤(可塑剤)としては、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
【0044】
(c)発泡工程
発泡工程では、発泡性粒子を発泡させて、発泡粒子を得ることができれば発泡温度、加熱媒体は特に限定されない。
発泡工程において、発泡性粒子に、無機成分を添加することが好ましい。無機成分としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物粒子が挙げられる。発泡性粒子100質量部に対して、無機成分の添加量は好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、好ましくは0.2質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0045】
高圧蒸気下で発泡を行う場合には、有機系の合着防止剤を用いると、発泡時に溶融してしまい、十分な効果が得られ難い。一方、炭酸カルシウムのような無機系の合着防止剤は、高圧蒸気加熱下でも十分な合着防止効果を有する。
無機成分の粒子径は、好ましくは5μm以下である。無機成分の粒子径の最小値は、0.01μm程度である。無機成分の粒子径が上限以下であると、無機成分の添加量を少なくすることができ、無機成分が後の成形工程に悪影響(阻害)を与えにくくなる。
なお、発泡前に、樹脂粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムを塗布してもよい。この塗布により、発泡工程における樹脂粒子同士の結合を減少できる。また、帯電防止剤、展着剤等の表面処理剤を塗布してもよい。
【実施例】
【0046】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<吸光度比>
樹脂粒子の吸光度比(A2920cm
−1/A1376cm
−1、A720cm
−1/A1376cm
−1)を次の要領で測定する。
無作為に選択した10個の各樹脂粒子について、赤外分光分析ATR測定法により表面分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。
この分析では、試料表面から数μm(約2μm)までの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られる。
各赤外吸収スペクトルから吸光度比(A2920cm
−1/A1376cm
−1、A720cm
−1/A1376cm
−1)を算出する。吸光度A2920cm
−1、A1376cm
−1及びA720cm
−1は、Thermo SCIENTIFIC社から商品名「フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10」で販売されている測定装置に、ATRアクセサリーとしてThermo SCIENTIFIC社製「Smart−iTR」を接続して測定する。以下の条件にてATR−FTIR測定を行う。
【0047】
<測定条件>
・測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIFIC社製)及び
一回反射型水平状ATR Smart−iTR(Thermo SCIENTIFIC社製)
・ATRクリスタル:Diamond with ZnSe lens、角度=42°
・測定法:一回ATR法
・測定波数領域:4000cm
−1〜650cm
−1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター
・分解能:4cm
−1
・積算回数:16回(バックグランド測定時も同様)
【0048】
ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、ATRアクセサリーの「Smart−iTR」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行なう。
以上の条件で得られた赤外線吸収スペクトルは、次のようにピーク処理をしてそれぞれのA2920cm
−1、A1376cm
−1及びA720cm
−1を求めている。赤外吸収スペクトルから得られる2920cm
−1での吸光度A2920cm
−1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖に含まれるメチレン基のC-H伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、2920cm
−1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離は実施していない。吸光度A2920cm
−1は、3080cm
−1と2750cm
−1を結ぶ直線をベースラインとして、3080cm
−1と2750cm
−1間の最大吸光度を意味する。
【0049】
また、1376cm
−1での吸光度A1376cm
−1は、オレフィン系エラストマー中に含まれる−C-CH
3部位のCH
3対称変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、1376cm
−1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離は実施していない。吸光度A1376cm
−1は、1405cm
−1と1315cm
−1を結ぶ直線をベースラインとして、1405cm
−1と1315cm
−1間の最大吸光度を意味する。また720cm
−1での吸光度A720cm
−1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖の骨格振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、720cm
−1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離は実施していない。吸光度A720cm
−1は、777cm
−1と680cm
−1を結ぶ直線をベースラインとして、777cm
−1と680cm
−1間の最大吸光度を意味する。
【0050】
<結晶化温度>
非架橋のポリオレフィン系エラストマーの結晶化温度はJIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持し、−40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質はアルミナを用いる。
本発明において、結晶化温度とは、装置付属の解析ソフトを用いて、Cooling過程にみられる最も高温側の結晶化ピークのトップの温度を読みとった値である。
【0051】
<融点>
非架橋のポリオレフィン系エラストマーの融点はJIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持し、−40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minとし、基準物質としてアルミナを用いる。本発明において、融点とは、装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる最も高温側の融解ピークのトップの温度を読みとった値である。
【0052】
<ショアA硬度>
ショアA硬度は、デュロメータ硬さ試験(JIS K6253:97)に準拠して測定される。
<発泡粒子の嵩密度>
先ず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cm
3を一定にし、その質量と体積を測定し、下記式に基づいて発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0053】
<発泡粒子の平均粒子径>
発泡粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き16.00mm、13.20mm、11.20mm、9.50mm、8.00mm、6.70mm、5.60mm、4.75mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.50mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mmのJIS標準篩で5分間分級する。篩網上の試料質量を測定し、その結果から得られた累積質量分布曲線を元にして累積質量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
【0054】
<圧縮永久ひずみ(回復性)>
圧縮永久ひずみ試験(JIS K6767:1999)に準拠して測定した。
具体的には発泡成形体から切り出した縦50mm×横50mm×厚み25mmの直方体状の試験片を、圧縮永久歪測定板(高分子計器(株)製)を用いてJIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で22時間25%圧縮した状態に保ち、圧縮解放後24時間後の試験片厚みを測定し、次式により圧縮永久歪(CS(%))を測定する。
圧縮永久歪率CS(%)={(t0−t1)/t0×100}
t0;試験片の原厚み(mm)
t1;試験片を圧縮装置から取り出し24時間経過した後の厚さ(mm)
【0055】
<表面硬度>
高分子計器社製のデュロメーター(タイプC)を用いて、発泡成形体の表面硬度を測定する。表面硬度の測定は、発泡粒子の融着部に近い領域は避け、1つの発泡粒子表面で行う。表面硬度は5点の測定値の平均値である。本明細書では、表面硬度を柔軟性の指標として使用する。
【0056】
<圧縮応力>
JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」記載の方法により測定した。すなわちテンシロン万能試験機UCT−10T((株)オリエンテック製)、万能試験機データ処理(UTPS−237ソフトブレーン(株)製)を用いて、試験体サイズは断面50mm×50mm×厚み25mmで圧縮速度を2.5mm/分、変位原点を圧縮弾性率の交点として圧縮強さ(圧縮弾性率、5%変形圧縮応力、10%変形圧縮応力、25%変形圧縮応力、50%変形圧縮応力)を測定した。試験片の数は最少5個とし、試験片をJIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。
(圧縮強さ)
圧縮強さは次式により算出する。
σ
m=Fm/A
0×10
3
σ
m :圧縮強さ(kPa)
Fm :変形率10%以内に到達した最大の力(N)
A
0 :試験片の初めの断面積(mm
2)
【0057】
(5%(10%,25%,50%)変形圧縮応力)
5%変形圧縮応力は次式により算出する。
σ
5(10,25,50)=F
5(10,25,50)/A0×10
3
σ
5(10,25,50):5%(10%,25%,50%)変形圧縮応力(kPa)
F
5(10,25,50):5%(10%,25%,50%)変形時の力(N)
A0:試験片の初めの断面積(mm
2)
・()内は10%、25%、50%の条件です
(圧縮弾性率)
圧縮弾性率は、荷重−変形曲線の始めの直線部分を用いて次式により計算する。
E=Δσ/Δε
E :圧縮弾性率(kPa)
Δσ:直線上の2点間の応力の差(kPa)
Δε:同じ2点間の変形の差(%)
【0058】
実施例1
(1)含浸工程
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO R110E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度78)を容量5Lの圧力容器内で密閉し、圧力計が4.0MPaを示すまで炭酸ガスを圧入した。その後、温度20℃の環境下で48時間静置し、オレフィン系熱可塑性エラストマーの樹脂粒子に炭酸ガスを含浸した。上述の方法により、オレフィン系熱可塑性エラストマーに含浸された炭酸ガスのガス量は4.53質量%であった。
(2)発泡工程
得られた樹脂粒子を水蒸気で105〜108℃に予熱した発泡機に投入し、攪拌しながら105〜108℃で10秒間加熱することで発泡粒子を得た。
(3)成形工程
得られた発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を、30mm×300mm×400mmの成形金型内に充填し、0.14MPaの水蒸気で34秒間加熱を行い、次いで発泡成形体の面圧が0.01MPa以下になるまで冷却することで発泡成形体を得た。
【0059】
実施例2
発泡工程における加熱時間を25秒に変更し、成形工程における加熱時間を22秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
【0060】
実施例3
(4)2回発泡工程
発泡工程で得られた発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を水蒸気で105〜108℃に予熱した発泡機に投入し、攪拌しながら105〜108℃で10秒間加熱することで2回発泡粒子を得た。
成形工程の前に2回発泡工程を実施したこと以外は実施例2と同様にして発泡成形体を得た。
【0061】
実施例4
押出機を使用してオレフィン系エラストマー樹脂を溶融混練し、次いで押出、水中カットにより造粒することによって得られた平均粒子径が1.6mmの樹脂粒子を使用し、発泡工程における加熱時間を8秒に変更し、成形工程における水蒸気圧力を0.10MPa、加熱時間30秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例5
押出機を使用してオレフィン系エラストマー樹脂を溶融混練し、次いで押出、水中カットにより造粒することによって得られた平均粒子径が1.6mmの樹脂粒子を使用し、発泡工程における加熱時間を15秒に変更し、成形工程における水蒸気圧力を0.10MPa、加熱時間30秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
【0062】
実施例6
押出機を使用してオレフィン系エラストマー樹脂を溶融混練し、次いで押出、水中カットにより造粒することによって得られた平均粒子径が1.6mmの樹脂粒子を使用し、発泡工程における加熱温度を110〜115℃、加熱時間を15秒に変更し、成形工程における水蒸気圧力を0.10MPa、加熱時間30秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例7
押出機を使用してオレフィン系エラストマーであるTPO R110E(プライムポリマー社製)を溶融混練し、次いで押出、水中カットにより造粒することによって得られた平均粒子径が1.3mmの樹脂粒子を使用し、発泡工程における加熱温度を110〜115℃、加熱時間を15秒することで発泡粒子を得た。2回発泡工程において、得られた発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を水蒸気で105〜108℃に予熱した発泡機に投入し、攪拌しながら105〜108℃で10秒間加熱することで2回発泡粒子を得た。得られた2回発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を、30mm×300mm×400mmの成形金型内に充填し、0.1MPaの水蒸気で30秒間加熱を行い、次いで発泡成形体の面圧が0.01MPa以下になるまで冷却することで発泡成形体を得た。
実施例8
2回発泡工程において圧力容器内に窒素ガスを圧力計が3.0MPaを示すまで圧入したこと以外は実施例7と同様にして発泡成形体を得た。
【0063】
実施例9
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO T310E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアD硬度35)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例10
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO T310E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアD硬度35)を使用し、発泡工程における加熱温度を115〜120℃、加熱時間を30秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例11
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO T310E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアD硬度35)を使用し、発泡工程における加熱温度を115〜120℃、加熱時間を30秒に変更したこと以外は実施例3と同様にして発泡成形体を得た。
実施例12
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO M142E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度75)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
【0064】
実施例13
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO M142E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度75)を使用し、発泡工程における加熱温度を110〜115℃、加熱時間を20秒に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例14
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO M142E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度75)を使用したこと以外は実施例3と同様にして発泡成形体を得た。
実施例15
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO R110MP(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度68)を使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
【0065】
比較例1
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO R110E(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm、ショアA硬度78)を使用し、2回発泡工程において圧力容器内に窒素ガスを圧力計が4.0MPaを示すまで圧入したこと以外は実施例3と同様にして発泡成形体を得た。
比較例2
非エラストマーの熱可塑性ポリプロピレン樹脂であるE200GP(プライムポリマー社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、発泡を行ったが良好なサンプルは得られなかった。
比較例3
非エラストマーの熱可塑性ポリエチレン樹脂であるノバテックLC600A(日本ポリプロ社製)の樹脂粒子(平均粒子径5mm)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、発泡を行ったが良好なサンプルは得られなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
実施例1〜15と比較例1〜3とから、発泡成形体が、非架橋のオレフィン系エラストマーを含み、かつ鉱物性油を含まない発泡粒子の融着体から構成され、0.015〜0.5g/cm
3の密度と25%以下の圧縮永久ひずみとを有することで、柔軟性及び回復性に優れた発泡成形体を提供できることが分かる。
【0068】
(実施例
及び比較例で使用した樹脂の分析)
実施例
及び比較例で使用した
6種の樹脂のFT−IRチャートを
図1〜6に示す。得られたチャートから算出したA2920cm
-1/A1376cm
-1とA720cm
-1/A1376cm
-1の値を表2に示す。
【0069】
【表2】