【文献】
Reproductive Biology and Endocrinology,2009年 5月18日,Vol.7, No.47,DOI:10.1186/1477-7827-7-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
免疫応答調節化合物がN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド又はその医薬的に許容される塩を含む、請求項1〜請求項16のいずれか1項の製剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、いくつかの態様において、局在化した組織領域内に注射により沈着し得て、局所的に活性なIRM化合物を延長された期間提供することが可能である、免疫応答調節剤(IRM)の方法及び製剤へ向けられる。本明細書に記載される製剤では、特にIRM化合物の高度の安定性が示される。
【0020】
一般に、本発明の製剤は、エタノール、ゴマ油、及び以下の式(I):
【0022】
[式中:
Xは、−O−によって中断又は終結されてもよい8個までの炭素原子を有するアルキレンであり;
R
2は、水素、アルキル、アルコキシアルキレニル、アルキルアミノアルキレニル、又はヒドロキシアルキレニルであり;
Yは、−C(O)−又は−S(O)
2−であり;
R
1は、1以上の不飽和炭素−炭素結合が含まれてもよい、11〜23個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であり;そして
Rは、水素、ハロゲン、又はヒドロキシルである]を有するIRM化合物又はその医薬的に許容される塩を含む。
【0023】
本明細書に使用するように、「アルキル」、「アルケニル」、及び接頭語「アルク−(alk-)」という用語には、直鎖基及び分岐鎖基の両方と環式基(例、シクロアルキル及びシクロアルケニル)が含まれる。他に断らなければ、これらの基は、1〜23個の炭素原子を含有し、アルケニル基は、2〜23個の炭素原子を含有する。いくつかの態様において、これらの基は、全部で20個までの炭素原子、18個までの炭素原子、16個までの炭素原子、10個までの炭素原子、8個までの炭素原子、7個までの炭素原子、6個までの炭素原子、又は4個までの炭素原子を有する。環式基は、単環式又は多環式であり得て、好ましくは、3〜10個の環炭素原子を有する。例示の環式基には、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルと、置換及び未置換のボルニル、ノルボルニル、及びノルボルネニルが含まれる。
【0024】
他に断らなければ、「アルキレン」と「アルケニレン」は、上記に定義した「アルキル」基と「アルケニル」基の二価型である。「アルキレニル」と「アルケニレニル」という用語は、「アルキレン」と「アルケニレン」がそれぞれ置換される場合に使用される。例えば、アルコキシアルキレニル基は、アルコキシ基が付いたアルキレン部分を含む。
【0025】
炭素原子が−O−によって「中断」されてもよいアルキレン基とは、−O−のいずれの側にも炭素原子を有することに言及する。例は、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−である。
【0026】
炭素原子が−O−によって「終結」されてもよいアルキレン基とは、アルキレン基又は炭素原子鎖の一方の端に−O−を有することに言及する。例には、−O−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−と−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−O−が含まれる。本発明で使用される化合物において、Xが−O−によって終結される8個までの炭素原子を有するアルキレンである場合、この−O−は、イミダゾール環の窒素、又はアミド(Yが−C(O)−である)若しくはスルホンアミド(Yが−S(O)
2−である)基の窒素のいずれへ連結してもよい。
【0027】
本発明には、本明細書に記載されるIRM化合物(中間体が含まれる)が、固体、半固体、溶媒和物(例、水和物)、異性体(例、ジアステレオマー及びエナンチオマー)、塩、多形、プロドラッグ、等を含めて、その医薬的に許容される形態のいずれでも含まれる。特に、ある化合物が光学活性であれば、本発明には、特に、該化合物の各エナンチオマー、並びにそのエナンチオマーのラセミ混合物が含まれる。「化合物」という用語には、明確に述べても述べなくても、そのような形態のありとあらゆるものが含まれると理解されたい(但し、「塩」については、明確に述べられる場合もある)。
【0028】
当業者によって理解されるように、式Iが含まれる、本明細書に提示される化合物のいずれでも、その態様のいずれにもおける以下の変数(例、X、R
2、R、等)のそれぞれは、それらの態様のいずれにもおける他の変数のどの1以上とも組み合わされて、本明細書に記載される式のいずれとも関連することができる。生じる変数の組合せのそれぞれは、本発明の態様である。
【0029】
いくつかの態様において、Xは、−O−によって中断又は終結されてもよい8個までの炭素原子を有するアルキレンである。
【0030】
いくつかの態様において、Xは、−O−によって中断又は終結されてもよい4個までの炭素原子を有するアルキレンである。
【0031】
いくつかの態様において、Xは、−O−C
2−8アルキレン(例、−O−C
2−5アルキレン)である。これらの態様において、−O−は、イミダゾール環の窒素へ直接付く。
【0032】
いくつかの態様において、Xは、−O−C
3−8アルキレン(例、−O−C
3−5アルキレン)である。これらの態様において、−O−は、イミダゾール環の窒素へ直接付く。
【0033】
いくつかの態様において、Xは、−C
1−8アルキレン(例、−C
2−5アルキレン)である。
【0034】
いくつかの態様において、Xは、−O−によって中断される−C
2−8アルキレン(例、−C
2−5アルキレン)である。
【0035】
いくつかの態様において、Xは、−C
3−8アルキレン(例、−C
3−5アルキレン)である。
【0036】
いくつかの態様において、Xは、−O−ブチレン(例、−O−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)である。これらの態様において、−O−は、イミダゾール環の窒素へ直接付く。
【0037】
いくつかの態様において、Xは、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−である。
【0038】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、水素、アルキル、アルコキシアルキレニル、アルキルアミノアルキレニル、又はヒドロキシアルキレニルである。
【0039】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、水素、アルキル、アルコキシアルキレニル、又はヒドロキシアルキレニルである。
【0040】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、水素、アルキル、又はアルコキシアルキレニルである。
【0041】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシメチル、メトキシメチル、エチルアミノメチル、又は2−メトキシエチルである。
【0042】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシメチル、メトキシメチル、又は2−メトキシエチルである。
【0043】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、エチル、ブチル、エトキシメチル、又は2−メトキシエチルである。
【0044】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、C
1−4アルキルである。
【0045】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、ブチル(例、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
3)である。
【0046】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、エトキシメチル(例、−CH
2−O−CH
2−CH
3)である。
【0047】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、2−メトキシエチル(例、−CH
2−CH
2−O−CH
3)である。
【0048】
Xが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
2は、エチルアミノメチル(例、−CH
2−NH−CH
2−CH
3)である。
【0049】
X又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、又はアルコキシである。
【0050】
X又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Rは、ハロゲン又はヒドロキシルである。
【0051】
X又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Rは、水素である。
【0052】
X又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Rは、ハロゲンである。いくつかの態様において、Rは、フッ素、塩素、又は臭素である。
【0053】
X、R、又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Yは、−C(O)−又は−S(O)
2−である。
【0054】
X、R、又はR
2が定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、Yは、−C(O)−である。
【0055】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、1以上の不飽和炭素−炭素結合が含まれてもよい、11〜23個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族基(例、−(CH
2)
7−CH=CH−(CH
2)
7−CH
3、−(CH
2)
7−CH=CH−(CH
2)
5−CH
3、−(CH
2)
9−CH=CH−(CH
2)
5−CH
3、−(CH
2)
6−(CH
2−CH=CH)
2−(CH
2)
4−CH
3、−(CH
2)
6−(CH
2−CH=CH)
3−CH
2−CH
3、又は−(CH
2)
2−(CH
2−CH=CH)
4−(CH
2)
4−CH
3)である。
【0056】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、C
11−C
23アルキルである。
【0057】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、C
15−C
23アルキルである。
【0058】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、C
15−C
19アルキルである。
【0059】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、C
15−C
17アルキルである。
【0060】
X、R、R
2、又はYが定義されている、式Iの上記態様のいずれも含まれるいくつかの態様において、R
1は、C
17アルキルである。
【0061】
式Iのいくつかの態様において、Xは、−O−C
3−5アルキレンであって、R
2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシメチル、メトキシメチル、又は2−メトキシエチルである。
【0062】
式Iのいくつかの態様において、Xは、−O−ブチレンであって、R
2は、ブチルである。
【0063】
式Iのいくつかの態様において、R
1は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
【0064】
式Iのいくつかの態様において、R
1は、直鎖アルキル基である。
【0065】
いくつかの態様において、式Iの化合物は、N−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド:
【0067】
又はその医薬的に許容される塩である。
【0068】
本発明の製剤において使用されるIRM化合物は、特に本明細書に含まれる記載の観点から、化学の技術分野でよく知られた方法に類似したものが含まれる合成経路によって合成し得る。出発材料は、一般に、アルドリッチ・ケミカルズ(ウィスコンシン州ミルウォーキー、アメリカ)のような商品供給元より入手可能であるか、又は当業者によく知られた方法を使用して容易に製造される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser「有機合成試薬(Reagents for Organic Synthesis)1-19 巻、ワイリー、ニューヨーク(1967-1999 年度版);Alan R. Katritsky, Otto Meth-Cohn, Charles W. Rees「有機官能基変換総論(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)」1-6 巻、ペルガモン・プレス、オックスフォード、イングランド(1995);Barry M. Trost and Ian Fleming「有機合成総説(Comprehensive Organic Synthesis)」1-8 巻、ペルガモン・プレス、オックスフォード、イングランド(1991);又は、「バイルシュタインの有機化学ハンドブック(Beilsteins Handbuch der organischen Chemie)」4, Aufl(監修)、シュプリンガー・フェアラーク、ベルリン、ドイツ(補遺を含む)(バイルシュタイン・オンライン・データベースからも利用可能)において概説される方法によって製造される)。
【0069】
式Iの化合物を製造するのに有用な個々の反応工程のより詳しい記載については、例えば、米国特許第7,799,800号;及び米国特許公開公報番号2013/0230578を参照のこと。
【0070】
式Iの化合物は、先行技術において記載される前進性中間化合物からも製造することができる。式Iの化合物は、国際特許出願番号WO2012/167081の反応スキームII、III、及びIVにそれぞれ記載される式XIV、XXIV、及びXXXVIの前進性中間化合物より製造することができる。式Iの化合物は、いずれも米国特許第6,451,810号に記載されている、反応スキームIの式VIIの前進性中間化合物又は反応スキームIIの式VIIIの前進性中間化合物からも製造することができる。国際特許出願番号WO2012/167081と米国特許第6,451,810号には、上記の前進性中間化合物を製造するための合成手順も記載されている。
【0071】
Xが−C(O)−である式Iの化合物は、米国特許第6,451,810号の反応スキームII〜IIIに記載される手順を使用して、上記の前進性中間化合物を適切なカルボン酸又はカルボン酸塩化物の化合物と反応させることによって製造することができる。Xが−C(O)−である、好ましい式Iの化合物は、以下のカルボン酸(又は対応するカルボン酸塩化物の誘導体)を使用して製造することができる:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸。Xが−C(O)−であってR1が不飽和脂肪族基(即ち、1以上の不飽和炭素−炭素結合を有する脂肪族基)である式Iの化合物は、オレイン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、又はアラキドン酸のような不飽和脂肪酸から製造することができる。
【0072】
Xが−S(O)
2−である式Iの化合物は、米国特許第6,331,539号の反応スキームIIに記載される手順を使用して、上記の前進性中間化合物を適切な塩化スルホニルと反応させることによって製造することができる。
【0073】
当業者には、本発明の化合物を合成するのに他の合成経路も使用し得ることが理解されよう。
【0074】
本発明の製剤に使用されるIRM化合物の製造時には、中間体上の他の官能基を反応させる間に、特定の官能基を保護することが時に必要であり得る。そのような保護化の必要性は、特定の官能基の性質と反応工程の諸条件に依って異なるものである。好適なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル、及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。好適なヒドロキシ保護基には、アセチル基と、tert−ブチルジメチルシリル基のようなシリル基が含まれる。保護基とその使用についての一般的な記載については、T. W. Greene and P. G. M. Wuts「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、アメリカ(1991)を参照のこと。
【0075】
分離及び精製の慣用の方法及び技術を使用して、本発明の製剤に使用されるIRM化合物を単離することができる。このような技術には、例えば、あらゆる種類のクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルのような一般的な吸収剤を使用するカラムクロマトグラフィー、及び薄層クロマトグラフィー)、再結晶法、及び示差(即ち、液体−液体)抽出技術が含まれ得る。
【0076】
本明細書に記載される注射可能な製剤に使用されるエタノールは、典型的には、約1重量%〜約9重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約3重量%〜約8重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約5重量%〜約7.5重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約1重量%〜約3重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約3重量%〜約4重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約4重量%〜約5重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約5重量%〜約6重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約6重量%〜約7重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約6.5重量%〜約7.5重量%の量で存在する。いくつかの態様において、エタノールは、約8重量%〜約9重量%の量で存在する。いくつかの態様では、下記の方法において記載されるように、より多量のIRM化合物を溶かすために、過剰(即ち、ゴマ油に溶けるより多い量)のエタノール、例えば、いくつかの態様では少なくとも10重量%のエタノール、いくつかの態様では少なくとも12重量%のエタノール、いくつかの態様では少なくとも14重量%のエタノールを使用する。このIRM−エタノール溶液をゴマ油へ加えると、IRMは、予め混合したゴマ油−エタノール溶液へIRMを単に加える場合よりずっと速やかに溶解する;次いで、(ゴマ油中の溶解限界を超えて存在している)過剰のエタノールを蒸発させて、最終製剤(9重量%以下のエタノールを含有する)を産生する。いくつかの態様において、本明細書に記載される注射可能な製剤における使用に適したエタノールには、水も変性剤も含有しないエタノールが含まれる。本発明の製剤において有用な例示のエタノールには、200プルーフエタノール(例、無水アルコール、USPグレード)が含まれる。
【0077】
本明細書に記載される注射可能な製剤には、ゴマ油も含まれる。本明細書に記載される製剤に使用されるゴマ油は、ゴマ油、NFのように、医薬品グレードである。いくつかの態様において、ゴマ油は、ゴマ油の脂肪酸プロフィールを実質的に変化させることなく、1以上の極性化合物がそのゴマ油から実質的に除去されるか又はその含量が減少するように精製してよい。例えば、ゴマ油は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸が含まれる脂肪酸プロフィールを有し得る。他の脂肪酸も、より低いレベルで、典型的には、1重量%未満で存在してよい。ゴマ油中に存在する極性化合物には、限定されないが、モノグリセリド、ジグリセリド、遊離脂肪酸、植物ステロール類、色素(クロロフィル、カロテン)、セサミン、セサモリン、酸化より生じる産物、及び環境化学物質のような化合物が含まれる可能性がある。ゴマ油中の極性化合物は、酸価試験、ヒドロキシル価試験、過酸化物価試験、及び微量窒素価試験のような標準試験法を使用して定量的に測定することができる。少なくとも1つの極性化合物をゴマ油から除去するか又はその含量を実質的に減少させて精製されたゴマ油を提供するために、標準的なクロマトグラフィー法を使用することができる。当該技術分野でよく知られている好適なクロマトグラフィー法には、重力ベースのカラムクロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー、中圧液体クロマトグラフィー、又は高圧クロマトグラフィーが含まれる。
【0078】
いくつかの態様において、ゴマ油は、2以下のヒドロキシル価を有する。ゴマ油のヒドロキシル価は、USP 36<401>「脂肪と不揮発性油、ヒドロキシル価(Fats and Fixed Oils, Hydroxyl Value)」に記載される公知の手順に従って定量することができる。いくつかの態様において、ゴマ油の酸価は、0.1以下である。ゴマ油の酸価は、USP 36<401>「脂肪と不揮発性油、酸価(Fats and Fixed Oils, Acid Value)」に記載される公知の手順に従って定量することができる。いくつかの態様において、ゴマ油の過酸化物価は、1以下である。ゴマ油の過酸化物価は、USP 36<401>「脂肪と不揮発性油、過酸化物価(Fats and Fixed Oils, Peroxide Value)」に記載される公知の手順に従って定量することができる。いくつかの態様において、ゴマ油の全窒素含量は、1ppm以下である。ゴマ油の微量窒素価は、ASTM D5762-12 に記載される公知の方法に従って定量することができる。いくつかの態様において、ゴマ油は、0.05重量%以下のセサミンを含有する。いくつかの態様において、ゴマ油は、0.05重量%以下のセサモリンを含有する。セサミンとセサモリンのレベルは、Journal of the American Oil Chemists' Society, 67, 508 (1990) において T. Tashiro, Y. Fukuda, T. Osawa and M. Namiki によって記載された、公知のセサミン/セサモリン検定法に従って定量することができる。
【0079】
驚くべきことに、IRM化合物、エタノール、及び(上記に記載のように、1以上の極性化合物がゴマ油より実質的に除去されるように)精製されたゴマ油を含んでなる製剤が、製剤全体の安定性だけでなく、IRM化合物自体の安定性も高めることが見出された。本明細書に記載される製剤では、特にIRM化合物の高度の化学的及び物理的安定性が示される。例えば、精製されたゴマ油が使用されるような、本明細書に記載されるいくつかの態様において、本製剤は、商業使用に許容される貯蔵寿命(例えば、6ヶ月の貯蔵寿命、1年の貯蔵寿命、等)を示す。
【0080】
いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤が、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.15mg/mL)を含む。いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤が、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.3mg/mL)を含む。いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤が、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.6mg/mL)を含む。いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤が、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド (1.2mg/mL)を含む。いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤が、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(2.4mg/mL)を含む。
【0081】
いくつかの態様では、本発明の注射可能な医薬製剤は、ゴマ油、エタノール(7.5重量%)、BHA(300ppm)、及びN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.1mg/mL〜約2.5mg/mL)を含む。
【0082】
注射可能な製剤の選択に関与する因子には、製剤中のIRM化合物の溶解度、製剤中のIRM化合物の安定性、製剤の物理的安定性が含まれる。これらの因子は、長い期間(>6ヶ月)、そして5℃〜40℃に及ぶ温度で保存され得る製剤を設計するときに特に重要である。
【0083】
製剤中のIRM化合物の化学的安定性は、製剤の化学組成と保存条件によって影響を受ける可能性がある。製剤中のIRM化合物の化学的安定性は、HPLCのような標準分析法を使用して、製剤中のIRM化合物含量を経時的に分析することによって判定することができる。
【0084】
いくつかの態様において、当該医薬製剤には、限定されないが、抗酸化剤、抗微生物剤、アジュバント、濃化剤、懸濁剤、界面活性剤、及び分散剤が含まれる1以上の添加剤がさらに含まれてよい。いくつかの態様において、本製剤には、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような追加の抗酸化剤を含めることができる。この追加の抗酸化剤の製剤中の濃度は、少なくとも10ppm、50ppm、100ppm、200ppm、及び300ppmまでであり得る。
【0085】
いくつかの態様において、本開示の医薬製剤及び方法には、他の追加の活性薬剤を、例えば混合して、又は別々に投与して、含めることができる。このような追加薬剤には、抗原(例、ワクチン)、化学療法剤、細胞傷害剤、抗体、抗ウイルス剤、サイトカイン、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)アゴニスト、又は追加の免疫応答調節剤を含めることができる。本発明の製剤と共に送達され得るTNFRアゴニストには、米国特許出願公開公報番号:2004/0141950(Noelle et al.)に開示されるようなCD40受容体アゴニストが含まれる。本発明のIRM製剤と組み合わせた使用のための他の有効成分には、例えば、米国特許出願公開公報番号:2003/0139364(Krieg et al.)に開示されるものが含まれる。
【0086】
式IのIRM化合物は、TNF−αのようなサイトカインの産生を誘導することが示されている(例えば、米国特許第7,799,800号;及び米国特許公開公報番号:2013/0230578を参照のこと)。サイトカイン産生を誘導する能力は、本発明の製剤に使用されるIRM化合物がいくつかの異なるやり方で免疫応答を調節し得ることを示し、多様な障害の治療においてIRM化合物を有用にする。本明細書に開示される製剤の投与によってその産生が誘導され得る他のサイトカインには、I型インターフェロン(例、INF−α)、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、MCP−1と、多様な他のサイトカインが概して含まれる。他の効果の中でも、上記や他のサイトカインは、ウイルス産生と腫瘍細胞増殖を阻害するので、ウイルス性疾患と新生物疾患の治療において本発明の製剤を有用にする。例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロン類、又はインターロイキン類は、ある種の単球/マクロファージ由来サイトカインの迅速な放出を刺激することが示されていて、抗ウイルス活性と抗腫瘍活性において重要な役割を担う抗体を分泌するようにB細胞を刺激することも可能である。
【0087】
いくつかの態様では、本発明の製剤が、頭頚部腫瘍、乳房腫瘍、リンパ腫、メラノーマ、及び膀胱腫瘍のような固形腫瘍の治療に有用である。いくつかの態様では、本発明の製剤が皮膚T細胞リンパ腫の治療に有用である。
【0088】
いくつかの態様では、本発明の製剤が、ウイルス性の疣贅と肥大、又はケロイド、瘢痕の治療に有用である。
【0089】
本発明は、本明細書に記載される医薬製剤を対象へ注射することを含んでなる、該製剤を送達する方法をさらに提供する。注射は、例えば、皮下、筋肉内の注射、又は腫瘍塊のような選択された組織部位中への注射であり得る。いくつかの態様において、本製剤は、腫瘍塊、疣贅、又は肥厚性瘢痕組織の中へ注射される。
【0090】
本発明は、疾患の治療の必要な対象へ本明細書に記載される製剤のいずれか1つを注射することを含んでなる、該疾患を治療する方法をさらに提供する。
【0091】
本発明の方法は、どの好適な対象に対しても実施し得る。好適な対象には、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又はウシのような動物が含まれる。
【0092】
治療のために本製剤が投与される動物は、ある疾患(例、ウイルス性疾患又は新生物疾患)を有し得て、本化合物の投与により療法的治療が提供され得る。本発明の製剤を投与することによって治療され得る例示の病態には:
(a)メラノーマ、白血病(例、骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、及び有毛細胞白血病)、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、頭頚部癌、膀胱癌、及び他の癌のような、新生物疾患;
(b)ポックスウイルス(例、痘瘡ウイルス又はワクシニアウイルスのようなオルソポックスウイルス、又は伝染性軟属腫ウイルス)、又はパポバウイルス(例、性器疣贅、尋常性疣贅、又は足底疣贅を引き起こすもののような、乳頭腫ウイルス)による感染より生じる疾患のような、ウイルス性疾患;
(c)ケロイド形成や他の種の瘢痕化の阻害のような、創傷修復に関連した疾患(例、慢性創傷が含まれる、創傷治癒の亢進)が含まれる。
【0093】
いくつかの態様において、治療される疾患は、新生物疾患である。いくつかの態様において、本製剤は、腫瘍塊へ注射される。いくつかの態様において、治療される疾患は、頭頚部癌、乳癌、リンパ腫、メラノーマ、及び膀胱癌より選択される。
【0094】
いくつかの態様において、治療される疾患は、疣贅を引き起こすウイルス性疾患である。いくつかの態様において、本製剤は、疣贅の中へ注射される。
【0095】
例えば、上記に言及した疾患に治療において、本明細書に開示される製剤は、他の活性薬剤や他の手技(例、放射線、化学療法、化学的除去(chemoablation)、レーザー除去、冷凍療法、及び外科的切除)のような他の療法と組み合わせて使用することもできると理解されよう。
【0096】
本発明による方法のために療法的に有効である、製剤中のIRM化合物の正確な量と投薬レジメンは、例えば、担体の性質、対象のサイズとその免疫系の状態(例、抑制、不全、促進)、製剤が投与される生物種、選択される投薬レジメン、適用部位、個別の製剤、及び治療される病態が含まれる、当該技術分野で知られた諸因子に従って変動するものである。従って、エタノール、ゴマ油、及び式IのIRM化合物が含まれる製剤の組成、又は有効量を構成するIRM化合物の量、又はすべての可能な適用に有効である投薬レジメンを一般的に設定することは、実践的ではない。しかしながら、当業者は、本明細書に提供するガイダンス、IRM化合物に関連して当該技術分野で利用可能な情報、及び定型的な試験に基づいて、適切な製剤、IRM化合物の治療有効量、及び投薬レジメンを容易に決定することができる。このように、「治療有効量」という用語は、サイトカイン誘導、TH2免疫応答の阻害、抗ウイルス又は抗腫瘍活性、瘢痕化の抑制、又は創傷治癒の亢進といった治療又は予防効果を誘導するのに十分なIRM化合物の量を意味する。
【0097】
サイトカイン生合成を誘導するのに有効な製剤又は製剤中のIRM化合物の量は、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びB細胞のような1以上の細胞種が、例えば、IFN−α、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−10、及びIL−12のような1以上のサイトカインの、そのようなサイトカインのバックグラウンドレベルから増加した量を産生することを引き起こすのに十分な量である。その正確な量は、当該技術分野で知られた諸因子に従って変動するものであるが、1キログラムにつき約100ナノグラム(ng/kg)〜1キログラムにつき約50ミリグラム(mg/kg)、いくつかの態様では1キログラムにつき約10マイクログラム(μg/kg)〜約5mg/kg、約100μg/kg〜約1mg/kg、又は約0.01mg/m
2〜約10mg/m
2であると予測される。あるいは、その用量は、治療過程の開始の直前に得られる実体重を使用して計算してよい。このやり方で計算される投与量では、治療過程の開始前にデュボア(Dubois)法を使用して、体表面積(m
2)を計算する:m
2=(体重kg
0.425×身長cm
0.725)×0.007184。例えば、ウイルス感染症を治療するか又は阻害するのに有効な量は、ウイルス病変、ウイルス負荷、ウイルス産生の速度、及び死亡率といった、ウイルス感染症の徴候の1以上において、未治療対照動物と比較した減少を引き起こす量であって、上記の用量のいずれも含まれ得る。新生物の病態を治療するのに有効な化合物又は医薬組成物の量は、腫瘍サイズ又は腫瘍病巣数の減少を引き起こす量であって、上記の用量のいずれも含まれ得る。
【0098】
本発明の製剤は、ある種のサイトカインの産生を誘導し得て、免疫応答をいくつかの異なるやり方で調節することができる免疫応答調節剤として有用であるので、それらを多様な障害の治療に有用なものとする。他の効果の中でも、上記や他のサイトカインは、ウイルス産生と腫瘍細胞増殖を阻害することができるので、例えば、ウイルス性疾患と新生物疾患の治療のために本製剤を有用にする。また、本製剤の投与により予防的治療を提供し得るように、疾患を獲得する以前に本製剤を投与してよいことにも注目されたい。
【0099】
サイトカイン誘導を生じる能力に加えて、本発明の製剤は、自然免疫応答の他の側面に対しても効果をもたらす場合がある。例えば、ナチュラルキラー細胞活性が促進される場合があり、これはサイトカイン誘導による効果である場合がある。本製剤はまた、マクロファージの活性化をもたらす場合があり、これが続いて一酸化窒素の分泌と追加のサイトカインの産生を刺激する。さらに、本製剤は、Bリンパ球の増殖及び分化をもたらす場合がある。
【0100】
本発明の製剤はまた、獲得免疫応答に効果をもたらす場合がある。例えば、本製剤の投与時には、1型ヘルパーT細胞(T
H1)サイトカインのIFN−γの産生が間接的に誘導され得て、2型ヘルパーT細胞(T
H2)サイトカインのIL−4、IL−5、及びIL−13の産生が阻害され得る。
【0101】
本発明の製剤は、免疫機能が不全である個体において特に役立つ場合がある。例えば、本発明の化合物又は塩は、例えば、移植患者、癌患者、及びHIV患者において細胞性免疫の抑制後に生じる日和見感染症や腫瘍を治療するのに使用し得る。
【0102】
このように、本発明はまた、例えば、本発明の製剤の有効量を動物へ注射により投与することを含んでなる、該動物においてウイルス性感染症を治療する方法と、該動物において新生物疾患を治療する方法を提供する。ウイルス感染症を治療するか又は阻害するのに有効な量は、ウイルス病変、ウイルス負荷、ウイルス産生の速度、及び死亡率といった、ウイルス感染症の徴候の1以上において、未治療対照動物と比較した減少を引き起こす量である。そのような治療に有効である、その正確な量は、当該技術分野で知られた諸因子に従って変動するものであるが、約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1μg/kg〜約5mg/kgのIRM化合物の用量を送達するような量であると予測される。新生物の病態を治療するのに有効な製剤の量は、腫瘍サイズ又は腫瘍病巣数の減少を引き起こす量である。やはり、その正確な量は、当該技術分野で知られた諸因子に従って変動するものであるが、約100ng/kg〜約50mg/kg、例えば約1μg/kg〜約5mg/kgのIRM化合物用量を注射により送達するように与えられる薬物濃度での量であると予測される。
【0103】
注射により送達される本発明の製剤の使用の特定の例には、限定されないが、頭頚部癌と乳癌の治療が含まれる。
【0104】
本明細書に記載される注射可能な製剤には、ある範囲のIRM化合物濃度を含めることができて、その下限は、IRM化合物の最低の治療能力に基づき、そしてその上限は、該薬物の溶解度に主に基づく。一般に、IRM化合物の濃度は、約0.1mg/ml〜約10mg/ml(ほぼ0.01重量%〜約1重量%)であろう。いくつかの態様において、IRM化合物は、約0.1mg/ml〜約6mg/mlの量で存在する。いくつかの態様において、IRM化合物は、約0.5mg/ml〜約3mg/mlの量で存在する。
【0105】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様において、本製剤は、例えば、1週につき単回用量〜頻回用量で投与され得るが、いくつかの態様において、本発明の方法は、本製剤をこの範囲外の頻度で投与することによって実施してよい。いくつかの態様において、本製剤は、1ヶ月につき約1回〜1週につき約5回で投与され得る。いくつかの態様において、本製剤は、週1回で投与される。
【0106】
本発明は、エタノール、ゴマ油、及び式IのIRM化合物を含んでなる医薬製剤を作製する方法をさらに提供する。いくつかの態様において、この作製する方法は、IRM化合物をエタノールに溶かしてエタノール−IRM化合物溶液を創出する工程を含む。いくつかの態様において、IRM化合物は、エタノールに完全に溶けているが、いくつかの態様では、少量のIRM化合物が溶けないままであっても、大多数のIRM化合物は溶けていよう。次いで、エタノール−IRM化合物溶液をゴマ油と混合して、ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤を作製する。いくつかの態様において、IRM化合物は、ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤に完全に溶けるだろうが、いくつかの態様では、少量のIRM化合物がゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤に溶けないままであっても、大多数のIRM化合物は溶けていよう。
【0107】
いくつかの態様において、この作製する方法は、IRM化合物をエタノールとゴマ油と同時に混合して、ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤を作製する工程を含む。いくつかの態様では、IRM化合物がゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤に完全に溶けるだろうが、いくつかの態様では、少量のIRM化合物がゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤に溶けないままであっても、大多数のIRM化合物は溶けていよう。
【0108】
いくつかの態様において、この作製する方法には、ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤よりエタノールの一部を蒸発させる工程をさらに含めてよい。そのような方法は、過剰エタノール(ゴマ油中の溶解限界を超えて存在しているエタノール)の使用を混合工程の間に可能にすることによって、ゴマ油−エタノール溶液中でのIRMのより迅速な溶解を可能にする。いくつかの態様では、一部のエタノールの蒸発の後で、エタノールは、最終製剤において、例、1重量%〜9重量%で残存する。
【0109】
上記に記載したどの添加剤も、上記の混合工程のいずれもの間に加え得ることが了解されよう。
【0110】
本発明の態様を以下の非限定的な実施例によって例解するが、これらの実施例において列挙される特定の材料とその量は、他の条件及び詳細事項と同様に、本発明を不当に制限するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0111】
注射製剤成分
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドは、米国特許公開公報番号:2013/0230578(Wightman)の実施例1に記載される合成手順に従って製造した。
【0112】
エタノール(200プルーフ、USPグレード)は、Pharmaco-AAPER(コネティカット州ブルックフィールド)又は Columbus Chemical Industries(ウィスコンシン州コロンバス)より入手した。BHAを含有する最終製剤のために、乾燥窒素ガスの穏やかな流れをエタノールに約5〜10分間通過させること(スパージング)によって、脱酸素化エタノールの新鮮なストック試料を調製した。次いで、このボトルに直ちに蓋をした。
【0113】
ゴマ油は、Croda 社(ニュージャージー州エジソン)よりSUPER REFINED(登録商標)Sesami Oil NF/NPグレード製品(製品コード番号:SR40280)として入手した。「NP」表示は、このゴマ油がBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)を添加の抗酸化剤として含有しないことを示した。この製造業者によれば、SUPER REFINED(登録商標)表示があるゴマ油は、フラッシュクロマトグラフィーを使用してゴマ油に存在する極性の不純物を除去して精製された。添加されたBHAを含有する最終製剤のために、乾燥窒素ガスの穏やかな流れをゴマ油に約10〜20分間通過させること(スパージング)によって、脱酸素化ゴマ油の新鮮なストック試料を調製した。次いで、このボトルに直ちに蓋をした。
【0114】
ブチル化ヒドロキシアニソール、NFグレード(BHA)は、Spectrum Chemical Company(ニュージャージー州ニューブランズウィック)より入手した。BHAを含有する製剤は、300ppmのBHA濃度で調製した。
【0115】
分析法
注射製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの含量は、逆相高速液体クロマトグラフィー(321nmに設定した紫外線検出器を取り付けた、Agilent 1100 HPLC 機器、Agilent Technologies,カリフォルニア州サンタクララ)を使用して定量した。使用した分析用カラムは、長さ150mm、内径4.6mm、及び粒径3.5ミクロンの Zorbax Bonus RPカラム(Agilent Technologies)であった。このカラムを、45℃で維持した。水中0.1%トリフルオロ酢酸、メタノール、及びイソプロパノールからなる移動相で勾配溶出を実施した。最初の移動相は、85:15の比の0.1%トリフルオロ酢酸とメタノールからなった。最終の移動相は、5:40:55の比の0.1%トリフルオロ酢酸、メタノール、及びイソプロパノールからなった。流速は、1.0mL/分であった。
【0116】
実施例1.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(7.5重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.21g)とエタノール(26.79g)を琥珀色ガラスボトル(amber glass bottle)へ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH,Branson Ultrasonics,コネティカット州ダンベリー)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約10分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、0.78重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、0.78重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の21.59gを、277.5gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルへ追加の1.08gのエタノールも加えた。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約0.5mg/mLであった。
【0117】
実施例2.注射製剤:BHAを含有するゴマ油中のエタノール(7.5重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.21g)と脱酸素化エタノール(26.79g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約10分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、0.78重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、0.78重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド及びBHA(90mg)を含有するエタノール溶液の21.59gを、277.5gの脱酸素化ゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルへ追加の1.08gの脱酸素化エタノールも加えた。次いで、この製剤に、乾燥窒素ガスの穏やかな気流を約10秒間通過させた。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約0.5mg/mLであった。
【0118】
実施例3.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(5重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.30g)とエタノール(15.0g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約10分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の0.29gを、10.5gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルへ追加の0.23gのエタノールも加えた。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約0.5mg/mLであった。
【0119】
実施例4.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(9重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.30g)とエタノール(15.0g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約10分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の3.0gを、54.5gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルへ追加の2.4gのエタノールも加えた。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約1mg/mLであった。
【0120】
実施例5.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(8.5重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(1.22g)とエタノール(60.0g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約30分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の9.0gを、60.0gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。撹拌した製剤上に乾燥窒素ガスの気流を通して、3.4gのエタノールを蒸発させた。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約3mg/mLであった。
【0121】
実施例6.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(9重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(1.22g)とエタノール(60.0g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約30分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、2.0重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の25.0gを、90.5gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。撹拌した製剤上に乾燥窒素ガスの気流を通して、15.5gのエタノールを蒸発させた。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約5mg/mLであった。
【0122】
実施例7.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(6.5重量パーセント)
N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(0.30g)とエタノール(15.3g)を琥珀色ガラスボトルへ加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約10分)超音波処理した。得られたエタノール溶液は、1.9重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドをボトルに含有した。次に、1.9重量パーセントのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含有するエタノール溶液の0.18gを、31.7gのゴマ油を含有する琥珀色ガラスボトルへ移した。このボトルへ追加の2.0gのエタノールも加えた。このボトルに蓋をしてから、実験室ローラーミキサー上に置いた。この製剤を、それが外観検査で透明になるまで撹拌した(約15分間の撹拌)。最終工程において、この製剤を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、この製剤の6mLを澄明なガラス血清バイアル(Miller Analytical Company,ペンシルべニア州ブリストル)に採取した。このバイアル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このバイアルを、灰色のクロロブチル−イソプレンセプタムを含有するアルミニウムクリンプキャップ(Miller Analytical Company)で蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約0.1mg/mLであった。
【0123】
実施例8.注射製剤:ゴマ油中のエタノール(7.2重量パーセント)
3.9gのエタノールと50.0gのゴマ油を琥珀色ボトルへ加えて続いて穏やかに撹拌することによって、ゴマ油中のエタノール(7.2重量パーセント)の溶液を調製した。次いで、このエタノール/ゴマ油溶液へN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド(53.9mg)を加えた。このボトルに蓋をして、超音波浴(Branson モデル 8510-DTH)に入れた。この試料を30分間超音波処理してから、シェーカーテーブル(Erbach Corporation,ミシガン州アナーバー)を使用して、すべてのN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが溶けるまで(約20時間)さらに振り混ぜた。得られた溶液を0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PSA)膜フィルター(EMD Millipore,マサチューセッツ州ビレリカ)に通過させて、ガラスボトルに採取した。このボトル中のヘッドスペースを乾燥窒素ガスの気流でパージして、このボトルに蓋をした。最終製剤中のN−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドの濃度は、約1mg/gであった。
【0124】
実施例9.追加の注射製剤
実施例1〜実施例7の一般手順を使用して、エタノール濃度(製剤中のエタノールの重量パーセント)、N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド濃度(製剤のmg/mL)、及びBHA濃度(ppm)のレベルが異なる多様な製剤を調製した。製剤9−H〜製剤9−Jでは、脱酸素化エタノールとゴマ油を使用した。これらの製剤について、表1に報告する。
【0125】
エタノール蒸発工程を最終濾過工程の直前に含めることによって製剤のエタノール含量を減少させた諸製剤を調製した。製剤中のエタノールの蒸発を、撹拌した製剤上に乾燥窒素ガスの気流を通すことによって達成した。
【0126】
【表1】
【0127】
実施例10.腫瘍内(IT)注射
承認された動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee:IACUC)のプロトコールに従って、すべての手順を実施した。動物は、実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care:AAALAC,メリーランド州フレデリック)によって認証される施設に収容した。Jackson Labs(メイン州バーハーバー)より雌性のC57BL/6J−Tyrアルビノマウス(15〜20グラム)を入手した。同系のB16.OVAメラノーマ細胞系は、Wynette Dietz 博士(ミネソタ州立大学)より入手した。この細胞系について3Mで特性決定して、OVAを発現することを確認した。
【0128】
担腫瘍マウスを確立することに先立って、上記動物を気密箱において1%イソフルランで麻酔してから、フェイスマスクを介した1%イソフルランの投与によって麻酔下に維持した。各マウスに固有の記述子を付けた(尾に固有の刺青番号を付けた)。右脇腹を剃毛して、0.1mL DPBS中5x10
5個のB16.OVAメラノーマ細胞を皮下に移植した。
【0129】
腫瘍移植から7日後、このマウスを各群20匹のマウスの3群(A群〜C群)へ無作為に分けた。この時点で、マウス中の平均腫瘍サイズは、ほぼ20mm
2であった。腫瘍サイズに基づいて異常値である動物を同定して、GraphPad Software(カリフォルニア州ラホーヤ)によって開発されたROUT統計法に基づいて、この試験より除外した。A群の動物は、実施例3の製剤の0.05mL腫瘍内注射を受けた。B群の動物は、実施例3の製剤の0.05mL注射を、皮下(SC)投与により移植腫瘍から反対の脇腹領域(即ち、左脇腹)中へ受けた。C群の動物は、担体対照製剤(Vehicle Control Formulation)の0.05mL腫瘍内注射を受けた。この担体対照製剤は、N−(4−{4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドが製剤に含まれないことを除けば、実施例3の製剤と同じであった。A群〜C群のための製剤のいずれも、26ゲージ針付きの0.5mLシリンジを使用して投与した。3群のいずれも、対応する製剤を腫瘍移植後7日目と14日目に注射された。A群とC群では、腫瘍内注射を腫瘍の中央に投与した。注射に先立って、動物は、フェイスマスクを介した1%イソフルランで麻酔した。それぞれの動物について、腫瘍サイズは、校正デジタルカリパスで測定した。いずれの腫瘍も触知可能で、視ることができた。腫瘍サイズが200mm
2以上であると測定されたならば、その動物は安楽死させた。動物は、腫瘍移植後90日間モニタリングした。各動物について、腫瘍サイズデータを表2A〜表2Cに報告して、生存パーセントデータを表3に報告する。メジアン生存日数は、A群で34日、B群で22日、そしてC群で21.5日であった。動物の生存データについては、Prism 5.04 ソフトウェア(GraphPad Software)を使用して解析した。ログランク(マンテル・コックス、Mantel-Cox)検定に続いてゲーハン・ブレスロー・ウィルコクソン(Gehan-Breslow-Wilcoxon)検定を使用する対比較によって、カプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)生存曲線を比較した。A群動物のB群及びC群の動物に対する生存優位性は、統計学的に有意である(p値<0.0001)と判定された。
【0130】
実施例11
実施例1〜実施例7の一般手順を使用して、一定レベルのエタノール濃度(製剤中7.5重量%のエタノール)、0.1mg/mL〜2.5mg/mLに及ぶ異なるレベルのN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド濃度、及びBHA濃度(300ppm)を有する多様な製剤を調製する。製剤11−A〜製剤11−Eでは、脱酸素化エタノールとゴマ油を使用する。これらの製剤について表4に報告する。
【0131】
最終の濾過工程の直前にエタノール蒸発工程を含めることによって、製剤のエタノール含量が減少した製剤を調製する。製剤中のエタノールの蒸発は、撹拌した製剤上に乾燥窒素ガスの気流を通すことによって達成する。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
本明細書は以下の発明の開示を包含する:
[1]ゴマ油;
エタノール;及び
式:
【化4】
[式中:
Xは、−O−によって中断又は終結されてもよい8個までの炭素原子を有するアルキレンであり;
R2は、水素、アルキル、アルコキシアルキレニル、アルキルアミノアルキレニル、又はヒドロキシアルキレニルであり;
Yは、−C(O)−又は−S(O)2−であり;
R1は、1以上の不飽和炭素−炭素結合が含まれてもよい、11〜23個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であり;そして
Rは、水素、ハロゲン、又はヒドロキシルである]の免疫応答調節化合物又はその医薬的に許容される塩を含んでなる、注射に適した医薬製剤。
[2]エタノールが約1重量%〜約9重量%の濃度で存在する、[1]の製剤。
[3]エタノールが約3重量%〜約8重量%の濃度で存在する、[1]〜[2]のいずれかの製剤。
[4]エタノールが約6.5重量%〜約7.5重量%の濃度で存在する、[1]〜[3]のいずれかの製剤。
[5]免疫応答調節化合物が約0.1mg/mL〜約10mg/mLの濃度で存在する、[1]〜[4]のいずれかの製剤。
[6]ゴマ油のヒドロキシル価が2以下である、[1]〜[5]のいずれかの製剤。
[7]ゴマ油の酸価が0.1以下である、[1]〜[6]のいずれかの製剤。
[8]ゴマ油の過酸化物価が1以下である、[1]〜[7]のいずれかの製剤。
[9]ゴマ油の全窒素含量が1ppm以下である、[1]〜[8]のいずれかの製剤。
[10]ゴマ油が0.05重量%以下のセサミンと0.05重量%以下のセサモリンを含有する、[1]〜[9]のいずれかの製剤。
[11]R2が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシメチル、メトキシメチル、エチルアミノメチル、又は2−メトキシエチルである、[1]〜[10]のいずれかの製剤。
[12]Yが−C(O)−である、[1]〜[11]のいずれかの製剤。
[13]R1がC11−C23アルキルである、[1]〜[12]のいずれかの製剤。
[14]R1がC15−C23アルキルである、[1]〜[13]のいずれかの製剤。
[15]R1がC15−C17アルキルである、[1]〜[14]のいずれかの製剤。
[16]R1がC17アルキルである、[1]〜[15]のいずれかの製剤。
[17]免疫応答調節化合物がN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド又はその医薬的に許容される塩を含む、[1]〜[16]のいずれかの製剤。
[18][1]〜[17]のいずれかの医薬製剤を対象へ注射することを含んでなる、該製剤を送達する方法。
[19]製剤が腫瘍塊(tumor mass)へ注射される、[18]の方法。
[20]製剤が疣贅へ注射される、[18]の方法。
[21]製剤が肥厚性瘢痕組織へ注射される、[18]の方法。
[22]疾患の治療の必要な対象へ[1]〜[17]のいずれかの製剤を注射することを含んでなる、該対象において疾患を治療する方法。
[23]疾患が新生物疾患である、[22]の方法。
[24]製剤が腫瘍塊へ注射される、[23]の方法。
[25]疾患が、頭頚部癌、乳癌、リンパ腫、メラノーマ、皮膚T細胞リンパ腫、及び膀胱癌より選択される、[23]〜[24]のいずれかの方法。
[26]疾患が疣贅を引き起こすウイルス性疾患である、[22]の方法。
[27]製剤が疣贅へ注射される、[26]の方法。
[28][1]〜[17]のいずれかの製剤を作製する方法であって、
ゴマ油;
エタノール;及び
式:
【化5】
[式中:
Xは、−O−によって中断又は終結されてもよい8個までの炭素原子を有するアルキレンであり;
R2は、水素、アルキル、アルコキシアルキレニル、アルキルアミノアルキレニル、又はヒドロキシアルキレニルであり;
Yは、−C(O)−又は−S(O)2−であり;
R1は、1以上の不飽和炭素−炭素結合が含まれてもよい、11〜23個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族基であり;そして
Rは、水素、ハロゲン、又はヒドロキシルである]の免疫応答調節化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する工程;
IRM化合物をエタノールと合わせて、エタノール−IRM化合物溶液を生成する工程;及び
このエタノール−IRM化合物溶液をゴマ油と合わせて、ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤を生成する工程を含んでなる、前記方法。
[29]ゴマ油−エタノール−IRM化合物製剤よりエタノールの一部を蒸発させる工程をさらに含んでなる、[28]の方法。
[30]ゴマ油;
7.5重量%エタノール;
300ppm BHA;及び
0.1mg/mL〜約2.5mg/mLのN−(4−{[4−アミノ−2−ブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミドを含む、[1]の製剤。