特許第6446066号(P6446066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446066機能化された多孔質膜ならびに製造および使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446066
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】機能化された多孔質膜ならびに製造および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/36 20060101AFI20181217BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20181217BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20181217BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   C08J9/36CES
   H01M2/16 P
   B01D71/32
   B32B5/18 101
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-567396(P2016-567396)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公表番号】特表2017-518408(P2017-518408A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015030521
(87)【国際公開番号】WO2015175631
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年5月1日
(31)【優先権主張番号】61/992,264
(32)【優先日】2014年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,クリストファー,ケー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューミストン,カール,エフ
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−265596(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/058061(WO,A1)
【文献】 特開2011−110474(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/012905(WO,A1)
【文献】 特表2014−527476(JP,A)
【文献】 特開2011−104456(JP,A)
【文献】 特開2010−059395(JP,A)
【文献】 国際公開第93/012920(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/035747(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−42
H01M 2/14−18
B01D 61/00−71/82
B32B
B65D 67/00−79/02,81/18−30,81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および内部フィブリル状構造を有する微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜と、前記膜の表面および前記膜の内部フィブリル状構造にプラズマ蒸着法によって付着された機能性分子と、を含む機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜であって、
前記機能性分子は、疎油性フルオロポリマー、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、セミフルオロアクリラート、部分フッ素化アクリラートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜は、大気圧プラズマ蒸着によって機能化される、
機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜
【請求項2】
請求項1に記載の機能化された膜を含む、織物、薄膜、複合体、積層物、繊維、中空繊維、ろ過材料、分離材料、またはそれらの組み合わせ。
【請求項3】
請求項1に記載の機能化された膜を含むバッテリーセパレータ。
【請求項4】
前記機能化された膜が1種または複数のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項5】
前記機能性分子が機能性ポリマーである、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項6】
前記機能性ポリマーが1種または複数のラジカル工程により重合されるポリマーである、請求項5に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項7】
前記プラズマ蒸着法が前記膜に前記機能性分子をモノマー形態で導入し、前記膜の表面上および内部フィブリル状構造内で重合が起こる、請求項に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項8】
前記膜が細孔を含み、前記細孔が開放されたままであるか、または前記機能性分子によって遮断されない、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項9】
前記機能化された膜が撥水性/呼吸性織物を提供する、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項10】
請求項1に記載の機能化された膜を含む、医療診断膜。
【請求項11】
前記機能化された膜が微多孔質、メソ多孔質またはナノ多孔質の膜の単層である、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項12】
前記機能化された膜が二層または多層の微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜である、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項13】
前記機能化された膜が前記機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の1つまたは複数の層を含む積層物である、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項14】
前記積層物が織られた層、不織の層、ニットの層、またはそれらの組み合わせに積層されている機能化された微多孔質の撥水性/呼吸性膜を含む、請求項13に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項15】
前記膜が1種または複数の液体芳香剤を含む芳香装置において呼吸性のある遮断膜として用いられる、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項16】
平板膜の適用および/または中空繊維(キャピラリー)膜の適用において用いられる、請求項1に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜。
【請求項17】
表面と内部フィブリル状構造とを有する膜を用意するステップ;
大気圧プラズマ蒸着によって前記膜を機能性分子で機能化するステップであって、機能化が前記膜の表面および前記膜の内部フィブリル状構造へ前記機能性分子を付加または付着することを含み、前記機能性分子が、疎油性フルオロポリマー、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、セミフルオロアクリラート、部分フッ素化アクリラートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、ステップ、
を含む、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜を作製する方法。
【請求項18】
前記プラズマ蒸着が、前記膜に前記機能性分子をモノマー形態で導入し、前記膜の表面上および前記膜の内部フィブリル状構造上で重合が起こる、請求項17に記載の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられる2014年5月13日出願の米国特許仮出願第61/992,264号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本出願は、新規の、または改善された多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、ならびに/またはそれらの製造および/もしくは使用の方法に関する。少なくとも選択された実施形態において、この多孔質膜は、膜の表面および/または内部フィブリル状構造に付着された、機能性ポリマーなどの機能性分子を有する機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜であり得る。
【背景技術】
【0003】
背景
微多孔質膜は、公知であり、様々な工程で作製することができ、膜を作製する工程は、膜の物理的属性に物質的影響を有し得る。Kesting, R., Synthetic Polymeric Membranes, A structural perspective, Second Edition, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985)を参照されたい。微多孔質膜を作製するための3種の商業的に実行可能な工程として、乾式延伸法(CELGARD(登録商標)法としても公知)、湿式法、および粒子延伸法が挙げられる。
【0004】
乾式延伸法は、ナノ多孔前駆体を延伸することにより細孔形成を得る工程を指す。参照により本明細書に組み入れられるKesting, Ibid. pages 290−297を参照されたい。乾式延伸法は、湿式法および粒子延伸法と異なる。一般に、転相法、抽出法またはTIPS法(この呼称は稀)としても知られる湿式法では、ポリマー原材料が加工油(可塑化剤と呼ばれる場合もある)と混合され、この混合物が押し出され、その後、加工油が除去される(これらの薄膜は、油の除去前または除去後に延伸され得る)。参照により本明細書に組み入れられるKesting, Ibid. pages 237−286を参照されたい。一般に粒子延伸法では、ポリマー原材料が微粒子と混合され、この混合物が押し出され、延伸力によってポリマーと微粒子との境界が断裂する延伸の間に、細孔が形成される。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,057,061号および同第6,080,507号を参照されたい。
【0005】
さらに、これらの工程から生じる膜は、物理的に異なる場合があり、それぞれが作製される工程は、1つの膜を他と区別し得る。乾式延伸法の膜は、幾つかの例において、縦方向の延伸によるスリット状の細孔を有し得る。しかし、乾式延伸法の膜はまた、縦方向の延伸および横方向の延伸など、様々な延伸法による実質的に丸い細孔を有するようにも形成され得る。湿式法の膜は、幾つかの例において、縦横方向(traverse machine direction)で延伸するためより丸い細孔を有し得る。その一方で、粒子延伸法の膜は、細孔形成に必要とされる微粒子で充填され得、細長い楕円形の細孔を有し得る。したがって、各膜は、幾つかの例において、製造方法によって他と区別され得る。
【0006】
乾式延伸法により作製される膜は、優れた商業的成功をかなえるが、さらに広範囲の適用例で使用可能なように、物理的属性を改善する必要がある。そのような他の適用例のための幾つかの改善部分として、スリット以外の細孔形状および横方向引張り強さの増加を挙げることができる。
【0007】
米国特許第6,602,593号は、幾つかの実施形態において、乾式延伸法により作製された微多孔質膜を対象とし、得られた膜は、0.12〜1.2の横方向対縦方向の引張り強さ比を有する。その開示での幾つかの実施形態において、TD/MD引張り強さ比は、前駆体が押し出される際の少なくとも1.5のブローアップ比によって得られる。
【0008】
全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2007/0196638号、現在の米国特許第8,795,565号には、乾式延伸法により作製された微多孔質膜が開示される。幾つかの実施形態において、微多孔質膜は、実質的に丸い形状の細孔を有し、0.5〜5.0の範囲内の縦方向対横方向の引張り強さ比を有する。前述の多孔質膜を作製する方法は、ポリマーをナノ多孔前駆体に押し出すステップ、およびこのナノ多孔前駆体を二軸延伸するステップを含み、この二軸延伸は、縦方向の延伸および横方向の延伸を含み、この横方向は、同時縦方向緩和を含む。
【0009】
全体として本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2011/0223486号には、実質的に丸い形状の細孔、および0.5〜6.0の範囲内の縦方向対横方向の引張り強さ比を有する乾式延伸法により作製された微多孔質膜が開示される。前述の微多孔質膜を作製する方法は、ポリマーをナノ多孔前駆体に押し出すステップ、およびこのナノ多孔前駆体を二軸延伸するステップを含み、この二軸延伸は、縦方向の延伸および横方向の延伸を含み、この横方向は同時縦方向緩和を含む。そのような膜の少なくとも選択された実施形態は、二軸配向された多孔質膜、二軸配向された多孔質膜を含む複合体、二軸配向された微多孔質膜、二軸配向マクロ多孔質膜、バッテリーセパレータ、ろ過媒体、湿度制御媒体、平膜、液体貯留媒体など、関連の方法、製造方法、使用方法などを対象として開示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、特定の適用例、特定の条件などに関する特有の性質を提供する新規な、または改善された微多孔質膜を開発するという、かなえられていない要求が明らかに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
少なくとも選択された実施形態、態様または目的によれば、本発明は、上述の要求、議論または問題に取り組むことができ、新規の、もしくは改善された多孔質、微多孔質、メソ多孔質、もしくはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維、もしくは薄膜、これらの新規の、もしくは改善された膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維、もしくは薄膜を含む新規な、もしくは改善された装置もしくは製品、例えば衣類、バッテリー、電池、家庭電化製品、乗用車、もしくはシステム、ならびに/またはそれらの製造および/もしくは使用の方法を提供できる。膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性ポリマーなどの機能性分子を付着させることにより機能化された、先の背景の部分で議論されたCelgard(登録商標)膜のような微多孔質膜は、バッテリーセパレータとして、二次リチウムイオンもしくはリチウム金属バッテリーセパレータなどとして、または他の所望の材料、織物、複合体、積層物、薄膜、および/もしくは同様のものとして使用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】対照バッテリーセパレータを用いて作製されたコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図2】対照バッテリーセパレータを用いて作製された別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図3】対照バッテリーセパレータを用いて作製された別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図4】対照バッテリーセパレータを用いて作製されたさらに別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図5】本明細書に記載された実施形態による機能化された膜を含むバッテリーセパレータを用いて作製されたコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図6】本明細書に記載された実施形態による機能化された膜を含むバッテリーセパレータを用いて作製された別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図7】本明細書に記載された実施形態による機能化された膜を含むバッテリーセパレータを用いて作製された別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
図8】本明細書に記載された実施形態による機能化された膜を含むバッテリーセパレータを用いて作製されたさらに別のコインセルバッテリーの細流充電テストのグラフを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
少なくとも選択された実施形態によれば、本発明は、新規の、もしくは改善された多孔質、微多孔質、メソ多孔質、もしくはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維、もしくは薄膜、ならびに/またはそれらの製造および/もしくは使用の方法を提供する。膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性ポリマーなどの機能性分子を付着させることにより機能化された、先の背景の部分で議論されたCelgard(登録商標)膜のような微多孔質膜は、バッテリーセパレータとして、二次リチウムイオンもしくはリチウム金属バッテリーセパレータなどとして、または他の所望の材料、織物、複合体、積層物、薄膜などとして使用可能であり得る。本明細書に記載された実施形態において有用な様々な膜として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、それらのコポリマー、それらの混合物などを含む膜などのポリオレフィン膜が挙げられる。
【0014】
本明細書において使用および記載される「機能化された」は、微多孔質膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性分子を付加または付着させる任意の工程を表し得る。明確に限定するものではなく例として、機能化は、微多孔質膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性ポリマーを付加または付着させることを含み得る。微多孔質膜の機能化は、非限定的に1種もしくは複数の真空法(米国特許第2011/0114555号および同第2010/0234524号、現在の米国特許第8,163,356号参照)、および/または1種もしくは複数の大気圧法(米国特許第8,361,276号および同第8,016,894号、ならびに米国特許出願公開第2008/0107822号参照)などのプラズマ蒸着法をはじめとする、公知の、または近年発見された様々な工程により遂行され得る。
【0015】
微多孔質膜の表面および/または内部フィブリル状構造(またはその一部)に付加、付着、または機能化される機能性分子は、任意の所望の分子であり得る。機能性分子は、非限定的にアクリル酸、塩化アクリロイル、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、セミフルオロアクリラート、部分フッ素化アクリラート、アリルアミン、ビニルアミン、アクリル酸エステルなどのラジカル工程を介して容易に重合されるものなどの機能性ポリマーであり得る。
【0016】
表面特性を変化させるなどによる微多孔質膜の機能化は、そのような膜の適用を拡大することができ、そして/またはそれらをより効果的に機能させることができる。機能化は一般に、膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性ポリマーなどの機能性分子を付着させることにより遂行され得る。内部フィブリル状構造に機能性分子を付着させることは、機能性が膜構造全体で必要とされるような幾つかの例において望まれ、または望ましい場合がある。加えて、内部フィブリル状構造に機能性分子を付着させることは、摩滅または膜から染み出さない液との接触により機能性分子が除去されるのを防ぐなどにより、機能性の持続性を上昇させ得る。様々な実施形態において、蒸着処理による蒸気は、膜をコーティングする、または修飾しようとするより伝統的な方法では到達し得ない膜の内部領域に到達し得ることから、本明細書に記載された機能化は、所望の機能性または修飾によって膜内の各表面を本質的に包み込むことができる。
【0017】
幾つかの微多孔質膜の場合、内部フィブリル状構造への機能性分子の付着は、被膜の小さな孔径によって特に困難になる。例えばCelgard(登録商標)膜の孔径は一般に、幾つかの例において非限定的に0.03μm〜0.2μmの範囲内であり得、幾つかの例において、膜に挿入される機能性分子と類似のサイズである。さらに、幾つかの単軸延伸Celgard(登録商標)膜における細孔の卵形は、幾つかの例において、膜の内部構造への機能性分子挿入の困難さを増大させ得る。機能性分子がうまく挿入され得る場合であっても、それらは多くの場合、細孔を遮断し、したがって膜の基本的拡散挙動または呼吸性を損傷し得る。あくまでも例として、機能性分子が、伝統的コーティング溶液の適用を介して多孔質膜に機械的に適用される場合、そのような適用は、膜の細孔の閉塞、100%未満の被覆、持続性の問題、および/または類似の問題をまねく可能性がある。
【0018】
非限定的に、様々な真空法および様々な大気圧法などのプラズマ蒸着法は、意外にも、例としてCelgard(登録商標)膜などの様々な多孔質膜の内部フィブリル状構造へ、疎油性フルオロポリマーなどの機能性分子を持続的に堆積させる効果的な手段として発見された。これらの蒸着法は、薄膜または膜の表面上で、例えば薄膜または膜のフィブリル状表面上で起こる重合によって、モノマー形態の薄膜に機能性分子を導入するという明白な利点を有する。その結果、この表面処理は、
・ 高度の被覆により効果的であり得る;
・ 表面処理が薄膜の厚さ全体に拡大し、もしくは拡大でき、メカニズムおよびプラズマ強度に応じて表面に共有結合で付着され得るため、持続的であり得る。したがって修飾は、摩滅され得ず、溶媒和を介して除去される可能性が低い。
・ この処理が分子レベルでフィブリルに適用され得、したがって薄膜の多孔構造に事実上影響を有し得ない(即ち、細孔が機能性分子により遮断され得ない)ため、薄膜の拡散挙動または呼吸性に影響を及ぼし得ない;そして
・ 異なるモノマー種、特に、非限定的にアクリル酸、塩化アクリロイル、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、部分フッ素化アクリラート、セミフルオロアクリラート、アリルアミン、ビニルアミン、アクリル酸エステルなどのラジカル工程を介して容易に重合されるもので修飾され得る。
【0019】
プラズマ蒸着法を用いるCelgard(登録商標)フィルムなどの微多孔質膜を機能化する能力は、これらの膜の様々な新規適用性を開拓し得る。例えば、呼吸性に重大な影響を及ぼすことなくCelgard(登録商標)フィルムへ持続性のある疎油性を付与することで、例えば織物の膜など、特有の撥水性/呼吸性膜を提供し得る。持続性のある疎油性Celgard(登録商標)フィルムは、液体芳香剤を含む芳香装置において呼吸性のある遮断膜として用いることもでき、それはこれらの呼吸性のある遮断膜が芳香剤蒸気を透過させるが液体芳香剤を保持するためである。加えて、持続性のある疎油性は、特に汚染防止のため、または低表面エネルギー液の通過を阻止するために、様々な工業的適用での平板および中空繊維(キャピラリー)膜の両方において有用であり得る。持続性のある親水性および他の機能性が、新規な医療診断膜の適用も可能にする。広範囲の機能性分子が、蒸着法を用いて適用され得る。加えて上述の通り、蒸着法は、任意の微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜に理想的に適する。したがって、非限定的にろ過、工業用および消費者用織物、ならびに工業的分離を含む、広範囲の膜と機能化の組み合わせが予期され得る。
【0020】
本明細書における様々な実施形態において、機能化膜は、油または水を好まないという点で疎油性および疎水性の両方である。
【0021】
蒸着法を利用する膜の機能化は、バッチ(一枚)法またはロールツーロール法のいずれかで遂行され得る。基板は、
・ 微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の単層、
・ 微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の二層または多層のスタック、
・ 微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の1つまたは複数の層を組み入れる積層物、
をはじめとする様々な材料または材料の組み合わせを含み得る。そのような積層物の例としては、撥水性/呼吸性上着のためなどの、織られた、不織の、またはニットの布地に積層された微多孔質の撥水性/呼吸性膜が挙げられるが、これらに限定されない。そのような積層物は、2層(膜+外殻の布地)、2.5層(プリントされた膜+外殻の布地)、および/または3層(内張り布地+膜+外殻の布地)の形式で構築され得る。
【0022】
実施例
実施例1
以下の表1は、様々なプラズマ蒸着法で機能化された様々な例示的Celgard(登録商標)微多孔質膜の、最小限に損傷された透気度を伴う増大した撥油性を表す(ガーレー透気度テストにおいて、値が低い程、高い透気度に対応する)。
【表1】
【0023】
実施例2
以下の実施例において、Celgard(登録商標)2500微多孔質膜(Celgard(登録商標)2500は、約25ミクロン厚の微多孔単層ポリプロピレン膜である)の様々な試料を、対照試料として用いた。実験試料として、Celgard(登録商標)2500微多孔質膜の様々な試料を、真空プラズマで処理して、フッ素化ポリマーを膜表面に様々な厚さで蒸着させた。フッ素化ポリマーのコーティングまたは処理を膜の片側のみに付加して、コーティングまたは処理膜を形成させた。そのような蒸着からのデータを、以下の表2に表す。
【表2】
【0024】
約1440オングストロームのフッ素化ポリマー厚を有する試料は、コーティングまたは処理を有さないCelgard(登録商標)2500微多孔質膜で報告されたJISガーレー値に近似したJISガーレー値を有した。したがって、「1440」試料を、バッテリーセパレータを作製するために選択した。
【0025】
その後、様々な「1440」コーティング試料(および対照Celgard(登録商標)2500試料)を、バッテリーセパレータとしてバッテリー(コインセル)に組み入れ、バッテリーテストを実施した。テストの間、膜(真空プラズマ蒸着されたフッ素化ポリマーコーティングまたは処理を含む面または側)のコーティングまたは処理側を、バッテリー内のカソードに面して配置させた。酸化が高電圧カソードに対して起こっているか否かを決定するために、セパレータをテストした。具体的には、細流充電テストを、45℃で1週間実施した。この細流充電テストでは、コインセルを高電圧で、または電圧を上昇させて(そのようなコインセルに対する潜在的に「過剰な」電圧)テストし、ここでは1週間(約168時間)にわたり対照試料および本発明の試料の両方についてピーク、スパイクまたはバッテリーの故障が予測されたが、それらのピーク、スパイクまたは故障は潜在的なバッテリー損傷または変性を表す。電圧は、4.35ボルトであった(しかしこれらのコインセルのカソードは、約3.8〜4ボルトに耐えると評価された)。
【0026】
図1および2は、バッテリーセパレータとして対照Celgard(登録商標)2500膜で作製された2種のコインセル(それぞれ1および2)での細流充電テストのグラフを示す。これらのテストの間に、異常は観察されなかった。しかし同じく、バッテリーセパレータとして対照Celgard(登録商標)2500膜で作製された2種のコインセル、それぞれセル3および6の細流充電テストのグラフを示す図3および4では、セル3で約140および160時間目に(図3参照)、そしてセル6で約70時間目に(図4参照)電流のピークが観察される。これらのコインセルがこのテストに供された4.35ボルトよりも低い電圧にふさわしいものであるため、そのような電流のピークは、予測され得た。
【0027】
図5〜8は、バッテリーセパレータとして本発明の機能化またはコーティングまたは処理された膜で作製された4種のコインセル(それぞれセル1、4、5、および6)の細流充電テストのグラフを示す。これらのテストの間に、電流のピークおよび異常は観察されなかった。
【0028】
真空法または大気圧法またはその他のいずれかにかかわらず、蒸着のなんらかの形態で多孔質膜を修飾することによって、新しい膜適用は、とりわけ、医療診断薬、通気媒体、既存の製品の新たな活用機会、例えばろ過、脱気、ガス化、脱泡を包含できる。
【0029】
バッテリーセパレータの適用例として、高電圧セルの持続性のためのフルオロポリマー材料、湿潤性上昇のための親水性処理、または化学的に「着霜された」セパレータのための反応性シランおよびアルミニウム蒸気処理のような事柄を挙げることができる。
【0030】
少なくとも選択された実施形態、態様または目的によれば、本発明は、上述の要求、議論または問題に取り組むことができ、新規の、もしくは改善された多孔質、微多孔質、メソ多孔質、もしくはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維、もしくは薄膜、これらの新規の、もしくは改善された膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維、もしくは薄膜を含む新規な、もしくは改善された装置もしくは製品、例えば衣類、バッテリー、電池、家庭電化製品、乗用車、もしくはシステム、ならびに/またはそれらの製造および/もしくは使用の方法を提供できる。膜の表面および/または内部フィブリル状構造に機能性ポリマーなどの機能性分子を付着させることにより機能化された、先の背景の部分で議論されたCelgard(登録商標)膜のような微多孔質膜は、バッテリーセパレータとして、二次リチウムイオンもしくはリチウム金属バッテリーセパレータなどとして、または他の所望の材料、織物、複合体、積層物、薄膜、および/もしくは同様のものとして使用可能であり得る。
【0031】
少なくとも選択された実施形態、態様または目的によれば、以下のものが提供される。
【0032】
機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0033】
本明細書に図示および記載された、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0034】
バッテリーセパレータとして、二次リチウムイオンもしくはリチウム金属バッテリーセパレータなどとして、または他の所望の材料、織物、複合体、積層物、薄膜などとして用いられる、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0035】
機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜をはじめとする、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0036】
機能化された微多孔質膜が微多孔Celgard(登録商標)膜である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0037】
機能化された微多孔質、メソ多孔質またはナノ多孔質の膜が膜の表面および/または内部フィブリル状構造に付加または付着された機能性分子を含む、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0038】
機能性分子が機能性ポリマーである、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0039】
機能性ポリマーがラジカル工程により容易に重合されるものである、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0040】
機能性ポリマーが疎油性フルオロポリマー、アクリル酸、塩化アクリロイル、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、セミフルオロアクリラート、アリルアミン、ビニルアミン、アクリル酸エステルなどからなる群から選択される、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0041】
機能化された微多孔質、メソ多孔質またはナノ多孔質の膜が機能化工程により機能化される、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0042】
機能化工程が微多孔質、メソ多孔質またはナノ多孔質の膜の表面および/または内部フィブリル状構造へ前記機能性分子を付加または付着させることを含む、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0043】
機能化工程がプラズマ蒸着法である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0044】
プラズマ蒸着法が真空法である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0045】
プラズマ蒸着法が大気圧法である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0046】
蒸着法が薄膜のフィブリル状表面で起こる重合によってモノマー形態の膜に機能性分子を導入する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0047】
微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜を機能化することが表面特性を変化させる、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0048】
摩滅または膜から染み出さない液との接触により機能性分子が除去されるのを防ぐなどにより、機能性の持続性を上昇させる、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0049】
膜が0.03μm〜0.2μmの範囲内のサイズの細孔を有する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0050】
膜が卵形の細孔を有する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0051】
細孔が開放されたままであるか、または機能的分子によって遮断されない、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0052】
膜の機能化が高度の被覆により効果的である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0053】
表面処理が薄膜の厚さ全体に拡大し、もしくは拡大でき、メカニズムおよびプラズマ強度に応じて表面に共有結合で付着され得るため、膜の機能化が持続的であり、それにより修飾が摩滅され得ず、溶媒和を介して除去される可能性が低い、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0054】
処理が分子レベルでフィブリルに適用され、したがって薄膜の多孔構造に事実上影響を有さない(即ち、細孔が機能性分子により遮断され得ない)ため、膜の機能化が薄膜の拡散挙動または呼吸性に影響を及ぼさない、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0055】
膜の機能化がアクリル酸、塩化アクリロイル、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、ペルフルオロスチレン、ペルフルオロアクリラート、セミフルオロアクリラート、アリルアミン、ビニルアミン、アクリル酸エステルなどのラジカル工程を介して容易に重合されるものを含む、異なるモノマー種で修飾可能である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0056】
膜の機能化がそれらの呼吸性に重大な影響を及ぼすことなく薄膜へ持続性のある疎油性を付与する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0057】
膜の機能化が特有の撥水性/呼吸性織物を提供する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0058】
膜の機能化が持続性のある親水性を提供する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0059】
膜の機能化が新規な医療診断膜の適用を可能にする、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0060】
膜の機能化がろ過、工業用および消費者用織物、ならびに工業的分離をはじめとする広範囲の膜と機能化の組み合わせを提供する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0061】
膜の機能化がバッチ(一枚)法またはロールツーロール法で実行される、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0062】
機能化された膜が微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の単層である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0063】
機能化された膜が微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の二層または多層のスタックである、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0064】
機能化された膜が微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の1つまたは複数の層を組み入れる積層物である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0065】
積層物が撥水性/呼吸性上着のためなどの、織られた、不織の、またはニットの布地に積層された微多孔質の撥水性/呼吸性膜である、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0066】
積層物が積層物は、2層(膜+外殻の布地)、2.5層(プリントされた膜+外殻の布地)、および/または3層(内張り布地+膜+外殻の布地)の形式で構築される、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0067】
非限定的に、
【表3】
をはじめとする、本明細書に図示または記載された通りの改善された特徴を有する、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0068】
液体芳香剤を含む芳香装置(Febreze Set & Refreshの商品名で販売されるものなど)において呼吸性のある遮断膜として用いられる、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物など。
【0069】
様々な工業的適用(汚染防止のため、または低表面エネルギー液の通過を阻止するためなど)において平板および/または中空繊維(キャピラリー)膜中で用いられる、先の機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など。
【0070】
機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する方法。
【0071】
本明細書に図示および記載されるように機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する方法。
【0072】
膜を機能性分子で機能化するステップを含む、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する方法。
【0073】
膜を機能性分子で機能化するステップが機能化工程による、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0074】
機能化工程が微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜の表面および/または内部フィブリル状構造へ上記の機能性分子を付加または付着させることを含む、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0075】
機能化工程がプラズマ蒸着法である、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0076】
プラズマ蒸着法が真空法である、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0077】
プラズマ蒸着法が大気圧法である、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0078】
蒸着法が薄膜のフィブリル状表面上で起こる重合によってモノマー形態の膜に機能性分子を導入する、機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維などを作製する先の方法。
【0079】
選択された実施形態によれば、機能化された微多孔質、メソ多孔質、もしくはナノ多孔質の膜、材料、織物、複合体、積層物、繊維など、および/またはそのような機能化された膜を作製もしくは使用する方法が、提供される。機能化された多孔質膜は、膜の表面および/または内部フィブリル状構造(またはその一部)に、機能性ポリマーなどの、付着された機能性分子を有する機能化された微多孔質、メソ多孔質、またはナノ多孔質の膜であり得る。
【0080】
本発明は、主旨およびその本質的な属性から逸脱することなく他の形態で具体化することができ、したがって本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりもむしろ添付の特許請求の範囲を参照しなければならない。加えて、例示的に本明細書に適切に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素の非存在下で実行され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8