(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、閉回路と開回路とがユニット内に並存し、ユニットの構成が複雑化する。他の公知の技術ではタンクが密閉タンクで構成される技術もあるが、タンクが密閉タンクの場合、タンクにエアを流出させても、タンク内にエアが溜まってしまう。特許文献1では、タンクからエアを放出する前提となっており、タンクに溜まったエアへの対処が講じられていない。
【0007】
そこで本発明は、ユニット内のエアを簡単に抜ける、密閉タンクを使用する閉回路式の液圧駆動ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る液圧駆動ユニットは、一対の給排ポートを有する液圧アクチュエータを駆動するための液圧駆動ユニットであって、ケーシング、一対のポンプポート、および、前記ケーシング内のエアを作動油と共に外部に排出するエア抜きポートを有するポンプと、前記一対のポンプポートと前記一対の給排ポートとを接続する一対の給排ラインと、前記一対の給排ラインおよび/またはこれに接続される油路に設けた1以上のバルブを内蔵したバルブブロックと、前記一対の給排ラインと接続され、作動油を溜める密閉タンクと、前記密閉タンク内の作動油を前記ポンプに導く吸入ラインと、前記エア抜きポートを前記吸入ラインに接続する連絡ラインと、前記連絡ラインを流れるエアと作動油とを分離し、作動油を前記吸入ラインに供給する一方でエアを前記連絡ラインから放出する気液分離器と、を備え、前記ポンプが前記バルブブロックおよび前記密閉タンクの鉛直方向上方に配置される。
【0009】
前記構成によれば、密閉タンクにエアが混入しても、そのエアを吸入ラインおよびバルブブロックを介し、密閉タンクおよびバルブブロックの上方に配置されたポンプのケーシング内に集めることができる。ケーシング内に集められたエアは、作動油と共にエア抜きポートを通って吸入ラインに導かれ、気液分離器で作動油と分離され、外部に放出される。吸入ラインにはポンプポートの吸込側に向かう流れが生じやすく、そのため、エア抜きポートから吸入ラインへの流れも生じやすく、ケーシングからエアを排出しやすい。以上より、ユニット内のエアを簡単に抜ける。
【0010】
前記ポンプおよび前記バルブブロックが取り付けられる架台と、前記密閉タンクの底部を下から支持するタンク支持機構と、を更に備え、前記密閉タンクは、作動油の出入り口が上向きであって、前記架台に前記架台の骨格を分解することなく脱着可能に配置され、前記タンク支持機構は、前記架台に固定された固定部材と、前記固定部材に対して上下方向に移動可能な可動部材とを備え、前記可動部材の上端部が前記密閉タンクの前記底部に下から接触してもよい。
【0011】
密閉タンクの維持管理作業では、密閉タンクのユニットからの取外し、およびユニットへの再取付けを要する場合がある。前記構成によれば、密閉タンクが架台に架台の骨格を分解することなく脱着可能に配置されているので、密閉タンクの取付けおよび取外し作業、ひいては維持管理作業を簡便に行える。密閉タンクの取付け作業では、可動部材の固定部材に対する上下位置を調整することで、架台およびこれに取り付けられているバルブブロックおよびポンプに対する密閉タンクの上下位置を調整可能である。つまり、タンク支持機構が、タンクの高さを調整する高さ調整機能を有している。そのため、密閉タンクに接続される配管に、無理な応力が発生するのを抑制でき、ユニットの耐久性が向上する。
【0012】
前記密閉タンクが加圧タンクであり、前記密閉タンクの前記底部には、内部ガス圧を調整するためのガス圧調整ポートが設けられ、前記可動部材の前記上端部が、前記ガス圧調整ポートを外囲して前記密閉タンクの前記底部に当接する筒状部材で構成されており、前記筒状部材が前記密閉タンクよりも低硬度の材料で製作されていてもよい。
【0013】
前記構成によれば、ガス圧調整ポートを筒状部材で外部から保護できる。また、筒状部材は密閉タンクの荷重を受けることになるが、その筒状部材が密閉タンクよりも低硬度の材料で製作されている。そのため、ガス圧調整ポートを含め、密閉タンクが筒状部材によって損傷するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユニット内のエアを簡単に抜ける、密閉タンクを使用する閉回路式の液圧駆動ユニットを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。全図を通じて同一又は対応する要素には同一符号を付して重複する詳細な説明を省略する。
【0017】
(回路)
図1は、実施形態に係る液圧駆動システム10の回路図である。液圧駆動システム10は、液圧アクチュエータ2を駆動する液圧駆動ユニット1を備えている。液圧駆動システム10は、例えば、油圧プレス、試験設備などの産業機械に搭載される。
【0018】
液圧アクチュエータ2は、一対の給排ポート2a,2bを有する。一対の給排ポート2a,2bは、その作動方向によって供給側と排出側とを切り換える。給排ポート2a,2bには、後述する一対の給排ライン13a,13bの一部を構成する給排配管部材(例えば、ゴムホース)3a,3bが接続されている。液圧アクチュエータ2は、図示される複動型単ロッド液圧シリンダのほか、複動型両ロッド液圧シリンダあるいは液圧モータで構成されてもよい。液圧シリンダの場合、供給側と排出側との切換えにより、ロッド移動方向(作動方向)が変更される。液圧モータの場合、供給側と排出側との切換えにより、回転方向(作動方向)が変更される。
【0019】
液圧駆動ユニット1は、電動モータ11、ポンプ12、一対の給排ライン13a,13bの一部、密閉タンク17、吸入ライン24、および、連絡ライン27を備えている。
【0020】
電動モータ11は、正逆回転可能である。電動モータ11の回転方向および回転数は、制御装置91によって制御される。制御装置91は、ROMやRAMなどのメモリとCPUとを有する。CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、回転方向および回転数の指令値が導出および出力される。電動モータ11は、制御装置から出力される指令値に従って作動するモータ駆動器92(例えば、サーボドライバあるいはインバータ)によって駆動される。電動モータ11にはパルスジェネレータ11aが設けられており、電動モータ11の駆動制御には、パルスジェネレータ11aから出力される信号を用いたフィードバック制御が適用される。
【0021】
ポンプ12は、一例として、可変容量型・両回転型の斜板ポンプである。ポンプ12は、一対のポンプポート12a,12bを有する。一対のポンプポート12a,12bは、電動モータ11の回転方向に応じて、吐出側と吸入側とを切換え可能に構成されている。第1ポンプポート12aは、第1給排ライン13aを介し、液圧アクチュエータ2の第1給排ポート2aと接続されている。第2ポンプポート12bは、第2給排ライン13bを介し、液圧アクチュエータ2の第2給排ポート2bと接続されている。
【0022】
ただし、ポンプ12は、斜軸ポンプであってもよい。あるいは、ポンプ12は、回転方向が一方向のままでも斜板または斜軸がセンターから一方側または他方側に傾倒することによってポンプポート12a,12bの吐出側および吸入側との切り換えが可能に構成された両傾転両回転ポンプであってもよい。この場合、ポンプ12の駆動源は、電動モータ11に代えてエンジンであってもよい。
【0023】
第1給排ライン13aは、上述の給排配管部材3aと、バルブブロック40の内部に形成される内部通路40aとで構成されている。第2給排ライン13bは、上述の給排配管部材3bと、バルブブロック40の内部に形成される内部通路40bとによって構成される。内部通路40a,40bは、バルブブロック40の表面に設けられたアクチュエータ側給排ポート46a,46bに繋がっており、給排配管部材3a,3bの端部は当該ポート46a,46bに接続される。これにより、一対の給排ライン13a,13bが構成される。以降の説明において、給排ライン13a,13bという場合、特段断らなければ、液圧駆動ユニット1を構成する内部通路40a,40bを指す。
【0024】
ポンプポート12a,12bは、電動モータ11の回転方向によって吐出側と吸入側とを切り換える。それにより、液圧アクチュエータ2の給排ポート2a,2bも、供給側と排出側とを切り換える。
【0025】
第1給排ライン13aからは第1リリーフ通路15aが分岐し、第1リリーフ弁16aが第1リリーフ通路15aに設けられている。第2給排ライン13bからは第2リリーフ通路15bが分岐し、第2リリーフ弁16bが第2リリーフ通路15bに設けられている。第1リリーフ通路15aおよび第2リリーフ通路15bは、密閉タンク17の油出入口17aから延びるタンクライン18に接続されている。
【0026】
各給排ライン13a,13bは、対応するリリーフ通路15a,15b(およびこれに設けられたリリーフ弁16a,16b)、並びに、タンクライン18を介し、密閉タンク17に接続されている。なお、タンクライン18の端部には、給油口19が設けられており、ユニット1の外部から給油口19に作動油を注ぐことで、密閉タンク17に作動油を補充できるようになっている。
【0027】
タンクライン18には、給油口19から密閉タンク17に向かって、逆止弁20、逆止弁21、オイルフィルタ22、オイルクーラ23が、この順番に設けられている。タンクライン18とリリーフ通路15a,15bとの接続点は、タンクライン18上にて、逆止弁20,21間に位置付けられている。逆止弁20は、リリーフ通路15a,15bからタンクライン18に流入した作動油が給油口19に向けて逆流することを防止する。逆止弁21は、密閉タンク17から流出した作動油が給油口19へと逆流するのを防止する。別の言い方では、密閉タンク17から流出した作動油が吸入ライン24へと向かうように案内する。
【0028】
吸入ライン24は、密閉タンク17を第1給排ライン13aおよび第2給排ライン13bに接続しており、密閉タンク17内の作動油をポンプ12に導く。本例では、吸入ライン24は、タンクライン18から分岐して延びる単一系統の共通部24c、および、共通部24cから分岐された第1分岐部24aおよび第2分岐部24bを含む。ライン18,24の接続点は、タンクライン18上にて、オイルクーラ23と油出入口17aとの間に位置付けられている。第1分岐部24aが第1給排ライン13aに接続され、第2分岐部24bが第2給排ライン13bに接続されている。第1分岐部24aおよび第2分岐部24bそれぞれに、逆止弁25a,25bが設けられている。逆止弁25a,25bは、給排ライン13a,13bを流れる作動油が吸入ライン24に流入することを防止する。なお、第1給排ライン13aには、第1ポンプポート12aから第1給排ポート2aに向かって、第1分岐部24aとの接続点、および、第1リリーフ通路15aとの接続点が、この順番で設けられている。第2給排ライン13bにおいてもこれと同様である。
【0029】
ポンプ12は、一対のポンプポート12a,12bの他、ポンプ12内の余剰油を放出するドレンポート12c、および、ポンプ12内に溜まったエアを作動油と共に排出するエア抜きポート12dを有する。ドレンポート12cは、ポンプドレンライン26を介し、タンクライン18に接続されている。ライン18,26の接続点は、タンクライン18上にて、オイルフィルタ22とオイルクーラ23との間に位置付けられている。
【0030】
エア抜きポート12dは、連絡ライン27を介し、吸入ライン24(本例では、その共通部24c)に接続されている。連絡ライン27には、気液分離器28が介在している。気液分離器28には、ユニット1外(例えば、大気)に開放されるエア通路29が接続されており、エア通路29には、エア通路29を開閉するエア抜き弁30が設けられている。気液分離器28は、連絡ライン27を流れるエアと作動油とを分離し、作動油を吸入ライン24に供給する一方でエアを連絡ライン27外に放出する。エアは、気液分離器28からエア通路29に導かれ、エア抜き弁30の開弁時にユニット1外に放出される。
【0031】
上記した回路構成を有する液圧駆動ユニット1では、電動モータ11が一方向に回転すると、第1ポンプポート12aが吐出ポートとなり、第2ポンプポート12bが吸入ポートとなる。第1給排ライン13aは、吐出ポートから吐出された圧油が流れる供給ラインとなり、第1給排ポート2aは、圧油が供給される供給ポートとなる。第2給排ポート2bは、戻り油が排出される排出ポートとなり、第2給排ライン13bは、戻り油が流れる排出ラインとなる。戻り油は、吸入ポートである第2ポンプポート12bに戻される。電動モータ11がこの逆方向に回転すると、第1ポンプポート12aが吸入ポート、第2ポンプポート12bが吐出ポートとなる。第1給排ライン13aが排出ライン、第2給排ライン13bが供給ラインとなる。第1給排ポート2aが排出ポートとなり、第2給排ポート2bが供給ポートとなる。
【0032】
液圧アクチュエータ2が片ロッドシリンダである場合、ロッドの単位移動距離当たりに必要な供給油量と排出油量とが異なる。排出油量が供給油量に対して不足する場合、密閉タンク17の作動油が吸入ライン24を介し、排出ラインに供給されてポンプ12の吸入ポートに導かれる。
【0033】
リリーフ弁16a,16bは、液圧アクチュエータ2への供給油圧を設定する。リリーフ弁16a,16bの作用により供給ラインからリリーフ通路15a,15bに流れた作動油は、タンクライン18に流入する。また、ドレンポート12cから排出された作動油は、ポンプドレンライン26を介し、タンクライン18に流入する。このようにしてタンクライン18に流入した作動油は、オイルフィルタ22での浄化およびオイルクーラ23での冷却を経て、吸入ライン24に流入し、または、密閉タンク17に貯留される。
【0034】
(構造)
図1および
図4に示すとおり、ポンプ12は、ケーシング31およびポンプ駆動軸32を有している。ポンプ駆動軸32は、ケーシング31に回転可能に支持されている。ポンプ駆動軸32の一端は、ケーシング31外に突出し、ケーシング31外で軸継手33を介して電動モータ11の出力軸34と連結される。ドレンポート12cおよびエア抜きポート12dは、ケーシング31に設けられている。
【0035】
液圧駆動ユニット1は、バルブブロック40を備えている。バルブブロック40は、金属製の筐体によって実現される。バルブブロック40は、給排ライン13a,13b(の一部)、給排ライン13a,13bに接続される油路15a,15b,18,24,27の一部または全部、並びに、給排ライン13a,13bおよび/またはこれに接続される油路15a,15b,18,24,27に設けられた1以上のバルブ16a,16b,20,21,25a,25bを内蔵する。オイルフィルタ22もバルブブロック40内に収容される。密閉タンク17とオイルクーラ23は、バルブブロック40ともポンプ12とも別体である。
【0036】
バルブブロック40の表面には、複数のポートが設けられている。タンクライン18の端部を成す給油口19は、バルブブロック40の表面に形成されている。その他、バルブブロック40の表面には、タンクライン18と関連して、クーラ上流ポート41、クーラ下流ポート42およびタンクポート43が設けられている。クーラ上流ポート41は、オイルクーラ23の入口ポートと接続され、クーラ下流ポート42は、オイルクーラ23の出口ポートと接続されている。ポート41,42とオイルクーラ23のポートとの接続は、ゴムホースを用いてもよいし、ポート同士が連通するようにしてオイルクーラ23の筐体表面をバルブブロック40の表面に密着させてもよい。タンクポート43は、配管部材を介し、密閉タンク17の油出入口17aと接続される。バルブブロック40内で、給油口19はクーラ上流ポート41と接続され、クーラ下流ポート42はタンクポート43と接続されている。
【0037】
本例では、吸入ライン24の全体および逆止弁25a,25bがバルブブロック40に内蔵されている。バルブブロック40の表面には、連絡ライン接続ポート44が設けられている。連絡ライン接続ポート44は、バルブブロック40に内蔵された吸入ライン24から分岐してバルブブロック40の表面に開口し、連絡ライン27の端部を構成する。配管部材81が、ポンプ12のケーシング31に開口するエア抜きポート12dと、連絡ライン接続ポート44との間を繋ぐ。これにより、エア抜きポート12dを吸入ライン24と接続する連絡ライン27が実現される。気液分離器28は、この配管部材81に介在している。
【0038】
バルブブロック40の表面には、第1給排ライン13aと関連して、第1ポンプ側給排ポート45a、および、アクチュエータ側給排ポート46aが設けられており、第2給排ライン13bと関連して、第2ポンプ側給排ポート45b、および、アクチュエータ側給排ポート46bが設けられている。アクチュエータ側給排ポート46a,46bは、給排配管部材3a,3bを介し、液圧アクチュエータ2の給排ポート2a,2bそれぞれに接続されている。ケーシング31の表面は、第1ポンプ側給排ポート45aおよび第2ポンプ側給排ポート45bが開口する表面に重ねられ、それにより、第1ポンプポート12aが第1ポンプ側給排ポート45aと連通し、第2ポンプポート12bが第2ポンプ側給排ポート45bと連通する。ケーシング31は、バルブブロック40の上に重ねられる(
図2を参照)。ポート45a,45bは、バルブブロック40の上面に形成され、ケーシング31はこのバルブブロック40の上面に上から重ねられる。
【0039】
(配置)
図2は、液圧駆動ユニット1の斜視図である。
図2に示すように、液圧駆動ユニット1は竪型である。液圧駆動ユニット1は、架台50を有している。架台50には、ポンプ12およびバルブブロック40が取り付けられている。架台50の骨格は、上下に延びる複数本(例えば4本)の柱部材51によって構成されている。バルブブロック40およびポンプ12は、これら柱部材51の内側の空間に配置されている。バルブブロック40の上にポンプ12が重ねられ、バルブブロック40の下にオイルクーラ23(
図2には示されず)が取り付けられている。
【0040】
密閉タンク17は、架台50の外に配置されている。より詳しくは、上記複数本の柱部材51の外側の空間、あるいは、架台50の骨格の外側に配置されている。密閉タンク17は、全体として円筒状に形成されており、その両端は凸の半球状に形成されている。密閉タンク17の軸方向中央部の外周面にはホルダ52が巻き付けられ、このホルダ52は柱部材51にネジ止めされる。これにより、密閉タンク17が架台50に取り付けられる。
【0041】
架台50は、柱部材51の外側に突出するブラケット53を有している。このブラケット53にタンク支持機構60が設けられている。タンク支持機構60は、密閉タンク17の底部を下から支持する。密閉タンク17は、タンク支持機構60を介して架台50に支持され、密閉タンク17の油出入口17aは上に向けられる。密閉タンク17は、概略的に言って、バルブブロック40の下方に配置されている。なお、密閉タンク17はバルブロック40と横並びであり、油出入口17aはバルブブロック40の上面よりも下方かつバルブブロック40の下面よりも上方に位置付けられ、密閉タンク17の底部はバルブブロック40の下面よりも下方に位置づけられている。
【0042】
図3に示すように、タンク支持機構60は、架台50に固定された固定部材61と、固定部材61に対して上下方向に移動可能な可動部材62とを備える。可動部材62の上端部が密閉タンク17の底部に下から接触する。
【0043】
固定部材61は、例えば、ボルトで構成され、可動部材62は、例えば、固定部材61に螺合するナット部材で構成される。固定部材61は、上下方向に向けられ、一端がブラケット53上に載置される。可動部材62は、固定部材61と螺合する雌ねじを有したナット部62a、および、ナット部62aに対して上方に位置づけられてナット部62aと一体化されたカップ部62bを有する。なお、ナット部62aとカップ部62bは別体でもよい。カップ部62bの底壁には、固定部材61を挿通可能な貫通穴が空いている。可動部材62を固定部材61に対して回転することで、可動部材62が固定部材61の軸方向に直進可能である。カップ部62bは、可動部材62の上端部を構成している。このカップ部62bに、筒状部材63が嵌め込まれており、筒状部材63の上端はカップ部62bの上縁よりも上方に突出している。筒状部材63は、可動部材62と一体となって固定部材61に対して上下方向に移動することから、可動部材62の上端部を構成している。筒状部材63は、可動部材62および密閉タンク17よりも硬度および機械的強度が低い材料で成形されている。例えば、可動部材62および密閉タンク17は、ステンレス鋼などの鉄系材料で成形される一方、筒状部材63は合成樹脂、紙、アルミ、銅または軟鉄で成形される。
【0044】
密閉タンク17は加圧タンクであり、密閉タンク17の底部には、密閉タンク17の内部ガス圧の調整に用いるガス圧調整ポート17bが設けられている。ガス圧調整ポート17bは、密閉タンク17の底部から円筒状に突出している。固定部材61、可動部材62および筒状部材63は、ガス圧調整ポート17bと略同軸状に配されている。筒状部材63の内径は、ガス圧調整ポート17bの外径よりも大きい。筒状部材63の軸長(高さ)は、ガス圧調整ポート17bの軸長(タンク底部から突出量)よりも大きい。
【0045】
図2および
図3を参照して、密閉タンク17を架台50に取り付ける方法を説明する。架台50にタンク支持機構60を装着し、ブラケット53上にタンク支持機構60および密閉タンク17を載置する。ブラケット53は架台50の支持柱51の外側の空間に張り出しているので、密閉タンク17の載置作業は簡便に行える。また、架台50の骨格を分解しなくても、密閉タンク17の載置作業を行える。
【0046】
ホルダ52を密閉タンク17の外周面に巻き付け、密閉タンク17がホルダ52に対して上下摺動可能となるように支持柱51に仮止めする。次いで、タンク支持機構60の可動部材62を上下に移動させることで、密閉タンク17の架台50に対する上下位置を調整し、ホルダ52を支持柱51に固定すると共に、油出入口17aを配管部材と接続する。
【0047】
上下位置の調整では、バルブブロック40のタンクポート43に接続された配管部材の端部を、油出入口17aに接近させる。これにより、架台50の組立誤差、バルブブロック40の架台50への組付誤差、バルブブロック40の公差、配管部材の公差、および密閉タンク17の公差によって生じる油出入口17aと配管部材との位置ずれを吸収し、配管部材を密閉タンク17に接続でき、配管部材に無理な応力が発生するのを抑制できる。
【0048】
このように密閉タンク17を架台50に取り付けると、密閉タンク17の底部は筒状部材63の上端と接触し、密閉タンク17の荷重は、タンク支持機構60において筒状部材63で受け持たれる。筒状部材63は密閉タンク17よりも硬度および機械的強度が低い材料で成形されているので、密閉タンク17の底部の損傷を防ぐことができる。筒状部材63は、ガス圧調整ポート17bと干渉せずにガス圧調整ポート17bを外囲する。ガス圧調整ポート17bの突出量は、筒状部材63の高さよりも小さく、ガス圧調整ポート17bの端部はカップ部62bと干渉しない。このように、筒状部材63の適用により、密閉タンク17の底部、特に、ガス圧調整ポート17bの損傷を抑制できる。
【0049】
密閉タンク17を架台50から取り外すときは、上記と逆の手順を踏めばよい。密閉タンク17を架台50から取り外すときにも、架台50の骨格の分解は不要である。密閉タンク17の維持管理作業では、密閉タンク17の取外しおよび再取付けを要する場合がある。密閉タンク17を架台50の骨格の外に配置し、その骨格を分解することなく密閉タンク17が架台50に脱着可能に配置されるので、密閉タンク17の取付けおよび取外し作業、ひいては維持管理作業を簡便に行える。
【0050】
図2に示すように、架台50は、支持柱51の上端に設けられた天板54を有し、この天板54の中央部から上方に突出してモータステー55が設けられている。モータステー55は、天板54から上方に突出する筒部55aと、筒部55aの上端に設けられた水平板部55bとを含む。電動モータ11は、軸方向を上下に向けた姿勢で、水平板部55b上に設置される。電動モータ11の出力軸34は、水平板部55bを貫通して筒部55a内に進入しており、筒部55a内で軸継手33を介してポンプ駆動軸32と連結される。ポンプ駆動軸32は、ケーシング31から突出して天板54を貫通して筒部55a内に進入している。ポンプ12は、液圧駆動ユニット1を構成する液圧機器(電動モータ11、軸継手33、エア通路29およびエア抜き弁30は除かれる)のうち、最も高い位置に配置されている。
【0051】
図4に示すように、ケーシング31は、内部に密閉空間31aを形成しており、ポンプ駆動軸32は、密閉空間31aに挿入され、密閉空間31aに収容された上ベアリング71および下ベアリング72によって回転可能に支持されている。上ベアリング71は、下ベアリング72の上方に配置され、密閉空間31aの上部に収容されている。密閉空間31a内には、上下ベアリング71,72間に、斜板73およびシリンダブロック74が配置されている。シリンダブロック74には複数のシリンダボア75が形成され、各シリンダボア75にピストン76が挿入されている。
【0052】
ポンプ12は、一例として固定斜板式であり、ポンプ駆動軸32が回転するとシリンダブロック74が共に回転する。各ピストン76が、斜板73の傾斜角に応じたストロークで、シリンダボア75内で往復運動する。ピストン76がシリンダボア75から上方に突出するとき、ポンプポート12a,12bの一方を介してシリンダボア75に作動油が吸入され、ピストン76がシリンダボア75内に没入するとき、シリンダボア75からポンプポート12a,12bの他方へと作動油が吐出される。
【0053】
ケーシング31内には、多数の潤滑必要部位が存在するが、作動油が潤滑剤を兼ねる。ポンプポート12a,12bのうちいずれかの高圧となっているポートから漏れた作動油がケーシング31内に流入し、密閉空間31aは作動油で満たされる。エア抜きポート12dは、密閉空間31aの上部、特に、潤滑必要部位のうち最も高い位置にある上ベアリング71の収容空間から、ケーシング31の壁を径方向に延びてケーシング31の外面に開口している。
【0054】
密閉空間31aには、作動油と共にエアが進入する可能性がある。作動油と共に進入したエアは、密閉空間31aの上部に溜まる。エアが溜まっていくと、上ベアリング71に対する潤滑剤の不足が生じる可能性がある一方、エア抜きポート12dは、密閉空間31aの上部であって上ベアリング71の収容空間に連通している。そのため、密閉空間31aに溜まったエアをケーシング31外に排出しやすく、また、ケーシング31内の潤滑必要部位で潤滑剤切れが生じるのを抑止できる。
【0055】
気液分離器28は、ポンプ12と横並びに配置され、天板54の下面に取り付けられている。エア通路29は、天板54から上方に突出しており、エア抜き弁30は、エア通路29の上端に設けられてモータステー55と横並びに配置される。エア抜きポート12dを連絡ライン接続ポート44に接続する配管部材81は、エア抜きポート12dを気液分離器28に接続する第1配管部材81aと、気液分離器28を連絡ライン接続ポート44に接続する第2配管部材81bとを含む。第1配管部材81aは略水平に延びており、エア抜きポート12dから排出されたエアが第1配管部材81aに溜まるのを抑制できる。
【0056】
なお、図示のとおり、ドレンポート12cはエア抜きポート12dよりも大径である。しかし、ドレンポート12cから流れる作動油はオイルクーラ23の通過抵抗が加わるので、結局、連絡ライン27を通る流れが確保される。従って、エア抜きポート12dには作動油が円滑に流れていき、その作動油と共にエアをケーシング31から抜くことができる。
【0057】
上記のとおり、本実施形態に係る液圧駆動ユニット1は、閉回路式を適用しており、作動油を溜める密閉タンク17を備えると共に、ポンプ12、バルブブロック40、密閉タンク17内の作動油を一対のポンプポート12a,12bのうち吸込ポートとして機能するポートに作動油を供給する吸入ライン24、ポンプ12のエア抜きポート12dを吸入ライン24に接続する連絡ライン27、および、連絡ラインを流れるエアと作動油とを分離する気液分離器28を備える。バルブブロック40は、一対のポンプポート12a,12bを液圧アクチュエータ2の一対の給排ポート2a,2bに接続する一対の給排ライン13a,13bの一部、並びに該一対の給排ライン13a,13bおよび/またはこれに接続される油路15a,15b,18,24に設けた1以上のバルブ15a,15b,20,21,25a,25bを内蔵している。ポンプ12はこのバルブブロック40の上に配置されており、密閉タンク17よりも上方に配置されている。
【0058】
そのため、密閉タンク17にエアが混入しても、そのエアを吸入ライン24およびバルブブロック40を介し、密閉タンク17およびバルブブロック40の上方に配置されたポンプ11のケーシング31内に集めることができる。ケーシング31内に集められたエアは、作動油と共にエア抜きポート12dを通って吸入ライン24に導かれ、気液分離器28で作動油と分離され、外部に放出される。吸入ライン24にはポンプポート12a,12bの吸込側に向かう流れが生じやすく、そのため、エア抜きポート12dから吸入ライン24への流れも生じやすく、ケーシング31からエアを排出しやすい。以上より、ユニット1内のエアを簡単に抜ける。
【0059】
更に、密閉タンク17は、その油出入口17aが上に向くようにして架台50に設置される。そのため、密閉タンク17内でエアが生じても、そのエアは密閉タンク17の上部、油出入口17a付近に集まるので、油出入口17aおよび吸入ライン24を介して作動油と共にポンプ12に導かれやすい。よって、密閉タンク17内にエアが溜まるのを抑制できる。
【0060】
これまで、本発明の実施形態について説明したが、上記構成は本発明の趣旨の範囲内で適宜変更、追加および/または削除可能である。
【解決手段】液圧駆動ユニットが、ポンプ12と、一対の給排ライン13a,13bと、バルブブロック40と、密閉タンク17と、密閉タンク17内の作動油をポンプ12に導く吸入ライン24と、ポンプ12のエア抜きポート12dを吸入ライン24に接続する連絡ライン27と、連絡ライン27を流れるエアと作動油とを分離する気液分離器28と、を備える。ポンプ12がバルブブロック40および密閉タンク17の鉛直方向上方に配置される。