特許第6446130号(P6446130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446130燃料電池用の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446130
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】燃料電池用の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0247 20160101AFI20181217BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20181217BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01M8/0247
   H01M8/0276
   H01M8/0258
   H01M8/0206
   H01M8/10 101
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-513689(P2017-513689)
(86)(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公表番号】特表2017-532731(P2017-532731A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】IB2015001510
(87)【国際公開番号】WO2016042376
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】62/053,128
(32)【優先日】2014年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(73)【特許権者】
【識別番号】500493207
【氏名又は名称】フォード モーター カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ブラント
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ヘンリー・アルティバイズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビット・アダム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ウェード
(72)【発明者】
【氏名】マルティーン・コイエアレーベル
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−200751(JP,A)
【文献】 特表2006−523916(JP,A)
【文献】 特開2000−100454(JP,A)
【文献】 特開2001−102072(JP,A)
【文献】 特開2011−023161(JP,A)
【文献】 特開2004−152745(JP,A)
【文献】 特開2007−172992(JP,A)
【文献】 特開2007−115503(JP,A)
【文献】 特開2014−127295(JP,A)
【文献】 特開2005−327486(JP,A)
【文献】 入門ビジュアルテクノロジー 燃料電池のすべて,株式会社日本実業出版社,2001年,初版,p.146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリであって、
成形金属アノードプレートに結合された成形金属カソードプレートを含むサブアセンブリであって、前記カソード及びアノードプレートのうちの第1のプレートが、前記第1のプレートの外向き面上及び外周の周りに2つの隆起した連続リッジを含み、それにより前記第1のプレートの前記外周の周りに電気化学的に活性な領域を取り囲むチャネルを作成し、前記第1のプレートの内向き面上の前記チャネルの領域の半分以上が、前記カソード及びアノードプレートのうちの第2のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される、サブアセンブリと、
前記サブアセンブリに一体化されたシールであって、前記シールが、前記チャネル内及び前記第1のプレートの前記外向き面上にシーリングパッドを含む、シールと、
前記結合されたカソード及びアノードプレートの間に形成され、かつ前記第1のプレートの前記2つの隆起した連続リッジの両方の下である長さを横切る少なくとも1つのダクトと、
を備える、一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項2】
前記シールが、前記第1のプレートの前記チャネル内の前記シーリングパッドの前記外向き面上にシーリングビードを含む、請求項1に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項3】
前記サブアセンブリが、前記チャネル内にあり、かつ前記結合されたカソード及びアノードプレートの両方を貫通する少なくとも1つの貫通孔を含み、
前記シールが、前記貫通孔を埋める部分、及び前記カソード及びアノードプレートのうちの前記第2のプレートの前記外向き面上にシーリングパッドを含む、請求項1に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項4】
前記サブアセンブリが、前記チャネル内にあり、かつ前記結合されたカソード及びアノードプレートの両方を貫通する複数の貫通孔を含む、請求項に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項5】
前記第2のプレートの前記外向き面上の前記シーリングパッドが平坦である、請求項に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項6】
前記貫通孔の周囲がカールしている、請求項に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項7】
前記サブアセンブリ内の前記カソード及びアノードプレートのうちの前記第2のプレートが、前記外向き面上及び前記外周の周りに2つの隆起した連続リッジを含み、それにより前記第2のプレートの前記外周の周りに電気化学的に活性な領域を取り囲む第2のチャネルを作成し、前記第2のプレートの前記内向き面上の前記第2のチャネルの領域の2分の1超の部分が、前記第1のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される、請求項1に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリを備える、燃料電池。
【請求項9】
前記燃料電池が固体高分子電解質燃料電池である、請求項に記載の燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用、及び特に高出力密度を要する用途向けの固体高分子電解質燃料電池用のバイポーラプレートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質またはプロトン交換膜燃料電池などの燃料電池は、反応物質、つまり燃料(水素など)及び酸化剤(酸素または空気など)を電気化学的に変換して電力を発生させる。固体高分子電解質燃料電池は、一般に、カソード及び陽極電極間にプロトン伝導性の固体高分子膜電解質を用いる。これら2つの電極間に挟まれた固体高分子膜電解質を含む構造体は、膜電極アセンブリ(MEA)として知られる。典型的な燃料電池においては、反応物質のための多数の流体分配チャネルを含む流れ場プレートがMEAの両側に提供されて、燃料及び酸化剤をそれぞれの電極に分配し、また、燃料電池内で起こる電気化学的反応の副産物を除去する。水は、水素と空気との反応物質で動作する電池内の主な副産物である。単一の電池の出力電圧は1Vのオーダーであるため、通常、商業用途では、より高い出力電圧を提供するために複数の電池が直列に積層される。燃料電池積層体は、自動車用途などにおける使用のために、直列及び/または並列の相互接続積層体のアレイ状にさらに接続され得る。
【0003】
水と共に、熱は、燃料電池内で起こる電気化学的反応からの著しい副産物である。故に、燃料電池積層体を冷却するための方法が、概して必要とされる。高出力密度(例えば、自動車積層体)を達成するように設計される積層体は、典型的に、熱を迅速かつ効率的に除去するために、積層体全体に液体冷却剤を循環させる。これを達成するためには、多数の冷却剤チャネルを含む冷却剤流れ場も、典型的に、積層体内の電池の流れ場プレートに組み込まれる。冷却剤流れ場は、流れ場プレートの電気化学的に不活性な表面上に形成され得、故に、冷却剤を確実に反応物質から分離しつつ、電池全体に均一に冷却剤を分配することができる。
【0004】
故に、プレート間に密閉された冷却剤流れ場を形成するように結合されかつ適切に密閉されているアノード流れ場プレート及びカソード流れ場プレートを含むバイポーラプレートアセンブリが、当該技術分野において共通して用いられる。3つすべての作動液(即ち、燃料、酸化剤、及び冷却剤)に関与する様々な移行チャネル、ポート、ダクト、及び他の機能も、これらのプレートの不活性面及び他の不活性領域上に見られ得る。作動液は、著しい圧力下で提供され得、故に、プレート内のすべての機能は、液体間及び外部環境への漏出を防ぐために適切に密閉される必要がある。バイポーラプレートアセンブリに対するさらなる要件は、2つのプレート間に十分な電気接続が存在することである。これは、燃料電池積層体によって生成される実質的な電流が2つのプレート間を通過しなければならないことが理由である。
【0005】
最大限の出力密度を得るため、燃料電池の開発者は、特に積層体内の多数のバイポーラプレートの厚さを減少させることにより、燃料電池積層体をより小さくすることを目指している。その点において、アセンブリを構成するプレートは、好ましくは金属製であり、典型的に、適切な金属材料(例えば、特定の耐食ステンレス鋼)のシートに所望の機能を打抜き加工または形成することによって生成される。次いで、2つ以上の打抜き加工されたシートは、典型的に、すべての液体通路を互いから及び外部環境から適切に密閉するために一緒に溶接される。追加の溶接は、アセンブリが特に対向するプレートの活性領域の電流を搬送する能力を向上するために提供され得る。しかしながら、金属製プレートは、接着剤を使用して結合及び密閉され得る。耐食コーティングも、しばしばアセンブリの前後に適用される。
【0006】
金属製バイポーラプレートアセンブリのための多数の設計が当該技術分野において提案されている。例えば、特許文献1は、プレートのうちの少なくとも2つが、プレート上に注入される高分子材料の共通のシール要素を有し、かつプレートが少なくとも部分的に互いに結合される様々な実施形態を開示する。この配置は、比較的少ない工数で燃料電池配置を組み立てるのに必要な個々の部品の数を減らすことを可能にする。同時に、シール要素は、大幅な追加手段を必要とすることなくプレートを機械的に固定することができる。シール要素によって、個々のモジュール間を密閉することだけなく、モジュールの個々のプレート間を密閉することも達成することが可能である。
シール要素によるプレートの接続の特定の構成のための多数のバリエーションが可能である。
【0007】
別の例では、特許文献2が、燃料電池システムの一体化電極アセンブリ(UEA)及びプレートの間に実質的流体密封シールを形成するためのシール構造体を開示し、該シール構造体は、1つの燃料電池プレート内に形成されるシーリング部材、隣接する燃料電池プレート内の供給領域チャネルに広がるように適合されるシール支持体、ならびに燃料電池プレート、シーリング部材、及びシール支持体の間に配設されるUEAと協働して、UEA及び1つの燃料電池プレートの間に実質的流体密封シールを形成するように適合されるシールを含む。該シール構造体は、燃料電池システムからの流体の漏出を阻止し、燃料電池システム内の反応物質流の速度の管理を促進し、そのコストを最小限にする。しかしながら、この開示において、シール付近にあるシーリング部材自体は、十分に支持されない。
【0008】
さらにまた、特許文献3が、改善された機械特性を有するシーリングアセンブリのための別のアプローチを開示する。シールアセンブリは、シーリング要素と周辺との間の反力が小さいために溝及び/または隣接するコンポーネントの損傷が回避されるように設計される。シーリングアセンブリは、少なくとも1つの階段形状ビードを有するプレートを含み、該ビードは、逆向きビード土台を有するビード内にある少なくとも1つの逆向きビード及び少なくとも1つの逆向きビード逃げ面を有し、ここでは少なくとも1つシーリング縁を有する異形シーリング要素が、ある特定の特徴を有する対向するビード土台上に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US7419738
【特許文献2】US2009/0253022
【特許文献3】EP2696418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
今日までの多くの開発にもかかわらず、燃料電池積層体からの出力密度におけるより大きな改善が、特に自動車用途のために、依然として必要とされる。本発明は、これらの必要性を満たし、さらなる関連利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
成形金属アノードプレートに結合された成形金属カソードプレートを含むサブアセンブリを備える燃料電池用の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリが開示される。プレートのうちの少なくとも第1のプレート上に、2つの隆起した連続リッジが、この第1のプレートの外向き面上及び外周の周りに形成され、それによりシールを含むためのチャネルを作成する。この設計では、この第1のプレートの内向き面上のチャネル領域の実質的な部分(例えば、2分の1超)が、他方の第2のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される。チャネル、それ故にシールは、したがって、成形中、及び組み立てられた燃料電池内での圧縮下において、十分に支持される。シールは、サブアセンブリに一体化され、そこではシールは、第1のプレートのチャネル内及び外向き面上にシーリングパッドを含む。シーリングビードは、第1のプレートのチャネル内のシーリングパッドの外向き面上に任意に含まれ得る。
この設計では、シール領域を横切るダクトが、シールの機能に影響を与えることなく、様々な燃料電池流体のために有利に形成され得る。ダクト(複数可)は、結合されたカソード及びアノードプレートの間に形成され得、第1のプレートの2つの隆起した連続リッジの両方の下である長さを横切る。
【0012】
特定の実施形態において、一体型シールは、バイポーラプレートアセンブリの両側に提供され得る。例えば、サブアセンブリは、チャネル内にありかつ結合されたカソード及びアノードプレートの両方を貫通する少なくとも1つの貫通孔を含み得る。また、一体型シールは、一部分が貫通孔を埋めるように、さらにシーリングパッドが第2のプレートの外向き面上に提供されるように、提供され得る。この目的のためには、チャネル内の複数の貫通孔を用いることが有利であり得る。そのような実施形態において、第2のプレートの外向き面上のシーリングパッドは平坦であり得る。さらに、カールが、一体化をサブアセンブリへ良好に固定するために、貫通孔(複数可)の周囲に設けられ得る。
【0013】
他の実施形態において、同様の第2のチャネルが第2のプレート内に提供され得る。つまり、サブアセンブリ内の第2のプレートも、外向き面上及び外周の周りに2つの隆起した連続リッジを含み得、それにより第2のプレートの外周の周りに第2のチャネルを作成する。ここでも、第2のプレートの内向き面上の第2のチャネルの領域の実質的な部分(例えば、2分の1超)が、第1のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される。さらにここでも、第2のチャネル及び関連シールは、したがって、成形中、及び組み立てられた燃料電池内での圧縮下において、十分に支持される。
【0014】
そのような一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリは、燃料電池、ならびに特に高出力密度用途(例えば、自動車)のための固体高分子電解質燃料電池、及びその積層体における使用に好適である。
【0015】
先述の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリは、金属カソードプレート及び金属アノードプレートを提供すること、2つの隆起した連続リッジをカソード及びアノードプレートのうちの第1のプレートの外向き面上及び外周の周りに形成し、それにより第1のプレートの外周の周りにチャネルを作成することによって製造され得る。第1のプレートは、第2のプレートに結合されてサブアセンブリを形成し、そこでは第1のプレートの内向き面上のチャネルの領域の実質的な部分が、カソード及びアノードプレートのうちの第2のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される。次いで、第1の型が、第1のプレートの2つの隆起した連続リッジの頂点に密閉係合され、液体シール材が第1の型に注入され、この液体シール材は、係合された第1の型内で硬化される。
【0016】
サブアセンブリ内に1つ以上の貫通孔を含む実施形態において、貫通孔(複数可)は、それがチャネル内にあり、かつ結合された第1及び第2のプレートを貫通するように形成される。この工程は、プレートが結合される前または後のいずれかに達成され得る。第2の型も、第2のプレートの外向き面に密閉係合される。その後、液体シール材が、第1及び第2の型の両方に注入され(第1の型もしくは第2の型のいずれか、または両方への直接接続により)、次いで係合された第1及び第2の型内で硬化される。
【0017】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、添付の図面及び以下の詳細な説明への参照により明白である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明の実施形態における、第1のプレートの外向き面及びシーリングパッドの単純化した概略図を示す。
図1b】セクションA−Aに沿った図1aの実施形態の概略断面図を示す。
図1c】セクションB−Bに沿った図1aの実施形態の概略断面図を示す。
図2】先行技術の実施形態の概略断面図を示す。
図3a】第1のプレート上のシーリングパッドの外向き面上に単一のシーリングビードを含む実施形態における、チャネル領域の等角断面図を示す。
図3b】第1のプレート上のシーリングパッドの外向き面上に5つのシーリングビードを含む実施形態における、チャネル領域の等角断面図を示す。
図4】チャネル領域がチャネルの下である長さを横切るいくつかのダクトを含む、サブアセンブリ内のチャネル領域(即ち、一体型シールがない)の等角断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、「1つ(a)」及び「含む(comprises)」などの言葉は、非制限的な意味に解釈されるものとし、少なくとも1つを意味するが1つだけに限定されないと見なされるものとする。
【0020】
本明細書内では、量的な意味において、「約」という用語は、最大プラス10%から最低マイナス10%の範囲にあると解釈されるべきである。
【0021】
「形成される」は、ある構成要素をある特定の形状または形態に作製するまたは形づくるプロセスを指す。金属プレートを形成することに関して、典型的に、これは打抜き加工または加圧形成プロセスを伴う。
【0022】
一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリのための本設計は、シールを成形及び設置するチャネル、ならびに成形中、及び組み立てられた燃料電池内で圧縮下にある間のチャネルへの所望の支持を提供する。図1aは、本発明のバイポーラプレートアセンブリの一実施形態の単純化した概略図を示す。第1のプレートの外向き面、及びシーリングパッドが示される。
【0023】
バイポーラプレートアセンブリ1は、成形金属の第2のプレート12(第1のプレート2の下にあり、図1aでは見えない)に結合された成形金属の第1のプレート2、及び一体型シールを含む。一体型シール3は、シーリングパッド4(そのシーリング表面が、図1a内では見えている)を含む。第1のプレート2は、その外向き面上に形成され、かつ第1のプレート2の外周の周りに現れる2つの隆起した連続リッジ5a、5bを含む。リッジ5a、5bが、シーリングパッド4が設置されるチャネル7を画定する(シーリングパッド4の下にあり、図1aでは見えない)。2組の形成されたダクト6a、6bも図1aで見えている。これらのダクト6a及び6bは、冷却剤流体が結合された第1及び第2のプレート2、12の間ならびに電気化学的に活性な領域8の下の電気化学的に不活性な領域にアクセスするために、チャネル7の下に通路を提供する。図1aでは、故に、ダクト6a、6bは、見る人に向かって隆起して見える。チャネル7へ流体接続されるのは、一体型シール3を作成する液体注入成形プロセスで用いられる注入点9及び通気口10である。(単純化のため、実際のバイポーラプレートアセンブリ内の多数の他の機能が、図1aから省略されていることに留意されたい。例えば、省略されたのは、反応物質流れ場チャネル及びランディング、移行領域、ならびにそのようなアセンブリで典型的に見られる外周近くのチャネル7の外側で通常見られるポート及び位置決め機能と併せて、電気化学的に活性な領域8に通常見られるポート機能である。)
【0024】
図1bは、ダクト6bの付近にありかつ貫通孔13を含むセクションA−Aに沿った、図1aの実施形態の概略断面図を示す。第1のプレート2は、一連の溶接11(図1bでは2つが見えている)によって第2のプレート12に結合される。上で述べたように、チャネル7は、2つの隆起した連続リッジ5a、5bによって画定される。貫通孔13は、チャネル7内に見られ、第1及び第2のプレート2、12の両方を貫通する。この実施形態における一体化シール3は、第1のプレート2の外向き面上にシーリングビード14を有するシーリングパッド4、貫通孔13を埋める部分15、及び第2のプレート12の外向き面上にシーリングパッド16を含む。図1bにおいて明白であるように、第1のプレート2の内向き面上の本質的にすべてのチャネル領域17が、第2のプレート12と直接接触しており、かつそれによって支持される。故に、シール成形動作中の隆起したリッジ5a、5bの頂点に、または組み立てられた燃料電池積層体内で圧縮下にある一体型シール3に力が印加されようとも、チャネル7は、隣接する第2のプレート12によって完全に支持されるため、変形または沈下することはない。
【0025】
図1cは、ダクト6bのうちの1つ内のセクションB−Bに沿って、図1aの実施形態の概略断面図を示す。図1cの断面は、図1bのものと同様である(及び同様の数字が同様のコンポーネントを識別するために使用されている)が、ここではダクト6bが、チャネル7の下、及び電気化学的に活性な領域8の下の電気化学的に不活性な領域内に通路を提供する。またその結果としてここでは、第1のプレート2の内向き面上のチャネル領域19は、第2のプレート12と直接接触しておらず、かつそれによって支持されない。しかしながら、ダクト6a、6bと関連した領域は小さく、隆起したリッジ5a、5b、またはシーリングビード14に力が印加されたときに、チャネル7のいかなる著しい変形または沈下も許さない。
【0026】
本発明を使用する例示的な燃料電池積層体は、自動車用途向けの固体高分子電解質燃料電池積層体である。そのような積層体は、いくつかのバイポーラプレートアセンブリ1によって分離される概して矩形で平面の燃料電池の一連積層体を含む。燃料電池の膜電極アセンブリは、電気化学的に活性な領域8内に位置する。次いでバイポーラプレートアセンブリ内の各シーリングパッド4が、積層体内の隣接するバイポーラプレートアセンブリ内の第2のプレートに対して密閉する。
【0027】
比較のため、図2は、EP2696418からのシーリングアセンブリを含む先行技術実施形態の概略断面図を示す。先行技術バイポーラプレートアセンブリ21も、成形金属の第2のプレート23に結合された成形金属の第1のプレート22を含むサブアセンブリを備える。プレート22、23は両方とも、その中に形成されるチャネル25、及びこれらのチャネル25内に見られる一体型シール24を有する。しかしながら、間隙26が、一体型シール24の表面の大部分またはすべての下のチャネル25付近にある両方のプレート22、23の間に存在する。故に、燃料電池積層体内で圧縮下にある一体型シール24に、または成形動作中のリッジ27に力が印加されると、チャネル25は変形または沈下し、低効率性のシール及び潜在的な漏出をもたらす。
【0028】
図3aは、貫通孔の周囲がシールを金属プレートサブアセンブリに固定するように設計される本発明の異形を示す。チャネル領域の等角断面図は、図3aに示される。ここで、バイポーラプレートアセンブリ31も、成形金属の第2のプレート33に結合された成形金属の第1のプレート32のサブアセンブリを備える。プレート32は、くぼみのある輪郭が中に形成される2つの隆起した連続リッジ39を有し、それがチャネル35を画定する。さらに一体型シール34が、このチャネル35内では見られる。示されるように、シール34は、その外向き面上に単一のシーリングビード36を含む。示される本断面は、貫通孔37を通っている。この異形では、貫通孔37の周囲38はカールされる。シール34は周囲38の周りに成形されることから、後者がシール34を適切な場所に保持または固定する働きをする。
【0029】
本発明のさらに別の異形が、図3bに示される。ここでのバイポーラプレートアセンブリ31aは、燃料電池内への酸素拡散を減少させる目的でシール34が複数のシーリングビード36aを含むことを除き、図3aに示されるものと同様である。(図3aは、様々な高さの5つのシーリングビード36aを示す。)
【0030】
図4は、形成されたチャネルの下に通路を提供するのに好適なダクトの付近にある、本発明の金属プレートサブアセンブリの構造体を例証するために提供される。具体的には、図4は、チャネル領域がチャネル35の下である長さを横切るいくつかのダクトを含む、サブアセンブリ41内のチャネル領域の等角断面図を示す。チャネル35は、図3aの実施形態に見られるものと同様の連続リッジ39によって作成される。図4には一体型シールがない。いくつかのダクトが、プレート32内に適切な機能を形成することによって、サブアセンブリ41内に作成されている。チャネル35の下のダクトの部分は、42と表示される一方、チャネル35の両側のダクトの部分は、図4では43と表示される。
【0031】
本発明の一体型シール付きバイポーラプレートアセンブリは、適切な金属カソード及びアノードプレートブランクを獲得し、次いで2つの隆起した連続リッジをプレートのうちの一方または両方の外向き面上及び外周の周りに形成して、プレート(複数可)の外周の周りに所望のチャネルを作成することによって製造され得る。ダクト及び流れ場などの他の所望の機能も、プレート内に形成される。次いで、2つのプレートが結合されて、サブアセンブリを形成する。重要なことには、意図的に、結合後、関連プレートの内向き面上の形成されたチャネルの領域の実質的な部分が、他方のプレートと直接接触しており、かつそれによって支持される。他方のプレート内の支持領域は、残りのプレート面にある必要がないことに留意されたい(例えば、図1、3、または4に例証されるように)。代わりに、他方のプレート内の支持領域は、支持プレート内のチャネルの形状を補完するために適切な階段を作成するように形成され得る。
【0032】
金属プレートサブアセンブリの準備が整うと、適切なシーリング材(例えば、シリコーン)をサブアセンブリに成形することによって、シールがそこへ一体化され得る。例えば、第1の型は、チャネルを含むプレートの2つの隆起した連続リッジの頂点に密閉係合され得、次いで、液体シール材が第1の型内に注入され得、その後、液体シール材は係合された第1の型内で硬化される。
【0033】
一体型シールがバイポーラプレートサブアセンブリの両側に形成されるシーリングパッドを有することが望ましい場合、貫通孔もプレート内に形成される(例えば、図1b、3a、3bに示されるように)。貫通孔は、個々のプレート内に、それらが結合されてサブアセンブリになる前に形成され得る。しかしながら、整列の問題を最小限にするため、好ましくは、貫通孔は、プレートが結合されてサブアセンブリになった後に形成され得る。第2の型は、概して、そのような一体型シールを作成することを必要とされる。つまり、加えて、第2の型は、第2の支持プレートの外向き面に密閉係合され、次いで液体シール材が第1及び第2の型の両方に注入され、硬化される。注入は、第1及び第2の型のうちのいずれか一方または両方への直接接続によって達成され得る。
【0034】
上記の米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び本明細書内で参照される非特許刊行物のすべては、参照によりその全体が本明細書内に組み込まれる。
【0035】
本発明の特定の要素、実施形態、及び用途が、示されかつ説明されてきたが、当然のことながら、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、特に前述の教示を踏まえて、当業者により修正がなされ得るため、本発明はそれらに限定されないことが理解される。そのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲の権限及び範囲内であると見なされるものとする。
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4