特許第6446178号(P6446178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446178不等γ角度計算機式断層写真法システムにおけるデータ変換のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446178
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】不等γ角度計算機式断層写真法システムにおけるデータ変換のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   A61B6/03 350R
   A61B6/03 350Q
   A61B6/03 320W
   A61B6/03ZDM
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-15093(P2014-15093)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-147752(P2014-147752A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】201310037988.4
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】チャーチン・ドン
(72)【発明者】
【氏名】シュオ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン・ツォン
(72)【発明者】
【氏名】アビシェック・ラワット
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−188163(JP,A)
【文献】 特開2007−159878(JP,A)
【文献】 特開2004−000632(JP,A)
【文献】 特開2007−175154(JP,A)
【文献】 特表2006−517440(JP,A)
【文献】 米国特許第06411670(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラット・モジュール検出器アレイを有する計算機式断層写真法(CT)システムにおいて撮像を行なう方法であって、
CT走査から対象のファン・ビーム投影データを得るステップと、
前記フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを得るステップと、
前記ファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換するステップであって、前記幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・投影データからデータを並べ換えするステップと、
前記パラレル・ビーム投影データからCT画像を形成するステップと
を備え、
データを並べ換えする前記ステップは、
前記CT走査の設定パラメータを用いて、前記ファン・ビーム投影データと、対応する前記パラレル・ビーム投影データとの間の関係を得るために、前記幾何学的構造パラメータに基づいて、前記ファン・ビーム・投影データを再標本化するステップと、
前記パラレル・ビーム投影データと前記ファン・ビーム投影データとの間の前記対応関係に基づいて前記ファン・ビーム投影データに補間を施すステップを含んでおり、
前記ファン・ビーム投影データに施される前記補間は6次のラグランジュ補間である方法。
【請求項2】
データを並べ換えする前記ステップは、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを生成するために、前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップをさらに含んでおり、該等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前の前記パラレル・ビーム投影データとの間の対応関係が、前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化することにより得られ得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化する前記ステップは、予め決められた距離で前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップを含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前の前記パラレル・ビーム投影データとの間の前記対応関係に基づいて前記パラレル・ビーム投影データに補間を施すステップをさらに含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記CT走査から前記対象のファン・ビーム投影データを得る前記ステップは、前記CTシステムがヘリカル・スキャンを実行するときには、アキシャル・スキャン・データを得るために、前記ヘリカル・スキャンにより得られる前記ファン・ビーム投影データを補間するステップを含んでいる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パラレル・ビーム投影データからの前記CT画像の形成は、フィルタ補正逆投影再構成アルゴリズムに基づく、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
フラット・モジュール検出器アレイを有する計算機式断層写真法(CT)システムにおいて撮像を行なってCT走査から対象のファン・ビーム投影データを得る装置であって、
前記フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを取得するパラメータ取得手段と、
前記パラレル・ビーム投影データと前記ファン・ビーム投影データとの間の対応関係を得るために、前記幾何学的構造パラメータに基づいて、前記ファン・ビーム投影データからパラレル・ビーム投影データへデータを再標本化し、かつ前記パラレル・ビーム投影データと前記ファン・ビーム投影データとの間の前記対応関係に基づいて前記ファン・ビーム投影データに補間を施すデータ並べ換え手段であって、データの前記再標本化は、前記CT走査の設定パラメータを用いるデータ並べ換え手段と、
前記パラレル・ビーム投影データを用いてCT画像を形成する画像生成手段と
を備えており、
前記ファン・ビーム投影データに施される前記補間は6次のラグランジュ補間である、装置。
【請求項8】
前記データ並べ換え手段は、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを生成するために、前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化する動作をさらに含んでおり、該等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前の前記パラレル・ビーム投影データとの間の対応関係が、前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化することにより得られ得る、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記データ並べ換え手段は、予め決められた距離で前記パラレル・ビーム投影データを等間隔化する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記データ並べ換え手段は、前記等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前の前記パラレル・ビーム投影データとの間の前記対応関係に基づいて前記パラレル・ビーム投影データに補間を施す、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記パラレル・ビーム投影データに施される前記補間は4次のラグランジュ補間である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
請求項から請求項1の何れか一項に記載の装置を備えた計算機式断層写真法(CT)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は、医療走査に関し、さらに具体的には、フラット・モジュール検出器アレイを有する計算機式断層写真法システムにおける撮像のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の発展に伴って、医療走査は多くの医療応用において重要な診断及び治療ツールとして益々普及している。例えば、計算機式断層写真法(CT)が患者の診断検査及び放射線治療に広く用いられている。CTシステムでは、X線源がファン形状のビームを投射して、ビームは、「撮像平面」と一般に呼ばれるデカルト座標系のX−Y平面の内部に位置するようにコリメートされる。X線ビームは、患者のような撮像対象を通過する。ビームは、対象によって減弱された後に、放射線検出器のアレイに入射する。次いで、減弱後のX線ビームの強度が検出器アレイによって検出されて、このようにしてX線画像(すなわちCT画像)を構築する。
【0003】
広く用いられている第三世代CTシステムでは、X線源及び検出器アレイはガントリと共に撮像平面の内部で撮像対象を中心として、X線ビームが対象と交差する角度が定常的に変化するように回転する。一つのガントリ角度での検出器アレイからの一群のX線減弱測定値すなわち投影データを「ビュー」と呼ぶ。対象の「走査」は、X線源及び検出器の一回転の間に様々なガントリ角度又はビュー角度において形成される一組のビューを含んでいる。
【0004】
CT走査では、X線源はファン形状ビームを投射するので、パラレル・ビーム・データではなくファン・ビーム・データが取得される。しかしながら、撮像再構成の理論は当初はパラレル・ビーム・データについて開発されていた。従って、CT撮像再構成における一つの重要なステップは、ファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを並べ換え(リビニング、rebinning)することであり、このようにしてファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換する。このデータ変換によって、CTシステムによる走査時に得られた一組のファン・ビーム検出器標本が一組の等価な平行検出器標本へ変換される。これにより、ファン・ビーム再構成では必要とされていたような距離重みが不要になる。パラレル・ビーム投影データへの変換を行なわなければ、距離重みのため三次元データを再構成する際にZ方向を横断して「ゼブラ」アーティファクト又は縞状アーティファクトが生じ得る。このように、撮像再構成におけるファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへのデータ変換は、さらに直接的で正確な再構成アルゴリズムの具現化形態を可能にする。
【0005】
第三世代CTシステムでは、全ての検出器セルがX線源を中心とした同じ円弧に沿って均等に分配されている。現在、ファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへの変換は、第三世代彎曲型検出器にのみ着目している。例えば、米国特許第6411670号は、画質向上した対象のCT画像を形成する方法を記載しており、この方法は、等γ角度の彎曲型検出器アレイによって得られるファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ並べ換えするステップを含んでいる。この特許の全ての内容を参照により本出願に援用する。
【0006】
ファン・データからパラレル・データへの並べ換えに関連する他の従来技術としては、米国特許第4570224号、同第5216601号、及び同第4852132号等がある。加えて、次の刊行物すなわち“Rebinning-based algorithms for helical cone-beam CT”、2001 Phys. Med. Biol. 46及び“Advanced single-slice rebinning in cone-beam spiral CT”、Med. Phys. 27, April 2000も、彎曲型検出器アレイのためのファン・データからパラレル・データへの並べ換えを扱っている。これらの特許及び論文を参照により本出願に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの従来技術は、ファン・ビーム投影データをCT画像再構成に適用することの問題を幾分かは緩和している。しかしながら、従来技術は、費用の利点を有する大型フラット・モジュール検出器アレイには適用することができない。等γ角度幾何学的構成に基づく従来の並べ換えアルゴリズムとは異なり、大型フラット・モジュール検出器アレイは不等γ角度幾何学的構成を有する。従来の並べ換えアルゴリズムをフラット・モジュール検出器アレイに適用すると、並べ換えの結果が不正確になる場合があり、またさらに、著しい環状アーティファクトを招く。
【0008】
従来技術におけるファン・データからパラレル・データへの変換についてはさらに他の欠陥もある。このように、新たな技術的解決法が1又は複数の観点において従来技術を改善し得ることが望まれる。例えば、新たな技術的解決法は、フラット・モジュール検出器アレイの利用時の環状アーティファクトを解消することが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来技術における1又は複数の問題を解決することを目的としており、具体的には、フラット・モジュール検出器アレイによって生ずる環状アーティファクトのような問題を回避することを目的とする。
【0010】
本発明の一観点によれば、フラット・モジュール検出器アレイを有するCTシステムにおいて撮像を行なう方法が提供され、この方法は、CT走査から対象のファン・ビーム投影データを得るステップと、フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを得るステップと、ファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換するために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを並べ換えするステップと、パラレル・ビーム投影データからCT画像を形成するステップとを含んでいる。
【0011】
本発明の一実施形態の方法によれば、データを並べ換えするステップは、パラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の対応関係を得るために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを再標本化するステップを含んでいる。
【0012】
本発明の一実施形態の方法によれば、データを再標本化するステップはさらに、CT走査の設定パラメータを用いる。
【0013】
本発明の一実施形態の方法によれば、パラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の対応関係に基づいてファン・ビーム投影データに補間が施される。
【0014】
本発明の一実施形態の方法によれば、データを並べ換えするステップはさらに、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを生成するために、パラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップを含んでおり、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前のパラレル・ビーム投影データとの間の対応関係が、パラレル・ビーム投影データを等間隔化することにより得られ得る。
【0015】
本発明の一実施形態の方法によれば、パラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップは、予め決められた距離でパラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップを含んでいる。
【0016】
本発明の一実施形態の方法によれば、パラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップは、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前のパラレル・ビーム投影データとの間の対応関係に基づいてパラレル・ビーム投影データに補間を施すステップを含んでいる。
【0017】
本発明の一実施形態の方法によれば、ファン・ビーム投影データに施される補間は6次のラグランジュ補間であり、且つ/又はパラレル・ビーム投影データに施される補間は4次のラグランジュ補間である。
【0018】
本発明の一実施形態の方法によれば、CT走査から対象のファン・ビーム投影データを得るステップは、ヘリカル・スキャンが実行されるときには、アキシャル・スキャン・データを得るために、ヘリカル・スキャンによって得られるファン・ビーム投影データを補間するステップを含んでいる。
【0019】
本発明の一実施形態の方法によれば、CT画像は、フィルタ補正逆投影再構成アルゴリズムに基づいてパラレル・ビーム投影データを用いることにより形成される。
【0020】
本発明の一実施形態の方法によれば、この方法は、彎曲型検出器アレイにも適用可能である。
【0021】
本発明の第二の観点によれば、フラット・モジュール検出器アレイを有するCTシステムにおいて撮像を行なってCT走査から対象のファン・ビーム投影データを得る装置が提供され、この装置は、フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを取得するパラメータ取得手段と、ファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換するために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを並べ換えするデータ並べ換え手段とを含んでおり、CTシステムは、パラレル・ビーム投影データを用いてCT画像を形成する。
【0022】
本発明の第三の観点によれば、本発明の実施形態の一つによる方法及び/又は装置を備えたCTシステムが提供される。
【0023】
本発明の独創的な技術的解決法は、従来技術の1又は複数の問題を解決することができる。例えば、この発明は、フラット・モジュール検出器アレイによって生ずる環状アーティファクトを防ぎ、且つ/又は様々な検出器アレイについてファン・データからパラレル・データへの変換を弾力的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の利点、特徴、及び特性は、実施形態の添付図面と併せて以下の記載からさらに十分に理解されよう。
図1】発明の一実施形態によるCTシステムを示す図である。
図2】発明の一実施形態によるフラット・モジュール検出器アレイを示す図である。
図3】発明の一実施形態によるフラット・モジュール検出器アレイにおけるフラット・モジュールを示す図である。
図4】発明の一実施形態によるCTシステムにおいて撮像を行なう方法を示す図である。
図5】発明の一実施形態によるファン・ビューとパラレル・ビューとの間の関係を示す図である。
図6】発明の一実施形態によるファン・データからパラレル・データへの並べ換えに用いられる中間パラメータを示す図である。
図7】発明の一実施形態によるパラレル・ビーム投影データの等間隔化に用いられる予め決められた距離を示す図である。
図8】発明の一実施形態からのCT画像と従来技術からのCT画像との間の比較を示す図である。
図9】発明の一実施形態によるCTシステムにおいて撮像を行なう装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態の各例を示す図面を参照することにより本発明をさらに十分に記載する。しかしながら、本発明は他の態様でも実施されることができ、特定の実施形態によって限定されると解釈されるべきでない。反対に、これらの実施形態は、概念が当業者にさらに十分に伝わるように、発明の開示を完全且つ十分にすることを可能にするために掲げられている。本文では、同じ参照番号又は類似の参照番号は、同じ装置又はユニットを示す。
【0026】
図1には、本発明の一実施形態によるCTシステム10が、第三世代CTシステムに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。ガントリ12は、ガントリ12の反対側の検出器アレイ18へ向けてX線のファン・ビームを投射するX線源14を有している。検出器アレイ18は複数の検出器素子によって形成されており、これらの検出器素子は共に、患者22を通過した投射X線を感知する。各々の検出器素子が、入射したX線の強度を表わし、従ってテーブル46に載置された患者22を通過したX線の減弱を表わす電気信号を発生する。X線投影データを取得する走査時に、ガントリ12及びガントリ12に装着されている構成要素は、ガントリ12の中心(すなわちアイソセンタ)の周りを回転する。尚、本書で言及される第三世代のCTシステム以外のCTシステムでも、本発明は、ファン・ビーム投影データからパラレル・ビーム投影データへの変換を必要とする任意のCTシステムに適用可能であることを理解されたい。
【0027】
図1に示すような検出器アレイ18は、複数のフラット・モジュールを含む大型フラット・モジュール検出器アレイであり、各々のフラット・モジュールが複数の検出器セルを有している。例えば、フラット・モジュール検出器アレイは、5個の大型フラット・モジュールを含み、各々のモジュールが136個の検出器セルを有し、結果として不等γ角度幾何学的構成となり、すなわち任意の二つの隣り合った検出チャネルの二つのγ角度の間の差が不等になる。ファン・データからパラレル・データへの並べ換えは、等γ角度幾何学的構成に基づくので、公知のデータ変換又は並べ換えは、フラット・モジュール検出器アレイには適さない。
【0028】
図2は、フラット・モジュール301〜305を含む発明の一実施形態によるフラット・モジュール検出器アレイを示す。図2はまた、モジュール304と305との間に間隙311が存在していることを示している。また一方、図2は、X線源314を示している。
【0029】
図3は、フラット・モジュール検出器アレイのモジュール301〜305の一つが複数の検出器パック421〜424を含んでおり、各々のパックがさらに複数の検出器セル(例えば34個の検出器セル)を含んでいることを示している。これらの検出器セルは複数の検出器横列(例えば16列の検出器横列)を構成している。図3はまた、パック421と422との間に間隙431が存在していることを示している。
【0030】
図2及び図3はフラット・モジュール検出器アレイを異なる観点から示しているが、当業者は、図面に示す特定のフラット・モジュール検出器アレイが発明を限定しないことを理解されたい。例えば、フラット・モジュール検出器アレイはまた、5個よりも多い又は少ないモジュールを含んでいてよく、各々のモジュールが、4個よりも多い又は少ない検出器パックを含んでいてよい。また、検出器セルの数、検出器横列の数、及び検出器チャネルの数を必要に応じて変化させてよい。さらに、モジュール同士の間の間隙、及び検出器パック同士の間の間隙、並びに/又は他のパラメータも、図2及び図3に示すものとは異なっていてよい。
【0031】
図4は、発明の一実施形態によるフラット・モジュール検出器アレイを有するCTシステムにおいて撮像を行なう方法を示している。この撮像方法では、先ず、CT走査から対象のファン・ビーム投影データが得られ、またフラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータも取得される。次いで、ファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換するために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム投影データがファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへ並べ換えされる。最後に、パラレル・ビーム投影データからCT画像が形成される。
【0032】
フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータは、限定しないがフラット・モジュールの数、一つのモジュールでの検出器パックの数、一つの検出器パックでの検出器セルの数、検出器横列の数、二つの隣り合ったモジュールの間の間隙、及び同じモジュールにおける二つの隣り合ったパックの間の間隙を含み得る。また、幾何学的構造パラメータはまた、X線源からアイソ検出器までの距離、X線源からアイソセンタまでの距離、x方向での検出器セル寸法、及びx方向に沿ったチャネル・オフセット等を含み得る。従来技術では、これらのパラメータは周知である。例えば、x方向に沿ったチャネル・オフセットは、X線源とアイソセンタとを結ぶ線(すなわちアイソレイ(iso-ray))のオフセットであって、x方向に沿った検出器アレイの中間チャネル(すなわちアイソチャネル)に関するオフセットを指す。このようなものとして、これらのパラメータについては本書でさらに立ち入る必要はない。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ファン・データからパラレル・データへの並べ換えはさらに、パラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の関係を得るために、フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを再標本化するステップを含んでいる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ファン・データからパラレル・データへの再標本化時に、ファン・ビーム投影データがパラレル・ビーム投影データに再標本化されて、各々のパラレル・ビューが、同じ絶対角度から取得されta
データを含むものとなる。このパラレル・ビューの各々の検出器セルが、ファン・ビューにおいて一つの絶対角度を有する検出器に対応し、この絶対角度はパラレル・ビューの角度と同じである。換言すると、パラレル・ビューでのパラレル・ビーム投影データは、パラレル・ビューの角度を有するファン・ビューにおけるファン・ビーム投影データに対応する。
【0035】
記載を容易にするために、以下本書で用いられるパラメータを列挙する。幾つかのパラメータは検出器アレイの幾何学的構成パラメータに関係し、他のパラメータはCT走査設定に関係するが検出器アレイの幾何学的構成パラメータには直接関係しないことを特記しておく。特定のパラメータは下記の通りである。
【0036】
v:カレントのファン・ビューの番号
m:検出器アレイでのカレントのフラット・モジュールの番号
n:カレントのモジュールでのカレントの検出器パックの番号
k:カレントの検出器パックでのカレントのセルの番号
mod:フラット・モジュールの数
pack:一つのモジュールでの検出器パックの数
cells:一つの検出器パックでの検出器セルの数
c:カレントの検出器チャネルの番号。ここで、c=m*Ncells*Npack+n*Ncells+k
r:カレントの検出器横列の番号
total:走査ファイルから利用可能なビューの数
rot:アイソセンタの周りでの検出器アレイの単一の回転におけるビューの数
iso:アイソレイに対応する検出器チャネルの番号
s2d:X線源からアイソ検出器セル(すなわちアイソレイと交差するアイソ検出器セル)までの距離
s2i:X線源からアイソセンタまでの距離
gap1:二つの隣り合ったモジュールの間の間隙
gap2:同じモジュールでの二つの隣り合った検出器パックの間の間隙
det:x方向での検出器セルの寸法
offset:x方向でのチャネルのオフセット
α:ポロイダル(極)方向での二つのモジュールの間の角度(すなわちX線源と結ばれた二つの隣り合ったモジュールの中央チャネルの間の角度)
β:カレントのビューの投影角度
γ:X線源に対するカレントのチャネルcと中央チャネル(すなわちアイソチャネル)との間の角度。
【0037】
図4は、発明の一実施形態によるファン・ビューとパラレル・ビューとの間の関係を示しており、同図では、フラット・モジュール検出器アレイは、第0のモジュール50M及び最後のモジュール51Mを含めた複数のフラット・モジュールを含んでいる。第0のモジュール50Mは第0のチャネル50Cを含んでおり、最後のモジュール51Mは最後のチャネル51Cを含んでいる。特定的に述べると、所与の検出器についてのファン・ビューとパラレル・ビューとの間の関係は、次のように定式化され得る。
【0038】
θ=βv+γc (1)
式中、θは、パラレル・ビューの角度であり、βvは番号vのカレントのファン・ビューの角度であって、時計回り方向での縦軸に関するアイソレイの角度として定義される角度(βは常に正であってビュー番号vが増えるほど増加するようにする)であり、γcはアイソレイに関するカレントのチャネルcの線源における角度である。従って、チャネル番号がアイソチャネルよりも大きくなるとγ>0となり、チャネル番号がアイソチャネルよりも小さくなるとγ<0となる。従って、カレントのビューの所与のチャネルcについて、当該チャネルに対応する角度γcを先ず算出する必要がある。一実施形態では、γcの計算時にはフラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを考慮する必要がある。
【0039】
先ず、チャネルcが属しているモジュール番号m、このモジュールでのパック番号n、及びこのパックでのセル番号kを得る必要がある。m、n及びkは下記のようにして得ることができる。
【0040】
m=(c−c%(Ncells*Npack)/(Ncells*Npack
k=(c−m*Ncells*Npack)%Ncells
n=(c−m*Ncells*Npack−k)/Ncells (2)
また、γcはm、n及びkによって下記のように記述され得る。
【0041】
γc=(m−{(Nmod−1)/2})*α+γ1+γoffset (3)
式中、
α=2α1+α2
α1=atan((Ncells*Npack*ddet+(Npack−1)*dgap2)/2/ds2d
α2=2asin(dgap1/2/(ds2d/cosα1))
γ1=atan(((n−{(Npack−1)/2})*dgap2+(n*Ncell+k−{(Npack*Ncell−1)/2})*ddet)/ds2d
である。
【0042】
図6は、発明の一実施形態によるファン・データからパラレル・データへの並べ換えに用いられる中間パラメータを示しており、同図において、αはX線源と結ばれた二つの隣り合ったモジュールの中央チャネルの間の角度であり、α1はX線源に対する一つのモジュールの中心とエッジとの間の角度であり、α2はX線源に対する二つの隣り合ったモジュールの間の間隙の角度であり、γ1はX線源に対する同じモジュールの着目チャネルcと中央チャネルとの間の角度である。また、γoffsetは、検出器アレイの中央チャネルとアイソレイとの間のオフセット角度であり、このオフセット角度は二重標本化のために導入されて、下記のように算出され得る。
【0043】
γoffset=atan(coffset*ddet/ds2d
γcを得た後に、角度θの対応するパラレル・ビューは次式によって与えられる。
【0044】
P(r,c,θ)=F(r,c,βv)=F(r,c,θ−γc) (4)
式中、Pは出力されるパラレル・ビーム投影データであり、Fは入力されるファン・ビーム投影データである。このように、ファン・データからパラレル・データへの再標本化は式(4)によって行なわれて、このようにしてパラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の対応関係を得ることができる。例えば、角度θのパラレル・ビューにおける投影データは、ファン・ビーム投影データにおいて角度θ−γcを有する検出器データから並べ換えされる。
【0045】
以上の記載は例示的なものに過ぎないことを理解されたい。実際には、ファン・データからパラレル・データへの並べ換えは、フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータと共に変化し得る。例えば、上の各式におけるパラメータは、例えばモジュールの数、一つのモジュールでのパックの数、一つのパックでのセルの数、及び間隙等に基づいて必要に応じて調節され得る。もう一つの例として、モジュール同士の間の間隙及び/又は検出器パック同士の間の間隙が極く小さいときに、間隙のデータ並べ換えに対する影響を無視することができ、或いは二重標本化が不要であるときには、アイソレイに対する中央チャネルのオフセットを考慮に入れなくてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、ファン・データからパラレル・データへの再標本化は、CT走査の設定パラメータを用いる。例えば、アイソセンタを中心とした検出器の単一の回転におけるビューの数vrotを用いることができる。ファン・データからパラレル・データへの変換を容易にするために、ビュー角度を出力ビュー番号vによって置き換えて、ファン・データからパラレル・データへの再標本化のための式を得る。
【0047】
P(r,c,v)=F(r,c,v−γc/Δβ) (5)
式中、P(r,c,v)はビュー番号vのパラレル・ビューを指し、Δβは二つの隣り合ったビューの間の角度である(Δβ=2π/vrot)。式(5)から分かるように、横列の数及びチャネルの数は、再標本化では変化しない。
【0048】
発明の一実施形態によれば、ファン・データからパラレル・データへの再標本化はさらに、ファン・ビーム投影データに補間を施すステップを含んでいる。このようにして、γc/Δβに対応するパラレル・ビーム投影データを得ることができる。具体的には、γc/Δβが整数でないときには、ファン・ビーム投影データを補間して対応するパラレル・ビーム投影データを得るべきである。限定しないがラグランジュ補間、一次補間、及び多項式補間を含めた様々な補間が利用可能である。
【0049】
発明の一実施形態によれば、ファン・ビーム投影データは、6次のラグランジュ補間を通して補間される。例えば、γc/Δβ=100.25である場合に、望まれるビュー(すなわちビュー100.25)のデータを得るように、第98、第99、第100、第101、第102、及び第103のビューのデータを用いてラグランジュ補間を行なうことができる。
【0050】
発明の一実施形態によれば、ファン・データからパラレル・データへの並べ換えはさらに、予め決められた間隔でパラレル・ビーム投影データを等間隔化するステップを含んでおり、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前のパラレル・ビーム投影データとの間の対応関係が、パラレル・ビーム投影データを等間隔化することにより得られ得る。ファン・ビーム・データをパラレル・ビーム・データへ変換した後に、得られたパラレル・ビーム・データを等間隔化して、アイソセンタからの検出器の距離に関して一様な検出器間隔(パラレル・ビーム・データ間隔)を提供することができる。パラレル・ビューにおける検出器のアイソセンタからの距離は、パラレル・ビューにおいて当該検出器に寄与したファン・ビューにおける検出器のアイソセンタからの距離である。
【0051】
図7は、発明の一実施形態によるパラレル・ビーム投影データの等間隔化に用いられる予め決められた距離を示しており、γmm(c)はアイソセンタからの検出器cの距離であり、再間隔変更の後には、γmm(c+1)−γmm(c)は、隣り合った検出器の全ての対について等しくなるべきである。この固定された増分を二つの隣り合った標本化の間の距離と呼び、Δγmmと表わす。
【0052】
発明の一実施形態によれば、アイソチャネルと隣接するチャネルとの間の距離のアイソセンタにおける写像距離をΔγmmとして用いて、パラレル・ビーム投影データを等間隔化することができる。この場合には、Δγmmは、単一の検出器によって境界付けられる円弧の長さとして定義され、この円弧はX線源を中心とした半径ds2iの円に位置する。再等間隔化されたパラレル・ビューにおける二つの隣り合った標本化の間の距離Δγmmは、下式のようにして算出することができる。
【0053】
Δγmm=ddet/ds2d*ds2i (6)
c′を再間隔変更の後のパラレル・ビューにおける検出器チャネル番号とし、cを再間隔変更の前のパラレル・ビューにおける対応する検出器チャネルとする。アイソセンタからの検出器c′の距離γmm(c)は、下式のようにして算出される。
【0054】
γmm(c′)=(c′−cISO)*Δγmm (7)
すると、アイソセンタからの検出器c′の距離は、線源γcにおける検出器cの角度を与える。
【0055】
γc=asin(γmm(c′)/ds2i) (8)
最終的に、再等間隔化のための式を得ることができる。
【0056】
eq(r,c′,v)=P(r,γc,v) (9)
式中、Peqは再等間隔化されたパラレル・ビーム・データであり、Pはファン・データからパラレル・データへの再標本化の後の不等間隔データである。パラレル・ビーム投影データは、式(9)を通して等間隔化され得る。
【0057】
ここでΔγmmは、アイソチャネルと隣接するチャネルとの間の距離のアイソセンタにおける写像距離として定義されているが、他の間隔(例えばΔγmm=ddet/ds2d*ds2iよりも大きい又は小さい間隔)を、パラレル・ビーム投影データを再等間隔化するのに用いてもよいことを理解されたい。
【0058】
発明の一実施形態によれば、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと不等間隔のパラレル・ビーム投影データとの間の関係(すなわち等間隔化されたデータのチャネル番号c′と等間隔化前のデータの角度γcとの間の関係)に基づいて、再標本化された不等間隔のパラレル・ビーム投影データを補間して、所要の等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを得ることができる。例えば、γcと実際のチャネルγ角度とが同じでないときに、補間を施して、対応する等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを得ることができる。限定しないがラグランジュ補間、一次補間、及び多項式補間を含めた様々な補間が利用可能である。
【0059】
発明の一実施形態によれば、不等間隔のパラレル・ビーム投影データは、γcに対応するビュー・データを得るために、4次のラグランジュ補間を通して補間され得る。
【0060】
フラット検出器アレイの幾何学的構成によって生ずるセル長の重み付け誤差を回避するために、ラグランジュ補間ではγ角度を選択すべきであることを特記しておく。しかしながら、必要である場合には、検出器チャネル番号を用いて不等間隔のパラレル・ビーム投影データを補間してもよい。
【0061】
発明の一実施形態によれば、CTシステムがヘリカル・スキャンを実行する場合には、ヘリカル・スキャンによって得られるファン・ビーム投影データを先ず補間してアキシャル・スキャン・データを得、次いで、ファン・データからパラレル・データへの並べ換えを行なってパラレル・ビーム投影データを得る。
【0062】
発明の一実施形態によれば、得られたパラレル・ビーム投影データを用いて、例えばフィルタ補正逆投影再構成アルゴリズム又は他のアルゴリズムに基づいてCT画像を形成することができる。再等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを用いることによりさらに良質なCT画像を得ることができるが、このCT画像は、必要な場合には等間隔化前のパラレル・ビーム投影データを用いることによって形成されてもよいことを理解されたい。
【0063】
図8は、発明の各実施形態からのCT画像と、従来技術からのCT画像との間の比較を示す。フラット・モジュール検出器アレイについて、従来技術の撮像方法は著しい環状アーティファクトを生じている(左図を参照されたい)が、本発明の撮像方法はかかる環状アーティファクトを生じていない(右図を参照されたい)。
【0064】
発明の一実施形態によれば、本発明はフラット・モジュール検出器アレイに適用されるばかりでなく、第三世代CTシステムの彎曲型検出器アレイのような非フラット・モジュール検出器アレイにも適用され得る。当業者は、適当な幾何学的構造パラメータ(モジュールの数、一つのモジュールでのパックの数、二つの隣り合ったモジュールの間の間隙、及び二つの隣り合ったパックの間の間隙等)を設定することにより、フラット・モジュール検出器アレイが実際に彎曲型検出器アレイに近似することを理解されよう。
【0065】
発明の一実施形態によれば、本発明は、次の設定を通して彎曲型検出器アレイ(GEの幾つかのCT製品等)に適用され得る。すなわち、フラット・モジュール検出器アレイでの検出器モジュールの数を57以上とし、各々の検出器モジュールでの検出器パックの数を1とし、各々の検出器パックでの検出器セルの数を16以下とし、二つの隣り合ったモジュールの間の間隙を0に相対的に近くし、二つの検出器パックの間の間隙を0に近くする。
【0066】
本発明はまた、フラット・モジュール検出器アレイを有するCTシステムにおいて撮像を行なう装置900を提供し、このCTシステムは、CT走査から対象のファン・ビーム投影データを得る。図9に示すような装置900は、フラット・モジュール検出器アレイの幾何学的構造パラメータを取得するパラメータ取得手段と、ファン・ビーム投影データをパラレル・ビーム投影データへ変換するために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを並べ換えするデータ並べ換え手段とを含んでいる。次いで、得られたパラレル・ビーム投影データがCTシステムによって用いられて、CT画像を形成する。
【0067】
発明の一実施形態の装置によれば、データ並べ換えはさらに、パラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の対応関係を得るために、幾何学的構造パラメータに基づいてファン・ビーム・データからパラレル・ビーム・データへデータを再標本化する動作を含んでいる。
【0068】
発明の一実施形態の装置によれば、データを再標本化する動作はさらに、CT走査の設定パラメータを用いる。
【0069】
発明の一実施形態の装置によれば、データ再標本化はさらに、パラレル・ビーム投影データとファン・ビーム投影データとの間の対応関係に基づいてファン・ビーム投影データに補間を施す動作を含んでいる。
【0070】
発明の一実施形態の装置によれば、データを並べ換えする動作はさらに、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データを生成するために、パラレル・ビーム投影データを等間隔化する動作を含んでおり、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前のパラレル・ビーム投影データとの間の対応関係が、パラレル・ビーム投影データを等間隔化することにより得られ得る。
【0071】
発明の一実施形態の装置によれば、パラレル・ビーム投影データを等間隔化する動作は、予め決められた距離でパラレル・ビーム投影データを等間隔化する動作を含んでいる。
【0072】
発明の一実施形態の装置によれば、パラレル・ビーム投影データを等間隔化する動作は、等間隔化されたパラレル・ビーム投影データと間隔変更前のパラレル・ビーム投影データとの間の対応関係に基づいてパラレル・ビーム投影データに補間を施す動作を含んでいる。
【0073】
発明の一実施形態の装置によれば、ファン・ビーム投影データに施される補間は6次のラグランジュ補間であり、且つ/又はパラレル・ビーム投影データに施される補間は4次のラグランジュ補間である。
【0074】
発明の一実施形態の装置によれば、CT走査から対象のファン・ビーム投影データを得る動作は、CTシステムがヘリカル・スキャンを実行するときには、アキシャル・スキャン・データを得るために、ヘリカル・スキャンによって得られるファン・ビーム投影データを補間する動作を含んでいる。
【0075】
発明の一実施形態の装置によれば、CT画像は、フィルタ補正逆投影再構成アルゴリズムに基づいてパラレル・ビーム投影データを用いることにより形成される。
【0076】
発明の一実施形態の装置によれば、この装置は、彎曲型検出器アレイに適用可能である。
【0077】
また一方、本発明は、上の実施形態の任意の一つによるCTシステム撮像のための方法及び/又は装置を含むCTシステムも提供する。
【0078】
本発明は、限定しないがハードウェア、ファームウェア、コンピュータ・プログラム、及び論理装置等を含めた当技術分野で周知の様々な態様を通して実施され得ることが当業者には理解されよう。
【0079】
以上の記載及び対応する図面によって本発明の好適実施形態を詳細に例示説明した。加えて、記載に用いられる特定の用語は例示的なものに過ぎない。本発明の多くの改変、均等構成、及び変形は当業者には明らかとなろう。例えば、上の実施形態の一つのステップ又はモジュールを二つ以上のステップ又はモジュールを通して具現化してもよいし、或いは上の実施形態の二つ以上のステップ又はモジュール又は装置の作用が一つのステップ又はモジュールにおいて実現されてもよい。前記変形が発明の要旨及び範囲内に含まれる限り、これらの変形は特許請求の範囲によって画定される本出願の保護範囲に含まれるものと看做される。
【符号の説明】
【0080】
10:CTシステム
12:ガントリ
14:X線源
18:検出器アレイ
22:患者
46:テーブル
301、302、303、304、305:フラット・モジュール
311:間隙
314:X線源
421、422、423、424:検出器パック
431:間隙
50C、50M:フラット・モジュール
51C、51M:チャネル
900:フラット・モジュール検出器アレイを有するCTシステムにおいて撮像を行なう装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9