特許6446192IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

送信装置及び送信方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

非特許文献2に示された送信装置では、2個のデジタル型パワーアンプを同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)用のミキサーとして利用し、直交変調器に加え、パワーアンプの機能も実現するが、2個のパワーアンプは、半導体集積回路上で大きな面積を占めるため、コスト上のデメリットとなってしまう。特に、近年の微細半導体プロセスでは、半導体単位面積あたりのコストが高いため、その影響が大きい。 また、非特許文献1に示されたSCPAでは、ポーラ(Polar)変調方式を想定しているので1個のパワーアンプしか必要としないが、送信装置として用いるには、同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)とから振幅成分(r)と位相成分(θ)へとデータを変換するコーデックと、搬送波に対して位相成分(θ)を変調させる位相変調器とが別途必要となる。この結果、半導体集積回路上での面積を増加させ、コストアップの要因となってしまう。 非特許文献2に示された送信装置では、搬送波信号として、25%Dutyの信号を用いている。このため、同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)のいずれかのみが時分割にてパワーアンプの出力に接続される。つまり、時分割にて同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)を切り替えることができれば、原理的には、1つのパワーアンプでも直交変調器を構成することが可能であると考えられる。しかしながら、この場合、下記の問題が発生する。 図2は、1個のSCPAの構成を簡素化して示す図である。SCPAは、前述の通り、AND出力に直列容量を備えたD級単位アンプが複数並列接続された構成である。図2では、トータルN個のD級単位アンプから構成されており、そのうちBB個が動作状態(D級単位アンプのAND出力はVDDまたはグランド電位の方形波を出力)、N−BB個が停止状態(D級単位アンプのAND出力はグランド電位で固定)である。動作状態のD級単位アンプからの出力信号は、容量アッテネータC1、C2にて減衰されて出力側へ伝達される。 ここで、時分割で同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)とを理想的に切り替える直交変調器の動作について説明する。図3は、ベースバンド信号(同相成分と直交成分)の値に比例した振幅を有する搬送波信号(同相成分と直交成分)を、搬送波周期の1/4毎に時分割にて交互に出力する様子を示した図である。一般的に、アパーチャ効果を考慮しない理想的なDAコンバータは、δ関数列を用いたインパルス列で表されるが、SCPAも高速に動作するDAコンバータの一つと考えることができるため、δ関数列を用いて説明する。 図3において、I(t)、Q(t)はベースバンド信号(同相成分と直交成分)、T0は、搬送波信号の1周期の1/4の時間である。太線で表される同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)のインパルスは、時分割で交互に出力されている。図3のI(t)、Q(t)の波形は、δ関数列を用いるとそれぞれ式(1)、(2)のように表される。
【数1】
【数2】
ベースバンド信号I(t)及びQ(t)のサンプリング後データをis(t)、qs(t)とし、式(1)及び式(2)をフーリエ変換すると、式(3)及び式(4)となる。ただし、ω0=2π/T0、4・T0=T04、ω04=2π/T04とする。
【数3】
【数4】
ここで、オイラーの公式eーjθ=cosθ−j・sinθより、eーj・n・π=+1(n=偶数)、eーj・n・π=−1(n=奇数)であるから、式(3)及び式(4)の第1項と第2項は、n=偶数時に等しくなる。この結果、式(3)及び式(4)はゼロとなる。つまり、2次、4次といった偶数次の高調波スペクトラムは現れないことを意味している。 次に、n=奇数の場合の式(3)及び式(4)について考える。
【数5】
【数6】
式(5)及び式(6)は、同じ角速度ω04を用い、基本波(n=1)では、π/2の位相差を有し、波形I(t)、Q(t)の周波数スペクトラムをω04だけ周波数シフトさせたスペクトラムである。また、このスペクトラムは、全てのn次高調波(n=奇数)に現れる。波形I(t)、Q(t)は、直交しているので、式(5)及び式(6)を加算した信号は、直交変調器としての機能を有することが分かる。なお、SCPAでは、出力に設けられたLC共振器によって高調波を低減して、基本波周波数成分(1次)を取り出すことができる。また、搬送波周期の1/4よりも短い期間(例えば、1/8,1/16等)を用いても、直交変調器を構成することが可能であるが、消費電流の増大を招くという問題が発生してしまうので、これらの期間についての数式による同様の証明は省略する。 次に、前述した課題である、1つのSCPAを用いて、搬送波周期の1/4の時間毎に同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)とを切り替える際に発生する不要な高調波成分について説明する。 不要な高調波成分は、他の無線通信に対して妨害信号となるため、法定許容値以下に低減しなければならない。しかし、低減のためにフィルターを追加するとコストと電力ロスが増大してしまう。特に、偶数次高調波は、基本波に近いため、フィルターにて減衰させる場合には、電力ロスの影響が大きい。先に述べた通り、数式で表されるような理想的な条件では、偶数次の高調波スペクトラムは現れない。しかしながら、従来のSCPAを用いて、搬送波周期の1/4の時間毎に同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)とを切り替えた場合には、不要な偶数次の高調波スペクトラムが発生してしまう。 図4は、並列に3ビットを入力するSCPAの構成を示している。BB{2}〜BB{0}は、同相成分(BB_I)、直交成分(BB_Q)といったデジタルベースバンド信号である。BB{2}がMSB(Most Significant Bit)、BB{0}がLSB(Least Significant Bit)である。各AND出力には、重み付けされた容量が直列接続されている。基本動作は、図2の構成と同様あるため、ここではその説明を省略する。 図4のSCPAに入力される各種信号の波形及びA0〜A2点における信号波形を図5に示す。図5では、搬送波信号の約1周期分に相当する時間を表している。また、BB{0}、BB{1}はL(0)であり、BB{2}はL(0)とH(1)が交互に繰り返される。これは、デジタルベースバンド信号として、BB_I=4、BB_Q=0が入力されることに相当し、搬送波1周期の1/4の時間毎に同相成分(BB_I)と直交成分(BB_Q)とを切り替えている。BB{2}が接続されているANDの出力であるA2点の波形に着目すると、時間0・T0にてHになり、時間1・T0にてLになる。 次に、δ関数列を用いて、A2点の電圧の時間変化を表すと、式(7)のように表される。Va2(t)がA2点の電圧である。
【数7】
式(7)をフーリエ変換すると、式(8)のように表される。
【数8】
Va2s(t)は、Va2(t)のサンプリング後データである。式(8)は、前述の式(3)及び式(4)と異なり、nの値が偶数でも奇数でもゼロにならない。つまり、図5のA2点の信号スペクトラムは、奇数次と偶数次の全ての高調波に現れることを意味している。 本発明の目的は、1つのSCPAを用いて、同相成分と直交成分とを合成した際に、不要な偶数次高調波成分の発生を抑制する送信装置及び送信方法を提供することである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の一態様に係る送信装置は、2つの入力端子と、2つの出力端子とを有し、前記2つの入力端子から入力された信号のいずれかを前記2つの出力端子のいずれかに出力する指示を行う選択信号に従って、前記入力された信号を処理して出力する論理回路と、前記論理回路と、当該論理回路の前記2つの出力端子にそれぞれ直列接続された容量とを有するD級単位アンプと、前記D級単位アンプを複数並列に接続されたデジタルアンプ・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明によれば、1つのSCPAを用いて、同相成分と直交成分とを正しく合成することができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】非特許文献2に開示の送信装置の構成を示す図

【図2】1個のSCPAの構成を簡素化して示す図

【図3】図2に示したSCPAの構成をさらに簡素化して示す図

【図4】並列に3ビットを入力するSCPAの構成を示す図

【図5】図4のSCPAに入力される各種信号の波形及びA0〜A2点における信号波形を示す図

【図6】本発明の実施の形態1に係る直交変調器の構成を示す図

【図7】図6に示した直交変調器の動作タイミングを示す図

【図8】図6に示した論理回路の内部構成の一例を示す図

【図9】図6に示した論理回路の内部構成の他の一例を示す図

【図10】(a)従来のSCPA2個を用いた論理回路のレイアウトを示す平面図、(b)従来のSCPA2個を用いた論理回路のレイアウトを示す縦構造図

【図11】(a)図9に示した論理回路のレイアウトを示す平面図、(b)図9に示した論理回路のレイアウトを示す縦構造図

【図12】(a)同相成分用搬送波信号及び直交成分用搬送波信号と、選択信号とを生成する手段の一例を示す図、(b)動作タイミングを示す図

【図13】(a)同相成分用搬送波信号及び直交成分用搬送波信号と、選択信号とを生成する手段の他の一例を示す図、(b)動作タイミングを示す図

【図14】図6に示した第二の入力信号選択回路の動作タイミングを示す図

【図15】本発明の実施の形態2に係る送信装置の構成を示す図

【図16】本発明の実施の形態2に係る並列に3ビットを入力するSCPAの構成を示す図

【図17】図16のSCPAに入力される各種信号の波形及びA0〜A2点における信号波形を示す図

【図18】図15に示したデジタルアンプの内部構成の例を示す図

【図19】図15に示したデジタルアンプの内部構成の例を示す図

【図20】本発明の実施の形態3に係る送信装置の構成を示す図

【図21】図20に示した送信装置の動作タイミングを示す図

【図22】本発明の実施の形態4に係る送信装置の構成を示す図

【図23】図22に示した入力データ変換器の出力信号を説明するための図

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

10 直交変調器   11 デジタルアンプ   12 第一の入力信号選択回路   13 第二の入力信号選択回路   16 インダクタ   101、501 D級単位アンプ   102 論理回路   103、104、112 容量   110、502 基本アンプ回路   111 スイッチ   201、202 出力端子   203 Pch CMOSトランジスタ   204 Nch CMOSトランジスタ   301、401 発振器   302 1/2分周器   402 EX−OR回路   20、30、40 送信装置   600、650 入力データ変換器   601 第一の入力信号変換回路   602 第二の入力信号変換回路

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