(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446196
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】排水弁駆動装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20181217BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
D06F39/08 311Z
H02K7/116
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-152505(P2014-152505)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-29993(P2016-29993A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】倉谷 大樹
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−223860(JP,A)
【文献】
特開平05−329293(JP,A)
【文献】
特開2005−184921(JP,A)
【文献】
特開2014−087140(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0208586(US,A1)
【文献】
特開2013−005512(JP,A)
【文献】
実開昭55−048402(JP,U)
【文献】
実公昭44−021307(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータと、
前記モータの駆動力を排水弁に伝達する動力伝達手段と、
前記モータと前記動力伝達手段とを収容するケース体と、を備え、
前記ケース体は上下に分割された上ケースである第一のケース半体と下ケースである第二のケース半体とが接合されてなり、
前記上ケースと前記下ケースとの接合部は、前記下ケースの側壁部の上面のうち内側の半面のみが上方へ延出した凸部に、該凸部の外面を覆うように前記上ケースが嵌合されたインロー構造であり、
前記上ケースは、該上ケースの外周面から水平方向に延びて下方に屈曲し前記接合部よりも下方に延出することで前記接合部に液滴が付着することを防止する庇状部を有し、
前記接合部と前記庇状部との間には隙間が設けられていることを特徴とする排水弁駆動装置。
【請求項2】
前記ケース体にはさらに前記ケース体の内部空間を上下に仕切る略板状の部材である仕切板が収容され、
前記仕切板は一部が前記第一のケース半体から外部へ露出しており、
前記上ケースは前記第一のケース半体と外部へ露出した前記仕切板の一部とからなることを特徴とする請求項1に記載の排水弁駆動装置。
【請求項3】
前記ケース体にはさらに外部と電気的に接続される端子片が収容され、
前記ケース体には前記端子片の一部が前記ケース体の外部に露出したコネクタ部が形成され、
前記コネクタ部は前記端子片を前記上ケースと前記下ケースとで挟持していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水弁駆動装置。
【請求項4】
前記コネクタ部には複数の前記端子が挟持されていることを特徴とする請求項3に記載の排水弁駆動装置。
【請求項5】
洗濯機の筐体内に設置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の排水弁駆動装置。
【請求項6】
前記コネクタ部はケース外に露出した前記端子片を覆う筒状部を有し、
前記筒状部の開口部近傍の外面には、前記筒状部の周方向に沿って連続して形成され、液滴が前記筒状部を伝って該筒状部の開口部から中へ侵入することを阻止する壁状部である突条が形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の排水弁駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水弁駆動装置に関し、さらに詳しくは、ケース体が防水構造を備える排水弁駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、上下のケース半体(14、18)を有するケース体(12)を備え、該ケース体の外周面から端子(97、99)が露出した排水弁駆動装置(10)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−120417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、洗濯機の排水弁の開閉機構として、ギヤードモータからなる排水弁駆動装置が一般に用いられている。多湿な筐体内の温度と水温との差により生じた結露、経年劣化による水路部材や貯水槽からの漏水、またはユーザーの予測不能な操作による漏水などにより、洗濯機内に設置された排水弁駆動装置には水滴が付着するおそれがある。
【0005】
特許文献1の排水弁駆動装置のように、ケース体が上下のケース半体を接合してなる場合、例えばその接合部をインロー構造とし、下側のケース半体の開口部に形成された凸部を上側のケース半体で覆うことにより、設計上水滴の侵入を阻止する構造とした場合でも、晒される水量やインロー構造の嵌合精度によっては、毛細管現象により装置内へ水が侵入するおそれがある。さらに、装置内に侵入した水が外部と電気的に接続される端子に付着した場合、ショートや感電のおそれもある。
【0006】
特許文献1の排水弁駆動装置は、端子が露出したコネクタがケース体の外周面に設けられている。かかる構成の場合、ケース体の底面にコネクタが設けられる構成に比べ端子に水が付着しやすいため、ケース体の防水性に関してより慎重を期す必要がある。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、上下のケース半体を接合してなるケース体であっても、ケース体に付着した水滴が接合部からケース内へ侵入することが防止でき、さらに毛細管現象による水の侵入をも防止することができる排水弁駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の排水弁駆動装置は、駆動源であるモータと、前記モータの駆動力を排水弁に伝達する動力伝達手段と、前記モータと前記動力伝達手段とを収容するケース体と、を備え、前記ケース体は上下に分割された上ケースである第一のケース半体と下ケースである第二のケース半体とが接合されてなり、
前記上ケースと前記下ケースとの接合部は、前記下ケースの側壁部の上面のうち内側の半面のみが上方へ延出した凸部に、該凸部の外面を覆うように前記上ケースが嵌合されたインロー構造であり、前記上ケースは、該上ケースの外周面から水平方向に延びて下方に屈曲し前記接合部よりも下方に延出することで前記接合部に液滴が付着することを防止する庇状部を有し、前記接合部と前記庇状部との間には隙間が設けられていることを要旨とする。
【0009】
上ケースの外周面から下方に延出する庇状部が形成されていることにより、上ケースに付着した水滴は庇状部を伝ってその先端部へと流れる。ケース体の外周面と庇状部との間には隙間が設けられているため、庇状部先端の水滴はケース体に付着することなく装置下へ落下する。かかる構成によりケース体の接合部に水滴が付着することを防止することができる。
そして、庇状部が接合部よりも下方に延出していることにより、上ケースの真上から落下してきた水滴のみならず、他所に落下した水滴から跳ねた飛沫など、横方向から付着する水滴からも接合部を保護することができる。また、庇状部の先端に滞留した水滴がケース体に付着したとしても、接合部は庇状部の先端よりも上方にあるため、接合部が水滴に晒されることはない。また、ケース体の外周面と庇状部との間には隙間が設けられているため、これらケース体の外周面と庇状部との間の毛細管力を低減することができ、ケース体に付着した水滴が毛細管現象により接合部まで吸い上げられることを防止することができる。
【0010】
また、前記ケース体にはさらに前記ケース体の内部空間を上下に仕切る略板状の部材である仕切板が収容され、前記仕切板は一部が前記第一のケース半体から外部へ露出しており、前記上ケースは前記第一のケース半体と外部へ露出した前記仕切板の一部とからなる構成としても良い。
【0013】
また、前記ケース体にはさらに外部と電気的に接続される端子片が収容され、前記ケース体には前記端子片の一部が前記ケース体の外部に露出したコネクタ部が形成され、前記コネクタ部は前記端子片を前記上ケースと前記下ケースとで挟持している構成としても良い。
【0014】
上記構成とすることにより、別途コネクタハウジングを備えることなくケース体で端子を保持することができる。また、本発明の庇状部を備えたケース体により、端子に水滴が付着することが防止される。
【0015】
また、前記コネクタ部には複数の前記端子が挟持されている構成としても良い。
【0016】
また、前記排水弁駆動装置は洗濯機の筐体内に設置される構成としても良い。
【0017】
水滴に晒される洗濯機の筐体内であっても、本発明の庇状部を備えたケース体により、ケース体に水が侵入することが防止される。
【0018】
また、前記コネクタ部はケース外に露出した前記端子片を覆う筒状部を有し、前記筒状部の開口部近傍の外面には
、前記筒状部の周方向に沿って
連続して形成され、液滴が前記筒状部を伝って該筒状部の開口部から中へ侵入することを阻止する壁状部である突条が形成されていることが望ましい。
【0019】
上記構成とすることにより、端子が露出したコネクタ部がケース体の外周面に設けられている場合であっても、水滴がコネクタ部の筒状部を伝って筒状部の開口部から中へ侵入することが阻止され、端子に水が付着することによるショートを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる排水弁駆動装置によれば、上下のケース半体を接合してなるケース体であっても、ケース体に付着した水滴が接合部からケース内へ侵入することが防止でき、さらに毛細管現象による水の侵入をも防止することができる排水弁駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態における排水弁駆動装置を上方から見た分解斜視図である。
【
図2】本実施形態における排水弁駆動装置の下方から見た分解斜視図である。
【
図3】ケース体を閉じた状態における排水弁駆動装置を示す斜視図である。
【
図4】筒状部を軸方向に直交する方向に切断した断面図である。
【
図5】排水弁駆動装置の歯車列の噛合状態を示す透過図である。
【
図6】排水弁駆動装置の端子、スイッチ接片、およびカム部材の取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(全体構成)
以下、本発明にかかる排水弁駆動装置の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態における排水弁駆動装置は、ドラム式洗濯機の筐体内においてドラムの下方に設置される排水弁駆動装置1である。なお、以下の説明における上下とは、ドラム式洗濯機に設置された排水弁駆動装置1の重力方向における上下をいい、本実施形態においては
図1に示される上下(第一のケース半体91側が上、第二のケース半体92側が下)が該当する。また、外周面とは
図3におけるケース体90の上面および下面を除く側面の連続した集合をいい、筒状部94の両側面を含む。
【0023】
図1および
図2は本実施形態における排水弁駆動装置1の分解斜視図である。本実施形態における排水弁駆動装置1は、駆動源であるモータ10と、モータ10の駆動力を被駆動体である排水弁95に伝達する動力伝達手段である歯車列30およびクランク部材37と、外部と電気的に接続される端子片40と、上下に分割された第一のケース半体91と第二のケース半体92とを有するケース体90と、ケース体90の内部空間を上下に仕切る略板状の部材である仕切板93と、から構成される。
【0024】
図3は第一のケース半体91と第二のケース半体92とを接合した状態の排水弁駆動装置1を示す斜視図である。第一のケース半体91と第二のケース半体92は、第一のケース半体91の外周面に三箇所設けられた係止爪911と、第二のケース半体92の外周面において係止爪911に対応する位置に設けられた係止孔921とが係合されることにより固定される。
【0025】
本実施形態においては、仕切板93の一部が第一のコネクタ半体931として第一のケース半体91から外部へと露出しており、かかる第一のコネクタ半体931と第一のケース半体91とで上ケース90aが構成されている。一方、下ケース90bは第二のケース半体92(同部材の一部である第二のコネクタ半体922含む)のみにより構成されている。つまり、ケース体90は上ケース90aと下ケース90bとからなり、上ケース90aは第一のケース半体91と第一のコネクタ半体931とからなり、下ケース90bは第二のケース半体92(第二のコネクタ半体922含む)のみからなる。尚、本発明において「上ケース」とは、ケース体の収容物を上方から覆って保護する部材を意味し、「下ケース」とは同収容物を下方から覆って保護する部材を意味する。上ケースおよび下ケースは単一の部材でも良く、複数の部材の組み合わせからなっても良い。
【0026】
ケース体90の外周面からは端子片40の一部が露出している。第一のコネクタ半体931と第二のコネクタ半体922とが接合されてなる筒状部94の基端部で端子片40が挟持され、筒状部94に端子片40の露出部が覆われることによりケース体90にコネクタ部が形成されている。かかる構成により排水弁駆動装置1は、別途コネクタハウジング等を備えることなくケース体90により直接端子片40を支持している。尚、本発明において「コネクタ部」とは、ケース体の外部に露出した端子と、該端子を支持および保護する該端子近傍のケース体の部位を意味している。
【0027】
(防水構造)
次に排水弁駆動装置1の防水構造について説明する。
図4は筒状部94を軸方向に直交する方向に切断した断面図である。以下、
図4に基づいて説明する。
【0028】
第一のコネクタ半体931の側面(該側面は上ケース90aの外周面の一部を構成している)には、該側面から水平方向に延出し、その後直角に屈曲して下方へと延出する断面略L字状の庇状部60が形成されている。庇状部60を除く筒状部94の本体の側面(該側面はケース体90の外周面の一部を構成している)と庇状部60との間には隙間が設けられている。また、第一のコネクタ半体931の上面から側面にかけての角、該側面に設けられた段部の角、および庇状部60の屈曲部の角はいずれも曲面からなり、水滴が下方へと滑りやすい形状になっている。
【0029】
第一のコネクタ半体931と第二のコネクタ半体922は、接合部にインロー構造を備えることにより基本的な防水性を確保している。具体的には、第二のコネクタ半体922の側壁部の上面には、内側の半面のみが上方へ延出して凸部が形成され、第一のコネクタ半体931の対応する側壁部が該凸部の外面を覆うように嵌合されていることにより、接合部からの水の侵入を該凸部で阻止する構造となっている。尚、このようなインロー構造は筒状部94のみならず、第一のケース半体91と第二のケース半体92の接合部においても実装されている。
【0030】
庇状部60が形成されていることにより、第一のコネクタ半体931に付着した水滴は庇状部60を伝って庇状部60の先端へと流れる。筒状部94本体の側面と庇状部60との間には隙間が設けられているため、水滴は筒状部94本体に付着することなく装置下へ落下する。かかる構成により筒状部94の接合部に水滴が付着することが防止されている。
【0031】
筒状部94本体の側面と庇状部60の隙間の間隔は、庇状部60の先端から垂下した水滴が筒状部94本体の側面に接触しない間隔とされ、また、筒状部94本体の側面に付着した水滴に毛細管力が作用した場合でも水滴が接合部の高さまで到達しない間隔とされている。具体的にはmg=3πaλcosα(mgは水滴の最大重量、aは水滴の半径、λは水滴の表面張力、αは庇状部60先端における水滴の接触角度)の式を用いて水滴の最大重量から垂下可能な水滴の半径を算出し、また、h=LTcosθ/ρgS(hは水滴が上昇する高さ、Lは筒状部94の軸方向における庇状部60の長さ、Tは表面張力、θは水滴の接触角、ρは水滴の密度、gは重力加速度、Sは庇状部60と筒状部94本体の側面との間の空間の断面積)の式を用いて毛細管力により水滴が上昇する高さが接合部に達しない間隔を算出した。
【0032】
また、庇状部60は筒状部94の接合部よりも下方に延出している。これにより、第一のコネクタ半体931の真上から落下してきた水滴のみならず、他所に落下した水滴から跳ねた飛沫など、横方向から付着する水滴からも筒状部94の接合部が保護されている。また、庇状部60の先端に滞留した水滴が筒状部94本体の側面に付着したとしても、接合部は庇状部60の先端よりも上方にあるため接合部が水滴に晒されることはない。さらに、筒状部94本体の側面と庇状部60との間には上記隙間が設けられているため、筒状部94本体の側面に付着した水滴が毛細管現象により接合部まで吸い上げられることもない。
【0033】
本実施形態においては、庇状部60による防水効果を高めるため、庇状部60が筒状部94の接合部よりも下方に延出しているが、庇状部60は筒状部94の接合部より上方に位置していても防水効果は発揮される。庇状部60による防水効果を得るための筒状部94本体の側面と庇状部60との隙間の間隔としては、庇状部60の先端が筒状部94の接合部よりも上方に位置する場合は、庇状部60の先端に滞留した水滴が互いに結合して落下する重量まで膨張しても筒状部94本体の側面に接触しない程度の間隔が少なくとも必要となり、庇状部60の先端が筒状部94の接合部よりも下方に位置する場合は、筒状部94本体の側面に付着した水滴が毛細管現象により接合部まで吸い上げられない程度の間隔が少なくとも必要となる。
【0034】
尚、本実施形態における排水弁駆動装置1には、第一のケース半体91および第二のケース半体92の内周面とケース体90の収容物との間に水滴が届かない程度の空間が設けられており、さらに第二のケース半体92の底面には排水口923が形成されているため(
図1および
図2参照)、第一のケース半体91と第二のケース半体92の接合部に水が侵入したとしても、水はケース体90の収容物に付着することなくケース外へ排水される。以上の理由から、排水弁駆動装置1においては、庇状部60は浸水の影響が大きい筒状部94にのみ設けられているが、当然庇状部60は上ケース90aの外周面全周に渡って設けられていても良い。
【0035】
図1、
図2、
図3に示すように、筒状部94の開口部近傍の外面には、筒状部94の周方向に沿って突条941が形成されている。これにより、水滴が筒状部94を伝って筒状部94の開口部から中へ侵入することが阻止され、端子40に水が付着することによるショートが防止されている。
【0036】
(動作)
次に本実施形態における排水弁駆動装置1の動作について説明する。
図5は排水弁駆動装置1の歯車列30の噛合状態を示す透過図である。本実施形態におけるモータ10は逆転防止機構により一方向にのみ回転するACモータである。歯車列30は、モータ10のピニオン31を第一の歯車として、第二の歯車32と、第三の歯車33と、第四の歯車34と、第五の歯車35と、第六の歯車36と、からなる減速歯車機構であり、各歯車は平歯車である大径歯車と小径歯車とが二段に形成された複合歯車である。
図1、
図2に示すように第六の歯車36の小径歯車には排水弁95を開閉するクランク部材37が装着される。
【0037】
モータ10に電力が供給されピニオン31が回転すると、その駆動力が第二の歯車32、第三の歯車33、第四の歯車34、第五の歯車35、第六の歯車36の順に伝達される。各歯車の小径歯部は次の歯車の大径歯車と噛合されていることにより、モータ10の駆動力は減速されてクランク部材37および排水弁95に伝達される。
【0038】
尚、
図6に示すように、本実施形態における排水弁駆動装置1には、外部から電力が供給される電源端子41の他、クランク部材37の回転角度から排水弁95の開閉状態を検出する二つの信号端子42が設けられている。信号端子42にはそれぞれスイッチ接片421が結合されており、電源端子41、信号端子42、およびスイッチ接片421は仕切板93の底面に固定されている。
【0039】
スイッチ接片421は先端部がカム部材50の外周面に摺接するカムフォロアである。カム部材50の外周面は、スイッチ接片421が摺接する順に、曲率が一定の曲面、曲率が小さくなる曲面、および段差部からなる。該段差部はカム部材50の中心から円周までの距離が最も長くなった箇所に設けられており、該段差部によりカム部材50の中心から円周までの距離が最長から最短へ瞬時に縮められる。
【0040】
カム部材50は第六の歯車36の大径歯車と小径歯車との間に形成された円柱部に挿通されている。該円柱部は先端側の外周面が一部平面状に切り欠かれており、カム部材50の挿通孔も同形状に形成されている。よって、第六の歯車36の円柱部にカム部材50が挿通され、小径歯車にクランク部材37が装着されることにより、カム部材50は第六の歯車36に軸方向および周方向に固定され、第六の歯車36の回転に連れ回って回転することとなる。
【0041】
スイッチ接片421は、カム部材50の外周面のうち曲率が小さくなる曲面を摺接する際に互いに接触し(ON状態)、段差部に至ることで離間させられる(OFF状態)。スイッチ接片421のON状態およびOFF状態は信号端子42を介して外部に接続された図示しない制御装置へと通知され、該制御装置により電源端子41への電力の供給が制御されている。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 排水弁駆動装置
10 モータ
30 歯車列
7 クランク部材
40 端子片
50 カム部材
60 庇状部
90 ケース体
90a 上ケース
90b 下ケース
91 第一のケース半体
92 第二のケース半体
922 第二のコネクタ半体
93 仕切板
931 第一のコネクタ半体
94 筒状部
941 突条
95 排水弁