特許第6446209号(P6446209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446209透明電極パターン積層体及びこれを備えたタッチスクリーンパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446209
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】透明電極パターン積層体及びこれを備えたタッチスクリーンパネル
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20181217BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G06F3/044 125
   G06F3/041 490
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-181741(P2014-181741)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-57712(P2016-57712A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】河 京秀
(72)【発明者】
【氏名】安 基煥
【審査官】 桜井 茂行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−002958(JP,A)
【文献】 特開2012−088956(JP,A)
【文献】 特開2014−134994(JP,A)
【文献】 特開2013−154574(JP,A)
【文献】 特開2014−074934(JP,A)
【文献】 特開2012−083959(JP,A)
【文献】 特開2010−250424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01−3/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に形成された第1のパターン及び第2の方向に形成された第2のパターンで形成されたセンサー電極と、
前記第2のパターンの離隔された単位パターンを電気的に接続するブリッジ電極と、
前記センサー電極とブリッジ電極との間に介在する絶縁層とを備え、
前記第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する前記絶縁層上に、下記数式1を満たす金属パターンが形成された透明電極積層体。
(数式1)
0.99≦((第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する絶縁層上における金属パターンの面積比)×(金属パターンの総反射率)+(1−(第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する絶縁層上における金属パターンの面積比))×(第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する絶縁層上における金属パターンのない部位の総反射率))/(センサー電極及びブリッジ電極の総反射率)≦1.01
〔式中、前記総反射率は、それぞれの反射率に界面(表面)反射率を加算した値である。〕
【請求項2】
前記金属パターンは、モリブデン、銀、アルミニウム、及び銅からなる群から選択される少なくとも1種で形成される、請求項1に記載の透明電極積層体。
【請求項3】
前記金属パターンの厚さが20〜300nmである、請求項1または2に記載の透明電極積層体。
【請求項4】
前記ブリッジ電極は、前記絶縁層に形成されたコンタクトホールを通じて、前記第2のパターンに電気的に接続される、請求項1ないしのいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項5】
前記ブリッジ電極は、単位ブリッジ電極を含み、
前記単位ブリッジ電極は、少なくとも1個のブリッジで形成される、請求項1ないしのいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項6】
前記単位ブリッジ電極の前記ブリッジの幅が2〜200μmである、請求項に記載の透明電極積層体。
【請求項7】
前記ブリッジ電極は、前記センサー電極より電気伝導度が高い素材で形成される、請求項1ないしのいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項8】
前記ブリッジ電極は、厚さが20〜200nmであるように構成される、請求項1ないしのいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項9】
前記ブリッジ電極は、前記金属パターンと同一の素材で形成される、請求項1ないしのいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項10】
前記単位ブリッジ電極の前記ブリッジは、幅が2〜20μmであるように構成される、請求項に記載の透明電極積層体。
【請求項11】
前記センサー電極及び前記ブリッジ電極は、前記金属パターンと同一の素材で形成される位置検出ラインを通じて駆動回路に接続される、請求項1ないし10のいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項12】
前記透明電極積層体の一方の面に透明基板を有し、
前記透明電極積層体の前記透明基板とは反対側の面にパッシベーション層をさらに備える、請求項1ないし11のいずれかに記載の透明電極積層体。
【請求項13】
前記透明基板は、前記透明電極積層体が形成される面の反対側面に少なくとも1層の光学機能層をさらに備える、請求項12に記載の透明電極積層体。
【請求項14】
前記光学機能層は、反射防止層及び汚染防止層のうち少なくとも1層である、請求項13に記載の透明電極積層体。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の透明電極積層体を備えたタッチスクリーンパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明電極積層体及びこれを備えたタッチスクリーンパネルに関し、より詳しくは、ユーザに対して視認性の低い透明電極積層体及びこれを備えたタッチスクリーンパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、タッチスクリーンパネルは、手で触れると(touch)、その位置の入力を受けるようにする特殊な入力装置が組み込まれたスクリーンである。このようなタッチスクリーンは、キーボードを用いることなく、スクリーンに表示される文字や特定の位置に人の手又は物体が触れると、その位置を把握し保存されたソフトウェアによって特定の処理ができるように、画面から直接入力データを受信することができるようにしたものであって、複数の層から積層されて構成される。
【0003】
スクリーンに表示される映像の視認性を低下させることなく、接触した部分を認識するためには、透明電極の使用が必須であり、通常、所定のパターンで形成された透明電極が用いられる。
【0004】
タッチスクリーンパネルに用いられる透明電極構造としては、様々なものが知られており、例えば、GFF(Glass-ITO film-ITO film)、G1F(Glass-ITO film)、G2(Glass only)構造等が挙げられる。
【0005】
GFFは、最も一般的な構造であり、X軸、Y軸を形成するのに必要な透明電極(ITO)を2枚のフィルムを用いて構成するものである。G1Fは、硝子の裏面に第1のITOを薄膜蒸着し、第2のITOは、既存の方式と同様のフィルムを用いる。G2は、1枚の強化ガラスを用いて、裏面にX軸用のITOを薄膜蒸着してパターン化した後、その上に絶縁層を形成し、さらにY軸用のITOをパターン化して形成する方式である。GFF−G1F−G2の順で透過率が上昇し、消費電力が低下するため、G2構造に関する研究が活発に行われている。
【0006】
しかしながら、パターン化された透明電極を用いるG2構造の場合には、透明電極のパターン部と非パターン部(パターン開口部)とを視覚的に区分し得るが、パターン部と非パターン部との反射率の差が大きくなるほどその差が明らかになるため、表示素子としての外観の視認性が低下するといった問題がある。特に、静電容量方式のタッチパネルにおいては、パターン化された透明電極層がディスプレイ表示部の全体面に形成されているため、透明電極層をパターン化した場合にも表示素子として外観が良好であることが求められている。
【0007】
前記問題点を改善するために、例えば、特許文献1の日本国特開2008−98169号公報には、透明基材と透明導電層との間に屈折率の異なる2つの層からなるアンダーコート層が形成された透明導電性フィルムが提案されている。また、その実施例として、透明基材上に、高屈折率層として屈折率1.7のシリコーンスズ酸化物層(厚さ10nm以上)、低屈折率層として屈折率1.43の酸化シリコーン層(厚さ30nm)、及び透明導電層として屈折率1.95のITO膜(厚さ15nm)が順に形成された透明導電性フィルムが記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された透明導電性フィルムでは、パターン部とパターン開口部との差が明確になる問題があり、外観を改善するには依然として十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本国特開2008−98169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、パターンの各位置別の反射率の差が少なく、視認性が低下(改善)された透明電極積層体を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記透明電極積層体を備えたタッチスクリーンパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1.第1の方向に形成された第1のパターン及び第2の方向に形成された第2のパターンで形成されたセンサー電極と、前記第2のパターンの離隔された単位パターンを電気的に接続するブリッジ電極と、前記センサー電極とブリッジ電極との間に介在する絶縁層とを備え、前記第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する前記絶縁層上に金属パターンが形成された透明電極積層体。
【0013】
2.前記項目1において、前記金属パターンは、下記数式1を満たすように形成される、透明電極積層体。
(数式1)
0.99≦((絶縁層上における金属パターンの面積比)×(金属パターンの総反射率)+(1−(絶縁層上における金属パターンの面積比))×(絶縁層上における金属パターンのない部位の総反射率))/(センサー電極及びブリッジ電極の総反射率)≦1.01
〔式中、前記総反射率は、それぞれの反射率に界面(表面)反射率を加算した値である。〕
【0014】
3.前記項目1または2において、前記金属パターンは、モリブデン、銀、アルミニウム、及び銅からなる群から選択される少なくとも1種で形成される、透明電極積層体。
【0015】
4.前記項目1ないし3のいずれかにおいて、前記金属パターンの厚さが20〜300nmである、透明電極積層体。
【0016】
5.前記項目1ないし4のいずれかにおいて、前記ブリッジ電極は、前記絶縁層に形成されたコンタクトホールを通じて、前記第2のパターンに電気的に接続される、透明電極積層体。
【0017】
6.前記項目1ないし5のいずれかにおいて、前記ブリッジ電極は単位ブリッジ電極を含み、前記単位ブリッジ電極は、少なくとも1個のブリッジで形成される、透明電極積層体。
【0018】
7.前記項目6において、前記単位ブリッジ電極の前記ブリッジの幅が2〜200μmである、透明電極積層体。
【0019】
8.前記項目1ないし7のいずれかにおいて、前記ブリッジ電極は、前記センサー電極より電気伝導度が高い素材で形成される、透明電極積層体。
【0020】
9.前記項目1ないし8のいずれかにおいて、前記ブリッジ電極は、厚さが20〜200nmであるように構成される、透明電極積層体。
【0021】
10.前記項目1ないし9のいずれかにおいて、前記ブリッジ電極は、前記金属パターンと同一の素材で形成される、透明電極積層体。
【0022】
11.前記項目7において、前記単位ブリッジ電極の前記ブリッジは、幅が2〜20μmであるように構成される、透明電極積層体。
【0023】
12.前記項目1ないし11のいずれかにおいて、前記センサー電極及び前記ブリッジ電極は、前記金属パターンと同一の素材で形成される位置検出ラインを通じて駆動回路に接続される、透明電極積層体。
【0024】
13.前記項目1ないし12のいずれかにおいて、前記透明電極積層体の一方の面に透明基板を有し、前記透明電極積層体の前記透明基板とは反対側の面にパッシベーション層をさらに備える、透明電極積層体。
【0025】
14.前記項目13において、前記透明基板は、前記透明電極積層体が形成される面の反対側面に少なくとも1層の光学機能層をさらに備える、透明電極積層体。
【0026】
15.前記項目14において、前記光学機能層は、反射防止層及び汚染防止層のうち少なくとも1層である、透明電極積層体。
【0027】
16.前記項目1〜15のうち何れか一項目に記載の透明電極積層体を備えたタッチスクリーンパネル。
【発明の効果】
【0028】
本発明の透明電極積層体は、積層体を構成する各層別の厚さを特定の範囲で調節し、パターン化された透明電極構造によって発生する位置別の反射率の差を最小限にし、ユーザの視認度を低下させる(各位置を視覚的に区別できない)ことで高い透明度を示す。
【0029】
このような側面において、本発明の透明電極積層体は、G2構造のタッチスクリーンパネルに適用することで、高い透過率及び低い反射率を示し、非常に有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の透明電極積層体の一実施形態の概略的な平面図である。
図2図2は、本発明の透明電極積層体の一実施形態における単位構造の概略的な平面図である。
図3図3は、本発明の透明電極積層体の各位置別の積層構造を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、第1の方向に形成された第1のパターン及び第2の方向に形成された第2のパターンで形成されたセンサー電極と、前記第2のパターンの離隔された単位パターンを電気的に接続するブリッジ電極と、前記センサー電極とブリッジ電極との間に介在する絶縁層とを備え、前記第1のパターンと第2のパターンとの間に露出する絶縁層上に金属パターンが形成されることによって、位置別の反射率の差を最小限にし、ユーザに対する視認度を低下させることで、高い透明度を示す透明電極積層体に関する。
【0032】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。但し、本明細書に添付の図面は、本発明の好ましい実施例を例示するものであり、前述の発明の内容と共に本発明の技術思想の理解をさらに容易にするためものであるので、本発明は、前記図面に記載された事項にのみ限定されるものと解析されるべきではない。
【0033】
図1は、本発明の透明電極積層体の一実施形態の概略的な平面図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の透明電極積層体は、センサー電極100と、ブリッジ電極200と、絶縁層300と、金属パターン400とを備える。なお、本発明の透明電極積層体は、コンタクトホール500をさらに備えることができ、透明基板(図示しない)上に形成され得、パッシベーション層(図示しない)を透明基板の反対側にさらに備え得る。
【0035】
図1に示すように、透明電極積層体は、予め定めたパターンで形成される。センサー電極100及びブリッジ電極200は、タッチされる箇所の位置情報を提供する。絶縁層300は、前記センサー電極100とブリッジ電極200との間に介在し、これらを電気的に分離させる。金属パターン400は、第1のパターン110と第2のパターン120との間に露出する絶縁層300上に形成され、本発明の透明電極積層体の視認性を低下させる。また、コンタクトホール500は、絶縁層300に形成され、センサー電極100とブリッジ電極200とを電気的に接続させる。
【0036】
図3に示すように、透明電極積層体は、様々な層構造を有する。このような位置による様々な層構造によって、位置別に反射率、輝度、色相等に差が発生して、これによりパターンに対する視認性が高くなり、透明電極としての機能に問題が生じる。
なお、図3中の(4)における各層は、(1)〜(3)、(5)のそれぞれの各層と互いに同一の層で構成されている。
【0037】
ここで、本発明は、絶縁層300とセンサー電極100との間に相当する領域上に金属パターン400を形成することにより、透明電極パターン部と非パターン部との反射率の差を最小限することで前記問題点を解決する。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0038】
<透明電極>
本発明において、透明電極とは、実際に透明な素材で形成された電極のみならず、狭い幅で形成され目視で識別することができず、透明に見える電極も含まれる。
【0039】
図1〜3に示すように、本発明による透明電極は、センサー電極100とブリッジ電極200とを備える。
【0040】
センサー電極100は、第1のパターン110と第2のパターン120とで形成される。第1のパターン110と第2のパターン120とは、互いに異なる方向に配置され、タッチされる箇所のX軸及びY軸に対する情報を提供する。例えば、それぞれ同一の行又は列に配置され得るが、これに制限されるものではない。
【0041】
具体的には、ヒトの手又は物体が透明基板に接触すると、第1のパターン110、第2のパターン120、ブリッジ電極200、及び位置検出ラインを経由して駆動回路側に接触位置による静電容量の変化が伝達される。また、X及びYの入力処理回路(図示しない)等によって静電容量の変化を電気的信号に変換することで接触位置が把握される。
【0042】
これに関して、第1のパターン110及び第2のパターン120は、同一層に形成され、タッチされる箇所を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続しなければならない。しかしながら、第1のパターン110は、互いに結合された形状であるが、第2のパターン120は、島状(island)で互いに分離された構造となっているため、第2のパターン120を電気的に接続するためには別途の連結線が必要である。
【0043】
しかしながら、前記連結線は、第1のパターン110と電気的に接続してはならないため、センサー電極100とは別途の層に形成しなければならない。それによって、ブリッジ電極200と第2のパターン120とが電気的に接続するために、センサー電極100とは別途の層に形成される。すなわち、ブリッジ電極200は、センサー電極100の第2のパターン120を電気的に接続する。
【0044】
従って、図2及び3において、(1)、(3)、及び(4)の位置は、タッチされた部分を感知するために予め定めたパターンでセンサー電極100が形成された部分であり、(3)、(4)、及び(5)の位置は、島状で形成された第2のパターン120を電気的に接続するために形成されたブリッジ電極200が存在する部分である。
【0045】
このとき、ブリッジ電極200は、センサー電極100のうち第1のパターン110とは電気的に遮断されなければならない。このために絶縁層300が形成され、コンタクトホール500(図2の(3))をさらに備えることができる。これについては後述する。
【0046】
本発明によるセンサー電極100及びブリッジ電極200の厚さは、特に限定されず、例えば、それぞれ20〜200nmであり得る。センサー電極100及びブリッジ電極200の厚さが20nm未満であれば、電気抵抗が大きくなり、タッチの感度が低下し得、200nm超過であれば、反射率が大きくなり、視認性の問題が生じ得る。
【0047】
また、センサー電極100及びブリッジ電極200は、それぞれの屈折率が1.8〜1.98であることが好ましい。屈折率を前記範囲に設定することで反射率の低下効果をさらに向上することができる。
【0048】
本発明によるセンサー電極100及びブリッジ電極200は、当該技術の分野において公知の透明電極素材が制限なく適用され得る。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、金属ワイヤ等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して用いることができる。好ましくは、インジウムスズ酸化物(ITO)が用いられ得る。金属ワイヤに用いられる金属は、特に限定されず、例えば、銀(Ag)、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、テルル、クロム等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0049】
本発明において、ブリッジは、単位ブリッジ電極の1個のライン状で形成された電極を意味するものである。本発明による単位ブリッジ電極は、少なくとも1個のブリッジで形成され得る。
【0050】
本発明による単位ブリッジ電極のブリッジの幅は、特に限定されず、例えば、2〜200μmであり得、好ましくは、2〜100μmであり得る。ブリッジの幅が2〜200μmであると、本発明の透明電極積層体がタッチスクリーンパネルに適用されたとき、パターンの視認性を低下すると同時に適正の電気抵抗を有することができる。
【0051】
ブリッジ電極200をより狭い幅で形成してタッチスクリーンパネルに適用させ、ベゼル幅を減少させる側面において、ブリッジ電極200は、センサー電極100より電気伝導度が高い素材で形成され得る。ブリッジ電極200がセンサー電極より電気伝導度が高い素材で形成されるときは、さらに小面積でもセンサー電極100の第2のパターン120を電気的に接続することができる。
【0052】
ブリッジの幅が狭くなれば電気抵抗が高くなり得るため、このような場合に本発明によるブリッジ電極は、図2に示すように、少なくとも2個以上のブリッジで形成され得る。そのような場合に、抵抗上昇を抑制することができ、単位面積当たりのブリッジ電極200の面積比が減少し、パターン部の視認性が低下し得る。
【0053】
ブリッジ電極200をセンサー電極100より電気伝導度が高い素材で形成したときに、単位ブリッジ電極のブリッジの幅は、例えば、2〜20μmであり得、好ましくは、2〜5μmであり得るが、これに制限されるものではない。ブリッジの幅が2〜20μmであるときに、パターンの視認性を低下させ、適正の電気抵抗を有することができる。
【0054】
本発明の他の側面において、ブリッジ電極200は、後述する金属パターン400と同一の素材で形成され得る。
【0055】
ブリッジ電極200を金属パターン400と同一の素材で形成するときには、金属パターン400の形成のための別途の工程を経る必要性はなく、ブリッジ電極200の形成の際に金属パターン400を共に形成することができ、工程の効率を改善する効果がある。
【0056】
センサー電極100及びブリッジ電極200は、物理的蒸着法(Physical Vapor Deposition、PVD)、化学的蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)等の多様な薄膜蒸着技術によって形成され得る。例えば、物理的蒸着法の一例である反応性スパッタリング(reactive sputtering)によって形成され得る。
【0057】
また、センサー電極100及びブリッジ電極200は印刷工程で形成され得る。このような印刷工程の際にグラビアオフセット(gravure offset)、リバースオフセット(reverse offset)、スクリーン印刷、及びグラビア(gravure)印刷等の多様な印刷方法が利用され得る。特に、印刷工程でセンサー電極100及びブリッジ電極200を形成するとき、印刷が可能な限り、ペースト物質で形成することができる。一例として、炭素ナノチューブ(carbon nano tube、CNT)、伝導性ポリマー及び銀ナノワイヤインク(Ag nano wire ink)で形成し得る。
【0058】
本発明において、センサー電極100及びブリッジ電極200の積層順序は制限されない。従って、本発明の他の実施形態では、図3のセンサー電極100及びブリッジ電極200の積層順序を変えることもできる。例えば、透明基板上に、センサー電極100の代わりにブリッジ電極200を先に形成し、その上に絶縁層300を形成した後、絶縁層300上にセンサー電極100を形成してもよい。
【0059】
第1のパターン110、第2のパターン120、及びブリッジ電極200を駆動回路に接続する位置検出ラインの形成方法は、特に限定されず、例えば、センサー電極100及びブリッジ電極200の形成方法と同様の方法で形成され得る。
【0060】
好ましくは、本発明による位置検出ラインは、金属パターン400と同様の素材で形成され得る。このような場合に、金属パターン400の形成のための別途の工程を経る必要がなく、金属配線及び位置検出ラインの形成の際に金属パターン400を共に形成することができ、工程効率を改善する効果がある。
【0061】
前記のブリッジ電極200及び位置検出ラインを全て金属パターン400と同様の素材で形成するときには、ブリッジ電極200の形成の際に位置検出ライン及び金属パターン400を全て形成することができ、工程効率の改善効果を最大限にすることができる。
【0062】
<絶縁層及びコンタクトホール>
絶縁層300は、センサー電極100とブリッジ電極200との電気的接続を防ぐために、センサー電極100とブリッジ電極200との間に形成される。ただし、図2及び3に示すように、ブリッジ電極200が隣接するセンサー電極100の第2のパターン120を電気的に接続するときには、センサー電極100と電気的に接続しなければならないので、絶縁層300が形成されない部分が必要である。このように、絶縁層300領域で絶縁層300が形成されない部分をコンタクトホール500(図2の(3))という。従って、コンタクトホール500では、第2のパターン120とブリッジ電極200との電気的接続が行われる。
【0063】
本発明による絶縁層300は、当該技術分野に公知の透明絶縁素材が制限なく適用され得る。例えば、シリコーン酸化物のような金属酸化物又はアクリル系樹脂を含む透明な感光性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物を用いて必要なパターンで形成することができる。
【0064】
絶縁層300は、センサー電極100上に蒸着又は印刷等の方法で形成され得る。
【0065】
本発明において、コンタクトホール500は、絶縁層300を全体的に形成した後、ホール(hole)を設ける方式で形成することができ(ホール方式)、絶縁層300をセンサー電極100とブリッジ電極200とが電気的に接続される部分のみを除いて形成する方式で形成することもできる(島(island)方式)。
【0066】
<金属パターン>
金属パターン400は、前記第1のパターン110と第2のパターン120との間に露出する絶縁層300上に形成され、透明電極のパターン部と非パターン部(パターン開口部)との反射率の差を減少させ、透明電極積層体の視認性を顕著に低下する(パターン部と非パターン部とを視覚的に区別できない)役割を果たす。
【0067】
具体的には、非パターン部上に反射率の高い金属でパターンを形成することにより、透明電極のパターン部との反射率の差を減少させ、観察者が反射率の差を認識することができないようにする。
【0068】
好ましくは、本発明による金属パターン400は、下記数式1を満たすように形成され得る。
【0069】
(数式1)
0.99≦((絶縁層上における金属パターンの面積比)×(金属パターンの総反射率ーンのない部位の総反射率))/(センサー電極及びブリッジ電極の総反射率)≦1.0)+(1−(絶縁層上における金属パターンの面積比))×(絶縁層上における金属パタ1
〔式中、前記総反射率は、それぞれの反射率に界面(表面)反射率を加算した値である。〕
【0070】
金属パターン400の面積及び反射率が前記数式1を満たす場合、透明電極のパターン部と非パターン部との総反射率が同一であり、観察者が透明電極のパターン部と非パターン部との反射率の差を認識することができないため、透明電極積層体の視認性を低下する効果を最大限化することができる。
【0071】
センサー電極100及びブリッジ電極200の反射率は、センサー電極100及びブリッジ電極200の厚さ、屈折率、電極素材等を適宜選択して調節することができ、金属パターン400の反射率は、厚さ、素材等を適宜選択して調節することができる。
【0072】
本発明による金属パターン400は、当該技術分野において通常用いられる金属を用いることができ、例えば、モリブデン、銀、アルミニウム、及び銅等が挙げられ、好ましくは、モリブデンであり得る。これらは、単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0073】
本発明による金属パターン400の厚さは、特に限定されず、例えば、20〜300nmであり得、好ましくは、50〜150nmであり得る。金属パターン400の厚さが20〜300nmであるとき、適正水準の反射率を有し、視認性の低下効果を最大限にすることができる。
【0074】
本発明による金属パターン400の形成方法は、特に限定されず、例えば、センサー電極100及びブリッジ電極200の形成方法と同様の方法で形成され得る。
【0075】
<透明基板>
透明基板は、タッチスクリーンパネルの最外面を形成し、人の手又は物体と直接接触する部分である。人の手又は物体と直接接触する反対側面には、本発明の透明電極積層体が形成される。図3に示すように、本発明の透明電極積層体は、透明基板上にセンサー電極から順次積層され形成される。
【0076】
必要に応じて、本発明の透明電極積層体は、透明基板とセンサー電極100との間に透明誘電層をさらに備えることができる。
【0077】
透明誘電層は、透明電極のパターン構造による位置別の構造差による光学的特性の差を減少させ、タッチスクリーンパネルの光学的な均一度を改善する。
【0078】
透明誘電層は、酸化ニオブ、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化インジウム等をそれぞれ単独で又は2種以上混合して形成することができる。形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレイティング法等を用いることができ、前記のような方法により薄膜状で容易に製造され得る。
【0079】
本発明において、必要に応じて、透明誘電層が複数の層で形成され得る。この場合、各層は、互いに異なる素材で形成され得、互いに異なる屈折率及び厚さを有し得る。
【0080】
しかしながら、本発明の透明電極積層体は、金属パターン400の形成によって透明誘電層を形成することなく、位置別の構造差による光学的特性の差を減少することができるため、透明誘電層を備えなくてもよい。
【0081】
透明基板は、タッチスクリーンパネルを外力から充分に保護することができるように耐久性に優れ、ユーザがディスプレイをよく見ることができるようにする物質であれば、特に限定されず、当該技術の分野において用いられる素材が特に制限なく用いられ得る。例えば、硝子、ポリエーテルスルホン(PES、polyethersulphone)、ポリアクリレート(PAR、polyacrylate)、ポリエーテルイミド(PEI、polyetherimide)、ポリエチレンナフタレート(PEN、polyethyelenen napthalate)、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethyelene terepthalate)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide:PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(PC、polycarbonate)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate、CAP)等を用いることができる。好ましくは、硝子を用いることができ、より好ましくは、強化処理された硝子を用いることができる。
【0082】
本発明による透明基板は、適切な厚さを有することができ、例えば、0.1〜0.7mmであり得る。前記範囲において、本発明による透明電極積層体の反射率の低下効果をさらに向上することができる。
【0083】
また、透明基板は、屈折率が1.4〜1.6であることが好ましい。前記屈折率の範囲で、前述の厚さ範囲を有するときの反射率の低下効果をさらに強化することができる。
【0084】
本発明において、透明基板は、必要に応じて透明電極が形成される面の反対側面に少なくとも1層の光学機能層をさらに備えることができる。このような光学機能層は、例えば、反射防止層、指紋防止層等のような汚染防止層等をそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて形成することもできる。
【0085】
<パッシベーション層>
本発明の透明電極積層体は、必要に応じて、センサー電極100及びブリッジ電極200が外部環境(水分、空気等)において汚染されることを防止するために、透明電極積層体を基準として透明基板が接合された面の反対側面にパッシベーション層をさらに備え得る。
【0086】
パッシベーション層は、前記絶縁層300から使用可能な材料を採択して形成され得る。
【0087】
本発明によるパッシベーション層は、適切な厚さを有することができ、例えば、2,000nmであり得る。従って、例えば、0〜2,000nmであり得る。前記範囲において本発明による透明電極積層体の反射率の低下効果をさらに向上することができる。
【0088】
また、パッシベーション層は、屈折率が1.4〜1.6であることが好ましい。前記屈折率の範囲で、前述の厚さ範囲を有するときの反射率の低下効果をさらに強化することができる。
【0089】
<接着層>
接着層は、本発明の透明電極積層体をディスプレイパネル部と接合させる。接着層は、透明な硬化性樹脂組成物を塗布した後、硬化して形成されるか(OCR)、或いは既にフィルム状になっているものを圧着して形成され得る(OCA)。
【0090】
接着層も透明電極積層体の反射率に影響を及ぼすことができるため、透明電極積層体の反射率の低下のために適切な厚さ及び屈折率を有することが好ましい。例えば、厚さは0〜250μmであり得、屈折率は、1〜1.6であり得る。前記厚さが0μmであるときは、接着層が透明電極積層体の縁部分にのみ形成され、実際に映像が表示される内側部分には、接着層が形成されないことを意味する。このようなときには、透明電極積層体とディスプレイパネル部との間には空気層のみが存在する。
【0091】
前述のとおり、本発明の透明電極積層体は、絶縁層300とセンサー電極100との間に相当する領域上に金属パターン400を形成することにより、透明電極パターン部と非パターン部との反射率の差を最小限にして、視認性を顕著に低下することができる。従って、本発明の透明電極積層体は、ディスプレイパネル部と接合され、優れたタッチスクリーンパネルで製造され得る。
【0092】
以下、本発明の理解を助けるために、好適な実施例を示すが、これら実施例は本発明を例示するに過ぎず、添付された特許請求の範囲を制限するわけではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内において実施例に対し変更が多様であること且つ修正が可能であることは、当業者にとって明らかなものであり、このような変更及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然のことである。
【0093】
実施例及び比較例
下記表1に記載の各層の厚さで透明電極積層体を製造した。各実施例及び各比較例で得られた透明電極積層体の各位置別の平均反射率、及び図2に示す(1)領域と(2)領域との平均反射率の差を求めた。前記平均反射率は、400nm〜700nmにおける反射率の平均を意味する。
【0094】
透明基板としては、厚さ0.7mmの硝子(屈折率:1.51、減衰係数:0)、センサー電極としては、ITO(屈折率:1.8、減衰係数:0.014)、絶縁層及びパッシベーション層としては、アクリル系絶縁物質(屈折率:1.51、減衰係数:0)を用いた。前記屈折率及び減衰係数は、550nmの波長の光を基準として得られた。
【0095】
金属パターンは、モリブデンで構成され、厚さ50nm又は150nmで形成した。
【0096】
ブリッジ電極は、実施例1、3、及び7並びに比較例1、2、及び4の場合、ITO(屈折率:1.8、減衰係数:0.014)、残りの実施例及び比較例の場合、モリブデンで形成した。
【0097】
そして、実施例7、8、及び比較例4の場合、ブリッジ電極、絶縁層、及びセンサー電極の順で透明電極積層体を形成した。また、残りの実施例及び比較例の場合、センサー電極、絶縁層、及びブリッジ電極の順で透明電極積層体を形成した。
【0098】
表1中、接着層がエアーと記載されたことは、ベゼル部のみ接着され、映像が表示される領域には、接着層が形成されないことを意味する。
【0099】
【表1】
【0100】
前記表1において実施例1を例示として説明すると、モリブデンの反射率は、57%であり、(2)領域で最外郭表面の反射率は4%と測定され、金属パターンの総反射率は61%(厚さ50nm及び150nmで同一)であった。そして、絶縁層上における金属パターンのない部位の総反射率は8.1%と測定された。この値及び金属パターンの面積比を通じて(2)領域の平均反射率を求めた。残りの場合も同様の方法で反射率を求めた。
【0101】
各領域の中で、(1)領域が最も広く、パターンの視認性に最も大きな影響を与え、残りの領域の影響は僅かであるため、(1)領域と(2)領域との反射率の差でパターンの視認性を比較した。
【0102】
前記表1を参考すると、実施例1〜7の透明電極積層体は、金属パターンの形成により、(1)領域と(2)領域との反射率の差が0.1%に過ぎないため、パターンを視認することができなかった。
【0103】
しかしながら、比較例1〜4の透明電極積層体は、(1)領域と(2)領域との反射率の差が1.2%又は1.3%であり、非常に大きな差を有するため、パターンを視認することができた。
【符号の説明】
【0104】
100:センサー電極、110:第1のパターン、120:第2のパターン、200:ブリッジ電極、300:絶縁層、400:金属パターン、500:コンタクトホール
図1
図2
図3