(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446228
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】採光装置を備える建物
(51)【国際特許分類】
F21S 11/00 20060101AFI20181217BHJP
F21V 7/16 20060101ALI20181217BHJP
F21V 7/10 20060101ALI20181217BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20181217BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20181217BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20181217BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
F21S11/00 310
F21S11/00 110
F21V7/16
F21V7/10 110
F21V14/04
F21V17/00 250
G02B5/10 B
G02B5/08 A
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-212791(P2014-212791)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-81755(P2016-81755A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】菅野 普
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−076212(JP,A)
【文献】
実開昭57−161804(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 11/00
F21V 7/10
F21V 7/16
F21V 14/04
F21V 17/00
G02B 5/08
G02B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の光を、光反射手段で建物の外壁に設けられた開口部に向けて反射させ前記開口部を介して屋内に採り込む採光装置であって、
前記光反射手段は、屋外の光を反射させる反射面を備え、前記反射面は、その上端が前記開口部から離隔する一方その下端が前記開口部の下端に近接するように配置され、
前記光反射手段は、薄膜を複数枚積層して構成されており、前記薄膜は表面側から一枚ずつ離脱可能である、採光装置。
【請求項2】
前記薄膜は、可撓性を有する、請求項1に記載の採光装置。
【請求項3】
前記光反射手段は、少なくとも上下端が支持部材に各々支持されており、前記支持部材の一方が他方から遠ざかること又は前記支持部材のうち少なくとも何れか一方が前記光反射手段を巻き取ることにより前記光反射手段に張力が加えられて前記反射面の断面形状が直線状になる一方、前記張力が解除されることにより前記光反射手段が自重で撓み前記反射面の断面形状が曲線状になるように構成される、請求項1又は2に記載の採光装置。
【請求項4】
屋外の光を、光反射手段で建物の外壁に設けられた開口部に向けて反射させ前記開口部を介して屋内に採り込む採光装置であって、
前記光反射手段は、屋外の光を反射させる反射面を備え、前記反射面は、その上端が前記開口部から離隔する一方その下端が前記開口部の下端に近接するように配置され、
前記光反射手段は、自重で変形することにより前記反射面の断面形状が曲線状になるように構成されるとともに、ヒンジで連結された複数枚の板状体で構成される、採光装置。
【請求項5】
前記光反射手段は、少なくとも上下端がヒンジを介して支持部材に各々支持されており、前記支持部材の一方が他方から遠ざかることにより前記光反射手段に張力が加えられて前記反射面の断面形状が直線状になる一方、前記張力が解除されることにより前記光反射手段が自重で変形し前記反射面の断面形状が曲線状になるように構成される、請求項4に記載の採光装置。
【請求項6】
前記光反射手段の上端を支持する支持部材は、前記外壁の近傍又は前記光反射手段の下端を支持する支持部材の近傍に移動可能とされる、請求項3又は5に記載の採光装置。
【請求項7】
屋外の光を、光反射手段で建物の外壁に設けられた開口部に向けて反射させ前記開口部を介して屋内に採り込む採光装置であって、
前記光反射手段は、屋外の光を反射させる反射面を備え、前記反射面は、その上端が前記開口部から離隔する一方その下端が前記開口部の下端に近接するように配置され、
前記光反射手段は、自重で変形することにより前記反射面の断面形状が曲線状になるように構成され、その上端と下端の間にある中間部分が中間支持部材によって支持されている、採光装置。
【請求項8】
前記中間支持部材は、鉛直方向及び/又は水平方向に移動可能とされる、請求項7に記載の採光装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の採光装置を用いた採光方法であって、
前記光反射手段の前記反射面の拡散反射率の増加に応じて、前記反射面の断面形状を直線状に近付ける、採光方法。
【請求項10】
請求項1から8の何れか一項に記載の採光装置を備える、建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光装置及び採光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、屋外の光(直接光や天空光)を屋内に採り込むための採光装置を建物の開口部の近傍に取り付けて屋内の明るさを確保する技術が提案されている。例えば近年においては、中央部が下方に突出するような凹形状に湾曲した反射部材を用いた採光装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された採光装置を用いると、建物の開口部を大きくすることなく多くの天空光を屋内に採り込むことができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−110108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された従来の採光装置の反射部材は、建物の外壁から持ち出された支持部材により支持されている。また、反射部材は、金属製の比較的重い部材で構成されるのが一般的である。このような従来の採光装置で使用されていた比較的重い反射部材を建物で支持させるためには、反射部材自体の重量に加えて反射部材が受ける風荷重や積雪荷重を考慮した建物設計をする必要があり、コスト増が懸念される。また、比較的重い反射部材は、既存建物への取付けが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、建物への負担が少ない採光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る採光装置は、屋外の光を、光反射手段で建物の外壁に設けられた開口部に向けて反射させ開口部を介して屋内に採り込むものであって、光反射手段は、屋外の光を反射させる反射面を備え、反射面は、その上端が開口部から離隔する一方その下端が開口部の下端に近接するように配置され、光反射手段は、自重で変形することにより反射面の断面形状が曲線状になるように構成されるものである。
【0007】
かかる構成を採用すると、光反射手段の反射面は、その上端が建物の開口部から離隔する一方その下端が建物の開口部の下端に近接するように配置されており、かつ、光反射手段が自重で変形することにより反射面の断面形状が曲線状になるように構成されているため、鉛直方向下方に向けて入射する屋外の光を、曲面状の反射面で拡散させ(まぶしさを軽減させ)ながら反射させて開口部へと導くことができる。また、自重で変形するような比較的軽い材料で光反射手段を構成するため、光反射手段を建物で支持する際に用いる支持部材を簡素化することができ、建物に対する負担を軽減することができるとともに、既存建物への取付け作業を容易にすることができる。
【0008】
本発明に係る採光装置において、可撓性を有する薄膜で光反射手段を構成することができる。
【0009】
かかる構成を採用すると、光反射手段が可撓性を有する薄膜で構成されるため、材料劣化による交換やメンテナンスが格段に容易となる。また、積雪時や強風時には光反射手段を折り畳んで収納することも可能となる。
【0010】
本発明に係る採光装置において、可撓性を有する薄膜を複数枚積層して構成した光反射手段を採用し、薄膜を表面側から一枚ずつ離脱可能とすることができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、可撓性を有する薄膜を複数枚積層して構成した光反射手段を採用し、薄膜は表面側から一枚ずつ離脱可能であるため、劣化した薄膜を離脱させて新たな薄膜を用いることができる。従って、材料交換に要する労力や費用を節減させることができる。
【0012】
本発明に係る採光装置において、可撓性を有する薄膜で構成された光反射手段の少なくとも上下端を支持部材に各々支持させ、支持部材の一方を他方から遠ざけること又は支持部材のうち少なくとも何れか一方で光反射手段を巻き取ることにより光反射手段に張力を加えて反射面の断面形状を直線状とする一方、この張力を解除することにより光反射手段を自重で撓ませ反射面の断面形状を曲線状とすることができる。
【0013】
かかる構成を採用すると、光反射手段の上下端を支持する支持部材の一方を他方から遠ざける(又は支持部材のうち少なくとも何れか一方で光反射手段を巻き取る)ことにより、光反射手段に張力を加えて反射面の断面形状を直線状とすることができる。一方、加えた張力を解除することにより、光反射手段を自重で撓ませ反射面の断面形状を曲線状とすることができる。すなわち、光反射手段の上下端を支持する支持部材を移動させたり支持部材による巻取り操作を行ったりすることにより、光反射手段の断面形状を容易に変更することができる。従って、例えば、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段の反射面の拡散性が高くなった場合には、光反射手段に張力を加えて撓みを抑え反射面の断面形状を直線状にすることにより、良好な採光状態を得ることができる。
【0014】
本発明に係る採光装置において、ヒンジで連結された複数枚の板状体で光反射手段を構成することもできる。
【0015】
かかる構成を採用すると、光反射手段がヒンジで連結された複数枚の板状体で構成されるため、薄膜と比較すると風雨による光反射手段の変形を抑制することができ、光反射手段の形状の維持が容易となるという利点がある。また、積雪時や強風時には光反射手段を折り畳んで収納することも可能となる。
【0016】
本発明に係る採光装置において、ヒンジで連結された複数枚の板状体で構成された光反射手段の少なくとも上下端をヒンジを介して支持部材に各々支持させ、支持部材の一方を他方から遠ざけることにより光反射手段に張力を加えて反射面の断面形状を直線状とする一方、この張力を解除されることにより光反射手段を自重で変形させ反射面の断面形状を曲線状とすることができる。
【0017】
かかる構成を採用すると、光反射手段の上下端を支持する支持部材の一方を他方から遠ざけることにより、光反射手段に張力を加えて反射面の断面形状を直線状とすることができる。一方、加えた張力を解除することにより、光反射手段を自重で変形させ反射面の断面形状を曲線状とすることができる。すなわち、光反射手段の上下端を支持する支持部材を移動させることにより、光反射手段の断面形状を容易に変更することができる。従って、例えば、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段の反射面の拡散性が高くなった場合には、光反射手段に張力を加えて変形を抑え反射面の断面形状を直線状にすることにより、良好な採光状態を得ることができる。
【0018】
本発明に係る採光装置において、光反射手段の上端を支持する支持部材を、外壁の近傍又は光反射手段の下端を支持する支持部材の近傍に移動可能とすることができる。
【0019】
かかる構成を採用すると、例えば光反射手段の非使用時、積雪時、強風時等において、光反射手段の上端を支持する支持部材を、外壁の近傍(又は光反射手段の下端を支持する支持部材の近傍)に移動させることにより、光反射手段を外壁付近に収納することができる。
【0020】
本発明に係る採光装置において、光反射手段の上端と下端の間にある中間部分を、中間支持部材によって支持することができる。
【0021】
かかる構成を採用すると、光反射手段の上端と下端の間にある中間部分を中間支持部材によって支持することができるので、光反射手段が比較的大きな面積を有していたり比較的柔らかい材料で構成されていたりすることに起因して光反射手段の撓みが大きい場合においても、良好な採光状態を得ることができる。
【0022】
本発明に係る採光装置において、中間支持部材を、鉛直方向及び/又は水平方向に移動可能とすることができる。
【0023】
かかる構成を採用すると、中間支持部材が鉛直方向や水平方向に移動可能とされるため、光反射手段の中間部分の支持位置を変更することができる。従って、光反射手段による光の拡散状態及び反射方向を制御することができる。
【0024】
また、本発明に係る採光方法は、本発明に係る採光装置を用いた採光方法であって、光反射手段の反射面の拡散反射率の増加に応じて、反射面の断面形状を直線状に近付けるものである。
【0025】
かかる方法を採用すると、例えば、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段の反射面の拡散反射率が増加した(拡散性が高くなった)場合には、光反射手段の変形を抑え反射面の断面形状を直線状に近付けることにより、良好な採光状態を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、建物への負担が少ない採光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る採光装置の構成を説明するための構成図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る採光装置の光反射部材の断面形状を直線状にした状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る採光装置の構成を説明するための構成図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る採光装置の構成を説明するための構成図である。
【
図5】本発明の第四実施形態に係る採光装置の構成を説明するための構成図である。
【
図6】本発明の第四実施形態に係る採光装置の光反射部材の断面形状を直線状にした状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0029】
<第一実施形態>
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る採光装置1の構成について説明する。本実施形態に係る採光装置1は、
図1に示すように、屋外の光(直接光や天空光)Lを、建物の外壁Wに設けられた開口部Oを介して屋内に採り込むためのものであり、屋外の光Lを開口部Oに向けて反射させる光反射手段10と、光反射手段10の上端11を支持する上端支持部材20と、光反射手段10の下端12を支持する下端支持部材30と、を備えている。
【0030】
光反射手段10は、
図1に示すように、屋外の光Lを反射させる反射面13を有している。本実施形態における光反射手段10の反射面13は平面視で矩形状を呈しており、その上端11は開口部Oから離隔するように配置される一方、その下端12は開口部Oの下端に近接するように配置されている。光反射手段10は、比較的軽量で可撓性を有する薄膜(例えばアルミニウム箔)からなり、自重で撓むことにより、
図1に示すように反射面13の断面形状が曲線状になるように構成されている。なお、光反射手段10を構成する薄膜としては、アルミニウム箔に限られるものではなく、例えば高反射型プリズムシート等を採用することもできる。
【0031】
光反射手段10の上端11を支持する上端支持部材20は、建物の外壁Wに取り付けられた図示されていないアームによって、開口部Oの上端から水平方向に所定寸法だけ離隔した位置に固定されている。一方、光反射手段10の下端12を支持する下端支持部材30は、地面に立てられた図示されていない支持棒によって、開口部Oの下端に近接した位置に固定されている。
【0032】
下端支持部材30には、光反射手段10を巻き取る巻取機構が設けられており、
図2に示すようにその巻取機構で光反射手段10を巻き取ることにより、光反射手段10に張力を加えて反射面13の断面形状を直線状とすることができる。一方、光反射手段10は、下端支持部材30の巻取機構による巻取りを緩めて張力を解除すると自重で撓み、
図1に示すように反射面13の断面形状が曲線状になるように構成されている。
【0033】
次に、本実施形態に係る採光装置1を用いた採光方法について説明する。
【0034】
採光装置1の光反射手段10の反射面13の拡散反射率が比較的小さい(鏡面反射率が比較的大きい)ときには、
図1に示すように、下端支持部材30の巻取機構による巻取りを緩めて光反射手段10を自重で撓ませ、反射面13の断面形状が曲線状になるようにする。一方、採光装置1の光反射手段10の反射面13の拡散反射率が比較的大きく(鏡面反射率が比較的小さく)なったときには、
図2に示すように、下端支持部材30の巻取機構で光反射手段10を巻き取ることにより、光反射手段10に張力を加えて反射面13の断面形状を直線状に近付けるようにする。このようにすると、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段10の反射面13の拡散反射率が増加した(拡散性が高くなった)場合にも良好な採光状態を得ることができる。
【0035】
以上説明した実施形態に係る採光装置1においては、光反射手段10の反射面13の上端11が建物の開口部Oから離隔する一方、反射面13の下端12が建物の開口部Oの下端に近接するように配置されており、かつ、光反射手段10が自重で撓むことにより反射面13の断面形状が曲線状になるように構成されているため、鉛直方向下方に向けて入射する屋外の光Lを、曲面状の反射面13で拡散させ(まぶしさを軽減させ)ながら反射させて開口部Oへと導くことができる。また、自重で撓むような比較的軽い材料で光反射手段10を構成するため、光反射手段10を建物で支持する際に用いる上端支持部材20を簡素化することができ、建物に対する負担を軽減することができるとともに、既存建物への取付け作業を容易にすることができる。
【0036】
また、以上説明した実施形態に係る採光装置1においては、光反射手段10が可撓性を有する薄膜で構成されるため、材料劣化による交換やメンテナンスが格段に容易となる。また、積雪時や強風時には光反射手段10を折り畳んで収納することも可能となる。
【0037】
また、以上説明した実施形態に係る採光装置1においては、光反射手段10の下端12を支持する下端支持部材30で光反射手段10を巻き取ることにより、光反射手段10に張力を加えて反射面13の断面形状を直線状とすることができる。一方、加えた張力を解除することにより、光反射手段10を自重で撓ませ反射面13の断面形状を曲線状とすることができる。すなわち、光反射手段10の下端支持部材30による巻取り操作を行うことにより、光反射手段10の断面形状を容易に変更することができる。従って、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段10の反射面13の拡散性が高くなった場合においても、光反射手段10に張力を加えて撓みを抑え反射面13の断面形状を直線状にすることにより、良好な採光状態を得ることができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、
図3を用いて、本発明の第二実施形態に係る採光装置1Aについて説明する。本実施形態に係る採光装置1Aは、第一実施形態に係る採光装置1の反射部材の構成を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、第一実施形態と共通する構成については、第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0039】
本実施形態に係る採光装置1Aは、
図3に示すように、屋外の光Lを、建物の外壁Wに設けられた開口部Oを介して屋内に採り込むためのものであり、屋外の光Lを開口部Oに向けて反射させる光反射手段10Aと、光反射手段10Aの上端11Aを支持する上端支持部材20と、光反射手段10Aの下端12Aを支持する下端支持部材30と、を備えている。上端支持部材20及び下端支持部材30は、第一実施形態におけるものと実質的に同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施形態における光反射手段10Aは、第一実施形態と同様に、屋外の光Lを反射させる反射面13Aを有している。反射面13Aは平面視で矩形状を呈しており、その上端11Aは開口部Oから離隔するように配置される一方、その下端12Aは開口部Oの下端に近接するように配置されている。光反射手段10Aは、比較的軽量で可撓性を有する薄膜(例えばアルミニウム箔)10aを複数枚積層して構成したものであり、第一実施形態と同様に自重で撓むことにより、反射面13Aの断面形状が曲線状になるように構成されている。光反射手段10Aを構成する薄膜10aは、表面側から一枚ずつ離脱可能とされている。
【0041】
以上説明した実施形態に係る採光装置1Aは、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態に係る採光装置1Aにおいては、可撓性を有する薄膜10aを複数枚積層して構成された光反射手段10Aを採用しており、薄膜10aは表面側から一枚ずつ離脱可能であるため、劣化した薄膜10aを離脱させて新たな薄膜10aを用いることができる。従って、材料交換に要する労力や費用を節減させることができる。
【0042】
<第三実施形態>
次に、
図4を用いて、本発明の第三実施形態に係る採光装置1Bについて説明する。本実施形態に係る採光装置1Bは、第一実施形態に係る採光装置1に新たな部材(中間支持部材40)を追加したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、第一実施形態と共通する構成については、第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0043】
本実施形態に係る採光装置1Bは、
図4に示すように、屋外の光Lを、建物の外壁Wに設けられた開口部Oを介して屋内に採り込むためのものであり、屋外の光Lを開口部Oに向けて反射させる光反射手段10と、光反射手段10の上端11を支持する上端支持部材20と、光反射手段10の下端12を支持する下端支持部材30と、光反射手段10の上端11と下端12の間にある中間部分14を支持する中間支持部材40と、を備えている。光反射手段10、上端支持部材20及び下端支持部材30は、第一実施形態におけるものと実質的に同一であるので、詳細な説明を省略する。
【0044】
中間支持部材40は、
図4に示すように、下方に撓んでいた光反射手段10の中間部分14を若干上方に押し上げた状態で支持するものである。本実施形態における中間支持部材40は、地面に立てられた図示されていない支持棒によって、地面から所定高さの位置に固定されている。なお、中間支持部材40を鉛直方向及び/又は水平方向に移動させるための移動機構を設けることもできる。このようにすると、光反射手段10の中間部分14の支持位置を変更することができるので、光反射手段10による光の拡散状態及び反射方向を制御することができる。さらに、中間支持部材40を複数設けてもよい。
【0045】
以上説明した実施形態に係る採光装置1Bは、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態に係る採光装置1Bにおいては、光反射手段10の上端11と下端12の間にある中間部分14を中間支持部材40によって支持することができるので、光反射手段10が比較的大きな面積を有していたり比較的柔らかい材料で構成されていたりすることに起因して光反射手段10の撓みが大きい場合においても、良好な採光状態を得ることができる。
【0046】
<第四実施形態>
次に、
図5及び
図6を用いて、本発明の第四実施形態に係る採光装置1Cについて説明する。本実施形態に係る採光装置1Cは、第一実施形態に係る採光装置1の光反射手段及び支持部材の構成を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、第一実施形態と共通する構成については、第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0047】
本実施形態に係る採光装置1Cは、
図5に示すように、屋外の光Lを、建物の外壁Wに設けられた開口部Oを介して屋内に採り込むためのものであり、屋外の光Lを開口部Oに向けて反射させる光反射手段10Cと、光反射手段10Cの上端11Cを支持する上端支持部材20Cと、光反射手段10Cの下端12Cを支持する下端支持部材30Cと、を備えている。
【0048】
本実施形態における光反射手段10Cは、第一実施形態と同様に、屋外の光Lを反射させる反射面13Cを有している。反射面13Cは平面視で矩形状を呈しており、その上端11Cは開口部Oから離隔するように配置される一方、その下端12Cは開口部Oの下端に近接するように配置されている。光反射手段10Cは、ヒンジ10Hで連結された複数枚の板状体10Pで構成されており、自重で変形して反射面13Cの断面形状が曲線状になるように構成されている。板状体10Pの材料としては、金属よりも軽量な合成樹脂等を採用することができる。この場合、合成樹脂製の板状体10Pの表面に鏡面加工を施して反射面13Cを形成するようにする。
【0049】
光反射手段10Cの上端11Cをヒンジ11Hを介して支持する上端支持部材20Cは、建物の外壁Wに取り付けられた伸縮、折畳み、回動自在なアーム50Cによって、開口部Oの上端から水平方向に所定寸法だけ離隔した位置に配置されている。上端支持部材20Cは、アーム50Cによって、外壁Wの近傍から下端支持部材30Cの近傍まで移動可能とされている。本実施形態においては、
図6に示すように、アーム50Cで上端支持部材20Cを下端支持部材30Cから遠ざけることにより、光反射手段10Cに張力を加えて反射面13Cの断面形状を直線状とすることができる。一方、上端支持部材20Cを
図5に示す位置に戻すことにより、光反射手段10Cに加えられていた張力を解除すると、光反射手段10Cは自重で変形し、反射面13Cの断面形状が曲線状になるように構成されている。
【0050】
光反射手段10Cの下端12Cをヒンジ12Hを介して支持する下端支持部材30Cは、地面に立てられた図示されていない支持棒によって、開口部Oの下端に近接した位置に固定されている。本実施形態における下端支持部材30Cには、光反射手段10Cを巻き取る巻取機構は設けられていない。
【0051】
以上説明した実施形態に係る採光装置1Cは、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態に係る採光装置1Cにおいては、光反射手段10Cがヒンジ10Hで連結された複数枚の板状体10Pで構成されるため、薄膜と比較すると風雨による光反射手段10Cの変形を抑制することができ、光反射手段10Cの形状の維持が容易となるという利点がある。また、積雪時や強風時には光反射手段10Cを折り畳んで収納することも可能となる。
【0052】
また、以上説明した実施形態に係る採光装置1Cにおいては、上端支持部材20Cを下端支持部材30Cから遠ざけることにより、光反射手段10Cに張力を加えて反射面13Cの断面形状を直線状とすることができる。一方、加えた張力を解除することにより、光反射手段10Cを自重で変形させ反射面13Cの断面形状を曲線状とすることができる。すなわち、上端支持部材20Cを移動させることにより、光反射手段10Cの断面形状を容易に変更することができる。従って、材料特性の経年変化や埃等の堆積に起因して光反射手段10Cの反射面13Cの拡散性が高くなった場合には、光反射手段10Cに張力を加えて変形を抑え反射面13Cの断面形状を直線状にすることにより、良好な採光状態を得ることができる。
【0053】
また、以上説明した実施形態に係る採光装置1Cにおいては、上端支持部材20Cがアーム50Cによって移動可能とされているため、光反射手段10Cの非使用時、積雪時、強風時等において、上端支持部材20Cを外壁Wの近傍(又は下端支持部材30Cの近傍)に移動させることにより、光反射手段10Cを外壁W付近に収納することができる。
【0054】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1・1A・1B・1C…採光装置
10・10A・10C…光反射手段
10a…薄膜
10H…ヒンジ
10P…板状体
11・11A・11C…上端
11H…ヒンジ
12・12A・12C…下端
12H…ヒンジ
13・13A・13C…反射面
14…中間部分
20・20C…上端支持部材
30・30C…下端支持部材
40…中間支持部材
L…屋外の光
O…開口部
W…外壁