特許 6446277 供給装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6446277

(24)【登録日】2018年12月7日

(45)【発行日】2018年12月26日

(54)【発明の名称】供給装置

(51)【国際特許分類】

   B05B 11/00 20060101AFI20181217BHJP

   B65D 85/00 20060101ALN20181217BHJP

【ＦＩ】

   B05B11/00 102E

   !B65D85/00 A

【請求項の数】5

【全頁数】12

(21)【出願番号】特願2015-9409(P2015-9409)

(22)【出願日】2015年1月21日

(65)【公開番号】特開2016-131946(P2016-131946A)

(43)【公開日】2016年7月25日

【審査請求日】2017年8月21日

(73)【特許権者】

【識別番号】000102544

【氏名又は名称】エステー株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100091867

【弁理士】

【氏名又は名称】藤田 アキラ

(74)【代理人】

【識別番号】100154612

【弁理士】

【氏名又は名称】今井 秀樹

(72)【発明者】

【氏名】岩澤 厚

(72)【発明者】

【氏名】浅村 健二

【審査官】 清水 晋治

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１４−２３３３１３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表２０１４−５３２４４５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１６−１０１９４７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−２３０７０９（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ０５Ｂ １１／００

Ｂ６５Ｄ ４７／３４

８３／００

８５／００−８５／２８

８５／５７５

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

本体に設けられたカートリッジのヘッドを押下する操作部が前記本体に操作可能に支持された供給装置において、
前記操作部を操作して前記本体への支持点を中心に回動し前記ヘッドを押下する際に、当該操作部と前記本体とが干渉する干渉構造を設定し、
該干渉構造を、前記操作部又は前記本体のいずれか一方に突設された干渉部と、前記操作部又は前記本体の他方に設けられ前記干渉部と干渉する被干渉部とで構成し、
前記操作部で前記ヘッドを押下する際に前記被干渉部が前記干渉部を乗り越えて該干渉部を通過する位置に当該干渉部を設けるとともに、
前記干渉部が設定された前記本体又は前記操作部より延出するとともに、厚み方向への撓みが許容された板状の舌片に前記干渉部を設けた供給装置。

【請求項2】

前記干渉部が設けられた前記一方に前記干渉部と対を成す規制部を離間して突設し、該規制部と前記干渉部との間に前記被干渉部を配置した状態で前記操作部を通常位置に保持する保持構造を設けた請求項１記載の供給装置。

【請求項3】

前記操作部が前記ヘッドを押下した際に前記操作部と前記本体とが当接して前記操作部のさらなる回動を阻止するストッパー構造を設けた請求項１又は２記載の供給装置。

【請求項4】

前記カートリッジからの薬剤の吐出口が視覚的に遮蔽され外部から視認できないように構成されている請求項１、２又は３記載の供給装置。

【請求項5】

前記ヘッド操作時に前記カートリッジから吐出した薬剤を含浸して揮散する含浸体を備えた請求項４記載の供給装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、例えば薬剤を供給する供給装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、室内や車内を芳香する際には、薬剤としての芳香剤を供給する供給装置が用いられている。
この供給装置としては、レバーやボタン等の操作部を操作して薬剤を送出するプッシュ式のものが知られている（例えば、特許文献１参照。）。

【0003】

このプッシュ式の供給装置は、カートリッジが装着された本体と、該本体に操作可能に支持された操作部とを備え、該操作部を押圧操作することによって、前記本体に設けられた前記カートリッジのヘッドを押下できるように構成されている。前記カートリッジは、前記ヘッドが押下された際に、前記カートリッジ内の薬剤を前記ヘッドの側面から吐出するように構成されており、この側面から吐出した薬剤を、当該ヘッドを包囲する含浸体に含浸させて揮散できるように構成されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特願２０１３−１１３８０３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、このようなプッシュ式の供給装置にあっては、薬剤が目に見える形で噴霧されることがない。
このため、使用者は、薬剤が吐出されたことに気づかず、吐出されないと誤認して何度も吐出操作を行ってしまうことがある。また、スプレー式の場合であっても、比較的暗く走行音が発生する例えば車内で使用する際には、薬剤の噴霧に気づかず、何度もスプレー操作する恐れがある。

【0006】

これらの場合、一回の操作により適量の薬剤を供給できるように設計されているにも拘わらず、多量の薬剤が消費され、使用回数が予定より少なくなる、含浸体に含浸しきれなかった過剰な薬剤が外部に漏れ出るという問題が発生し得る。

【0007】

本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、不要な操作の繰り返しを未然に防止することができる供給装置を提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

前記課題を解決するために本発明の請求項１の供給装置にあっては、本体に設けられたカートリッジのヘッドを押下する操作部が前記本体に操作可能に支持された供給装置において、前記操作部を操作して前記本体への支持点を中心に回動し前記ヘッドを押下する際に、当該操作部と前記本体とが干渉する干渉構造を設定し、該干渉構造を、前記操作部又は前記本体のいずれか一方に突設された干渉部と、前記操作部又は前記本体の他方に設けられ前記干渉部と干渉する被干渉部とで構成し、前記操作部で前記ヘッドを押下する際に前記被干渉部が前記干渉部を乗り越えて該干渉部を通過する位置に当該干渉部を設けるとともに、前記干渉部が設定された前記本体又は前記操作部より延出するとともに、厚み方向への撓みが許容された板状の舌片に前記干渉部を設けた。

【0009】

すなわち、本体に設けられた操作部を操作してカートリッジのヘッドを押下する際には、前記操作部が支持点を中心に回動する。
すると、干渉部を構成する被干渉部は、前記操作部又は前記本体の一方に突設された干渉部に乗り上げる。このとき、前記操作部には負荷がかかり、一時的にその操作が重くなる。

【0010】

そして、前記被干渉部は、前記干渉部を乗り越えて当該干渉部を通過する。すると、前記操作部に加わった負荷が解放され、当該操作部の操作が軽くなる。
このように、前記操作部を操作する際には、当該操作部の操作が重くなった後、軽くなることで、操作時のクリック感が得られる。

【0011】

操作部を操作する際には、被干渉部が干渉部を乗り越える。このとき、この前記干渉部は、当該干渉部が設定された本体又は操作部より延出した板状の舌片に設けられている。

【0012】

このため、前記被干渉部が前記干渉部を乗り越える際には、前記舌片が撓むことによって、前記干渉部の後退が許容される。
さらに、請求項２の供給装置では、前記干渉部が設けられた前記一方に前記干渉部と対を成す規制部を離間して突設し、該規制部と前記干渉部との間に前記被干渉部を配置した状態で前記操作部を通常位置に保持する保持構造を設けた。

【0013】

すなわち、干渉部が設けられた操作部又は本体のいずれか一方には、前記干渉部と対を成す規制部が離間して突設されており、該規制部と前記干渉部との間に被干渉部を配置した状態で、当該被干渉部の前記干渉部又は前記規制部を乗り越えた移動を阻止することができる。

【0014】

これにより、前記操作部を所定の通常位置に保持することができるので、当該操作部の不用意な回動が防止される。
加えて、請求項３の供給装置にあっては、前記操作部が前記ヘッドを押下した際に前記操作部と前記本体とが当接して前記操作部のさらなる回動を阻止するストッパー構造を設けた。

【0015】

すなわち、操作部を操作してカートリッジのヘッドを押下した際には、前記操作部が本体に当接する。これにより、当該操作部のさらなる回動を阻止することができる。
このため、前記操作部を強く押圧するなどの操作した場合であっても、当該操作部がカートリッジのヘッドを必要以上に押下するといった状態が阻止される。

【0016】

また、請求項４の供給装置においては、前記カートリッジからの薬剤の吐出口が視覚的に遮蔽され外部から視認できないように構成されている。
すなわち、薬剤の吐出口は視覚的に遮蔽されており、外部から視認することができない。

【0017】

このため、薬剤の吐出状態を視覚的に確認できない場合であっても、操作部を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認が行われる。
さらに、請求項６の供給装置においては、前記ヘッド操作時に前記カートリッジから吐出した薬剤を含浸して揮散する含浸体を備えた。

【0018】

すなわち、ヘッド操作時にカートリッジから吐出した薬剤は、含浸体に含浸された後、揮散される。
このため、スプレー式のように、スプレー音を聴覚で確認したり、薬剤等の噴霧状態を視覚で確認できない場合であっても、操作部を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認が行われる。

【発明の効果】

【0019】

以上説明したように本発明の請求項１の供給装置にあっては、本体に設けられた操作部を操作してカートリッジのヘッドを押下する際に、干渉構造を構成する被干渉部が干渉部に乗り上げた後、該干渉部を乗り越えて通過する。これにより、前記操作部の操作が重くなった後、軽くなるので、操作時のクリック感を得ることができる。

【0020】

このため、前記カートリッジから薬剤等が目に見える形で噴霧されない場合であっても、前記カートリッジから薬剤等が送出されたことを認識することができる。したがって、不必要な操作の繰り返しを未然に防止することができる。

【0021】

また、これにより薬剤等が送出されたことに気づかず、吐出されないと誤認して何度も操作を繰り返してしまうことを防止することができるので、何度も操作部の操作を繰り返してしまい、多量の薬剤等を送出してしまう恐れがある場合と比較して、使用回数が予定より少なくなる、含浸体に含浸しきれなかった過剰な薬剤が外部に漏れ出るという問題を解決することができる。

【0022】

また、本体又は操作部より延出した板状の舌片に干渉部が設けられており、被干渉部が前記干渉部を乗り越える際には、前記舌片が撓むことによって前記干渉部が後退することができる。

【0023】

このため、前記干渉部が前記本体又は前記操作部の一般部に設けられ、その位置が固定された場合と比較して、前記被干渉部が前記干渉部を乗り越える際の操作力が小さく済み、操作部の操作性が向上する。

【0024】

さらに、請求項２の供給装置では、干渉部が設けられた操作部又は本体のいずれか一方に前記干渉部と対を成す規制部を離間して突設することで、該規制部と前記干渉部との間に被干渉部を配置した状態で、当該被干渉部の前記干渉部又は前記規制部を乗り越えた移動を阻止することができる。

【0025】

これにより、前記操作部を所定の通常位置に保持することができるので、当該操作部の不用意な回動や、回動に伴うがたつきを防止することができる。
加えて、請求項３の供給装置にあっては、操作部を操作してカートリッジのヘッドを押下した際には、前記操作部が本体に当接することで、当該操作部のさらなる回動を阻止することができる。

【0026】

このため、前記操作部を強く押圧するなどの操作した場合であっても、当該操作部が前記カートリッジの前記ヘッドを必要以上に押下するといった状態を確実に防止することができる。

【0027】

また、請求項４の供給装置においては、薬剤の吐出口は視覚的に遮蔽されており、外部から視認することができない。
このため、薬剤の吐出状態を視覚的に確認できない場合であっても、操作部を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認をおこなうことができる。

【0028】

これにより、前述した効果が顕著となる。
さらに、請求項５の供給装置においては、ヘッド操作時にカートリッジから吐出した薬剤を含浸して揮散する含浸体を備えており、吐出した薬剤を、含浸体に含浸させた後、時間をかけてゆっくりと長期に渡って揮散させることができる。

【0029】

また、吐出した薬剤を、含浸体に含浸させた後、揮散されるため、スプレー式のように、スプレー音を聴覚で確認したり、薬剤等の噴霧状態を視覚で確認できない場合であっても、操作部を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認を行うことができる。

【0030】

したがって、前述した効果が顕著となる。

【図面の簡単な説明】

【0031】

【図1】本発明の一実施の形態を示す透明図である。

【図2】同実施の形態の装置本体を示す断面図である。

【図3】同実施の形態の操作部を示す断面図である。

【図4】同実施の形態の装置本体と操作部との関係を示す断面図である。

【図5】同実施の形態の操作部を操作した状態を示す断面図である。

【図6】同実施の形態の操作部を操作した状態を示す側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0032】

以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
図１は、本実施の形態にかかる供給装置１を示す図であり、該供給装置１は自動車のエアコンの吹き出し口に取り付けられ車室内に芳香剤を揮散して供給するものである。なお、本実施の形態では、芳香剤を供給する場合を例に挙げて説明するが、消臭剤や殺虫剤、忌避剤、除菌剤等を供給するものであっても良い。

【0033】

この供給装置１は、装置本体１１と、該装置本体１１に取り付けられるカートリッジ１２と、前記装置本体１１に支持された操作部１３とによって構成されている。
前記カートリッジ１２は、液状の芳香剤２１が収容された容器体２２と、該容器体２２の口部に取り付けられたヘッド２３とを備えてなり、該ヘッド２３からは、前記容器体２２内へ向けて吸い上げ部２４が延出している。前記ヘッド２３は、下方へ向けて押下できるように構成されており、当該ヘッド２３を押下した際に前記容器体２２内の芳香剤２１を前記吸い上げ部２４より吸い上げて、当該ヘッド２３の側面に設けられた吐出穴２５，２５から吐出できるように構成されている。また、押下された前記ヘッド２３は、その操作力が解除された際に、内蔵するスプリングのバネ力によって元の位置へ復帰するように構成されている。

【0034】

前記ヘッド２３には、円筒状の含浸体３１が設けられており、前記ヘッド２３は、その周面が前記含浸体３１によって包囲されている。これにより、前記吐出口２５，２５が視覚的に遮蔽され外部から視認できないように構成されている。

【0035】

ここで、本実施の形態では、前記吐出口２５，２５が前記含浸体３１で包囲されることによって視覚的に遮蔽され外部から視認できないように構成された場合を例に挙げて説明するが、この構成に限定されるものでは無く、例えば前記吐出口２５，２５がカバーで覆われるなどして視覚的に遮蔽され外部から視認できないように構成された場合であっても良い。
この含浸体３１は、前記吐出穴２５，２５から吐出された芳香剤２１を含浸できるように構成されており、その含浸量は、前記ヘッド２３を複数回押下した際に前記吐出穴２５，２５から吐出される芳香剤２１を十分に保持できるように設計されている。

【0036】

これにより、前記ヘッド２３を押下した際には、吐出された芳香剤２１を前記含浸体３１に含浸させた後、自然揮散させるとともに、エアコン作動中には、エアコンからの風によって含浸した芳香剤２１をゆっくりと所定時間にわたって揮散できるように構成されている。

【0037】

前記装置本体１１は、図１及び図２に示すように、背面４１と該背面４１の両側縁より前方へ向けて延出した後側側面４２（一方のみ図示）とによって水平断面コ字状に形成されており、前記背面４１の取付穴４３には、クリップ４４の係合軸４５が挿入された状態で回動可能に固定されている（図１参照）。該クリップ４４は、その先端部が二股に分かれており、自動車のエアコンの吹き出し口に設けられたルーバーを挟持した状態で当該供給装置１を吹き出し口に取り付けられるように構成されている。

【0038】

前記装置本体１１の前記後側側面４２は、その前縁が中途部から上方へ向かうに従って前記背面４１側へ後退するように形成されており、各後側側面４２の上部には、傾斜部５１が設定されている（図２参照）。前記背面４１の下縁と前記両後側側面４２の下縁とは底面５２で連設されており、当該底面５２には、円形の装着穴５３が形成されている。該装着穴５３は、その一部が前記底面５２の前方へ向けて開口しており、この開口部分から前記カートリッジ１２の口部を挿入することで、当該カートリッジ１２を交換可能に取り付けられるように構成されている。

【0039】

前記背面４１には、図２に示したように、後方へ向けて突出した一対の縦リブ６１が上下に延設されており（一方のみ図示）、両縦リブ６１は、離間して設けられるとともに、前記背面４１の中央部に配置されている。両縦リブ６１の上端部には、円形の軸支穴６２が設けられており、各軸支穴６２は、その一部が後方へ向けて開口し、軸の装着が可能とされている。

【0040】

前記両縦リブ６１の上縁には、両縦リブ６１を連設する連設部７１が設けられており、該連設部７１は、前方へ向けて延出している。この連設部７１の両縁は（一方のみ図示）、三角形状の補強部７２を介して対応する縦リブ６１に連設されており、前記連設部７１は、前記各補強部７２によって各縦リブ６１に支持されている。

【0041】

前記連設部７１の前端からは、下方へ向けて舌片８１が延出している。該舌片８１は、板状に形成されており、厚み方向への撓みが許容されている。この舌片８１の上部には、前方へ向けて突出するとともに横幅方向に延在する本体側上突条８２が設けられており、該本体側上突条８２の下部には、前方へ向けて突出するとともに前記本体側上突条８２に並行して横幅方向に延在する本体側下突条８３が設けられている。前記本体側上突条８２と前記本体側下突条８３とは、離間して設けられており、両者８２，８３間には、保持領域８４が確保されている。

【0042】

前記操作部１３は、図１に示したように、前記供給装置１の前側を構成する前面１０１と、該前面１０１の上縁より後方へ延出した天面１０２と、該天面１０２の各側縁と前記前面１０１の各側縁とを連設する前側側面１０３（一方のみ図示）とによって構成されている。各前側側面１０３は、三角形状に形成されており、その下縁は、中心部が内側に後退した緩やかな円弧状に形成されている。これにより、前記各前側側面１０３の下縁上部側には、前記装置本体１１の前記後側側面４２における前記傾斜部５１と対向する対向部１０４が設定されている。

【0043】

前記天面１０２の後縁には、図３に示すように、後方へ向けて開口した矩形状の切欠部１１１が設けられており、前記装置本体１１の前記連設部７１を挿通できる大きさに形成されている（図１参照）。前記各前側側面１０３間には、円柱状の回転軸１１２が架橋されており、該回転軸１１２は、前記装置本体１１の前記軸支穴６２に回動自在に係止できるように構成されている（図２参照）。

【0044】

これにより、前記回転軸１１２を前記軸支穴６２に係合することで、前記操作部１３は、前記装置本体１１に支持されるように構成されており、前記回転軸１１２を支持点１２１として回動できるように構成されている。

【0045】

前記操作部１３の前記天面１０２には、図１、図４及び図５に示したように、前記切欠部１１１の前縁部側に下方へ延出するプッシャー１３１が設けられており、該プッシャー１３１は、当該天面１０２の幅方向中央部に配置されている。前記プッシャー１３１は、三角板状に形成されており、下方側へ突出した頂点部分の縁部は、円弧状に形成されている。

【0046】

これにより、前記操作部１３の前記前面１０１を指で押圧操作した際には、当該操作部１３が前記支持点１２１を中心に回動することで、図５に示したように、前記プッシャー１３１が下動し、前記装置本体１１に装着された前記カートリッジ１２の前記ヘッド２３を押下して前記芳香剤２１を吐出できるように構成されている。

【0047】

前記プッシャー１３１の基端部には、図３に示したように、後方へ向けて延出する延出板１４１が一体形成されており、該延出板１４１の先端は、前記切欠部１１１の開口縁より突出するように構成されている。これにより、当該操作部１３には、操作側突条１４２が設けられている。

【0048】

この操作側突条１４２は、図４から図５に示すように、前記操作部１３を操作して前記支持点１２１を中心に回動し前記ヘッド２３を押下する際に、前記操作部１３の前記操作側突条１４２と前記装置本体１１の前記本体側下突条８３とが干渉するように構成されており、本発明の干渉構造が形成されている。

【0049】

ここで、本実施の形態では、前記操作部１３の前記操作側突条１４２と前記装置本体１１の前記本体側下突条８３とによって干渉構造を構成する場合に説明したが、これに限定されるものでは無く、例えば前記操作部１３側では、前記切欠部１１１の開口縁部が前記装置本体１１の前記本体側下突条８３と干渉するように構成しても良く、前記操作部１３又は前記装置本体１１の少なくともいずれか一方に突設された干渉部を設け、前記干渉部と干渉する被干渉部を前記操作部１３又は前記装置本体１１の他方に設けることで、本発明の干渉構造を構成しても良い。

【0050】

前記装置本体１１の前記本体側下突条８３を本発明の干渉部とするとともに、前記操作部１３の前記操作側突条１４２を本発明の被干渉部とした場合、図４から図５に示したように、前記操作部１３で前記ヘッド２３を押下する際には、前記操作部１３の前記操作側突条１４２が、前記装置本体１１の前記本体側下突条８３を乗り越えて、該本体側下突条８３を通過するような位置に当該本体側下突条８３が配置されている。

【0051】

このヘッド押下状態において、図６に示すように、前記操作部１３の前記前側側面１０３に設定された前記対向部１０４が前記装置本体１１の前記後側側面４２に設定された傾斜部５１と当接するように構成されており、前記操作部１３のさらなる回動を阻止できるように構成されている。これにより、本発明のストッパー構造が形成されている。

【0052】

一方、前記操作部１３の前記回転軸１１２を前記装置本体１１の前記軸支穴６２に係合して当該操作部１３を取り付けた際には、該操作部１３を回動して前記装置本体１１に装着された前記カートリッジ１２を前記操作部１３で覆い隠す。

【0053】

このとき、図４に示したように、前記操作部１３の前記操作側突条１４２が、前記装置本体１１の前記本体側上突条８２を乗り越えて該本体側上突条８２を通過する。そして、この操作側突条１４２は、前記本体側上突条８２と前記本体側下突条８３との間の保持領域８４に配置された状態で移動が規制される。これにより、前記装置本体１１に対する前記操作部１３の位置が定まるので、当該操作部１３を、前記ヘッド２３の押下を行わない通常位置１５１に保持することができ（図１及び図４参照）、本発明の保持構造が形成される。

【0054】

以上の構成にかかる本実施において、装置本体１１に設けられた操作部１３の前面１０１を押圧操作してカートリッジ１２のヘッド２３の押下を開始すると前記操作部１３が支持点１２１を中心に回動する。

【0055】

すると、前記操作部１３の前記操作側突条１４２が、前記装置本体１１の前記本体側下突条８３に乗り上げる。このとき、前記操作部１３には負荷がかかり、一時的にその操作が重くなる。

【0056】

そして、前記操作部１３の前記操作側突条１４２は、前記装置本体１１の前記本体側下突条８３を乗り越えて当該本体側下突条８３を通過する。すると、前記操作部１３に加わった負荷が解放され、当該操作部１３の操作が軽くなる。

【0057】

このように、前記操作部１３を操作する際には、当該操作部１３の操作が重くなった後、軽くなることで、操作時のクリック感を得ることができる。
このため、前記カートリッジ１２から芳香剤２１が目に見える形で噴霧されない場合であっても、前記カートリッジ１２から芳香剤２１が吐出されたことを認識することができる。したがって、不必要な操作部１３の操作の繰り返しを未然に防止することができる。

【0058】

また、これにより芳香剤２１が吐出されたことに気づかず、吐出されないと誤認して何度も繰り返して操作することを防止できるので、前記操作部１３の繰り返し操作により多量の芳香剤２１が吐出してしまう恐れのある場合と比較して、使用回数が予定より少なくなる、含浸体に含浸しきれなかった過剰な薬剤が外部に漏れ出るという問題を解消することができる。

【0059】

このとき、前記本体側下突条８３は、前記装置本体１１の連設部７１より延出した舌片８１に設けられており、前記操作部１３の前記操作側突条１４２が前記装置本体１１の前記本体側下突条８３を乗り越える際には、前記舌片８１が厚み方向に撓むことによって、前記本体側下突条８３の後退を許容することができる。

【0060】

このため、前記本体側下突条８３が前記装置本体１１の一般部に設けられ、その位置が固定された場合と比較して、前記操作側突条１４２が前記本体側下突条８３を乗り越える際の操作力を小さくすることができる。これにより、前記操作部１３の操作性が向上するとともに、回転軸に加わる負担を減少することができる。

【0061】

そして、ヘッド押下状態において、前記操作部１３の前記前側側面１０３に設定された前記対向部１０４は、前記装置本体１１の前記後側側面４２に設定された傾斜部５１と当接するように構成されており、このストッパー機能によって前記操作部１３のさらなる回動を阻止することができる。

【0062】

このため、前記操作部１３を強く押圧するなどの操作した場合であっても、当該操作部１３が前記カートリッジ１２の前記ヘッド２３を必要以上に押下するといった状態を確実に防止することができ、カートリッジ１２を保護することができる。

【0063】

一方、前記装置本体１１の前記舌片８１には、本体側上突条８２と前記本体側下突条８３が離間して設けられており、両者８２，８３間の保持領域８４には、前記操作部１３の前記操作側突条１４２を配置することができる。この状態において、該操作側突条１４２は、前記本体側上突条８２及び前記本体側下突条８３を乗り越えた移動が阻止される。

【0064】

これにより、前記操作部１３を所定の通常位置１５１に保持することができるので、当該操作部１３の不用意な回動や開放及び回動に伴うがたつきを防止することができる。

【0065】

そして、前記ヘッド２３は含浸体３１で包囲されており、前記ヘッド２３に開設された吐出口２５，２５は、視覚的に遮蔽され外部から視認することができない。
このため、前記芳香剤２１の吐出状態を視覚的に確認できない場合であっても、前記操作部１３を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認をおこなうことができる。

【0066】

これにより、前述した効果が顕著となる。
さらに、本実施の形態では、ヘッド操作時に前記カートリッジ１２から吐出した芳香剤２１を含浸して揮散する含浸体３１が前記ヘッド２３を包囲するように設けられており、該ヘッド２３から吐出した芳香剤２１は、前記含浸体３１に含浸された後、揮散される。

【0067】

このため、前記ヘッド２３から吐出した芳香剤２１を、前記含浸体３１に保持しつつ、時間をかけてゆっくりと長期に渡って揮散させることができる。これにより、暖気や冷気が吹き付けられるエアコンの吹き出し口での使用に適している。

【0068】

また、前記芳香剤２１を前記含浸体３１に含浸させた後、揮散されるため、スプレー式のように、スプレー音を聴覚で確認したり、芳香剤２１の噴霧状態を視覚で確認できない場合であっても、前記操作部１３を操作する際に得られるクリック感により、操作の確認を行うことができる。

【0069】

したがって、本実施の形態にあっては、前述した効果が顕著となる。
なお、本実施の形態にあっては、芳香剤２１を含浸体３１に含浸させた後に揮散する場合を例に挙げたが、この構造に限定されるもので無く、例えば薬剤が噴霧されるスプレー式の場合であっても、騒音によりスプレー音が聞こえなかったり、暗いため噴霧状態を目視できない場合であっても、操作時のクリック感により、操作の確認を行えるので、前述した効果を得ることができる。

【符号の説明】

【0070】

１ 供給装置
１１ 装置本体
１２ カートリッジ
１３ 操作部
２３ ヘッド
３１ 含浸体
５１ 傾斜部
８１ 舌片
８２ 本体側上突条
８３ 本体側下突条
１０４ 対向部
１２１ 支持点
１４２ 操作側突条
１５１ 通常位置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】