特許第6446303号(P6446303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446303
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】無線通信装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/08 20090101AFI20181217BHJP
   H04W 36/38 20090101ALI20181217BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20181217BHJP
【FI】
   H04W36/08
   H04W36/38
   H04W16/28
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-56691(P2015-56691)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-178452(P2016-178452A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年10月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省、ミリ波帯における高度多重化干渉制御技術等に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−531852(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/142199(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/112419(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線端末と接続する無線通信装置であって、
前記少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する通信処理部と、
前記接続された少なくとも1つの無線端末以外の無線端末である他の無線端末のうち、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されており自無線通信装置に接続されていない他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得する情報共有部と、
取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定する切替決定部と、
前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替える接続切替部と、を有
前記他無線通信装置の接続情報は、前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末の個数、および、前記他無線通信装置と前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末との間の無線通信の品質、のうち少なくとも1つを含む、
無線通信装置であり、
前記他無線通信装置が、前記他の無線端末および前記接続された少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続した場合において、
前記接続切替部は、
前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末に対するビームフォーミングプロトコルを、前記他無線通信装置に実施させ、当該ビームフォーミングプロトコルが成功した後に、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を前記他無線通信装置へ切り替える、
無線通信装置。
【請求項2】
前記情報共有部は、
更に、前記通信処理部における前記少なくとも1つの無線端末の接続状況を示す前記自無線通信装置の接続情報を取得し、
前記切替決定部は、
更に、取得された前記自無線通信装置の接続情報に基づき、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
記自無線通信装置の接続情報は、前記接続された少なくとも1つの無線端末の個数、および、前記通信処理部と前記接続されている少なくとも1つの無線端末毎との間の少なくとも1つの無線通信の品質、のうち少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記情報共有部は、更に、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である第2の他無線通信装置に接続されており前記自無線通信装置に接続されていない第2の他の無線端末の接続状況を示す第2の他無線通信装置の接続情報を取得し、
前記他無線通信装置の接続情報は、前記他の無線端末の個数である接続端末数を含み、
前記第2の他無線通信装置の接続情報は、前記第2の他の無線端末の個数である第2接続端末数を含み、
前記切替決定部は、
前記他無線通信装置および前記第2の他無線通信装置のうち、前記接続端末数及び前記第2接続端末数の値が、より少ない他無線通信装置を前記再接続先として決定する、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記情報共有部は、
前記自無線通信装置の接続情報として、前記通信処理部と前記接続された少なくとも1つの無線端末毎との間の無線通信の品質を含み、
前記切替決定部は、
複数の前記無線端末が前記通信処理部に接続されている場合、前記複数の無線端末のうち、前記無線通信の品質が最も低い前記無線端末を、前記他無線通信装置に再接続する無線端末として決定する、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記情報共有部は、
取得された前記自無線通信装置の接続情報を、前記他無線通信装置へ送信する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項7】
少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する無線通信装置における通信制御方法であって、
前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されており自無線通信装置に接続されていない他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得するステップと、
取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定するステップと、
前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるステップと、を有
前記他無線通信装置の接続情報は、前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末の個数、および、前記他無線通信装置と前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末との間の無線通信の品質、のうち少なくとも1つを含む、
通信制御方法であり、
前記他無線通信装置が、前記他の無線端末および前記接続された少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続した場合において、
前記切り替えるステップは、
前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末に対するビームフォーミングプロトコルを、前記他無線通信装置に実施させ、当該ビームフォーミングプロトコルが成功した後に、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を前記他無線通信装置へ切り替える、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信ネットワークへの複数のアクセスポイントの1つとして、ビームフォーミングにより無線端末を無線接続する無線通信装置、および、かかる無線通信装置における通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、免許が不要であって高速通信が可能な、60GHz帯の無線信号を使用するミリ波通信が注目されている。
【0003】
ミリ波通信を採用した主要な無線LAN(Local Area Network)/無線PAN(Personal Area Network)規格としては、WiGig(Wireless Gigabit)、IEEE802.15.3c、Wireless HD(High Definition)、ECMA−387、IEEE802.11ad規格等が挙げられる。
【0004】
ミリ波帯の信号は、直線性が強く空間減衰が大きいという電波特性を有する。このため、上記規格を含む多くのミリ波通信では、複数のアンテナを用いて無線通信の指向性を制御するビームフォーミング技術が用いられている。
【0005】
ミリ波通信装置は、指向性の高い通信領域であるビームの方向や幅を制御し、ビームを通信相手である無線端末の位置に追従させる。また、ミリ波通信装置は、ビームを形成することができる範囲(以下「セル」という)に複数の無線端末が存在している場合、ビームの方向を時間分割で切り替えることにより、複数の無線端末を接続する。
【0006】
ミリ波通信装置は、インターネット等の通信ネットワークへの無線アクセスポイントに適用することも可能である。ところが、この場合、複数のセル間における無線端末のハンドオーバ(接続先の切り替え)をどのように行うかが問題となる。
【0007】
無指向性通信において高速ローミングを実現するための技術は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の技術(以下「従来技術」という)において、各アクセスポイントは、当該アクセスポイントに接続している無線端末に対し、周辺に存在する他のアクセスポイントに関する情報(使用している無線チャネル、BSSID、ESSID)を報知する。無線端末は、報知された情報に基づいて、他のアクセスポイントにローミングする際に、スキャンする無線チャネルを絞り込む。
【0008】
このような従来技術によれば、アクセスポイントへの再接続に要する時間を短縮することができ、ハンドオーバを高速に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−4225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、多数の無線端末が存在している場合、通信ネットワーク全体の通信エリアの内部で、局所的に無線端末が密集しているエリアが発生し得る。すると、無線端末が密集しているエリアの近くのアクセスポイントに掛かる負荷が高くなり、当該アクセスポイントに接続する無線端末の通信品質は低下する。更に、ミリ波通信の場合、セルの内部のある方向において無線端末が密集していると、その方向のビームにおいて周波数分割等による通信の多重化が必要となり、通信品質が更に低下し得る。
【0011】
このような状況において無線端末の接続先を切り替えたとしても、切替先のアクセスポイントにより多くの無線端末が接続していたり、切替先のビームをより多くの無線端末が使用している可能性がある。すなわち、従来技術は、特に複数のアクセスポイントでミリ波通信が行われる場合において、無線端末が局所的に密集したときに通信品質が著しく低下し得るという課題を有する。
【0012】
本開示の目的は、複数のアクセスポイントでミリ波通信が行われる場合において、無線端末が局所的に密集したとしても通信品質の低下をできるだけ防ぐことができる無線通信装置および通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の無線通信装置は、少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する通信処理部と、前記接続された少なくとも1つの無線端末以外の無線端末である他の無線端末のうち、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されている他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得する情報共有部と、取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定する切替決定部と、前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替える接続切替部と、を有する。
【0014】
本開示の通信制御方法は、少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する無線通信装置における通信制御方法であって、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されている他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得するステップと、取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定するステップと、前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、複数のアクセスポイントでミリ波通信が行われる場合において、無線端末が局所的に密集したとしても通信品質の低下をできるだけ防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施の形態に係る無線通信装置を含む通信システムの構成の一例を示すシステム構成図
図2】本実施の形態に係る通信装置が形成するビームパターンの一例を示す図
図3】本実施の形態に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図
図4】本実施の形態におけるTXSSの様子の一例を示す図
図5】本実施の形態におけるRXSSの様子の一例を示す図
図6】本実施の形態における端末管理テーブルの内容の一例を示す図
図7】本実施の形態における統合された端末管理テーブルの内容の一例を示す図
図8】本実施の形態に係る無線通信装置の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
<システムの構成>
まず、本開示の一実施の形態に係る無線通信装置の構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る無線通信装置を含む通信システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
【0020】
図1に示すように、通信システム100は、インターネット等の通信ネットワーク200と、通信ネットワーク200に接続された第1〜第3の無線通信装置300〜300と、第1〜第5の無線端末400〜400とを有する。
【0021】
なお、第1〜第3の無線通信装置300〜300は、同一の構成を有するため、適宜、「無線通信装置300」として纏めて説明する。また、第1〜第5の無線端末400〜400は、同一の構成を有するため、適宜、「無線端末400」として纏めて説明する。
【0022】
無線通信装置300および無線端末400は、ミリ波通信規格であるWiGigに対応した通信装置である。無線通信装置300は、通信ネットワーク200への無線端末400のアクセスポイントとして機能する。より具体的には、無線通信装置300は、無線端末400との間でビームフォーミングによる無線通信を行うことにより当該無線端末400を接続し、当該無線端末400と通信ネットワーク200との間でデータの転送を行う。すなわち、第1〜第3の無線通信装置300〜300は、全体として、第1〜第5の無線端末400〜400の通信ネットワーク200へのアクセスを管理する。
【0023】
ここでは、第1の無線通信装置300が第1〜第3の無線端末400〜400を接続し、第2の無線通信装置300がいずれの無線通信装置300も接続せず、第3の無線通信装置300が第4および第5の無線端末400、400を接続している状態を示している。
【0024】
第1〜第3の無線通信装置300〜300および第1〜第5の無線端末400〜400は、例えば、同一の無線チャネルを使用している。また、第1〜第3の無線通信装置300〜300および第1〜第5の無線端末400〜400(以下、適宜「通信装置」と総称する)は、例えば、同一の複数のビームパターンの間で、形成するビームパターンを切り替えることができるように構成されている。ここで、ビームパターンとは、通信装置が一時に形成することができる通信エリアの大きさおよび形状であり、例えば、ビーム方向およびビーム半値角(ビーム幅)により定義される。
【0025】
図2は、各通信装置300、400が形成するビームパターンの一例を示す図である。
【0026】
図2に示すように、通信装置300、400は、アレーアンテナ等により、第0〜第5のビームパターン511〜511の間で、形成するビームを切り替える。ここで、ビームとは、無線信号の送受信が可能な範囲をいい、例えば、アレーアンテナの送受信を制御することにより形成される。第0のビームパターンは、無指向性のビームパターンである。第1〜第5のビームパターン511〜511は、それぞれビーム方向が異なる、指向性の高いビームパターンである。
【0027】
例えば、通信装置300、400は、通信相手の位置が第1のビームパターン511の内側にあるとき、第1のビームパターン511を形成することにより、当該通信相手との無線通信を行う。
【0028】
どのビームパターンが通信相手との無線通信に最適であるかは、初期状態において未知である。したがって、通信装置300、400は、ビームフォーミングプロトコルを実施することにより、通信相手毎に使用可能なビームパターンを判定し、当該通信相手との無線通信に使用するビームパターンを決定する。ビームフォーミングプロトコルの詳細については、後述する。
【0029】
なお、通信装置300、400は、送信時のビームパターン(送信セクタ)と受信時のビームパターン(受信セクタ)とで、同じビームパターンを使用してもよいし、異なるビームパターンを使用してもよい。
【0030】
以下の説明において、適宜、第1〜第3の無線通信装置300〜300の識別情報として、AP1〜AP3を用い、第1〜第5の無線端末400〜400の識別情報として、STA1〜STA5を用いる。また、第0〜第5のビームパターン511〜511は、適宜、セクタ0〜セクタ5と表現する。
【0031】
また、少なくとも、第1の無線通信装置300のセルは、第2の無線通信装置300のセル、および、第3の無線通信装置300のセルのそれぞれと、少なくとも一部が重なっているものとする。
【0032】
<装置の構成>
次に、無線通信装置300の構成について説明する。
【0033】
図3は、無線通信装置300の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図3において、無線通信装置(自無線通信装置)300は、通信処理部310、情報共有部320、切替決定部330、および接続切替部340を有する。
【0035】
通信処理部310は、アレーアンテナ311を用いてビームフォーミングを行い、無線端末400との間で無線通信を行うことにより、当該無線端末400を接続する。より具体的には、通信処理部310は、WiGigで規定されるビームフォーミングプロトコルであるSLS(Sector Level Sweep)を行い、どの無線端末400をどのビームパターン511(図2参照)を使用して接続するかを決定する。
【0036】
そして、通信処理部310は、どの無線端末400をどのビームパターン511を使用して接続するか、および、当該無線端末400との間の無線通信の品質を示す自装置情報を、情報共有部320へ出力する。自装置情報は、つまり、通信処理部310における無線端末400の接続状況を示す情報(接続情報)である。
【0037】
また、通信処理部310は、ネットワーク側通信部(図示せず)を用いて通信ネットワーク200に接続し、接続されている無線端末400と通信ネットワーク200との間でデータの転送を行う。すなわち、通信処理部310は、無線端末400に対する通信ネットワーク200への複数のアクセスポイントの1つとして機能する。
【0038】
また、通信処理部310は、他の無線通信装置(他無線通信装置。以下、適宜「他装置」という)300と、無線通信あるいは有線通信を行う。かかる通信は、アレーアンテナ311を用いたミリ波通信であってもよいし、ネットワーク側通信部を用いたEthernet(登録商標)、光ファイバー、あるいは無線LAN等であってもよいし、他の通信デバイスを用いた可視光通信等であってもよい。
【0039】
更に、通信処理部310は、他装置300から、成りすましSLSの実行を指示されたとき、当該指示に従って、他装置300に接続している無線端末400に対し、成りすましSLSを実行する。そして、通信処理部310は、成りすましSLSの結果を、上記指示を行った無線通信装置300へ報告する。
【0040】
ここで、成りすましSLSとは、上記指示を行った無線通信装置300の通信処理部310に成りすまして、WiGigで規定されるビームフォーミングプロトコルであるSLSを行う処理である。
【0041】
情報共有部320は、通信処理部310から出力される自装置情報を取得して記録すると共に、取得した自装置情報を、通信処理部310を介して他装置300へ送信する。
【0042】
また、情報共有部320は、通信処理部310を介して、他装置300から、他装置300における無線端末400の接続状況を示す他装置情報を取得すると共に、取得した他装置情報を記録する。
【0043】
自装置情報および他装置情報は、いずれも、いずれかの無線通信装置300における無線端末400の接続状況を示す情報(接続情報)である。したがって、自装置情報および他装置情報は、適宜、「装置情報」と総称する。また、情報共有部320は、装置情報を、例えば、情報共有部320が格納する端末管理テーブルに記録する。端末管理テーブルの詳細については、後述する。
【0044】
切替決定部330は、情報共有部320が記録している自装置情報および他装置情報に基づいて、通信処理部310が接続している無線端末(以下、適宜「接続中端末」という)400の接続先を、通信処理部310から他装置300へ切り替えるか否かを決定する。この時、切替決定部330は、どの接続中端末400の接続先を、どの他装置300へ切り替えるかを決定する。かかる切り替えを決定する際の判断基準の詳細については、後述する。
【0045】
そして、切替決定部330は、接続中端末400の接続先を他装置300へ切り替えることを決定したとき、切替決定情報を接続切替部340へ通知する。ここで、切替決定情報は、接続先切り替えの対象となる接続中端末(以下、適宜「切替候補端末」という)400と、切り替え先として決定された他装置(以下、適宜「切替先候補装置」という)300とを示す情報である。
【0046】
接続切替部340は、切替決定部330から切替決定情報が出力されたとき、接続中端末400の接続先を切替先候補装置300へ切り替える。但し、接続切替部340は、切替先候補装置300に対し、当該接続中端末400に対する成りすましSLSの実行を指示する。そして、接続切替部340は、成りすましSLSが成功したことを条件として、接続中端末400の接続先を切替先候補装置300へ切り替える。
【0047】
なお、接続切替部340は、成りすましSLSが成功しなかった場合、その旨を切替決定部330に通知し、切替先候補装置300あるいは切替候補端末400の変更を依頼してもよい。
【0048】
無線通信装置300は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路を有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0049】
このような構成を有する無線通信装置300は、複数のアクセスポイントにおける無線端末400の接続の分布(各アクセスポイントの無線端末400の接続状況)に基づいて、無線端末400の接続先を切り替えることができる。
【0050】
すなわち、無線通信装置300は、多数の無線端末400の接続がいずれかの無線通信装置300に接続が集中しているような場合に、一部の無線端末400の接続先を、無線通信装置300の接続が少ない他の無線通信装置300へと切り替えることができる。
【0051】
これにより、無線通信装置300は、複数のアクセスポイント(複数の無線通信装置300)の間で、無線端末400の接続数(接続の分布)がより均一となるように、無線端末400の接続先を切り替えることができる。
【0052】
<ビームフォーミングプロトコル>
ここで、ビームフォーミングプロトコルの詳細について説明する。ここでは、WiGigで規定されるビームフォーミングプロトコルであるSLSについて説明する。
【0053】
通信処理部310は、セル内に、無線通信装置300の識別情報を含むビーコン信号を定期的にブロードキャストする。かかるビーコン信号を受信し、通信ネットワーク200へのアクセスを開始しようとする無線端末400は、無線通信装置300の識別情報を指定して、無線端末400の識別情報を含む接続要求信号を送信する。通信処理部310は、かかる接続要求信号を受信し、通信処理部310あるいは他のアクセス管理装置(図示せず)による認証処理によって接続が許可されると、SLSを実行する。
【0054】
SLSは、送信セクタ(送信時のビームパターン)を決定する処理であるTXSS(Transmit Sector Sweep)と、受信セクタ(受信時のビームパターン)を決定する処理であるRXSS(Receive Sector Sweep)とを含む。
【0055】
図4は、TXSSの様子の一例を示す図である。図4において、上段は、ビームフォーミングプロトコルを開始する通信装置300、400(以下「イニシエータ」という)の処理を示し、下段は、イニシエータのビームフォーミングプロトコルの相手先となる通信装置300、400(以下「レスポンダ」という)の処理を示す。また、図4において、横軸は時間軸を示す。
【0056】
図4に示すように、第1の期間521において、イニシエータは、まず、イニシエータの送信セクタを指向性の高いセクタ1〜セクタ5(図2参照)の間で切り替えながら、どのセクタ(ビームパターン)を使用しているかを示すセクタ識別情報(ID)を含むSSWパケットを順次送信する。すなわち、イニシエータは、第1のSSWパケットをセクタ1で、第2のSSWパケットをセクタ2で、第3のSSWパケットをセクタ3で、第4のSSWパケットをセクタ4で、第5のSSWパケットをセクタ5で、それぞれ送信する。
【0057】
これに対し、レスポンダは、レスポンダの受信セクタを無指向性のセクタ0(図2参照)にし、第1〜第5のSSWパケットのそれぞれの受信品質を観測する。観測される受信品質は、例えば、受信電力、RSSI(Received Signal Strength Indication)、およびSNR(Signal-to-Noise Ratio)、およびSINR(Signal-to-Interference Noise Ratio)を含む。
【0058】
次に、第2の期間521において、レスポンダは、レスポンダの送信セクタを指向性の高いセクタ1〜セクタ5(図2参照)の間で切り替えながら、セクタ識別情報を含むSSWパケットを順次送信する。すなわち、イニシエータは、第6のSSWパケットをセクタ1で、第7のSSWパケットをセクタ2で、第8のSSWパケットをセクタ3で、第9のSSWパケットをセクタ4で、第10のSSWパケットをセクタ5で、それぞれ送信する。
【0059】
これに対し、イニシエータは、イニシエータの受信セクタを無指向性のセクタ0(図2参照)にし、第6〜第10のSSWパケットのそれぞれの受信品質(受信電力、RSSI、およびSNR等)を観測する。
【0060】
なお、レスポンダは、第6のSSWパケットに、第1〜第5のSSWパケットのうち、最も受信品質の良かったSSWパケットの送信に使用された送信セクタ(以下「最良送信セクタ」という)のセクタ識別情報と、各SSWパケットの受信品質を示す品質情報とを含める。
【0061】
そして、第3の期間521において、イニシエータは、SS−Feedback(Sector Sweep Feedback)パケットを、第6のSSWパケットによって通知されたレスポンダの最良送信セクタを使用して送信する。また、レスポンダは、セクタ0を使用して、かかるSS−Feedbackパケットを受信する。
【0062】
なお、イニシエータは、SS−Feedbackパケットに、第6〜第10のSSWパケットのうち、最も受信品質の良かったSSWパケットの送信に使用された送信セクタ(最良送信セクタ)のセクタ識別情報と、各SSWパケットの受信品質を示す品質情報とを含める。
【0063】
最期に、第4の期間521において、レスポンダは、SS−ACK(Sector Sweep Acknowledge)パケットを、SS−Feedbackパケットによって通知されたイニシエータの最良送信セクタを使用して送信する。また、イニシエータは、セクタ0を使用して、かかるSS−ACKパケットを受信する。
【0064】
このようにして、各無線通信装置300は、TSXXにより、無線端末400毎に、当該無線端末400との間で行う通信における最良送信セクタを判定し、判定された最良送信セクタを、当該無線端末400への無線信号の送信に使用する送信セクタとして決定する。
【0065】
図5は、RXSSの様子の一例を示す図である。図5において、上段は、通信装置300、400のうちのイニシエータの処理を示し、下段は、通信装置300、400のうちのレスポンダの処理を示す。また、図5において、横軸は時間軸を示す。
【0066】
図5に示すように、第1の期間531において、イニシエータは、まず、TXSSで判定されたイニシエータの最良送信セクタを使用して、第1〜第5のSSWパケットを、所定の間隔で順次送信する。なお、第1〜第5のSSWパケットは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
これに対し、レスポンダは、第1〜第5のSSWパケットの送信タイミングと同期して、レスポンダの受信セクタを指向性の高いセクタ1〜セクタ5(図2参照)の間で切り替えながら、各SSWパケットを受信する。
【0068】
すなわち、レスポンダは、第1のSSWパケットをセクタ1で、第2のSSWパケットをセクタ2で、第3のSSWパケットをセクタ3で、第4のSSWパケットをセクタ4で、第5のSSWパケットをセクタ5で、それぞれ受信する。このとき、レスポンダは、第1〜第5のSSWパケットのそれぞれの受信品質(受信電力、RSSI、およびSNR等)を観測する。
【0069】
次に、第2の期間531において、レスポンダは、TXSSで判定されたレスポンダの最良送信セクタを使用して、第6〜第10のSSWパケットを、所定の間隔で順次送信する。なお、第6〜第10のSSWパケットは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
これに対し、イニシエータは、第6〜第10のSSWパケットの送信タイミングと同期して、イニシエータの受信セクタを指向性の高いセクタ1〜セクタ5(図2参照)の間で切り替えながら、各SSWパケットを受信する。
【0071】
すなわち、イニシエータは、第6のSSWパケットをセクタ1で、第7のSSWパケットをセクタ2で、第8のSSWパケットをセクタ3で、第9のSSWパケットをセクタ4で、第10のSSWパケットをセクタ5で、それぞれ受信する。このとき、イニシエータは、第6〜第10のSSWパケットのそれぞれの受信品質(受信電力、RSSI、およびSNR等)を観測する。
【0072】
そして、第3の期間531において、イニシエータは、SS−Feedbackパケットを、TXSSで判定されたイニシエータの最良送信セクタを使用して送信する。また、レスポンダは、第1〜第5のSSWパケットのうち、最も受信品質の良かったSSWパケットの受信に使用された受信セクタ(以下「最良受信セクタ」という)使用して、かかるSS−Feedbackパケットを受信する。
【0073】
最期に、第4の期間531において、レスポンダは、SS−ACKパケットを、TXSSで判定されたイニシエータの最良送信セクタを使用して送信する。また、イニシエータは、第6〜第10のSSWパケットのうち、最も受信品質の良かったSSWパケットの受信に使用された最良受信セクタ(最良受信セクタ)使用して、かかるSS−ACKパケットを受信する。
【0074】
このようにして、各無線通信装置300は、RSXXにより、無線端末400毎に、当該無線端末400との間で行う通信における最良受信セクタを判定し、判定された最良受信セクタを、当該無線端末400からの無線信号の受信に使用する受信セクタとして決定する。
【0075】
図1に示す状態の場合、例えば、第1の無線通信装置300は、第1〜第3の無線端末400〜400が接続する際に、第1〜第3の無線端末400〜400のそれぞれとの間でTXSSおよびRXSSを行う。第2の無線通信装置300は、いずれの無線端末400ともTXSSおよびRXSSを行わない。第3の無線通信装置300は、第4および第5の無線端末400、400が接続する際に、第4および第5の無線端末400、400のそれぞれとの間でTXSSおよびRXSSを行う。
【0076】
この結果、各無線通信装置300の通信処理部310は、少なくとも、通信処理部310が接続している無線端末400の識別情報と、当該無線端末400との間の通信の通信品質を示す品質情報とを、保持している。
【0077】
通信処理部310は、これらの識別情報および品質情報を、無線通信装置300が接続している無線端末400の個数および各無線端末400との間の無線通信の品質を示す装置情報として、情報共有部320へ出力する。かかる装置情報は、上述の通り、情報共有部320により、端末管理テーブルに記録される。
【0078】
なお、上述の成りすましSLSは、無線通信装置300が、他の無線通信装置300の識別情報を使用してSLSを実行することにより実現される。この場合、相手の無線端末400は、接続中の無線通信装置300との通信が継続されているものとして、再接続処理を行わずに、他の無線通信装置300とのSLSを実行する。
【0079】
これにより、成りすましSLSが失敗したとき、つまり、他の無線通信装置300と無線端末400との間の通信品質が十分に確保されないことが判明したとき、無線端末400は、そのまま元の無線通信装置300との通信を維持することができる。
【0080】
<端末管理テーブル>
ここで、端末管理テーブルの詳細について説明する。
【0081】
図6は、端末管理テーブルの内容の一例を示す図である。ここでは、図1の状態にあるときの、第1の無線通信装置300の自装置情報を記述した端末管理テーブルの内容を例示している。
【0082】
図6に示すように、端末管理テーブル540は、無線通信装置300の識別情報(装置ID)541と、無線通信装置300に接続している無線端末400の識別情報(端末ID)542との組合せ毎に、送信セクタ543、各セクタの送信時RSSI544、受信セクタ545、および各セクタの受信時RSSI546が記述されている。
【0083】
送信セクタ543は、端末ID542が示す無線端末400への無線信号の送信に使用されるセクタを示す。
【0084】
各セクタの送信時RSSI544は、装置ID541が示す無線通信装置300がセクタ1〜セクタ5のそれぞれで送信した無線信号の、端末ID542が示す無線端末400における受信品質(RSSI)を示す。
【0085】
受信セクタ545は、端末ID542が示す無線端末400からの無線信号の受信に使用されるセクタを示す。
【0086】
各セクタの受信時RSSI545は、端末ID542が示す無線端末400が送信した無線信号の、装置ID541が示す無線通信装置300のセクタ1〜セクタ5のそれぞれにおける受信品質(RSSI)を示す。
【0087】
なお、通信処理部310は、各セクタの送信時RSSI544のうち、最も通信品質が高い(RSSIが高い)セクタを、送信セクタ543に決定している。また、通信処理部310は、各セクタの受信時RSSI546のうち、最も通信品質が高い(RSSIが高い)セクタを、受信セクタ545に決定している。
【0088】
したがって、図6に示す例では、例えば、「STA1」という端末ID542が示す第1の無線端末400の送信セクタ543として、「15」という最も高い送信時RSSI544に対応する「セクタ1」が記述されている。
【0089】
情報共有部320は、通信処理部310から自装置情報を取得し、通信処理部310を介して他装置300から、他装置情報を取得する。情報共有部320は、取得した自装置情報に基づいて、このような端末管理テーブル540を生成し、保持する。また、情報共有部320は、他装置300との間で、各無線通信装置300の装置情報を記述した端末管理テーブル540を共有する。
【0090】
より具体的には、各無線通信装置300は、第1〜第3の無線通信装置300〜300のそれぞれで生成された第1〜第3の端末管理テーブル540〜540を統合し、統合された端末管理テーブルを生成して保持する。
他装置300
【0091】
図7は、統合された端末管理テーブルの内容の一例を示す図であり、図6に対応するものである。図6と対応する部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
【0092】
図7に示すように、統合された端末管理テーブル550は、第1〜第3の無線通信装置300〜300で生成された、第1〜第3の端末管理テーブル540〜540を含んでいる。第1〜第3の無線通信装置300〜300は、自装置情報の端末管理テーブル540を互いに送信することにより、このような統合された端末管理テーブル550をそれぞれ保持する。
【0093】
なお、第2の端末管理テーブル540には、装置ID541以外は空欄となっている。これは、図1に示すように、第2の無線通信装置300にはどの無線端末400も接続していないためである。
【0094】
切替決定部330は、例えば、統合された端末管理テーブル550を参照して、接続中端末400のいずれかの接続先を他装置300へ切り替えるか否か、および、切り替えるとすれば、どの他装置300へ切り替えるか、を判断する。
【0095】
<切り替え決定の判断基準>
ここで、接続中端末400の接続先の切り替えを決定する際の判断基準の詳細について説明する。
【0096】
切替決定部330には、接続中端末400の接続先の切り替えを決定する際の判断基準として、接続切替決定条件、切替候補端末条件、および切替先候補装置条件が、予め設定されている。
【0097】
接続切替決定条件は、接続中端末400のうちのいずれかの接続先を他装置300へ切り替えることを決定するための条件である。接続切替決定条件は、例えば、無線通信装置300の接続中端末400の個数が3以上であることである。
【0098】
切替候補端末条件は、切替候補端末400を決定するための条件である。切替候補端末条件は、例えば、同一のセクタを使用する複数の接続中端末400のうち通信品質のレベルが最も低い接続中端末400、または、接続中端末400が全て異なるセクタを使用している場合において通信品質のレベルが最も低い接続中端末400であること、である。
【0099】
通信品質のレベルが低い場合、受信誤りによる再送回数の増加や変調レートの低下により、帯域が圧迫され、システムスループットが低下し得る。また、セクタの特性にはばらつきがある。したがって、このように通信品質のレベルが高い無線通信を優先的に維持することにより、システムスループットの改善を図ることができる。
【0100】
切替先候補装置条件は、他装置300の中から切替先候補装置300を決定するための条件である。切替先候補装置条件は、例えば、接続中端末400の個数が1以下であることである。なお、切替先候補装置条件は、無線通信装置300との間でセルの少なくとも一部が重なっている他装置300であることを含んでもよい。
【0101】
切替決定部330は、接続切替決定条件、切替候補端末条件、および切替先候補装置条件の全てが満たされるか否かを、情報共有部320が保持する統合された端末管理テーブル550(図7参照)を参照して判定する。
【0102】
切替決定部330は、これら3つの条件の全てが満たされる場合、切替候補端末条件を満たす接続中端末400を切替候補端末400に決定し、切替先候補装置条件を満たす他装置300を切替先候補装置300に決定する。そして、切替決定部330は、その決定結果を示す切替決定情報を、接続切替部340へ出力する。
【0103】
例えば、第1の端末管理テーブル540図7参照)の端末ID542は、第1の無線通信装置300が第1〜第3の無線端末400〜400(STA1〜STA3)という3つの無線端末400を接続していることを示している。したがって、第1の無線通信装置300の切替決定部330は、接続切替決定条件が満たされていると判定する。
【0104】
また、例えば、第1の端末管理テーブル540の送信セクタ543および受信セクタ545は、第1の無線通信装置300のセクタ4が、第2および第3の無線端末400、400(STA2、STA3)によって使用されていることを示している。そして、第1の端末管理テーブル540の各セクタの送信時RSSI544および受信時RSSI546のセクタ4の各値は、第3の無線端末400(STA3)の通信品質のレベルがより低いことを示している。
【0105】
したがって、第1の無線通信装置300の切替決定部330は、切替候補端末条件が満たされると判定し、第3の無線端末400(STA3)を切替候補端末400に決定する。
【0106】
更に、例えば、第2の端末管理テーブル540の端末ID542は、第2の無線通信装置300には1台も無線端末400が接続されていないことを示している。したがって、第1の無線通信装置300の切替決定部330は、切替先候補装置条件が満たされると判定し、第2の無線通信装置300を切替先候補装置300に決定する。
【0107】
このようにして、例えば、第1の無線通信装置300の切替決定部330は、第3の無線端末400を切替候補端末400とし、第2の無線通信装置300を切替先候補装置300とすることを示す、切替決定情報を出力する。
【0108】
<装置の動作>
次に、無線通信装置の動作について説明する。
【0109】
図8は、無線通信装置300の動作の一例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップS1010において、通信処理部310は、無線端末400からの接続要求を受信したか否かを判定する。通信処理部310は、接続要求を受信した場合(S1010:YES)、処理をステップS1020へ進める。また、通信処理部310は、接続要求を受信していない場合(S1010:NO)、処理を後述のステップS1040へ進める。
【0111】
ステップS1020において、通信処理部310は、無線端末400に対して通信処理部310への接続を許可し、無線端末400との接続を確立する。そして、通信処理部310は、無線端末400との間で上述のSLS(図4および図5参照)を実行する。
【0112】
ステップS1030において、情報共有部320は、SLSで取得された自装置情報に基づいて端末管理テーブル540(図6参照)を生成し、生成されたテーブルを記録する。また、情報共有部320は、生成されたテーブルを、他装置300へと送信する。すなわち、情報共有部320は、自装置情報を、他装置300との間で共有する。
【0113】
なお、情報共有部320は、無線端末400との接続を確立されたタイミングだけでなく、端末管理テーブル540に変化が生じたタイミングや、周期的なタイミングで、端末管理テーブル540の送信を行ってもよい。
【0114】
ステップS1040において、情報共有部320は、他装置300から他装置情報の端末管理テーブル540を受信したか否かを判定する。情報共有部320は、他装置情報の端末管理テーブル540を受信した場合(S1040:YES)、処理をステップS1050へ進める。また、情報共有部320は、他装置情報の端末管理テーブル540を受信していない場合(S1040:NO)、処理を後述のステップS1060へ進める。
【0115】
ステップS1050において、情報共有部320は、自装置情報の端末管理テーブル540と、他装置情報の端末管理テーブル540とを統合し、統合された端末管理テーブル550(図7参照)を保持する。
【0116】
ステップS1060において、切替決定部330は、接続中端末400の接続先の切り替えを検討する切替検討タイミングが到来したか否かを判定する。
【0117】
切替検討タイミングは、例えば、1分毎等の周期的なタイミング、通信品質のレベルが所定値以下に低下したタイミング、あるいは新たな無線端末400が接続されたタイミングである。切替決定部330は、例えば、自装置の端末管理テーブル540を監視することにより、切替検討タイミングが到来したか否かを判定する。
【0118】
切替決定部330は、切替検討タイミングが到来した場合(S1060:YES)、処理をステップS1070へ進める。また、切替決定部330は、切替検討タイミングが到来していない場合(S1060:NO)、処理を後述のステップS1110へ進める。
【0119】
ステップS1070において、切替決定部330は、統合された端末管理テーブル550(図7参照)に基づき、切替候補端末400および切替先候補装置300を決定する。
【0120】
図1および図7に示す例では、上述の通り、例えば、第1の無線通信装置300の切替決定部330は、第3の無線端末400を切替候補端末400とし、第2の無線通信装置300を切替先候補装置300とすることを決定する。
【0121】
なお、切替決定部330は、上述の接続切替決定条件、切替候補端末条件、および切替先候補装置条件の少なくとも1つが満たされない場合、処理を後述のステップS1110へ進めてもよい。
【0122】
ステップS1080において、接続切替部340は、切替先候補装置300に対し、切替候補端末400に対する成りすましSLSの実行を指示する。かかる指示は、例えば、切替候補端末情報を切替先候補装置300へ送信することにより行われる。
【0123】
切替候補端末情報は、通信処理部310が切替候補端末400との間でSLSを行う際に使用するSSWパケットの情報を含む。かかるSSWパケットの情報は、例えば、切替候補端末400が使用可能なセクタ数、切替候補端末400のMACアドレス、および通信処理部310のMAC(Medium Access Control)アドレスのうち、少なくとも1つを含む。
【0124】
なお、接続切替部340は、例えば、通信処理部310が定期的に送信するビーコンパケットの、Information Elementに切替候補端末情報を含めることにより、切替候補端末情報の送信を行ってもよい。あるいは、接続切替部340は、専用のパケットあるいはデータパケットに切替候補端末情報を含めることにより、切替候補端末情報の送信を行ってもよい。
【0125】
また、接続切替部340は、切替先候補装置300が成りすましSLSを実行している間、ビーコンパケットの送信を停止することが望ましい。これにより、切替候補端末400が切替先候補装置300からのビーコンをより確実に受信することができ、ネットワークの安定的な動作を図ることができる。
【0126】
接続切替部340は、全てのビーコンパケットの送信を停止してもよいし、切替候補端末400との無線通信に使用するセクタあるいはその隣接するセクタにおけるビーコンパケットの送信のみを停止してもよい。なお、ビーコンパケットを一時的に停止させたとしても、接続中端末400との無線通信に直ちに影響は出ない。
【0127】
ステップS1090において、接続切替部340は、切替先候補装置300が成りすましSLSが成功したか否かを、例えば切替先候補装置300からの報告に基づいて判定する。接続切替部340は、成りすましSLSが成功した場合(S1090:YES)、処理をステップS1100へ進める。また、接続切替部340は、成りすましSLSが成功しなかった場合(S1090:NO)、処理を後述のステップS1110へ進める。
【0128】
なお、成りすましSLSが失敗した場合、切替決定部330は、例えば、成りすましSLSが失敗した切替先候補装置300を外して、切替先候補装置条件を満たす他装置300を探索し、探索された他装置300を新たな切替先候補装置300とする。あるいは、切替決定部330は、成りすましSLSが失敗した切替候補端末400を外して、切替候補端末条件を満たす切替候補端末400を探索し、探索された切替候補端末400を新たな切替候補端末400とする。そして、切替決定部330は、新たに決定された切替先候補装置300あるいは切替候補端末400を指定して、成りすましSLSの実行を再度指示する。
【0129】
ステップS1100において、接続切替部340は、切替候補端末400の接続先を、切替先候補装置300に切り替える。
【0130】
より具体的には、接続切替部340は、通信処理部310を介して、切替候補端末400に対し、ハンドオフ要求を送信し、切替先候補装置300との再接続を指示する。切替先候補装置300の識別情報(例えば、MACアドレスやBSSID)等、切替先候補装置300との接続を効率良く行うための情報を含む。切替候補端末400は、かかるハンドオフ要求を受信すると、通信処理部310との接続を切断し、上記情報に基づいて、切替先候補装置300に対して接続要求を送信する。なお、接続切替部340は、通信処理部310に対して、切替候補端末400の接続を切断させてもよい。
【0131】
なお、接続切替部340は、切替候補端末400と通信処理部310との間の通信品質と、切替候補端末400と切替先候補装置300との間の通信品質とを取得し、切替先候補装置300との間の通信品質の方が良好である場合にのみ、上記切り替えを行ってもよい。
【0132】
ステップS1110において、通信処理部310は、他装置300から成りすましSLSの実行を指示されたか否かを判定する。かかる判定は、例えば、他装置300から切替候補端末情報を受信したか否かに基づいて行われる。通信処理部310は、成りすましSLSの実行を指示された場合(S1110:YES)、処理をステップS1120へ進める。また、通信処理部310は、成りすましSLSの実行を指示されていない場合(S1110:NO)、処理を後述のステップS1130へ進める。
【0133】
ステップS1120において、通信処理部310は、他装置300から受信した切替候補端末情報を用いて、成りすましSLSを実行する。そして、通信処理部310は、成りすましSLSの結果(成功/失敗)を、上記指示を行った他装置300へ報告(送信)する。
【0134】
例えば、切替候補端末情報が指定する切替候補端末400が、通信処理部310のセルの内部に位置し、十分な通信品質が確保できる場合、成りすましSLSは成功となる。また、切替候補端末400が通信処理部310のセルの外に位置する場合や、通信処理部310のセルの内部に位置するものの周囲環境等により十分な通信品質が確保できない場合、成りすましSLSは失敗となる。
【0135】
そして、ステップS1130において、通信処理部310は、ユーザ操作等により処理の終了が指示されたか否かを判断する。通信処理部310は、処理の終了が指示されていない場合(S1130:NO)、処理をステップS1010へ戻す。また、通信処理部310は、処理の終了が指示された場合(S1130:YES)、一連の処理を終了する。
【0136】
このような動作により、無線通信装置300は、無線通信装置300および他装置300における無線端末400の接続状況およびその変化に応じて、逐次、全体の通信品質が改善される方向に、無線端末400の接続先を切り替えることができる。
【0137】
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係る無線通信装置300は、通信ネットワーク20への複数のアクセスポイントの1つとして、複数の無線端末400のうちの少なくとも1つを、当該無線端末400との間でビームフォーミングによる無線通信を行うことにより接続する。無線通信装置300は、他装置300における無線端末400の接続状況を示す他装置情報を取得し、かかる情報に基づいて、無線通信装置300の接続中端末400の接続先を、無線通信装置300から他装置300へ切り替えるか否かを決定する。そして、無線通信装置300は、無線通信装置300の接続中端末400の接続先を切り替えることが決定されたとき、接続中端末400の接続先を他装置300へ切り替える。
【0138】
これにより、本実施の形態に係る無線通信装置300は、他装置300における無線端末400の接続状況に応じて、接続中端末400の接続先を他装置300へ切り替えるか否かを決定することができる。
【0139】
したがって、無線通信装置300は、他装置300の接続状況の悪化を回避する形で、接続中端末400の接続先の切替先を決定し、各アクセスポイントの負荷を適切に分散させることができる。具体的には、例えば、他に接続可能な他装置300が存在するにもかかわらず、既に多数の無線端末400が接続している他装置300に無線端末400の接続先を切り替えるといったことを防止することができる。
【0140】
すなわち、無線通信装置300は、複数のアクセスポイントでミリ波通信が行われる場合において、無線端末400が局所的に密集したとしても、通信品質の低下をできるだけ防ぐことができる。
【0141】
また、本実施の形態に係る無線通信装置300は、接続先を他装置300へ切り替えることが決定されたとき、他装置300に対し、無線通信装置300に成りすまして接続中端末400に対するビームフォーミングプロトコルを実施させる。そして、無線通信装置300は、当該ビームフォーミングプロトコルが成功したことを条件として、接続中端末400の接続先を、他装置300へ切り替える。
【0142】
ミリ波通信の場合、指向性が高くビームが細いため、接続先を切り替えることが決定された無線端末400が、切替先として決定された他装置300との接続を確立することができない可能性がある。他装置300とのビームフォーミングプロトコルを、無線通信装置300との接続を切断してから行うと、他装置300との接続が確立できなかった場合、再度、無線通信装置300との再接続の処理を行う必要が生じる。
【0143】
この点、無線通信装置300は、自己の切断を維持した状態で無線端末400と他装置300との接続が確立できるか否かを判定することができ、元の接続先との切断処理および再接続処理に伴うスループットの低下を防止することができる。
【0144】
また、本実施の形態に係る無線通信装置300は、通信処理部310における無線端末400の接続状況を示す自装置情報に基づいて、接続中端末400の接続先を他装置300へ切り替えるか否かを決定する。
【0145】
これにより、例えば、複数の接続中端末400の間で無線通信の干渉が発生している場合に、いずれかの接続中端末400の接続先を他装置300に切り替えることができ、通信品質を向上させることができる。
【0146】
<本実施の形態の変形例>
なお、情報共有部320は、端末管理テーブル540に、SLSの結果として得られた情報だけではなく、通信処理部310が使用している無線チャネルを示す無線チャネル情報を含めてもよい。そして、通信処理部310は、かかる無線チャネル情報に基づいて、動的チャネル制御または送信電力制御によるネットワークの負荷分散を行ってもよい。
【0147】
また、情報共有部320は、端末管理テーブル540に、無線端末400が行っているデータ通信の種別を示すアプリケーション情報を含めてもよい。データ通信の種別は、例えば、ファイル転送、VoIP(Voice over Internet Protocol)、およびストリーミング等である。そして、切替決定部330は、かかるアプリケーション情報基づいて、必要帯域や許容遅延時間を考慮して通信品質を確保する上での優先度を決定し、決定された優先度に基づいて、切替先候補装置300や切替候補端末400を決定してもよい。
【0148】
また、情報共有部320が取得する他装置情報は、他装置300における無線端末400の接続数のみであってもよい。すなわち、情報共有部320は、接続中端末400の接続先の切り替えを決定する際の判断基準に必要な情報のみを取得してもよい。
【0149】
また、無線通信装置300に採用されるミリ波通信は、上記実施の形態ではWiGigとしたが、これに限定されない。例えば、無線通信装置300に採用されるミリ波通信は、IEEE802.15.3c等の、指向性を有する他の各種無線通信とすることができる。また、同様に、ビームフォーミングプロトコルも、上述のSLSに限定されない。
【0150】
また、無線通信装置300のビームパターンの数および形状は、図2で説明した例に限定されない。
【0151】
また、接続切替決定条件、切替候補端末条件、および切替先候補装置条件の内容は、上述の例に限定されない。例えば、切替先候補装置条件は、無線端末400の接続数以外の、各無線通信装置300に掛かる負荷に関する条件であってもよい。いずれにせよ、切替決定部330は、近隣の無線通信装置300のうち最も負荷の少ない無線通信装置300を、切替先候補装置300とすることが望ましい。
【0152】
また、装置情報は、無線端末400における受信品質を示してもよい。この場合、接続切替決定条件および切替候補端末条件は、各無線端末400における受信品質がより低いものを優先して切替候補端末400とする内容であることが望ましい。
【0153】
また、無線通信装置300の構成の部分は、無線通信装置300の構成の他の部分と物理的に離隔して配置されていてもよい。この場合、離隔した各部分は、互いに通信を行うための通信回路を備える必要がある。
【0154】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、各機能ブロックの一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0155】
また、集積回路化の手法にはLSIに限らず、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続、設定が再構成可能なリコンフィグラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0156】
更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、別技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0157】
なお、本開示は、無線通信装置において実行される通信制御方法として表現することが可能である。また、本開示は、かかる通信制御方法をコンピュータにより動作させるためのプログラムとして表現することも可能である。更に、本開示は、かかるプログラムをコンピュータによる読み取りが可能な状態で記録した記録媒体として表現することも可能である。すなわち、本開示は、装置、方法、プログラム、記録媒体のうち、いずれのカテゴリーにおいても表現可能である。
【0158】
<本開示のまとめ>
本開示の無線通信装置は、少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する通信処理部と、前記接続された少なくとも1つの無線端末以外の無線端末である他の無線端末のうち、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されている他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得する情報共有部と、取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定する切替決定部と、前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替える接続切替部と、を有する。
【0159】
なお、上記無線通信装置において、前記他無線通信装置は、前記他の無線端末および前記接続された少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続した場合において、前記接続切替部は、前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記通信処理部を示す情報を用いて、前記接続された少なくとも1つの無線端末に対するビームフォーミングプロトコルを、前記他無線通信装置に実施させ、当該ビームフォーミングプロトコルが成功した後に、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を前記他無線通信装置へ切り替えてもよい。
【0160】
また、上記無線通信装置において、前記情報共有部は、更に、前記通信処理部における前記他の無線端末の接続状況を示す自無線通信装置の接続情報を取得し、前記切替決定部は、更に、取得された前記自無線通信装置の接続情報に基づき、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定してもよい。
【0161】
また、上記無線通信装置において、前記他無線通信装置の接続情報は、前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末の個数、および、前記他無線通信装置と前記他無線通信装置に接続されている前記他の無線端末との間の無線通信の品質、のうち少なくとも1つを含み、前記自無線通信装置の接続情報は、前記接続された少なくとも1つの無線端末の個数、および、前記通信処理部と前記接続されている少なくとも1つの無線端末毎との間の少なくとも1つの無線通信の品質、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0162】
また、上記無線通信装置において、前記情報共有部は、更に、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である第2の他無線通信装置に接続されている第2の他の無線端末の接続状況を示す第2の他無線通信装置の接続情報を取得し、前記他無線通信装置の接続情報は、前記他の無線端末の個数である接続端末数を含み、前記第2の他無線通信装置の接続情報は、前記第2の他の無線端末の個数である第2接続端末数を含み、前記切替決定部は、前記他無線通信装置および前記第2の他無線通信装置のうち、前記接続端末数及び前記第2接続端末数の値が、より少ない他無線通信装置を前記再接続先として決定してもよい。
【0163】
また、上記無線通信装置において、前記情報共有部は、前記自無線通信装置の接続情報として、前記通信処理部と前記接続された少なくとも1つの無線端末毎との間の無線通信の品質を含み、前記切替決定部は、複数の前記無線端末が前記通信処理部に接続されている場合、前記複数の無線端末のうち、前記無線通信の品質が最も低い前記無線端末を、前記他無線通信装置に再接続する無線端末として決定してもよい。
【0164】
また、上記無線通信装置において、前記情報共有部は、取得された前記自無線通信装置の接続情報を、前記他無線通信装置へ送信してもよい。
【0165】
本開示の通信制御方法は、少なくとも1つの無線端末を、ビームフォーミングによる無線通信を用いて接続する無線通信装置における通信制御方法であって、前記接続された少なくとも1つの無線端末の再接続先候補である他無線通信装置に接続されている他の無線端末の接続状況を含む他無線通信装置の接続情報を取得するステップと、取得された前記他無線通信装置の接続情報に基づいて、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるか否かを決定するステップと、前記他無線通信装置へ切り替えることが決定された場合、前記接続された少なくとも1つの無線端末の接続先を、前記他無線通信装置へ切り替えるステップと、を有する。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示に係る無線通信装置および通信制御方法は、複数のアクセスポイントでミリ波通信が行われる場合において、無線端末が局所的に密集したとしても通信品質の低下をできるだけ防ぐことができる無線通信装置および通信制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0167】
100 通信システム
200 通信ネットワーク
300 無線通信装置、他装置、切替先候補装置
310 通信処理部
320 情報共有部
330 切替決定部
340 接続切替部
400 無線端末、接続中端末、切替候補端末
図1
図2
図3
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図8