特許第6446332号(P6446332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446332
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】電子機器装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   H05K7/18 F
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-116218(P2015-116218)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-5065(P2017-5065A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】會田 智史
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢胤
(72)【発明者】
【氏名】双木 俊行
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−004559(JP,U)
【文献】 特開2011−159716(JP,A)
【文献】 実開平04−133494(JP,U)
【文献】 実開平01−179472(JP,U)
【文献】 特表2014−513376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0055959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04
77/00−77/18
83/00−88/403
88/423
88/453
88/48
88/49−88/50
88/57−88/70
88/80−88/90
88/919
88/944
88/969
E05B 65/46−65/462
G06F 1/00
1/16−1/18
H05K 5/00−5/06
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の収容部に対して鉛直方向に交差する一方向に挿抜可能に収容される電子回路ユニットと、を備え、
前記筐体は、前記収容部の幅方向両側において前記収容部の外側に突出して配される一対のフック部を備え、
前記電子回路ユニットは、ユニット本体と、前記ユニット本体のうち前記収容部に対する挿入方向前側の部位において前記ユニット本体の幅方向両側に突出し、前記一対のフック部に係止可能な一対の軸部と、を備え、
前記電子回路ユニットは、前記一対の軸部を前記一対のフック部に係止した状態で、前記電子回路ユニットの挿抜方向に対応する前記ユニット本体の前後方向が鉛直方向に向くように、前記一対のフック部に吊り下げられる吊下げ位置と、前記ユニット本体の前後方向が前記一方向に向いて前記電子回路ユニットを前記収容部に対して挿入可能とする挿抜位置との間で、前記一対の軸部を中心に回動可能であり、
前記一対のフック部が、前記収容部の外側に突出する突出位置と前記収容部内に収容される収容位置との間で、前記一方向に移動可能であり、
前記一対のフック部を前記突出位置に保持するロック機構と、前記電子回路ユニットが前記吊下げ位置から前記挿抜位置まで回動させた際に前記ロック機構による前記一対のフック部の前記突出位置への保持を解除するロック解除機構と、を備える電子機器装置。
【請求項2】
前記電子回路ユニットを前記挿抜位置に保持する位置保持機構と、前記位置保持機構による前記電子回路ユニットの前記挿抜位置への保持を解除する保持解除機構と、を備える請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記保持解除機構が、前記位置保持機構による前記電子回路ユニットの前記挿抜位置への保持の解除を操作する操作部を備え、
前記操作部が前記電子回路ユニットに設けられている請求項2に記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記電子回路ユニットが前記吊下げ位置に配された状態、あるいは、前記吊下げ位置と前記挿抜位置との間の途中位置に配された状態で、前記電子回路ユニットの前記吊下げ位置側から前記挿抜位置側に向かう第一回動方向への回動を許容し、かつ、前記電子回路ユニットの前記挿抜位置側から前記吊下げ位置側に向かう第二回動方向への回動を規制する移動方向規制機構と、
前記移動方向規制機構による前記電子回路ユニットの前記第二回動方向への移動規制を解除する規制解除機構と、を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記規制解除機構が、前記移動方向規制機構による前記電子回路ユニットの前記第二回動方向への移動規制の解除を操作する操作部を備え、
前記操作部が前記電子回路ユニットに設けられている請求項4に記載の電子機器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器装置には、例えば特許文献1のように、シェルフ(筐体)の各収容部に対して複数の電子機器(電子回路ユニット)を挿抜可能に収容するように構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−099608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器装置においては、作業者は電子回路ユニットが収容部に収容されるまで一度も手放すことができないため、特に電子回路ユニットの重量が重い場合に、電子回路ユニットの挿抜作業が難しい、という問題がある。例えば、筐体の収容部が高い位置(例えば作業者の胸よりも鉛直方向上側の位置)にある場合、重量の重い電子回路ユニットを高い位置にある収容部に対して電子回路ユニットを挿抜することは、特に難しい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、筐体の収容部に対する電子回路ユニットの挿抜作業を容易に行うことができる電子機器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の電子機器装置は、筐体と、前記筐体の収容部に対して鉛直方向に交差する一方向に挿抜可能に収容される電子回路ユニットと、を備え、前記筐体は、前記収容部の幅方向両側において前記収容部の外側に突出して配される一対のフック部を備え、前記電子回路ユニットは、ユニット本体と、前記ユニット本体のうち前記収容部に対する挿入方向前側の部位において前記ユニット本体の幅方向両側に突出し、前記一対のフック部に係止可能な一対の軸部と、を備え、前記電子回路ユニットは、前記一対の軸部を前記一対のフック部に係止した状態で、前記電子回路ユニットの挿抜方向に対応する前記ユニット本体の前後方向が鉛直方向に向くように、前記一対のフック部に吊り下げられる吊下げ位置と、前記ユニット本体の前後方向が前記一方向に向いて前記電子回路ユニットを前記収容部に対して挿入可能とする挿抜位置との間で、前記一対の軸部を中心に回動可能であり、前記一対のフック部が、前記収容部の外側に突出する突出位置と前記収容部内に収容される収容位置との間で、前記一方向に移動可能であり、前記一対のフック部を前記突出位置に保持するロック機構と、前記電子回路ユニットが前記吊下げ位置から前記挿抜位置まで回動させた際に前記ロック機構による前記一対のフック部の前記突出位置への保持を解除するロック解除機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子回路ユニットの一対の軸部を筐体の一対のフック部に係止させて、電子回路ユニットを吊下げ位置に配した後に、電子回路ユニットを吊下げ位置から挿抜位置まで回動(移動)させ、電子回路ユニットを一方向に移動させることで、収容部に収容することができる。また、この作業工程を逆順で実施することで、電子回路ユニットを収容部から取り出すことができる。
この電子回路ユニットの挿抜作業では、電子回路ユニットの一対の軸部が筐体の一対のフック部に係止されるため、作業者は、少なくとも電子回路ユニットを吊下げ位置に配した状態で電子回路ユニットを手放すことができる。すなわち、作業者は電子回路ユニットの挿抜作業の途中で電子回路ユニットを手放すことができる。したがって、収容部に対する電子回路ユニットの挿抜作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る電子機器装置の概略を示す側断面図である。
図2図1の電子機器装置の概略を示す平断面図である。
図3図1の電子機器装置の要部を示す拡大断面図である。
図4図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットを吊下げ位置から挿抜位置まで回動させる途中段階を示す部分断面図である。
図5図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットを吊下げ位置から挿抜位置まで回動させる途中段階を示す部分断面図である。
図6図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットを吊下げ位置から挿抜位置まで回動させる途中段階を示す部分断面図である。
図7図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットが挿抜位置に配された状態を示す部分断面図である。
図8図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットが収容部に収容された状態を示す部分断面図である。
図9図1〜3の電子機器装置において、電子回路ユニットを挿抜位置から吊下げ位置に回動させる方法を説明するため部分断面図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る電子機器装置の要部を示す拡大断面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る電子機器装置の要部を示す拡大断面図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る電子機器装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一実施形態〕
以下、図1〜9を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、本実施形態に係る電子機器装置1は、前面10aに開口する収容部11を備える筐体10と、収容部11に収容される電子回路ユニット30とを備える。電子回路ユニット30は、筐体10の収容部11に対して一方向(図示例のAB方向、挿抜方向とも呼ぶ)に挿抜可能である。電子回路ユニット30の挿抜方向は、鉛直方向(図1において上下方向)に交差する方向に設定されればよいが、本実施形態では鉛直方向に直交する方向に設定されている。筐体10の前面10aは、図1のように鉛直方向に平行してもよいが、これに限ることはない。
【0010】
本実施形態の収容部11は、複数の電子回路ユニット30を収容可能である。すなわち、収容部11は、電子回路ユニット30を収容する収容領域13を複数有する。本実施形態の収容部11は、複数の電子回路ユニット30を鉛直方向(筐体10の高さ方向)に並べて収容できるように縦長に形成されている。また、収容部11のうち電子回路ユニット30の挿抜方向(AB方向)に延びて互いに対向する一対の内側面11b間の寸法(収容部11の幅寸法)は、後述する電子回路ユニット30の幅寸法と略同等あるいはこの幅寸法よりも若干大きく設定されている。
【0011】
収容部11の一対の内側面11bには、それぞれ電子回路ユニット30の挿抜方向に沿って直線状に延びる筐体側ガイドレール12(筐体側軌道)が設けられている。一対の筐体側ガイドレール12は、互いに同等の高さに位置する。一対の筐体側ガイドレール12は、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向に挿抜する際、及び、電子回路ユニット30を収容部11に収容した状態で、電子回路ユニット30を支持する。挿抜方向に沿う各筐体側ガイドレール12の長さ寸法は、挿抜方向に沿う内側面11bの長さ寸法に対して同等または若干短く設定されていればよい。筐体側ガイドレール12の具体的な形状等は任意であってよい。
本実施形態では、一対の筐体側ガイドレール12が、収容部11に収容される電子回路ユニット30の数にあわせて、筐体10の高さ方向に一定の間隔をあけて複数配列されている。
【0012】
電子回路ユニット30は、概略直方体状のユニット本体31と、収容部11に収容された状態において収容部11の一対の内側面11bに各々対面するユニット本体31の一対の外側面31bに設けられた一対のユニット側ガイドレール32(ユニット側軌道)と、を備える。
各ユニット側ガイドレール32は、電子回路ユニット30の挿抜方向に対応するユニット本体31の前後方向(図1,2において上下方向)に沿って直線状に延びて形成される。ユニット側ガイドレール32の長さ寸法は、ユニット本体31の外側面31bの長さ寸法と同等または若干短く設定されている。ユニット側ガイドレール32は、少なくともユニット本体31の外側面31bから突出していればよく、その具体的な形状は任意であってよい。
【0013】
ユニット側ガイドレール32は、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向に挿抜する際、及び、電子回路ユニット30を収容部11に収容した状態で、筐体側ガイドレール12に支持される。これにより、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向に挿抜する際には、ユニット側ガイドレール32を筐体側ガイドレール12の長さ方向に沿って摺動させることができる。
【0014】
また、筐体側ガイドレール12及びユニット側ガイドレール32は、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向に挿抜する際、及び、電子回路ユニット30を収容部11に収容した状態で、例えば互いに係合してもよい。筐体側ガイドレール12とユニット側ガイドレール32との係合は、例えば筐体側ガイドレール12をユニット側ガイドレール32によって鉛直方向から挟み込む、または、ユニット側ガイドレール32を筐体側ガイドレール12によって鉛直方向によって挟み込むことで実現できる。この場合、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向に挿抜する際、及び、電子回路ユニット30を収容部11に収容した状態で、電子回路ユニット30を収容部11に対して挿抜方向のみに移動させることができる。
【0015】
さらに、電子回路ユニット30は、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業時に把持する把持部33を備える。把持部33は、ユニット本体31のうち収容部11から電子回路ユニット30を抜出する方向(B方向)の先端側に面する前端面31aに設けられる。本実施形態では、把持部33がユニット本体31の幅方向(図2において左右方向)の両端に一対設けられている。
【0016】
電子機器装置1は、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業を容易とするための構造を備える。以下、この構造について詳細に説明する。
筐体10は、収容部11の幅方向両側において収容部11の外側に突出して配される一対のフック部40を備える。一方、電子回路ユニット30は、一対のフック部40に係止可能な一対の軸部45を備える。
電子回路ユニット30は、一対の軸部45を一対のフック部40に係止した状態で、ユニット本体31の前後方向が鉛直方向に向くように、一対のフック部40に吊り下げられる吊下げ位置U1と、ユニット本体31の前後方向が挿抜方向に向いて電子回路ユニット30を収容部11に対して挿入可能とする挿抜位置U4との間で、一対の軸部45を中心に回動(移動)可能である。
【0017】
一対の軸部45は、ユニット本体31のうち収容部11に対する挿入方向(A方向)の前側の部位においてユニット本体31の一対の外側面31bからユニット本体31の幅方向両側に突出する。
各軸部45は、フック部40に係止可能な任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では円柱状に形成されている。ユニット本体31の外側面31bにおける軸部45の位置は、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態で、ユニット本体31の一部が収容部11に入り込まないように、または、ユニット本体31が収容部11の外側に間隔をあけて位置するように、設定されるとよい。軸部45は、例えばユニット本体31の外側面31bのうち、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態で筐体10の近くに位置するとよい。図1では、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態で、軸部45がユニット側ガイドレール32よりも筐体10の近くに位置するが、これに限ることはない。
【0018】
図1〜3に示すように、各フック部40は、軸部45を載せる載置部41を有する。載置部41には、その上面から窪んで軸部45を入り込ませる凹部42が形成されている。凹部42の内面は、任意に形成されてよいが、本実施形態では凹部42の内面に当接する軸部45に対応する形状に形成されている。すなわち、凹部42の内面は、円柱状に形成された軸部45の外周面に対応する円弧状に形成されている。凹部42には、例えば軸部45全体が入り込んでもよいが、本実施形態では軸部45の一部が入り込む。
また、各フック部40は、載置部41のうち電子回路ユニット30の抜出方向(B方向)側の端部から鉛直方向上側に突出する抜け止め部43を有する。抜け止め部43の突出方向の寸法は、軸部45の径寸法よりも大きい。抜け止め部43は、軸部45が載置部41上から外れることを防ぐ。
【0019】
一対のフック部40は、例えば筐体10の本体部に対して移動不能に固定されてもよいが、本実施形態では、収容部11の外側に突出する突出位置F1と、収容部11内に収容される収容位置F2との間で電子回路ユニット30の挿抜方向(AB方向)に移動可能である。一対のフック部40は、例えば前述した筐体側ガイドレール12、または、筐体10の内側面11bに設けられる別のガイドレール(不図示)に係合することで、挿抜方向のみに移動させることができる。本実施形態において、突出位置F1と収容位置F2との間で移動する一対のフック部40の移動経路、及び、収容位置F2は、いずれも収容部11の収容領域13内に含まれる。
一対のフック部40は、例えば図2のように収容部11の幅方向に延びる連結部44を介して一体に形成されてもよいし、例えば独立して形成されてもよい。
【0020】
電子機器装置1は、上記した一対のフック部40を突出位置F1に保持するロック機構50と、ロック機構50による一対のフック部40の突出位置F1への保持を解除するロック解除機構55と、を備える。
ロック機構50は、筐体10に設けられ、一対のフック部40に係合することで一対のフック部40を突出位置F1に保持するロック用部材51を備える。ロック用部材51は、筐体10に対して、突出位置F1に配された一対のフック部40に係合するロック位置L1と、一対のフック部40との係合が解除されるロック解除位置L2との間で移動可能に設けられる。ロック用部材51は、バネや弾性部材等からなる付勢部材52によってロック位置L1に向けて付勢される。
【0021】
ロック用部材51は、ロック位置L1に配された状態において、突出位置F1に配された一対のフック部40に対して収容位置F2側に接触状態または微小な間隔をあけて位置する。これにより、ロック用部材51がロック位置L1に配された状態では、一対のフック部40の突出位置F1から収容位置F2への移動が阻止される。また、ロック用部材51は、ロック位置L1に配された状態で収容部11の収容領域13内に位置し、ロック解除位置L2に配された状態で収容領域13外に位置する。
【0022】
ロック解除機構55は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4まで回動させた際にロック機構50による一対のフック部40の保持を解除する。
本実施形態のロック解除機構55は、ユニット本体31のうち前述した一対の軸部45よりも電子回路ユニット30の挿入方向(A方向)前側の部位(以下、ユニット本体31の前側部位34と呼ぶ)によって構成される。ユニット本体31の前側部位34は、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態で収容部11の収容領域13外に位置し、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配された状態で収容領域13内に位置する。
【0023】
前述したロック用部材51は、ロック位置L1に配された状態で、収容領域13のうち挿抜位置U4に配されたユニット本体31の前側部位34が収容される領域に位置する。このため、電子回路ユニット30を図3に示す吊下げ位置U1から図7に示す挿抜位置U4まで回動させることで、ロック用部材51がユニット本体の前側部位34によって付勢部材52の付勢力に抗って収容領域13内のロック位置L1から収容領域13外のロック解除位置L2に押し出される。
本実施形態において、ロック用部材51は、図3に示すように、収容領域13の下端から収容領域13内に入り込むことで、ロック解除位置L2からロック位置L1に移動する。一方、ユニット本体31の前側部位34は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4に回動させることで、図7に示すように、上方側から収容領域13の下端に到達する。このため、ロック用部材51は、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達する際に、ユニット本体31の前側部位34によってロック位置L1からロック解除位置L2に押し出される。
【0024】
さらに、電子機器装置1は、図7,9に示すように、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に保持する位置保持機構60と、位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持を解除する保持解除機構70と、を備える。
位置保持機構60は、電子回路ユニット30の挿抜位置U4から吊下げ位置U1への回動を阻止する。位置保持機構60は、筐体10及び電子回路ユニット30の一方に設けられる係止突起61と、筐体10及び電子回路ユニット30の他方に設けられ、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に配した状態で係止突起61が係止する保持用被係止部62と、を備える。本実施形態では、係止突起61が筐体10に設けられ、保持用被係止部62が電子回路ユニット30に設けられる。
【0025】
係止突起61は、少なくとも電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配された状態でユニット本体31の外側面31bに対向する位置に設けられる。図示しないが、係止突起61は、一対のフック部40と同様に、収容部11の幅方向両側に一対設けられる。本実施形態の係止突起61は、フック部40と一体に形成され、フック部40と共に挿抜方向(AB方向)に移動可能である(図1,8等参照)。係止突起61はフック部40に対して鉛直方向上側に間隔をあけて配されている。係止突起61は、フック部40が突出位置F1に配された状態で、図示例のように収容部11の外側に位置してもよいし、例えば収容部11(収容領域13)内に配されてもよい。
【0026】
保持用被係止部62は、ユニット本体31の各外側面31bのうち、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配された状態で係止突起61に対応する位置、具体的には軸部45からその径方向に離れた位置に設けられている。
保持用被係止部62は、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配された状態で、ユニット本体31に対して、係止突起61に係止する係止位置HA1と、係止突起61に係止しない係止解除位置HA2との間で移動可能である。また、保持用被係止部62は、バネや弾性部材等の付勢部材63によって係止位置HA1に向けて付勢される。
【0027】
本実施形態の保持用被係止部62は、係止突起61が入り込む係止凹部64を有する。係止凹部64は軸部45側に開口している。また、保持用被係止部62の係止位置HA1から係止解除位置HA2への移動方向は、軸部45からその径方向に離れる方向に設定されている。係止凹部64の内面は、係止凹部64に収容された係止突起61に対して電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1に向かう方向(後述する第二回動方向RO2)に回動させようとする際に当接することで、電子回路ユニット30の挿抜位置U4から吊下げ位置U1(第二回動方向RO2)への回動を阻止する係止面65を有する。係止面65は、軸部45の径方向に沿って直線状に延びている。
【0028】
本実施形態の保持用被係止部62は、ユニット側ガイドレール32に一体に形成されている。また、本実施形態では、保持用被係止部62を係止位置HA1と係止解除位置HA2との間で移動可能とするために、ユニット側ガイドレール32がユニット本体31に対して回動可能とされている。ユニット側ガイドレール32は、ユニット本体31の外側面31bに直交すると共にユニット側ガイドレール32の延在方向の中途部を通るレール回動軸35を中心として、ユニット本体31の前後方向に平行する基準位置RA1と、基準位置RA1に対して傾斜する回動位置RA2との間で、回動可能である。保持用被係止部62の係止位置HA1はユニット側ガイドレール32の基準位置RA1に対応し、保持用被係止部62の係止解除位置HA2はユニット側ガイドレール32の回動位置RA2に対応する。
【0029】
本実施形態において、保持用被係止部62を係止位置HA1に向けて付勢する付勢部材63は、例えば保持用被係止部62とユニット本体31との間に設けられてもよいが、本実施形態では、ユニット側ガイドレール32とユニット本体31との間に設けられ、ユニット側ガイドレール32を基準位置RA1に向けて付勢する。この付勢部材63は、例えばユニット本体31の外側(外側面31b上)に設けられてもよいし、例えばユニット本体31内に設けられてもよい。
【0030】
本実施形態の保持解除機構70は、上記した位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持の解除を操作する操作部71を備える。操作部71は、電子回路ユニット30に設けられている。本実施形態において、操作部71は、ユニット側ガイドレール32のうちレール回動軸35よりもユニット本体31の前端面31a側の部位によって構成される。すなわち、操作部71は前述した把持部33の近くに位置する。また、電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持を解除する操作部71の操作方向は、ユニット本体31の厚さ方向下側(電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配された状態で鉛直方向下側)に向かう方向に設定されている。
【0031】
さらに、電子機器装置1は、図1,3〜6に示すように、移動方向規制機構80と、規制解除機構90と、を備える。
移動方向規制機構80は、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態(図1,3参照)や、吊下げ位置U1と挿抜位置U4との間の途中位置U2,U3に配された状態(図4,6参照)で、電子回路ユニット30の吊下げ位置U1側から挿抜位置U4側に向かう第一回動方向RO1への回動を許容し、かつ、電子回路ユニット30の挿抜位置U4側から吊下げ位置U1側に向かう第二回動方向RO2への回動を規制する。
移動方向規制機構80は、筐体10及び電子回路ユニット30の一方に設けられる係止突起81と、筐体10及び電子回路ユニット30の他方に設けられて係止突起81が係止可能な規制用被係止部82と、を備える。本実施形態では、係止突起81が筐体10に設けられ、規制用被係止部82が電子回路ユニット30に設けられる。
【0032】
移動方向規制機構80の係止突起81は、例えば位置保持機構60の係止突起61と別個に設けられてもよいが、本実施形態では前述した位置保持機構60の係止突起61と同一とされている。なお、移動方向規制機構80の係止突起81が位置保持機構60の係止突起61と別個である場合であっても、移動方向規制機構80の係止突起81は、位置保持機構60の係止突起61と同様に構成されればよい。
【0033】
規制用被係止部82は、ユニット本体31の各外側面31bのうち、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1及び途中位置U2,U3に配された状態で係止突起81に対応する位置、具体的には軸部45からその径方向に離れた位置に設けられている。
規制用被係止部82は、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1や途中位置U2,U3に配された状態で、ユニット本体31に対して、係止突起81に係止する係止位置HA1と、係止突起81に係止しない係止解除位置HA2(図5,9参照)との間で移動可能である。また、規制用被係止部82は、バネや弾性部材等の付勢部材83によって係止位置HA1に向けて付勢される。
【0034】
規制用被係止部82は、係止突起81が入り込む複数の係止凹部84を有する。複数の係止凹部84は軸部45からその径方向に離れた位置において軸部45を中心とする周方向に配列されている。複数の係止凹部84は、例えば不等間隔で配列されてもよいが、本実施形態では等間隔に配列されている。複数の係止凹部84は、例えば軸部45の周方向に間隔をあけて配列されてもよいが、本実施形態では軸部45の周方向に隙間なく配列されている。
複数の係止凹部84には、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態で係止突起81が入り込む吊下げ位置係止凹部84Aと、電子回路ユニット30が途中位置U2,U3に配された状態で係止突起81が入り込む途中位置係止凹部84B,84Cと、が含まれる。
【0035】
途中位置係止凹部84B,84Cは、例えば一つ又は三つ以上であってもよいが、本実施形態では二つである。二つの途中位置係止凹部84B,84Cの一方は、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1から第一回動方向RO1に所定の角度θ1(具体的には30度)まで回動した第一途中位置U2に配された状態で、係止突起81が入り込む第一途中位置係止凹部84Bである(特に図4参照)。途中位置係止凹部84B,84Cの他方は、電子回路ユニット30が第一途中位置U2から第一回動方向RO1に所定の角度θ2(具体的には30度)まで回動した第二途中位置U3に配された状態で、係止突起81が入り込む第二途中位置係止凹部84Cである(特に図6参照)。
【0036】
各係止凹部84は軸部45側に開口している。各係止凹部84の係止位置HA1から係止解除位置HA2(図5,9参照)への移動方向は、軸部45からその径方向に離れる方向に設定されている。
各係止凹部84の内面は、係止凹部84に収容された係止突起81に対して電子回路ユニット30を第二回動方向RO2に回動させようとする際に当接することで、電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への回動を規制する係止面85を有する。係止面85は、軸部45の径方向に沿って直線状に延びている。
【0037】
また、各係止凹部84の内面は、係止突起81が係止凹部84に収容された状態で電子回路ユニット30を第一回動方向RO1に回動させる際に、係止突起81に当接して係止突起81を係止凹部84から抜け出させる摺動面86を有する。摺動面86は、前述した係止面85から軸部45の周方向に離れるにしたがって軸部45の径方向内側に傾斜するように延びている。
これにより、係止突起81が係止凹部84に収容された状態で電子回路ユニット30を第一回動方向RO1に回動させる際には、係止突起81が係止凹部84の摺動面86に当接した状態で摺動面86上を移動することで、規制用被係止部82が付勢部材83の付勢力に抗って係止位置HA1から係止解除位置HA2まで移動する(特に図5参照)。すなわち、各係止凹部84の摺動面86は、電子回路ユニット30の第一回動方向RO1への回動を許容する。
【0038】
本実施形態の規制用被係止部82は、保持用被係止部62と同様に、ユニット側ガイドレール32に一体に形成されている。本実施形態では、ユニット側ガイドレール32が前述したようにユニット本体31に対して基準位置RA1と回動位置RA2との間で回動可能とされていることで、規制用被係止部82が係止位置HA1と係止解除位置HA2との間で移動可能となっている。規制用被係止部82の係止位置HA1はユニット側ガイドレールの基準位置RA1に対応し、規制用被係止部82の係止解除位置HA2はユニット側ガイドレールの回動位置RA2に対応する。
【0039】
また、本実施形態では、規制用被係止部82を係止位置HA1に向けて付勢する付勢部材83が、保持用被係止部62を係止位置HA1に向けて付勢する付勢部材63と同一である。
さらに、本実施形態の規制用被係止部82は、保持用被係止部62と一体に形成されている。具体的に説明すれば、規制用被係止部82の複数の係止凹部84は、保持用被係止部62の係止凹部64に対して軸部45の周方向に隣り合せて配列されている(特に図3参照)。
【0040】
規制解除機構90は、上記した移動方向規制機構80による電子回路ユニットの第二回動方向RO2への移動規制を解除する。
規制解除機構90は、移動方向規制機構80による電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動規制の解除を操作する操作部91を備える。本実施形態では、規制解除機構90の操作部91が、保持解除機構70の操作部71と同じユニット側ガイドレール32の所定部位によって構成される。このため、電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動規制を解除する操作部91の操作方向は、保持解除機構70の操作部71の操作方向と同じとなる。
【0041】
次に、上記構成の電子機器装置1において、電子回路ユニット30を筐体10の収容部11に対して挿抜する方法について説明する。
【0042】
電子回路ユニット30を収容部11に収容する際には、はじめに、図1,3に示すように、電子回路ユニット30の一対の軸部45を突出位置F1に配された筐体10の一対のフック部40に係止させて、電子回路ユニットを吊下げ位置U1に配する。この際、フック部40はロック機構50(具体的にはロック位置L1に配されたロック用部材51)によって収容部11の外側の突出位置F1に保持されているため、安定して軸部45をフック部40に係止させることができる。電子回路ユニット30を吊下げ位置U1に配した状態では、作業者が電子回路ユニット30を手放しても電子回路ユニット30が落下することはない。
【0043】
また、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1に配する際には、筐体10の係止突起81(61)を電子回路ユニット30に設けられた規制用被係止部82の吊下げ位置係止凹部84Aに入り込ませる。筐体10の係止突起81(61)が吊下げ位置係止凹部84Aに入り込んだ状態では、係止突起81(61)が吊下げ位置係止凹部84Aの係止面85に当接するため、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1からさらに第二回動方向RO2(挿抜位置U4から離れる方向)に回動することはない。
【0044】
次に、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4まで一対のフック部40に係止された一対の軸部45を中心に第一回動方向RO1に回動させる。この際、一対のフック部40はロック機構50によって突出位置F1に保持されるため、電子回路ユニット30を安定した状態で回動させることができる。
【0045】
電子回路ユニット30の第一回動方向RO1への回動は、移動方向規制機構80によって阻止されない。具体的に説明すれば、図1,3,4,6に示すように、係止突起81(61)が規制用被係止部82の各係止凹部84(吊下げ位置係止凹部84Aや途中位置係止凹部84B,84C)に入り込んだ状態、すなわち、規制用被係止部82が係止位置HA1に配された状態から電子回路ユニット30を第一回動方向RO1に回動させる際には、係止突起81(61)が係止凹部84の摺動面86に当接した状態で摺動面86上を移動する。これによって、規制用被係止部82が、図5に例示するように、付勢部材83(63)の付勢力に抗って係止位置HA1から係止解除位置HA2まで移動する。すなわち、係止突起81(61)が係止凹部84から抜け出すことができる。
【0046】
また、電子回路ユニット30を第一回動方向RO1に回動させる際に、係止突起81(61)が吊下げ位置係止凹部84Aから抜け出し、図4に示すように付勢部材83(63)の付勢力によって第一途中位置係止凹部84Bに入り込んだ状態、及び、第一途中位置係止凹部84Bから抜け出し、図6に示すように付勢部材83(63)の付勢力によって第二途中位置係止凹部84Cに入り込んだ状態では、係止突起81(61)が第一途中位置係止凹部84Bや第二途中位置係止凹部84Cの係止面85に当接する。このため、電子回路ユニット30が各途中位置U2,U3から第二回動方向RO2(吊下げ位置U1に近づく方向)に回動することはない。これにより、作業者は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4まで回動させる作業を中断し、電子回路ユニット30から手を放すことができる。
【0047】
そして、図7に示すように、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達した状態では、電子回路ユニット30が位置保持機構60によって挿抜位置U4に保持される。具体的に説明すれば、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達した際には、第二途中位置係止凹部84Cから抜け出した係止突起61(81)が、付勢部材63(83)の付勢力によって保持用被係止部62の係止凹部64に入り込む。この状態では、係止突起61(81)が保持用被係止部62の係止凹部64の係止面65に当接するため、電子回路ユニット30が挿抜位置U4から第二回動方向RO2に回動することはない。
【0048】
また、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達する際には、ロック解除機構55によってロック機構50による一対のフック部40の突出位置F1への保持が解除される。具体的に説明すれば、電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達する際には、ユニット本体31の前側部位34が収容部11の収容領域13内に入り込むことで、ロック用部材51が、ユニット本体31の前側部位34によって、収容領域13内のロック位置L1(図3参照)から収容領域13外のロック解除位置L2に押し出される。これにより、一対のフック部40は、突出位置F1と収容部11内側の収容位置F2との間で電子回路ユニット30の挿抜方向(AB方向)に移動可能となる。係止突起61(81)は、フック部40に一体に形成されているため、フック部40と同様に電子回路ユニット30の挿抜方向に移動可能となる。
【0049】
最後に、図7,8に示すように、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から挿入方向(A方向)に移動させて電子回路ユニット30を収容部11に挿入することで、電子回路ユニット30を収容部11に収容する作業が完了する。
電子回路ユニット30を収容部11に挿入する際、フック部40及び係止突起61(81)は電子回路ユニット30の挿抜方向に移動可能であるため、電子回路ユニット30は、その軸部45がフック部40に係止した状態で、また、係止突起61(81)が電子回路ユニット30の保持用被係止部62に係止した状態で、収容部11に収容される。また、電子回路ユニット30を収容部11に挿入する際には、保持用被係止部62が係止位置HA1に配されることに伴って電子回路ユニット30のユニット側ガイドレール32が基準位置RA1に配されるため、ユニット側ガイドレール32を筐体側ガイドレール12の長さ方向に沿って摺動させることができる。
【0050】
一方、電子回路ユニット30を収容部11から取り出す際には、はじめに、電子回路ユニット30を抜出方向(B方向)に移動させて、収容部11外側の挿抜位置U4に到達させる。この際、電子回路ユニットの軸部45はフック部40に係止しているため、また、係止突起61(81)は電子回路ユニット30の保持用被係止部62に係止しているため、フック部40及び係止突起61(81)が電子回路ユニット30と共に抜出方向に移動し、電子回路ユニット30の挿抜位置U4に対応する突出位置F1に到達する。電子回路ユニット30を抜出方向に移動させる際、作業者は、例えばユニット本体31の前端面31aに設けられた把持部33を掴むとよい。
電子回路ユニット30が挿抜位置U4に到達した状態では、電子回路ユニット30が収容部11の外側に位置するが、係止突起61(81)が保持用被係止部62に係止していることで、電子回路ユニット30は挿抜位置U4に保持される。
【0051】
次に、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1まで一対のフック部40に係止された一対の軸部45を中心に第二回動方向RO2に回動させる(図1,4〜6参照)。
この際には、図9に示すように、保持解除機構70によって、位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持を解除する。また、規制解除機構90によって、移動方向規制機構80による電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動規制を解除する。具体的には、作業者の手指等によって保持解除機構70及び規制解除機構90としての操作部71,91を操作して、保持用被係止部62及び規制用被係止部82を係止位置HA1から係止解除位置HA2に移動させる。本実施形態では、操作部71,91がユニット本体31の前端面31a側に設けられると共に、操作部71,91の操作方向がユニット本体31の上面側から下面側に向かう方向(図9において鉛直方向下向き)に設定されている。このため、作業者はユニット本体31の前端面31a側の部位を手で支えながら操作部71,91を容易に操作することができる。
【0052】
そして、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1まで回動させる際には、例えば図4,6に示すように、電子回路ユニット30が途中位置U2,U3に配された状態で、移動方向規制機構80によって電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動を規制してもよい。具体的には、作業者による規制解除機構90の操作部91(71)の操作を解除することで、規制用被係止部82を付勢部材83(63)の付勢力によって係止解除位置HA2から係止位置HA1に移動させてもよい。この場合、作業者は、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1まで回動させる作業を中断し、電子回路ユニット30から手を放すことができる。
【0053】
上記のように電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1まで回動させる際、特に電子回路ユニット30が挿抜位置U4から離れた際には、ロック機構50によって一対のフック部40及び係止突起61,81が突出位置F1に保持される。具体的に説明すれば、電子回路ユニット30が挿抜位置U4から離れた際には、ユニット本体31の前側部位34が収容部11の収容領域13内から収容領域13外に移動するため、ユニット本体31の前側部位34によるロック用部材51の収容領域13外への押し出しが解除される。これにより、ロック用部材51は、付勢部材52(図3参照)の付勢力によって収容領域13内のロック位置L1に復帰し、一対のフック部40及び係止突起61,81を突出位置F1に保持する。これにより、電子回路ユニット30を安定した状態で第二回動方向RO2に回動させることができる。
【0054】
最後に、図1,3に示すように吊下げ位置U1に配された電子回路ユニット30を筐体10から取り外すことで、電子回路ユニット30を収容部11から取り出す作業が完了する。
電子回路ユニット30を筐体10から取り外す際には、例えば電子回路ユニット30を鉛直方向上側に持ち上げる等して、電子回路ユニット30の一対の軸部45と筐体10の一対のフック部40との係止状態を解除し、また、係止突起81(61)を吊下げ位置係止凹部84Aから抜き出せばよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の電子機器装置1によれば、筐体10に設けられる一対のフック部40と、電子回路ユニット30に設けられて一対のフック部40に係止可能な一対の軸部45と、を備えるため、作業者は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1に配した状態において、電子回路ユニット30を手放すことができる。すなわち、作業者は電子回路ユニット30の挿抜作業の途中で電子回路ユニット30を手放すことができる。したがって、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業を容易に行うことができる。この効果は、筐体10の収容部11が高い位置にある場合に、特に有効である。
【0056】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、移動方向規制機構80を備えることで、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に配された状態、また、電子回路ユニット30が途中位置U2,U3に配された状態において、作業者が電子回路ユニット30を手放しても、電子回路ユニット30は第二回動方向RO2に移動しない。このため、作業者は、電子回路ユニット30を途中位置U2,U3に配した状態においても、電子回路ユニット30を手放すことができる。したがって、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業をさらに容易に行うことができる。
また、移動方向規制機構80を備えることで、電子回路ユニット30が、筐体10や筐体10の別の収容部に収容された別の電子回路ユニットに衝突することを確実に防ぐこともできる。
【0057】
さらに、本実施形態の電子機器装置1によれば、規制解除機構90を備えることで、移動方向規制機構80による電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動規制を解除することができる。すなわち、電子回路ユニット30を第二回動方向RO2に移動させることができ、電子回路ユニット30の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、位置保持機構60を備えることで、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1や収容部11内から挿抜位置U4に移動させた状態で、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に保持することができる。このため、作業者は、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に配した状態においても、電子回路ユニット30を手放すことができる。したがって、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業をさらに容易に行うことができる。
また、位置保持機構60を備えることで、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4まで移動させるだけで、電子回路ユニット30の前後方向を容易に収容部11に対する挿抜方向に一致させることができる。言い換えれば、作業者が電子回路ユニット30の前後方向が収容部11に対する挿抜方向に一致するように電子回路ユニット30の向きを調整する必要が無くなる。したがって、電子回路ユニット30を容易に収容部11に収容することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の電子機器装置1によれば、保持解除機構70を備えることで、位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持を解除することができる。すなわち、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1に移動させることができ、電子回路ユニット30の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、一対のフック部40や係止突起61,81が、収容部11外の突出位置F1と収容部11内の収容位置F2との間で電子回路ユニット30の挿抜方向に移動可能となっている。このため、電子回路ユニット30の一対の軸部45が一対のフック部40に係止した状態で、また、係止突起61(81)が電子回路ユニット30の保持用被係止部62に係止した状態で、一対のフック部40や係止突起61(81)を電子回路ユニット30と共に収容部11に対して挿抜方向に移動させることができる。すなわち、収容部11に対する電子回路ユニット30の挿抜作業をさらに容易に行うことができる。
また、一対のフック部40や係止突起61,81が収容部11内に収容されることで、作業者による電子機器装置1の操作等の各種作業が一対のフック部40や係止突起61,81によって阻害されることを防止できる。すなわち、作業者による電子機器装置1の操作等の各種作業を円滑に行うことが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態の電子機器装置1によれば、ロック機構50を備えることで、一対のフック部40を突出位置F1に保持できるため、電子回路ユニット30を安定した状態で吊下げ位置U1と挿抜位置U4との間で回動させることができる。すなわち、電子回路ユニット30の挿抜作業をさらに容易に行うことができる。
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、ロック解除機構55を備えることで、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1から挿抜位置U4まで回動させるだけで、ロック機構50による一対のフック部40の突出位置F1への保持を解除できる。このため、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に到達させた後には、直ぐに一対のフック部40を電子回路ユニット30と共に収容部11に対して挿抜方向に移動させることができる。
【0062】
さらに、本実施形態の電子機器装置1によれば、保持解除機構70、規制解除機構90としての操作部71,91が電子回路ユニット30に設けられるため、作業者は電子回路ユニット30を持った状態で操作部71,91を操作して、位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持や、移動方向規制機構80による電子回路ユニット30の第二回動方向RO2への移動規制を解除することができる。すなわち、電子回路ユニット30をさらに容易に筐体10から取り外すことができる。
また、作業者が電子回路ユニット30を手放した状態では操作部71,91が操作されないため、位置保持機構60による電子回路ユニット30の挿抜位置U4への保持が不意に解除されたり、移動方向規制機構80による電子回路ユニット30の前記第二回動方向RO2への移動規制が不意に解除されたりすることを防止できる。
【0063】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、図10を参照して第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
図10に示すように、本実施形態に係る電子機器装置1Aは、第一実施形態の電子機器装置1と同様に構成されている。その上で、本実施形態の電子機器装置1Aは、係止解除位置HA2に配された保持用被係止部62や規制用被係止部82がさらに係止位置HA1から離れる方向に移動することを規制する解除動作規制部100を備える。
解除動作規制部100は、例えば、ユニット本体31に設けられて、回動位置RA2に配されたユニット側ガイドレール32がさらに基準位置RA1から離れる方向に移動することを規制する部材であってもよいが、本実施形態では、軸部45の周方向に延びる保持用被係止部62や規制用被係止部82と平行して延びる円弧状の規制部材101からなる。
【0065】
規制部材101は、保持用被係止部62、規制用被係止部82と一体に形成され、保持用被係止部62の係止凹部64や規制用被係止部82の係止凹部84(特に、途中位置係止凹部84B,84C)に対して軸部45の径方向内側に位置する。規制部材101と保持用被係止部62や規制用被係止部82との間隔は、これらの間に係止突起61,81が入り込むことができる範囲で小さく設定されるとよい。
【0066】
本実施形態の電子機器装置1Aによれば、作業者の操作によって保持用被係止部62や規制用被係止部82を係止位置HA1から係止解除位置HA2に移動させる際に、保持用被係止部62や規制用被係止部82が係止突起61,81から過度に離れることを防止できる。このため、上記した作業者の操作が解除された際には、保持用被係止部62や規制用被係止部82を付勢部材63,83の付勢力によって素早く係止位置HA1に戻すことができる。
これにより、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1よりも挿抜位置U4側に位置する状態で、仮に作業者が上記操作を解除すると同時に電子回路ユニット30から手を放しても、係止突起61,81が保持用被係止部62の係止凹部64や規制用被係止部82の係止凹部84に係止しやすくなる。すなわち、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1よりも挿抜位置U4側に位置する状態で、作業者が上記操作を解除すると同時に電子回路ユニット30から手を放しても、電子回路ユニット30が吊下げ位置U1に向けて大きく動くことを効果的に抑制できる。
【0067】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0068】
位置保持機構60の係止突起61は、例えば図11に示すように、移動方向規制機構80の係止突起81と別個に設けられてもよい。この場合、位置保持機構60の保持用被係止部62も移動方向規制機構80の規制用被係止部82と別個に設けられればよい。
図11に例示する保持用被係止部62は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1側から挿抜位置U4まで回動させた際に、位置保持機構60の係止突起61が挿入される収容凹部67を有する。収容凹部67は、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1側から挿抜位置U4に到達させる際に係止突起61が入り込むように、軸部45の周方向に開口する。
【0069】
保持用被係止部62には、収容凹部67の開口を開閉自在に塞ぐ閉塞部68が設けられている。閉塞部68は、保持用被係止部62に対して収容凹部67の開口を閉じる位置CLと、収容凹部67の開口を開放する位置OPとの間で回動可能に設けられる。閉塞部68の閉じる位置CLから開放する位置OPへの回動方向は、収容凹部67の内側に入り込む方向であり、閉塞部68は収容凹部67の外側に移動不能である。閉塞部68は、不図示の付勢部材(例えばねじりばね)によって閉じる位置CLに向けて付勢されている。
【0070】
図11に例示する電子機器装置1Bにおいて、電子回路ユニット30を吊下げ位置U1側から挿抜位置U4まで移動させた際には、閉塞部68に阻害されることなく、位置保持機構60の係止突起61を収容凹部67に収容することができる。電子回路ユニット30が挿抜位置U4に配され、かつ、位置保持機構60の係止突起61が収容凹部67に収容された状態では、閉塞部68が付勢部材の付勢力によって閉じる位置CLに配される。この状態において電子回路ユニット30を吊下げ位置U1に向けて回動させようとしても、係止突起61の収容凹部67からの抜け出しが閉塞部68によって阻害される。すなわち、図11に例示する位置保持機構60は、上記実施形態と同様に、電子回路ユニット30を挿抜位置U4に保持する。
【0071】
図11に例示する電子機器装置1Bにおいて、電子回路ユニット30を挿抜位置U4から吊下げ位置U1に向けて移動させるためには、閉塞部68を収容凹部67の開口を閉じる位置CLから開放する位置OPまで移動させればよい。このように閉塞部68を移動させるための保持解除機構は、例えば電子回路ユニット30に設けられ、閉塞部68に連結された不図示の操作部によって構成されればよい。
図11の電子機器装置1Bにおいては、位置保持機構60の係止突起61が、移動方向規制機構80の係止突起81よりも鉛直方向上側に位置しているが、例えば移動方向規制機構80の係止突起81よりも鉛直方向下側に位置してもよい。
【0072】
また、保持解除機構70及び規制解除機構90の操作部71,91は、例えば図12に示すように、ユニット本体31の前端面31aに設けられる把持部33Cによって構成されてもよい。以下、この構成について説明する。
【0073】
図12に示すように、位置保持機構60の保持用被係止部62及び移動方向規制機構80の規制用被係止部82は、上記実施形態と同様の形状に形成され、また、上記実施形態と同様に、係止突起61,81に係止する係止位置HA1と、係止突起61,81に係止しない係止解除位置HA2との間で移動可能である。さらに、保持用被係止部62及び規制用被係止部82は、同一の付勢部材63C,83Cによって係止位置HA1に向けて付勢される。
一方、保持解除機構70及び規制解除機構90の操作部71,91としての把持部33Cは、ユニット本体31の前端面31aに対して近接離間するようにユニット本体31の前後方向(図12において上下方向)に移動可能とされている。
【0074】
そして、保持用被係止部62及び規制用被係止部82は、把持部33Cをユニット本体31の前後方向に移動させた際に保持用被係止部62及び規制用被係止部82が係止位置HA1と係止解除位置HA2との間で移動するように、把持部33Cに対して連結されている。具体的に説明すれば、把持部33Cがユニット本体31の前端面31aから離間する方向に移動すると、保持用被係止部62及び規制用被係止部82が係止解除位置HA2側から係止位置HA1に向けて移動する。逆に、把持部33Cがユニット本体31の前端面31aに近づく方向に移動すると、保持用被係止部62及び規制用被係止部82が係止位置HA1側から係止解除位置HA2に向けて移動する。
【0075】
図12に例示する構成では、把持部33Cがユニット側ガイドレール32に一体に形成され、ユニット側ガイドレール32が把持部33Cと共にユニット本体31の前後方向に移動可能とされている。その上で、把持部33Cは、ユニット側ガイドレール32を介して保持用被係止部62及び規制用被係止部82に連結されている。
図12に例示する構成では、保持用被係止部62及び規制用被係止部82を係止位置HA1に向けて付勢する付勢部材63C,83Cが、把持部33Cとユニット本体31の前端面31aとの間に設けられ、把持部33Cをユニット本体31の前端面31aから離す方向に付勢する。
【0076】
図12の電子機器装置1Cによれば、保持解除機構70及び規制解除機構90の操作部71,91がユニット本体31の前端面31aに設けられる把持部33Cによって構成されるため、作業者はユニット本体31の前端面31a側の部位を手で支えながら操作部71,91を容易に操作することができる。
【0077】
また、上記した全ての実施形態において、筐体10の収容部11は、例えば収容部11に収容される電子回路ユニット30を支持する底面を有してもよい。この場合、収容部11や電子回路ユニット30には、筐体側ガイドレール12やユニット側ガイドレール32が設けられなくてもよい。
【0078】
また、上記した全ての実施形態においては、例えば、一対のフック部40が電子回路ユニット30のユニット本体31に設けられ、一対の軸部45が筐体10に設けられてもよい。この場合、一対の軸部45は収容部11の幅方向両端から幅方向内側に突出して形成されるとよい。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B,1C 電子機器装置
10 筐体
11 収容部
30 電子回路ユニット
U1 吊下げ位置
U4 挿抜位置
RO1 第一回動方向
RO2 第二回動方向
31 ユニット本体
40 フック部
F1 突出位置
F2 収容位置
45 軸部
50 ロック機構
55 ロック解除機構
60 位置保持機構
70 保持解除機構
71 操作部
80 移動方向規制機構
90 規制解除機構
91 操作部
図1
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図10
図11
図12