特許第6446338号(P6446338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446338
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20181217BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   G06K7/10 204
   G06K7/08 040
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-137138(P2015-137138)
(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公開番号】特開2017-21485(P2017-21485A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】見澤 守
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−86325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されたデータの読取りおよび前記カードへのデータの書込みの少なくともいずれか一方を行う記録再生手段を備えるカードリーダにおいて、
前記記録再生手段から出力されるデータ信号および前記記録再生手段に入力されるデータ信号の少なくともいずれか一方を伝える第1ケーブルと、前記カードリーダを制御するための平板状の回路基板と、前記回路基板に実装され前記第1ケーブルの一端側が接続されるコネクタと、前記回路基板に接続され前記カードリーダを制御するための制御信号を伝える第2ケーブルとを備え、
前記第2ケーブルの幅は、前記第1ケーブルの幅よりも広くなっており、
前記第2ケーブルは、前記第1ケーブルと前記コネクタとの接続部分を覆うように前記回路基板に接続されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記第2ケーブルは、前記第1ケーブルと前記コネクタとの接続部分を覆うとともに、前記第1ケーブルの少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記記録再生手段は、磁気ヘッドであり、
前記第1ケーブルの他端は、前記磁気ヘッドに接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記カードリーダを制御するための平板状の第2回路基板を備え、
前記第2ケーブルは、前記回路基板と前記第2回路基板とを電気的に繋いでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記カードが通過するカード通過路と、前記カード通過路を通過する前記カードを検知するためのカード検知機構とを備え、
前記カード検知機構は、前記カード通過路を挟むように配置される発光部と受光部とを有する光学式のセンサであり、
前記第2回路基板には、前記発光部または前記受光部が実装されていることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記カードが通過するカード通過路を備え、
前記記録再生手段は、磁気ヘッドであり、
前記カード通過路を通過する前記カードの厚さ方向の一方を第1方向とし、その反対方向を第2方向とすると、
前記回路基板は、前記カード通過路よりも第1方向側に配置され、
前記第2回路基板は、前記カード通過路よりも第2方向側に配置され、
前記磁気ヘッドは、第2方向側から前記カード通過路に臨むように配置されていることを特徴とする請求項4または5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記カードが通過するカード通過路と、前記回路基板に実装され前記第2ケーブルの一端側が接続される第2コネクタとを備え、
前記カード通過路を通過する前記カードの厚さ方向の一方を第1方向とし、その反対方向を第2方向すると、
前記回路基板は、前記回路基板の厚さ方向と前記カード通過路を通過する前記カードの厚さ方向とが一致するように前記カード通過路よりも第1方向側に配置され、
前記コネクタは、前記回路基板の第2方向側の面に実装され、
前記第2コネクタは、前記回路基板の第1方向側の面に実装され、
前記第1ケーブルと前記コネクタとの接続部分は、前記第1方向側から前記回路基板に覆われるとともに、前記カード通過路を通過する前記カードの幅方向の一方側から前記第2ケーブルに覆われていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記第2ケーブルは、前記カード通過路を通過する前記カードの幅方向の一方側から前記第1ケーブルの少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項7記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの書込みを行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの書込みを行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、カードに記録された磁気データの読取りを行う磁気ヘッドを備えている。磁気ヘッドには、フレキシブルケーブルが接続されている。フレキシブルケーブルは、データ信号層と、絶縁層を介してデータ信号層の両面を覆う断線検知信号層とを備えている。データ信号層には、磁気ヘッドで読み取られた磁気データのデータ信号を伝えるデータ信号パターンが形成され、断線検知信号層には、自身が断線したことを検知するための断線検知信号パターンが形成されている。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、データ信号層が断線検知信号層に覆われているため、犯罪者がデータ信号パターンに信号線を取り付けてデータ信号を不正に取得しようとすると、断線検知信号パターンが破壊されて断線する。したがって、このカードリーダでは、断線検知信号パターンを用いて犯罪行為が行われていることを検知することが可能になり、その結果、犯罪者による磁気データの不正取得を阻止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−203950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、磁気ヘッドで読み取られた磁気データのデータ信号を伝えるフレキシブルケーブルに断線検知信号層が形成されているため、上述のように、犯罪者によるデータ信号の不正取得を阻止することが可能になる。しかしながら、このカードリーダでは、磁気データのデータ信号を伝えるフレキシブルケーブルに断線検知信号層が形成されているため、フレキシブルケーブルの構造が複雑になり、フレキシブルケーブルのコストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カードに対してデータの読取りや書込みを行う記録再生手段から出力されるデータ信号や記録再生手段に入力されるデータ信号を伝えるケーブルのコストを低減しつつ、犯罪者によるデータ信号の不正取得を抑制することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取りおよびカードへのデータの書込みの少なくともいずれか一方を行う記録再生手段を備えるカードリーダにおいて、記録再生手段から出力されるデータ信号および記録再生手段に入力されるデータ信号の少なくともいずれか一方を伝える第1ケーブルと、カードリーダを制御するための平板状の回路基板と、回路基板に実装され第1ケーブルの一端側が接続されるコネクタと、回路基板に接続されカードリーダを制御するための制御信号を伝える第2ケーブルとを備え、第2ケーブルの幅は、第1ケーブルの幅よりも広くなっており、第2ケーブルは、第1ケーブルとコネクタとの接続部分を覆うように回路基板に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のカードリーダでは、記録再生手段から出力されるデータ信号や記録再生手段に入力されるデータ信号を伝える第1ケーブルの幅よりも第2ケーブルの幅が広くなっており、最もデータ信号を不正取得されやすい第1ケーブルとコネクタとの接続部分がこの幅の広い第2ケーブルに覆われている。そのため、本発明では、特許文献1に記載の断線検知信号層が第1ケーブルに形成されていなくても、犯罪者によるデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、第1ケーブルのコストを低減しつつ、犯罪者によるデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。また、本発明では、カードリーダを制御するための制御信号を伝える第2ケーブルによって、第1ケーブルとコネクタとの接続部分が覆われているため、第1ケーブルとコネクタとの接続部分を覆うための部材を別途設ける必要がない。したがって、本発明では、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0009】
本発明において、第2ケーブルは、第1ケーブルとコネクタとの接続部分を覆うとともに、第1ケーブルの少なくとも一部を覆っていることが好ましい。このように構成すると、犯罪者によるデータ信号の不正取得を効果的に抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、記録再生手段は、磁気ヘッドであり、第1ケーブルの他端は、磁気ヘッドに接続されている。この場合には、第1ケーブルのコストを低減しつつ、磁気ヘッドから出力される磁気データのデータ信号や磁気ヘッドに入力される磁気データのデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、カードリーダは、カードリーダを制御するための平板状の第2回路基板を備え、第2ケーブルは、回路基板と第2回路基板とを電気的に繋いでいる。この場合には、たとえば、カードリーダは、カードが通過するカード通過路と、カード通過路を通過するカードを検知するためのカード検知機構とを備え、カード検知機構は、カード通過路を挟むように配置される発光部と受光部とを有する光学式のセンサであり、第2回路基板には、発光部または受光部が実装されている。この場合には、カードリーダを制御するための第2回路基板と回路基板とを電気的に繋ぐ第2ケーブルによって第1ケーブルとコネクタとの接続部分が覆われているため、第1ケーブルとコネクタとの接続部分を覆うための部材を別途設ける必要がない。したがって、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、カードリーダは、カードが通過するカード通過路を備え、記録再生手段は、磁気ヘッドであり、カード通過路を通過するカードの厚さ方向の一方を第1方向とし、その反対方向を第2方向とすると、回路基板は、カード通過路よりも第1方向側に配置され、第2回路基板は、カード通過路よりも第2方向側に配置され、磁気ヘッドは、第2方向側からカード通過路に臨むように配置されている。この場合には、カード通過路の第2方向側から第1方向側に向かって引き回される第2ケーブルによって第1ケーブルとコネクタとの接続部分を覆うことが可能になる。
【0013】
本発明において、カードリーダは、カードが通過するカード通過路と、回路基板に実装され第2ケーブルの一端側が接続される第2コネクタとを備え、カード通過路を通過するカードの厚さ方向の一方を第1方向とし、その反対方向を第2方向すると、回路基板は、回路基板の厚さ方向とカード通過路を通過するカードの厚さ方向とが一致するようにカード通過路よりも第1方向側に配置され、コネクタは、回路基板の第2方向側の面に実装され、第2コネクタは、回路基板の第1方向側の面に実装され、第1ケーブルとコネクタとの接続部分は、第1方向側から回路基板に覆われるとともに、カード通過路を通過するカードの幅方向の一方側から第2ケーブルに覆われていることが好ましい。このように構成すると、回路基板と第2ケーブルとによって、第1ケーブルとコネクタとの接続部分を確実に覆うことが可能になる。したがって、犯罪者によるデータ信号の不正取得を効果的に抑制することが可能になる。
【0014】
また、この場合には、第2ケーブルは、カード通過路を通過するカードの幅方向の一方側から第1ケーブルの少なくとも一部を覆っていることが好ましい。このように構成すると、犯罪者によるデータ信号の不正取得をより効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のカードリーダでは、カードに対してデータの読取りや書込みを行う記録再生手段から出力されるデータ信号や記録再生手段に入力されるデータ信号を伝えるケーブルのコストを低減しつつ、犯罪者によるデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの概略側面図である。
図2図1のE部の拡大図である。
図3図2のF−F方向から回路基板、第1ケーブル、第2ケーブル、コネクタおよび第2コネクタ等を示す図である。
図4】本発明の他の実施の形態にかかるコネクタの配置を説明するための拡大図である。
図5図4のG−G方向から回路基板、第1ケーブル、第2ケーブル、コネクタおよび第2コネクタ等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(カードリーダの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の概略側面図である。図2は、図1のE部の拡大図である。図3は、図2のF−F方向から回路基板6、ケーブル8、9およびコネクタ12、15等を示す図である。
【0019】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りおよびカード2へのデータの書込みの少なくともいずれか一方を行うための装置であり、たとえば、ATM等の所定の上位装置に搭載されて使用される。カードリーダ1の内部には、カード挿入口から挿入されたカード2が通過するカード通過路3が形成されている。本形態のカードリーダ1は、カード通過路3でカード2を搬送するカード搬送機構を備えており、カード通過路3は、カード2が搬送されるカード搬送路となっている。
【0020】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。カード2には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード2には、ICチップが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0021】
図1に示すように、カード通過路3を通過するカード2は、X方向へ移動する。X方向に直交するZ方向は、カード通過路3を通過するカード2の厚さ方向であり、Z方向とX方向とに直交するY方向は、カード通過路3を通過するカード2の幅方向である。以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、カード2の幅方向の一方である図3のY1方向を「右」方向とし、その反対方向(カード2の幅方向の他方)である図3のY2方向を「左」方向とする。また、カード2の厚さ方向の一方である図1のZ1方向を「上」方向とし、その反対方向(カード2の厚さ方向の他方)である図1のZ2方向を「下」方向とする。本形態の上方向(Z1方向)は第1方向であり、下方向(Z2方向)は第2方向である。
【0022】
カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りおよびカード2への磁気データの書込みの少なくともいずれか一方を行う記録再生手段としての磁気ヘッド5を備えている。磁気ヘッド5は、下側からカード通過路3に臨むように配置されている。具体的には、磁気ヘッド5は、磁気ヘッド5の磁気ギャップがカード通過路3に下側から臨むように配置されている。
【0023】
また、カードリーダ1は、カードリーダ1を制御するための回路基板6と、カードリーダ1を制御するための第2回路基板としての回路基板7と、磁気ヘッド5から出力される磁気データのデータ信号および磁気ヘッド5に入力される磁気データのデータ信号の少なくともいずれか一方を伝える第1ケーブルとしてのケーブル8と、回路基板6に接続されカードリーダ1を制御するための制御信号を伝える第2ケーブルとしてのケーブル9とを備えている。
【0024】
回路基板6、7は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略長方形の平板状に形成されている。回路基板6は、回路基板6の厚さ方向と上下方向とが一致するようにカードリーダ1の本体フレーム10に固定されている。また、回路基板6は、カードリーダ1の上端側部分に配置されており、カード通過路3よりも上側に配置されている。回路基板7は、回路基板7の厚さ方向と上下方向とが一致するように本体フレーム10に固定されている。また、回路基板7は、カード通過路3よりも下側に配置されている。
【0025】
回路基板6は、カードリーダ1を制御するためのメイン基板であり、回路基板6には、磁気データの処理回路やカード搬送機構を構成するモータの駆動回路等の主要な回路が実装されている。また、カードリーダ1は、カード通過路3を通過するカード2を検知するためのカード検知機構16を備えており、このカード検知機構16は、上下方向でカード通過路3を挟むように対向配置される発光部17と受光部18とを有する光学式のセンサである。回路基板6には、受光部18が実装されている。一方、回路基板7は、センサ基板であり、回路基板7には、発光部17が実装されている。なお、回路基板6に発光部17が実装され、回路基板7に受光部18が実装されても良い。また、カード2が非接触式のICカードである場合には、通信用のアンテナとアンテナの制御回路とが回路基板7に実装されても良い。
【0026】
ケーブル8は、たとえば、被覆付きの導線と、この導線の周りを覆う細い導線または金属箔とを備えるシールド線であり、磁気ヘッド5と回路基板6とを電気的に繋いでいる。ケーブル8の一端側は、回路基板6に実装されたコネクタ12に接続されている。具体的には、ケーブル8の一端に雄型のコネクタが取り付けられており、この雄型のコネクタが、雌型のコネクタであるコネクタ12に差し込まれている。コネクタ12は、回路基板6の右端側の下面に実装されており、コネクタ12の全体が上側から回路基板6に覆われている。また、ケーブル8とコネクタ12との接続部分は、上側から回路基板6に覆われている。具体的には、ケーブル8とコネクタ12との接続部分の全体が上側から回路基板6に覆われている。また、ケーブル8の上端側は、上側から回路基板6に覆われている。ケーブル8の他端は、磁気ヘッド5に接続されている。具体的には、ケーブル8の他端は、本体フレーム10の内部において磁気ヘッド5の端子に接続されている。
【0027】
ケーブル8は、磁気ヘッド5が配置されるカードリーダ1の下端側から回路基板6が配置されるカードリーダ1の上端側に向かって引き回されている。また、ケーブル8は、本体フレーム10の右側面に沿うように本体フレーム10の外側を引き回されている。すなわち、本体フレーム10の内部に配置される磁気ヘッド5に他端が接続されるケーブル8は、本体フレーム10の下端側から右側へ引き出された後に本体フレーム10の右側面に沿って上方向へ引き回され、その後、コネクタ12に右側から接続されている。ケーブル8の上端側の一部分は、本体フレーム10に取り付けられるクランプ部材13に保持されている。
【0028】
ケーブル9は、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable(FFC))またはフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits(FPC))であり、細長い帯状に形成されている。ケーブル9の幅は、ケーブル8の幅よりも広くなっている。また、ケーブル9の幅は、コネクタ12の幅(前後方向の幅)よりも広くなっている。ケーブル9は、回路基板6と回路基板7とを電気的に繋いでおり、カード検知機構16の発光部17の制御信号を回路基板6から回路基板7に伝えている。
【0029】
ケーブル9の一端側は、回路基板6に実装されたコネクタ15に接続されている。具体的には、ケーブル9の一端は、コネクタ15に直接差し込まれている。また、ケーブル9の他端は、回路基板7に直接、あるいは、コネクタを介して接続されている。コネクタ15は、回路基板6の右端側の上面に実装されている。具体的には、コネクタ15は、図3に示すように、上下方向においてコネクタ12と重なるように回路基板6の上面に実装されている。上下方向から見たときに、コネクタ15は、コネクタ12よりも大きくなっており、コネクタ12は、コネクタ15の外形の中に収まっている。本形態のコネクタ15は第2コネクタである。
【0030】
ケーブル9は、回路基板7が配置されるカードリーダ1の下端側から回路基板6が配置されるカードリーダ1の上端側に向かって引き回されている。また、ケーブル9は、本体フレーム10の右側面に沿うように本体フレーム10の外側を引き回されている。すなわち、回路基板7に他端が接続されるケーブル9は、本体フレーム10の下端側から右側へ引き出された後に本体フレーム10の右側面に沿って真上に引き回され、その後、コネクタ15に右側から接続されている。
【0031】
図2に示すように、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を右側から覆っている。すなわち、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を右側から覆うようにコネクタ15を介して回路基板6に接続されている。本形態では、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分の全体を右側から覆っている。また、ケーブル9は、コネクタ12の全体を右側から覆うとともに、ケーブル8の上端側の一部分を右側から覆っている。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド5から出力される磁気データのデータ信号や磁気ヘッド5に入力される磁気データのデータ信号を伝えるケーブル8とコネクタ12との接続部分は、上側から回路基板6に覆われるとともに、ケーブル8よりも幅の広いケーブル9によって右側から覆われている。すなわち、本形態では、磁気データのデータ信号が最も不正取得されやいケーブル8とコネクタ12との接続部分が回路基板6およびケーブル9に覆われている。そのため、本形態では、特許文献1に記載の断線検知信号層がケーブル8に形成されていなくても、犯罪者による磁気データのデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ケーブル8のコストを低減しつつ磁気データのデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。
【0033】
また、本形態では、ケーブル8よりも幅の広いケーブル9がケーブル8の上端側の一部分を右側から覆うとともに、回路基板6がケーブル8の上端側を上側から覆っているため、犯罪者による磁気データのデータ信号の不正取得を効果的に抑制することが可能になる。また、本形態では、回路基板6と回路基板7とを電気的に繋ぐためにカードリーダ1の下端側から上端側に向かって引き回されるケーブル9によって、ケーブル8とコネクタ12との接続部分が右側から覆われているため、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を右側から覆うための部材を別途設ける必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0035】
上述した形態では、コネクタ12は、回路基板6の下面に実装されているが、図4に示すように、コネクタ12は、回路基板6の上面に実装されても良い。この場合には、図5に示すように、コネクタ15は、コネクタ12よりも左側で回路基板6の上面に実装されている。また、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を上側および右側から覆っている。すなわち、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を上側および右側から覆うようにコネクタ15を介して回路基板6に接続されている。具体的には、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分の全体を上側および右側から覆っている。また、ケーブル9は、コネクタ12の全体を上側および右側から覆っている。また、ケーブル8とコネクタ12との接続部分は、コネクタ15によって左側から覆われ、ケーブル8の上端側の一部分は、ケーブル9によって上側および右側から覆れている。
【0036】
この場合であっても、磁気データのデータ信号が最も不正取得されやいケーブル8とコネクタ12との接続部分が、上側および右側からケーブル9に覆われるとともに、左側からコネクタ15に覆われているため、特許文献1に記載の断線検知信号層がケーブル8に形成されていなくても、犯罪者による磁気データのデータ信号の不正取得を抑制することが可能になり、その結果、ケーブル8のコストを低減しつつ磁気データのデータ信号の不正取得を抑制することが可能になる。また、ケーブル9に加えて、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を上側および右側から覆うための部材を別途設ける必要がないため、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0037】
また、上述した形態では、コネクタ15は、回路基板6の上面に実装されているが、コネクタ15は、回路基板6の下面に実装されても良い。この場合には、コネクタ15は、コネクタ12よりも右側で回路基板6の下面に実装されている。また、この場合には、ケーブル9は、ケーブル8とコネクタ12との接続部分を右側から覆っている。
【0038】
上述した形態では、ケーブル8は、たとえば、シールド線であるが、ケーブル8は、FFCまたはFPCであっても良い。また、上述した形態では、コネクタ12に差し込まれる雄型のコネクタがケーブル8の一端に取り付けられているが、ケーブル8がFFCやFPCである場合には、ケーブル8の一端が直接、コネクタ12に差し込まれても良い。また、上述した形態では、ケーブル9の一端は、コネクタ15を介して回路基板6に接続されているが、ケーブル9の一端は、回路基板6に直接、接続されても良い。また、上述した形態は、ケーブル9は、FFCまたはFPCであるが、ケーブル9は、所定の方向に配列される複数の被覆付きの導線が互いに密着するように固定されることで形成されたスダレ型のケーブルであっても良い。
【0039】
上述した形態では、ケーブル8は、磁気ヘッド5と回路基板6とを電気的に繋ぐケーブルである。この他にもたとえば、ケーブル8は、カードリーダ1が搭載される上位装置とカードリーダ1とを電気的に繋ぐケーブルであっても良いし、カードリーダ1に取り付けられる周辺機器とカードリーダ1とを電気的に繋ぐケーブルであっても良い。この場合には、ケーブル8の一端側は、コネクタ12に接続され、ケーブル8の他端側は、上位装置や周辺機器に接続される。なお、この場合であっても、ケーブル8は、磁気ヘッド5から出力される磁気データのデータ信号や磁気ヘッド5に入力される磁気データのデータ信号を伝える機能を果たしている。また、この場合であっても、ケーブル8とコネクタ12との接続部分は、回路基板6やケーブル9に覆われている。
【0040】
また、カード2に形成されるICチップの外部接続端子に接触するIC接点をカードリーダ1が備えるとともに、ケーブル8は、IC接点と回路基板6とを電気的に繋ぐケーブルであっても良い。この場合には、IC接点は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの書込みを行う記録再生手段であり、ケーブル8は、IC接点を介してカード2のICチップと通信されるデータ信号を伝える。なお、この場合であっても、ケーブル8とコネクタ12との接続部分は、回路基板6やケーブル9に覆われている。
【0041】
上述した形態では、ケーブル8は、回路基板6と回路基板7とを電気的に繋ぐケーブル9に覆われているが、ケーブル8は、ケーブル9以外のケーブルに覆われても良い。たとえば、ケーブル8は、カードリーダ1に取り付けられる周辺機器とカードリーダ1とを電気的に繋ぐケーブルに覆われても良い。また、上述した形態では、ケーブル8の上端側の一部分がケーブル9に覆われているが、ケーブル8の全体がケーブル9に覆われても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、ユーザが手動でカードを操作する手動式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 カードリーダ
2 カード
3 カード通過路
5 磁気ヘッド(記録再生手段)
6 回路基板
7 回路基板(第2回路基板)
8 ケーブル(第1ケーブル)
9 ケーブル(第2ケーブル)
12 コネクタ
15 コネクタ(第2コネクタ)
16 カード検知機構
17 発光部
18 受光部
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
Z1 第1方向
Z2 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5