特許第6446406号(P6446406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446406
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20181217BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   B60R16/02 620C
   H02G11/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-120389(P2016-120389)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-222306(P2017-222306A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/118063(WO,A1)
【文献】 特開2008−220013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に沿ってスライドするスライドドアを備えた車両において、車両本体から前記スライドドアに電力を供給するための給電装置であって、
前記車両本体から前記スライドドアに亘って設けられるワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを前記車両本体の側において支持する本体側ユニットと、
前記ワイヤハーネスを前記スライドドアの側において支持するドア側ユニットと、を備え、
前記ワイヤハーネスは、前記車両本体から前記スライドドアに電力を供給するための一又は複数の電線と、該電線の外周を覆う筒状の外装部材と、を有し、
前記ドア側ユニットは、前記外装部材を前記スライドドアの側の端部から離れた位置において揺動可能に支持する揺動支持部と、該揺動支持部よりも前記スライドドアの側において前記外装部材を前記スライドドアに対して直接または間接に固定する固定部と、を有し、
前記揺動支持部と前記固定部とが離れて配置されていることを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記揺動支持部は、車幅方向に沿った揺動軸を中心に前記外装部材を揺動可能に支持することを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記外装部材を、当該外装部材における前記スライドドアの側の端部が水平方向乃至それより下方を向くように固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記外装部材は、長手方向における少なくとも一部が蛇腹状に形成されたコルゲートチューブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドアを備えた車両において車両本体から該スライドドアに電力を供給するための給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スライドドアを備えた車両には、車両本体からスライドドアに電力を供給するための給電装置が設けられる。即ち、給電装置のワイヤハーネスによって、車両本体に搭載されたバッテリ等と、スライドドアに設けられた電装部品と、が電気的に接続されて電力が供給されるようになっている。このような給電装置のワイヤハーネスは、電線がコルゲートチューブ等の外装部材によって覆われて形成されるとともに、スライドドア側において揺動可能に支持される。また、スライドドア内で電線が外装部材から引き出されて露出し、配索される。
【0003】
スライドドア側において露出した電線は、スライドドアのスライド時や製造時(例えば配索時)等において他の部材に干渉して機械的な衝撃を受けてしまい、損傷してしまう可能性があった。そこで、ワイヤハーネスにおけるコルゲートチューブからの電線の引き出し位置にプロテクタが設けられた給電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された給電装置では、プロテクタによって電線が機械的な衝撃から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−312374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなプロテクタには、コルゲートチューブ内への異物の侵入を抑制する機能も付加することができる。即ち、コルゲートチューブの端部は開口しており、この開口から水や粉塵等の異物が侵入する可能性があるところ、プロテクタによってコルゲートチューブの端部を覆うことにより、異物の侵入を抑制することができる。従って、プロテクタによって、機械的な衝撃からだけでなく、コルゲートチューブ内に侵入する異物からも電線を保護することができる。
【0006】
しかしながら、このようなプロテクタを設けることにより、スライドドア側において給電装置が大型化してしまうという不都合があった。即ち、電線の保護と装置全体の小型化とを両立させることは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、ワイヤハーネスの電線を保護しつつ装置全体を小型化することができる給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、進行方向に沿ってスライドするスライドドアを備えた車両において、車両本体から前記スライドドアに電力を供給するための給電装置であって、前記車両本体から前記スライドドアに亘って設けられるワイヤハーネスと、前記ワイヤハーネスを前記車両本体の側において支持する本体側ユニットと、前記ワイヤハーネスを前記スライドドアの側において支持するドア側ユニットと、を備え、前記ワイヤハーネスは、前記車両本体から前記スライドドアに電力を供給するための一又は複数の電線と、該電線の外周を覆う筒状の外装部材と、を有し、前記ドア側ユニットは、前記外装部材を前記スライドドアの側の端部から離れた位置において揺動可能に支持する揺動支持部と、該揺動支持部よりも前記スライドドアの側において前記外装部材を前記スライドドアに対して直接または間接に固定する固定部と、を有し、前記揺動支持部と前記固定部とが離れて配置されていることを特徴とする給電装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記揺動支持部は、車幅方向に沿った揺動軸を中心に前記外装部材を揺動可能に支持することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記固定部は、前記外装部材を、当該外装部材における前記スライドドアの側の端部が水平方向乃至それより下方を向くように固定することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記外装部材は、長手方向における少なくとも一部が蛇腹状に形成されたコルゲートチューブであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、揺動支持部が外装部材をスライドドア側の端部から離れた位置において支持することで、電線は、揺動可能に支持された位置よりもスライドドア側において、外装部材によって覆われる。これにより、スライドドア側において、外装部材によって電線を機械的な衝撃から保護することができる。さらに、ワイヤハーネスが、固定部によって揺動支持部よりもスライドドア側においてスライドドアに固定されることで、揺動支持部に対する固定部の位置を適宜に設定することにより、外装部材の端部の向きを、異物が侵入しにくい向きに設定することができる。これにより、スライドドア側において電線を外装部材に侵入する異物から保護することができる。
【0013】
また、電線を覆うプロテクタを設けなくても、上記のように電線を保護することができる。このとき、揺動支持の位置以外にワイヤハーネスを支持するための固定部を設けるだけで済むことから、プロテクタを設ける構成と比較して、装置全体を小型化することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、外装部材が車幅方向に沿った揺動軸を中心に揺動可能に支持されることで、スライドドアのスライド時に本体側ユニットとドア側ユニットとの間において、ワイヤハーネスを水平方向だけでなく上下方向に向かって凸に屈曲させることができ、ワイヤハーネスを適宜な態様で変形させることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、外装部材におけるスライドドアの側の端部が水平方向乃至それより下方に向けられていることで、ワイヤハーネスの上方から落下する水や粉塵等の異物が外装部材に侵入しにくい。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、外装部材が、長手方向における少なくとも一部が蛇腹状に形成されたコルゲートチューブであることで、スライドドアのスライド時にワイヤハーネスを容易に屈曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る給電装置を示す斜視図である。
図2】前記給電装置の本体側ユニットの要部を示す斜視図である。
図3】前記給電装置のワイヤハーネスに設けられる屈曲規制部材を示す側面図である。
図4】スライドドアが全閉状態となった場合における前記給電装置のドア側ユニットを示す側面図である。
図5】スライドドアが半開状態となった場合における前記ドア側ユニットを示す側面図である。
図6】スライドドアが全開状態となった場合における前記ドア側ユニットを示す側面図である。
図7】前記ドア側ユニットの固定部を示す断面図である。
図8】前記給電装置が設けられた車両においてスライドドアがスライドした際の前記ワイヤハーネスの屈曲の様子を示す斜視図である。
図9】前記スライドドアが全閉状態となった場合における(A)前記車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見た前記スライドドアと前記ワイヤハーネスとの関係を示す側面図である。
図10】前記スライドドアが半開状態となった場合における(A)前記車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見た前記スライドドアと前記ワイヤハーネスとの関係を示す側面図である。
図11】前記スライドドアが全開状態となった場合における(A)前記車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見た前記スライドドアと前記ワイヤハーネスとの関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る給電装置1を示す斜視図であり、図2は、給電装置1の本体側ユニット3の要部を示す斜視図であり、図3は、給電装置1のワイヤハーネス2に設けられる屈曲規制部材23を示す側面図であり、図4は、スライドドアが全閉状態となった場合における給電装置1のドア側ユニット4を示す側面図であり、図5は、スライドドアが半開状態となった場合におけるドア側ユニット4を示す側面図であり、図6は、スライドドアが全開状態となった場合におけるドア側ユニット4を示す側面図であり、図7は、ドア側ユニット4の固定部42、43を示す断面図であり、図8は、給電装置1が設けられた車両においてスライドドアがスライドした際のワイヤハーネス2の屈曲の様子を示す斜視図であり、図9は、スライドドアが全閉状態となった場合における(A)車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置1の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見たスライドドアとワイヤハーネス2との関係を示す側面図であり、図10は、スライドドアが半開状態となった場合における(A)車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置1の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見たスライドドアとワイヤハーネス2との関係を示す側面図であり、図11は、スライドドアが全開状態となった場合における(A)車両全体の様子を示す平面図、(B)給電装置1の様子を示す平面図、及び、(C)車両内側から見たスライドドアとワイヤハーネス2との関係を示す側面図である。
【0019】
本実施形態の給電装置1は、進行方向に沿ってスライドするスライドドアを備えた車両に設けられ、車両本体からスライドドアに電力を供給するためのものであって、図1に示すように、ワイヤハーネス2と、本体側ユニット3と、ドア側ユニット4と、を備える。図1は、スライドドアの全閉状態、半開状態および全開状態のそれぞれにおける給電装置1の様子を示している。尚、スライドドアは、車両の側面に設けられて進行方向の後方側に向かってスライドして開くものであるとともに、車両ボディと干渉しないようにスライド時に車幅方向においても多少移動するものとする。
【0020】
また、本実施形態において、スライドドアの半開状態とは、スライドドアが全可動範囲のうち略中央位置に位置づけられた状態を意味するが、本体側ユニット3に対してドア側ユニット4が最も接近してワイヤハーネス2が最も屈曲する状態をスライドドアの半開状態としてもよく、全開状態と全閉状態との間の適宜な状態を半開状態とすればよい。
【0021】
ワイヤハーネス2は、車両本体からスライドドアに亘って設けられるものであって、図2、8に示すように、複数の電線21と、電線21の外周を覆う外装部材としてのコルゲートチューブ22と、車両本体側に設けられる屈曲規制部材23と、で構成される。尚、図8においては説明の都合上、電線21を省略している。また、ワイヤハーネス2が後述するようにその長手方向に沿った回転軸を中心に回転する場合、コルゲートチューブ22が回転するものとする。このとき、屈曲規制部材23はコルゲートチューブ22とともに回転し、電線21は回転してもよいししなくてもよい。
【0022】
電線21は、車両本体に搭載されたバッテリに電気的に接続されるとともに、スライドドアに設けられた電装部品(スピーカやパワーウインドウ等)に電気的に接続され、バッテリから電装部品に電力を供給するように設けられる。尚、電線21はコルゲートチューブ22よりも長く形成され、その両端がコルゲートチューブ22から引き出されて露出している。電線21のうち本体側において露出した部分を本体側露出部211とし、スライドドア側において露出した部分をドア側露出部212とする。
【0023】
コルゲートチューブ22は、例えば合成樹脂によって円筒状に形成され、本体側端部221が後述するボール部33に接続される。尚、コルゲートチューブ22は、長手方向における全体が蛇腹状に形成されてもよいし、一部が蛇腹状に形成されてもよい。また、コルゲートチューブに代えて、適宜な屈曲性を有する筒状の部材を外装部材として用いてもよい。
【0024】
屈曲規制部材23は、適宜な弾性を有する部材(例えば合成樹脂等)によって形成され、図3に示すように、帯板部231と、帯板部231における幅方向両側の端辺から略垂直に立設された複数の規制部232と、を有する。また、屈曲規制部材23は、電線21とともにコルゲートチューブ22の内側に設けられ、帯板部231と規制部232とによって電線21を囲むとともに、電線21に沿って延びる。
【0025】
帯板部231は、面直方向の外力によって撓み変形するとともに、面内方向の外力によってはほとんど変形しない。また、複数の規制部232は、T字状且つ板状に形成され、帯板部231が平板状となった際に隣り合うもの同士が互いに当接し、帯板部231が面直方向の一方側(規制部232側)に向かって凸に撓み変形した際に離隔する。即ち、複数の規制部232は、帯板部231が面直方向の一方側に向かって凸に撓み変形することを許容するとともに、他方側に向かって凸に撓み変形することを規制する。
【0026】
従って、屈曲規制部材23は、帯板部231の面直方向の一方側に向かう方向を、ワイヤハーネス2の屈曲を許容する屈曲許容方向とし、その反対側(他方側)に向かう方向を、ワイヤハーネス2の屈曲を規制する屈曲規制方向とする。尚、屈曲許容方向においても、帯板部231の弾性によってワイヤハーネス2が過度に屈曲しないようになっている。また、屈曲規制部材23はその他の方向において撓みや捻じれが生じにくく、ワイヤハーネス2がほとんど屈曲しないようになっている。
【0027】
このような屈曲規制部材23が設けられることにより、後述するようにワイヤハーネス2の屈曲が制限される。また、屈曲規制部材23は、コルゲートチューブ22全体に対して所定の範囲に亘って設けられるような長さを有している。
【0028】
尚、ワイヤハーネス2は本体側ユニット3とドア側ユニット4との間に設けられるものであるが、ワイヤハーネス2に関する「本体側」又は「スライドドア側」は、車幅方向を基準とするものではなく、その長手方向を基準とするものである。例えば、ワイヤハーネス2におけるスライドドアに沿って配索される部分では、車幅方向位置は略一定であるが、長手方向において本体側ユニット3からより離れた位置を「スライドドア側」とする。
【0029】
本体側ユニット3は、図1、2に示すように、車両本体に固定されるベース部31と、ベース部31に対して組み付けられる蓋部32と、ワイヤハーネス2の本体側端部221に固定される球状のボール部33と、を有し、例えばサイドシル近傍に設けられる。
【0030】
ベース部31は、例えば合成樹脂によって形成され、ガイド部311と、ガイド部311の外側に形成されるとともに車両本体に固定するための固着部材が挿通される固定孔312と、を有する。ガイド部311は、底面部311Aと、底面部311Aから立設された一対の立設壁311Bと、を有して上方側に向かって開口している。この開口を覆うようにベース部31に蓋部32が組み付けられることにより、筒状部が形成されるようになっている。この筒状部に、ワイヤハーネス2が配索され、案内されるようになっている。
【0031】
一対の立設壁311Bには、互いに近づくように突出した合計4つの支持突起311C〜311Fが形成されており、2つの支持突起311C、311Dが一方の立設壁311Bに形成され、2つの支持突起311E、311Fが他方の立設壁311Bに形成されている。互いに異なる立設壁311Bに形成されて対向する支持突起311C、311E同士の間隔はボール部33の直径よりも小さく、対向する支持突起311D、311Fについても同様である。また、同一の立設壁311Bに形成された支持突起311C、311D同士の間隔はボール部33の直径よりも小さく、支持突起311D、311Fについても同様である。
【0032】
このような4つの支持突起311C〜311Fによって囲まれるようにボール部33を配置し、蓋部32を組み付けることにより、ボール部33は、ワイヤハーネス2の長手方向に移動することが規制されるとともに、支持突起311C〜311F内で回転可能となる。ボール部33がコルゲートチューブ22の本体側端部221に固定されていることから、本体側端部221は、ベース部31と蓋部32とボール部33とによって、ワイヤハーネス2の長手方向を回転軸として回転可能に支持される。即ち、ベース部31と蓋部32とボール部33とが本体側支持部として機能する。
【0033】
ガイド部311は、支持突起311C〜311Fからスライドドア側に向かうにしたがって一対の立設壁311B同士の間隔が大きくなるとともに、スライドドア側において開口しており、ワイヤハーネス2のうち本体側端部221が水平面(進行方向及び車幅方向を含む平面)内に沿って延びるとともに、水平面内で首振り可能に支持されている。
【0034】
ドア側ユニット4は、図4〜6にも示すように、ドア側端部(スライドドアの側の端部)222から離れた位置においてコルゲートチューブ22を揺動可能に支持する揺動支持部41と、ドア側端部222をスライドドアに固定する第1固定部42と、電線21のドア側露出部212をスライドドアに固定する第2固定部43と、を有し、上下方向において本体側ユニット3と同程度の高さ、又は、本体側ユニット3よりも高い位置に配置される。スライドドアは、車体の外側面を構成するドア本体と、ドア本体の車室内側に設けられるドアトリムと、を備える。ドア側ユニット4はドア本体とドアトリムとの間の空間に設けられ、ワイヤハーネス2がドアトリムによって隠されるようになっている。
【0035】
揺動支持部41は、スライドドアに固定されるベース部411と、コルゲートチューブ22に固定される揺動部412と、を有する。揺動部412は、コルゲートチューブ22を外側から覆うように取り付けられるとともに、例えばその内周側に凸部が形成され、この凸部がコルゲートチューブ22の外周面における凹部に噛み合うことにより、揺動部412がコルゲートチューブ22に対して長手方向に移動しないようになっている。このような揺動部412が車幅方向からベース部411によって挟み込まれ、車幅方向に沿った揺動軸A1を中心に揺動可能に支持される。これにより、コルゲートチューブ22が揺動軸A1を中心に揺動可能に支持される。
【0036】
第1固定部42は、図7に示すように、コルゲートチューブ22の外周に巻き付けられる帯状の巻き付け部421と、スライドドアを構成するパネル部材(ドアトリムやドア本体等)Pに形成された取付用孔P1に挿入されて係止される係止部422と、を有する。係止部422は、例えば巻き付け部421の外側の面から突出し、互いに接離する方向に弾性変形可能な弾性片422Aを有する。弾性片422Aは、取付用孔P1に挿入されていくことで互いに近づくように変形していき、挿入が完了すると復元し、その先端が取付用孔P1の内周縁に係止される。
【0037】
第2固定部43は、第1固定部42と同様に、電線21の外周に巻き付けられる帯状の巻き付け部431と、パネル部材Pの取付用孔P1に挿入されて係止される係止部432と、を有する。尚、固定部42、43のワイヤハーネス2への取付構造およびスライドドアへの固定構造は、上記のものに限定されず、ワイヤハーネス2をスライドドアにおける所定の位置に固定することができるものであればよい。
【0038】
以上のように、ドア側ユニット4は、揺動支持部41によって、コルゲートチューブ22をドア側端部222から離れた位置において揺動可能に支持するとともに、固定部42、43によって、揺動支持部41よりもスライドドア側においてワイヤハーネス2をスライドドアに固定する。これにより、ワイヤハーネス2は、揺動軸A1の位置と第1固定部42との間、及び、第1固定部42と第2固定部43との間において、スライドドアがスライドしてもほとんど変形しない。即ち、コルゲートチューブ22のドア側端部222の開口の向きが略一定に保たれる。揺動支持部41と第1固定部42とが同程度の高さに配置されるとともに第2固定部43が第1固定部42よりも低い位置に配置され、これらの間でワイヤハーネス2が上方に凸に屈曲されることにより、ドア側端部222の開口の向きは、進行方向(水平方向)よりも下方に向けられる。
【0039】
揺動支持部41において揺動部412が揺動することにより、ワイヤハーネス2における揺動部412よりも本体側の部位は、スライドドアDが全閉状態になった場合に進行方向の後方側に向けられ(図4)、半開状態となった場合に下方に向けられ(図5)、全開状態となった場合に進行方向の前方側に向けられる(図6)。
【0040】
以下、スライドドアDがスライドした際にワイヤハーネス2が屈曲する様子について、図8〜11を参照して説明する。尚、図8は、コルゲートチューブ22のうち、屈曲規制部材23が設けられた部分を断面して示している。
【0041】
図8(A)はスライドドアDが全閉状態となった場合のワイヤハーネス2を示し、図9(A)〜(C)はそれぞれ、スライドドアDが全閉状態となった場合の車両C全体の様子、給電装置1の様子、及び、車両内側から見たスライドドアDとワイヤハーネス2との関係を示している。このとき、ドア側ユニット4は本体側ユニット3に対して進行方向の前方側に位置しており、ワイヤハーネス2はドア側ユニット4から後方側に向かって延びる。また、ワイヤハーネス2の屈曲規制部材23は、帯板部231が車幅方向における車内側に向けられている。このとき、ワイヤハーネス2全体は水平面内において延在し、上下方向においてはほとんど屈曲しない。また、ドア側ユニット4から後方側に向かって延びるワイヤハーネス2は、図9(C)に示すように、スライドドアDのドアトリムTの後端を通るように本体側ユニット3に向けて(車両内側に)引き出される。
【0042】
スライドドアDを半開状態となるまで後方側にスライドさせると、図8(B)に示すような状態となる。また、このときの車両C全体の様子、給電装置1の様子、及び、車両内側から見たスライドドアDとワイヤハーネス2との関係をそれぞれ図10(A)〜(C)に示す。スライドに伴い、揺動部412が揺動して下方を向いていくとともに、コルゲートチューブ22の本体側端部221が長手方向に沿った回転軸を中心に回動していく。半開状態において、揺動部412が下方を向き、本体側端部221は、本体側ユニット3からドア側ユニット4を見た際に全閉状態から反時計回りに90°回転した状態となる。また、本体側ユニット3とドア側ユニット4とが接近していくことにより、ワイヤハーネス2が屈曲しようとする。
【0043】
本体側端部221が回転することで、屈曲規制部材23の帯板部231が上方に向けられていき、屈曲規制方向が上方を向いていく。ワイヤハーネス2は、スライドドアD側(屈曲規制部材23が設けられていない部分)において下方に凸に屈曲していくとともに、車両本体側(屈曲規制部材23が設けられた部分)においては、上方に凸となるように屈曲して垂れ下がることが規制される。これにより、スライドドアDが半開状態となった場合に屈曲規制方向が上方を向き、図8(B)に示すように、ワイヤハーネス2は、スライドドアD側において下方に凸に屈曲し、車両本体側において直線状に延びる。このとき、ワイヤハーネス2の一部分2Aが、スライドドアDが全閉状態となった場合よりも下方に位置する。また、ドア側ユニット4から下方側に向かって延びるワイヤハーネス2は、図10(C)に示すように、スライドドアDのドアトリムTの下端を通るように本体側ユニット3に向けて(車両内側に)引き出される。
【0044】
尚、一部分2Aは、ワイヤハーネス2が下方に凸に屈曲した際に頂点となる部分であって、例えばコルゲートチューブ22全体の略中央に位置する。また、一部分2Aは、コルゲートチューブ22全体において中央よりも本体側端部221寄りに位置していてもよいし、ドア側端部222寄りに位置していてもよい。
【0045】
スライドドアDを全開状態となるまで後方側にスライドさせると、図8(C)に示すような状態となる。また、このときの車両C全体の様子、給電装置1の様子、及び、車両内側から見たスライドドアDとワイヤハーネス2との関係をそれぞれ図11(A)〜(C)に示す。スライドに伴い、揺動部412が揺動して進行方向の後方側を向いていくとともに、コルゲートチューブ22の本体側端部221が長手方向に沿った回転軸を中心に回動していく。全開状態において、揺動部412が後方側を向き、本体側端部221は、本体側ユニット3からドア側ユニット4を見た際に半開状態から反時計回りに90°(全閉状態から180°)回転した状態となる。
【0046】
このように本体側端部221が回転することで、屈曲規制部材23の帯板部231が車幅方向の車内側に向けられていく。また、本体側ユニット3に対してドア側ユニット4が遠ざかっていき、ワイヤハーネス2の屈曲が徐々に小さくなっていく。これにより、ワイヤハーネス2は、スライドドアが全開状態となった場合、屈曲許容方向が車外側を向き、図8(C)に示すように、水平面内において延在し、上下方向においてはほとんど屈曲しなくなる。従って、ワイヤハーネス2の一部分2Aは、スライドドアDが半開状態となった場合より全開状態となった場合において、上方に位置する。また、ドア側ユニット4から前方側に向かって延びるワイヤハーネス2は、図11(C)に示すように、スライドドアDのドアトリムTの下端を通るように本体側ユニット3に向けて(車両内側に)引き出される。
【0047】
ドア側ユニット4から延びるワイヤハーネス2は、上記のようにスライドドアDの全閉状態、半開状態及び全開状態に応じてドアトリムの下端又は後端を通るように引き出されるものとしたが、ドアトリムTからのワイヤハーネス2の引き出し構造はこれに限定されない。即ち、引き出し構造はドアトリムTの形状に応じたものであればよく、例えばワイヤハーネス2が常にドアトリムTの下端を通るようにスライドドアDから引き出されてもよい。
【0048】
尚、半開状態において、コルゲートチューブ22のうち揺動部412が固定された部分(被支持部)は完全に下方に向いていなくてもよい。即ち、半開状態において被支持部が上下方向に対して多少傾いていても、全閉状態において被支持部を半開状態よりも後方側に傾けるとともに、全開状態において被支持部を半開状態よりも前方側に傾けるようにすればよい。
【0049】
以上のように、スライドドアDを開方向にスライドさせると、ワイヤハーネス2が水平面内だけでなく上下方向を含む空間内で(即ち三次元的に)屈曲する。また、スライドドアDを閉方向にスライドさせる場合、給電装置1の各部は、開方向にスライドさせる場合と逆方向に動作し、図8(A)及び図11に示す全開状態から図8(B)及び図10に示す半開状態を経由し、図8(C)及び図9に示す全閉状態となる。
【0050】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、揺動支持部41がコルゲートチューブ22をドア側端部222から離れた位置において支持することで、電線21は、揺動可能に支持された位置よりもスライドドア側において、コルゲートチューブ22によって覆われる。これにより、スライドドア側において電線21を機械的な衝撃から保護することができる。さらに、ワイヤハーネス2が、固定部42、43によって揺動支持部41よりもスライドドア側においてスライドドアに固定されることで、コルゲートチューブ22の端部の向きを、異物が侵入しにくい向きに設定することができ、スライドドア側において電線21をコルゲートチューブ22に侵入する異物から保護することができる。
【0051】
また、電線21を覆うプロテクタを設けなくても、上記のように電線21を保護することができる。このとき、揺動支持の位置以外にワイヤハーネス2を支持するために固定部42、43を設けるだけで済むことから、プロテクタを設ける構成と比較して、装置全体を小型化することができる。
【0052】
また、コルゲートチューブ22が車幅方向に沿った揺動軸A1を中心に揺動可能に支持されることで、スライドドアのスライド時に本体側ユニット3とドア側ユニット4との間において、ワイヤハーネス2を水平方向だけでなく上下方向に向かって凸に屈曲させることができ、ワイヤハーネス2を適宜な態様で変形させることができる。
【0053】
また、コルゲートチューブ22のドア側端部222が水平方向よりも下方を向いて開口していることで、ワイヤハーネス2の上方から落下する水や粉塵等の異物が外装部材に侵入しにくい。
【0054】
また、外装部材としてコルゲートチューブ22を用いることで、スライドドアのスライド時にワイヤハーネス2を容易に屈曲させることができる。
【0055】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0056】
例えば、前記実施形態では、コルゲートチューブ22が揺動支持部41によって車幅方向に沿った揺動軸A1を中心に揺動可能に支持されるものとしたが、揺動軸は他の方向を向いていてもよく、例えばコルゲートチューブ22が揺動支持部41によって上下方向に沿った揺動軸を中心に揺動可能に支持されてもよい(即ち、ワイヤハーネス2が水平面内で屈曲する構成としてもよい)。このような構成においても、コルゲートチューブ22の端部の向きを適宜に設定することにより、電線21を異物から保護することができる。
【0057】
また、前記実施形態では、コルゲートチューブ22のドア側端部222が水平方向よりも下方を向いて開口しているものとしたが、ドア側端部222は水平方向に向けられていてもよい。また、ドア側端部222の開口から異物が侵入しにくい場合(例えば、開口を覆うような部材や部位等がスライドドアに設けられている場合)、ドア側端部222は、電線21を配索しやすい向き等、適宜な方向を向いて開口していればよい。
【0058】
また、前記実施形態では、第1固定部42がスライドドアを構成するパネル部材(ドアトリムやドア本体等)Pに固定されるものとしたが、第1固定部はスライドドア内の適宜な固定対象に固定されていればよく、固定対象は例えばスライドドアのインナーパネルであってもよいし、スライドドア内に設けられた電子部品であってもよい。即ち、第1固定部は、スライドドアに直接固定されることでワイヤハーネスをスライドドアに対して直接に固定する構成に限定されず、電子部品等を介してスライドドアに固定されることで、ワイヤハーネスをスライドドアに対して間接に固定する構成であってもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、ドア側ユニット4が、コルゲートチューブ22をスライドドアに固定する第1固定部42と、電線21をスライドドアに固定する第2固定部43と、を有するものとしたが、ドア側ユニットは、揺動支持部41よりもスライドドア側においてワイヤハーネス2をスライドドアに固定する少なくとも1つの固定部を有していればよい。即ち、ドア側ユニットが第1固定部42と第2固定部43とのうちいずれか一方のみを有していてもよいし、第1固定部42及び第2固定部43に加えてさらに固定部を有していてもよい。
【0060】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 給電装置
2 ワイヤハーネス
3 本体側ユニット
4 ドア側ユニット
21 電線
22 コルゲートチューブ(外装部材)
41 揺動支持部
42 第1固定部
43 第2固定部
C 車両
D スライドドア
A1 揺動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11