【実施例】
【0046】
実施例1
下記は本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.25mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0047】
表1は、1個のイブプロフェンナトリウムタブレット医薬品の組成、および配合物中の賦形剤の機能をまとめたものである。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
乳糖を含有するコーティングした200mg量のイブプロフェンナトリウムカプレットの他の組成、および配合物中の賦形剤の機能を表2にまとめる。イブプロフェンナトリウムタブレット200mgは、丸いベージュ色のフィルムコーティングしたタブレットであり、黒色インクでプリントされ、投与単位当たり256.27mgのイブプロフェンナトリウム2水和物を含有する(200mg量のイブプロフェンと等量)。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例3
実施例1に従った、より大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。イブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約150万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0052】
イブプロフェンナトリウムの製造プロセスは、7つの単位操作からなる:秤量、ブレンディング、ローラー圧密/ミリング、ブレンディング、圧縮、コーティング/艶出し、およびプリンティング。それぞれの単位操作の成分を調剤部で個別に秤量する。
【0053】
ふるい分けしたイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素をビン内でブレンディングおよび積層することにより、イブプロフェンナトリウムの各プレブレンドを調製した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。次いで、一体型ミルを備えたローラー圧密装置を用いてブレンドをローラー圧密およびミリングして顆粒にした。ローラー圧密段階の後、微結晶性セルロース、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、およびラウリル硫酸ナトリウムをふるい分けし、ビンに添加して圧縮用ブレンドを形成した。ビンの内容物を均一になるまでブレンドした。回転式タブレットプレスで圧縮用ブレンドを圧縮してタブレットにした。セットアップ時に下記の工程内試験を実施した:平均重量(421〜439mg、目標430mg)および平均硬度。製造されるタブレットコアの品質を確保するために、圧縮段階全体にわたって工程内試験(平均重量および平均硬度)を実施した。圧縮後、フィルムコーティング機内においてコアを甘味剤入りフィルムコートでコーティングし、カルナウバろう艶出しを施した。
【0054】
【表3】
【0055】
a.2つのビンの材料が1バッチを構成する;
b.イブプロフェンナトリウム2水和物を50.0kgずつ(4部分)に分ける;
c.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにマンニトールを5.20kgずつ3つに分ける;
d.マンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスに使用するためにコロイド状二酸化ケイ素を0.78kgずつ3つに分ける;
e.マンニトールを12.0kgずつ3つに分ける;
f.造粒の収率(理論収量に対する%)が特定範囲(97.0〜102.0%)外である場合、圧縮用ミックス成分を実収量に基づいて計算する;
g.ラインを始動できるように、過剰のコーティング懸濁液を調製する;コーティング懸濁液は20%の固形分である;
h.バッチ(2つのビン)をコーティングするために1タンクのフィルムコーティング溶液を調製する;
i.本質的に処理中に除かれて、最終剤形中にはみられない;
j.セットアップのために過剰のインクおよびアルコールを分配する;量には処理中に使用されない可能性のある過剰分が含まれる;
k.インクを薄めるために、必要に応じてアルコールを使用する。
【0056】
実施例4
実施例3に従った、大規模バッチの本発明者らが意図する配合物の態様である。乳糖を含有するコーティングしたイブプロフェンナトリウムタブレットのバッチを約100万タブレットの代表的バッチサイズで製造した。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例5
タブレットおよびカプレット製品のためのコーティングしたイブプロフェンナトリウムコアの他の例を、下記の表5にまとめたコーティング系を用いて製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例6
製造プロセスおよびプロセス制御の記載
イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造のための代表的なフローチャートを
図1に示す。
【0061】
実施例7
下記の製造方法は、イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0062】
製造プロセス
下記の製造方法は、医薬品イブプロフェンナトリウムタブレット200mgの製造プロセスにおける段階を記載する。
【0063】
秤量
指示した量の各成分を秤量し、個別の適宜なラベルを付けた容器に入れた。
ブレンディング(イブプロフェンナトリウムのプレブレンド)
ビンブレンダー内で造粒用ミックスのブレンディングを実施した。1バッチは10のビンからなる。下記の方法を用いて各ビンに装填した:
1)マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素のミックスを調製した;
2)全成分を個別に保持しながら、全成分を#20メッシュのスクリーンで適切な容器内へふるい分けした;
3)すべての材料がビンに入るまでイブプロフェンナトリウム2水和物、マンニトール、およびマンニトール/コロイド状二酸化ケイ素ミックスを少量ずつ交互に入れることにより、材料をビンに入れた。
【0064】
材料を3〜15分間、17rpm±1rpmでブレンドした。10個のビンそれぞれについてブレンディング段階を繰り返した。
ローラー圧密/ミリング
このプレブレンドを、ブレンディングに用いたビンから直接にローラー圧密機へ供給した。表6に挙げたローラー圧密パラメーターを維持して、許容できるリボンを製造した。
【0065】
【表6】
【0066】
ローラー圧密に続いて、1.5mmのスクリーンを備えた一体型振動ミルによりリボンを処理した。ミリングした材料を適切な容器に採集した。
ブレンディング(圧縮用ミックス)
造粒のビン等量分につき圧縮用ミックスのブレンディングをビンブレンダー内で実施する。各ビンの装填のために下記の方法を用いる:
1)適切な容器を用いて、コロイド二酸化ケイ素を微結晶性セルロースと混和した;
2)コロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを、#20メッシュのスクリーンでふるい分けした;
3)ビン内のイブプロフェンナトリウム造粒物に、ふるい分けしたコロイド二酸化ケイ素/微結晶性セルロースミックス、ラウリル硫酸ナトリウム、およびマンニトールを添加した。
【0067】
材料を9〜18分間、17rpm±1rpmでブレンドした。
1バッチを構成する10のビンそれぞれについて、この操作を繰り返した。
圧縮
丸形またはカプセル形の成形用具を備えた回転式タブレットプレスを用いて、圧縮用ミックスをカプレットコアとして圧縮した。含量の均一性を確実にするために平均重量を測定した。充填深さを調整することにより、目標重量からの偏差を補正した。コアの性能および強靭性を確実にするために平均硬度を測定した。除塵装置および金属探知器を通過させた後、タブレットを適切な貯蔵容器に採集した。コーティングしたイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮パラメーターの例を表7および表8にまとめる。本発明によれば、より広い範囲のそのような圧縮パラメーターが有効に採用されるものとする。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
代表的なイブプロフェンナトリウムのタブレットおよびカプレットの圧縮力および硬度データを表9〜13にまとめる。
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
懸濁液の調製
1)着色したフィルムコーティング材料を水に添加し、少なくとも30分間混合した;
2)甘味剤を添加し、1種類以上の着香剤をこの懸濁液に添加し、少なくとも15分間混合を続けた。
【0077】
フィルムコーティング
1)ある量のカプレットコアまたはタブレットコアを適切なサイズのコーティングパンへ移した。調製したコーティング系を用いて、計算量の懸濁液をカプレット床またはタブレット床に付与した;
コーティング懸濁液の付与が完了した時点で、メッシュスクリーンによりふるい分けしたカルナウバろうを、カプレット床またはタブレット床に付与した;
2)カプレットまたはタブレットをタンブリングしてカルナウバろうを分配させた;
3)カプレットまたはタブレットをコーターから適切な容器内へ排出させた。
【0078】
プリンティング
カプレットまたはタブレットの1面に、必要に応じてイソプロピルアルコールで希釈した黒色インクにより、許容できるプリント質が得られる速度で、オフセットプリンターを用いてプリントした。
【0079】
包装
タブレットまたはカプレットを常法により包装した。
実施例8
実施例1からのイブプロフェンナトリウムのコーテッドタブレットに関する脆砕性データ
イブプロフェンナトリウム組成物の安定性試験および溶解試験を
図5〜12にまとめる。
【0080】
実施例9
例15(a)からのコーティングしたイブプロフェンナトリウムのコーテッド組成物に関する脆砕性データを表14にまとめる。乳糖を含有するイブプロフェンナトリウムバッチに関するバルク脆砕性データの例は0.47%である。USP<1216>タブレット脆砕性試験に従った特定の回転後に脆砕性を試験した。
【0081】
【表14】
【0082】
実施例10
イブプロフェンナトリウム基本型(prototype)タブレットの吸収性を比較するためのパイロット試験
このパイロット試験により、3種類の異なるイブプロフェンナトリウム基本型タブレットの吸収プロフィールを、現在市販されているイブプロフェン製品(以後、“参照標準品”)と比較して評価した。
【0083】
この試験の目的は、イブプロフェンナトリウム基本型タブレットからのイブプロフェン吸収の率および程度(6時間目まで)を参照標準品と比較することであった。
全体的な試験設計および計画の記載
これは単回投与、ランダム化、オープンラベル、患者内、二元交差試験であった。少なくとも12人の被験者が試験を完了するのを確実にするために、16人の健康な男性および女性被験者(ほぼ同数の各性)を参加させる計画を立てた。被験者を4種類の投与シーケンスの1つにランダムに配属し、400mg量の各イブプロフェン配合物を各試験期間中に一夜絶食後に投与した。各試験期間についての投与は、少なくとも48時間の間隔をおいた。4試験期間中それぞれの6時間にわたるラセミ体イブプロフェンの分析用に、各被験者から18の血液試料(3mLずつ)をヘパリンナトリウムチューブ内に採集した。試験中に合計216mLの血液を各被験者から採集した(安全性および妊娠評価のために必要とした約30mLの血液を除く)。被験者を試験期間中は現場に収容した。
【0084】
試験製品の特性
表15(a)〜15(c)に、生物学的試験に用いた基本型I〜IIIを示す。
【0085】
【表15a】
【0086】
【表15b】
【0087】
【表15c】
【0088】
・処置A:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物I(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置B:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物II(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置C:2×イブプロフェンナトリウム256mg基本型タブレット配合物III(400mgのイブプロフェンと等量)0時間目;
・処置D、参考:2×参照標準品200mg(全量=400mg)0時間目。
【0089】
すべての処置剤を絶食条件下で投与した。
投与した処置剤
【0090】
【表16】
【0091】
生物学的分析方法
確証された高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析/質量分析(HPLC
MS/MS)検出方法を用いて、血漿試料をラセミ体IBUについて分析した。
【0092】
下記のPKパラメーターを求めた:AUCL、C
max、Ln AUCL、Ln C
max、T
max、T
mec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、T
20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)、およびT
lag(薬物投与と吸収開始の間の時間の遅れ)。
【0093】
薬物動態比較
下記の対の比較を評価した:
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物I(処置A)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物II(処置B)−対−参照標準品(処置D);
・イブプロフェンナトリウム基本型タブレット配合物III(処置C)−対−参照標準品(処置D)。
【0094】
統計分析
AUCLおよびC
maxデータ(log換算したものと換算しないものの両方)を、分散分析(ANOVA)を用いて、性、被験者(性)、期間、処置、および処置−性相関性(treatment-by-gender interaction)の作用に関して処置間の差につき分析した。処置−性相関性は、それが有意であれば(0.10レベルで)最終モデルにおいて保持されているはずであった。被験者(性)を誤差項として用い、逐次(タイプ1)平方和を用いて、性作用を試験した。
【0095】
23〜44歳の合計17人の被験者(男性8人(47%)および女性9人(53%))が試験に参加した。この集団の平均年齢および肥満指数は、30.6歳(23〜44歳)および24.3kg/m
2(20.0〜28.0kg/m
2の範囲)であった。11人(64.7%)の被験者は白人、これに次いで3人(17.7%)は黒人、2人(11.8%)はアジア人であり、1人(4.9%)は‘その他’の人種と分類された。8人(47.1%)の被験者はヒスパニック人種であった。
【0096】
薬物動態結果
各サンプリング時点での個々の被験者の濃度データ、および各サンプリング時点でのイブプロフェン血漿濃度についての概略統計値を後記にグラフで示す。平均血漿濃度曲線を後記の
図2(均等目盛)および
図3(半対数目盛)に示す。投与後2時間目までの平均血漿濃度曲線(均等目盛)を
図4に示す。
【0097】
薬物動態データ
重要な結果を下記の表17にまとめる。3種類の基本型はそれぞれ、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUCL)および率(C
max)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であり、参照配合物と対比した各比率の試験配合物についての信頼限界は、前決定範囲(75.0〜133.3%)および生物学的同等性についての一般的な範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の配合物はすべて速やかに吸収され(
図4)、平均して40分以内にそれらの各ピーク濃度に達した(T
max);これは約52分の平均T
maxを示した参照標準品と比較して若干速やかであった。3種類の基本型は投与して12分以内にT
mec(6.4mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達し、投与して18.2分以内にT
20(20mcg/mLの血漿濃度に達する時間)に達した;これらは参照標準品についての各時間、約22分および29分より速やかであった。
【0098】
全体として、基本型IIの配合物が、関連血漿濃度閾値に達するのが最短時間である最も速やかなPKプロフィール(T
max、T
mecおよびT
20)、および最高のC
maxを示した;しかし、他の2種類の基本型も有望であり、基本型IIと類似していた。
【0099】
重要な結果を下記の表17にまとめる。
【0100】
【表17】
【0101】
全体的な薬物動態結論
3種類の基本型すべてが、6時間目までのイブプロフェン吸収の程度(AUC)および率(C
max)の両方に関して参照標準品と生物学的に同等であった。参照配合物と対比した各比率の試験配合物の信頼限界は、生物学的同等性について確立された範囲(80〜125%)に十分に含まれていた。3種類の基本型配合物はすべて平均して速やかに吸収され(
図4)、T
max値は投与後40分以内であった。
【0102】
考察および全体的な結論
このパイロット試験では、3種類の基本型イブプロフェンナトリウム配合物からのイブプロフェンの吸収の率および程度を参照標準品と比較した。3種類の基本型すべてがAUCLおよびC
maxに関して参照標準品と生物学的に同等であると判定され、3種類の基本型すべてが速やかに吸収され、ピーク血漿濃度に達する時間(T
max)は投与して40分以内であった。さらに、ピーク血漿濃度に達する時間(T
max)、最低有効血漿濃度に達する時間(T
mec)、および20mcg/mLの血漿濃度に達する時間(T
20)は、3種類のイブプロフェンナトリウム基本型について参照標準品と比較してより速やかであった。
【0103】
これらのデータは、他のイブプロフェンナトリウム製品の吸収プロフィールを参照標準品、イブプロフェンリシン塩および一般的なイブプロフェンと比較した先のPK試験と一致する;それは、イブプロフェンナトリウムがC
maxおよびAUCについて参照標準品およびイブプロフェンリシン塩と生物学的に同等であり、T
maxはわずかに速やかであることを証明した。さらに、この試験により、イブプロフェンナトリウムはAUCについて一般的イブプロフェンと生物学的に同等であるけれどもより速やかに吸収されることが見出された(より高いC
maxおよびより速やかなT
max)。この他のイブプロフェンナトリウム配合物は標準イブプロフェン錠より速やかな鎮痛作用開始をも与えたので、これらのデータはこの試験で検査したイブプロフェンナトリウムタブレットは標準イブプロフェン錠より速やかに、かつ少なくとも参照標準品と同じ速度で鎮痛作用開始を与えることができることを示唆する。
【0104】
このパイロット試験で評価した3種類のイブプロフェンナトリウム基本型配合物および参照標準品はすべて良好に耐容された。
本発明の範囲は本明細書に記載した特定の態様に限定されるべきではない。実際に、以上の記載および添付の図面から、本明細書に記載したもののほか本発明の多様な改変が当業者に明らかになるであろう。そのような改変は特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0105】
さらに、すべての数値は概数であり、説明のために示したものであることを理解すべきである。