特許第6446428号(P6446428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446428液体中の放射性核種を除去するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446428
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】液体中の放射性核種を除去するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/12 20060101AFI20181217BHJP
   G21F 9/06 20060101ALI20181217BHJP
   G21F 7/00 20060101ALI20181217BHJP
   G21F 1/08 20060101ALI20181217BHJP
   B01J 39/02 20060101ALI20181217BHJP
   B01J 39/10 20060101ALI20181217BHJP
   B01J 47/024 20170101ALI20181217BHJP
【FI】
   G21F9/12 512F
   G21F9/12 511A
   G21F9/06 521A
   G21F9/06 521G
   G21F9/12 501D
   G21F7/00 C
   G21F1/08
   B01J39/02
   B01J39/10
   B01J47/024
【請求項の数】44
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-501819(P2016-501819)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-512883(P2016-512883A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】US2014025322
(87)【国際公開番号】WO2014151268
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/788,230
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/153,277
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/153,291
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515255593
【氏名又は名称】アバンテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー エー.バーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス エル.ブラウン
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−140696(JP,A)
【文献】 特開昭57−023899(JP,A)
【文献】 特開2006−313134(JP,A)
【文献】 特開2007−203292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J39/00−49/02
C01G49/00−49/08
C02F1/28
1/42
1/58−1/64
G21C11/00−13/032
13/04−13/08
13/10
19/00−19/10
19/12−19/313
19/32−19/50
23/00
G21F1/00−5/04
5/08−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体から放射性核種を除去するための容器であって、前記容器は、
イオン交換室をその中に画定するハウジングであって、前記ハウジングは下方部分および上方部分を有するハウジングと、
前記ハウジングを支持する基部と、
前記イオン交換室と流体連通するプロセス入口と、
前記イオン交換室と流体連通するプロセス出口と、
前記ハウジングの下方部分を囲む第1の遮蔽体と、
前記ハウジングの上方部分を囲む第2の遮蔽体と、
を備え、
前記第1の遮蔽体は、前記第2の遮蔽体より大きい厚さを有し、
前記イオン交換室の底面に近接して配置された入口ディフューザと、
前記イオン交換室の上面に近接して配置された出口収集ヘッダと、
をさらに備え、
前記プロセス入口は、前記入口ディフューザと流体連通し、前記プロセス出口は、前記出口収集ヘッダと流体連通している
ことを特徴とする液体から放射性核種を除去するための容器。
【請求項2】
前記ハウジングはその中に上方室を画定するライザをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記上方室は、鉛玉で充填されることを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項4】
前記ライザは、前記イオン交換室と連通した少なくとも1つの検査孔を備えることを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項5】
前記第1および第2の遮蔽体は、複数の鉛板を備えることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記ハウジング中に延び、イオン交換室から隔離している内殻を備えることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第1の流体通路と、
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第2の流体通路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項8】
前記容器は、前記第1の流体通路、前記内殻、および第2の流体通路の間を、対流空気流が通過することを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項9】
前記基部は、複数の積み重ねられたプレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記第1の流体通路に沿って配設されたベントシールドスタックをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項11】
液体から放射性核種を除去するための容器であって、前記容器は、
外殻と、外殻内に配設された内殻を備えた遮蔽されたハウジングであって、前記ハウジングは前記内殻と外殻との間にイオン交換室を画定する遮蔽されたハウジングと、
前記イオン交換室と流体結合された入口であって、前記入口は前記流体の源と流体連通して配置された入口と、
前記イオン交換室と流体結合された出口であって、前記出口は前記流体の行先と流体連通して配置された出口と、
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第1の流体通路と、
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第2の流体通路と、
を備え
遮蔽体の厚さは、前記ハウジングの長さに沿って変化し、前記遮蔽体の下方部分の厚さは、前記遮蔽体の上方部分の厚さよりも厚く、
前記イオン交換室の底面に近接して配置された入口ディフューザおよび前記イオン交換室の上面に近接して配置された出口収集ヘッダをさらに備え、前記入口は、前記入口ディフューザと流体連通し、前記出口は、前記出口収集ヘッダと流体連通していることを特徴とする放射性核種を除去するための容器。
【請求項12】
遮蔽体は、前記ハウジングに巻きつけられた複数の鉛板を備えることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項13】
前記入口および前記入口ディフューザの間に延びる入口スプール、ならびに前記出口および前記出口収集ヘッダの間に延びる出口スプールをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項14】
前記入口スプールおよび前記出口スプールの少なくとも一部は前記内殻中に延びることを特徴とする請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記ハウジングを支持する基部をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項16】
前記基部は、複数の積み重ねられたプレートを備えることを特徴とする請求項15に記載の容器。
【請求項17】
前記第1の流体通路は、前記基部を貫通して延びることを特徴とする請求項15に記載の容器。
【請求項18】
前記第1の流体通路に沿って配設されたベントシールドスタックをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項19】
前記容器は、前記第1の流体通路、前記内殻、および第2の流体通路の間を、対流空気流が通過することを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項20】
放射性液体を収容する貯蔵タンクの近くに配置され、前記液体から放射性核種を除去する構成としたアセンブリであって、前記アセンブリは、
少なくとも1つのフィルタを備えたフィルタ容器と、
複数のイオン交換容器と、
を備え、
前記イオン交換容器は、それぞれ、
外殻と外殻内に配設された内殻を備えた遮蔽されたハウジングであって、前記ハウジングは前記内殻と外殻との間にイオン交換室を画定する遮蔽されたハウジングと、 前記イオン交換室と流体連通するプロセス入口と、
前記イオン交換室と流体連通するプロセス出口と、
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第1の流体通路と、
前記容器の外側と前記内殻との間に延びている第2の流体通路と、
を備え
遮蔽体の厚さは、前記ハウジングの長さに沿って変化し、前記遮蔽体の下方部分の厚さは、前記遮蔽体の上方部分の厚さよりも厚く、
前記イオン交換室内の底面に近接して配置された入口ディフューザと、
前記イオン交換室内の上面に近接して配置された出口収集ヘッダと、をさらに備え、
前記プロセス入口は、前記入口ディフューザと流体連通し、前記プロセス出口は、前記出口収集ヘッダと流体連通している
ることを特徴とするアセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのフィルタは、回転マイクロフィルタであることを特徴とする請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記フィルタ容器および前記イオン交換容器と結合した主通路をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記イオン交換容器は、それぞれ、前記第1の流体通路、前記内殻、および第2の流体通路の間を、対流空気流が通過することを特徴とする請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項24】
放射性液体の処置のための容器であって、前記容器は、
イオン交換室をその中に画定する遮蔽されたハウジングであって、前記イオン交換室は内部上面と内部底面との間のその内部にイオン交換媒体を受け入れる構成としたハウジングと、
前記イオン交換室内の底面に近接して配置された入口ディフューザと、
前記イオン交換室内の上面に近接して配置された出口収集ヘッダと、
前記入口ディフューザと流体連通するプロセス入口と、
前記出口収集ヘッダと流体連通するプロセス出口と、
を備え
前記プロセス入口が前記放射性液体の源と流動結合したとき、前記放射性液体は、前記イオン交換室に前記入口ディフューザを通して流入し、前記イオン交換室を通って上方に流れ、前記イオン交換室から前記出口収集ヘッダを通して流出し、次いで、前記容器から前記プロセス出口を通して流出し、
前記ハウジングの遮蔽体の下方部分の厚さは、前記ハウジングの遮蔽体の上方部分の厚さよりも厚いことを特徴とする容器。
【請求項25】
前記イオン交換媒体は、非再生可能であることを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記イオン交換媒体は、結晶性シリコチタネートを含むことを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項27】
前記遮蔽されたハウジングは、鉛遮蔽体を含むことを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項28】
前記イオン交換室は、ステンレス鋼で形成されることを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項29】
前記入口ディフューザは、複数の入口スクリーンを含むことを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項30】
前記出口収集ヘッダは、複数の出口スクリーンを含むことを特徴とする請求項29に記載の容器。
【請求項31】
前記プロセス入口および前記プロセス出口は、前記イオン交換室のライザ中に配置されることを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項32】
前記ハウジングは、前記ハウジング中に延び、イオン交換室から隔離している内殻を備えることを特徴とする請求項24に記載の容器。
【請求項33】
放射性液体を処置するための方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのイオン交換容器を提供するステップであって、
前記少なくとも1つのイオン交換容器は、その中にイオン交換室を画定し、前記イオン交換室は、内部上面と内部底面とを備え、
前記少なくとも1つのイオン交換容器は、さらに、
前記イオン交換室内の前記底面に近接して配置された液体入口と、
前記イオン交換室内の前記上面に近接して配置された液体出口と、
を備えたステップと、
イオン交換媒体を前記イオン交換室内に提供するステップと、
放射性液体がイオン交換媒体を通って上方に流れるように、少なくとも1つのイオン交換容器の液体入口を放射性液体の源と流動結合するステップと、
放射性液体から放射性核種を除去して、処置された液体をもたらすステップと、および
前記処置された液体が少なくとも1つのイオン交換容器から外部へ移送されるように、前記処置された液体を前記液体出口において収集するステップと、
を含み、
前記液体入口が入口ディフューザであり、
前記イオン交換容器の下方部分の厚さは、前記イオン交換容器の上方部分の厚さよりも厚いことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記イオン交換媒体は、非再生可能であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記イオン交換媒体は、結晶性シリコチタネートを含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのイオン交換容器の上流における前記放射性液体を濾過するステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記濾過するステップは、少なくとも1つの回転マイクロフィルタを用いてなされることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つのイオン交換容器の上流における前記放射性液体を、チタン酸一ナトリウムストライクを使用して処置するステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つのイオン交換容器は、直列配置に流体結合された複数のイオン交換容器を含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記放射性液体の源は、液体貯蔵タンクであることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのイオン交換容器は、前記液体貯蔵タンクに近接して配置されていることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記放射性核種は、セシウムを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記放射性核種は、ストロンチウムを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記イオン交換容器は、前記イオン交換容器中に延び、イオン交換室から隔離している内殻を備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、液体中の放射性核種の処置および廃棄に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、放射性物質は、特に、工業、医療、農業、および環境活動で、広く使用されている。たとえば、放射性廃棄物が原子力施設で生成され、原子力施設においては、放射能汚染物質の除去のための処置を必要とするいくつかの液体プロセスおよび廃棄物流が存在する。この廃棄物の管理は、一般的に、処置、一時貯蔵、および永久処分場への廃棄物の輸送を含む。
【0003】
たとえば、サバンナリバーサイト(Savannah River Site:SRS)およびハンフォードサイト(Hanford Site)は、米国エネルギー省(DOE)によって所有され、それぞれ、サウスカロライナ州およびワシントン州に位置する原子力指定区域である。これらのサイトでの液体廃棄物事業契約は、それぞれ、URS Corporationによって率いられる会社チームであるサバンナリバーレメディエーション(Savannah River Remediation:SRR)およびワシントンリバプロテクションソリューションズ(Washington River Protection Solutions:WRPS)によって実施されている。これらの契約の主な対象は、これらのサイトで過去に行われた作業に関連付けられた浄化活動である。
【0004】
特に、毒性が高い大量の高レベル放射性廃棄物はSRSおよびハンフォードサイトに配置されている。SRSでは、数億のキュリー(37ギガベクレル)を有する約4000万ガロン(約1億5000万リットル)のこの廃棄物が、スラッジ、塩、液体の形態で見られる。主要な放射線核種は、プルトニウム、ストロンチウム90、およびセシウム137であり、ストロンチウムおよびセシウムは放射能の95%より多くを占める。大量の超ウラン(TRC)廃棄物もサイトに貯蔵される。ハンフォードには、約6000万ガロン(約2億3000万リットル)の同様の廃棄物が存在する。
【0005】
この廃棄物を扱う現在の計画では、まず、ハンフォードにおける再生可能イオン交換、およびSRSにおける液−液溶媒抽出および非再生可能イオン交換によって、廃棄物を前処理して、様々な放射線核種を除去する。知られているように、再生可能イオン交換および溶媒抽出はそれぞれ、大量の液体の放射性含有物を、少量の溶出液およびストリップ廃液に移すために効果的であり、非再生可能イオン交換は、大量の液体の放射性含有物を少量の固体に移すために効果的である。イオン交換プロセスは様々な方法で実装され得るが、イオン交換媒体の最も一般的使用は容器内の充填床である。より詳細には、イオン交換媒体は、一般的に、ステンレス鋼圧力容器の内部に含まれ、ステンレス鋼圧力容器は、設計された入口、出口、流れ分配システムを有し、指定された流量で媒体の床を介して均一に液体が浸透することを可能にする。無機および有機合成媒体を含む多くのタイプのイオン交換媒体は、この目的で使用可能である。
【0006】
ハンフォード、SRSにおけるイオン交換または溶媒抽出プロセスからの二次廃棄物は、最終的に、沈殿された固体と混合され、ガラス固化と呼ばれるプロセスを通して固定化される。ガラス形成材料が高温度で廃棄物に加えられて、溶融ガラスを形成する。次いで、溶融物質はステンレス鋼コンテナ内に注がれ、そこでガラスはそれが冷えるにつれて硬化する。廃棄物は依然として放射性であるが、もはや流動的でない(したがって環境中に容易に拡散されない)。SRSでは、軍事廃棄物処理施設(Defense Waste Processing Facility:DWPF)と呼ばれるガラス固化施設が、1年あたり約100億ドルの事業費で過去15年間稼動している。この期間中、タンク内の廃棄物量およびスラッジ量は、液体廃棄物を処置する能力の不足のため、実際のところ増加している。ハンフォードでは、廃棄物処置プラント(Waste Treatment Plant:WTP)と呼ばれるガラス固化施設が過去11年間建設中であるが、少なくとも2019年までまたはそれ以降に動作を開始することが見込まれていない。不都合なことに、ハンフォードは、ガラス固化プロセスの動作の前の処理を必要とする複数の漏洩タンクを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,387,274号明細書
【特許文献2】米国特許出願第13/862,009号明細書
【特許文献3】国際公開第2013/085644号
【特許文献4】米国特許第7,926,666号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Christophe A. Serra & Mark R. Wiesner著「A Comparison of Rotating and Stationary Membrane Disk Filters Using Computational Fluid Dynamics」(Journal of Membrane Science 165(2000)19−29頁)
【非特許文献2】American Society of Mechanical Engineers編「Boiler and Pressure Vessel Code」(Section VIII)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の構成および方法の様々な考慮事項を認識し解決する。これに関連して、本発明の実施形態は、液体から放射線核種を除去するための容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
容器は、イオン交換室をその中に画定するハウジングを備える。ハウジングは、下方部分および上方部分を有する。容器はまた、ハウジングを支持する基部と、イオン交換室と流体連通するプロセス入口と、イオン交換室と流体連通するプロセス出口とを備える。さらに、容器は、前記ハウジングの下方部分を囲む第1の遮蔽体と、前記ハウジングの上方部分を囲む第2の遮蔽体とを備える。第1の遮蔽体は、第2の遮蔽体より大きい厚さを有する。
【0011】
さらなる実施形態によれば、本発明は、液体から放射線核種を除去するための容器を提供する。容器は、遮蔽されたハウジングを備え、遮蔽されたハウジングは、外殻と、外殻内に配設された内殻とを備える。ハウジングは、外殻と内殻との間にイオン交換室を画定する。容器はまた、イオン交換室と流体結合された入口であって、液体の源と流体連通するように構成された入口と、イオン交換室と流体結合された出口であって、液体の行先と流体連通するように構成された出口とを備える。容器は、容器の外側と内殻との間に延びている第1の流体通路と、容器の外側と内殻との間に延びている第2の流体通路とをさらに備える。
【0012】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、放射性液体を収容する貯蔵タンクの近くに配置されるように構成され、前記液体から放射線核種を除去するように構成された、アセンブリを提供する。アセンブリは、少なくとも1つのフィルタを備えるフィルタ容器と、複数のイオン交換容器とを備える。イオン交換容器は各々、外殻と外殻内に配設された内殻とを備える遮蔽されたハウジングを備える。ハウジングは、外殻と内殻との間にイオン交換室を画定する。イオン交換容器はまた、イオン交換室と流体連通するプロセス入口と、イオン交換室と流体連通するプロセス出口とを備える。さらに、イオン交換容器は各々、容器の外側と内殻との間に延びている第1の流体通路と、容器の外側と内殻との間に延びている第2の流体通路とを備える。
【0013】
さらなる実施形態によれば、本発明は、放射性液体の処置のための容器を提供する。容器は、イオン交換室をその中に画定する遮蔽されたハウジングを備える。イオン交換室は、内部上面と内部底面との間のその内部にイオン交換媒体を受け入れるように構成される。容器は、底面に近接してイオン交換室に配設された入口ディフューザ(inlet diffuser)と、上面に近接してイオン交換室に配設された出口収集ヘッダ(outlet collection header)とをさらに備える。また、容器は、入口ディフューザと流体連通するプロセス入口と、出口収集ヘッダと流体連通するプロセス出口とを備える。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は、放射性液体を処置するための方法を提供する。方法は、少なくとも1つのイオン交換容器を提供するステップを含み、少なくとも1つのイオン交換容器は、イオン交換室をその中に画定する。イオン交換室は、内部上面と内部底面とを有する。少なくとも1つのイオン交換容器は、底面に近接してイオン交換室に配設された液体入口と、上面に近接してイオン交換室に配設された液体出口とをさらに備える。方法はまた、イオン交換室内にイオン交換媒体を提供するステップを含む。方法は、放射性液体がイオン交換媒体を通って上方に流れるように、少なくとも1つのイオン交換容器の液体入口を放射性液体の源と流動結合するステップをさらに含む。また、方法は、放射性液体から放射線核種を除去して、処置された液体をもたらすステップを含む。最後に、方法は、処置された液体が少なくとも1つのイオン交換容器から外へ移されるように、処置された液体を液体出口において収集するステップを含む。
【0015】
当業者は、添付の図面に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を踏まえた後、本発明の範囲を認識し、また本発明の追加的態様を理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
当業者に向けられた本発明の最良の形態を含む本発明の完全な実施可能な開示が、添付された図面を参照する明細書で説明される。
図1A】本発明の実施形態による、タンク近傍(near-tank)濾過およびイオン交換アセンブリを備える原子力施設における例示的な廃水処置システムの概略図である。
図1B】本発明の実施形態による、タンク近傍濾過およびイオン交換アセンブリを備える原子力施設における例示的な廃水処置システムの概略図である。
図2図1A図1Bのシステムと共に使用され得る本発明の実施形態によるタンク近傍濾過およびイオン交換アセンブリの等角図である。
図3図2のタンク近傍濾過およびイオン交換アセンブリの側面図である。
図4図2のタンク近傍濾過およびイオン交換アセンブリの上面図である。
図5図2のタンク近傍濾過およびイオン交換アセンブリの端面図である。
図6】たとえば図2の濾過およびイオン交換アセンブリの部分として、図1A図1Bのシステムと共に使用され得る、例示的なイオン交換容器の等角図である。
図7図6のイオン交換容器の側面図である。
図8図6のイオン交換容器の上面図である。
図9図8の線A−Aに沿って見られた図6のイオン交換容器の断面図である。
図10図6のイオン交換容器のライザ(riser)、上方プレート、およびイオン交換室の間のインターフェースの断面詳細図である。
図11図6のイオン交換容器のイオン交換室、下方プレート、および基部の間のインターフェースの断面詳細図である。
図12】一部を切り取られた図6のイオン交換容器の等角図である。
図13図8の線B−Bに沿って見られた図6のイオン交換容器の断面図である。
図14図7の線C−Cに沿って見られた図6のイオン交換容器の断面図である。
図15図7の線D−Dに沿って見られた図6のイオン交換容器の断面図である。
【0017】
本明細書および図面における参照符号の繰返し使用は、本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明の現在好ましい実施形態を詳細に参照し、それらの1または複数の例が添付図面に示される。各例は、本発明の限定ではなく本発明の説明として提供される。実際、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく本発明において修正および変形が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。たとえば、一実施形態の部分として例示または説明された特徴が別の実施形態に対して使用されて、さらに他の実施形態を生じることがある。したがって、本発明はそのような修正および変形を含むことが意図される。
【0019】
液体中の放射性物質の除去のための液体処置の様々なシステムおよび技法は、特許文献1(「System and Method for the Removal of Radioactive Particulate from Liquid Waste」)、特許文献2(「System and Method for the Removal of Radioactive Particulate from Liquid Waste」)、および特許文献3(「Fluid Treatment System」)に示され説明されている。上記の特許および特許出願は各々、あらゆる目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本発明の実施形態は、液体から放射線核種を除去するための液体処置システムおよび方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、原子力施設において放射線排水流を処理する際に使用するのに特に適しており、下記の議論は、その文脈で好ましい実施形態を説明する。たとえば、本発明の実施形態は、上述されたハンフォードにおける漏洩タンク問題を含むがそれに限定されない様々な廃水問題に対処するために使用され得る、新規のシステムおよび方法を提供する。しかしながら、本発明はそのように限定されないことは当業者には理解されよう。実際、本発明の実施形態は、核分裂生成物質を含む任意の液体と共に、また原子力施設以外の産業環境において使用され得ることが企図される。
【0021】
水性液体からの放射線核種などの汚染物質の選択的除去のための多くのタイプのビーズ状および粒状媒体があることが、本技術分野をよく知る者には理解されよう。本明細書で使用される場合、用語「イオン交換」は、本発明内で発生し得る任意およびすべてのプロセス、たとえば、これらに限定されないが、イオン交換、吸収、共沈などを指す。したがって、用語「イオン交換」は、複数の除去機構を企図する。
【0022】
図1A図1Bは、本発明の実施形態による、原子力施設における廃水処置システム10の概略図である。たとえば、放射線ストロンチウム(Sr)、アクチニド、およびセシウム(Cs)の1または複数を含む、大量の高レベル核廃棄物が、大きな貯蔵タンク12に貯蔵され得る。与えられた原子力施設は多くの貯蔵タンク12を備え得るが、単一のそのようなタンクが示されている。一例では、貯蔵タンク12は、100万ガロン(3785411.784リットル)を超える容積を有し、上澄み、芒硝、スラッジ、および固体を含む廃棄物を貯蔵することができる。上澄みは、たとえば、高濃度の硝酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウム塩を有することができる、液体塩溶液を含むことができる。スラッジは、沈殿された固体および不溶性廃棄物を含むことができ、固体は、結晶化された塩(「芒硝」)の形態であり得る。
【0023】
システム10のいくつかの発明態様が下記により詳細に説明される。しかしながら、一般に、システム10は、貯蔵タンク12内の上澄みから(Sr、アクチニド、およびCsを含むがそれらに限定されない)1または複数の放射線核種を除去して、除染された塩溶液(decontaminated salt solution:DSS)14を生じさせるように動作する。次いで、DSS14は、最終処分のためのさらなる処置16のために(たとえば、タンクローリまたはパイプラインを介して)別の施設に送られ得る。たとえば、DSS14は、グラウトまたはセメント混合物として固定化され、ボールト内に配置され得る。当業者は、低レベルガラス固化器(low level vitrifier)への移送など、DSS14に対する他のさらなる処置をよく知っている。最後に、貯蔵タンク12内のスラッジおよび固体は、最終的な高レベルガラス固化のために別の貯蔵タンクに移され得る。システム10を通る液体の流量は、貯蔵タンク12内の上澄み中の塩濃度に依存し得る。たとえば、塩濃度が低い施設において、流量は、約80〜100ガロン(約302.833〜378.541リットル)/分であり得る。逆に、塩濃度がより高い施設において、流量は、約20ガロン(約75.708リットル)/分であり得る。
【0024】
より具体的には、一実施形態では、システム10は、まず、チタン酸一ナトリウム(MST)ストライク(strike)を使用して貯蔵タンク12内の廃棄物を処置することができる。この処置はすべての実施形態で必要とされるものではないが、当業者によって理解されるように、それは、貯蔵タンク12内の上澄み中のSrおよびアクチニドを吸収するために使用され得る。これに関連して、移送ポンプ18が、MST貯蔵タンク20から貯蔵タンク12にMSTを送り込むことができる。MSTが上澄み中のSrおよびアクチニドを十分に吸収できることを確実にするために、少なくとも1つの水中混合ポンプ22が、貯蔵タンク12と結合され得る。代替的実施形態では、ストライクは、タンク12の外部で、濾過容器30とイオン交換容器38、40、42との間の濾過容器30の上流、またはイオン交換容器38、40、42の下流に配置された部品またはタンクにおいて行われてよい。
【0025】
次に、貯蔵タンク12内の上澄みを処理するために、システム10は、好ましくは、貯蔵タンク12と流体連通する濾過およびイオン交換アセンブリ24を備える。示されるように、たとえば、システム10は、移送ポンプ26を備えることができ、移送ポンプ26は、貯蔵タンク12と結合され、二次的に収容され遮蔽され得る適切な配管28を介して貯蔵タンク12から濾過およびイオン交換アセンブリ24へ上澄みを送り込むように動作可能である。イオン交換媒体を汚すおそれがある微粒子または他の固体がイオン交換容器内へ通過するのを防止するために、液体廃棄物は好ましくはその上流で濾過される。さらに、MSTストライクが濾過の前に使用される場合、濾過はさらに、イオン交換容器内に供給される廃棄物流内にアクチニドが存在しないことを確実にするができる。
【0026】
したがって、濾過およびイオン交換アセンブリ24は、好ましくは、複数のイオン交換容器の上流に複数のフィルタを備えることができる。例示された実施形態では、濾過およびイオン交換アセンブリ24は、3つのフィルタ32、34、36を含む濾過容器30を備える。さらに、濾過およびイオン交換アセンブリ24は、この実施形態では、3つのイオン交換容器38、40、42を備える。イオン交換容器38、40、42は、濾過容器30の下流のリード−ミドル−ラグ(lead-middle-lag)構成であってよい。イオン交換容器38、40、42は、やはり二次的に収容され遮蔽され得る配管44を介して濾過容器30と流体連通する。この実施形態では3つのフィルタ32、34、36が示されているが、他の実施形態は3つより少ないまたは多いフィルタを有してもよいことは、当業者には理解されよう。同様に、他の実施形態は、特定の液体処置システムの要件に応じて、たとえばリードラグ構成の2つのイオン交換容器、1つのイオン交換容器、または3つより多いイオン交換容器を備えることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、フィルタ32、34、36は、並列または直列に動作する回転マイフロフィルタ(RMF)とすることができる。当業者はこの目的に適切なRMFをよく知っているが、好ましい実施形態において、RMFは、その開示があらゆる目的で参照によりその全体として本明細書に組み込まれる特許文献4に説明されているRMFと同様であってもよい。市販のRMFは、カリフォルニア州ロスアラミトスのSpintek Filtrationによって提供されている。加えて、RMFの態様は、あらゆる目的で参照によりその全体として本明細書に組み込まれる、非特許文献1に説明されている。他の実施形態は、もちろん、当業者に知られている他の適切なフィルタを使用してもよい。
【0028】
好ましくは、RMFユニットおよびそれらの関連付けられた配管は、好ましくは適切に遮蔽される濾過容器30に取り付けられる。RMFユニットは、RMFの加圧された動作を可能にする回転メカニカルシールまたは同様の密封デバイスを用いて濾過容器30の頂部に取り付けられ得る。この構成は、濾過容器30とイオン交換容器38、40、42との両方が、ちょうど同じホイストおよび機械的リギングを用いて操作され動かされることを可能にする。一実施形態では、各RMFユニットは、静止円筒状ハウジング内部の中空回転軸にセットされた25個の平坦な丸い0.5ミクロン(μm)フィルタ要素ディスクを含んでよい。貯蔵タンク12からの上澄みは濾過容器30に入り、そうすると、それは各RMFユニット内に供給される。上澄みは、各RMF要素表面にわたって分散され、各フィルタ要素を通るように押しやられる。精密濾過により生じる(濾液としても知られる)透過液が、濾過された塩溶液(filtered salt solution:FSS)である。FSSは各RMFの中空軸で収集され、配管44へ排出されると、それはイオン交換容器38に移送される。
【0029】
RMFから出力された残留物流(retentate stream)(濃縮流または拒絶流として知られることがある)は、引き続き貯蔵タンク12に返されてよい。特に、各RMFにおいて、静止ディスクは回転要素ディスクと対向し、したがって流体回転を防止するように振る舞う。固体は、フィルタ要素上に堆積することなく、遠心力によって戻り配管46内へ搬送され得る。戻り配管46は、前述の配管28および44と同様に、好ましくは二次的に収容され遮蔽され得る。したがって、バックパルスシステムは、いくつかの実施形態では提供されることがあるが必須とされないことは理解されよう。(さらに、フィルタ32、34、36のいくつかの実施形態は、連結を備えることができ、それによって、フィルタ要素からのデブリを洗浄および溶解するための酸または他の化学物質が添加され得る。)次いで、配管46は、残留物流を貯蔵タンク12に搬送して戻す。
【0030】
図1A図1Bは、並列に動作するフィルタ32、34、36を示しているが、上述されたようにフィルタ32、34、36は直列に動作させてもよいことは理解されよう。実際、いくつかの設置形態において、直列動作は、高クロスフロー「フラッシング(flushing)」速度のため、並列動作よりも良い性能を提供することができる。フィルタ32への供給フローは、フィルタ32からの残留物流出力といくらか類似した特性を有し得るが、それは、プロセス流のごく一部のみが濾液として除去され得るからであり、したがって、フィルタ32からの残留物流出力を(フィルタ34または36のような)第2または第3のフィルタに流れ込むように構成することは問題ではない。
【0031】
濾過容器30から去ったFSSは、次いで、濁度アナライザ48を通ることができる。濁度アナライザ48は、フィルタ32、34、36が適切に動作していることを保証するために、FSSの濁度を分析することができる。濁度測定が許容可能でない場合、処置システム10は、イオン交換媒体のファウリングの前に停止することができる。
【0032】
濁度測定が許容可能であるとすると、FSSは、放射線核種の除去のために、配管44を経由してイオン交換容器38、40、および42に順次進む。一実施形態では、イオン交換容器38、40、42は、FSSからCsを除去するために使用され得るが、それらは、他の実施形態では、Csに加えてまたはCsの代わりに他の放射線核種を除去することができる。例示された実施形態において、イオン交換容器38、40、および42は各々、好ましくはCsを除去するための適切なイオン交換媒体を充填され得る。好ましい実施形態では、イオン交換媒体は、結晶性シリコチタネート(Crystalline Silicotitanate:CST)媒体とすることができる。市販のCST媒体の例は、イリノイ州デスプレーンズのUOP LLCによって提供されるIONSIV(登録商標)IE−911、および日本の日立市の日立GEニュークリア・エナジー株式会社によって提供されるHS−726である。当業者には理解されるように、CST媒体は、CSに対して高い親和性を有し(またSrを除去するために使用され得る)が、それは一度のみ充填され得る非再生可能吸着剤である。したがって、いったん与えられたイオン交換容器内のCST媒体が消費されると(それは、たとえば、FSSの物理的、化学的、および放射線的特性に応じて、使用のおよそ数週間または数カ月後であり得る)、イオン交換容器は、好ましくは、サービスから除去され、さらなる処理まで貯蔵場所に置かれ得る。貯蔵中、充填されたCST媒体は熱を発生し、したがって、貯蔵されたイオン交換容器は冷却される必要があり得る。貯蔵されたイオン交換容器を受動的に冷却するための技法の一例は、先に参照された特許文献3に提供されている。他の実施形態では、充填されたイオン交換媒体が、さらなる処理および/または貯蔵のために、該当するイオン交換容器から別個の貯蔵タンクに流されることができる。
【0033】
重要なことに、以下でより詳細に論じられるように、イオン交換容器38、40、および42は、好ましくは、従来技術で使用される下向流ではなく上向流で動作させられる。したがって、FSSは、まず配管44からリードイオン交換容器38内へ流れ、そこで、それはイオン交換媒体を通って上方に流れることができる。次いで、FSS流は、配管52を介してイオン交換容器38から出てミドルイオン交換容器40に入ることができる。その中のイオン交換媒体を通って上方に流れた後、FSS流は、配管54を介してイオン交換容器40から出てラグイオン交換容器42に入ることができる。最後に、FSS流は、配管56を介してイオン交換容器42から出ることができる。配管52、54、56は、好ましくは、二次的に収容され遮蔽され得る。
【0034】
上述されたように、イオン交換容器42からの出力はDSS14である。DSS14は、配管56に沿って通り、放射線検出器58に遭遇することができる。放射線検出器58は、一実施形態では、タリウムで活性化されたヨウ化ナトリウムを使用するシンチレーション検出器(または別の適切なシンチレーション検出器)とすることができ、電離放射線の存在に関してDSS14を分析することができる。したがって、放射線検出器58は、イオン交換プロセスが適切にFSS流から対象とされた放射線核種を除去しているかどうかの全体的指標として機能することができる。したがって、放射線検出器58はまた、イオン交換媒体が消費されたかどうかに関する情報を提供し、それにより、イオン交換容器38、40、42交換または同様の是正措置のために、処置システム20を停止するようにオペレータに警告することができる。
【0035】
対象とされた放射線核種(たとえば、Csおよび/またはSr)が適切に除去されたとすると、DSS14は2つのサンプルタンク60、52内に入る。DSS14は、担当者がDSS14をサンプリングし、それが任意のさらなる処置16のための適用可能な廃棄物受入れ基準を満たすことを保証することができるように、サンプルタンク60、62内で循環(混合)されて貯蔵される。システム10は、並列構成において2つのポンプ64、66をさらに備えることができる。廃棄物受入れ基準が満たされていると決定されると、ポンプ64、66は、適切な二次的に収容され遮蔽された配管68を介するなどして、該当するさらなる処置16に対してDSS14を送り込むように動作可能である。1つのポンプ64または66のみが必要とされ得るが、2つのポンプ64および66が冗長に提供される。使用において、ポンプ64および66の一方のみが使い古されるまで動作してよく、その場合、他方は容易に実装され得る。ポンプ64、66は、好ましくは、やはり二次的に収容され遮蔽され得る配管70を介して、タンク60、62と流体連通する。
【0036】
一般的に、一度にサンプルタンク60または62の一方のみが濾過およびイオン交換アセンブリ24からDSS14を受け入れることができ、これは、タンク60または62の他方がサンプリングされることを可能にする。注目すべきことに、システム10は、好ましくは、サンプリングされているタンク60または62内のDSS14の混合を促進するためにバイパスループを備える。具体的には、サンプルタンク60、62が、好ましくは、DSS14を混合し均一サンプルを保証するために、タンク内に配設された排出装置72、74を備える。配管76を介して、混合排出装置72、74は、好ましくは、ポンプ64、66の下流の配管70と流体連通する。したがって、たとえば、タンク60がサンプリングされているとき、タンク62は、濾過およびイオン交換アセンブリ24からDSS14を受け入れていることができる。システム10は、動作中のポンプ64または66に、DSS14をタンク60から送り出させることができる。次いで、システム10は、ポンプから去るDSS14が、さらなる処置16をバイパスし、代わりに配管70から配管76に入り、最終的に、タンク60内のDSS14を混合させる混合排出装置72に戻るようにすることができる。サンプルが適用可能な廃棄物受入れ基準を満たすとすると、システム10は、ポンプがタンク60からDSS14をさらなる処置16に送り込むようにすることができる。次いで、タンク62内に貯蔵されているDSS14が、同様の方法で混合されサンプリングされることができ、タンク60が、濾過およびイオン交換アセンブリ24からDSS14を受け入れることができる。
【0037】
システム10の動作中に大量の熱が発生され得ることは、当業者には理解されよう。システム10が動作しているとき、システム10を通って流れる液体流が、様々な部品を冷却する。しかしながら、システム10が何らかの理由で停止されているとき、液体流は流れていないことがある。したがって、システム10は、少なくとも(イオン交換容器38、40、および42の下流の)配管56と(イオン交換容器38、40、および42の上流の)配管44との間に延びることができる予備冷却ループ78を備えることができる。示されるように、冷却ループ78は、加熱された液体廃棄物流からの熱伝達を促進することができる熱交換器80を備えることができる。ポンプ81は、熱交換器80の上流に冷却ループ78に沿って設けられて、それに沿って液体流を送り出すことができる。加えて、破線82で示されるように、他の実施形態では、冷却ループ78は、濾過容器30の上流の配管28まで延びてもよい。
【0038】
さらに、当業者は、システム10のための適切な保守システムよく知っている。1つの非限定的例では、水酸化ナトリウムと混合された水のような抑制された水(inhibited water)が、タンク84から送り出されてシステム10部品を洗浄するために使用され得る。抑制された水は、当業者には理解されるように、特定のシステム部品において必要とされるまたは所望されるpHレベルを維持するために使用される。タンク84は、配管86を介して配管28と流体連通することができる。配管86に沿って配設されたポンプ88は、抑制された水をタンク84から配管28およびシステム10内の他の部品に送り込むために使用され得る。したがって、システム10が使用中でないとき、抑制された水は、保守のためまたは腐食を防止するために、濾過およびイオン交換アセンブリ24を洗い流すのに使用され得る。
【0039】
加えて、システム10は、圧縮された空気源90から圧縮された空気を受け入れるように構成され得る。特に、配管92を介して、圧縮された空気源90は、配管10(ひいては他のシステム部品と)と流体連通することができる。したがって、圧縮された空気源90は、たとえば、修理またはサービスのために部品を分離する前に、空気をシステム10全体へ駆動してシステム10の部品から水を除去することができる。
【0040】
図2図5は、濾過およびイオン交換アセンブリ24の実施形態に関する追加の詳細を示す。背景として、原子力施設における廃水処置システムは、いくらか分散化されることが多い。たとえば、処理されるべき排水を含む貯蔵タンクは、フィルタ、イオン交換部品、または他の貯蔵タンクなど他のシステム部品から、配管の長さだけ分離され得る。これは、高価であると共に非効率的であることは理解されよう。さらに、上に説明されたように、CST媒体は液体供給流からCsおよび/またはSrを除去するために特に効率的な媒体であるが、かなりの量の壊熱が充填された(消費された)媒体から発生され得る。したがって、原子力施設における塩廃棄物の処置のために、CST媒体を使用する大きいイオン交換容器が提案されているが、格納、熱放散、および遮蔽体要件のため、それらは採用されていない。
【0041】
しかしながら、最近になって、これらの格納、熱放散、および遮蔽体要件を回避するために、より小さいイオン交換容器を「タンク内(in-tank)」構成で設置することが提案されている。より具体的には、この構成では、ポンプ、フィルタ、およびイオン交換カラムを含むシステム部品が、貯蔵タンクの頂部に配設されたライザ(riser)内に設置される。タンクは二次収容器および遮蔽体も含むので、追加の遮蔽された施設を構築する必要がない。システム部品は、貯蔵タンク内に置かれた液体廃棄物を処理するために貯蔵タンク内に延びる。
【0042】
しかしながら、そのようなタンク内構成にはいくつかの欠点がある。第1に、カラムをタンク内に設置することが、精密な許容差および危険な環境のため難しい。特に、処置カラムは、数十年前に構築されているタンク上に配置されたライザ内に正確に収まらなければならない。製図が存在することがあっても、「タンク内」イオン交換カラムとライザとの間の完全な嵌合は難しい。これは、ライザが危険な環境にあり、そこでは個人用保護具要件により作業活動が複雑になるため、特に当てはまる可能性がある。第2に、重量および寸法制限のため、タンク内型カラムに遮蔽体を追加することが実用的でない。したがって、タンク内カラムは、(本発明の実施形態のように)単純にサービスから除去され貯蔵場所に置かれ得る。これは、充填された媒体が、カラムから相互接続配管を介して、イオン交換媒体サイズを約30マイクロメータ以下に縮小する研削部品に移されなければならないので、さらに動作を複雑にする。これは、研削されたCSTが分離なしに周囲のタンクスラッジと混合することを可能にできる。第3に、高レベル廃棄物タンク内部に最小限の空気流がある。したがって、タンク内カラムは常に能動的に冷却されなければならない。第4に、廃棄物タンクは、RMF前置フィルタおよび媒体研削器のようなタンク内カラムおよびその補助的部品を保持するために、かなりの構造的強度および完全性を有しなければならない。したがって、SRSにおけるタイプIIIタンクのみが、タンク内部品を支持する資格を与えられている。たいていのより古い施設は、既に漏洩している可能性があるタンクに対してこの量の重みおよび増大されたストレスを加えたくないことが予期される。
【0043】
対照的に、より詳細に後で説明されるように、濾過およびイオン交換アセンブリ24の部品の構成は、好ましくは、アセンブリが単純な「タンク近傍」施設に配置されることを可能にする。言い換えれば、濾過およびイオン交換アセンブリ24の部品は、「タンク内」、または貯蔵タンクから離れた1または複数の別個の遮蔽された構造または施設にある必要はなく、そこに設置されない。したがって、貯蔵タンクと他の部品との間の拡張した配管がもはや必要とされない。もちろん、与えられた廃棄物タンクに対する濾過およびイオン交換アセンブリ24の実施形態の近接は、与えられた施設における要件によって規定され得る。2つの非限定的例を挙げると、濾過およびイオン交換アセンブリ24の実施形態は、ハンフォード施設における廃棄物タンクの500フィート(152.4m)の範囲内に配置されてよく、また、濾過およびイオン交換アセンブリ24の実施形態は、日本の福島施設における廃棄物タンクから5000フィート(1524m)までに配置されてよい。いずれにしても、それらは、液体貯蔵タンクに隣接または近接して配置されるように構成されるので、濾過およびイオン交換アセンブリ24の実施形態は、特定の仕事が完了すると、それらは分解され、あるタンクから次のタンクへ移動され得るという点で、移動可能であり得る。
【0044】
図2図5に示されるように、一実施形態では、濾過およびイオン交換アセンブリ24は主通路(gangway)100を備えることができる。主通路100は、技術者または他の担当者に、濾過容器30およびイオン交換容器38、40、42へのアクセスを提供することができる。これに関連して、主通路100は、好ましくは、高架プラットフォーム102、およびプラットフォーム102を支持する支持構造またはアンダーボディ104を供える。主通路100は、好ましくは、軽量金属構造、たとえば、溶接された鋼またはアルミニウムとすることができる。注目すべきことに、配管(たとえば、配管28、44、52、54、58)、および濾過容器30およびイオン交換容器38、40、42に関連付けた他の部品は、アンダーボディ104においてプラットフォーム102の下に配設されてよい。したがって、アンダーボディ104は、容易にアクセス可能でもある小さな設置面積に従来はより広がっていた部品が配置され得る領域を提供することができ、それはタンク近傍配置を促進する。
【0045】
好ましくは、濾過容器30およびイオン交換容器38、40、42は、プラットフォーム102に沿って平行に等しく離間され得る。さらに、容器は、好ましくは、プラットフォーム102上に立っているオペレータによる容器への即座のアクセスを提供するように、主通路100に十分に近接して離間される。これに関連して、主通路100はまた、階段108および/または梯子110によってアクセス可能であり得るプラットフォーム102を取り囲むガードレール106を備えることができる。示されるように、一実施形態では、濾過容器30の構造は、好ましくは、いくつかの点でイオン交換容器38、40、42の構造に類似しており、それらの態様は後でより詳細に説明されるが、これは必須とされない。
【0046】
図6図15は、本発明の実施形態に従って構築されたイオン交換容器150を示す。イオン交換容器150は、濾過およびイオン交換アセンブリ24の部品としてシステム10と共に使用され得る。したがって、イオン交換容器38、40、および42は、好ましくは、いくつかの実施形態においてイオン交換容器150と類似することがある。しかしながら、他の実施形態では、イオン交換容器150は、独立したユニットとして、または別の液体処置システムの部分として使用されることがある。好ましい実施形態では、イオン交換容器150は、(あらゆる目的で参照によりその全体として本明細書に組み込まれる)非特許文献2で定義される要件のような圧力容器の構造に関する適用可能な要件を満たすように構築され得る。
【0047】
イオン交換容器150は、好ましくは、消費されたイオン交換媒体のための貯蔵モジュールとしても機能する。たとえば、容器150は、原子力施設に持ち込まれてプラント設備に連結されることができ、そこで、媒体がその最大放射線容量(たとえば最大CsおよびSr負荷)に達するまたは使い果たされる(DF≒1)まで、水が容器を通って流れることができる。この時点で、水は容器から噴き出されてよく、連結は固着されてよく、容器は中間消費貯蔵施設に移送されてよい。そこで、容器は、長期間(たとえば、長年または100年間まで)貯蔵されて、放射線核種の放射性崩壊を可能にし、その時間後、消費媒体は除去され低レベル放射性廃棄物として処分され得る。
【0048】
ここで図を参照すると、イオン交換容器150は、それぞれ中間プレートおよび下部プレート154、156の間に延びている外殻152を供えることができる。外殻152およびプレート154、156は、それらにより、イオン交換室153を画定することができる。イオン交換容器150の動作中、イオン交換室153は、特定の液体処置プロセスに対して必要とされるまたは所望される任意のイオン交換媒体を充填され得る。上で論じられたシステム10の例では、イオン交換媒体153はCSTタイプ媒体を充填され得る。これに関連して、図9および図12図14は、高さ209までイオン交換媒体を充填されたイオン交換容器を示す。いずれにしても、好ましい実施形態において、外殻152は、円筒状の形状であり、オーステナイト系または二相ステンレス鋼(または、Alloy 20、ハステロイなどのような同様の耐食合金)で形成されてよいが、これは必須とされない。プレート154、156は、同様にステンレス鋼で形成され、それぞれその中に画定される中心に配設された開口155、157を有する環状の形状であってよい。一例では、プレート154、156は、厚さ約3インチ(約7.62cm)であってよく、外殻152は、厚さ約0.5インチ(約1.27cm)であってよい。中間プレートおよび下部プレート154、156の外径は、好ましくは、外殻152の外径と実質的に等しくすることができる。
【0049】
次に、イオン交換容器150は、中間プレート154上に載置しているライザ158、および下部プレート156が載置している基部160を備えることができる。ライザ158は、好ましくはステンレス鋼で形成されてよく、また、外殻152およびプレート154、156の外径と実質的に等しい外径を有することもできる。より詳細に後で説明されるように、基部160は、一実施形態では複数の積み重ねられたプレートを備えてよく、好ましくは、外殻152およびプレート154、156の外径よりいくらか大きな外径を有することができる。イオン交換容器150は、例示された実施形態ではライザ158と一体に結合され得る持上げトラニオン161をさらに設けられてもよい。持上げトラニオン161は、イオン交換容器150の取扱いおよび移送を促進することができることは理解されよう。
【0050】
中間プレート154の上に固定された上方プレート162がライザ158内にあって、ライザ158、上方プレート162、および中間プレート154が上方室164を画定するようにしてもよい。上方プレート162は、好ましくは、その中に開口166を画定することができる。開口166は、一実施形態では長方形の形状であってよく、好ましくは、上方プレート162の直径と同一線上の中心線を有し、中間プレート154内の開口155の上方に配設される。したがって、より詳細に後で論じられるように、上方室164は、完全には密閉されないが、開口155と開口166との間で空気が流れることを可能にする。これに関連して、プレートカバー168が開口166を覆って固着されてよく、プレートカバー170が開口155を覆って固着されてよい。上方プレート162は、やはりステンレス鋼で形成されてよく、一実施形態では、厚さ約0.5インチ(約1.27cm)であってよい。加えて、一実施形態では、プレートカバー168および170は、18メッシュステンレス鋼で形成されてよい。
【0051】
上方レート162はさらに、開口166の両側で離間された横方向に対向された対の開口172、174を画定することができ、中間プレート154はさらに、開口172、174と位置合わせされた横方向に対向された対の開口176、178を画定することができる。開口172と開口176との間ならびに開口174と開口178との間に延びるのは、それぞれ、チューブ(tubing)180、182であり得る。それにより、チューブ180およびチューブ182はそれぞれ、検査孔184、186を画定することができ、それらを通して、技術者または他の担当者がイオン交換室153を調べることができる。さらに、検査孔184、186は、消費されたイオン交換媒体を除去するための、たとえば、さらなる処理(たとえばガラス固化)、貯蔵、または処分のための手段を提供する。検査孔184、186は、取外し可能なプラグまたはカバー188、190によって閉じられてよい。プラグ188、190は、好ましくはステンレス鋼で形成されてよく、ボルトまたは他の適切な留め具を用いて上方プレート162における開口172、174を覆って固着され得る。
【0052】
上述されたように、イオン交換容器150は、好ましくは、従来技術と同様に下向流ではなく上向流で動作するように構成され得る。これに関連して、イオン交換容器150は、上方プレート162の上方でライザ158内に配設されたプロセス入口192を備えることができる。一実施形態では、プロセス入口192は、3インチ(7.62cm)Drylokクイック切断バルブ、フランジ、または類似の連結点を備えることができる。イオン交換容器150は、内殻194をさらに備えることができ、内殻194は、好ましくは、下方プレート156と中間プレート154との間に延びており、好ましくは、開口155、157の内径と実質的に等しい内径を有することができる。好ましくは、内殻194は、ステンレス鋼(または上に説明されたような別の適切な耐食材料)で形成されてよく、一実施形態では、それは厚さ0.5インチ(1.27cm)とすることができる。入口スプール196は、プロセス入口192から上方室164を通り下方へ内殻194を通って延びることができ、そして、それは内殻194から室153内へ出て、入口ディフューザ198で終端することができる。したがって、内殻194は、イオン交換室153から入口スプール196の部分を分離することができる。入口ディフューザ198は、示されるように環状の形状で内殻194と同心とすることができ、好ましくは、複数の下方の対向するスクリーン200を備える。当業者には理解されるように、入口スクリーン200は、円筒状の形状であり、複数の穴を画定することができ、それを通って、液体がイオン交換容器150に入ることができる。入口スクリーン200は、好ましくは、イオン交換室153においてイオン交換容器150に入る液体の均一な分配を促進するように、ディフューザ198の周りに等しく離間される。
【0053】
イオン交換容器150は、上方プレート162の上方でライザ158内に配設されたプロセス出口202をさらに備えることができる。一実施形態では、プロセス出口202は、3インチ(7.62cm)Drylokクイック切断バルブ、フランジ、または類似の連結点を備えることができる。出口スプール204は、プロセス出口202から上方室164を通り下方へ内殻194を通って延びることができ、そして、それは内殻194から室153内へ出て、出口収集ヘッダ206で終端することができる。したがって、内殻194はやはり、イオン交換室153から出口スプール204の部分を分離することができる。出口収集ヘッダ206は、示されるように環状の形状で内殻194と同心とすることができ、好ましくは、中間プレート154に近接して配置され得る。出口収集ヘッダ206は、好ましくは、複数の上方の対向する出口スクリーン208を備える。出口スクリーン208は、好ましくは、上に説明された入口スクリーン200と類似してよい。したがって、出口スクリーン208は、好ましくは、イオン交換室153から出る液体の収集を促進するように、ヘッダ206の周りに等しく離間される。これに関連して、出口スクリーン208は、好ましくは、イオン交換室153内のイオン交換媒体の高さ209より少なくとも部分的に上方に延びてよい。
【0054】
好ましい実施形態では、プロセス入口および出口192、202、入口および出口スプール196、204、ならびに入口ディフューザおよび出口収集ヘッダ198、206は、すべて、ステンレス鋼で形成されてよい。さらに、他の実施形態では、プロセス入口および出口192、202は、ライザ158に配設される必要がない。たとえば、プロセス入口192は、基部160などイオン交換容器150の外部に配置されてもよい。
【0055】
ベント210も、上方プレート162の上方でライザ158に配設されてよい。一実施形態では、ベント210は、1インチ(2.54cm)Drylokクイック切断バルブ、フランジ、または類似の連結点を備えることができる。ベントスプール212は、ベント210から上方室164を通って延びることができる。ベントスプール212はまた、上方プレート162で画定された対応する開口を通り抜けて、イオン交換室153で終端することができる。好ましくは、ベントスプール212はステンレス鋼で形成され得る。
【0056】
示されるように、入口ディフューザ198は、好ましくは、入口スクリーン200が下方プレート156に近接して配置されるように、イオン交換室153の底部の近くに配置され得る。したがって、イオン交換容器150に入っていく液体は、従来技術のように頂部でなくイオン交換室153の底部で入り、その中に配置されたイオン交換媒体を通って上方に流れる。液体がイオン交換媒体を通過してイオン交換室153の頂部に到達した後、液体は、出口収集ヘッダ206に関連付けられた出口スクリーン208を介して収集され得る。次いで、液体は、出口スプール204を通って上方に流れ、プロセス出口202を介してイオン交換容器150から出ることができる。
【0057】
上向流動作用にイオン交換容器150を構成することは、いくつかの注目に値する利点を有する。たとえば、動作中、放射線の放出は、水素ガスを生成する水および他の水素含有化合物の放射線分解を引き起こすことができる。下向流で動作させられる従来技術のイオン交換容器では、これらのガスの少なくとも一部はイオン交換室に捕えられる可能性があり、これは、イオン交換媒体内の爆発性雰囲気、または媒体の非効率な使用を生じ得る不均一な流れ分配につながる可能性がある。しかしながら、本発明のイオン交換容器の実施形態では、上向流動作が、通常の動作中にイオン交換室からこれらのガスを受動的に追放することができる。具体的には、ガスは、出口収集ヘッダ206に関連付けられた出口スクリーン208を通して廃液内へ渡される。次いで、ガスは液体と共に移動し、最終的に貯蔵タンク(たとえば、サンプルタンク60、62)で止まり、貯蔵タンクは、工学的ガス換気システムによって適切に排気される。一例では、1時間あたり10リットルまでの容積がイオン交換容器150から追放され得る。一実施形態では、ベント210は、蓄積されたガスを施設の換気システムへ自動的に解放する圧力排気バルブに連結されてよい。
【0058】
さらに、上向流でイオン交換容器150を動作させることにより、液体処置システムで、より低圧力の部品が使用され得る。より詳細には、従来技術の下向流システムの使用において、下方に流れる流入液体はイオン交換媒体を圧縮することになる。圧縮されたイオン交換媒体は、イオン交換容器にわたって大きい差圧をもたらし、したがって、より強力なポンプおよび他のより高圧力の部品の使用を必要とすることになる。対照的に、上向きに流れる液体は、イオン交換媒体の圧縮を引き起こさず、したがって、イオン交換容器150にわたる差圧は従来技術よりもかなり小さくてよい。
【0059】
上向流のさらに別の利点は、イオン交換容器150上の放射線遮蔽に関する。上述されたように、CST媒体は、CsおよびSrについてかなり大きな容量および高い親和性を有する。しかしながら、知られているように、これは、CST媒体を利用して除去されたCsが、イオン交換室に入るCs含有液体によって最初に遭遇された領域でより濃縮されるようにする傾向がある。言い換えれば、下向流イオン交換容器では、入る液体が頂部から底部に流れるので、Csがイオン交換室の上方部分で濃縮されることになる。しかし、注目すべきことに、容器の1つの領域での放射線核種のより高い濃縮は、その場所でより強い遮蔽体を必要とし得る。しかしながら、イオン交換室の上方部分において(鉛で形成され得る)追加の遮蔽体を含むことは、イオン交換容器が高い重心を有し、いくらか「頭が重い」ようにする可能性がある。より高い重心を有することは、それが地震性イベント(たとえば地震)中の容器の安定性を低くすること、およびそれが容器を移送する難度を高くすることを含む、いくつかの理由のため望ましくない。
【0060】
しかしながら、本発明の実施形態によれば、上向流でイオン交換容器150を動作させることにより、除去された放射線核種が、イオン交換室153の下方部分で濃縮する傾向になる。したがって、イオン交換容器150の下方部分は、イオン交換容器150の上方部分より大きい厚さの遮蔽体を有することができる。少なくともこの理由により、イオン交換容器150は、より低い重心を有し、地震性イベント中により安定的であると共に移送がより容易であることが可能である。加えて、容器150は、頂部から接触取扱いが可能であり、また、上向流動作が、最高放射線量率を容器150の底部のより近くにするので、それは、担当者または作業員の放射線被曝を低下させることもできる。
【0061】
これに関連して、イオン交換容器150は、好ましくは、上方遮蔽体214および下方遮蔽体216を備えることができる。当業者は他の適切な遮蔽材料よく知っているが、好ましくは、遮蔽体214、216は鉛で形成される。図に示すように、上方遮蔽体214は下方遮蔽体216より薄くてよい。一実施形態では、上方遮蔽体214は、下方遮蔽体216の外径より小さい約3インチ(約7.62cm)の外径を有してよく、下方遮蔽体216は、すべての辺で約1.5インチ(約3.81cm)厚くされる。下方遮蔽体216は、好ましくは、入口物質移動範囲で濃縮された放射線核種に対して適切に遮蔽するために十分に上方に延びる。一実施形態では、たとえば、下方遮蔽体216は、基部160から約56.5インチ(約143.51cm)上方に延びてよく、下方遮蔽体216に載置し得る上方遮蔽体214は、下方遮蔽体216から約53.4インチ(約135.636cm)上方に延びてよく、したがって、上方室164の一部を覆うこともできる。
【0062】
注目すべきことに、好ましい実施形態では、遮蔽体214および遮蔽体216は各々、複数の鉛板を外殻152の外面の周りに所望の厚さで巻き付けることによって形成され得る。一例では、3/16インチ(0.47625cm)の厚さおよび9フィート(2.7432m)の長さを有する鉛板が互いに(さらに必要な場合は殻152に)溶接されて、鉛遮蔽体を形成することができる。重要なことに、この様式で鉛を巻き付けて遮蔽体を形成することは、いくつかの利点を有する。第1に、鉛板を巻き付けることにより遮蔽体214、216を形成することは、イオン交換容器150の長さに沿って異なる遮蔽体厚さを達成することをより容易にする。さらに、上述されたように、容器150内のイオン交換媒体が消費された後、容器150は、放射性崩壊を可能にするために十分な期間で貯蔵され得る。巻き付けられた鉛板の遮蔽体214、216を形成することにより、遮蔽体214、216は、十分な放射性崩壊が発生したとき、従来技術の遮蔽体よりも容易に除去され得る。次いで、鉛は、非放射性物質として別個に処分され得る。さらに、一実施形態では、この様式で遮蔽体を形成することは、電離放射線の存在を100万分の1に低減することができ、これは、従来技術のイオン交換容器上の遮蔽体よりかなり優れている。しかしながら、遮蔽体214および216は、鉛を注ぐまたは鉛玉(lead shot)で空洞を充填するなど、他の実施形態の他の方法によって形成されてもよいことが企図される。
【0063】
一実施形態では、炭素鋼で形成される「皮」またはケーシングが、遮蔽体214、216上に固着され得る。(ケーシングは図12に示されていない。)具体的には、上方側面ケーシング218は、半円形に板圧延されていて上方遮蔽体214上に対向して配置された対の鋼板を備えることができる。各板の長手方向縁部は、板が上方遮蔽体214を覆って固着されたとき、それらが直径方向に対向されたリップ220、222を形成するように外方に向けられる。同じように、リップ226、228を有する下方側面ケーシング224が同様に形成され、下方遮蔽体216を覆って固着され得る。リップ220、222、226、228は、ボルトなど適切な留め具を使用して互いに固着され得る。
【0064】
加えて、上方棚ケーシング230が、ライザ158と上方側面ケーシング218との間に延びる上方遮蔽体214の平坦な棚状部分を覆って固着され得る。同様に、下方棚ケーシング232が、上方側面ケーシング218と下方側面ケーシング224との間に延びる下方遮蔽体216の平坦な棚状部分を覆って固着され得る。一実施形態では、上方側面ケーシング218、下方側面ケーシング224、上方棚ケーシング230、および下方棚ケーシング232は、厚さ約1/8インチ(約0.3175cm)であり得る。
【0065】
さらなる実施形態によれば、ライザ158などに対して、イオン交換容器150の頂部で遮蔽体を提供するために、鉛玉が使用され得る。たとえば、ライザ158における上方室164は、(図12の矢印234で示される)鉛玉で充填され得る。後で論じられるように、遮蔽のこの方法は、空気が、内殻194から上方へ、開口155およびプレートカバー170を通って、ならびに開口166およびプレートカバー168を通って流れることを可能にする。さらに、チューブ180、182によって形成された検査孔184、186も、(図12の矢印236で示される)鉛玉で充填され得る。チューブ180、182内の鉛玉を支持するために、中間プレート154内の開口176、178上に適切なカバー、格子、またはメッシュなどが提供され得る。
【0066】
上述したように、イオン交換プロセスは大量の熱を発生させるので、イオン交換容器が十分に高い温度で動作するように構築されることだけでなく、十分な冷却が提供されることも確実にすることが重要である。このことは、特に、液体塩廃棄物からのCsの除去のためのCST媒体を使用するイオン交換に当てはまることができるが、他のイオン交換媒体に関しても当てはまる。さらに、イオン交換中に発生された高温度は、イオン交換容器の中心線に沿って非常に高いことがあり、「過度中心線温度(excessive centerline temperature)」として知られる条件がある。これに関連して、後で論じられるように、イオン交換容器150の実施形態は、好ましくは、中央イオン交換媒体を移動または除去する冷却コアを備え、対流空気冷却を促進することができる。注目すべきことに、冷却コアなしのイオン交換容器150の実施形態の熱分析は、能動的冷却がない場合、CST媒体を使用するイオン交換が1000°F(537.8℃)を超える中心線温度を発生し得ることを実証した。この温度は、貯蔵中に増大することがある。しかしながら、イオン交換容器150の中心を効果的に除去し、冷却コアを提供することにより、ホットスポットが除去され得る。さらに、対流空気流は、イオン交換容器150の実施形態の温度が動作と貯蔵との両方の際に非常に低くなるように促進される。
【0067】
イオン交換容器150の一実施形態の冷却コアは、好ましくは、基部160を通り、ベントシールドスタック(vent shield stack)238を通り、内殻194を通り、開口155を通り、プレートカバー170を通り、上方室164を通り、最終的に開口166およびプレートカバー168を通ってイオン交換容器150から出る経路に沿って、対流空気流を可能にする。これに関連して、基部160は、好ましくは、空気が基部160を通過するための少なくとも1つの入口240を備える。入口240は、好ましくは、基部160の外側周囲面からベントシールドスタック238へ延びている水平通路を備えることができる。一実施形態では、入口240はベントシールドスタック238の下で終端し得るが、他の実施形態では、入口240は基部160にわたって直径方向に延びることができる。さらに他の実施形態では、複数の入口240が提供され得る。図13に示されるように、たとえば、イオン交換容器150の例示された実施形態は2つの入口240を備えることができる。
【0068】
好ましい実施形態では、基部160は、複数の金属プレートを備えることができる。例示されるように、たとえば、基部160は、6つのプレート242、244、246、248、250、および252を備えることができる。プレート242〜52は、同心の積み重ねられた構成で配置され、(たとえば溶接によって)互いに適切に固定されて、イオン交換容器150のための円筒状支持構造を提供することができる。一実施形態では、基部160は、プレート242〜52が一緒に積み重ねられた場合、約10インチ(約25.4cm)の高さであり得る。
【0069】
より具体的には、プレート242は、好ましくは円形の形状であり、炭素鋼で形成され得る。一実施形態では、プレート242は、約2インチ(約5.08cm)の厚さである。プレート246〜52は、やはり円形の形状であり、炭素鋼で形成され得る。一実施形態では、プレート246〜50は各々、約2インチ(約5.08cm)の厚さであり、プレート252は、約1インチ(約2.54cm)の厚さである。しかしながら、当業者は、イオン交換容器150のための必要とされるまたは所望される支持および遮蔽体に基づいて、基部160を備えるプレートのための適切な寸法を選択することができる。
【0070】
プレート242とは異なり、プレート246〜52は各々、好ましくは、一実施形態では円形の形状とされ得る中央開口を画定することができる。プレート246〜52の中央開口は同じ直径を有し、その直径は内殻194の内径と実質的に等しいことが好ましい。したがって、プレート246〜52が一緒に積み重ねられたとき、中央開口は、プレート244上に穴254を形成する。穴254の深さは、プレート246〜52の厚さによって画定され得る。
【0071】
好ましい実施形態では、プレート242および246〜52は、実質的に等しい外径を有することができる。たとえば、これらのプレートの外径は約55インチ(約139.7cm)であり得る。いずれにしても、プレート242および246〜52の外径は、好ましくは、下方遮蔽体216の外径より大きい。上に説明されたように、これはさらに、イオン交換容器150の安定性、移送の容易さ、より低い重心に寄与することができる。
【0072】
しかしながら、図11および図15に示すように、プレート244は、好ましくは、プレート242および246〜52の外径より若干小さい外径を有することができる。一実施形態では、たとえば、プレート244の外径は、約53インチ(約134.62cm)とすることができる。したがって、プレート242〜52が一緒に積み重ねられたとき、基部160は周囲溝256を画定することができる。空気は、溝256でイオン交換容器150の冷却コアに入ることができ、したがって、一実施形態では、スクリーン258が、たとえば、虫またはデブリなどの侵入を防止するために溝256に取り付けられてよい。スクリーン258は、環状の形状であり基部160の周囲に延びることができ、たとえば、5メッシュステンレス鋼で形成され得る。
【0073】
例示された実施形態では、基部160における入口240は、プレート242、244、および246によって画定され得る。より具体的には、図15に示されるように、プレート244は、実質的に円形の形状であり得るが、それを通して画定された少なくとも1つのスロット260を有することができる。一実施形態では、スロット260は、概ね四角形の形状であって半円形の末端部262を有することができるが、スロット260は、他の実施形態では任意の適切な形状を取ることができる。たとえば、スロット260の幅は、入口240を通る必要とされるまたは所望される空気流の量に応じて変化し得ることは理解されよう。スロット260は、好ましくは、プレート244の周辺縁部から半径方向に延び、プレート244の中心の手前で終端することができる。これに関連して、スロット260の長さは、好ましくは、プレート246〜52によって画定された穴254の下となる位置でスロット260が終端するように画定される。
【0074】
ここで、2つのスロット260は、プレート244が、長方形部分268によって連結された第1の半部分264および第2の半部分266を備えることができるように、プレート244において画定される。しかしながら、他の実施形態では、単一スロット260または2つより多いスロット260が提供されてもよい。いずれにしても、スロット260はプレート244の厚さを貫通して延びるので、プレート242、244、および246が一緒に積み重ねられたとき、入口240が画定される。
【0075】
複数の金属プレートから基部160を構築することが基部160の製造を促進できることは理解されよう。さらに、他の実施形態では、基部160は、6つより少ないまたは多いプレートを備えてもよい。実際、基部160は、単一の金属プレートを備えてよく、そのプレートは円形の形状でありその中に少なくとも1つの入口240を有することが企図される。
【0076】
空気が1または複数の入口240を通って基部160に入った後、上述されてように、それはベントシールドスタック238に遭遇することができる。一実施形態では、ベントシールドスタック238は、それを通して画定された空気通路を有する単一の金属円筒を備えることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、基部160と同様に、ベントシールドスタック238は、同心の積み重ねられた構成で配置された複数のプレートを備えることができる。示されるように、ベントシールドスタック238は、11個のそのようなプレートを備えることができるが、他の実施形態では、この数より少ないまたは多いプレートが提供されてもよい。ベントシールドスタック238のプレートは、好ましくは、炭素鋼で形成され、一実施形態では、各々が約1インチ(約2.54cm)の厚さである。さらに、ベントシールドスタック238のプレートは、円形の形状であり、実質的に寸法が等しく、内殻194の内径より若干小さい直径を有してもよい。したがって、ベントシールドスタック238のプレートは、(プレート244上で)穴254に受け入れられることができ、内殻194内へ上方に延びることができる、円筒状構造を形成してもよい。
【0077】
入口240に入る空気が内殻194内へ上方に進むことを可能にするために、少なくとも1つの放射状スロット270が、ベントシールドスタック238の板の各々において画定され得る。図9および図11〜14に示されるように、スロット270は一実施形態では角度的にオフセットされ得るが、これは必須とされない。たとえば、ベントシールドスタック238のプレートは、好ましくは、スロット270が角度的にオフセットされ得るが、少なくとも部分的に重なる。したがって、空気は、1つのプレートから次のプレートへと階段状にベントシールドスタック238のプレート間を上方に流れることができる。したがって、ベントシールドスタック238は、内殻194の下に追加の遮蔽体を提供すると共に、入口240に入る空気がベントシールドスタック238の各プレートを通って内殻194内に入ることを可能にすることができる。
【0078】
最後に、イオン交換容器150の一実施形態は、以下のおおよその仕様を有することができる。容器の全体の高さは約143インチ(約363.22cm)とすることができ、その外径は約55インチ(約139.7cm)とすることができる。イオン交換媒体空洞高さは約108インチ(約274.32cm)とすることができ、イオン交換媒体床高さは約96インチ(約243.84cm)とすることができる。イオン交換媒体空洞容積は、約100,000in3(約1638706.4cm3)とすることができ、充填されたイオン交換媒体の容積は、媒体空洞容積より2から5%少なくなり得る。上方遮蔽体214は約5.44インチ(約13.8176)の厚さとすることができ、下方遮蔽体216は約6.94インチ(約17.6276)の厚さとすることができる。また、(イオン交換および鉛玉を除く)容器の空の重さは、約51688lbs(約23445kg)とすることができる。容器の最大動作容量は、約61717lbs(約27994kg)(水を除いて約60502lbs(約27443kg))とすることができる。さらに、容器の設計動作圧力は、約1.37MPa(199PSIG)とすることができる。容器の設計動作温度は、66℃(150.8°F)とすることができる。
【0079】
本発明の実施形態は、高レベルの特定の放射線核種を有する放射性液体の処置のためのプロセスおよび方法を提供する。本発明の1または複数の好ましい実施形態が上に説明されているが、本発明の任意およびすべての等価な実現形態が本発明の範囲および趣旨に含まれることは理解されたい。実施形態は、単に例として提示されており、本発明に対する限定としては意図されていない。したがって、本発明は修正がされ得るのでこれらの実施形態に限定されないことは、当業者には理解されよう。したがって、任意およびすべてのそのような実施形態が、本発明の範囲および趣旨の範囲内に入るように本発明に含まれることが企図される。
図1A
図1B
図2
図3
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図5
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図8
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図10
図11
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図15