特許第6446452号(P6446452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーク ディ. クロスニィーの特許一覧 ▶ ウイリアム オー.ティ. ペシュケの特許一覧 ▶ ウイリアム イー. レイセナウアーの特許一覧

<>
  • 特許6446452-空気殺菌及び消毒装置 図000002
  • 特許6446452-空気殺菌及び消毒装置 図000003
  • 特許6446452-空気殺菌及び消毒装置 図000004
  • 特許6446452-空気殺菌及び消毒装置 図000005
  • 特許6446452-空気殺菌及び消毒装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446452
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】空気殺菌及び消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20181217BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20181217BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   A61L9/20
   A61L9/01 B
   A61L9/01 H
   A61L9/16 F
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-530064(P2016-530064)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公表番号】特表2016-530918(P2016-530918A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】US2014048144
(87)【国際公開番号】WO2015013586
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/951,598
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316012832
【氏名又は名称】マーク ディ. クロスニィー
(73)【特許権者】
【識別番号】516024899
【氏名又は名称】ウイリアム オー.ティ. ペシュケ
(73)【特許権者】
【識別番号】516024903
【氏名又は名称】ウイリアム イー. レイセナウアー
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】特許業務法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディ. クロスニィー
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム オー.ティ. ペシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム イー. レイセナウアー
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/087100(WO,A1)
【文献】 特開2009−022903(JP,A)
【文献】 特開2008−259809(JP,A)
【文献】 特開2000−070928(JP,A)
【文献】 特表2011−530542(JP,A)
【文献】 特開2001−224672(JP,A)
【文献】 特開2000−008178(JP,A)
【文献】 特表2012−512723(JP,A)
【文献】 特開2005−253799(JP,A)
【文献】 特開2005−166180(JP,A)
【文献】 特表2007−511279(JP,A)
【文献】 特表2009−532200(JP,A)
【文献】 特開2005−203437(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3176064(JP,U)
【文献】 特開2000−093952(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3101661(JP,U)
【文献】 特開2009−106921(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/067985(WO,A1)
【文献】 特開2003−262369(JP,A)
【文献】 特開2000−140086(JP,A)
【文献】 実開昭56−104538(JP,U)
【文献】 特開2011−004832(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/049140(WO,A1)
【文献】 特開2004−108685(JP,A)
【文献】 特開2005−160494(JP,A)
【文献】 特表2006−525105(JP,A)
【文献】 特表2007−500055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
B01D 53/34− 53/73
B01D 53/74− 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 20/00− 20/28
B01J 20/30− 20/34
B01D 39/00− 41/04
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00− 12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を殺菌及び消毒する装置であって:該殺菌及び消毒装置は、
空気管理室からなり、該空気管理室は、
入口;
出口;
紫外線光を反射する内面と前記紫外線光を反射する内面に沿って少なくとも1つの突然拡張する領域とを備えた1つ又は複数の反応チューブ;
前記紫外線光が前記1つ又は複数の反応チューブに照射され、それによって、前記紫外線光に空気流が曝されるように配置された複数の紫外線光照射ダイオード(UV LED)
各反応チューブ内の放射照度レベルを監視するセンサ;
前記空気管理室の前記出口に位置付けられる高効率微粒子空気(HEPA)フィルタ;
前記空気管理室の前記出口に位置付けられる、銀イオン及びクエン酸を含浸させたフィルタ;
前記空気流の経路の外側に位置付けられる電子機器及び制御モジュール;
該装置が機能していることをユーザに知らせる外部可視指示手段;並びに
該装置を囲む外部ハウジング;
とを備える、空気を殺菌及び消毒する装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置記は、前記反応チューブが、前記空気管理室内に軸方向に配置された複数の反応チューブから成り、各反応チューブは、前記空気流を受け取るために気密封止手段によって前記空気管理室の前記入口に連結される吸込み口を備える
【請求項3】
請求項2に記載の装置は、前記複数のUV LEDが、前記電子機器及び制御モジュールに電気的に接続され、そして、該複数のUV LEDは、前記反応チューブの前記内面を照射するが、前記反応チューブを通る前記空気流を妨げないように、前記反応チューブの前記壁に前記反応チューブの長手方向に配置される嵌合開口に固定して取着される。
【請求項4】
請求項3に記載の装置は、前記複数のUV LEDが放射するUV光の波長が、320nm未満である。
【請求項5】
請求項3に記載の装置は、前記複数のUV LEDが、1つ又は複数の可撓性の回路基板に実装されてアレーに配置される。
【請求項6】
請求項3に記載の装置において前記複数のUV LEDは、200nmから320nmの範囲内の異なった波長を有する紫外線光を照射するように各々が構成される。
【請求項7】
請求項3に記載の装置において、前記UV放射によって1秒よりも長い持続時間の間、空中の病原体を曝露するために、前記突然拡張する領域は、乱流を誘発することによって、前記UV LEDによって照射される前記空気流を調整する。
【請求項8】
請求項2に記載の装置は、前記反応チューブの前記内面が研磨アルミニウムである。
【請求項9】
請求項2に記載の装置において、前記反応チューブは、該反応チューブの内側に固定して取着され、1つ又は複数のv字流路底を更に備え、該v字流路底は、前記空中の病原体との接触を確実にするように前記空気流の経路に位置付けられ、研磨アルミニウム、銅及び銅合金からなる群から選択される1つ又は複数の材料から作られる。
【請求項10】
請求項2に記載の装置は、前記反応チューブが、該反応チューブの内部の放射レベルを感知するとともに、該感知した放射レベルを電子信号の形式で送信する手段を更に備え、該感知する手段は、前記反応チューブの前記壁の嵌合開口に固定して取着され、前記電子機器及び制御モジュールに電気的に接続される。
【請求項11】
請求項1に記載の装置は、前記空気管理室の前記入口への空気流を形成する手段が、吸込み部及び排出部を有し、前記電子機器及び制御モジュールに電気的に接続されるファンであり、前記排出部は、気密封止手段によって前記空気管理室の前記入口に連結され、前記ファンは、前記空気管理室への5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の空気流量の生成が可能である。
【請求項12】
請求項1に記載の装置は、更に、前記空気管理室の前記入口に配置された少なくとも1つのファン;並びに、少なくとも1つのファンからの空気流が前記1つ又は複数の反応チューブに向かうように構成されたマニホルドを備え、前記少なくとも1つのファンは前記電子機器及び制御モジュールに電気的に接続され、前記少なくとも1つのファンは、5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の空気流量の生成が可能である。
【請求項13】
請求項1に記載の装置は、前記電子機器及び制御モジュールが、前記装置への電力入力を調整する手段から構成される。
【請求項14】
請求項13に記載の装置は、前記電子機器及び制御モジュールが、入力信号を受信するとともに出力信号を外部可視指示器に生成する手段を更に備える。
【請求項15】
請求項13に記載の装置は、前記電子機器及び制御モジュールが、過電流又は回路故障状態を感知する回路遮断手段を更に備える。
【請求項16】
請求項1に記載の装置は、前記ハウジングが、前記装置の外面を形成し、前記装置への空気流を形成する手段の吸込み部に連結される吸気開口、前記空気管理室の前記出口に連結される排気開口、並びに、ユーザが前記電子機器及び制御モジュールを作動させる手段を備える。
【請求項17】
請求項16に記載の装置は、前記ハウジングが、いずれか1つ又は複数のフィルタにアクセスして交換する手段を更に備え、前記フィルタは、微粒子フィルタ、HEPAフィルタ及び銀イオン及びクエン酸をしみ込ませたフィルタからなる群から選択される。
【請求項18】
請求項16に記載の装置は、前記ユーザが前記電子機器及び制御モジュールを作動させる手段が:前記装置の電源をオンオフする手段;前記装置が前記反応チューブ内の放射を検出していることを前記ユーザに示す手段;及び、前記フィルタのいずれかを交換する必要がある場合に前記ユーザに指示する手段を備える。
【請求項19】
請求項18に記載の装置は、前記ユーザが電子機器及び制御モジュールを作動させる手段が、前記ハウジングの開口に固定して取着されるとともに前記電子機器及び制御モジュールに電気的に結合される指示ライトを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本非仮出願は、ここに、全体が本明細書に記載されるかのように援用される2013年7月26日に出願された米国特許出願第13/951,598号の優先権を主張する。参照される米国特許出願第13/951,598号は、上記出願に援用される2012年7月27日に出願された米国仮特許出願第61/676,407号の非仮出願であり、当該出願の利益を主張する。
【0002】
本発明は、包括的には、空気の殺菌及び消毒に関し、より詳細には、病院又は病院のような環境において空気を殺菌及び消毒する装置並びに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
病院内で、病原体の伝染を低減するための改善に対する需要が増している。この需要は、入院時に患者の診断によって引き起こされるのではなく、むしろ、病院環境において存在する空中の病原体に起因する感染の症例が増加することに対処しなければならない病院によって望まれている。これらの空中の病原体は、患者に更なる健康上の危険を及ぼし、結果として病院に対する付加的なコストが生じる。現在、病院内の伝染した汚染を低減する2つの手法がある。
【0004】
第1の手法は、部屋間の病室の表面の汚染除去を伴う。これは、高レベルの紫外線(UV)放射によって部屋及びその表面の全てを照射すること、又は、部屋に過酸化水素ミストを噴霧することによって達成することができる。部屋は、空けて隔離されなければならず、このプロセス中に誰かが部屋に入ることを望む場合、かなりの保護機器を装着しなければならない。
【0005】
第2に、部屋の空気の処理が課題である。UV若しくはHEPAタイプの濾過又はこれらの2つの組み合わせを使用する種々のユニットが現在利用可能である。正圧又は負圧の領域を形成するように使用することができる強力なファンを有するUVユニットもある。処理される領域には、換気ダクト内のUV照明の幾つかの設備も使用される。
【0006】
従来の技術によって製造されるデバイスは、大きく、最適に位置付けることが難しく、それらの性能は時間とともに大幅に低下していた。現在利用可能なコンパクトなシステムは、十分な空気流及び/又は病原体殺傷率を提供しない。逆に、より効果的なデバイスは現在のところ、大きく、メンテナンスが難しい。従来のUVベースのシステムは、蛍光管要素を使用する。十分な強度を生成するために、多くの場合に、幾つかの蛍光管が組み合わせられる。蛍光管の幾何学的形状、及び、蛍光管あたりのそれらの限られた出力によって、嵩張るとともに扱いにくい装置が生成される。蛍光管のUV出力は、劣化に起因して時間とともに、及び、蛍光管への埃の沈降等の外的要因によって低下する。
【0007】
UV蛍光管のメンテナンス及び交換は骨の折れるプロセスである。これらのユニットが必要とするサイズは、重要なスペースを占め、これは病院環境では極めて重大である。ユニットは、それらのサイズのために、それらの利点を最大限に高めるように最適な位置に位置付けることができない。典型的なユニットは、0.28〜0.37平方メートル(3〜4平方フット)の断面を有し、長さが1.83メートル(6フィート)及び約45.4キログラム(約100ポンド)の重さである。
【0008】
部屋がまだ使用されている間に使用することができる、空中の病原体を低減するか又は除去する装置を有することが望まれている。さらに、効果的であるように十分に高い流量を生成しながらも、運搬可能で目立たない装置を有することも望まれている。またさらに、その性能が経時にわたって大幅に劣化せず、メンテナンスが容易である装置を有することが望まれている。したがって、現在、当該産業では、コンパクトであり、運搬可能であり、空中の病原体の低減又は除去においてかなり効果的である装置及び関連する方法が必要とされている。
【0009】
現在、病院(又は病院のような)環境において空気を清浄にする複数の解決策がある。これらの解決策のうちの幾つかは、UV蛍光管を使用することによって空気を浄化しようとするものであるが、これらの解決策は、大きく、扱いにくく、メンテナンスが難しいために、当該産業のニーズを満たしていない。
【0010】
今日市場で入手可能な既存のUV消毒デバイスとは異なり、本発明は、蛍光管とは対照的に、UV発光ダイオード(LED)を使用する。LEDは、蛍光管に勝る多くの利点を享受するソリッドステートデバイスである。LEDは、より強靭であり、衝撃及び振動等の不都合な環境条件下で良好に機能する。LEDは高い電圧を必要としないため、修理及び修繕に対してより安全である。LEDは、ガラスの破損を被らず、それらの廃棄は危険廃棄物とならない。
【0011】
他の解決策は、UV LEDを使用しようと試みるが、これらの解決策は、病原体を十分に殺すために必要なUV放射投与量を提供するように空気流を調節することができないため、当該業界のニーズを同様に満たすことができない。UV LEDを使用しようと試みる既存の解決策とは異なり、本発明は、空中の病原体を十分に殺すのに必要なUV投与量を提供するために、UV LEDによって形成される照射領域と調節された空気流とを組み合わせる。
【0012】
UVスペクトルは、波長によって複数の部分に分けられる。UVB及びUVC放射は、生物有機体に損傷を与えることが可能なスペクトルの部分を表す。高エネルギーUVC光子は、波長が290nmよりも短く、細胞壁に浸透することが可能である。UVC放射は、空中の病原体を殺すために殺菌剤として使用される。UVB放射は、290nm〜320nmの波長を特徴とし、同様に生物有機体に損傷を与える。病原体を殺すために、UV放射は、細胞壁に浸透することができる波長である必要がある。研究によって、細菌等の病原体を殺すために効果的な波長が200nm〜320nm範囲であることが示されている。更に他の研究は、240nm〜280nmの波長が、広範な病原体を殺す上でより効果的であり、ピーク有効性はおよそ260nm〜270nmであることを示している。
【0013】
UV放射の強度又は「線束」は、病原レベルのUV放射の効果を評価する上で重要な考慮事項である。「UV放射線束密度」は、病原体の表面に達する特定の波長における放射の量に関連する。このUV放射線束は、「UV放射照度」とも称される。放射エネルギーと生物有機体との相互作用において、波長及び放射照度の双方又は放射線束を考慮しなければならない。空中の病原体を効果的に殺すのに必要な「UV投与量」は、UV波長、放射線束及び曝露時間の組み合わせから導出される。「滞留("dwell" or "residence")」時間は、空中の病原体がUV放射領域において曝露されたままであり、UV LEDによって照射される時間の総計として規定される。この場合、所望の病原体殺傷率を、UV LED波長、放射線束及び滞留時間のバランスを適切にとることによって最適化することができる。
【0014】
上述したような、現行の技術水準において見られる問題に対処しようとする試みに関連する情報は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5、並びに、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9及び特許文献10において見出すことができる。しかし、これらの参考文献のそれぞれは、以下の欠点:大きいか又は嵩張る;蛍光管を使用する;低滞留時間を用いる;低い空気流量を達成する;効果的な病原体殺傷率のためにUV波長、放射線束及び滞留時間の十分なバランスをとらないこと、の1つ又は複数を被る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6797044号
【特許文献2】米国特許第7175814号
【特許文献3】米国特許第6053968号
【特許文献4】米国特許第6939397号
【特許文献5】米国特許第5505904号
【特許文献6】米国特許出願第20110033346号
【特許文献7】米国特許出願第201000132715号
【特許文献8】米国特許出願第20070196235号
【特許文献9】米国特許出願第20100260644号
【特許文献10】米国特許出願第20050242013号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は:(1)コンパクトな設置面積;(2)効果的な病原体除去;及び(3)メンテナンスの容易さを提供するため、他の既知のデバイス及び方法に比して比類がない。
【0017】
本発明は、他の既知のデバイス又は解決策とは構造的に異なるという点で比類がない。より詳細には、本発明は:(1)単一又は複数の反応チューブを備える空気管理室;(2)反応チューブの壁に埋め込まれるUV LED;及び(3)空気管理室を通る空気流量を犠牲にすることなく、UV放射への曝露を高める反応チューブ内の特定の乱流の領域の存在、に起因して比類がない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、装置、及び、この装置に関連する方法に関する。装置に関して、装置は、まさに必要とされる場所に清潔で純粋な空気を送達する、コンパクトでかなり効果的な空気殺菌及び消毒装置である。装置は、特定波長の高出力UV LEDと、処理される空気流の滞留時間を増大させることによって必要なUV投与量を容易にする空気流管理室と、を組み合わせる。この装置は、病院、クリニック、手術室、及び、空中の病原体を低減する又は排除することが望ましい他の環境において使用することができる。この装置は、コンパクトで、静かで、目立ち過ぎないことによって、病院環境における使用に特に適したものとなる。
【0019】
概して、装置は、電子機器及び制御モジュール、室内の空気を装置内に引き込む手段、1つ又は複数の反応チューブを有する空気管理室、特定波長の高出力UV LEDのアレイ、並びに、ハウジングを備え、概して以下のように構成される:電子機器及び制御モジュールは、空気流の経路に接続されるが好ましくは空気流の経路には配置しない;室内の空気を装置内に引き込む手段は、装置の吸気部に設けられ、空気を、空気管理室及び1つ又は複数の反応チューブの吸込み口に押しやる;UV LEDのアレイは、空気流との接触を最大限に高めるように反応チューブに取り付けられ、空気管理室内に配置され;ハウジングは装置全体を覆う。
【0020】
装置に関して、UV LEDの波長の選択、並びに、空気管理室及び反応チューブの設計が、所望の空気流量を妥協することなく室内の空気を効果的に衛生的にするように、UV光投与量のレベル及び持続時間を管理するために重要であることに更に留意されたい。
【0021】
概して、装置に関連する方法を実行するステップは:
室内の空気を5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の速度で空気流管理室内に引き込むステップ;
空気を、細胞壁に浸透する既知の波長のUV放射に曝露するステップ;
所望の殺傷率を達成するために、空中の病原体が特定の量の時間にわたってUV放射に曝露されるように、空気管理室内に乱流を形成するステップ;及び、
衛生的な空気を周囲の環境に放出して戻すステップ、
から構成される。
【0022】
本発明の実施形態では、空気殺菌及び消毒装置は、以下の構成要素:電子機器及び制御モジュール;ファン;入口及び出口を有する空気管理室;UV LED;並びにハウジングを含むことができる。電子機器及び制御モジュールは、装置への電力入力を調整し、ファン及びUV LEDを駆動する。電子機器及び制御モジュールは、従来から利用可能な電源によって動作し、回路遮断器を含むものとする。ファンは、所望の空気流量を提供するように選択されるものとする。ファンは、静かでコンパクトであり、吸込み部に微粒子フィルタを有するものとする。ファンモジュールは、潜在病原体を動かすために十分な環流空気交換を提供し、それによって効果的な清浄を促すものとする。5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の範囲内の流量は、典型的な病室の効果的な清浄を提供する。空気管理室は、装置の設計において重要な構成要素である。
【0023】
空気管理室は、1つ又は複数の反応チューブから構成される。各反応チューブは、特定の処理容量を保つように設計されている。反応チューブは、流路領域にわたる所望のUV放射線束密度を達成するために、UV LEDを更に位置付ける。UV LEDは、必要とされる空気流を妨げず、任意の必要な配線及び冷却を可能にするように、反応チューブに固定される。反応チューブは、およそ4000を超えるレイノルズ数を有する流れとして特徴付けられる乱流を形成することによって、所望の滞留時間を達成するために、チューブ内の空気流を調節するように更に設計されている。滞留時間は、空中の病原体がUV放射領域で曝露されたままであり、UV LEDによって照射される時間の総計として規定される。1秒よりも長い滞留時間が望ましい。反応チューブ及び空気管理室は、いかなるUV放射も逃げることを防止するように設計されている。
【0024】
反応チューブの材料は、可能な限り高い放射線束を維持するために、内面のUV反射率を最大限に高めるように選択される。UV LEDは、それらのサイズ、出力及び長寿命のためにこの装置に選択される。UV LEDは、所望の波長及び出力定格に基づいて選択される。反応チューブにおけるこれらのUV LEDの数及び配置は、各チューブ内の放射線束を最大限に高めるように選択されるべきである。ハウジングは、ユーザを、内部構成要素及びいかなるUV放射への曝露からも保護し、空気管理室の空気流入口に連結される吸気開口、及び、空気管理室の空気流出口に連結される排気開口を有する。
【0025】
これらの構成要素は、ファンが空気管理室の入口に位置付けられ、UV LEDが空気管理室内に位置付けられ、電子機器及び制御モジュールが空気流路の外側に位置付けられるように、機械的に接続及び配置される。ハウジングは個々の構成要素を包囲する。
【0026】
装置のこの実施形態に関連する方法は、以下のステップ:
潜在病原体を動かすために十分な環流空気交換を生じさせ、それによって効果的な清浄を促すステップ;
空気を病原体とともに空気管理室内に押しやるステップ;
空気管理室において、空気を病原体とともに、UV波長が病原体の細胞壁に浸透することができるような投与量、及び、所望の病原体殺傷率を達成するのに十分な滞留時間でUV放射に曝露するステップ;並びに、
衛生的な空気を周囲の環境に放出して戻すステップ、
から構成される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、空気殺菌及び消毒装置は、空気管理室内の放射照度レベルを監視するUV検出器;装置が機能していることをユーザに示すライト、ディスプレイ又は他の視覚指示器;空気管理室の出口の補足フィルタ;HEPAフィルタである補足フィルタ;銀イオン及びクエン酸懸濁液又は他の金属イオン化合物で処理される材料である補足フィルタ;複数の反応チューブを有する空気管理室;単一のファンからの空気流を複数の反応チューブ内に方向付けるマニホルド;単一のファンが空気流を単一の反応チューブ内に方向付けるファンの配置構成;単一の若しくは複数の反転手段を用いて乱流を形成する反応チューブ、又は、チューブの直径が空気流の1つのセクションから次のセクションに急激に増大し、突然拡張する領域を備えた反応チューブ;単一若しくは複数のv字流路底を用いて乱流を形成する反応チューブ;空気流を、天然の殺菌性である銅又は銅合金に接触させるための、反応チューブ内の単一又は複数の銅又は銅合金構造;円形又は螺旋状の空気流経路によって滞留時間が増大する反応チューブ;剛性の回路基板に実装されるUV LEDアレイ;可撓性の回路基板に実装されるUV LEDアレイ;反応チューブ内の放射線束密度を最適化するために反応チューブ内に互い違いのパターンで実装される複数のUV LED;同じ細胞壁UV透過性を共有しない可能性がある異なる病原体を殺すための異なる波長のUV LEDのアレイ;のうちの1つ又は複数を有することもできる。
【0028】
同様に、本発明のこの実施形態に関連する方法は、以下のステップ:
空気をHEPAフィルタに通すことによって更なる病原体を除去するステップ;又はさらに、
空気を、銀イオン及びクエン酸懸濁液で処理された材料に通すことによって更なる病原体を除去するステップ;又はさらに、
空気管理室内の空気流を銅又は銅合金構造に曝露するステップ;又はさらに、
空気管理室内の放射照度レベルを監視するステップ;又はさらに、
装置が機能しているという視覚的な指示をユーザに提供するステップ、
のうちの1つ又は複数も含むことができる。
【0029】
本発明のまた別の実施形態では、空気殺菌及び消毒装置は、以下の構成要素、即ち、電子機器及び制御モジュール;複数のファン;複数の反応チューブを有する空気管理室;突然拡張する複数の領域を有し、それによって、反応チューブの内壁に沿って乱流を形成する上記反応チューブであって、上記乱流は、およそ4000超のレイノルズ数、及び、1秒よりも長い滞留時間を特徴とする、反応チューブ;空気流を妨げることなくチューブ内の放射線束を最大限に高めるようにチューブ壁内に実装されるUV LEDのアレイも有する上記反応チューブ;320nm未満の波長のUV LEDを含む上記アレイ;各チューブ内の放射照度レベルを監視するために各反応チューブ内に実装されるUVセンサ;装置が機能していることをユーザに知らせる外部可視指示器;複数のv字流路底;複数の銅又は銅合金構造;HEPAフィルタ;銀イオン及びクエン酸をしみ込ませたフィルタ材料;並びに、外部ハウジングから構成される。
【0030】
これらの構成要素は以下のように関連する:電子機器及び制御モジュールは、空気流経路の外側でハウジングに実装され;ファンは、電子機器及び制御モジュールに電気的に接続され、空気を空気管理室内に押しやり;空気管理室は、空気流を損失又は漏れなく受け取るためにファンに連結される反応チューブから構成され;UV LEDアレイは、電子機器及び制御モジュールに電気的に接続され、UV LEDアレイ回路基板が反応チューブ外にあり、UV LEDが反応チューブ内で照射するように、反応チューブの壁の嵌合開口に固定して取着され;UV検出器は、電子機器及び制御モジュールに電気的に接続され、反応チューブ内の放射照度レベルを監視することができるように、反応チューブの壁の嵌合開口に固定して取着され;v字流路底は反応チューブ内に機械的に取着され;補助的なHEPA銀イオン及びクエン酸フィルタは、空気管理室からの空気流経路の出口に位置付けられ;ハウジングは装置全体を包囲する。
【0031】
反応チューブは種々の材料から作ることができるが、研磨アルミニウムが軽量で安価であり、UV反射性であり、それによって、反応チューブ内の十分なUV線束密度を促し;v字流路底は、研磨アルミニウム、銅又は銅合金から作ることができ;反応チューブ及びUV LEDアレイは、UV放射が反応チューブ内に完全に閉じ込められるように組み立てられ;補足フィルタは、ユーザが容易に交換可能であるように取り付けられることに更に留意されたい。
【0032】
装置の実施形態に関連する方法は、以下のステップ:
潜在病原体を動かすために、周囲空気を、十分な環流空気交換によって、微粒子フィルタを通して空気管理室内に引き込むステップ;
空気流を、空気管理室内の複数の反応チューブ内に導くステップ;
空気流をUV放射に曝露するステップ;
UV放射を反応チューブ内で反射させるステップ;
およそ4000超のレイノルズ数を特徴とする乱流を形成することによって、空気のUV放射への曝露時間を増大させるステップ;
空気流を1秒よりも長くUV放射に曝露するステップ;
空気管理室内のUVレベルを監視するステップ;
空気管理室内の放射照度レベルが所望の病原体殺傷率に十分であるか否かを判断するステップ;
装置が機能しているか否かをユーザに示すステップ;
空気流を銅又は銅合金表面に曝露するステップ;
空気流を、HEPAフィルタを通して導くステップ;
空気流を、銀イオン及びクエン酸をしみ込ませた材料を通して導くステップ;及び、
清浄な衛生的な空気を周囲環境に放出して戻すステップ、
から構成される。
【0033】
本発明のこれら及び他の特徴、態様並びに利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面に関してより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による空気殺菌及び消毒デバイスの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による図1のデバイスの断面斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による図1のデバイスの正面断面図である。
図4】本発明の一実施形態による空気殺菌及び消毒デバイスの複数の図である。
図5】本発明の一実施形態による空気殺菌及び消毒デバイスの方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
上記の発明の概要及び図面の詳細な説明、並びに、以下の特許請求の範囲及び添付の図面において、本発明の特定の特徴(方法のステップを含む)に言及する。本明細書における本発明の開示は、そのような特定の特徴の全ての可能な組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、特定の特徴が本発明の特定の態様若しくは実施形態又は特定の請求項の文脈において開示される場合、その特徴は、可能な程度まで、本発明の他の特定の態様及び実施形態との組み合わせ及び/又は文脈で、また概して本発明においても用いることができる。
【0036】
「備える」という用語及びその文法的な均等物は、本明細書において、他の構成要素、成分、ステップ等が任意選択的に存在することを意味するように用いられる。例えば、構成要素A、B及びCを「備える」物品は、構成要素A、B及びCからなる(すなわちそれらのみを含む)ことができるか、又は、構成要素A、B及びCのみを含むだけではなく、1つ又は複数の他の構成要素も含むことができる。
【0037】
本明細書において、2つ以上の規定のステップを含む方法に言及する場合、規定のステップは、任意の順序で又は同時に(文脈によってその可能性が排除される場合を除き)行うことができ、方法は、規定のステップのいずれかの前、規定のステップのうちの2つの間、又は、全ての規定のステップの後に(文脈によってその可能性が排除される場合を除き)行われる1つ又は複数の他のステップを含むことができる。
【0038】
数字の前の「少なくとも」という用語は、本明細書では、その数字で始まる範囲(規定される変数に応じて、上限を有するか又は上限を有しない範囲であり得る)の、始点を示すように用いられる。例えば、「少なくとも1」は、1又は1よりも多いことを意味する。数字の前の「最大でも」という用語は、本明細書では、その数字で終わる範囲(規定される変数に応じて、その下限として1若しくは0を有する範囲、又は、下限を有しない範囲であり得る)の、終点を示すように用いられる。例えば、「最大でも4」は、4又は4よりも小さいことを意味し、「最大でも40%」は、40%又は40%未満であることを意味する。本明細書において、範囲が「(第1の数)から(第2の数)」又は「(第1の数)〜(第2の数)」として与えられる場合、これは、その下限が第1の数であり、その上限が第2の数である範囲を意味する。例えば、25mm〜100mmは、その下限が25mmであり、その上限が100mmである範囲を意味する。
【0039】
本明細書は、新規であるものとしてみなされる本発明の実施形態の特徴を規定する特許請求の範囲で締めくくられるが、本発明は、同様の参照符号が繰り越される図面と併せて以下の説明を検討することから、より良く理解されると考えられる。
【0040】
図1図4に示されているような、空気殺菌及び消毒装置100の形態の1つの実施形態は:電子機器及び制御モジュール110;ファン120;空気管理室130;及びハウジング170を備えることができる。
【0041】
図1図2及び図3を参照すると、この実施形態では、電子機器及び制御モジュール110は、装置100への電力入力を調整する。電子機器及び制御モジュール110は、従来から利用可能な電源によって動作し、回路遮断手段、処理手段及び電圧調整手段を備える。電子機器及び制御モジュール110は、概ねハウジング170内であるが、空気管理室130を通る空気流の経路の外側に位置付けられる。電子機器及び制御モジュール110は、任意選択的に、ハウジング170外又はそれ自身のハウジング内に位置付けられ、装置に電気的に結合されてもよい。ファン120は、5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の範囲内の空気流量を提供するように選択されるものとする。ファン120は電子機器及び制御モジュール110に電気的に結合される。
【0042】
図3を参照すると、ファン120は静かでコンパクトであり、ファン吸込み部121に微粒子フィルタ手段125を有するものとする。ファン排出部123は、空気の漏れを防止するように、気密封止手段を用いて空気管理室入口131に連結される。空気管理室130は1つ又は複数の反応チューブ140から構成される。各反応チューブ140は、気密封止手段を用いて空気管理室130の入口131に繋がる吸込み口141、及び、空気管理室130の出口133に繋がる排出口143を有する。
【0043】
反応チューブ140は、乱流の領域160にわたって所望のUV放射線束密度を達成するために、UV LED150を更に配置する。UV LED150は、反応チューブ140の壁に沿って分散される嵌合開口147を通して反応チューブ140に固定され、嵌合開口147は、反応チューブ140の外面149から内面145まで貫通し、それによって、UV LED150は、必要とされる空気流を妨げず、任意の必要な配線及び冷却を可能にする。反応チューブ140は、乱流の領域160を形成することによって所望の滞留時間を達成するために、チューブ内の空気流を調節するように更に設計されている。
【0044】
反応チューブ140及び空気管理室130は、いかなるUV放射も逃げることを防止するような封止手段を備える。反応チューブ140の材料は、可能な限り高い放射線束を維持するために、内面145のUV反射率を最大限に高めるように選択される。装置の一実施形態は、内面145が研磨アルミニウムである反応チューブ140とすることができる。反応チューブ140は、空気流の経路内に位置付けられるとともに反応チューブ140に固定して取着される1つ又は複数のv字流路底180も含むことができる。v字流路底180は、研磨アルミニウム、又は、銅若しくは銅合金等の天然の抗菌性の材料等のUV反射性材料から作ることができる。
【0045】
図1図2及び図3に示されているような空気殺菌及び消毒装置の一実施形態は、反応チューブ140の排出口143から繋がる空気流の経路内に位置付けられるHEPAフィルタ190も備えることができる。
【0046】
図1図2及び図3に示されているような空気殺菌及び消毒装置の一実施形態は、反応チューブ140の排出口143に繋がる空気流の経路内に位置付けられる、銀イオン及びクエン酸をしみ込ませたフィルタ190も備えることができる。
【0047】
図1図2及び図3に示されているような空気殺菌及び消毒装置の一実施形態は、UV放射への曝露からユーザを保護するとともに、空気管理室入口131に連結される吸気開口及び空気管理室出口133に繋がる排気開口173を有するハウジング170も備えることができる。
【0048】
図4を参照すると、空気殺菌及び消毒装置200として、電子機器及び制御モジュール210、ファン220及び空気管理室230を備える実施形態を示している。この実施形態では、電子機器及び制御モジュール210は、装置200への電力入力を調整する。電子機器及び制御モジュール210は、従来から利用可能な電源によって動作し、回路遮断手段、処理手段及び電圧調整手段を備える。電子機器及び制御モジュール210は、空気管理室230を通る空気流経路の外側に位置付けられる。
【0049】
電子機器及び制御モジュール210は、ファン220及びUV LED250に電気的に結合される。ファン220は、5.09〜8.49立方メートル/分(180〜300立方フィート/分)の範囲内の空気流量を提供するように選択されるものとする。ファン220は電子機器及び制御モジュール210に電気的に結合される。ファン220は静かでコンパクトであり、ファン吸込み部221に微粒子フィルタ手段225を有するものとする。ファン排出部223は、空気の漏れを防止するように、気密封止手段を用いて空気管理室の入口231に連結される。
【0050】
空気管理室230は、乱流の領域260を有する反応チューブ240及びUV LED250のアレイから構成される。反応チューブ240は、気密封止手段を用いて空気管理室230の入口231に連結される吸込み口241、及び、空気管理室230の出口233に連結される排出口243を有する。反応チューブ240は、乱流の領域260にわたって所望のUV放射線束密度を達成するために、UV LED250を更に配置する。UV LED250は、反応チューブ240の壁に沿って分散される嵌合開口247を通して反応チューブ240に固定され、嵌合開口247は、反応チューブ240の外面249から内面245まで貫通し、それによって、UV LED250は、必要とされる空気流を妨げず、任意の必要な配線及び冷却を可能にする。
【0051】
反応チューブ240は、乱流の領域260を形成することによって所望の滞留時間を達成するために、チューブ内の空気流を調節するように更に設計されている。反応チューブ240及び空気管理室230は、いかなるUV放射も逃げることを防止するような封止手段を備える。反応チューブ240の材料は、可能な限り高い放射線束を維持するために、内面245のUV反射率を最大限に高めるように選択される。図4に示されているような装置の一実施形態は、内面245が研磨アルミニウムである反応チューブ240を含むことができる。
【0052】
図5を参照すると、本発明の一実施形態の空気殺菌及び消毒方法500を示すフロー図が示されている。方法500は、空中の病原体を、細胞壁に浸透する既知の波長のUV放射に1秒よりも長く曝露するステップ512を含むことができる。
【0053】
より詳細には、方法500は、ステップ502において、潜在病原体を動かすために、周囲空気を、十分な環流空気交換によって、微粒子フィルタを通して空気管理室内に引き込み、ステップ504において、空気流を、空気管理室内の1つ又は複数の反応チューブ内に導く、ステップ506において、空気流をUV放射に曝露し、ステップ508において、UV放射を反応チューブ内で反射させ、ステップ510において、乱流を形成することによって空気のUV放射への曝露時間を増大させ、ステップ512において、空気流を、細胞壁に浸透する既知の波長のUV放射に1秒よりも長く曝露し、ステップ514において、空気管理室内のUVレベルを監視し、ステップ516において、空気管理室内の放射照度レベルが所望の病原体殺傷率に十分であるか否かを判断し、ステップ518において、装置が機能しているか否かをユーザに示し、ステップ520において、空気流を銅又は銅合金表面に曝露し、ステップ522において、空気流を、HEPAフィルタを通して導き、ステップ524において、空気流を、銀イオン及びクエン酸をしみ込ませた材料を通して導き、ステップ526において、清浄な衛生的な空気を周囲環境に放出して戻すことができる。
【0054】
上記の説明を踏まえて、本発明による実施形態を、特許請求の範囲及び趣旨内にあることが意図される多くの構成で実現することができることが認識されるべきである。さらに、上記の説明は、例示に過ぎないことが意図され、以下の特許請求の範囲に記載される以外は、本発明を限定することは決して意図されない。
図1
図2
図3
図4
図5