特許第6446486号(P6446486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446486
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】金属部品及び金属薄膜層を用いた鋳造
(51)【国際特許分類】
   B22C 3/00 20060101AFI20181217BHJP
   B22C 9/02 20060101ALI20181217BHJP
   B22C 9/04 20060101ALI20181217BHJP
   B22C 9/10 20060101ALI20181217BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20181217BHJP
   B22D 21/06 20060101ALN20181217BHJP
   B22C 9/24 20060101ALN20181217BHJP
【FI】
   B22C3/00 A
   B22C9/02 103B
   B22C9/04 D
   B22C9/10 E
   B22C1/00 C
   !B22D21/06
   !B22C9/24 C
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-24575(P2017-24575)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2017-154180(P2017-154180A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年4月20日
(31)【優先権主張番号】15/056,545
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・スコット・バンカー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ジェラルド・コニツァー
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−186125(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00694595(GB,A)
【文献】 特開昭51−107225(JP,A)
【文献】 特開平05−200483(JP,A)
【文献】 米国特許第04499940(US,A)
【文献】 中国特許第104923722(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 3/00
B22C 1/00
B22C 9/00− 9/24
B22D 21/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型であって、
第1の金属部品(202)と、
前記1の金属部品(202)を収容する第1のキャビティを備える外側シェル部品(208)と、
前記第1の金属部品の少なくとも一部を囲み且つ前記第1のキャビティの表面に形成された、第1の金属よりも高い融点を有する第2の金属薄膜層(204)
を備え、
第1の金属部品が除去されると第2のキャビティが形成され第3の金属で充填することができるように構成された鋳型。
【請求項2】
第2の金属薄膜層が高融点金属を含む、請求項1に記載の鋳型。
【請求項3】
第2の金属薄膜層が2mmを超えない厚みを有する、請求項1又は請求項2に記載の鋳型。
【請求項4】
第1の金属部品がアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、金、金合金、銀、又は銀合金の少なくとも1種を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鋳型。
【請求項5】
第2の金属薄膜層が、第1の金属部品へのアクセスを可能にする2つ以上の開口部を含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鋳型。
【請求項6】
側のシェルモールドがセラミックを含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の鋳型。
【請求項7】
(a)第1の金属部品(202)と、前記1の金属部品(202)を収容する第1のキャビティを備える外側シェル部品(208)と、前記第1の金属部品の少なくとも一部を囲み且つ前記第1のキャビティの表面に形成された、第1の金属よりも高い融点を有する第2の金属薄膜層(204)とを備える、鋳型を用意することと、
(b)第1の金属部品を除去して第2の金属薄膜層の少なくとも一部に第2のキャビティ(210)を形成することと、
工程(b)で形成された前記第2のキャビティの少なくとも一部を充填するために第3の金属を加えることと
を含む、鋳造部品を製造する方法。
【請求項8】
鋳造部品から第2の金属薄膜層を除去することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2の金属薄膜層が3次元である、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の金属部品がアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、金、金合金、銀、又は銀合金の少なくとも1種を含む、請求項7乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第2の金属薄膜層がタングステン、タングステン合金、モリブデン、又はモリブデン合金を含む、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
外側シェル部品がセラミックを含む、請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2の金属薄膜層の除去が溶出又はエッチングの少なくとも1つを含み、第1の金属部品の除去が溶融を含む、請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、鋳造用コア(中子)部品及びこれらのコア部品を利用するプロセスに関する。本発明のコア部品は、金属薄膜層よりも低い融点を有する第1の金属部品を取り囲む金属薄膜層を含むことができる。金属薄膜層及び金属部品は、ジェット機エンジン又は発電タービンの部品用のタービンブレード、タービンブレードの近位壁チャンバ、又はタービンブレードの冷却チャンバの製造に使用される超合金の鋳造等の鋳造作業において、有用な特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
多くの最新エンジン及び次世代タービンエンジンは、入り組んだ複雑な形状を有する部品及び部品を必要とし、新しいタイプの材料及び製造技術を必要とする。エンジンの部品及び部品を製造するための従来技術は、インベストメント鋳造又はロストワックス鋳造の手間のかかるプロセスを含む。ガスタービンエンジンに使用される典型的なロータブレードの製造も、インベストメント鋳造の一例である。タービンブレードは、通常、エンジン作動中に加圧冷却空気を受け入れる少なくとも1以上の入口を有し、ブレードのスパンに沿って延在する半径方向チャネルを有する中空の翼形部を含む。ブレードの様々な冷却通路には、前縁と後縁との間の翼形部中央に配置された蛇行チャネルを含む。翼形部は、通常、加圧冷却空気を受け入れるためのブレードを貫通する入口を含み、翼形部の加熱された側壁と内部冷却空気との間の熱伝達を高める短いタービュレータリブ又はピン等の局所的機構を含む。
【0003】
これらのタービンブレードの、通常は高強度超合金金属材料からの製造は、多数の工程を含む。まず、精密セラミックコアが、タービンブレード内部の所望の入り組んだ冷却通路と共形になるように製造される。翼形部、プラットフォーム、及び一体型ダブテールを含むタービンブレードの正確な3−D外面を画成する精密ダイ又はモールドがさらに製造される。セラミックコアは、結果として得られるブレードの金属部分を画成する空間又は空隙を形成する2つのダイ半体内部に組み込まれる。組み合わされたダイにワックスが注入され、空隙を充填し、封入されたセラミックコアを囲む。2つのダイ半体が分割され、成形されたワックスから除去される。成形されたワックスは、所望のブレードの正確な形状を有しており、次いでセラミック材料でコーティングされ、周りを囲むセラミックシェルを形成する。その後、ワックスは溶融されてシェルから除去され、セラミックシェルと内部のセラミックコアとの間に対応する空隙又は空間が残る。超合金溶湯をシェルに注入して空隙を充填し、シェルに収められたセラミックコアを再び封入する。溶湯が冷却し固化した後、外側のシェル及び内部のコアが適切に除去されると、内部冷却通路が認められる所望の金属製タービンブレードが残る。
【0004】
鋳造タービンブレードは、付加的な鋳造後修正処置、以下の例に限定されるものではないが、内部に導入された冷却空気の出口を提供してガスタービンエンジンの作動中に翼形部外面を覆う保護冷却空気フィルム又はブランケットを形成するように、所望に応じて翼形部側壁を貫通する適切なフィルム冷却孔列を穿孔する等の処置を施してもよい。しかし、これらの鋳造後修正処置は限定されており、タービンエンジンの絶えず増大する複雑性及びタービンブレード内部の特定の冷却回路について認められている効率を考慮すれば、より複雑で入り組んだ内部形状のための要件が必要とされる。インベストメント鋳造はこれらの部品を製造可能であるが、位置決め精度及び入り組んだ内部形状は、このような従来の製造プロセスを使用して製造するにはより複雑なものとなる。したがって、入り組んだ内部空隙を有する3次元部品のための改良された鋳造方法の提供は望ましい。
【0005】
高融点金属鋳造用部品とセラミックの鋳造用部品の組合せを利用したハイブリッドコア部品を使用する精密鋳造は、当技術分野において既知である。高融点金属部分及びセラミック材料部分を含むハイブリッドコアは製造されている。例えば、「Additive manufacturing of hybrid core」と題する米国特許出願公開第2013/0266816号明細書を参照されたい。 本出願において開示されたハイブリッドコア製造に使用される技術は、従来の粉末床技術を利用した。ハイブリッドコアは、例えばジェット機エンジンで使用されるタービンブレードの鋳造において超合金の鋳造に付加的な柔軟性を提供するが、より高度なインベストメント鋳造用コア技術が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9120144号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、第1の金属部品の周囲に高融点金属薄膜を備える鋳造用コアの少なくとも一部を囲む外側のシェルモールドを含む、鋳造用コアを備える新規の鋳型に関する。一態様において、第1の金属部品の少なくとも一部は、外側のシェルモールドの表面に露出していてもよい。別の態様において、外側のシェルモールドは、第1の金属部品が除去され、第2の金属薄膜層が除去されない場合に、鋳造用コア内にキャビティを画成するように構成することができる。
【0008】
一実施形態では、第1の金属部品(例えば、非高融点金属部品)は、アルミニウム、銅、銀、及び/又は金を含むことができ、第2の金属薄膜層は、モリブデン、ニオブ、タンタル及び/又はタングステンを含むことができる。第1の金属部品及び/又は第2の金属薄膜層は、合金を含むことができる。
【0009】
第1の金属部品及び/又は第2の金属薄膜層の1以上は、他の構造の中で冷却孔、後縁冷却チャネル、又はマイクロチャネルを鋳造部品内に画成するように適合することができる。第1の金属部品及び/又は第2の金属薄膜層は、さらに、コア支持構造、プラットフォームコア構造、又は先端フラグ構造を提供するように適合することもできる。第1の金属部品及び/又は第2の金属薄膜層のいくつかの金属部品は、単一の鋳造用コアとして使用することができ、或いはセラミックの鋳造用コアアセンブリにおいて単独で、又は他の鋳造用部品とともに使用することができる。
【0010】
本発明は、さらに、第1の金属部品の周囲に第2の金属薄膜層を備える鋳造用コアの周囲に外側のシェルモールドを形成し、第1の金属部品の少なくとも一部が外側のシェルモールドの表面に露出されることと、第1の金属部品を溶融し、セラミックシェルから溶融した第1の金属部品を除去して第2の金属薄膜層内にキャビティを形成することと、第2の金属薄膜層のキャビティに第3の金属を加えて鋳造部品を形成することと、鋳造部品から外側のシェルモールド及び第2の金属薄膜層を除去することとを含む、鋳造部品を製造する方法に関する。
【0011】
別の態様において、第1の金属部品及び第2の金属薄膜層を含む鋳造用コア全体は、粉末床から直接最終的な溶融/焼結によって製造することができる。或いは、第1の金属部品及び高融点金属部品はモールド内で組合せることができ、セラミックスラリーを導入して鋳造用コアを製造することができる。
【0012】
別の態様において、第2の金属薄膜層は、(a)第1の金属部品の表面に高融点金属粉末を接着することと、(b)第1の余剰高融点金属粉末を除去することと、(c)高融点金属粉末を融着することと、(d)第2の余剰高融点金属粉末を除去することと、によって、第1の金属部品の周囲に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】付加製造プロセスの流れ図である。
図2】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図3】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図4】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図5】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図6】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図7】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
図8】本発明の実施形態にしたがって鋳造部品を形成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面に関連して以下に記載する詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明される概念が実施可能な唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供する目的で特定の詳細を含む。しかし、これらの概念がこれらの特定の詳細なしに実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0015】
図面を参照すると、同一の参照符号が様々な図を通して同じ要素を表し、図1は、表面の一部を覆う金属薄膜層を構築するための付加製造プロセスにおける工程を示す流れ図である。参照により本明細書に組み込まれる、「ADDITIVE MANUFACTURING ON 3−D COMPONENTS」と題する2015年5月14日出願の米国特許出願第14/711816号を参照されたい。
【0016】
プロセスは、既存の部品の表面(例えば、図2に関して以下に説明される第1の金属部品202)で開始される。用語「部品」は、他の点では完成している部品と、粗鋳造、ブランク、プリフォーム、又は付加製造プロセスにより製造された部分等の未完成状態の部品との両方を指す。粉末材料の結合を受容するために、必要に応じて表面を適切に前処理する(ブロック100)。例えば、溶媒、フッ化物イオン洗浄、グリットブラスト等による汚染物質の除去及び/又は表面の粗面化を行うことができる。
【0017】
次に、粉末を表面に接着する(ブロック102)。粉末は付加製造のための任意の適切な材料であってもよい。例えば、粉末は、金属組成物、ポリマー組成物、有機組成物又はセラミック組成物であってもよい。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「接着する」は、層を十分な結合強度で表面に接着し、その後の粉末融着プロセスの間、所定の位置に留める任意の方法を指す。「接着」は、従来の粉末床装置の場合のように粉末が単に自重によって所定の場所にあることを越えて、結合又は接合を有することを意味する。例えば、表面は接着剤製品によって被覆されてもよく、その際浸漬又はスプレー等の方法によって適用されてもよい。好適な低コストの接着剤の非限定例の1つは、3M Company,St.Paul,MN 55144 USから市販されているRepositionable 75 Spray Adhesiveである。或いは、粉末は、部品表面への静電引力等の他の方法によって、又は(部品が鉄である場合は)粉末を磁化することによって、接着させることができる。本明細書で使用する場合、用語「層」は、付加した質量の増分を指し、層が平面である、又は特定の範囲を覆う、もしくは特定の厚さを有することを必要としない。
【0019】
粉末は、表面上に粉末を落下させる又は吹き付けることによって、或いは粉末に部品を浸漬することによって適用することができる。粉末適用後、例えば均一な層を得るために、必要に応じて刷毛がけ、掻き取り、吹き飛ばし、又は振盪を任意で行い、余剰粉末を除去してもよい(ブロック104)。粉末適用プロセスが従来の粉末床又は平らな作業面を必要とせず、部品が単純な作業台、クランプ、又は固定具等の任意の所望の手段で支持されてもよいことに留意されたい。
【0020】
粉末を接着させた後、指向性エネルギー源(レーザ又は電子ビーム等)を使用して、構築される構造体の層を溶融する(ブロック106)。指向性エネルギー源はビームを照射し、ビーム誘導装置の使用により露出した粉末表面上に適切なパターンでビームを誘導する。粉末の露出層は、ビームによって溶融、焼結、流動及び統合が可能になる温度まで加熱される。この工程は粉末の融着と呼ぶことができる。
【0021】
融着工程の後、必要に応じて非融着粉末を(例えば、刷毛がけ、掻き取り、吹き飛ばし、又は振盪によって)除去してもよい(ブロック107)。この工程は任意選択であり、特定の用途に必要とされる、又は所望される場合もあるし、そうでない場合もある。
【0022】
粉末の接着、余剰粉末の除去、指向性エネルギーによる粉末の溶融又は焼結というこのサイクルは、部品全体が完成するまで繰り返される(ブロック109)。
【0023】
上述した一般的なプロセスは、所望の任意のタイプの付加構造体を形成するために使用することができる。プロセスは、ガスタービンエンジンの高温部部品の冷却構造を形成するために特に有用である。
【0024】
本開示のコア部品は、冷却孔、後縁冷却チャネル、マイクロチャネル、2つの冷却用キャビティを接続する交差孔、二重壁又は近位壁の冷却構造の内部インピンジメント孔、ブレード根元転向部のリフレッシャ孔、並びに当該技術分野で既知の付加的な冷却機構等の最終製品における冷却機構の提供に使用することができる。さらに、傾斜コア部品は、2種以上の材料の熱膨張特性に適合するように使用することができる。本開示のコア部品は、さらに、鋳造金属対象物の特定領域を所望の元素又は合金により付加又はドープするために使用することもできる。
【0025】
上述した付加製造技術は、コア部品の任意の所望の形状及び構成のほとんどの形成を可能にする。本開示のコア部品は、他の高融点金属ピース或いは他の金属(非高融点)又はセラミックの部品と任意に組合せることができる。一実施形態では、コア部品及び他のあらゆる任意の部品は、ジェット機エンジン用超合金タービンブレードの製造に使用されるようなセラミックモールドのコア部分として利用することができる。その後、モールドが準備され、高融点金属部品との接触を含むモールドのキャビティに超合金溶湯を注入することができる。モールド部品を機械的プロセスと化学的プロセスの組合せを使用して離型し、同時に、又はその後、熱プロセス(例えば、溶融)又は化学的プロセス(例えば、エッチング)を使用して、形成された超合金部品から高融点金属部品を除去してもよい。
【0026】
図2図8は、本開示の特定の態様にしたがって鋳造部品212を製造する方法200を示す。 一態様において、図2図8に示された方法200は、単結晶超合金タービンブレード等のジェット機部品を鋳造するために使用することができる。例えば、図2を参照すると、第1の金属部品202は、図8に見られる最終鋳造部品212を製造するための開始点として使用することができる。第1の金属部品202は、以下に限定されるものではないが、アルミニウム、ニッケル、銅、金、及び/又は銀、或いはそれらの組合せ又は合金の少なくとも1種を含む低融点の金属及び/又は合金を含むことができる。さらに、第1の金属部品202は、高融点金属ではない金属を含むことができる。
【0027】
図3を参照すると、第2の金属薄膜層204は、第1の金属部品202を取り囲むように形成することができる。一態様において、第2の金属薄膜層204は、図1に関して上述した付加製造技術を使用して形成することができる。例えば、第1の金属部分202は、高融点金属粉末の結合を受容するために、必要に応じて前処理を行うことができる。第1の金属部品202の表面の前処理は、溶媒、フッ化物イオン洗浄、グリットブラスト法等を使用した汚染物質の除去及び/又は表面の粗面化を含むことができる。
【0028】
次に、例示的実施形態によれば、高融点金属粉末は、第1の金属部品202の表面に接着することができる。高融点金属粉末は、以下に限定されるものではないが、モリブデン、ニオブ、タンタル及び/又はタングステン、或いはそれらの組合せ又は合金の少なくとも1種を含むことができる。一態様において、第2の金属薄膜層204の材料は、鋳造部品212の材料に1以上の元素又は合金を拡散させることにより、鋳造部品212の組成を局所的に変化させるように任意に選択することができる。 いくつかの高融点金属は、溶融された/液状の超合金中で酸化又は溶解する可能性がある。さらに、第2の金属薄膜層204は、加熱時に使用され得る表面保護膜を形成する材料を含むことができる。例えば、MoSi2は、SiO2の保護層を単体で形成する。
【0029】
さらに図3を参照すると、高融点金属粉末は、第1の金属部品202の表面上に高融点金属粉末を落下させる、又は吹き付けることによって、或いは高融点金属粉末に第1の金属部品202を浸漬することによって適用することができる。高融点金属粉末適用後、例えば均一な層を得るために、必要に応じて刷毛がけ、掻き取り、吹き飛ばし、又は振盪を任意で行い、第1の金属部品202から余剰の高融点金属粉末を除去してもよい。
【0030】
高融点金属粉末を第1の金属部品202に接着させた後、指向性エネルギー源206(レーザ又は電子ビーム等)を使用して高融点金属層を溶融/焼結し、第1の金属部品202の表面上に第2の金属薄膜層204を形成することができる。指向性エネルギー源206はビームを照射し、ビーム誘導装置の使用により露出した粉末表面上に適切なパターンでビームを誘導する。露出した高融点金属粉末の層は、溶融、焼結、流動、及び/又は固化が可能となる温度までビームによって加熱される。この工程は、第2の金属薄膜層204への高融点金属粉末の融着と呼ぶことができる。第1の金属部品202上の薄膜の層204は、さらに、一定パターン又は断続的な層(図示せず)で提供されてもよい。例えば、第2の金属薄膜層204は、後続プロセスによって下にある金属にアクセス可能な2つ以上の孔を含むことができる。アクセス孔は、その後薄膜層内から金属を除去するために、場合によっては後続工程で鋳造金属を追加するために使用することができる。さらに、第2の金属薄膜層204は、最終製品の所望の形状に応じて均一な厚さ又は不均一な厚さのいずれかで形成することができる。
【0031】
代替方法として、薄膜層204は、その全体が本明細書に組み込まれる「Additive manufacturing of hybrid core」と題する米国特許出願公開第2013/0266816号明細書で開示された付加製造技術を使用して形成することができる。
【0032】
特定の金属に言及して上述した例示的実施形態は、限定することを意図するものではない。例えば、第1の金属部品202は、第2の金属薄膜層204に使用した金属よりも低い融点を有する任意の金属を含むことができる。同様に、第2の金属薄膜層204は、第1の金属部品202に使用した金属よりも高い融点を有する任意の金属を含むことができる。
【0033】
図4を参照すると、外側のシェル部品208は、第1の金属部品202及び第2の金属薄膜層204の周囲に形成することができる。 外側のシェルモールド208はセラミックを含むことができる。或いは、外側のシェル部品208を第1の金属部品202の周囲に形成することもでき、第1の金属部品202を除去することにより、外側のシェル部品208にキャビティを形成することもできる。この代替例においては、第2の金属薄膜層204は、外側のシェル部品208のキャビティの表面に形成してもよい。
【0034】
図5に示すように、第1の金属部品202を第2の金属薄膜層204及び外側のシェル部品208から除去し、キャビティ210を形成してもよい。一態様において、第1の金属部品202は、第1の金属部品202を溶融させることにより鋳型400から除去することができる。一実施形態では、第1の金属部品202は、その融点が第2の金属薄膜層204の融点よりも低くなるように選択することができる。この方法で、高融点金属204を溶融及び/又は損傷させることなく、第1の金属部品202を溶融することができる。
【0035】
図6に示すように、液体金属をキャビティ210に注入し、固化させて鋳造部品212を形成してもよい。液体金属は、超合金であってもよい。例えば、液体金属は、特に、インコネルを含むニッケル系合金を含むことができる。
【0036】
液体金属を固化させて鋳造部品212を形成した後、外側のシェルモールド208を除去し、図7に示すように、第2の金属薄膜層204及び鋳造部品212を露出させることができる。外側のシェルモールド208は、破壊等の機械的手段によって除去することができる。
【0037】
図8を参照すると、第2の金属薄膜層204を除去し、鋳造部品212を露出させることができる。 第2の金属薄膜層204の除去は、酸浸漬処理を含む化学的手段(例えば、エッチング)によって除去することができる。第2の金属薄膜層204がセラミックコア部品の一部である範囲において、第2の金属薄膜層204除去前又は除去後に苛性溶液を高温及び/又は高圧条件下で使用し、セラミック材料を浸出させることができる。第2の金属薄膜層204は、鋳造部品212を除去する、又は損傷させることのない化学的手段を使用して除去することができる。一態様において、第2の金属薄膜層204は、溶融よりも焼結によって形成され、融合を完成する。これにより、第2の金属薄膜層204を除去するための選択肢を増やすことができる。例えば、場合によっては、焼結された(不完全に融着された)金属は、物理的手段(例えば、振盪)を使用して除去することができる。さらに、焼結された材料は、焼結された粉末構造体にエッチング溶液がより迅速に浸透する酸エッチングを使用して、より容易に除去することができる。或いは、図8に示す工程は省略することができ、第2の金属薄膜層204は、鋳造部品212に残っていてもよい。
【0038】
第1の金属部品202及び第2の金属薄膜層204は、超合金鋳造部品を形成する間及び/又は形成後に除去してもよい。第1の金属部品202は、第2の金属薄膜層204よりも低い融点を有するように選択することができる。この方法で、第2の金属薄膜層204を溶融及び/又は損傷させることなく、第1の金属部品202を溶融し除去することができる。その後、第1の金属部品202を除去し、第2の金属薄膜層204を残すことにより形成されたキャビティに、溶融された超合金を注入することができる。第2の金属薄膜層204の除去は、溶融された超合金を固化して鋳造部品(例えば、タービンブレード)を製造した後に行ってもよい。例えば、第2の金属薄膜層204は、以下に限定されるものではないが、酸処理を使用するエッチングを含む化学的手段を使用して除去することができる。エッチングによる第2の金属薄膜層204の除去は、高温高圧条件下で苛性溶液に浸漬してセラミックを除去する前又はその後に行うことができる。一態様において、第2の金属薄膜層204は、溶融ではなく焼結されてもよい。これにより、第2の金属薄膜層204を除去するための選択肢を増やすことができる。例えば、場合によっては、焼結された(不完全に融着された)第2の金属は、物理的手段(例えば、振盪)を使用して除去することができる。さらに、焼結された材料は、焼結された粉末構造体にエッチング溶液がより迅速に浸透する酸エッチングを使用して、より容易に除去することができる。
【0039】
上記の例において、第1の金属部品202は、タービンブレード形成のためのロストワックス法におけるワックスと同様に、使い捨てのパターン材料として使用される。さらに、第1の金属部品202は、ロストワックス法では第2の金属薄膜層204と共に使用することができる。この場合、両方の金属が鋳造用コアの一部を形成する。鋳造用コアはその後ワックスで、それからセラミックシェルで囲まれる。ワックスを除去し、さらに、ワックスを除去するために使用したものと同一の、又は異なる加熱工程で第1の金属部品202を溶出する。第1の金属部品202は、溶出された後、続いて成形される材料のための湯道を提供する、鋳造プロセスにおけるゲート材料として使用することができる。或いは、第1の金属部品202は、インベストメント鋳造法においてシェルモールドの一部内で、第2の金属薄膜層204と共に使用することができる。
【0040】
本明細書は、最良の形態を含め本発明を開示するために、さらに、任意のデバイス又はシステムを製造し使用し、かつ任意の組み込まれた方法を実行することを含め任意の当業者による本発明の実施を可能とするために実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。記載された様々な実施形態の態様、並びにそのような態様ごとの他の既知の等価物は、本出願の原理にしたがったさらなる実施形態及び技術を構築するために、当業者によって混合及び適合することができる。
[実施態様1]
第1の金属部品(202)と、第1の金属部品(202)の少なくとも一部を囲み、第1の金属よりも高い融点を有する第2の金属薄膜層(204)とを備え、
第1の金属部品(202)が除去されるとキャビティ(210)が形成され第3の金属で充填することができるように構成された鋳造用コアを備える鋳型(400)。
[実施態様2]
第2の金属薄膜層(204)が高融点金属を含む、実施態様1に記載の鋳型(400)。
[実施態様3]
第2の金属薄膜層(204)が2mmを超えない厚みを有する、実施態様1に記載の鋳型(400)。
[実施態様4]
第1の金属部品(202)がアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、金、金合金、銀、又は銀合金の少なくとも1種を含む、実施態様1に記載の鋳型(400)。
[実施態様5]
第2の金属薄膜層(204)がタングステン又はタングステン合金を含む、実施態様3に記載の鋳型(400)。
[実施態様6]
第2の金属薄膜層(204)がモリブデン又はモリブデン合金を含む、実施態様3に記載の鋳型(400)。
[実施態様7]
第2の金属薄膜層(204)が、第1の金属部品(202)へのアクセスを可能にする2つ以上の開口部を含む、実施態様1に記載の鋳型(400)。
[実施態様8]
第1の金属部品(202)又は第2の金属薄膜層(204)の1以上の少なくとも一部を囲む外側のシェルモールド(208)をさらに備え、
外側のシェルモールド(208)がセラミックを含む、実施態様1に記載の鋳型(400)。
[実施態様9]
第1の金属部品(202)及び第1の金属部品(202)の少なくとも一部を囲み、第1の金属よりも高い融点を有する第2の金属薄膜層(204)を含む鋳造用コアと、
第1の金属部品(202)を除去して第2の金属薄膜層(204)の少なくとも一部にキャビティ(210)を形成することと、
第2の金属薄膜層(204)内のキャビティ(210)の少なくとも一部を充填するために第3の金属を加えることとを含む、鋳造部品(212)を製造する方法(200)。
[実施態様10]
鋳造部品(212)から第2の金属薄膜層(204)を除去することをさらに含む、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様11]
第2の金属薄膜層(204)が3次元である、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様12]
第1の金属部品(202)が第2の金属薄膜層(204)よりも低融点の金属を含む、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様13]
第1の金属部品(202)がアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、金、金合金、銀、又は銀合金の少なくとも1種を含む、実施態様11に記載の方法(200)。
[実施態様14]
第2の金属薄膜層(204)がタングステン又はタングステン合金を含む、実施態様12に記載の方法(200)。
[実施態様15]
第2の金属薄膜層(204)がモリブデン又はモリブデン合金を含む、実施態様12に記載の方法(200)。
[実施態様16]
鋳造用コアの周囲に外側のシェルモールド(208)を形成することと、
鋳造用コアの形成後に外側のシェルモールド(208)を除去することとをさらに含み、
外側のシェルモールド(208)がセラミックを含む、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様17]
第2の金属薄膜層(204)の除去が溶出又はエッチングの少なくとも1つを含む、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様18]
第1の金属部品(202)の除去が溶融を含む、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様19]
第2の金属薄膜層(204)が、
(a)第2の金属粉末を第1の金属部品(202)の表面に接着することと、
(b)第2の金属粉末の第1の余剰を除去することと、
(c)第2の金属粉末を融着することと、
(d)第2の金属粉末の第2の余剰を除去することと、によって、第1の金属部品(202)の周囲に形成される、実施態様9に記載の方法(200)。
[実施態様20]
第1の金属部品(202)の少なくとも一部を第2の金属粉末に浸漬することによって、第2の金属粉末が第1の金属部品(202)の表面に接着される、実施態様19に記載の方法(200)。
【符号の説明】
【0041】
100、102、104、106、107、109、111 ブロック
200 方法
202 第1の金属部品、第1の金属部分
204 第2の金属薄膜層、高融点金属
206 指向性エネルギー源
208 外側のシェル部品、シェルモールド
210 キャビティ
212 鋳造部品
400 鋳型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8