特許第6446487号(P6446487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446487長尺な可撓性インダクタ及び長尺な可撓性低周波アンテナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446487
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】長尺な可撓性インダクタ及び長尺な可撓性低周波アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20181217BHJP
   H01Q 7/08 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01F17/04 F
   H01Q7/08
   H01F17/04 N
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-39979(P2017-39979)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2017-195366(P2017-195366A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】16380004.8
(32)【優先日】2016年3月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ロハス・クエバス
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エセキエル・ナバロ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・カニェテ・カベサ
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−122733(JP,A)
【文献】 特開2005−295122(JP,A)
【文献】 特開2002−319817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0285708(US,A1)
【文献】 特開2016−152361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01Q 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性材料から作られ、磁性コア(10)、(11)の端で互いに対して関節式に接続されて、長方形の組立体を形成する少なくとも2つの硬質な磁性コア(10)、(11)によって形成されたコアの周囲に配置された導電素子から作られた巻線を含む、長尺な可撓性インダクタであって、
磁性コア(10)、(11)の各々が、
先頭の横軸に関連する円形凸曲面構成を備える先頭端Aと、
後尾の横軸に関連し、先頭の横軸に対して平行である円形凹曲面構成を備える後尾端Bであって、前記円形凹曲面構成が、前記円形凸曲面構成と相補形である、後尾端Bと、を備え、
磁性コアの先頭端Aが、曲面構成の接触面(20a、20b)を通して、隣接する磁性コアの後尾端Bに結合されて、関節式取付部を形成し、2つの磁性コア(10)、(11)の先頭及び後尾の前記横軸が結合領域で一致して結合されて、可変かつ調整可能な角度を有する継手を提供し、
前記2つ以上の硬質な磁性コアのアセンブリが、前記少なくとも2つの磁性コア(10、11)間の結合領域または間隙における磁束分散を防止するようにともに作用する磁荷を含む可撓性ポリマーケーシング(50)によって囲まれ、前記可撓性ポリマーケーシング(50)が、単独またはそれらの任意の組み合わせで前記ポリマーケーシングのポリマーマトリックス内部に存在する、軟質な強磁性材料のマイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含み、
前記関節式取付部が、突起(30)及びくぼみ(40)が互いに相補形であり、前記先頭端A及び後尾端Bの凸曲面構成及び凹曲面構成にそれぞれ画定され、上述の磁性コアの前記強磁性材料から作られ、保持構成が結合された磁性コア(10、11)が横方向のいかなる位置ずれも防止する、少なくとも1つの横保持構成を含む、
前記磁荷を提供することを特徴とする、インダクタ。
【請求項2】
関節式に接続された磁性コア(10、11)の各々が、矩形の断面を有する、請求項1に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項3】
前記突起(30)及びくぼみ(40)が、接触面(20a)及び(20b)が画定される磁性コアの端A及びB両方のより小さな矩形面であって、それぞれの対向するより小さな矩形面に画定される、
請求項1に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項4】
15cmを越える、好ましくは30cmを越える長さを有する、請求項1または3に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項5】
約60cmの最大長さを有することを特徴とする、請求項4に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項6】
軟質な強磁性材料の前記マイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子は、コアの総重量の少なくとも約50%に相当する、請求項1に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項7】
前記磁性コアが、矩形の柱状構成を有し、前記突起(30)及びくぼみ(40)が、磁性コア(10、11)の両端A及びBそれぞれの対向するより小さな矩形面上に画定される、請求項に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項8】
前記突起(30)及び前記くぼみ(40)が、その端A及びBで結合された硬質な磁性コア(10、11)のアセンブリに関連する中央位置を採用する、請求項7に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項9】
前記突起(30)及び前記くぼみ(40)が、その端A及びBで結合された硬質な磁性コア(10、11)のアセンブリに関連する側部位置を採用する、請求項7に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項10】
前記突起(30)及び前記くぼみ(40)が、矩形の柱状体の最大幅に対して10%の幅を有するか、または矩形の柱状体の最大幅に対して60%の幅を有する、請求項1に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項11】
インダクタが、少なくとも5つの互いに結合された磁性コアを有し、総伸長が、長さ30cmに対して2cmの撓みをもたらす、請求項1〜10のいずれか1項に記載の長尺な可撓性インダクタ。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の可撓性のインダクタによって形成された長尺な可撓性アンテナ。
【請求項13】
導電素子から作られた巻線が、導電線または導電箔によって形成される、請求項12に記載の長尺な可撓性アンテナ。
【請求項14】
前記アンテナが、20KHz〜300Khzの周波数範囲で動作するLFアンテナである、請求項12または13に記載の長尺な可撓性アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車領域における特定用途のうち、キーレスドアオープンまたはエントリシステムの分野に包含され、これらはまた、エンジンの始動のための電子イモビライザを制御することに適用される。この「キーレス」システム(KESまたはキーレスエントリシステム、もしくはPKE(パッシブキーレスエントリ(Passive Keyless Entry)とも称される)は、乗物を取り囲む周辺約1.5m以上での遠隔制御または無線信号を発する装置の使用に、及びユーザによって運ばれる上述の遠隔制御装置の有無を検出(上述の無線信号の取り込み)するように機能する3つ以上のアンテナの乗物自体の機構に基づく。前記の検出に基づいて、ドアが開かれるかまたは施錠され、またいくつかの可能な機能の中で、エンジンのオンオフの切り替え、バックミラーの快適な調整、電動式シート、室内灯の点灯の選択肢が可能になる。
【0002】
本発明は、単一のアンテナを備えるキーレスエントリシステムを提供する。
【0003】
この点において、本発明は、それらの端で互いに対して関節式に接続されて、インダクタの整合性に対するリスクなしに曲げることが可能である長方形の組立体を形成し、前記複合コアを取り囲む導電素子から作られるコイルを有する、2つ以上の硬質な強磁性コアまたは素子によって形成されたコアを備える、長尺な可撓性インダクタの使用を提案する。
【0004】
長尺な可撓性低周波アンテナは、電子素子を、そして最終的には、共振タンクを構成するためにキャパシタに内部または外部で接続するための接続素子を設けることによって、上述の可撓性のインダクタから容易に得られる。
【背景技術】
【0005】
エンジニア及び技術者は、単一のアンテナを備えるキーレスオープニングシステムを長年にわたって探し求めてきた。多くのシステムが理論的には述べられてきたが、それらのすべてが、脆弱なフェライト磁性コアの問題を克服するアンテナを設けるための実際の実現性を欠いている。
【0006】
自動車産業向けのキーレスエントリシステムは、低周波数、たとえばMARQUARDTによる特許文献EP−B1−1723615及びWO−A1−2013135381に記載されるように20KHzで、またはCONTIによる特許文献WO−A1−2011120501またはUS−B2−9184506に記載されるように125KHz及び134KHzで稼働することが多い。
【0007】
乗物からの最小読み取り距離(遠隔制御装置の無線信号を取り込む)をカバーするために、既存のシステムは、たいていの場合、ドアハンドル及びトランクに配置された短いフェライトアンテナを用いる。これらのアンテナは、通常は、軟質なフェライト磁性材料であるZnMnで作られたコアを用いる。フェライトは砕けやすく脆弱な材料であるため、アンテナの最大長さは、フェライトが最小トルクまたは変形に耐えることができる長さに制限される。これは、用いられるフェライトコアの実際の長さを、180mm未満に、及び通常は80〜120mmに制限する。これらの極度に脆弱なコアは、オーバーモールドによって、またはプラスチックケーシングによって保護されたコイルを受け入れ、結果として得られたワイヤコイルで作られたアンテナは、全体として樹脂の中に埋め込まれるか、または低圧で、または高圧ポリマーによって既にオーバーモールドされている。
【0008】
これらすべてのプラスチックコーティング及び層は、脆弱なフェライトコアを、外力、トルク、衝撃及び曲げから保護することが意図される。
【0009】
PREMOによる国際特許出願番号第PCT/IB2015/001238号は、マイクロワイヤを取り囲むポリマーマトリックス中に分散させた高透磁率の軟磁性合金及びポリマーナノ粒子から作られたマイクロワイヤに基づく、可撓性の磁性コア及びその製造のためのプロセスを記載している。
【0010】
連続したフェライトコアによって、アンテナの長さが制限され、最新のシステムは、乗物全体の周りの最小読み取り距離をカバーするために、乗物ごとに3〜5つのアンテナを備える機構を述べている。
【0011】
ところで、乗物で用いられる現在のアンテナは、一般的には180mm未満の長さを有し、それを単一のアンテナと置換するためには、現在の短いアンテナによって生成されたものをカバーするために十分な強度を有する磁界を生成するために、300mm〜500mmの間の長さを必要とする。しかし、そのように長いアンテナは、単一のソリッドフェライトコアを用いることができないが、これは、前記ケース内においては、ケーシングによってコーティングされるか、成型されるかまたはオーバーモールドされるか、またはまたは硬いプラスチックケーシングによって取り囲まれていたとしても、非常に小さな曲げ力で容易に破断するためである。
【0012】
上述の技術的問題を解決するための可能性は、たとえばPREMOによる国際特許出願番号第PCT/IB2015/001238号に提供されている、細長く完全に可撓性のある低周波LFアンテナを用いる「キーレス」システムである。
【0013】
この革新によって、単一のアンテナによって、3つ、4つまたは5つのアンテナを備える最新のシステムによってもたらされるものと等しいかまたはそれを上回る性能を提供する「KES」システムを組み込むことが可能になる。当該革新は、多くの技術的かつ経済的な利点を有する「KES」システムにつながる。
・配線及びコネクタが、それぞれ1/3、1/5または1/4まで低減される。
・OEM組立時間が、それぞれ1/3、1/5または1/4まで低減される。
・特に電気式乗物において非常に重要なパラメータである、総エネルギ消費及び実際のバッテリ損失が、比例的に低減される。
・より長いアンテナは、同等またはより強力な磁界を生成するためにより低い電流を必要とし、それによって、必要なエネルギを低減させ、アンテナのコイルにおけるワイヤの断面を低減させることを可能にする。
【0014】
乗物に必要な電気出力の低減は、前述のものによって達成される。MOSFETトランジスタは、増幅器の数及び電力段の特性を1/3、1/4または1/5まで低減させることを可能にし、さらに当該技術におけるシステムと同じ磁界を生成するために低電力が用いられることに起因して、より簡易かつより高価ではないことがある、最終的に必要なアナログ電力素子を簡易にすることを可能にする。全体として、電気制御ユニット(ECU)内の読み取り機のフロントエンドまたはアナログインターフェースは、5、4または3〜1になるチャネルの低減によって、及び残余のチャネルの電力の大きな低減によって、簡易化される。
【0015】
乗物の信頼性は、組み入れられる構成品の数に比例し、ECUにおけるアンテナ及びチャネルの数を単に低減させるだけで、システムまたはMTBFの平均故障間隔を増大させる本質的な信頼性が提供される。
【0016】
同様に、単一のアンテナを用いることによって、その安全素子が簡易化される。
【0017】
複数のフェライトコアを含む長尺インダクタは、AMラジオシステム用に広く用いられてきた。国際特許出願公開第WO−A2−2009123432号は、コイル内部の円筒形のロッドの複数のコアで構成される解決策を記載している。ワイヤレス充電システムにおけるより最近の出願は、Qualcomによる米国特許出願公開第2013249303号に示され、複数の並べられた強磁性素子を開示している。
【0018】
SUMIDAによる米国特許出願公開第20150295315号は、キャパシタ及び導波管を配置するための特定の形状を有する機械を形成するコイルに導入された、堅固なソリッドフェライトコアを記載している。
【0019】
前記のPREMOによる国際特許出願第PCT/IB2015/001238号は、フェライト以外のさまざまな材料、たとえばナノ結晶シートを記載しているが、それらは、前記材料が非常に著しい欠点である磁気ひずみを有し、軟質な磁性材料の性質が、圧力または変形下での透磁率に大きな変化を生じさせるため、実際には用いられてこなかった。したがって、これらのシート材料は、非常に高価ではあっても、理論的には長いアンテナで用いられることができるが、実際には、これらのアンテナは破損はしないが、それらの透過率が相当に変化するため、直列に形成する調整されたタンクまたは並列のキャパシタに典型的である共振周波数に、高信頼のシステムに必要とされる最小選択性がない。一方、シートの変形は、幅広側に対して垂直な軸においてのみ可能であるが、その他2つの直交軸においては、コアは変形可能ではない。
【0020】
PREMOによる国際特許出願第PCT/IB2015/001238号は、三次元空間でX軸に沿って、及び直交するY軸に沿っての両方に曲げられることができる長尺アンテナを提供する。
【0021】
別の解決策は、その先頭及び後尾端に球形の凹端子または凸端子を備える複数の円筒形のフェライトコア(図2参照)で作られた、結合された複合コアに基づく、SUMIDAによる米国特許出願公開第2015123761号に記載され、また、冊子状構成で互いに結合されたコアを開示している(図3参照)。
【0022】
特許文献US−A1−2015123761には、長手方向により小さくなる結合された素子を付加することによる長尺コアの構築が既に開示されている。
【0023】
複合インダクタを開示している他の文献は、互いに結合されたいくつかのコアで作り上げられた可撓性の磁性コアを備える長い磁力計を記載している特許文献US−B1−6417665と、それらの端で結合されたフェライトロッドで作られた長い可撓性の磁性コアの構造を説明しているEP−A2−0848577とを含む。さらに、球形または円筒形の接触面(空隙)の間の物理的な間隙または分離による磁性コアの端での結合は、磁気回転機械において通常行われているが、これは、一定かつ最小の空隙を保証することに加えて、自由運動のために必要とされるためである。たとえば、BruceDePalmaによる1974年の刊行物「The generation of a unidirectional Force」(http//depalma.pair.com/GenerationOfUnidirectionalForce.html)を参照のこと。
【0024】
硬い磁性材料においては、磁気部分を動かすために、球形間隙(空隙)を高度な軸受用の強磁性流体と組み合わせて用いることも通常行われている。
【0025】
特許文献US7138896は、電磁放射の形式でエネルギを放射するアンテナとして動作する平型ケーブルにおけるEMI(電磁干渉)シールドのための円筒形の空隙によって、先頭−後尾−先頭のように互いに結合された個別の素子で作られたフェライトコアを記載している。
【発明の概要】
【0026】
本発明は、互いに結合された複数の磁性コアを備えるインダクタの物理的な組込みにおいて、及びそれらがKESシステムのためのLFアンテナを構築するために適用されたときに、付随的な垂直方向及び水平方向の空隙の結果として、それらの性能に影響する問題、特に以下を回避する。
-離散型の円筒形素子または球形コア素子は、それらの接触関節端に接着取付を有しておらず、方向Xへの延びが生じたときに、コア素子間の空気または非強磁性材料の距離によって定められた空隙がさらに長くならないことを保証する方法がない。したがって、方向Xへの伸びが生じた場合、素子間の距離が増大して、それだけ磁束の損失が増大し、より低い透過性の結果として磁気抵抗を増大させることになり、共振周波数のずれ及びアンテナ動作不良を生じさせる。
-円筒形であるかまたは矩形の断面を有する離散型のコア素子は、それらの間にいかなる保持素子もなしに互いに対して摺動することができ、それによって、互いに結合された磁性コアの位置ずれが発生し、素子数に比例するように総磁気抵抗を増大させる。この水平な分離または間隙は、磁界の線によって交差される有効な接触断面領域を低減させ、それによって、効果的な透過性が低減する結果となる。一方、空隙で失われる漏洩磁束は、低い磁気抵抗の磁路によって方向を変えられることがなく、コイルにおける誘導能力が失われる。
【0027】
これらの影響、すなわちY軸方向への位置ずれ及び三次元空間のX軸方向への空隙の拡大は、上述の複合インダクタの不十分な性能を決定する。
【0028】
本発明は、上述の問題に対する解決策を提供し、300mmを越える長さを有する可撓性のアンテナの構築を可能にする。
【0029】
本発明は、強磁性材料から作られ、それらの端で互いに対して関節式に接続されて、たとえば特許文献US7138896に記載されたもののように、長方形の組立体を形成する2つ以上の硬質な磁性素子または磁性コアによって形成されたコアの周囲に配置された、導電素子(金属線または導電箔)から作られたコイルを含む、長尺な可撓性インダクタを提供し、磁性コアの各々は、
-先頭の横軸に関連する円形凸曲面構成を備える先頭端Aと、
-後尾の横軸に関連し、先頭の横軸に対して平行である円形凹曲面構成を備える後尾端Bであって、前記円形凹曲面構成が、前記円形凸曲面構成と相補形である、後尾端Bと、を備える。
【0030】
磁性コアは、磁性コアの先頭端Aが、接触面を通して、隣接する磁性コアの後尾端Bに結合され、結合領域で一致して互いに結合された2つの磁性コア10、11の先頭及び後尾の上述の横軸を中心とした関節式取付部を形成し、平型チェーンの連結のような、可変かつ調整可能な角度を有する継手を提供するように結合される。
【0031】
本発明の提案によれば、前記2つ以上の硬質な磁性コアの上述の組立体は、前記磁性コア間の結合領域または間隙(空隙)における磁束分散を防止するようにともに作用する磁荷を含む可撓性ポリマーケーシングによって囲まれ、上述の可撓性ポリマーケーシングは、単独またはそれらの任意の組み合わせで前記ポリマーケーシングのポリマーマトリックス内部に存在する、軟質な強磁性材料のマイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含む。
【0032】
本発明は、単一の長尺の可撓性または半可撓性のLFアンテナ(主に20KHz〜300Khz)に基づく自動車用キーレスオープニングシステムを記載している。
【0033】
一実施形態では、軟質な強磁性材料の上述のマイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子は、ポリマーケーシングの総重量の少なくとも約50%に相当する。
【0034】
さらに、上述の関節式取付部は、互いに相補的であり、前記先頭端A及び後尾端Bにそれぞれ画定され、上述の磁性コアの前記強磁性材料から形成され、保持構成が、互いに結合された磁性コア10、11の横方向に位置ずれすることを防止する突起及びくぼみによって形成された少なくとも1つの横保持機構を含む。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、関節式に接続された磁性コアの各々は、矩形の断面、より具体的には矩形の柱状構成を有し、前記保持突起及びくぼみは、磁性コアの両端A及びBそれぞれの対向するより小さな矩形面上に画定される。
【0036】
磁性コア間のそのような結合機構によって、長尺な可撓性インダクタは、15cmを越える、好ましくは30cmを越える長さを有し、最大長さ約60cmを備え(上述のようなKESシステムの適用に十分な長さではあるが、より大きなインダクタ長さが完全に達成可能であり、最小の磁束損失をもって完全に動作する。
【0037】
本発明は、その周囲にワイヤコイルまたは金属導電ケーブル(または導電箔)が延ばされた、先述の仕様に従って構築された可撓性のインダクタによって形成された長尺な可撓性アンテナをさらに提案する。
【0038】
本発明の他の特徴は、以下に続く実施形態の詳細な説明に記載されている。
【0039】
先述及び他の利点及び特徴は、添付の図面を参照して、以下に続く実施形態の詳細な説明に基づいてよりよく理解され、図面は、例示的かつ非限定的に解釈されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1a】本発明による磁性コアの第1の実施形態を示す。
図1b】他のインダクタと連結させて長尺な可撓性インダクタを形成するための、保持くぼみまたは突起と、対応する接触結合面との配置が異なる第2の実施形態を示す。
図1c図1aの実施形態に対応する、コア間の結合の詳細な断面図を示す。
図2a】本発明による磁性コアのための2つの実施形態を示し、図1a及び1bに図示されたものに相当するが、突起及びくぼみの配置は、逆になっている。
図2b】本発明による磁性コアのための2つの実施形態を示し、図1a及び1bに図示されたものに相当するが、突起及びくぼみの配置は、逆になっている。
図2c図2bの2つの磁性コア間の結合の断面図を示す。
図3a】本発明の特徴を有する磁性コアの、2つの他の可能な実施形態を示す。
図3b】本発明の特徴を有する磁性コアの、2つの他の可能な実施形態を示す。
図3c図3bの構成を有するコア間の結合の断面図である。
図4a】本発明の原理による磁性コアの別の実施形態を示す。
図4b】本発明の原理による磁性コアの別の実施形態を示す。
図4c図4bに図示された断面平面を通して切断された素子を図示する。
図5a】本発明による磁性コアのさらに他の実施形態である。
図5b】本発明による磁性コアのさらに他の実施形態である。
図5c図5bに示された断面平面に従った、前記磁性コアの断面を図示する。
図6a】7つの磁性コアの結合によって形成された長尺の磁性インダクタの例を示し、当該組立体は、前記複数の磁性コア間の結合領域または間隙(空隙)における磁束分散を防止するようにともに作用する磁荷を含む可撓性ポリマーケーシングによって囲まれる。長尺な可撓性アンテナは、図6a及び6bの可撓性のインダクタと、その本体の周りに好適に巻き付けられた導電線または導電シートとから得られる。
図6b】7つの磁性コアの結合によって形成された長尺の磁性インダクタの例を示し、当該組立体は、前記複数の磁性コア間の結合領域または間隙(空隙)における磁束分散を防止するようにともに作用する磁荷を含む可撓性ポリマーケーシングによって囲まれる。長尺な可撓性アンテナは、図6a及び6bの可撓性のインダクタと、その本体の周りに好適に巻き付けられた導電線または導電シートとから得られる。
図7】そのようなLFアンテナの可能な実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1a〜5cの異なる実施形態に示されるように、本発明は、強磁性材料から作られ、それらの端で互いに対して関節式に接続されて、長方形の組立体を形成する、技術水準において既知であり、それらにおいて言及されているような複数の硬質な磁性コア10、11によって形成された、長尺な可撓性インダクタに関し、各々磁性コア10、11の各々は、
−先頭の横軸に関連する円形凸曲面構成を備える先頭端Aと、
−後尾の横軸に関連し、先頭の横軸に対して平行である円形凹曲面構成を備える後尾端Bであって、前記円形凹曲面構成が、前記円形凸曲面構成と相補形である、後尾端Bと、を備え、
磁性コア間の間接型接続または結合は、磁性コアの先頭端Aが、接触面20a、20bを通して、隣接する磁性コアの後尾端Bに結合され、結合領域で一致して互いに結合された2つの磁性コア10、11の先頭及び後尾の上述の横軸の周囲に関節式取付部を形成し(特に、断面図を参照)、可変かつ調整可能な角度を有する継手を提供するように行われる。
【0042】
図6a及び6bに明確に図示されるように、本発明は、硬質な磁性コア11、12、13、14、15、16(本実施形態では6つ)のアセンブリが、結合された前記複数の磁性コア10、11間の結合領域または間隙(空隙)における磁束分散を防止するようにともに作用する磁荷を含む可撓性ポリマーケーシング50によって囲まれることを特徴とする。
【0043】
示されたように、上述の可撓性ポリマーケーシングは、好ましい実施形態においては、単独またはそれらの任意の組み合わせでポリマーケーシングのポリマーマトリックス内部に存在する、軟質な強磁性材料のマイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含む。同様に、上述の軟質な強磁性材料のマイクロファイバ、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子は、コアの総重量の少なくとも約50%に相当することができる。そのようなケーシングは、継手領域または磁性コアの接触面20a、20bでの磁束損失がないことを保証する。
【0044】
上述の図面は、好ましい実施形態を図示し、互いに結合されるかまたは関節式に接続された磁性コア10、11、12、13、14、15、16の各々が、矩形の断面を有し、それによってそれらが平型で長尺な可撓性インダクタを形成するようにする。
【0045】
本発明の第2の関連する特徴は、磁性コア10、11の前記関節式取付部が、互いに相補的であり、前記先頭端A及び後尾端Bにそれぞれ画定され、上述の磁性コアの前記強磁性材料から形成され、保持構成が、結合された磁性コア10、11の横方向に位置ずれすることを防止する突起30及びくぼみ40によって形成された、少なくとも1つの横保持構成を含むことにある。
【0046】
説明された磁性コア間の結合の設定及び配置に関する特徴は、15cmを越える、好ましくは30cmを越える長さを備える長尺な可撓性インダクタを得ることを可能にする。
【0047】
長尺な可撓性インダクタをアンテナ(その長尺セクションの周りにコイルを備える)として用いるために、最大長さ約60cmが十分であることが考えられるが、本発明の原理は、前記の最大値に限定され、自動車分野における所望の機能性及び性能に十分であるとして理解されるべきではない。
【0048】
提案された磁性コアは、矩形の柱状構成を有し、前記突起30及びくぼみ40は、磁性コア10、11の端A及びB両方の対向する小さな矩形面上にそれぞれ画定される。異なる実施形態では、前記突起30及びくぼみ40と、異なる磁性コア間の対応する接触面20a及び20bとが構成されていることに違いがある。
【0049】
特に、突起30及びくぼみ40が、保持及び反摺動機能において、それらの端A及びBで結合された硬質な磁性コア10、11のアセンブリに関連する中心位置を採用しているが、それに対して、他の例では、前記突起30及び前記くぼみ40は、それらの端A及びBで結合された硬質な磁性コア10、11のアセンブリに関連する側部位置を採用していることに解決策が示されている。
【0050】
説明された機能性に好適な実施形態では、前記突起30及び前記くぼみ40は、矩形の柱状体の最大幅に対して10%の幅、または矩形の柱状体の最大幅に対して60%の幅の範囲を有することが想定されている。
【0051】
図6a及び6bの実施形態では、インダクタは、互いに結合された7つの磁性コアを含み、総延長は、一端で保持された場合に自由端が長さ30cmに対して最大で2cm曲がることを決定する。
【0052】
示されたように、可撓性のLFアンテナは、説明されたような、長尺な可撓性インダクタの周囲に配置された導電金属線51の(または、代替的には導電箔の)好適なコイルによって得られる。
【0053】
図7は、提案された可撓性のインダクタを用いたLFアンテナの可能な実施形態を図示し、上述の可撓性のインダクタを形成するポリマーケーシング50及びコイル51と、たとえばPBT熱可塑性ポリマーで作られたボックスと、コネクタ及び端子を一体化した前部52と、後部53及び密閉ガスケット54とを見出すことができ、前記ボックス52、53は、好適な可撓性を提供するPBTプラスチックで同様に作られた管55を通して取り付けられる。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7