(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446521
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20181217BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20181217BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20181217BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20181217BHJP
C01B 32/172 20170101ALI20181217BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 624
H01L29/28 100A
H01L29/28 250E
C01B32/172
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-208972(P2017-208972)
(22)【出願日】2017年10月30日
(65)【公開番号】特開2018-74158(P2018-74158A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2017年10月30日
(31)【優先権主張番号】201610932307.4
(32)【優先日】2016年10月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 東▲ち▼
(72)【発明者】
【氏名】魏 洋
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−278505(JP,A)
【文献】
特開2008−192795(JP,A)
【文献】
特開2007−031239(JP,A)
【文献】
特開2010−138064(JP,A)
【文献】
特開2010−020313(JP,A)
【文献】
特開2015−209373(JP,A)
【文献】
特開2011−166070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
C01B 32/172
H01L 21/336
H01L 51/05
H01L 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極を提供し、前記ゲート電極の表面に絶縁層を設置する第一ステップと、
カーボンナノチューブ構造体を提供し、前記絶縁層の表面に前記カーボンナノチューブ構造体を設置する第二ステップと、
走査型電子顕微鏡によって、前記カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを区分する第三ステップと、
前記カーボンナノチューブ構造体における前記金属型カーボンナノチューブを除去し、半導体層を形成する第四ステップと、
ソース電極及びドレイン電極を前記半導体層の表面に間隔をあけて設置し、且つ前記半導体層とそれぞれ電気的に接続させ、薄膜トランジスタを形成する第五ステップと、
を含み、
前記第三ステップは、前記走査型電子顕微鏡の加速電圧が5KV〜20KVであり、滞留時間が6マイクロ秒間〜20マイクロ秒間であり、倍率を1万倍〜10万倍に調整し、前記カーボンナノチューブ構造体を撮り、前記カーボンナノチューブ構造体の写真を得るステップを含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記第三ステップは、更に、
前記写真において、前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが基板の表面に分布し、前記基板の色より薄いカーボンナノチューブが前記金属型カーボンナノチューブであること及び前記基板の色より濃いカーボンナノチューブが前記半導体型カーボンナノチューブであることを判断するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記第四ステップは、
前記写真に座標系を確立し、スケールを表示し、前記金属型カーボンナノチューブの座標を読み取るステップと、
前記写真の割合と同じ割合によって、実物の前記カーボンナノチューブ構造体に座標系を確立し、前記写真における前記金属型カーボンナノチューブの座標によって、実物の前記カーボンナノチューブ構造体における前記金属型カーボンナノチューブの座標を表示して且つ除去するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタの製造方法に関し、特にカーボンナノチューブに基づく薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)は、現代のマイクロエレクトロニクス技術における重要な電子部品であり、フラットパネルディスプレイ及び他の分野で広く使用されている。薄膜トランジスタは、ゲート電極、絶縁層、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を含む。ソース電極及びドレイン電極は間隔をあけて設置され、且つ半導体層に電気的に接続される。ゲート電極は、絶縁層によって半導体層、ソース電極及びドレイン電極とそれぞれ絶縁されている。ソース電極とドレイン電極との間における半導体層はチャネル領域を形成する。薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極及びドレイン電極は導電性材料からなる。導電性材料は金属又は合金である。ゲート電極に電圧を印加すると、半導体層のチャネル領域にキャリアが蓄積され、キャリアがある程度蓄積すると、半導体層と電気的に接続されるソース電極とドレイン電極との間がオンになり、電流がソース電極からドレイン電極に流れる。実際の応用では、薄膜トランジスタはより大きな電流オンオフ比を達成することが望ましい。薄膜トランジスタの製造プロセスは電流オンオフ比に影響を及ぼす。また、薄膜トランジスタの半導体層における半導体材料のキャリア移動度は、スイッチング電流比に影響を及ぼす最も重要な要因の一つである。
【0003】
従来技術の非特許文献1では、薄膜トランジスタの半導体層の材料は、アモルファスシリコン又はポリシリコン、有機半導体ポリマーである。アモルファスシリコンを半導体層とするアモルファスシリコン薄膜トランジスタの製造技術は成熟しているが、アモルファスシリコン薄膜トランジスタはダングリングボンドが多く含まれているため、キャリア移動度は非常に低い。これにより、薄膜トランジスタの応答速度が遅くなる。ポリシリコンを半導体層とする薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンを半導体層とする薄膜トランジスタに対してキャリア移動度が高いため、応答速度も速い。しかし、ポリシリコン薄膜トランジスタの製造コストが高く、その方法が複雑で、大面積化の製造が難しく、ポリシリコン薄膜トランジスタのオフ電流が大きい。従来の無機薄膜トランジスタと比較して、有機半導体を半導体層に用いた有機薄膜トランジスタは、コストが低く、且つ製造温度が低い。また、有機薄膜トランジスタは高い可撓性を有する。
【0004】
カーボンナノチューブは、良好な電気特性、光電特性及び半導体型エネルギーを有する。従来技術では、カーボンナノチューブ層を半導体層として使用することが注目される。カーボンナノチューブを用いて半導体層を製造する際、まずカーボンナノチューブアレイを成長させて、その後、カーボンナノチューブアレイを層状構造体に直接加工して、半導体層として用いる。カーボンナノチューブは、金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブの2種類に分類することができる。カーボンナノチューブアレイを成長させる際、成長したカーボンナノチューブの種類を制御できない。これにより、従来の方法によって製造する半導体層は、半導体型カーボンナノチューブの他に金属型カーボンナノチューブを有する可能性がある。半導体層は金属型カーボンナノチューブを有する際、半導体層の性能に悪い影響を与える。
【0005】
従来技術は走査型電子顕微鏡を採用して、カーボンナノチューブの種類を区別する。
図4を参照すると、従来技術は走査型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブを特徴付ける際、明瞭且つ高コントラストの写真を得るために、より低い(1KV程度)加速電圧が使用される。得られた写真において、カーボンナノチューブの導電性能は、写真の色と関係して、色が薄いほど、導電性能が良好である。しかし、カーボンナノチューブの色は基板(ベース)の色より薄い。写真におけるカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを同時に含む際、グレーカーボンナノチューブのような中間色のカーボンナノチューブの種類を決定する際、誤りがしばしば生じる。したがって、走査型電子顕微鏡によるカーボンナノチューブを区別する従来の方法では、カーボンナノチューブを区別する精度が高くなく、カーボンナノチューブの種類に対して判断ミス又は判断が困難なことが多い。写真において、金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブの両者の色は基板の色よりも薄いため、写真で1種類のカーボンナノチューブのみを有する場合、写真におけるカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであるか半導体型カーボンナノチューブであるかを判断しにくい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.E.I.Schropp,B.Stannowski,J.K.Rath,New challenges in thin film transistor research,Journal of Non−Crystalline Solids,299−302,1304−1310(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記課題を解決するための薄膜トランジスタの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、ゲート電極を提供し、ゲート電極の表面に絶縁層を設置する第一ステップと、カーボンナノチューブ構造体を提供し、絶縁層の表面にカーボンナノチューブ構造体を設置する第二ステップと、走査型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを区分する第三ステップと、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブを除去し、半導体層を形成する第四ステップと、ソース電極及びドレイン電極を半導体層の表面に間隔をあけて設置し、且つ半導体層とそれぞれ電気的に接続させ、薄膜トランジスタを形成する第五ステップと、を含む。
【0009】
本発明の薄膜トランジスタの製造方法の第三ステップは、走査型電子顕微鏡の加速電圧が5KV〜20KVであり、滞留時間が6マイクロ秒間〜20マイクロ秒間であり、倍率を1万倍〜10万倍に調整し、カーボンナノチューブ構造体を撮り、カーボンナノチューブ構造体の写真を得るステップと、写真において、前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは基板の表面に分布し、基板の色より薄いカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであること及び前記基板の色より濃いカーボンナノチューブは半導体型カーボンナノチューブであることを判断するステップと、を含む。
【0010】
本発明の薄膜トランジスタの製造方法の第四ステップは、写真に座標系を確立し、スケールを表示し、金属型カーボンナノチューブの座標を読み取るステップと、写真の割合と同じ割合によって、実物のカーボンナノチューブ構造体に座標系を確立し、写真における金属型カーボンナノチューブの座標によって、実物のカーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブの座標を表示して且つ除去するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
従来技術に比べて、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は以下の優れる点を有する。本発明の薄膜トランジスタの製造方法によって、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを迅速且つ正確に区別でき、金属型カーボンナノチューブを除去できる。これにより、半導体層は半導体型カーボンナノチューブのみを含み、半導体層の性能を高めることができ、薄膜トランジスタの性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1における薄膜トランジスタの製造工程のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例1における薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例1における薄膜トランジスタの製造方法によって得られるカーボンナノチューブ構造体の写真である。
【
図4】従来技術で、走査型電子顕微鏡を採用して得られるカーボンナノチューブ構造体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1は、薄膜トランジスタ100の製造方法を提供する。
図1及び
図2を参照すると、薄膜トランジスタ100の製造方法は以下のステップを含む。
S1、ゲート電極102を提供し、ゲート電極102の表面に絶縁層104を設置する。
S2、カーボンナノチューブ構造体を提供し、絶縁層104の表面にカーボンナノチューブ構造体を設置する。
S3、走査型電子顕微鏡によって、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを区分する。
S4、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブを除去し、半導体層106を形成する。
S5、ソース電極108及びドレイン電極110を半導体層106の表面に間隔をあけて設置し、且つ半導体層106とそれぞれ電気的に接続させ、薄膜トランジスタ100を形成する。
【0014】
ステップS1において、ゲート電極102は優れた導電性を有する。具体的には、ゲート電極102の材料は金属、合金、ITO、ATO、導電性銀ペースト、導電性ポリマー、カーボンナノチューブフィルム、ドープされた導電性材料の中のいずれか一種である。金属は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン又は金である。合金はアルミニウム、銅、タングステン、モリブデン又は金の合金である。ゲート電極102の厚さは0.5nm〜100μmである。本実施例において、ゲート電極102はドープされたシリコンからなる。絶縁層104は絶縁材料からなる。絶縁層104の材料は酸化物又は高分子材料であってもよい。本実施例において、絶縁層104の材料は酸化ケイ素であり、絶縁層104の厚さは50nm〜300nmである。絶縁層104は塗布法によりゲート電極102の表面に形成してもよい。
【0015】
ステップS2において、カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは絶縁層104の表面に平行であってもよい。カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含む際、複数のカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブ又は/及び半導体型カーボンナノチューブを含んでもよい。カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。カーボンナノチューブが配向して配置されている場合、複数のカーボンナノチューブは、互いに平行であり、同じ方向に沿って延伸する。一つの例では、カーボンナノチューブは同じ方向に沿って端と端で接続される。本実施例において、カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブは互いに平行であり、且つ絶縁層104の表面に平行である。カーボンナノチューブ構造体は複数の金属型カーボンナノチューブ及び複数の半導体型カーボンナノチューブを含む。
【0016】
ステップS3は以下のステップを含む。
S31、走査型電子顕微鏡の加速電圧は5KV〜20KVであり、滞留時間は6マイクロ秒間〜20マイクロ秒間であり、倍率を1万倍〜10万倍に調整し、カーボンナノチューブ構造体を撮り、カーボンナノチューブ構造体の写真を得る。
S32、得られた写真において、カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは基板の表面に分布し、基板の色より薄いカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであり、基板の色より濃いカーボンナノチューブは半導体型カーボンナノチューブである。
【0017】
ステップS31において、カーボンナノチューブ構造体、ゲート電極102及び絶縁層104からなる複合構造体は走査型電子顕微鏡によって観察できる位置に設置してもよい。好ましくは、走査型電子顕微鏡の加速電圧は15KV〜20KVであり、滞留時間は10マイクロ秒間〜20マイクロ秒間である。本実施例において、走査型電子顕微鏡の加速電圧は10KVであり、滞留時間は20マイクロ秒間であり、倍率は2万倍である。
ステップS32において、得られた写真は
図3である。
図3は基板及び基板におけるカーボンナノチューブの画像を含む。
図3から分かるように、一部のカーボンナノチューブの色は基板の色より薄く、一部のカーボンナノチューブの色は導電基板の色より濃い。基板の色より薄いカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであり、基板の色より濃いカーボンナノチューブは半導体型カーボンナノチューブである。
【0018】
図4は従来技術において走査型電子顕微鏡を用いて得られたカーボンナノチューブ構造体の写真である。
図3は本発明の薄膜トランジスタ100によって得られたカーボンナノチューブ構造体の写真である。
図4を
図3と対比することにより、以下の四つの区別が得られる。
【0019】
第一に、従来技術によって得られたカーボンナノチューブ構造体の写真において、カーボンナノチューブの導電性能は写真の色と関係して、色が薄いほど、導電性能が良好である。しかし、カーボンナノチューブの色は導電基板の色より薄い。写真におけるカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを同時に含む際、グレーカーボンナノチューブのような中間色のカーボンナノチューブの種類を判断する際、誤りがしばしば生じる。したがって、走査型電子顕微鏡によるカーボンナノチューブを区別する従来技術は、カーボンナノチューブを区別する精度が高くなく、カーボンナノチューブの種類に対して判断ミス又は判断が困難なことが多い。本発明の実施例で得られたカーボンナノチューブ構造体の写真において、金属型カーボンナノチューブは基板よりも色が薄く、半導体型カーボンナノチューブは基板の色より濃いので、カーボンナノチューブが金属型カーボンナノチューブであるか半導体カーボンナノチューブであるかが、一目で分かる。
【0020】
第二に、従来技術によって得られたカーボンナノチューブ構造体の写真において、金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブ両者の色は導電基板の色よりも薄いため、写真において1種類のカーボンナノチューブのみを有する場合、写真におけるカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであるか半導体型カーボンナノチューブであるかを判断しにくい。本発明の実施例で得られたカーボンナノチューブ構造体の写真において、金属型カーボンナノチューブは基板よりも色が薄く、半導体型カーボンナノチューブは基板の色より濃いので、写真で1種類のカーボンナノチューブのみを有する場合、写真におけるカーボンナノチューブは金属型カーボンナノチューブであるか半導体型カーボンナノチューブであるか速やかに判断できる。
【0021】
第三に、
図3と比較すると、
図4のコントラストが高いので、カーボンナノチューブを視認し易く、写真がより美しい。本発明の実施例で得られた
図3は、解像度が低く、写真が美しくない。したがって、従来技術では、低加速電圧によってカーボンナノチューブを特徴付け且つ区別する。しかし、カーボンナノチューブを区別する従来技術で得られる写真によって、カーボンナノチューブの種類を正確に区別することは困難である。本発明の薄膜トランジスタ100の製造方法では、迅速かつ正確にカーボンナノチューブの種類を判断でき、技術的偏見を克服することができる。
【0022】
第四に、
図4に比べて、
図3におけるカーボンナノチューブ画像の幅は比較的狭いので、密度の高い複数のカーボンナノチューブを区別する際、本発明が提供する薄膜トランジスタ100の製造方法におけるカーボンナノチューブの種類を区別する方法はより適している。
【0023】
ステップS4において、写真の割合と同じ割合によって、実物のカーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブの位置を表示して、金属型カーボンナノチューブを除去する。ステップS4は以下のステップを含む。
S41、写真に座標系を確立し、スケールを表示し、金属型カーボンナノチューブの座標を読み取る。
S42、写真の割合と同じ割合によって、実物のカーボンナノチューブ構造体に座標系を確立し、写真における金属型カーボンナノチューブの座標によって、実物の前記カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブを表示し且つ除去する。
【0024】
本実施例において、電子線露光方法により、半導体型カーボンナノチューブを保護し、金属型カーボンナノチューブを露出させ、プラズマエッチングにより金属型カーボンナノチューブを除去する。
【0025】
ステップS5において、ソース電極108及びドレイン電極110は優れた導電性を有する。具体的には、ソース電極108及びドレイン電極110の材料は金属、合金、ITO、ATO、導電性銀ペースト、導電性ポリマー、金属型カーボンナノチューブフィルムの中のいずれか一種である。ソース電極108及びドレイン電極110の材料によって、異なる製造方法によってソース電極108及びドレイン電極110を形成することができる。具体的には、ソース電極108及びドレイン電極110の材料は金属、合金、ITO又はATOである際、蒸着法、スパッタリング法、マスキング法、エッチング法によって、ソース電極108及びドレイン電極110を形成できる。ソース電極108及びドレイン電極110の材料は導電性銀ペースト、導電性ポリマー又はカーボンナノチューブフィルムである際、印刷方法によって、半導体層106の表面に導電性銀ペースト又はカーボンナノチューブフィルムを塗布して、ソース電極108及びドレイン電極110を形成でき、又は半導体層106の表面に導電性銀ペースト又はカーボンナノチューブフィルムを直接貼付して、ソース電極108及びドレイン電極110を形成できる。ソース電極108及びドレイン電極110の厚さはそれぞれ0.5nm〜100μmである。ソース電極108とドレイン電極110と距離は1μm〜100μmである。
【0026】
さらに、ステップS5は半導体層106の表面に絶縁保護層112を形成するステップを含むことができる。絶縁保護層112の材料は硬質材料又は可撓性材料であってもよい。硬質材料は、窒化シリコン又は酸化シリコンであってもよい。可撓性材料はベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル又はアクリル樹脂であってもよい。絶縁保護層112の材料によって、異なる製造方法によって絶縁保護層112を形成することができる。具体的には、絶縁保護層112の材料は窒化シリコン又は酸化シリコンである際、堆積法により絶縁保護層112を形成できる。絶縁保護層112の材料はベンゾシクロブテン(BCB)、ポリエステル又はアクリル樹脂である際、印刷塗布方法により絶縁保護層112を形成できる。絶縁保護層112の厚さは0.5nm〜100μmである。本実施例において、半導体層106上に形成されたソース電極108及びドレイン電極110の表面上に、プラズマ化学気相成長法等の堆積法により絶縁保護層112を形成し、且つ絶縁保護層112は半導体層106、ソース電極108とドレイン電極110の表面を被覆する。絶縁保護層112は窒化シリコンからなる。絶縁保護層112の厚さは1μmである。
【0027】
本発明の薄膜トランジスタ100の製造方法によって、カーボンナノチューブ構造体における金属型カーボンナノチューブ及び半導体型カーボンナノチューブを迅速且つ正確に区別でき、金属型カーボンナノチューブを除去できる。これにより、半導体層は半導体型カーボンナノチューブのみを含み、半導体層の性能を高めることができ、薄膜トランジスタ100の性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0028】
100 薄膜トランジスタ
102 ゲート電極
104 絶縁層
106 半導体層
108 ソース電極
110 ドレイン電極
112 絶縁保護層