特許第6446533号(P6446533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6446533モルタル用接着補助器具及び当該接着補助器具を備えるモルタル用接着補助システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6446533
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】モルタル用接着補助器具及び当該接着補助器具を備えるモルタル用接着補助システム
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/04 20060101AFI20181217BHJP
【FI】
   E04F13/04 102
【請求項の数】7
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2017-505576(P2017-505576)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】JP2016067954
(87)【国際公開番号】WO2017085955
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2017年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-224759(P2015-224759)
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597013940
【氏名又は名称】株式会社祥起
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(72)【発明者】
【氏名】諫山 修一
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−240284(JP,A)
【文献】 特開2000−145157(JP,A)
【文献】 特開平04−203163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00−13/30
E04G 9/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂により一体的に形成してなるモルタル用接着補助器具において、
基板と、当該基板にその両面の一方の面から湾曲状に突出するように分散して形成される複数の面側係合片とを備えており、
前記基板は、その中央部に中央孔部を形成するとともに当該中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部を分散して形成してなり、
前記複数の面側係合片は、前記複数の長手状開口部に対応するように複数の係合片群に分割して前記基板の前記一方の面に形成されており、
前記複数の係合片群は、それぞれ、その各面側係合片にて、前記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように当該各対応長手状開口部の長手方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とするモルタル用接着補助器具。
【請求項2】
前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の外周側係合片を具備することを特徴とする請求項1に記載のモルタル用接着補助器具。
【請求項3】
前記複数の外周側係合片は、それぞれ、前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部とにより、形成されていることを特徴とする請求項2に記載のモルタル用接着補助器具。
【請求項4】
前記基板に前記一方の面から前記複数の係合片群の内側にて前記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフックを具備してなり、
当該複数のフックは、それぞれ、前記基板の前記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部と、当該立ち上がり部から前記基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部とでもって、構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のモルタル用接着補助器具。
【請求項5】
記基板の前記中央孔部上に前記一方の面側から載置される環状板と、当該環状板のうちその内周縁部の外周から当該外周に沿い間隔をおいて前記環状板の表面側へ延出する複数の内側糸状片とを有するように、合成樹脂でもって一体的に形成してなる環状部材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のモルタル用接着補助器具。
【請求項6】
前記環状部材は、前記環状板の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて前記環状板の表面側へ延出する複数の外側糸状片をも一体的に有するように合成樹脂でもって形成されていることを特徴とする請求項5に記載のモルタル用接着補助器具。
【請求項7】
前記環状部材は、前記環状板の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出するように合成樹脂により一体的に形成してなる環状ボスを備えることを特徴とする請求項5または6に記載のモルタル用接着補助器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造体に対するモルタルの接着を補助するに適したモルタル用接着補助器具及び当該接着補助器具を備えるモルタル用接着補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造体を建造するにあたっては、互いに対向する2枚の型枠を複数本のスペーサボルトでもって所定間隔に維持する。このような状態において、生コンクリートを当該2枚の型枠の間に打ち込んだ後硬化させ、その後、当該2枚の型枠を除去することで、コンクリート構造体を建造する。
【0003】
また、このように建造したコンクリート建造体は、型枠を除去しただけの状態にあるため、コンクリート構造体の表面の見栄えは良くない。このため、この見栄えを改善するために、通常、モルタル壁が、コンクリート建造体の表面にモルタルの塗布及びその硬化でもって形成される。
【0004】
ここで、上述のように形成されるモルタル壁は経年変化する。これに伴い、当該モルタル壁のコンクリート建造体の表面に対する接着状態が、経年的に劣化すると、当該モルタル壁が、コンクリート建造体の表面から剥がれ落ち易くなる。
【0005】
これに対しては、下記特許文献1に記載のモルタル接着補助器具が提案されている。当該モルタル接着補助器具は、円錐台状の埋栓部と、当該埋栓部上に形成してなる複数のループ状係止部とでもって、一体的に形成されている。
【0006】
このように形成してなるモルタル接着補助器具を用いて、駆体コンクリートにモルタルを塗布するにあたっては、接着剤が埋栓部の外周面や底面に塗布される。然る後、当該埋栓部が、躯体コンクリートの表面に後述のように形成されるコーン跡内に埋設される。このとき、当該埋設は、係止部を躯体コンクリートの表面から露出させるように行われる。
【0007】
ここで、上述したコーン跡は次のようにして駆体コンクリートに形成される。即ち、2枚の型枠内にコーン跡に対応する外形形状を有するコネクターを設け、然る後、生コンクリートを2枚の型枠内にコネクターを介して打ち込んで硬化させることで、駆体コンクリートを形成する。ついで、型枠を駆体コンクリートからコネクターと共に除去すると、駆体コンクリートが、コネクターに対応する形状のコーン跡を有するように形成される。
【0008】
上述のようにモルタル接着補助器具が躯体コンクリートのコーン跡に埋設された後、生モルタルが、モルタル接着補助器具及び駆体コンクリートの双方の表面に亘るように塗布される。
【0009】
このように生モルタルが塗布された段階では、当該生モルタルが未硬化の状態にあるため、当該生モルタルは、モルタル接着補助器具の係止部内に浸入する。従って、このような状態で生モルタルが硬化すると、モルタル接着補助器具は、硬化したモルタルに対して高いアンカー効果を発揮し得る。このことは、モルタルの駆体コンクリートからの剥がれ落ちを未然に防止し得ることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−45480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のように構成してなるモルタル接着補助器具を、モルタルの駆体コンクリートに対する塗布にあたり利用するためには、上述のように型枠に用いられたコネクターを型枠の駆体コンクリートから取り外すという余分な作業が必要となる。
【0012】
また、上述のようにコネクターを除去した上で、モルタル接着補助器具を改めてコーン跡に取り付ける作業が必要となり、面倒である。
【0013】
また、上述のように取り外したコネクターは、数回使用された後には、廃棄される。従って、当該コネクターは廃棄物としての環境汚染を招くという不具合を生ずる。
【0014】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、モルタルのコンクリート構造体からの剥がれ落ちを、余分な作業や廃材部品の発生を伴うことなく、未然に防止し得るようにしたモルタル用接着補助器具及び当該接着補助器具を備えるモルタル用接着補助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題の解決にあたり、本発明に係るモルタル用接着補助器具は、合成樹脂により一体的に形成してなるものである。
【0016】
当該モルタル用接着補助器具において、
基板(210、310)と、当該基板にその両面の一方の面から湾曲状に突出するように分散して形成される複数の面側係合片(230、340)とを備えており、
基板は、その中央部に中央孔部(211、211a、311、311a)を形成するとともに当該中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部(213a〜213j、313a〜313k、313n)を分散して形成してなり、
複数の面側係合片は、上記複数の長手状開口部に対応するように複数の係合片群(230a、230b、340a、340b)に分割して基板の上記一方の面に形成されており、
複数の係合片群は、それぞれ、その各面側係合片にて、上記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように当該各対応長手状開口部の長手方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とする。
【0017】
このように、当該モルタル用接着補助器具は、基板と、当該基板にその一方の面から湾曲状に突出するように分散して形成される複数の面側係合片とを備えている。
【0018】
従って、基板が、複数の面側係合片をコンクリート体の表面から離れる方向に湾曲状に突出させるように、当該コンクリート体の表面に装着された状態にて、生モルタルが当該モルタル用接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されると、当該モルタル用接着補助器具が、生モルタルに埋設されることになる。
【0019】
このため、生モルタルが、基板の上記一方の面及び外周部に亘り一様に密着する。ここで、上述のように複数の面側係合片の形状を湾曲状にすることで、モルタルが、上述のごとく、モルタル用接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されたとき、当該生モルタルは、複数の湾曲状面側係合片と基板との間にも入り込む。従って、生モルタルは、基板の上記一方の面及び外周部や複数の湾曲状面側係合片に対しより一層良好に密着してしっかりと係合し得る。
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁として形成されても、当該モルタル壁は、コンクリート体の表面に対し、当該モルタル用接着補助器具により、その基板及び複数の面側係合片でもってしっかりと保持され得る
よって、当該モルタル用接着補助器具が、その複数の湾曲状面側係合片及び当該複数の湾曲状面側係合片と基板との間にて、モルタル壁としっかりと係合して当該モルタル壁をコンクリート体の表面から長期に亘り離脱不能に維持することができる。
このことは、当該モルタル壁は、経年的にも、コンクリート体の表面から剥がれにくくなることから、当該モルタル用接着補助器具は、コンクリート体とモルタル壁との間に埋設されたとき、複数の面側係合片にてモルタル壁の内部にしっかりと係合することにより、当該モルタル壁のコンクリート体に対する接着力を高めるという優れたアンカー効果を良好に発揮し得ることを意味する。
【0020】
また、当該モルタル用接着補助器具は、基板と複数の面側係合片のみからなるため、余分な作業や廃材部品の発生を伴うことのない非常に簡単でコンパクトな構成にて提供され得る。
【0021】
また、基板は、文字通り、板であるため、コンクリート体の表面に塗布した生モルタルは、その表面にて、モルタル用接着補助器具に起因して凹凸形状に変化することなく、ほぼ一様な厚さを維持し得る。従って、基板が薄い程、塗布した生モルタルの厚さは、薄くし得るから、生モルタルの塗布量の軽減に役立つ。
【0024】
また、上述したごとく、基板は、その中央部に中央孔部を形成するとともに当該中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部を分散して形成してなり、
複数の面側係合片は、上記複数の長手状開口部に対応するように複数の係合片群に分割して基板の上記一方の面に形成されており、
複数の係合片群は、それぞれ、その各面側係合片にて、上記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように当該各対応長手状開口部の長手方向に間隔をおいて形成されている。
【0026】
従って、生モルタルが、上述のように、当該モルタル用接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されたとき、当該生モルタルは、複数の湾曲状面側係合片と基板との間だけでなく複数の長手状開口部内にも浸入することとなる。
【0027】
これにより、生モルタルが硬化してモルタル壁となったとき、当該モルタル用接着補助器具は、その複数の湾曲状面側係合片及び当該複数の湾曲状面側係合片と基板との間だけでなく、基板の複数の長手状開口部の内部にて、モルタル壁と係合することとなり、当該モルタル壁をコンクリート体の表面から長期に亘りより一層離脱不能に維持し得る。その結果、上述したモルタル壁のコンクリート体に対する接着力を高めるという優れたアンカー効果がより一層向上され得る。
【0028】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において、
基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の外周側係合片(250、320)を具備することを特徴とする。
【0029】
このように、複数の外周側係合片が基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出することで、生モルタルが上述のごとく当該モルタル用接着補助器具を介しコンクリート体の表面に塗布されたとき、当該モルタル用接着補助器具は、複数の外周側係合片によっても、生モルタルと係合する。
【0030】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁となったとき、当該モルタル用接着補助器具は、複数の外周側係合片によっても、モルタル壁にその内部にてしっかりと係合する。
【0031】
その結果、当該モルタル用接着補助器具は、基板から突出する複数の係合片でもって、モルタル壁をコンクリート体の表面に支持し得る。その結果、上述した本発明の作用効果がより一層良好に達成され得る。
【0032】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において、
複数の外周側係合片は、それぞれ、基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部(321、323)と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部(322)とにより形成されていることを特徴とする。
【0033】
このように複数の外周側係合片を構成することで、当該複数の外周側係合片は、それぞれ、基部及び折れ曲がり部でもって、モルタル壁とより一層良好に係合し得る。その結果、当該モルタル用接着補助器具がコンクリート体に対するモルタル壁の接着力(アンカー効果)をより一層強化し得る。
【0034】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において、
基板に上記一方の面から複数の係合片群の内側にて上記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフック(220a〜220d、330a〜330d)を具備してなり、
当該複数のフックは、それぞれ、基板の上記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部(221、331)と、当該立ち上がり部から基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部(222、332)とでもって、構成されていることを特徴とする。
【0035】
このように、複数のフックを基板に形成することで、当該複数のフックが、各立ち上がり部により環状板を包囲した状態にて、弾力に抗して、各折れ曲がり部でもって、環状板を基板との間に挟持し、かつ、基板がその中央孔部にて環状板を介しネジによりコンクリート体に締着されれば、当該モルタル用接着補助器具は、環状板及びネジでもって、コンクリート体に強固に組み付けられ得る。
【0036】
従って、環状板が基板の中央孔部の強度を補助して高める役割を果たし、その結果、モルタル壁のコンクリート体に対する当該モルタル用接着補助器具によるアンカー効果がより一層向上され得る。
【0037】
ここで、上述した構成の複数のフックに加え、基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の外周側係合片を具備することで、当該モルタル用接着補助器具によるアンカー効果がさらに向上され得る。
【0064】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において
板に上記一方の面から複数の係合片群の内側にて上記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフック(220a〜220d、330a〜330d)を具備してなり、
当該複数のフックは、それぞれ、基板の上記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部(221、331)と、当該立ち上がり部から基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部(222、332)とでもって、構成されていることを特徴とする。
【0065】
これにより、複数のフックが、それぞれ、各立ち上がり部により、環状板を包囲した状態にて各折れ曲がり部により基板の一方の面との間に挟持されれば、ネジを環状板及び基板の中央孔部を通してコンクリート体に締着することで、モルタル用接着補助器具がコンクリート体にしっかりと組み付けられ得る。その結果、上述した本発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0066】
本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において
基板の上記中央孔部上に上記一方の面側から載置される環状板(260a)と、当該環状板のうちその内周縁部の外周から当該外周に沿い間隔をおいて環状板の表面側へ延出する複数の内側糸状片(260c)とを有するように、合成樹脂でもって一体的に形成してなる環状部材(WS1)を備ていることを特徴とする。
【0067】
このような構成によれば、環状部材が、上述のように構成した環状板及び複数の内側糸状片の一体的構成にて合成樹脂により形成されている。
【0068】
しかして、モルタル用接着補助器具が、基板の中央孔部にて、ネジにより、環状部材の環状板を介してコンクリート体の表面に締着されておれば、モルタル用接着補助器具は、コンクリート体の表面に良好に組み付けられ得る。その結果、環状板及び複数の内側糸状片の一体的構成からなる樹脂製環状部材を用いることで、上述した本発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0073】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において
状部材は、環状板の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて環状板の表面側へ延出する複数の外側糸状片(260d)をも一体的に有するように、合成樹脂でもって形成されていることを特徴とする。
【0074】
このような構成によれば、環状部材が、上述のように構成した環状板、複数の内側糸状片及び複数の外側糸状片の一体的構成にて合成樹脂により形成されていることになる。これによっても、上述した本発明の作用効果を達成し得る。
【0075】
また、本発明は、上述したモルタル用接着補助器具において
状部材は、環状板の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出するように合成樹脂により一体的に形成してなる環状ボス(260b)を備えることを特徴とする。
【0076】
これによれば、環状部材が環状ボスをも一体的に備えることで、当該環状ボスが、基板の中央孔部に嵌装されれば、環状板の基板に対する支持が確実になされ得る
従って、環状部材が、環状ボスを基板の中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、環状板にて、基板の中央孔部にその表面側から載置され、ネジがその首下部にて環状部材の環状ボスを通してコンクリート体の表面に締着されることで、モルタル用接着補助器具がコンクリート体にしっかりと組み付けられて、上述した本発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0084】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第1実施形態がコンクリート壁に適用される例を示す模式的正面図である。
図2図1の第1接着補助器具がコンクリート壁とモルタル壁との間に埋設される状態を示す部分破断断面図である。
図3図1の第2接着補助器具がコンクリート壁とモルタル壁との間に埋設される状態を示す部分破断断面図である。
図4】上記第1実施形態において埋設前の第1接着補助器具を示す側面図である。
図5図4の第1接着補助器具を示す平面図である。
図6図4の第1接着補助器具を示す縦断面図である。
図7図4の第1接着補助器具を裏面から見た半断面裏面図である。
図8】本第1実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た斜視図である。
図9】本第1実施形態の第2接着補助器具をその裏面側から見た斜視図である。
図10図8の第2接着補助器具をその表面側から見た平面図である。
図11図8の第2接着補助器具を裏面側から見た背面図である。
図12図10にて12−12線に沿う断面図である。
図13図10にて13−13線に沿う断面図である。
図14】上記第1実施形態においてモルタル壁を形成する工程を示す工程図である。
図15図14の型枠締め付けボルト締着工程において型枠締め付けボルトを締着するとともにコンクリートを打ち組む過程を説明するための縦断面図である。
図16図14の型枠取り外し工程において図15にて打ち込んだコンクリートの硬化後型枠締め付けボルト及び型枠を取り外した状態を示す第1接着補助器具及びコンクリート壁の縦断面図である。
図17図14の第2接着補助器具組み付け工程において第2接着補助器具をコンクリート壁に組み付ける過程を説明するための縦断面図である。
図18図17の座金を示す縦断面図である。
図19】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第2実施形態における第1接着補助器具をその表面側から見た平面図である。
図20図19の第1接着補助器具の縦断面図である。
図21図20の部分拡大縦断面図である。
図22】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第3実施形態の要部を示す部分縦断面図である。
図23】上記第3実施形態の変形例を示す部分縦断面図である。
図24】上記第3実施形態の他の変形例を示す部分縦断面図である。
図25】上記第3実施形態のその他の変形例を示す部分縦断面図である。
図26】上記第3実施形態のさらなる変形例を示す部分縦断面図である。
図27】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第4実施形態の要部を示す平面図である。
図28】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第5実施形態の要部を示す縦断面図である。
図29】上記第5実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た斜視図である。
図30】上記第5実施形態の第2接着補助器具をその裏面側から見た斜視図である。
図31】上記第5実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た平面図である。
図32】上記第5実施形態の第2接着補助器具をその裏面側から見た背面図である。
図33図31にて33−33線に沿う断面図である。
図34図31にて34−34線に沿う断面図である。
図35】上記第5実施形態において図14の第2接着補助器具組み付け工程における第2接着補助器具をコンクリート壁に組み付ける過程を説明するための縦断面図である。
図36】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第6実施形態の要部を示す縦断面図である。
図37】上記第6実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た斜視図である。
図38】上記第6実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た平面図である。
図39】上記第6実施形態の第2接着補助器具をその裏面側から見た背面図である。
図40図38にて40−40線に沿う断面図である。
図41図38にて41−41線に沿う断面図である。
図42図36の環状部材を示す拡大斜視図である。
図43図36の環状部材を示す拡大平面図である。
図44図36の環状部材を示す拡大背面図である。
図45図43にて45−45線に沿う断面図である。
図46】上記第6実施形態において図14の第2接着補助器具組み付け工程における第2接着補助器具をコンクリート壁に組み付ける過程を説明するための縦断面図である。
図47】本発明に係るモルタル用接着補助システムの第7実施形態の要部を示す縦断面図である。
図48】上記第7実施形態の第2接着補助器具をその表面側から見た平面図である。
図49図48にて49−49線に沿う断面図である。
図50図48にて50−50線に沿う断面図である。
図51】上記第7実施形態において図14の第2接着補助器具組み付け工程における第2接着補助器具をコンクリート壁に組み付ける過程を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るモルタル用接着補助システムの第1実施形態が、コンクリート構造体10に適用される例を示す。コンクリート構造体10は、例えば、鉄筋コンクリート建造物において、複数のコンクリート壁でもって構成されている。
【0087】
当該モルタル用接着補助システム(以下、接着補助システムMSともいう)は、コンクリート構造体10の複数のコンクリート壁の各表面に形成してなる各モルタル壁の対応コンクリート壁に対する接着補助の役割を果たすものである。
【0088】
以下、本第1実施形態では、当該接着補助システムMSが、上述の複数のコンクリート壁のうちの図1にて示すコンクリート壁10aの表面11に形成してなるモルタル壁Mに適用される例について説明する。
【0089】
本第1実施形態においては、モルタル壁Mは、生モルタルをコンクリート壁10aの表面11に接着補助システムMSを介し所定の厚さでもって塗布した後硬化させることにより形成されている。なお、コンクリート壁10aは、例えば、コンクリート構造体10の縦壁の一例をいう。
【0090】
当該接着補助システムMSは、複数のモルタル用接着補助器具100(図1では4個の接着補助器具100のみを示す)及び複数のモルタル用接着補助器具200(図1では、単一のモルタル用接着補助器具200のみを示す。)を備えている。本第1実施形態において、以下、モルタル用接着補助器具100及びモルタル用接着補助器具200は、それぞれ、第1接着補助器具100及び第2接着補助器具200ともいう。
【0091】
複数の第1接着補助器具100は、それぞれ、図2にて例示するごとく、コンクリート壁10aの複数の収容穴部12(後述する)内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。なお、複数の収容穴部12は、それぞれ、図2にて例示するごとく、コンクリート壁10aにその表面11側から第1接着補助器具100を収容するように凹状に形成されている。
【0092】
複数の第2接着補助器具200は、それぞれ、図3にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0093】
本第1実施形態において、図2は、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設した後の第1接着補助器具100(以下、埋設後接着補助器具100ともいう)を示す。また、図4及び図6は、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設する前の第1接着補助器具100(以下、埋設前接着補助器具100ともいう)を示す。
【0094】
なお、埋設後接着補助器具100は、環状支持壁140がコネクター110の環状フランジ115(後述する)に向けて押圧により押し込まれた状態にある点で、埋設前接着補助器具100とは相違するものの、その他の構成においては、埋設前接着補助器具100と同様である。一方、接着補助器具200は、埋設前後において同様の構成を有する。
【0095】
複数の第1接着補助器具100は、それぞれ、埋設後接着補助器具100としては、4個の第1接着補助器具100ごとに、コンクリート壁10aの表面11にて、図1にて例示するごとく、矩形状輪郭RL(後述する)の各隅角部に位置するように配設されている。このことは、複数の第1接着補助器具100が、4個の第1接着補助器具100ごとに、コンクリート壁10a(図1参照)の表面11において、矩形状に配設されていることを意味する。
【0096】
本第1実施形態では、図1にて例示するように配列してなる4個の第1接着補助器具100を例に挙げると、当該4個の第1接着補助器具100の各中心を矩形状に結ぶことで、矩形状輪郭RLが構成される。換言すれば、矩形状輪郭RLが、コンクリート壁10aの表面11にて、矩形状に配列してなる4個の第1接着補助器具100ごとに構成される。
【0097】
一方、複数の第2接着補助器具200は、コンクリート壁10aの表面11にて、複数の第1接着補助器具100に対し次のような位置に配設されている。
【0098】
即ち、複数の第2接着補助器具200は、その第2接着補助器具200ごとに、図1にて例示するごとく、各対応の矩形状輪郭RLの中心(矩形状輪郭RLの対角線上の中心)において、コンクリート壁10aの表面11に配設されている。
【0099】
このことは、複数の第2接着補助器具200のうち、一隅角部を共有する4個の矩形状輪郭RL(以下、第1矩形状輪郭RLともいう)の各々の中心に位置する4個の第2接着補助器具200毎に、コンクリート壁10aの表面11にて矩形状に配設されて、矩形状輪郭(以下、第2矩形状輪郭ともいう)を構成することを意味する。なお、当該第2矩形状輪郭は、第1矩形状輪郭RLと合同の形状を有する。
【0100】
本第1実施形態では、4個の第1接着補助器具100でもって構成される各第1矩形状輪郭RLの各辺の長さは、D=60(cm)と設定されている(図1参照)。このことは、第1矩形状輪郭RL及び第2矩形状輪郭は、共に、正方形状であることを意味する。
【0101】
これにより、複数の第1接着補助器具100は、第1矩形状輪郭RLを構成する4個の第1接着補助器具100毎に、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する第1接着補助器具100による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。また、複数の第2接着補助器具200は、上記第2矩形状輪郭を構成する4個の第2接着補助器具200ごとに、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する第2接着補助器具200による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。
【0102】
さらに、第1矩形状輪郭RLの4つの隅角部に位置する4個の第1接着補助器具100と、第1矩形状輪郭RLの中心に位置する第2接着補助器具200とでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力を、第1接着補助器具100による接着補助力のみの場合に比べて、さらに強化する役割を果たす。
【0103】
次に、当該複数の第1接着補助器具100の構成について詳細に説明する。当該複数の第1接着補助器具100は、共に、同一の構成を有するように形成されている。
【0104】
そこで、複数の第1接着補助器具100のうち、図1にて図示左上側に位置する第1接着補助器具100(以下、左上側接着補助器具100ともいう)を例に挙げその構成について説明する。なお、当該左上側接着補助器具100は、図1との関連では、埋設後接着補助器具100に相当するが、当該左上側接着補助器具100は、上述したごとく、環状支持壁140をコネクター110の環状フランジ115(後述する)に向けて押圧により押し込んだ状態にある点で、埋設前接着補助器具100とは相違する。その他の構成においては、埋設前接着補助器具100と同様である。
【0105】
当該左上側接着補助器具100は、図2図4及び図6のいずれかにて示すごとく、略円錐台形状のコネクター110、複数の係合片120、環状連結壁130及び環状支持壁140を備えており、これらコネクター110、複数の係合片120、環状連結壁130及び環状支持壁140は、熱可塑性樹脂により一体的に樹脂射出成形により形成されている。本第1実施形態において、上述の熱可塑性樹脂としては、ナイロン樹脂が採用されている。このようにナイロン樹脂を採用したのは、コンクリートがアルカリ性であることを考慮すれば、ナイロン樹脂は、耐アルカリ性に優れるからである。
【0106】
当該左上側接着補助器具100において、コネクター110は、図6にて示すごとく、雌ネジ孔部111を備えており、当該雌ネジ孔部111は、その軸方向両側からスペーサボルト150及び型枠締め付けボルト160(図15参照)を螺合するように、コネクター110の径方向中央部にその軸方向に沿い貫通状に形成されている。
【0107】
本第1実施形態では、雌ネジ孔部111のうちコネクター110の表面側雌ネジ孔部分111a(図6参照)は、後述のように、型枠締め付けボルト160(図15参照)を螺合するためのものである。また、雌ネジ孔部111のうちコネクター110の裏面側雌ネジ孔部分111b(図6参照)は、後述のように、スペーサボルト150(図15参照)を螺合するためのものである。なお、表面側雌ネジ孔部分111a及び裏面側雌ネジ孔部分111bの各軸方向長さは、型枠締め付けボルト160の表面側雌ネジ孔部分111aに対する螺合長さ及びスペーサボルト150の裏面側雌ネジ孔部分111bに対する螺合長さを共に適正に確保し得るように選定されている。
【0108】
また、コネクター110は、図2或いは図6にて示すごとく、環状溝部112を有しており、当該環状溝部112は、コネクター110のうちの雌ネジ孔部111の外周部に沿い環状となるように、かつ、コネクター110の表面側から裏面側に向けて凹状となるように形成されている。
【0109】
ここで、環状溝部112の開口端部内において、雌ネジ孔部111は、その外周部にて、六角ナット部113を同軸的に形成してなるものである。本第1実施形態においては、スペーサボルト150を雌ネジ孔部111の裏面側雌ネジ孔部分111bに螺合する際に、締め付け工具(図示しない)をその挟持部にて環状溝部112の開口端部内に挿入し当該挟持部により六角ナット部113を挟持することでコネクター110を回動不能に固定するために、六角ナット部113が、環状溝部112の開口端部側にて形成されている。これにより、六角ナット部113が、スペーサボルト150を雌ネジ孔部111の裏面側雌ネジ孔部分111bに適正に螺合させるにあたり、役立つ。
【0110】
また、コネクター110は、複数の円弧面部114(図5或いは図6参照)を備えており、当該複数の円弧面部114は、それぞれ、図6にて例示するごとく、コネクター110の表面からその裏側に向け凹状に湾曲する横断面半円状となるように、コネクター110に形成されている。また、当該複数の円弧面部114は、図5にて示すごとく、コネクター110の表面にて、左側から右側にかけて所定の間隔をおいて互いに平行に形成されている。なお、本第1実施形態においては、複数の円弧面部114は、それぞれ、図5にて図示左側から右側にかけて、左側円弧面部114、左内側円弧面部114.中央左側円弧面部114、中央側円弧面部114、中央右側円弧面部114、右内側円弧面部114及び右側円弧面部114ともいう。
【0111】
また、コネクター110は、図2及び図4図7のいずれかにて示すごとく、環状フランジ115を有しており、当該環状フランジ115は、コネクター110の大径部110aと小径部110b(後述する)との境界部から径方向へ外方に向けて環状に延出されている。なお、コネクター110は、大径部110a及び小径部110bを有しており、小径部110bは、大径部110aからコネクター110の表面側へ同軸的に延出している。
【0112】
ここで、当該環状フランジ115は、その受承面115aにて、後述のように環状支持壁140を下方から受承して支持するストッパーとしての役割を果たす。本第1実施形態では、環状フランジ115の外径(受承面115aの外径)は、環状支持壁140の外径よりも大きい(図4図6参照)。これにより、接着補助器具100のコンクリート壁10aからの抜け止めをも確保し得る。
【0113】
また、コネクター110は、図4或いは図7にて示すごとく、その周壁116にて、複数のリブ116aを設けてなり、当該複数のリブ116aは、当該コネクター110の裏面外周部から環状フランジ115の裏面にかけてコネクター110の周壁116に沿い等角度間隔にて位置するとともに半径方向へ放射状に突出形成されている。
【0114】
当該複数のリブ116aは、左上側接着補助器具100が埋設前接着補助器具100としてコンクリート壁10aの上記対応収容穴部12に図2にて示すごとく収容されたとき、コンクリート壁10aに対するコネクター110の軸周りの回動を防止する役割を果たす。
【0115】
これにより、コネクター110をコンクリート壁10aに収容した状態において型枠締め付けボルト160(図15参照)を離脱させるとき、コネクター110の型枠締め付けボルト160との共回りを防止するに役立つ。
【0116】
複数の係合片120は、図5にて示すごとく、コネクター110の表面に列状に形成されており、当該複数の係合片120は、図2図4及び図6のいずれかにて示すごとく、コネクター110の表面から上方に向け凸な半ループ形状にて湾曲するように、コネクター110と一体的に形成されている。本第1実施形態において、複数の係合片120の各々は、生モルタル内に深く浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。なお、本第1実施形態において、係合片120は、以下、面側係合片120ともいう。
【0117】
複数の係合片120は、図5にて示すごとく、左右両側係合片群120a及び上下両側係合片群120bを構成している。
【0118】
ここで、左右両側係合片群120aは、図5から分かるように、コネクター110の表面の左右方向中心を通る上下方向中心線(雌ネジ孔部111の表面側雌ネジ孔部分111aの中心を上下方向に通る線)を基準として左右対称的な構成にてコネクター110の表面から突出形成されており、当該左右両側係合片群120aは、それぞれ、図5にて示すごとく、左右に隣り合う一対の係合片120を、複数列、上下方向に配列して構成されている。
【0119】
また、上下両側係合片群120bは、図5から分かるように、コネクター110の表面の上下方向中心を通る左右方向中心線(表面側雌ネジ孔部分111aの中心を左右方向に通る線)を基準として上下対称的な構成にてコネクター110の表面から突出形成されており、当該上下両側係合片群120bは、それぞれ、左右方向に隣り合う3つの係合片120を上下に2列配列するとともに、左右方向に位置する3つの係合片120を上下に3列配列するように構成されている。
【0120】
また、左右両側係合片群120a及び上下両側係合片群120bを構成する複数の面側係合片120は、それぞれ、その裏面にて、コネクター110の複数の円弧面部114(図6参照)のうちの対応円弧面部114に対向するように、コネクター110の表面から突出形成されている。
【0121】
ここで、複数の面側係合片120と複数の円弧面部114との対応構成について説明すると、複数の円弧面部114のうち、左側円弧面部114は、左側係合片群120a(図5参照)の各左側係合片120に対応するように、コネクター110の小径部110b(図6参照)の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。また、左内側円弧面部114は、左側係合片群120aの各左内側係合片120に対応するように、コネクター110の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。
【0122】
中央左側円弧面部114は、上下両側係合片群120bのうち図5にて図示左右方向中央に位置する各5つの中央側係合片120の左側に位置する各5つの左側係合片120に対応するように、コネクター110の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。
【0123】
中央側円弧面部114は、上下両側係合片群120bにおける各5つの中央側係合片120に対応するようにコネクター110の表面に沿い上下方向に形成されている。
【0124】
中央右側円弧面部114は、上下両側係合片群120bにおいて各5つの中央側係合片120の右側に位置する各5つの右側係合片120に対応するように、コネクター110の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。
【0125】
右内側円弧面部114は、右側係合片群120aの各右内側係合片120に対応するように、コネクター110の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。右側円弧面部114は、右側係合片群120a(図5参照)の各右側係合片120に対応して位置するように、コネクター110の表面に沿い図5にて図示上下方向に形成されている。
【0126】
上述のように複数の面側係合片120が、左右両側係合片群120a及び上下両側係合片群120bとして配列されるとともに、複数の円弧面部114と対応することで、モルタル壁Mを形成する生モルタルが、後述のように、当該複数の面側係合片120を介し、コンクリート壁10aの表面11に塗布されたとき、複数の面側係合片120は、当該生モルタル内に埋没する。これに伴い、当該生モルタルが、複数の面側係合片120とコネクター110の複数の円弧面部114との間にも入り込む。
【0127】
このことは、複数の面側係合片120と複数の円弧面部114との間に入り込む生モルタルの量が、複数の円弧面部114に起因して増大することを意味する。その結果、上述した複数の面側係合片120によるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するアンカー効果がより一層向上され得る。
【0128】
環状連結壁130は、図4にて示すごとく、左右両側係合片群120a及び上下両側係合片群120bを、コネクター110の表面に沿う方向から包囲するように、コネクター110の小径部110bの表面外周部から上方へ同軸的に延出されており、当該環状連結壁130は、変形可能なように薄肉状に形成されている。本第1実施形態において、当該環状連結壁130の小径部110bの表面からの延出高さは、各面側係合片120の頂部の小径部110bの表面からの高さ以上に選定されている。
【0129】
また、当該環状連結壁130は、図4或いは図5にて示すごとく、複数の貫通孔部131を有しており、当該複数の貫通孔部131は、それぞれ、複数の円弧面部114の各々の長さ方向に対向するように、環状連結壁130に形成されている。なお、複数の貫通孔部131は、第1接着補助器具100の樹脂射出成形に採用する成形金型(図示しない)において、各円弧面部114と当該各円弧面部114に対応する各面側係合片120の内面との双方を、各ピン中子(図示しない)でもって一体成形する際に、当該各ピン中子を成形金型に対し出し入れするに要する出し入れ孔部としての役割を果たす。
【0130】
本第1実施形態において、上述した環状連結壁130の厚さは、0.05(mm)〜0.5(mm)の範囲以内の値に設定されている。これにより、両コンクリート型枠Fを後述のようにセットした際に当該両コンクリート型枠Fの一方の型枠を後述のように押圧して環状支持壁140をコネクター110に向けて同軸的に変位させたとき環状連結壁130は容易に屈曲変形し得るようになっている。
【0131】
また、環状連結壁130の軸方向長さは、環状フランジ115の受承面115aからコネクター110の小径部110bの表面までの軸方向長さよりも長く設定されている。これにより、上述のように環状支持壁140をコネクター110に向けて同軸的に変位させたとき、環状連結壁130が、その上述した厚さとも相まって、環状フランジ115の受承面115aを基準として容易に変形し得るようになっている。
【0132】
環状支持壁140は、図4にて示すごとく、環状連結壁130の上端開口部から上方へ同軸的にかつ一体的に延出されている。ここで、環状支持壁140は、環状に厚く形成されていることから、当該環状支持壁140は、その内周面部にて、環状連結壁130の上端開口部と同軸的に一体となっている。
【0133】
当該環状支持壁140は、後述する両コンクリート型枠Fの一方のコンクリート型枠(図15参照)による押圧によっては、容易には変形しない程度の剛性を有するように、0.5(mm)〜4(mm)の範囲以内の厚さ、好ましくは、1(mm)〜4(mm)の範囲以内の厚さでもって形成されている。
【0134】
また、当該環状支持壁140は、その軸方向長さにて、コネクター110の環状フランジ115の受承面115aから複数の面側係合片120の各頂部までの軸方向長さ以上の値を有する。これにより、後述のように、当該環状支持壁140が、コネクター110の環状フランジ115の受承面115aに着座により受承されたとき、複数の面側係合片120をその各頂部まで確実に包囲して保護する役割を果たす。
【0135】
以上のように構成された左上側接着補助器具100は、埋設後接着補助器具100としては、図2にて示すごとく、そのコネクター110側からコンクリート壁10aの上記対応収容穴部12内に収容されて当該コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に埋設されている。ここで、コネクター110のフランジ115は、上記対応収容穴部12の周壁内に後述のごとく挿入された状態になっている。また、環状支持壁140は、後述のように両コンクリート型枠Fの一方のコンクリート型枠による押圧のもとに、環状連結壁130を変形させた状態で、上記対応収容穴部12の開口部内に収容されている。
【0136】
次に、複数の第2接着補助器具200の構成について説明する。当該複数の第2接着補助器具200は、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、図1にて示すように、4個の第1接着補助器具100の中央に位置する第2接着補助器具200(以下、中央側接着補助器具200ともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0137】
当該中央側接着補助器具200は、上述した左上側接着補助器具100の形成材料と同様の形成材料でもって、図3及び図8図11のいずれかにて示すごとく、基板210、4個のフック220a〜220d及び複数の係合片230を一体的に有するように、樹脂射出成形により形成されている。なお、係合片230は、以下、面側係合片230ともいう。
【0138】
基板210は、円板状のもので、当該基板210は、図3及び図8図13のいずれかにて示すごとく、中央孔部211、4個の内側開孔部212a〜212d及び10個の外側開孔部213a〜213jを備えている。本第1実施形態において、基板210の厚さT及び外径Vは、それぞれ、T=1.0(mm)及びV=35(mm)に設定されている(図12及び図13参照)。
【0139】
中央孔部211は、基板210の中央部に円形貫通孔状に形成されている。4個の内側開孔部212a〜212dは、基板210において中央孔部211の外周部に沿い等角度間隔にて略矩形貫通孔状に形成されている。本第1実施形態において、中央孔部211の内径Uは、U=6(mm)に設定されている(図13参照)。
【0140】
また、10個の外側開孔部213a〜213jは、それぞれ、基板210において、4個の内側開孔部212a〜212dの外周側に長手矩形貫通孔状に形成されており、当該10個の外側開孔部213a〜213jは、図10にて示すごとく、上下方向に沿い互いに平行となるように基板210に配設されている。
【0141】
当該10個の外側開孔部213a〜213jのうち、図10にて左右両端側に位置する両外側開孔部213a、213jは、基板210の左右方向中心線X(図10参照)に対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、基板210の上下方向中心線Y(左右方向中心線Xに直交する中心線)に対し上下対称的に形成されている。
【0142】
両外側開孔部213b、213iは、両外側開孔部213a、213jの内側(中央孔部211側)にて、左右方向中心線Xに対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、上下方向中心線Yに対し上下対称的に基板210に形成されている。
【0143】
また、各両外側開孔部213c、213d及び213g、231hは、図10にて示すごとく、両外側開孔部213b、213iの内側(中央孔部111側)にて、左右方向中心線Xに対し左右対称的な位置にて基板210に形成され、かつ、上下方向中心線Yに対し上下に対称的な位置にて基板210に形成されている。
【0144】
また、両外側開孔部213e、213fは、基板210において、左右方向中心線X上における両内側開孔部212a、212bの上下両側にて、図10にて示すごとく、上下方向中心線Yに対し上下対称的な位置にて形成されている。
【0145】
4個のフック220a〜220dは、後述する各座金WS(図3参照)を支持する役割を果たすもので、当該4個のフック220a〜220dは、それぞれ、図8或いは図9にて示すごとく、4個の内側開孔部212a〜212dから基板210の表面側へ延出するように形成されている。本第1実施形態において、4個のフック220a〜220dのうち各両対向フックの基板210からの延出基端部間の基板210の表面に沿う間隔Wは、W=13(mm)に設定されている(図13参照)。
【0146】
ここで、4個のフック220a〜220dのうち、フック220aは、その基端部にて、図8或いは図10にて示すごとく、内側開孔部212aの上側縁部に一体的に形成されている。当該フック220aは、図3にて示すごとく、立ち上がり部221と、折れ曲がり部222とを備えており、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部222は、立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行に中央孔部211側へL字状に折れ曲るように延出されている。
【0147】
残りのフック220b、220c及び220dは、フック220aと同様に、立ち上がり部221及び折れ曲がり部222でもって構成されている。フック220bは、その基端部にて、図8或いは図10にて示すごとく、内側開孔部212bの下側縁部に一体的に形成されている。当該フック220bにおいて、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(図8参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220bの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行となるようにフック220a側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0148】
フック220cは、その基端部にて、図8或いは図10にて示すごとく、内側開孔部212cの左側縁部に形成されている。当該フック220cにおいて、立ち上がり部221は、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(図8参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220cの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行なるように中央孔部211側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0149】
また、フック220dは、その基端部にて、図8或いは図10にて示すごとく、内側開孔部212dの右側縁部に形成されている。当該フック220dにおいては、立ち上がり部221が、その基端部から基板210の表面の上方へ立ち上がるように延出している(図8参照)。また、折れ曲がり部222は、フック220dの立ち上がり部221の延出端部から基板210の表面に平行となるようにフック220c側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0150】
以上のように構成した4個のフック220a〜220dは、その各折れ曲がり部222と中央孔部211との間にて座金WS(図3参照)を挟持して支持するようになっている。
【0151】
複数の面側係合片230は、図8図11のいずれかにて示すごとく、左右両側係合片群230a及び上下両側係合片群230bを構成する。左右両側係合片群230aは、図10において、左右方向中心線Xに対し互いに左右対称的な構成にて基板210に形成されている。
【0152】
当該左右両側係合片群230aにおいて、左側係合片群230aは、図10にて示すごとく、左側に位置する5個の面側係合片230(左側係合片230)を有する。当該5個の左側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213aの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213aを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213aから基板210の表面の上方へ半ループ状に突出するように形成されている。本第1実施形態においては、各面側係合片230は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0153】
また、左側係合片群230aは、5個の左側係合片230の内側(中心孔部211側)に位置する11個の左内側係合片230を有しており、当該11個の左内側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213aの右側に位置する外側開孔部213bの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、当該外側開孔部213bを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213bから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0154】
一方、右側係合片群230aは、左側係合片群230aの5個の左側係合片230及び11個の左内側係合片230にそれぞれ対応する5個の右側係合片230及び11個の右内側係合片230でもって構成されている。
【0155】
ここで、右側係合片群230aの5個の右側係合片230は、図10にて示すごとく、基板210の左右方向中心線Xを基準として、左側係合片群230aの5個の左側係合片230とは対称的な位置にて、外側開孔部213jの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213jを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213jから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0156】
また、右側係合片群230aの11個の右内側係合片230は、図10にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し、左側係合片群230aの11個の左内側係合片230とは左右対称的な位置にて、外側開孔部213iの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213jを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213iから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0157】
上下両側係合片群230bは、図10にて示すごとく、上下方向中心線Yに対し互いに上下対称的な構成にて基板210に形成されている。
【0158】
当該上下両側係合片群230bにおいて、上側係合片群230bは、図10にて示すごとく、基板210の左右方向中央(左右方向中心線Xに対応)にて、3個の中央側係合片230を有しており、当該3個の中央側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213eの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213eを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213eから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0159】
また、上側係合片群230bは、図10にて示すごとく、3個の中央側係合片230の左側に位置する4個の中央左側係合片230を有しており、当該4個の中央左側係合片230は、外側開孔部213cの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、図10にて示すごとく、外側開孔部213cを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213cから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0160】
また、上側係合片群230bは、図10にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し4個の中央左側係合片230とは対称的な位置にある4つの中央右側係合片230を有しており、当該4個の中央右側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213gの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213gを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213gから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0161】
また、下側係合片群230bは、図10にて示すごとく、基板210の左右方向中央にて、3個の中央側係合片230を有しており、当該3個の中央側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213fの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213fを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213fから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0162】
また、下側係合片群230bは、図10にて示すごとく、3個の中央側係合片230の左側に位置する4個の中央左側係合片230を有しており、当該4個の中央左側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213dの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213dを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213dから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0163】
また、下側係合片群230bは、図10にて示すごとく、左右方向中心線Xに対し4個の中央左側係合片230とは対称的な位置にある4つの中央右側係合片230を有しており、当該4個の中央右側係合片230は、図10にて示すごとく、外側開孔部213hの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部213hを左右方向に跨ぐようにして、図8にて示すごとく、当該外側開孔部213hから基板210の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。なお、本実施形態において、各係合片230の頂部の基板210の裏面からの高さHは、H=3(mm)に設定されている(図12参照)。
【0164】
上述のように構成された中央側接着補助器具200は、図3にて示すごとく、基板210を、その裏面にて、コンクリート壁10aの表面に接合するとともに、コンクリートネジSCを、その首下部にて、4個のフック220a〜220dの各折れ曲がり部222と基板210の中央孔部211との間に挟持してなる座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して、コンクリート壁10aに締着することで、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に埋設されている。
【0165】
以上のように構成した本第1実施形態において、モルタル壁Mを、接着補助システムMSによる接着補助のもとに、コンクリート構造体10の複数のコンクリート壁に接着する例について、図14にて示す工程図に基づき説明する。
【0166】
ここでは、モルタル壁Mを、図1に示す構成において、接着補助システムMSによる接着補助のもとに、上記複数のコンクリート壁のうちのコンクリート壁10aに接着する例について説明する。
【0167】
まず、図14の型枠設置工程S1において、図15にて示す両コンクリート型枠F(図15では、一方のコンクリート型枠Fのみを示す)を互いに対向するように組み立てて設置する。なお、以下、コンクリート型枠Fは、型枠Fともいう。
【0168】
ついで、スペーサボルト及び第1接着補助器具組み付け工程S2において、予め準備した複数のスペーサボルト150、複数の型枠締め付けボルト160及び複数の第1接着補助器具100(埋設前接着補助器具100)のうちの4本のスペーサボルト150、4本の型枠締め付けボルト160及び4個の第1接着補助器具100が、両型枠Fの間に組み付けられる。
【0169】
ここでは、4本のスペーサボルト150、4本の型枠締め付けボルト160及び4個の第1接着補助器具100が、次のようにして、互いに対向する両型枠Fに対しその間隔を一定間隔にするように組み付けられる。
【0170】
4個の第1接着補助器具100のうち、上述した左上側接着補助器具100を例に挙げると、上述した4本のスペーサボルト150のうち左上側接着補助器具100に対する対応スペーサボルト150が、その一側軸方向雄ネジ部にて、左上側接着補助器具100のコネクター110の裏面側雌ネジ部111bに締着される。
【0171】
然る後、このように螺着された対応スペーサボルト150及び左上側接着補助器具100が、図15にて例示するごとく、両型枠Fの間にて、その一方の型枠Fに形成してなる貫通孔部F1(図15参照)に同軸的に対応するように、保持される。
【0172】
次の型枠締め付けボルト締着工程S3にて、上述のような保持状態において、4本の型枠締め付けボルト160のうちの左上側接着補助器具100に対する対応型枠締め付けボルト160が、いわゆるフォームタイ(登録商標)である型枠緊張結金具160a及び一対の端太材160bを介し一方の型枠Fの貫通孔部F1に挿通されて、左上側接着補助器具100の環状支持壁140及び環状連結壁130を通りコネクター110の雌ネジ孔部111の表面側雌ネジ孔部分111aに係脱可能に螺着される。なお、対応スペーサボルト150は、その他側軸方向雄ネジ部にて、他方の型枠Fに締着される。
【0173】
これにより、左上側接着補助器具100及び対応スペーサボルト150は、一方の型枠Fの貫通孔部F1に対応する位置にて、対応型枠締め付けボルト160とともに、両型枠Fに保持され得る。なお、一方の型枠Fの貫通孔部F1の形成部位は、コンクリート壁10aのうちの第1矩形状輪郭RL(図1参照)の左上側隅角部に対応する。
【0174】
このような状態において、ナット160cが、対応型枠締め付けボルト160にその外端部側から係脱可能に螺着される。ここで、当該ナット160cは、型枠緊張結金具160a及び一対の端太材160bを介し、一方の型枠Fを、対応スペーサボルト150と螺着状態にあるスペーサ110の表面側に向けて押圧するように、対応型枠締め付けボルト160との間で螺合調整される。
【0175】
これに伴い、環状支持壁140が、コネクター110の環状フランジ115に向けて押し込まれる。すると、環状連結壁130が上述のごとく変形し易いように形成されているため、環状支持壁140は、環状連結壁130を屈曲変形させながら、環状フランジ115の受承面115aに当接するまで変位する。このとき、環状連結壁130は、反転して屈曲変形しながら、環状支持壁140の内周面とコネクター110の小径部110bの外周面との間に挟まれていく。
【0176】
そして、環状支持壁140がその下端部にて環状フランジ115の受承面115aに当接すると、環状連結壁130は、環状支持壁140の内周面とコネクター110の小径部110bの外周面との間にて、楔状に変形し、環状支持壁140をコネクター110に対し固定状態に維持する。
【0177】
然る後、環状支持壁140が、その内周面側にて環状連結壁130を屈曲変形させた状態で、環状フランジ115の受承面115a上に着座して支持される(図15参照)。このため、環状連結壁130及び複数の面側係合片120が、環状支持壁140により包囲されて、コネクター110の小径部110bと一方の型枠Fとの間に密封される。
【0178】
なお、一方の型枠Fを介するナット160cの第1接続補助器具100に対する押圧力は、約200(kgf/cm)、即ち、19.6(MPa)に達するものの、この押圧力は、環状支持壁140により受け止められるため、各面側係合片120が押圧力でもって潰されることはない。
【0179】
型枠締め付けボルト締着工程S3の処理後、生コンクリート打ち込み工程S4において、生コンクリートが両型枠Fの間に打ち込まれる。これに伴い、生コンクリートが、両型枠Fの間に流入する。なお、生コンクリートとは、いまだ硬化していないコンクリートをいう。
【0180】
このとき、左上側接着補助器具100は、上述のごとく、環状連結壁130及び複数の面側係合片120にて、コネクター110の小径部110bと一方の型枠Fとの間に密封されているため、生コンクリートが環状支持壁140の内側に入り込むことはない。これにより、複数の面側係合片120は、生コンクリートから確実に隔離され得る。
【0181】
上述のごとく、生コンクリートが両型枠F間に流入することにより、当該生コンクリートが,両型枠の間の空間領域のうち左上側接着補助器具100を除く領域に充満することとなる。
【0182】
然る後、次の生コンクリート硬化待ち工程S5において、両型枠F間に充満している生コンクリートが硬化するまで所定待ち時間の間待つ。このようにして生コンクリートが硬化すると、コンクリート壁10aが形成される。このとき、コンクリート壁10aには、左上側接着補助器具100を収容してなる収容穴部12が形成されている。
【0183】
次の型枠締め付けボルト取り外し工程S6において、ナット160cが対応型枠締め付けボルト160から離脱される。然る後、型枠緊張結金具160a及び一対の端太材160bが対応型枠締め付けボルト160から離脱されるとともに、対応型枠締め付けボルト160がコネクター110の表面側雌ネジ部分111aから離脱される。
【0184】
このとき、対応型枠締め付けボルト160を回動して離脱させることになるが、コネクター110の外周面に形成してなる各リブ116aが、コンクリート壁10aの収容穴部12の周壁部により回動不能に維持されているため、第1接着補助器具100が、対応型枠締め付けボルト160の回動に付随して共回りすることはない。また、コネクター110の環状フランジ115が、コンクリート壁10aのうちの収容穴部12の周壁部位内に保持されているため、第1接着補助器具100が収容穴部12から脱出することもない。
【0185】
なお、以上のような工程の処理は、図1の4つの第1接着補助器具100のうちの各残りの第1接着補助器具100についても、同様になされる。
【0186】
ついで、型枠取り外し工程S7において、両型枠Fが、コンクリート壁10aから取り外される。これに伴い、コンクリート壁10aが、図16にて示すごとく、その収容穴部12内に左上側接着補助器具100を収容した状態で、両型枠Fから解放される。このとき、左上側接着補助器具100は、コネクター110の裏面側雌ネジ部分111bにより、収容穴部12内にて、その底壁部から突出するスペーサネジ150の一方の軸方向雄ネジ部により支持されている。
【0187】
ついで、第2接着補助器具組み付け工程S8において、複数の第2接着補助器具200のうちの上記中央側接着補助器具200が、次のようにして、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0188】
即ち、中央側接着補助器具200が、基板210にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(図1及び図17参照)。このとき、基板210は、その裏面にて、図17にて示すごとく、複数の面側係合片230及び4個のフック220a〜220dを外方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0189】
このような設置状態において、図18に示す座金WSが、図17にて示すごとく、基板210のうち中央孔部211を中心とする環状部位(以下、中央環状部位Pともいう)上に4個のフック220a〜220dを介し設置される。
【0190】
ここでは、座金WSが、各フック220a〜220dをその弾力に抗して折れ曲がり部222にて押し広げるようにして、中央環状部位P上に設置される。このため、座金WSが、各フック220a〜220dの内側にて当該各フック220a〜220dの折れ曲がり部222と基板210の環状中央部位Pとの間に挟持される。
【0191】
本第1実施形態において、座金WSは、平座金として、例えば、ステンレススチールでもって環状に形成されており、当該座金WSの厚さZ、内径Ri及び外径Roは、それぞれ、Z=0.7(mm)、Ri=6(mm)及びRo=13(mm)に設定されている。なお、中央環状部位Pは、各フック220a〜220dの立ち上がり部221の基板210からの延出基端部の内側(中央孔部211側)において基板210に形成される環状領域をいう。
【0192】
上述のように座金WSを挟持した後、コンクリートネジSCが、図17にて示すごとく、その首下部にて、座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通してコンクリート壁10aに締着される。
【0193】
この締着は、電気工具(図示しない)によりコンクリート壁10aに座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して下孔部を形成した後に、コンクリートネジSCをその首下部にて座金WSの中空部及び基板210の中央孔部211を通して上記下孔部に締着することで行われる。
【0194】
このような締着状態においては、座金WSの内径Riが基板210の中央孔部211の内径Vと同一であることから、コンクリートネジSCは、その頭部にて、座金WSを基板210の中央孔部211の外周部上にしっかりと保持し得る。従って、基板210は、座金WS及びコンクリートネジSCによってコンクリート壁10aに安定状態にてしっかりと組み付けられ得る。
【0195】
以上のようにして4個の第1接着補助器具100及び第2接着補助器具200(中央側接着補助器具200)のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、図2及び図3にて示すごとく、所定の厚さにて、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。なお、生モルタルとは、未だ硬化していないモルタルをいう。
【0196】
このとき、当該塗布は、4個の第1接着補助器具100及び第2接着補助器具200をコンクリート壁10aの表面上にて覆うようになされる。従って、各第1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、第2接着補助器具200が、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設されることとなる。
【0197】
これに伴い、生モルタルは、各第1接着補助器具100の環状支持壁140の内部に浸入する。ついで、このように浸入した生モルタルは、さらに、複数の面側係合片120を介しコネクター110の表面に向けて浸入するとともに、環状溝部112の内部及び雌ネジ孔部111の表面側雌ネジ孔部分111aの内部に浸入する。
【0198】
ここで、上述のように複数の面側係合片120を介しコネクター110の表面に向けて浸入する生モルタルは、複数の面側係合片120の各々の間を通りコネクター110の表面に達する。
【0199】
また、このようにコネクター110の表面に達する生コンクリートは、コネクター110の表面に形成した各湾曲面部114上にも達する。このことは、生コンクリートが,互いに対向する面側係合片120と湾曲面部114との間にも行き亘ることを意味する。従って、複数の面側係合片120とコネクター110の表面との間に浸入する生モルタルの量は、コネクター110の表面に複数の湾曲面部114を形成したことで、増大する。
【0200】
また、上述のように環状支持壁140内に浸入した生モルタルは、環状溝部112の内部及び雌ネジ孔部111の表面側雌ネジ孔部分111aの内部にも浸入する。
【0201】
また、第2接着補助器具200においては、上述のように生モルタルが塗布されると、当該生モルタルは、複数の面側係合片230を介し基板210の表面に達する。ここで、このように複数の面側係合片230を介し基板210の表面に達する生モルタルは、互いに隣り合う各両面側係合片230の間を通り基板210の複数の外側開孔部213a〜213jの各内部に行き亘る。
【0202】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化するまで所定時間の間待つ。これに伴い、当該生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0203】
以上説明した通り、本第1実施形態では、接着補助システムが、上述のように構成した複数の第1接着補助器具100及び複数の第2接着補助器具200を備える。ここで、複数の第1接着補助器具100が、各環状支持壁140にて両型枠Fの一方の型枠に対向するように、当該一方の型枠側から他方の型枠側に向けて延出する複数のスペーサボルト150に連結される。また、複数の第1接着補助器具100が、各環状支持壁140にて、各対応の環状連結壁130を変形させながら当該一方の型枠を介し各対応のコネクター110側へ押圧される。これに伴い、複数の第1接着補助器具100が、複数の面側係合片120を包囲するように、各対応のコネクター110の表面側外周部から外方に向け半径方向に延出する環状フランジ115に着座する。
【0204】
これにより、複数の第1接着補助器具100の各々においては、環状支持壁140が、環状フランジ115及び一方の型枠と共に、密閉空間を構成して、当該密閉空間内に複数の面側係合片120を閉じ込めるので、上述のように生コンクリートを両型枠Fの間に打ち込んでも、複数の面側係合片120が当該生コンクリートから隔離されている。従って、当該生コンクリートが複数の面側係合片120に達することがない。
【0205】
また、環状支持壁140は、環状連結壁130とは異なり、一方の型枠による押圧によって変形することはないので、複数の面側係合片120は、その原形状を、上述の密閉空間内にて、良好に維持し得る。
【0206】
従って、上述のように、生モルタルがコンクリート壁10aの表面11に複数の第1接着補助器具100を介し塗布されることで、当該生モルタルは、各第1接着補助器具100の複数の面側係合片120に良好に係合し得る。このことは、各第1接着補助器具100の複数の面側係合片120は、生モルタルの硬化後に形成されるモルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合し得ることを意味する。
【0207】
ここで、第1接着補助器具100毎に、複数の面側係合片120或いは左右上下の各側係合片群120a、120bは、それぞれ、基板110の表面においてその左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片120或いは各側係合片群120a、120bによるモルタル壁Mに対する接着補助力は、コネクター110の表面の全体に亘り均一に発生され得る。
【0208】
その結果、複数の第1接着補助器具100は、その各複数の面側係合片120でもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着を良好に補助し、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)を良好に高め得る。
【0209】
また、複数の第1接着補助器具100は、上述のように両型枠Fを取り外すことで除去した後も、各コネクター110にて、対応の各スペーサボルト150に連結したまま、取り外すことなく、そのまま、継続的に維持される。従って、当該複数の第1接着補助器具100の取外し作業や新たな取付け作業を繰り返す必要がないため、作業性を向上し得るのは勿論のこと、複数の第1接着補助器具100の廃棄に起因するような環境汚染問題の発生をも未然に防止し得る。
【0210】
また、上述のように、コンクリート壁10aが、両型枠Fの間に打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された上で、両型枠Fが、除去された後において、複数の第2接着補助器具200が、コンクリート壁10aの表面11に複数の第1接着補助器具100とは異なる位置(矩形状輪郭RLの中央部)にて分散して配設されるとともに、それぞれ、中央孔部211にて、各ネジSCによりコンクリート壁10aの表面11に締着されている。
【0211】
従って、当該複数の第2接着補助器具200は、各ネジSCによりコンクリート壁10aの表面にしっかりと組み付けられている。このような状態で、生モルタルが上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布されることで、当該生モルタルが、複数の第2接着補助器具200の各々の複数の面側係合片230に、複数の第1接着補助器具100の各複数の面側係合片と同様に、しっかりと係合し得る。
【0212】
これに伴い、生モルタルが硬化してモルタル壁として形成されることで、複数の第2接着補助器具200の各々の複数の面側係合片230は、モルタル壁に、その内部にて、複数の第1接着補助器具100の各々の複数の面側係合片120と同様に、しっかりと係合し得る。
【0213】
ここで、第2接着補助器具200毎に、複数の面側係合片230或いは左右上下の各側係合片群230a、230bは、それぞれ、基板210の表面において左右方向中心線X及び上下方向中心線Yの双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片230或いは左右上下の各側係合片群230a、230bによるモルタル壁Mに対する接着補助力は、基板210の表面の全体に亘り均一に発生され得る。
【0214】
その結果、複数の第2接着補助器具200は、その各複数の面側係合片230でもって、複数の第1接着補助器具100と同様に、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着を良好に補助し、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力、即ちアンカー効果を良好に高め得る。
【0215】
ここで、複数の第1接着補助器具100は、それぞれ、複数の面側係合片120にて、コンクリート壁10aの表面11から突出するのみであり、複数の第2接着補助器具200の各々の基板210は、板状であるから、生モルタルの塗布厚さは、ほぼ、コンクリート壁10aの表面に亘り、一様に維持し得るのは勿論のこと、可能な限り薄くすることができることから、生モルタルの塗布量の軽減に役立つ。
【0216】
また、第2接着補助器具200は、第1接着補助器具100の構成とは異なり、単なる板状の基板210に複数の面側係合片230及び4つのフック220a〜20dを形成した構成であることから、当該第2接着補助器具200は、第1接着補助器具100に比べてより一層簡単な構成にて形成することができる。
【0217】
以上のように、複数の第1接着補助器具100及び複数の第2接着補助器具200が、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に格子状に分散して埋設されることで、各第1接着補助器具100及び各第2接着補助器具200が、ともに、各複数の面側係合片でもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対するアンカー効果を相乗的に高め得る。このことは、複数の第1及び第2の接着補助器具100、200による相乗的な接着補助のもと、モルタル壁Mが、コンクリート壁10aから剥がれ落ちたりすることなく、長期に亘り、コンクリート壁10aの表面11に対する接着を良好に維持し得ることを意味する。
(第2実施形態)
図19及び図20は、本発明に係る接着補助システムMSの第2実施形態を示している。当該第2実施形態において、第1接着補助器具100は、上記第1実施形態にて述べた第1接着補助器具100の環状支持壁140に代えて、環状支持壁140aを設けてなるものである。
【0218】
本第2実施形態において、環状支持壁140aは、図20或いは図21にて示すごとく、両周壁部141、142を形成してなるもので、周壁部141は、上記第1実施形態にて述べた環状支持壁140と同様に環状連結壁130の上端開口部から上方へ同軸的にかつ一体的に延出されている。
【0219】
ここで、周壁部141は、上記第1実施形態にて述べた環状支持壁140と同様に、環状に厚く形成されていることから、当該周壁部141は、上記第1実施形態にて述べた環状支持壁140と同様に、その内周面部にて、図20にて示すごとく、環状連結壁130の上端開口部と同軸的に一体となっている。
【0220】
一方、周壁部142は、図20或いは図21にて示すごとく、周壁部141から同軸的に環状連結壁130とは逆の方向へ延出するように一体的に形成されている。ここで、当該周壁部142は、周壁部141の内周面部よりも大きな内径を有する内周面部を有するように形成されている。このため、周壁部141の周壁部142との境界には環状段部141aが形成されている。
【0221】
環状支持壁140aは、図19図21のいずれかにて示すごとく、複数の糸状片143を備えている。当該複数の糸状片143は、環状支持壁140aの環状段部141aからその周方向に亘り間隔をおいて環状支持壁140aの内側空間内に傾斜状に延出している。複数の糸状片143の各々の太さは、好ましくは0.05(mm)〜5.0(mm)以内の値を有する。また、各糸状片143の全長は、2(mm)以上であって、周壁部142の内径以下の値を有する。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0222】
このように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態にて述べた型枠取り外し工程S7においては、本第2実施形態にいう第1接着補助器具100が、上記第1実施形態にて述べた第1接着補助器具100に代えて、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態で、両型枠Fが上記第1実施形態と同様に取り外される。
【0223】
然る後、上記第1実施形態と同様に第2接着補助器具組み付け工程S8の処理がなされた後、次のモルタル塗布工程S9において、生モルタルが、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0224】
このとき、当該塗布は、本第2実施形態における4個の第1接着補助器具100及び第2接着補助器具200をコンクリート壁10aの表面上にて覆うようになされる。従って、本第2実施形態における各第1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、第2接着補助器具200が、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設されることとなる。
【0225】
然る後、生モルタル硬化待ち工程S10において上記第1実施形態と同様に生モルタルの硬化を待つことで、モルタル壁Mが上記第1実施形態と同様に形成される。
【0226】
このようにしてモルタル壁Mが形成されると、本第2実施形態にいう第1接続補助器具100が、複数の糸状片143を環状支持壁140aから延出させて、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて、第2接続補助器具200と共にモルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設される。その結果、モルタル壁Mに対しさらに大きなアンカー効果が発揮され得る。これにより、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの離脱がより一層良好に阻止され得る。
(第3実施形態)
図22は、本発明に係る接着補助システムMSの第3実施形態の要部を示している。当該第3実施形態においては、上記第1実施形態にて説明した第1接着補助器具100が、複数の係合片120に代えて、複数の糸状片121を備えている。
【0227】
当該複数の糸状片121は、コネクター110の表面から環状支持壁140側へ円弧状に延出するように一体的に形成されている。ここで、複数の糸状片121は、生モルタル内に深く浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。なお、列状に並べた状態にある複数の糸状片121は、その各内面をピン中子によって成形し、或いは延伸を加えるように成形することで、形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0228】
このように構成した本第3実施形態によれば、複数の糸状片121は、上記第1実施形態にて述べた複数の係合片120と同様に、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの離脱を良好に防止し得る。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
【0229】
なお、上記第3実施形態にて述べた複数の糸状片121は、図23にて示す変形例、図24にて示す他の変形例、図25にて示すその他の変形例及び図26にて示すさらなる変形例にて示すように、それぞれ、円弧状に限ることなく、L字状(図23にて符号122参照)、T字状(図24にて符号123参照)、キノコ状(図25にて符号124参照)、或いは略直線状(図26にて符号125参照)に形成するようにしてもよい。
(第4実施形態)
図27は、本発明に係る接着補助システムMSの第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態においては、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた複数の係合片120が、上記第1或いは第2の実施形態とは異なり、次のように、各複数の湾曲面部114a、114bと共に、コネクター110の表面に放射状に形成されている。
【0230】
各複数の湾曲面部114a、114bは、コネクター110の表面にその周方向に交互に形成されており、当該各複数の湾曲面部114a、114bは、コネクター110の雌ネジ孔部111を中心として半径方向へ放射状に形成されている。ここで、各複数の湾曲面部114a、114bは、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた湾曲面部114と同様に、コネクター110の表面からその裏側に向け凹状に湾曲する横断面半円状となるように、コネクター110に形成されている。なお、湾曲面部114aの全長は、湾曲面部114bよりも短い。
【0231】
本第4実施形態では、複数の係合片120が、湾曲面部114a毎に、2個ずつ、当該湾曲面部114aを跨ぐように形成されるとともに、湾曲面部114b毎に、5個ずつ、湾曲面部114bを跨ぐように形成されている。その他の構成は、上記第1或いは第2の実施形態と同様である。
【0232】
このように構成した本第4実施形態によれば、複数の係合片120及び各複数の湾曲面部114a、114bが、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた複数の係合片120及び複数の湾曲面部114と同様の役割を果たすことで、上記第1或いは第2の実施形態と同様の作用効果を達成し得る。
(第5実施形態)
図28は、本発明に係る接着補助システムMSの第5実施形態の要部を示している。当該第5実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具300(図28では単一の接着補助器具300のみを示す。)を備えている。
【0233】
本第5実施形態では、複数の接着補助器具100は、上記第1実施形態と同様に、それぞれ、コンクリート壁10aの複数の収容穴部12内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0234】
また、複数の接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200と同様に、図28にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。本第5実施形態において、接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた接着補助器具200と同様に、第2接着補助器具300ともいう。なお、第2接着補助器具300は、第2接着補助器具200と同様に、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間への埋設前後において同様の構成を有する。
【0235】
複数の接着補助器具300は、その接着補助器具300毎に、上記第1実施形態にて述べた第2接着補助器具200と同様に、各対応の矩形状輪郭RL(図1参照)の中心において、コンクリート壁10aの表面11に配設されている。
【0236】
このことは、複数の第2接着補助器具300は、一隅角部を共有する4個の第1矩形状輪郭RLの各々の中心に位置する4個の接着補助器具300でもって、コンクリート壁10aの表面11にて矩形状に配設されて、矩形状輪郭(以下、上記第1実施形態と同様に、第2矩形状輪郭ともいう)を構成することを意味する。
【0237】
これにより、複数の第2接着補助器具300は、上記第2矩形状輪郭を構成する4個の第2接着補助器具300ごとに、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する第2接着補助器具300による接着補助力を良好に発揮する役割を果たす。
【0238】
さらに、上記第1実施形態と同様に、第1矩形状輪郭RLの4つの隅角部に位置する4個の第1接着補助器具100と、第1矩形状輪郭RLの中心に位置する第2接着補助器具300とでもって、モルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力を、第1接着補助器具100による接着補助力のみの場合に比べてさらに強化する役割を果たす。
【0239】
次に、複数の第2接着補助器具300の構成について説明する。当該複数の第2接着補助器具300は、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、4個の第1接着補助器具100の中央に位置する第2接着補助器具300(以下、中央側接着補助器具300ともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0240】
当該中央側接着補助器具300は、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200の形成材料と同様の形成材料でもって、図28図34のいずれかにて示すごとく、基板310、複数の係合片320、4個のフック330a〜330d及び複数の係合片340を一体的に有するように、樹脂射出成形により形成されている。なお、本第5実施形態において、複数の係合片320は、以下、外周側係合片320ともいい、また、複数の係合片340は、以下、複数の面側係合片340ともいう。
【0241】
基板310は、円板状のもので、当該基板310は、図28図32のいずれかにて示すごとく、中央孔部311、4個の内側開孔部312a〜313d及び12個の外側開孔部313a〜313k及び313nを備えている。本第5実施形態において、基板310の厚さT1及び外径V1は、それぞれ、T1=0.7(mm)及びV1=32(mm)に設定されている(図34及び図33参照)。
【0242】
中央孔部311は、基板310の中央部に円形貫通孔状に形成されている。4個の内側開孔部312a〜312dは、基板310において中央孔部311の外周部に沿い等角度間隔にて略矩形貫通孔状に形成されている。本第5実施形態において、中央孔部311の内径U1は、U1=6(mm)に設定されている(図33参照)。
【0243】
また、12個の外側開孔部313a〜313k及び313nは、それぞれ、基板310において、4個の内側開孔部312a〜312dの外周側に長手矩形貫通孔状に形成されており、当該12個の外側開孔部313a〜313k及び313nは、図31にて示すごとく、上下方向に沿い互いに平行となるように基板310に配列されている。
【0244】
当該12個の外側開孔部313a〜313k及び313nのうち、図31にて左右両端側に位置する両外側開孔部313a、313nは、基板310の左右方向中心線X1(図31参照)に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、基板310の上下方向中心線Y1(図31参照)に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。なお、当該左右方向中心線X1及び上下方向中心線Y1は、基板310の表面において互いに直交している。
【0245】
各両外側開孔部313b、313c及び313j、313kは、両外側開孔部313a、313nの内側(中央孔部311側)にて、左右方向中心線X1に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。
【0246】
各両外側開孔部313d、313e及び313h、313iは、各両外側開孔部313b、313c及び313j、313kの内側(中央孔部311側)にて、左右方向中心線X1に対し左右対称的な位置にて基板310に形成され、かつ、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて基板310に形成されている。
【0247】
また、両外側開孔部313f、313gは、基板310において、左右方向中心線X1上における両内側開孔部312a、312bの上下両側にて、図31にて示すごとく、上下方向中心線Y1に対し上下対称的な位置にて形成されている。
【0248】
複数の係合片320は、図28図31のいずれかにて示すごとく、基板310の外周部から半径方向に向け放射状に延出するように形成されている。
【0249】
当該複数の外周側係合片320は、共に、同一の構成を有することから、当該複数の外周側係合片320のうちの一外周側係合片320を例にとり説明する。当該一外周側係合片320は、図28或いは図33にて示すごとく、両脚部321、322及び腕部323でもって、U字状となるように形成されている。
【0250】
即ち、当該一外周側係合片320において、脚部321は、基板320の外周部からその表面側へL字状に折れ曲がるように延出している。腕部323は、脚部321の延出端部から基板310の半径方向に沿い外方へL字状に折れ曲がるように延出している。また、脚部322は、腕部323の延出端部から基板310の裏面側へL字状に折れ曲がるように延出している。
【0251】
本第5実施形態においては、各外周側係合片320は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0252】
4個のフック330a〜330dは、上記第1実施形態にて述べた各座金WS(図3参照)を支持する役割を果たすもので、当該4個のフック330a〜330dは、それぞれ、図29にて示すごとく、4個の内側開孔部312a〜312dから基板310の表面側へ延出するように形成されている。本第5実施形態において、4個のフック330a〜330dのうち各4両対向フックの基板310からの延出基端部間の基板310の表面に沿う間隔W1は、W1=13(mm)に設定されている(図33参照)。
【0253】
ここで、4個のフック330a〜330dのうち、フック330aは、その基端部にて、図29にて示すごとく、内側開孔部312aの上側縁部に一体的に形成されている。当該フック330aは、図29図33及び図34のいずれかにて示すごとく、立ち上がり部331と、折れ曲がり部332とを備えており、立ち上がり部331は、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、立ち上がり部331の延出端部から基板210の表面に平行に中央孔部311側へL字状に折れ曲るように延出されている。
【0254】
残りのフック330b、330c及び330dは、フック330aと同様に、立ち上がり部331及び折れ曲がり部332でもって構成されている。フック330bは、その基端部にて、図29にて示すごとく、内側開孔部312bの下側縁部に一体的に形成されている。当該フック330bにおいて、立ち上がり部331は、図29にて示すごとく、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330bの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行となるようにフック330a側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0255】
フック330cは、その基端部にて、図29にて示すごとく、内側開孔部312cの左側縁部に形成されている。当該フック330cにおいて、立ち上がり部331は、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330cの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行なるように中央孔部311側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0256】
また、フック330dは、その基端部にて、図29にて示すごとく、内側開孔部312dの右側縁部に形成されている。当該フック330dにおいては、立ち上がり部331が、その基端部から基板310の表面の上方へ立ち上がるように延出している。また、折れ曲がり部332は、フック330dの立ち上がり部331の延出端部から基板310の表面に平行となるようにフック330c側へL字状に折れ曲がって延出している。
【0257】
以上のように構成した4個のフック330a〜330dは、その各折れ曲がり部332と中央孔部311との間にて座金WS(図3参照)を挟持して支持するようになっている。ここで、4個のフック330a〜330dは、等角度間隔にて、基板310の表面に形成されているから、座金WSは、その全体に亘り、当該4個のフック330a〜330dにより基板310に対し安定的に支持され得る。
【0258】
複数の面側係合片340は、図31にて示すごとく、左右両側係合片群340a及び上下両側係合片群340bを構成する。
【0259】
左右両側係合片群340aは、図31において、左右方向中心線X1に対し互いに左右対称的な構成にて基板310に形成されている。
【0260】
当該左右両側係合片群340aにおいて、左側係合片群340aは、図31にて示すごとく、左側に位置する7個の面側係合片340(左側係合片340)を有する。当該7個の面側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313aの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313aを左右方向に跨ぐようにして、図29にて示すごとく、当該外側開孔部313aから基板310の表面の上方へ半ループ状に突出するように形成されている。本第5実施形態においては、各面側係合片340は、上記第1実施形態にて述べた各面側係合片230と同様に、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0261】
また、左側係合片群340aは、7個の左側係合片340の内側(中心孔部311側)に位置する3個の左上内側係合片340及び3個の左下内側係合片340を有している。
【0262】
3個の左上内側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313aの右上側に位置する外側開孔部313bの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313bを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313bから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。一方、3個の左下内側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313aの右下側に位置する外側開孔部313cの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313cを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313cから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0263】
また、右側係合片群340aは、左側係合片群340aの11個の左側係合片340及び各3個の左上下内側係合片330にそれぞれ対応する11個の右側係合片340及び各3個の右上下内側係合片340でもって構成されている。
【0264】
ここで、11個の右側係合片340は、図31にて示すごとく。基板310の左右方向中心線X1を基準として、左側係合片群340aの11個の左側係合片340とは対称的な位置にて、外側開孔部313nの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313nを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313nから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0265】
また、3個の右上内側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313nの左上側に位置する外側開孔部313jの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313jを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313jから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0266】
一方、3個の右下内側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313nの左下側に位置する外側開孔部313kの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313kを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313kから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0267】
上下両側係合片群340bは、図31にて示すごとく、上下方向中心線Y1に対し互いに上下対称的な構成にて基板310に形成されている。
【0268】
当該上下両側係合片群340bにおいて、上側係合片群340bは、図31にて示すごとく、基板310の左右方向中央(左右方向中心線X1に対応)にて、2個の中央側係合片340を有しており、当該2個の中央側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313fの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313fを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313fから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0269】
また、上側係合片群340bは、図31にて示すごとく、2個の中央側係合片340の左側に位置する3個の中央左側係合片340を有しており、当該3個の中央左側係合片340は、外側開孔部313dの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、図31にて示すごとく、外側開孔部313dを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313dから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0270】
また、上側係合片群340bは、図31にて示すごとく、左右方向中心線X1に対し3個の中央左側係合片340とは対称的な位置にある3個の中央右側係合片340を有しており、当該3個の中央右側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313hの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313hを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313hから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0271】
また、下側係合片群340bは、図31にて示すごとく、基板310の左右方向中央にて、2個の中央側係合片340を有しており、当該2個の中央側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313iの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313iを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313iから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0272】
また、下側係合片群340bは、図31にて示すごとく、2個の中央側係合片340の左側に位置する3個の中央左側係合片340を有しており、当該3個の中央左側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313eの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313eを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313eから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。
【0273】
また、下側係合片群340bは、図31にて示すごとく、左右方向中心線X1に対し3個の中央左側係合片340とは対称的な位置にある3個の中央右側係合片340を有しており、当該3個の中央右側係合片340は、図31にて示すごとく、外側開孔部313kの長手方向に所定間隔をおいて互いに平行に配列されるとともに、外側開孔部313kを左右方向に跨ぐようにして、図29及び図31から分かるように、当該外側開孔部313kから基板310の表面側へ半ループ状に突出するように形成されている。なお、本第5実施形態において、各面側係合片340の頂部の基板310の裏面からの高さH1は、H1=2.1(mm)に設定されている(図34参照)。
【0274】
上述のように構成された中央側接着補助器具300は、図28にて示すごとく、基板310を、その裏面にて、コンクリート壁10aの表面に接合するとともに、コンクリートネジSCを、その首下部にて、4個のフック330a〜330dの各折れ曲がり部と基板310の中央孔部311との間に保持してなる座金WSの中空部及び基板310の中央孔部311を通して、コンクリート壁10aに締着することで、座金WSをコンクリートネジSCの頭部とコンクリート壁10aとの間に挟持し、コンクリート壁10aとモルタル壁Mとの間に埋設されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0275】
以上のように構成した本第5実施形態において、上記第1実施形態と同様に図14の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次の第2接着補助器具組み付け工程S8において、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具300のうちの上記中央側接着補助器具300が、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0276】
即ち、中央側接着補助器具300が、基板310にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(図1及び図35参照)。このとき、基板310は、その裏面にて、図35にて示すごとく、複数の係合片340及び4個のフック330a〜330dを上方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0277】
このような設置状態において、上記第1実施形態にて述べた座金WSが、図35にて示すごとく、基板310のうち中央孔部311を中心とする環状部位(以下、本第5実施形態でも、中央環状部位Pという)上に4個のフック330a〜330dを介し設置される。
【0278】
ここでは、座金WSが、各フック330a〜330dの延出端部をその弾力に抗して押し広げるようにして、中央環状部位P上に設置される。このため、座金WSが、各フック330a〜330dの内側にて当該各フック330a〜330dの延出端部と基板310の環状中央部位Pとの間に挟持される。なお、本第5実施形態における中央環状部位Pは、各フック330a〜330dの基板310からの延出基端部の内側(中央孔部311側)において基板310に形成される環状領域をいう。
【0279】
このように座金WSを挟持した後、コンクリートネジSCが、図35にて示すごとく、その首下部にて、座金WSの中空部及び基板310の中央孔部311を通して上記第1実施形態と同様にコンクリート壁10aに締着される。
【0280】
以上のようにして第2接着補助器具300(中央側接着補助器具300)及び上記第1実施形態にて述べた4個の第1接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、図2及び図28にて示すごとく、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0281】
従って、上記第1実施形態にて述べた第1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、第2接着補助器具300が、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0282】
これに伴い、生モルタルが、上記第1実施形態にて述べたと同様に、第1接着補助器具100内に浸入するとともに、第2接着補助器具300において、複数の面側係合片340を介し基板310の表面に達する。ここで、このように複数の面側係合片340を介し基板310の表面に達する生モルタルは、互いに隣り合う各両面側係合片340の間を通り基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部に行き亘る。
【0283】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化するまで所定時間の間待つ。これに伴い、当該生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0284】
以上説明したように、本第5実施形態によれば、各第2接着補助器具300は、複数の面側係合片340に加えて、上記第1実施形態にて説明した各第2接着補助器具200とは異なり、複数の外周側係合片320を上述した構成でもって備えている。
【0285】
従って、複数の外周側係合片320が基板310の外周部から放射状に延出することで、生モルタルが上述のごとく当該モルタル用接着補助器具300を介しコンクリート壁10aの表面11に塗布されたとき、当該モルタル用接着補助器具300は、複数の面側係合片340だけでなく、複数の外周側係合片320によっても、生モルタルと係合する。
【0286】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具300は、複数の面側係合片340だけでなく、複数の外周側係合片320によっても、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。その結果、当該モルタル用接着補助器具300は、基板310から突出する複数の面側係合片340だけでなく、複数の外周側係合片320によっても、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具300によるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0287】
ここで、第2接着補助器具300毎に、複数の面側係合片340或いは左右上下の各側係合片群340a、340bは、それぞれ、基板310の表面において左右方向中心線X1及び上下方向中心線Y1の双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片340或いは各側係合片群340a、340bによるモルタル壁Mに対する接着補助力は、基板310の表面の全体に亘り均一に発揮され得る。その結果、上述したモルタル用接着補助器具300による接着補助力が安定的に強化され得る。
【0288】
その結果、本第5実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもとにモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、より一層安定的に強化され得る。このことは、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。
(第6実施形態)
図36は、本発明に係る接着補助システムMSの第6実施形態の要部を示している。当該第6実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具200A(図36では単一の接着補助器具200Aのみを示す。)を備えている。
【0289】
本第6実施形態では、複数の接着補助器具100は、上記第1実施形態と同様に、それぞれ、コンクリート壁10aの複数の収容穴部12内に収容されて、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。
【0290】
また、複数の接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具200と同様に、図36にて例示するごとく、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間に埋設されている。本第6実施形態において、接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた接着補助器具200と同様に、第2接着補助器具200Aともいう。なお、第2接着補助器具200Aは、第2接着補助器具200と同様に、モルタル壁Mとコンクリート壁10aとの間への埋設前後において同様の構成を有する。
【0291】
当該接着補助器具200Aは、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、上記第1実施形態にて述べた4個の接着補助器具100(図1参照)の中央に接着補助器具200に代えて位置する接着補助器具200A(以下、中央側接着補助器具200Aともいう)を例にとり、その構成について説明する。
【0292】
当該中央側接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200において、4個の内側開孔部212a〜212d及び4個のフック220a〜220dを廃止するとともに、複数の係合片250(以下、外周側係合片250ともいう)を付加的に設けた構成を有する。
【0293】
複数の外周側係合片250は、図36図41のいずれかにて示すごとく、基板210の外周部から半径方向に向け放射状に延出するように、基板210と同様の形成材料でもって、当該基板210と一体的に形成されている。ここで、当該複数の外周側係合片250は、生モルタル内に浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように形成されている。
【0294】
複数の外周側係合片250は、共に、同一の構成を有することから、当該複数の外周側係合片250のうちの一外周側係合片250を例にとり説明する。当該一外周側係合片250は、図36図41のいずれかにて示すごとく、腕部251及び脚部252でもって、L字状となるように形成されている。
【0295】
即ち、当該一外周側係合片250において、腕部251は、その基端部にて、基板210の外周部にその表面側から一体的に形成されており、当該腕部251は、その基端部から外方に向け基板210の半径方向に延出されている。また、脚部252は、腕部251の延出端部から基板210の裏面側へL字状に折れ曲がるように延出している。
【0296】
本第6実施形態において、基板210は、上記第1実施形態にて述べた中央孔部211に代えて、中央孔部211aを有しており、当該中央孔部211aの内径U1は、中央孔部211の内径Uよりも小さく、U2=6.4(mm)となっている(図41参照)。また、本第6実施形態にいう基板210の厚さは、T2=0.7(mm)であって、上記第1実施形態にいう基板210の厚さTよりも薄い(図12及び図40参照)。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0297】
以上のように構成した本第6実施形態において、上記第1実施形態と同様に図14の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次の第2接着補助器具組み付け工程S8において、上記第1実施形態にて述べた中央側接着補助器具200に代えて、複数の接着補助器具200Aのうちの上記中央側接着補助器具200Aが、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0298】
即ち、中央側接着補助器具200Aが、基板210にて、コンクリート壁10aの表面11のうち第1矩形状輪郭RLの中央に対する対応部位に設置される(図1及び図46参照)。このとき、基板210は、その裏面にて、図46にて示すごとく、複数の面側係合片230を上方に向け突出させるように、コンクリート壁10aの表面11に設置される。
【0299】
このような設置状態において、環状部材WS1が、上記第1実施形態にて述べた座金WSに代えて、環状座金部材として、図36及び図46のいずれかにて示すごとく、基板210の中央孔部211aに次のようにして組み付けられる。
【0300】
ここで、環状部材WS1は、図42図45にて示す構成を有するように、基板210と同一の形成材料でもって、樹脂成形でもって一体的に形成されている。当該環状部材WS1は、環状平板260a、環状ボス260b、複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dを備えている。
【0301】
環状平板260aは、基板210の中央孔部211aを中心とする環状部位(以下、本第6実施形態では、中央環状部位P1ともいう)上に着座する(図36及び図46参照)。なお、環状平板260aの中空部の内周面は、縦断面末すぼまり状に形成されている。
【0302】
環状ボス260bは、環状平板260aの中空部の周縁部から下方へ同軸的に延出するように形成されており、当該環状ボス260bは、図6或いは図46にて示すごとく、基板210の中央孔部211a内にその表面側から同軸的にかつ液密的に嵌装される。
【0303】
複数の内側糸状片260cは、その各基端部にて、環状平板260aの中空部の周縁部にその周方向に沿い間隔をおいて環状平板260aの表面側から一体的に形成されており、当該複数の内側糸状片260cは、その各基端部から環状平板260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて環状平板260aの中心に向けて傾斜状に延出している(図42及び図45参照)。なお、各内側糸状片260cは、その延出端部にて、環状平板260aの中空部に向けL字状に屈曲している。
【0304】
また、複数の外側糸状片260dは、その各基端部にて、環状平板260aの外周面にその周方向に沿い間隔をおいて一体的に形成されており、当該複数の外側糸状片260dは、その各基端部から環状平板260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて環状平板260aの外方に向けて半径方向へ傾斜状に延出している(図42及び図45参照)。なお、各外側糸状片260dは、その延出端部にて、環状平板260aの中空部側へL字状に屈曲している。
【0305】
ここで、環状部材WS1において、環状平板260aの外径G及び厚さF1は、それぞれ、G=13(mm)及びF1=1(mm)であり、環状ボス260bの外径D1、内径D2及び軸長F2は、それぞれ、D1=6.3(mm)、D2=4.3(mm)及びF2=1(mm)である(図43及び図45のいずれか参照)。また、複数の外側糸状片260dの各延出端部を結ぶ円周の径Zは、Z=18.3(mm)であり、当該複数の外側糸状片260dの各延出端部から環状ボス260bの延出端部からの高さEは、E=4.35(mm)である(図43及び図45のいずれか参照)。また、複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dの各々の太さは、0.7(mm)である。なお、環状部材WS1における各上記寸法は、複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dが、生モルタル内に深く浸入可能な剛性を有し、かつ、生モルタルの硬化後のモルタル壁Mを支持し得るような破断強度を有するように選定されている。
【0306】
しかして、上述のように構成した環状部材WS1は、環状ボス260bを基板210の中央孔部211a内に液密的に嵌装させるようにして、環状平板260aにて、基板210の中央環状部位P1にその表面側から着座することで、基板210に組み付けられる。
【0307】
これに伴い、複数の内側糸状片260cは、それぞれ、環状平板260bの中空部の周縁部からその中央に向け傾斜状に、かつ環状平板260bの表面の外方へ緩やかに凸な湾曲状に延出するとともに、複数の外側糸状片260dは、それぞれ、環状平板260aの表面から離れる方向へ緩やかに凸な湾曲形状にて、当該環状平板260aの外周面から当該環状平板260aの半径方向に沿いその表面側斜め外方に向けて傾斜状に延出する。
【0308】
このように環状部材WS1の基板210に対する組み付けが完了すると、コンクリートネジSC1が、図46にて示すごとく、その首下部にて、環状部材WS1の環状平板260aの中空部及び基板210の中央孔部211aを通して上記第1実施形態と実質的に同様にコンクリート壁10aに締着される。ここで、コンクリートネジSC1は、その頭部にて皿状に形成されており、当該コンクリートネジSC1は、その皿状頭部にて、環状平板260aの中空部内にその縦断面末すぼまり状の内周面に沿い着座する。
【0309】
以上のようにして第2接着補助器具200A(中央側接着補助器具200A)及び上記第1実施形態にて述べた4個の第1接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、図36にて示すごとく、上記第1実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0310】
従って、上記第1実施形態にて述べた1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、第2接着補助器具200Aが、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0311】
これに伴い、生モルタルが、上記第1実施形態にて述べたと同様に、第1接着補助器具100内に浸入するとともに、第2接着補助器具200Aにおいて、複数の内側糸状片260c、複数の外側糸状片260d、複数の外周側係合片250及び複数の面側係合片230を介し基板210の表面に達する。
【0312】
ここで、このように複数の面側係合片230を介し基板210の表面に達する生モルタルは、上記第1実施形態にて述べたと同様に、基板210の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部に行き亘る。
【0313】
また、上述のように生モルタルが複数の外周側係合片250を介し基板210の表面に達する過程において、当該生モルタルは、各外周側係合片250の外周面にしっかりと係合する。このとき、各外周側係合片250において、腕部251が脚部252の延出端部からL字状に屈曲するように形成されているため、当該生モルタルは、各外周側係合片250の屈曲部にもしっかりと係合する。
【0314】
また、上述のように生モルタルが複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dを介し基板210の表面に達する過程において、当該生モルタルは、複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dの各外周面にしっかりと係合する。しかも、各内側糸状片260cの延出端部及び各外側糸状片260dの延出端部は、上述のごとく、L字状に屈曲しているから、生モルタルは、各内側糸状片260c及び各外側糸状片260dの延出端部に対ししっかりと係合する。
【0315】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0316】
以上説明したように、本第6実施形態によれば、各第2接着補助器具200Aは、上記第1実施形態にて説明した各第2接着補助器具200とは異なり、複数の面側係合片230に加えて、複数の外周側係合片250を上述した構成でもって備えている。
【0317】
しかも、環状部材WS1が、複数の内側糸状片260c及び複数の糸状片260dを有することで、当該複数の内側糸状片260c及び複数の糸状片260dでもって、生モルタルとしっかりと係合し得る。
【0318】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具200Aは、複数の面側係合片230だけでなく、複数の外周側係合片250並びに環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dによっても、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。
【0319】
従って、当該モルタル用接着補助器具200Aは、基板210から突出する複数の面側係合片230だけでなく、複数の外周側係合片250並びに環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dによっても、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具200Aによるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0320】
ここで、第2接着補助器具200A毎に、複数の面側係合片230は、複数の外周側係合片250とともに、それぞれ、基板210の表面において左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対し対称的に設けられているため、各面側係合片230によるモルタル壁Mに対する接着補助力は、基板210の表面の全体に亘り均一に発揮され得る。また、このようなことは、環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dも、同様に基板210の表面において左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対し対称的に位置するように設けられていることで同様に達成され得る。
【0321】
その結果、本第6実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもとにモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、安定的により一層強化され得る。このことは、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。
【0322】
また、本第6実施形態では、環状部材WS1が、上記第1実施形態にて述べた環状部材WS1とは異なり、基板210と同様の形成材料(樹脂材料)でもって、上記構成を有するように一体成形により形成されている。このため、環状部材WS1が、生モルタルと良好に係合するに要する形状に自由に設計され得る。
(第7実施形態)
図47は、本発明に係る接着補助システムMSの第7実施形態の要部を示している。当該第7実施形態では、接着補助システムMSが上記第1実施形態にて述べた複数の接着補助器具100を備えるとともに、上記第5実施形態にて述べた複数の接着補助器具300に代えて、複数の接着補助器具300A(図47では単一の接着補助器具300Aのみを示す。)を備えている。
【0323】
複数の接着補助器具300Aは、上記第5実施形態にて述べた複数の接着補助器具300(図31参照)において4個の内側開孔部312a〜312d及び4個のフック330a〜330dを廃止した構成となっている。なお、本第7実施形態において、接着補助器具300Aは、第2接着補助器具300Aともいう。複数の接着補助器具300Aの各々のその他の構成は、複数の接着補助器具300の各々と同様である。
【0324】
また、本第7実施形態においては、上記第5実施形態にて述べた中央側接着補助器具300をコンクリート10の表面11に基板310を介し組み付けるに当たり採用される座金WS(図18参照)に代えて、上記第6実施形態にて述べた環状部材WS1(図42参照)が、中央側接着補助器具300に対応する中央側接着補助器具300Aをコンクリート10の表面11に基板310を介し組み付けるに当たり採用される。その他の構成は、上記第5実施形態と同様である。
【0325】
以上のように構成した本第7実施形態において、上記第5実施形態と同様に図14の型枠取り外し工程S7の処理を終了すると、次の第2接着補助器具組み付け工程S8において、上記第5実施形態にて述べた中央側接着補助器具300に代えて、複数の接着補助器具300Aのうちの上記中央側接着補助器具300Aが、中央側接着補助器具300と同様に、一方の型枠Fに組み付けられる。
【0326】
このような組み付け状態において、環状部材WS1が、上記第5実施形態にて述べた座金WSに代えて、図47図51のいずれかにて示すごとく、基板310の中央孔部311aに次のようにして組み付けられる。なお、本第7実施形態では、基板310の中央孔部311aは、上記第5実施形態にて述べた基板310の中央孔部311よりも、小さく、上記第6実施形態にて述べた基板210の中央孔部211aと同一の値に形成されている。
【0327】
しかして、環状部材WS1は、環状ボス260bを基板310の中央孔部311a内に液密的に嵌装させるようにして、環状平板260aにて、基板310の中央環状部位(上記第6実施形態にて述べた中央環状部位P1に対応)にその表面側から着座することで、基板310に組み付けられる。
【0328】
これに伴い、複数の内側糸状片260cは、それぞれ、環状平板260bの中空部の周縁部からその中央に向け傾斜状に環状平板260bの表面の外方へ緩やかに凸な湾曲状にて延出するとともに、複数の外側糸状片260dは、それぞれ、環状平板260bの外周面から当該環状平板260aの外方に向けて半径方向へ傾斜状に延出する。
【0329】
このように環状部材WS1の基板310に対する組み付けが完了すると、コンクリートネジSC1が、図47にて示すごとく、その首下部にて、環状部材WS1の環状平板260aの中空部及び基板310の中央孔部311aを通して上記第1実施形態と実質的に同様にコンクリート壁10aに締着される。なお、コンクリートネジSC1は、その皿状頭部にて、環状平板260aの中空部内にその縦断面末すぼまり状内周面に沿い着座する。
【0330】
以上のようにして第2接着補助器具300A(中央側接着補助器具300A)及び上記第1実施形態にて述べた4個の第1接着補助器具100のコンクリート壁10aに対する組み付けが終了すると、次の生モルタル塗布工程S9において、生モルタルが、図47にて示すごとく、上記第5実施形態と同様に、コンクリート壁10aの表面11の全体に亘り塗布される。
【0331】
従って、上記第1実施形態にて述べた1接着補助器具100は、コンクリート壁10aの収容穴部12内に収容された状態にて生モルタルにより当該コンクリート壁10aに埋設されるとともに、第2接着補助器具300Aが、コンクリート壁10aの表面11上にて生モルタルにより埋設される。
【0332】
これに伴い、生モルタルが、上記第5実施形態にて述べたと同様に、第1接着補助器具100内に浸入するとともに、環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260d並びに第2接着補助器具300Aの複数の外周側係合片320及び複数の面側係合片340を介し基板310の表面に達する。
【0333】
ここで、このように複数の係合片340を介し基板310の表面に達する生モルタルは、上記第5実施形態にて述べたと同様に、基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nの各内部に行き亘る。
【0334】
また、上述のように生モルタルが複数の外周側係合片320を介し基板310の表面に達する過程において、当該生モルタルは、各外周側係合片320の外周面にしっかりと係合する。このとき、当該生モルタルは、各外周側係合片320の屈曲部にもしっかりと係合する。
【0335】
また、上述のように生モルタルが複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dを介し基板310の表面に達する過程において、当該生モルタルは、複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dの各外周面にしっかりと係合する。しかも、各内側糸状片260cの延出端部及び各外側糸状片260dの延出端部は、上述のごとく、L字状に屈曲しているから、生モルタルは、各内側糸状片260c及び各外側糸状片260dの延出端部に対ししっかりと係合する。
【0336】
上述のような生モルタル塗布工程S9の後、次の生モルタル硬化待ち工程S10において、上述のようにコンクリート壁10aの表面11に塗布した生モルタルが硬化すると、モルタル壁Mがコンクリート壁10aの表面11上に形成される。
【0337】
以上説明したように、本第7実施形態によれば、環状部材WS1が、複数の内側糸状片260c及び複数の糸状片260dを有することで、当該複数の内側糸状片260c及び複数の糸状片260dでもって、生モルタルとしっかりと係合し得る。
【0338】
このため、生モルタルが硬化してモルタル壁Mとなったとき、当該モルタル用接着補助器具300Aは、複数の面側係合片340及び複数の外周側係合片320だけでなく、環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dによっても、モルタル壁Mにその内部にてしっかりと係合する。
【0339】
これにより、当該モルタル用接着補助器具300Aは、基板310から突出する複数の面側係合片340及び複数の外周側係合片320だけでなく、環状部材WS1の複数の内側糸状片260c及び複数の外側糸状片260dによっても、モルタル壁Mをコンクリート壁10aの表面11に支持し得る。これにより、モルタル用接着補助器具300Aによるモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着補助力が、より一層強化され得る。
【0340】
その結果、本第7実施形態では、接着補助システムによる接着補助のもとにモルタル壁Mのコンクリート壁10aに対する接着力(アンカー効果)が、より一層強化され得る。このことは、モルタル壁Mのコンクリート壁10aからの脱落が、長期に亘り、より一層良好に防止され得ることを意味する。その他の作用効果は、上記第6実施形態と同様である。
【0341】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態や変形例に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた接着補助器具100の形成材料である熱可塑性樹脂は、ナイロン樹脂に限ることなく、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂ともいう)、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂ともいう)、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂(変性PPO樹脂ともいう)、ポリアミドエラストマー樹脂(例えば、東レ株式会社製「ぺパックス」)、或いはポリエステルエラストマー樹脂(例えば、東レ株式会社製「ハイトレル」)等であってもよい。なお、PPS樹脂は、ナイロン樹脂と同様に耐アルカリ性に優れる。
(2)本発明の実施にあたり、上述したナイロン樹脂その他の熱可塑性樹脂に代えて、当該熱可塑性樹脂のいずれか(例えば、ナイロン樹脂)にガラス繊維や炭素繊維等の短繊維状補強繊維混入させた繊維強化樹脂を採用するようにしてもよい。これにより、モルタルのコンクリート壁に対する接着力を強化してモルタルのコンクリート壁からの剥がれ落ち防止をさらに向上させることができる。
(3)本発明の実施にあたり、接着補助器具100のコネクター110の雌ネジ孔部111は、上記第1実施形態とは異なり、雌ネジ孔部111内において表側雌ネジ孔部分111a及び裏面側雌ネジ孔部分111bの各対向端部の間に隔壁部を形成するようにしてもよい。
【0342】
これによれば、型枠締め付けボルト160が表側雌ネジ孔部分111aを介し裏面側雌ネジ孔部分111bにまで螺合したり、或いは、スペーサボルト150が裏面側雌ネジ孔部分111bを介し表側雌ネジ孔部分111aまで螺合するような事態の発生を未然に防止することができる。
(4)本発明の実施にあたり、コネクター110の環状フランジ115は、その受承面115aにて、環状支持壁140を受承できればよいことから、当該環状フランジ115の外径(受承面115aの外径)は、少なくとも、環状支持壁140の内径よりも大きい程度でもよい。
(5)また、本発明の実施にあたり、上記実施形態とは異なり、環状フランジ115の外径が環状支持壁140の内径よりも大きい範囲にて当該環状支持壁140の外径よりも小さくてもよい。
【0343】
これによれば、コネクター110がその外周面にて軸方向に沿い縦断面凹凸状に形成されることによって、接着補助器具100のコンクリート壁10aからの抜け止めを確保し得る。
(6)本発明の実施にあたり、接着補助器具100のコネクター110に形成したリブ116のリブ部116bの数は、適宜変更してもよく、例えば、単一であってもよい。
(7)本発明の実施にあたり、接着補助器具200、200A、300或いは300Aの形成材料は、熱可塑性材料であれは、接着補助器具100の形成材料と相違してもよい。
(8)本発明の実施にあたり、環状支持壁140aの複数の糸状片143の各々の全長は、上記第2実施形態にて述べたように同一にすることなく、互いに異なっていてもよい。
(9)本発明の実施にあたり、接着補助器具の形成材料は、樹脂射出成形の容易な熱可塑性樹脂であることが好ましいが、必要により熱硬化性樹脂であってもよい。
(10)本発明の実施にあたり、接着補助器具100の接着力は、スペーサボルトの単位面積当たりの使用個数にもよるが、一般には50kgf/個(490Pa/個)以上になるように設計することが好ましい。
【0344】
このような特性を満足させるため、係合片120との寸法としては、係合片120の太さを0.05(mm)〜5.0(mm)の範囲以内の値とし、係合片120の径を1.0(mm)〜10.0(mm)の範囲以内の値にすることが好ましい。また、係合片120に代わる糸状片121の場合は、太さを0.05(mm)〜5.0(mm)であることが好ましい。
(11)本発明の実施にあたり、接着補助器具100毎の係合片120の数は、特に限定されるものではないが、非強化樹脂製の場合には20〜100個、繊維強化樹脂製の場合には5〜70個にすることが好ましい。
(12)本発明の実施にあたり、接着補助器具100のコネクター110は、上記実施形態とは異なり、例えば、多角形状に形成してもよい。
(13)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300を基板210或いは310に組み付けるにあたり採用される座金WSは、上記第1或いは第5の実施形態とは異なり、必要に応じて、廃止するようにしてもよい。
【0345】
この場合には、基板210の各内側開孔部212a〜212d及び各フック220a〜220d或いは基板310の各内側開孔部312a〜312d及び各フック330a〜330dは廃止すればよい。
(14)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた複数の係合片220は、基板210の中央部から外周部に亘り分散して基板210の円周方向に沿い形成するようにしてもよい。
(15)本発明の実施にあたり、複数の係合片220は、上記第1実施形態にて述べた配列に限ることなく、基板210の表面に亘り分散して形成されていてもよく、また、係合片220の数は、上記第1実施形態にて述べた数に限ることなく適宜変更して実施してもよい。
(16)本発明の実施にあたり、基板210の複数の外側開孔部213a〜213j及び基板310の複数の外側開孔部313a〜313k、313nは、廃止してもよい。
(17)本発明の実施にあたり、係合片120或いは220の形状は、半円状或いは円弧状であってもよい。また、係合片120或いは220の形状は、一般的には、湾曲状であってもよい。
(18)本発明の実施にあたり、上記第5実施形態における各係合片320は、基板310の外周部の端面部或いは表面部から放射状に延出する基部及び当該各基部の延出端部からL字状に折れ曲がる折れ曲がり部でもって構成するようにしてもよい。なお、上記第5実施形態にて述べた脚部321及び腕部323は、基部に対応し、脚部322は、折れ曲がり部に対応する。
(19)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた座金WSは、ネジSCをコンクリート壁10aに締着する際における基板210の中央穴部111の強度を補助することができればよい。従って、座金WSは、ステンレスに限らず、鉄等の環状板であってもよく、また、環状樹脂板や環状バネ座金であってもよい。
(20)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第5の実施形態にて述べた各接着補助器具200或いは300は、各接着補助器具100と入れ替えて配設するようにしてもよい。
(21)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第5の実施形態にて述べた複数の接着補助器具200或いは300及び複数の接着補助器具100は、格子状に配設することに限らず、双方ともに、互いに異なる位置にて、分散してコンクリート壁10aの表面に配設されていてもよい。
(22)本発明の実施にあたり、上記第1或いは第5の実施形態にて述べた接着補助器具200或いは300において、複数の面側係合片240或いは340は、上記第1或いは第5の実施形態にて述べた例に限定することなく、基板210或いは310の表面に亘り分散して配設するようにしてもよい。
【0346】
この場合、複数の面側係合片240或いは340は、基板210或いは310の表面に沿う左右方向中心線及び上下方向中心線の双方に対称的に分散配設することが好ましい。これにより、接着補助器具200或いは300における複数の面側係合片240或いは340のモルタル壁に対する接着補助力が、基板210或いは310の全面に亘りバランスよく均一化され得る。
【0347】
また、このようなことは、複数の面側係合片240或いは340を、図27にて例示するように、基板210或いは310の表面において円周方向には等角度間隔に半径方向には放射状に配設するようにしても可能である。
(23)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300のフック230或いは240は、4個に限ることなく、複数個或いは複数対であってもよい。例えば、フック230或いは240は、2個、3個或いは5個を、基板210或いは310の表面にて中央孔部の外周に沿い等角度間隔にて設けるようにしてもよく、また、一対或いは三対を、基板210或いは310の表面にて中央孔部の外周に沿い等角度間隔にて設けるようにしてもよい。要するに、座金WSをその全面に亘り均一に基板210或いは310の表面上に挟持し得ればよい。
(24)また、本発明の実施にあたり、接着補助システムは、複数の接着穂補助器具100に依存することなく、複数の接着補助器具200のみを基板の表面に分散して配設するようにしてもよい。例えば、図1において、中央接着補助器具200をそのまま矩形状輪郭RLの中央に配設し、4つの接着補助器具200を、4つの接着補助器具100に代えて、矩形状輪郭RLの各隅角部に配設するようにしてもよい。
(25)本発明の実施にあたり、接着補助器具200或いは300の基板は、上記実施形態とは異なり、例えば、三角形状や四角形状等の多角形状に形成してもよい。
(26)本発明の実施にあたり、コンクリート体10aの表面に形成されるモルタル壁Mのコンクリート体10aとの接着を補助するためのモルタル用接着補助方法において、
コネクター110と、当該コネクター110にその表面から突出するように分散して形成される複数の面側係合片120と、当該複数の面側係合片120を包囲するようにコネクター110の表面の外周部から延出する薄肉環状連結壁130と、当該連結壁130の延出端部から当該連結壁130と同一方向へ延出する厚肉環状支持壁140とを有するように合成樹脂でもって一体的に形成される複数の接着補助器具100と、
中央孔部211(或いは311)を形成してなる基板210(或いは310)と、当該基板にその両面の一方の面から突出するように中央孔部211(或いは311)の周囲に分散して形成される複数の面側係合片220(或いは340)とを有するように合成樹脂でもって一体的に形成される複数の接着補助器具200(或いは300)とを準備して、
互いに対向するように設置した両型枠Fの一方の型枠から分散して他方の型枠に向けて延出する複数のスペーサボルト150に対し、複数の接着補助器具100を、その各環状支持壁140にて他方の型枠に対向するように連結する第1工程と、
他方の型枠を介し複数の接着補助器具100の各厚肉環状支持壁を、各対応の薄肉環状連結壁130を介し各対応のコネクター110側へ押圧することで、複数の係合片を包囲するように、各対応のコネクターの表面側外周部から外方に向け半径方向に延出する環状フランジ115に着座させる第2工程と、
両型枠の間に複数のスペーサボルト及び複数の第1接着補助器具を介し生コンクリートを打ち込む第3工程と、
当該生コンクリートがその硬化に伴いコンクリート体として形成された後、複数の接着補助器具100の各厚肉環状支持壁140に対する押圧を解除した後両型枠Fを除去する第4工程と、
複数の接着補助器具200(或いは300)の各基板をその中央孔部にてネジによりコンクリート壁10aに締着することで、複数の接着補助器具200(或いは300)をコンクリート壁10aに組み付ける第5工程と、
コンクリート壁の表面に各複数の第1接着補助器具100及び接着補助器具200(或いは300)を介し所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させてモルタル壁として形成する第6工程とを具備するようにしてもよい。
【0348】
ここで、第2工程において、複数の型枠締め付けボルト160を、複数の接着補助器具100のコネクター110の中央部に形成した雌ネジ孔部に一方の型枠を通し螺合調整することで、当該一方の型枠により、複数の接着補助器具100の各厚肉環状支持壁を各対応のコネクター側へ押圧するようにしてもよい。
【0349】
また、当該モルタル用接着補助方法にて、複数の接着補助器具200(或いは300)の各々において、基板に上記一方の面から複数の係合片群の内側にて上記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフック220a〜220d(或いは330a〜330d)を具備してなり、
当該複数のフックは、それぞれ、基板の上記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部221(或いは331)と、当該立ち上がり部から基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部222(或いは332)とでもって、構成されており、
上記第5工程において、環状板を、複数のフックの上記各立ち上がり部により包囲するように複数のフックの弾力に抗して基板の上記一方の面上に設置することで、複数のフックにより上記各折れ曲がり部にて基板の上記一方の面との間に挟持し、然る後、基板をその上記中央孔部にて環状板を介しネジによりコンクリート壁に締着することで、複数の第2接着補助器具をコンクリート壁に組み付けるようにしてもよい。
【0350】
また、当該モルタル用接着補助方法において、環状板260a、当該環状板のうちその内周縁部の外周から当該外周に沿い間隔をおいて環状板の表面側へ延出する複数の内側糸状片260c、当該環状板の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて環状板の表面側へ延出する複数の外側糸状片260d、及び環状板の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出する環状ボス260bを一体的に有するように合成樹脂でもって形成してなる環状部材WS1を複数準備して、
第5工程において、複数の環状部材の各々を、環状ボスにて基板の対応中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、環状板を、基板の対応中央孔部にその表面側から載置させて、
複数の第2接着補助器具の各々を、ネジの頭部にて複数の環状部材のうちの対応環状部材の環状ボスに着座するようにして、ネジの首下部にて上記対応環状部材の環状ボスを通してコンクリート壁の表面に締着することにより、当該コンクリート壁に組み付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0351】
F…型枠、M…モルタル壁、RL…矩形状輪郭、
SC,SC1…コンクリートネジ、WS…座金、WS1…環状部材、
10a…コンクリート壁、100、200、300…接着補助器具、
110…コネクター、115…環状フランジ、
120、230、320、340…係合片、130…環状連結壁、
140…環状支持壁、143…糸状片、150…スペーサボルト、
160…型枠締め付けボルト、210、310…基板、
211、311…中央孔部、260a…環状平板、260b…環状ボス、
260c…内側糸状片、260d…外側糸状片、
213a〜213j、313a〜313k、313n…長手状開口部、
220、340…係合片、220a、220b、340a、340b…係合片群、
220a〜220d、330a〜330d…フック、
221、331…立ち上がり部、222、332…折れ曲がり部、321…脚部、
322…腕部、323…脚部。
図1
図2
図3
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